ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko3314 山桜
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『山桜』 24KB
愛情 不運 番い 希少種 自然界 人間なし 独自設定 25作目です。少し前に猫がお花見をしていたので、私もご一緒させてもらいました
愛情 不運 番い 希少種 自然界 人間なし 独自設定 25作目です。少し前に猫がお花見をしていたので、私もご一緒させてもらいました
※虐待要素は含まれていません
※ゆっくりを生き物として扱っています
※漢字の読み方を意図的に変えた箇所が一部あります
※以下、作中における用法
※ゆっくりを生き物として扱っています
※漢字の読み方を意図的に変えた箇所が一部あります
※以下、作中における用法
なむ→強意+推量
なば→完了+仮定
らむ→推量・伝聞・婉曲
なば→完了+仮定
らむ→推量・伝聞・婉曲
『山桜』
桜の蕾が綻び始めた頃、ゆっくりれいむが巣穴から目を覗かせる
「ゆゆっ、なんだかおそとはゆっくりできそうだよ!!」
「ゆ?まりさにもみせてほしいんだぜ」
「ゆ?まりさにもみせてほしいんだぜ」
2匹のゆっくりは、薄暗くひんやりした土の巣穴の中をもぞもぞと動く。
狭い割に巣の中に残された食料は少なく、隔離しているはずの排泄物の臭いが漂う。
まりさはれいむと場所を入れ替わり、巣穴の入り口に張られたけっかいの隙間から外の様子を伺う。
冬の間は、数匹のゆっくりちるのが外の世界を行き交っていたのだが、
今は打って変わって、同族のゆっくりが悠々と歩き回っている。
そこにいる全ゆんが満面の笑みを浮かべ、お互いにすーりすーりしながら冬越えに成功したことを喜び合っている。
狭い割に巣の中に残された食料は少なく、隔離しているはずの排泄物の臭いが漂う。
まりさはれいむと場所を入れ替わり、巣穴の入り口に張られたけっかいの隙間から外の様子を伺う。
冬の間は、数匹のゆっくりちるのが外の世界を行き交っていたのだが、
今は打って変わって、同族のゆっくりが悠々と歩き回っている。
そこにいる全ゆんが満面の笑みを浮かべ、お互いにすーりすーりしながら冬越えに成功したことを喜び合っている。
「ゆゆ!みんなとってもゆっくりしてるんだぜ!!」
陽の光が外の世界をまんべんなく照らし、明るく陽気な雰囲気を醸し出す。
けっかいの隙間から外の空気が巣穴の中に入り込み、
頬にほのかな暖かさを感じたまりさは、思わずほっこりとした表情を浮かべた。
この2匹が暗く狭い巣穴に閉じこもらねばならない理由は、もうどこにもない。
気持ちの高ぶりを抑えられなくなったれいむとまりさは
お互いに顔を見合わせて軽く微笑み、早速けっかいを解く作業に取り掛かり始めた。
けっかいの隙間から外の空気が巣穴の中に入り込み、
頬にほのかな暖かさを感じたまりさは、思わずほっこりとした表情を浮かべた。
この2匹が暗く狭い巣穴に閉じこもらねばならない理由は、もうどこにもない。
気持ちの高ぶりを抑えられなくなったれいむとまりさは
お互いに顔を見合わせて軽く微笑み、早速けっかいを解く作業に取り掛かり始めた。
「ゆっ、ゆっ、ゆっ」
入り口に敷き詰められた木の枝や枯葉が、じわりじわりと取り外されていく。
「ゆんしょ、ゆんしょ、ゆふふ、これでおそとにでられるよ」
「おさきにどうぞ、なんだぜ」
「ゆん!!・・・ゆっ、ゆっ、ゆんしょ、ゆゆ!!」
「おさきにどうぞ、なんだぜ」
「ゆん!!・・・ゆっ、ゆっ、ゆんしょ、ゆゆ!!」
巣穴から出たれいむは早速、外の空気を頬いっぱいに感じ取る。
後から出てきたまりさも、けっかいのわずかな隙間から感じたものとは異なる、
景色全体からあふれ出てくる確かな暖かさを感じ取った。
後から出てきたまりさも、けっかいのわずかな隙間から感じたものとは異なる、
景色全体からあふれ出てくる確かな暖かさを感じ取った。
「とってもぽーかぽーかするよ!!」
「とってもゆっくりできるんだぜ!!」
「とってもゆっくりできるんだぜ!!」
2匹はそれぞれ率直な感想を述べると、一列に並んでキリッとした表情を浮かべた。
「それじゃあいっしょに、せーの」
「「「ゆっくりしていってね!!」」」
「むきゅ、おとなりさんもでてきたみたいね、ゆっくりしていってね!!」
「「「ゆっくりしていってね!!」」」
「むきゅ、おとなりさんもでてきたみたいね、ゆっくりしていってね!!」
ゆっくりできる返事をもらったところで、2匹はさっそく他のゆっくりが集う場所へ歩み寄っていった。
「ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」
「みんなとってもゆっくりしてるんだぜ!!」
「むきゅー、そういうまりさもとってもゆっくりしてるわ!!」
「それもこれもはるさんのおかげね、はるさんはとてもとかいはだわ!!」
「みんなとってもゆっくりしてるんだぜ!!」
「むきゅー、そういうまりさもとってもゆっくりしてるわ!!」
「それもこれもはるさんのおかげね、はるさんはとてもとかいはだわ!!」
他の生き物にとってはさることながら、
(一部を除く)ゆっくりたちにとっても『春』という概念は尊いものらしく、
一同に春の訪れを喜び、中には感動のあまり泣き出すものもいる。
(一部を除く)ゆっくりたちにとっても『春』という概念は尊いものらしく、
一同に春の訪れを喜び、中には感動のあまり泣き出すものもいる。
「はるさんはとってもゆっくりできるんだねー、わかるよー」
「ちーんぽ!うるうる」
「ちーんぽ!うるうる」
春という環境下においてゆっくりたちは「ゆっくり」という、
ただその一言を発するだけでも、ただ聞くだけでもゆっくりできる感覚を得ることができる。
そのため特に春になると、ゆっくりたちはゆっくりという言葉を自然と乱発する。
まるで競い合いでもしているかのように、あちらの山でゆっくり、こちらの山でゆっくり。
他の生き物からすれば鬱陶しい事この上ないのだが、
捉え方によっては「春の訪れを告げる風物詩」と考えられなくもない。
山肌は緑や黄緑色に染まり、その中で未だ花咲かぬ山桜が点在している。
春はまだその全貌を見せきっておらず、ゆっくりの食料となり得るものもまだたくさんあるとは言えない。
春はこれから次第に表情を変え、より優しい顔になっていく。
ゆっくりたちも春の顔色を伺いながら、子作りできる機会を今か今かと待ち続ける。
食料を十分に確保できた暁には、ゆっくりたちは子作りに勤しむことだろう。
ただその一言を発するだけでも、ただ聞くだけでもゆっくりできる感覚を得ることができる。
そのため特に春になると、ゆっくりたちはゆっくりという言葉を自然と乱発する。
まるで競い合いでもしているかのように、あちらの山でゆっくり、こちらの山でゆっくり。
他の生き物からすれば鬱陶しい事この上ないのだが、
捉え方によっては「春の訪れを告げる風物詩」と考えられなくもない。
山肌は緑や黄緑色に染まり、その中で未だ花咲かぬ山桜が点在している。
春はまだその全貌を見せきっておらず、ゆっくりの食料となり得るものもまだたくさんあるとは言えない。
春はこれから次第に表情を変え、より優しい顔になっていく。
ゆっくりたちも春の顔色を伺いながら、子作りできる機会を今か今かと待ち続ける。
食料を十分に確保できた暁には、ゆっくりたちは子作りに勤しむことだろう。
「ゆゆーん、かりのじょうずなまりさはとってもゆっくりしてるよ」
「れいむもゆっくりしてるんだぜ!!・・ゆ?」
「まりさ・・・」
「れいむ、まだだめなんだぜ、おちびちゃんのためにがまんするんだぜ」
「ゆうぅ・・・」
「れいむもゆっくりしてるんだぜ!!・・ゆ?」
「まりさ・・・」
「れいむ、まだだめなんだぜ、おちびちゃんのためにがまんするんだぜ」
「ゆうぅ・・・」
ゆっくりたちがとてもゆっくりしたおちびちゃんを産むためには、つがいの2匹がとてもゆっくりしている必要がある。
もし、食料が十分に集まっていない間に子作りを始めてしまうと、たちまち食料が足りなくなってゆっくりできなくなってしまう。
今この瞬間すっきりすることと、ゆっくりしたおちびちゃんを産むために今は我慢すること、どちらがよりゆっくりできるか。
選択に悩む天秤を突きつけられたれいむは、悩んだ挙句に後者を選んだ。
この2匹の間に生まれるおちびちゃんはきっと、とてもゆっくりしたゆっくりになることだろう。
もし、食料が十分に集まっていない間に子作りを始めてしまうと、たちまち食料が足りなくなってゆっくりできなくなってしまう。
今この瞬間すっきりすることと、ゆっくりしたおちびちゃんを産むために今は我慢すること、どちらがよりゆっくりできるか。
選択に悩む天秤を突きつけられたれいむは、悩んだ挙句に後者を選んだ。
この2匹の間に生まれるおちびちゃんはきっと、とてもゆっくりしたゆっくりになることだろう。
春山に色づく花の多かれど
地に芽生えるは土あればこそ
地に芽生えるは土あればこそ
やがて山桜の蕾が開き、白色、薄紅色といった各々の花びら、
そして同時に緑色や赤茶色の葉が見られ始める。
開花は一様にあらず、山桜はまばらに色づき始める。
多く咲いているものでも、まだ三分咲きといったところか。
その他、野山の面々は自己を色濃く主張し、山肌はより一層賑やかになる。
木々の間をメジロが飛び交い、どこからかウグイスの透き通った声が響き渡る。
さらさらと風にゆれる菜の花、天まで伸びんとする土筆、葉を精一杯横に広げるタンポポ。
春風は草花の香りをブレンドし、あちらこちらに春の導を漂わせる。
甘い香りの招待状を受けとったゆっくりたちは、春の恵みを求めて山の中を行ったり来たり。
小さな花や昆虫を見つけては、我先にと小刻みに飛び跳ね、
花の蜜を舐めたり蝶々を逃がしたりしては、つがい同士でじゃれ合う。
そして同時に緑色や赤茶色の葉が見られ始める。
開花は一様にあらず、山桜はまばらに色づき始める。
多く咲いているものでも、まだ三分咲きといったところか。
その他、野山の面々は自己を色濃く主張し、山肌はより一層賑やかになる。
木々の間をメジロが飛び交い、どこからかウグイスの透き通った声が響き渡る。
さらさらと風にゆれる菜の花、天まで伸びんとする土筆、葉を精一杯横に広げるタンポポ。
春風は草花の香りをブレンドし、あちらこちらに春の導を漂わせる。
甘い香りの招待状を受けとったゆっくりたちは、春の恵みを求めて山の中を行ったり来たり。
小さな花や昆虫を見つけては、我先にと小刻みに飛び跳ね、
花の蜜を舐めたり蝶々を逃がしたりしては、つがい同士でじゃれ合う。
「ゆううう、ちょうちょさんゆっくりしていってね!!」
「ここはまりさにまかせるんだぜ!!」
「ここはまりさにまかせるんだぜ!!」
まりさはそろーりそろーりと蝶々に迫っていき、十分に近づいたところで勢いよく跳びかかる。
蝶々はそれを予測していたかのようにひらりとかわし、ふわりふわりとまりさの頭上を舞い始めた。
蝶々はそれを予測していたかのようにひらりとかわし、ふわりふわりとまりさの頭上を舞い始めた。
「ゆうううううう」
「でもあとちょっとだったよ、やっぱりまりさはすごいんだよ!!」
「ゆっ、そ、そんなことないんだぜ、れいむこそ・・・・」
「ゆゆ?なにかいった?」
「なんでもないんだぜ!!それよりあっちにゆっくりできそうなところがあるんだぜ!!」
「ゆゆ!ほんとだ、おはなさんがいっぱいあるよ!!とってもゆっくりできそうなゆっくりぷれいすだね!!」
「ゆっくりぷれいすでむしさんやおはなさんをとって、いっぱいおうちにもってかえって、それで・・・」
「それで?」
「ゆっ・・・そ、それでいっぱいゆっくりできるんだぜ!!」
「ゆ!そうだね、おうちにごはんさんをもってかえって、いっぱいゆっくりしようね!!」
「ゆ、ゆん・・・」
「でもあとちょっとだったよ、やっぱりまりさはすごいんだよ!!」
「ゆっ、そ、そんなことないんだぜ、れいむこそ・・・・」
「ゆゆ?なにかいった?」
「なんでもないんだぜ!!それよりあっちにゆっくりできそうなところがあるんだぜ!!」
「ゆゆ!ほんとだ、おはなさんがいっぱいあるよ!!とってもゆっくりできそうなゆっくりぷれいすだね!!」
「ゆっくりぷれいすでむしさんやおはなさんをとって、いっぱいおうちにもってかえって、それで・・・」
「それで?」
「ゆっ・・・そ、それでいっぱいゆっくりできるんだぜ!!」
「ゆ!そうだね、おうちにごはんさんをもってかえって、いっぱいゆっくりしようね!!」
「ゆ、ゆん・・・」
まりさはその場に目を落とし、頭のとんがり帽子で顔を半分隠す。
「ゆ?どうしたの?」
まりさの行動を訝しむれいむは、黒いとんがり帽子のつばを口に咥えてふっと上にずらし、まりさの顔をまじまじと見る。
まりさはれいむの行動が気に入らなかったのか、ぷいっと目を逸らし、
片頬をぷくーっと膨らませてから、ぴょこんと横に飛び跳ねる。
まりさはれいむの行動が気に入らなかったのか、ぷいっと目を逸らし、
片頬をぷくーっと膨らませてから、ぴょこんと横に飛び跳ねる。
「なんでもないんだぜ!!はやくいくんだぜ!!」
「ゆ?ゆゆ、まりさ~~~」
「ゆ?ゆゆ、まりさ~~~」
全速力で駆けていくまりさの後ろ髪を見ながら、れいむも後をぴょんぴょんとついていく。
最初は開く一方だったまりさとれいむの距離も、ゆっくりぷれいすへ向かう間にだんだんと縮んでいった。
最初は開く一方だったまりさとれいむの距離も、ゆっくりぷれいすへ向かう間にだんだんと縮んでいった。
「ゆんしょ、ゆんしょ、ねぇまりさ」
「ゆっ、ゆっ、ゆ!?」
「ゆっ、ゆっ、ゆ!?」
イタズラ好きな精霊が踊り始め、突然まりさの帽子を奪い取ってしまった。
「ゆ!まりさのおぼうしさんをかえすんだぜ!!」
「ゆ?まりさは、どこにいったの??」
「ゆ?まりさは、どこにいったの??」
まりさの帽子は風に飛ばされて、まりさの真後ろへ転がっていく。
帽子を見失ったまりさはあたりをキョロキョロし、大事な帽子を必死に探し始める。
帽子を見失ったまりさはあたりをキョロキョロし、大事な帽子を必死に探し始める。
「ゆゆ、おぼうしさんどこにいったんだぜ?」
「まりさどこにいるの?」
「まりさどこにいるの?」
帽子が取れてしまったことで、れいむはまりさを認識することができなくなってしまった。
「まりさ?まりさ・・・まりさ、まりさーー」
2匹はそれぞれ別々の物を探す。
まりさは自ゆんの帽子を、
れいむは、目の前から突然いなくなったまりさを。
まりさは自ゆんの帽子を、
れいむは、目の前から突然いなくなったまりさを。
「まりさーーー!!」
「・・・ゆ!?」
「・・・ゆ!?」
れいむが後ろから呼んでいることに気がつき、まりさはふっと我に返る。
まりさは後ろを振り返らず、その場でれいむに返事をする。
まりさは後ろを振り返らず、その場でれいむに返事をする。
「ゆ、まりさはここにいるんだぜ、それよりおぼうしさん・・・」
「ゆ!まりさなの!?おかざりさんがないけど、まりさはまりさなんだね!!」
「ゆ!まりさなの!?おかざりさんがないけど、まりさはまりさなんだね!!」
れいむはすぐ近くに転がってきたまりさの帽子を咥え、後ろからまりさの頭にかぶせてあげた。
「ゆっ、おぼうしさん!!れいむ、ありがとうなんだぜ!!」
「ゆふふ、どういたしまして」
「ゆふふ、どういたしまして」
まりさはくるりと後ろを振り返り、れいむに明るい笑顔を見せる。
数十秒ぶりの再会ではあるものの、なんとなく長い間会っていなかったような錯覚を覚え、
れいむは、まりさの顔が見られたことを今まで以上に嬉しく感じた。
2匹はやがて、丘陵の一角に存在する野生のお花畑にたどり着いた。
数十秒ぶりの再会ではあるものの、なんとなく長い間会っていなかったような錯覚を覚え、
れいむは、まりさの顔が見られたことを今まで以上に嬉しく感じた。
2匹はやがて、丘陵の一角に存在する野生のお花畑にたどり着いた。
「ゆっ、ゆっ、ついたんだぜ」
「おはなさんはとってもゆっくりできるね!!」
「ゆん、そうだね!!・・・・そろーり、そろーり」
「おはなさんはとってもゆっくりできるね!!」
「ゆん、そうだね!!・・・・そろーり、そろーり」
まりさは帽子を見つけてくれたお礼に、れいむへ花飾りをプレゼントしてあげようと考えた。
近くに咲く白いナズナの花をプチリと摘み、れいむの頭に飾りつけてあげようとれいむに近づいていく。
近くに咲く白いナズナの花をプチリと摘み、れいむの頭に飾りつけてあげようとれいむに近づいていく。
「ゆ、まりさ?」
不意にまりさの頬がれいむの頬にあたる
「れいむ、ぷれぜんとなんだぜ!!」
「ゆっ・・・まりさ・・・」
「ゆん、とってもゆっくりしてるんだぜ!!」
「ゆ・・・・・・」
「それじゃあこれから、ごはんさんをいっぱいとってくるんだぜ!!」
「まりさ・・・・」
「ゆっ・・・まりさ・・・」
「ゆん、とってもゆっくりしてるんだぜ!!」
「ゆ・・・・・・」
「それじゃあこれから、ごはんさんをいっぱいとってくるんだぜ!!」
「まりさ・・・・」
狩りへ向かうまりさの後ろ姿を見送るれいむは、
まりさの姿が草の影に隠れたのを見計らって、その場で一つ小さなため息をついた。
想いは一緒、でも近づくとふわっとすれ違う。
そんなもやもやしたもどかしさを感じながら、
ゆっくりたちは春の日差しの中で、しあわせーなひと時を過ごしていく。
まりさの姿が草の影に隠れたのを見計らって、その場で一つ小さなため息をついた。
想いは一緒、でも近づくとふわっとすれ違う。
そんなもやもやしたもどかしさを感じながら、
ゆっくりたちは春の日差しの中で、しあわせーなひと時を過ごしていく。
花ごころ東風に吹かれて揺れ動き
思い合わさり実は稔りゆく
思い合わさり実は稔りゆく
さらに山桜の蕾は開き、多いもので八分咲きに至る。
春風が行き渡りミツバチや蝶々が飛び交うことで、草木はまんまと受粉に成功する。
春の恵みを存分に堪能するゆっくりたちの体は、だんだんとふっくらしていき、
個体によってはぷりぷりとした瓢箪型に変化していく。
ゆっくりたちの巣穴の中にも、栄養価の高い食料が程よく貯まっていく。
もうそろそろ頃合いであろう。
ゆっくりたちも何となく察しているようで、今まで以上につがい同士で密接に行動するようになる。
そんな中、まりさは一匹遠出の狩りで、陽の差す日向(ひなた)にヘビイチゴが稔っているのを発見した。
どこか異次元の世界にでも迷い込んでしまったのだろうか、
そう思えるほどに広がる鮮やかな紅色の花托(かたく)
まりさは本能的にゆっくりできると感じた。
これだけ大量のあまあまがあれば、お隣さんもいっしょにゆっくりすることができる。
それ以上に、最愛のれいむを存分にゆっくりさせてあげることができる。
春風が行き渡りミツバチや蝶々が飛び交うことで、草木はまんまと受粉に成功する。
春の恵みを存分に堪能するゆっくりたちの体は、だんだんとふっくらしていき、
個体によってはぷりぷりとした瓢箪型に変化していく。
ゆっくりたちの巣穴の中にも、栄養価の高い食料が程よく貯まっていく。
もうそろそろ頃合いであろう。
ゆっくりたちも何となく察しているようで、今まで以上につがい同士で密接に行動するようになる。
そんな中、まりさは一匹遠出の狩りで、陽の差す日向(ひなた)にヘビイチゴが稔っているのを発見した。
どこか異次元の世界にでも迷い込んでしまったのだろうか、
そう思えるほどに広がる鮮やかな紅色の花托(かたく)
まりさは本能的にゆっくりできると感じた。
これだけ大量のあまあまがあれば、お隣さんもいっしょにゆっくりすることができる。
それ以上に、最愛のれいむを存分にゆっくりさせてあげることができる。
「はやくおうちにかえるんだぜ」
まりさの頭上には、薄紅色の花と緑色の葉が織り交ざるほのかなピンク色の山桜、
そこからはらはらと舞い落ちる一枚の花びらが、まりさの帽子にペタリとくっつく。
地面に散ってしまった他の花びらは、今度は紅色のヘビイチゴとコラボレーションを始め、そこはかとなく妖艶な情景を作り出す。
しかしまりさはそんなこと気にしない。
今はとにかく、れいむと一緒にこの場所でゆっくりしたい。
そこからはらはらと舞い落ちる一枚の花びらが、まりさの帽子にペタリとくっつく。
地面に散ってしまった他の花びらは、今度は紅色のヘビイチゴとコラボレーションを始め、そこはかとなく妖艶な情景を作り出す。
しかしまりさはそんなこと気にしない。
今はとにかく、れいむと一緒にこの場所でゆっくりしたい。
「ゆんしょ、れいむ・・・」
れいむのことを頭に思い浮かべながら、まりさは急ぎ足で自ゆんの巣穴へと帰っていった。
春日向季節外れの蛇苺
異色の花托は毒となりなむ
異色の花托は毒となりなむ
「ゆ、まりさおかえり!!」
巣穴にたどり着くと、ふっくらと肉付いたれいむが優しくまりさを出迎えてくれた。
土でできた巣穴は、留守番のれいむが一生懸命掘り進めてくれたことで
冬籠りしていた頃に比べるとかなり広くなっている。
巣穴の奥にはゆっくりできる食料が豊富に貯蓄され、その横にナズナの花がちょこんと置かれている。
いろいろな物を収納しているにもかかわらず、巣の中はまだスペースが十分に空いており、
2匹ぽつんと巣穴の中にいると僅かに寂しさが漂ってくる。
土でできた巣穴は、留守番のれいむが一生懸命掘り進めてくれたことで
冬籠りしていた頃に比べるとかなり広くなっている。
巣穴の奥にはゆっくりできる食料が豊富に貯蓄され、その横にナズナの花がちょこんと置かれている。
いろいろな物を収納しているにもかかわらず、巣の中はまだスペースが十分に空いており、
2匹ぽつんと巣穴の中にいると僅かに寂しさが漂ってくる。
「ただいま!!それよりれいむ、すごいものをはっけんしたんだぜ!!」
「ゆ?」
「ゆ?」
あまりの威勢の良さに、れいむは目を皿にしてまりさを見つめる。
「とにかく、みんなをつれていっしょにいくんだぜ!!」
「ゆっ、わかったよ!!ところで、いったいなにがあったの?」
「それはついてのおたのしみ、なんだぜ」
「ゆっ、わかったよ!!ところで、いったいなにがあったの?」
「それはついてのおたのしみ、なんだぜ」
意味深なまりさの言葉にれいむはちょんと首をかしげたが、
黒い帽子についた桜の花びらを見て、なんとなくゆっくりできそうな雰囲気を感じ取り、
何も聞かずまりさについていくことにした。
まりさは近くに住むゆっくりを呼び集め、さっそく自ゆんの後についてくるよう告げた。
れいむと同じように、他のゆっくりもその場で首をかしげたが、
まりさの気迫に押されて何となく、何かを納得したような気分になった。
黒い帽子についた桜の花びらを見て、なんとなくゆっくりできそうな雰囲気を感じ取り、
何も聞かずまりさについていくことにした。
まりさは近くに住むゆっくりを呼び集め、さっそく自ゆんの後についてくるよう告げた。
れいむと同じように、他のゆっくりもその場で首をかしげたが、
まりさの気迫に押されて何となく、何かを納得したような気分になった。
やがてゆっくりたちは、まりさを先頭にして春の山をゆっくりと行進し始めた。
偶々、仲良しグループのゆっくりみょんはこの時、別の場所へ狩りに出かけていたので、
何かあった時の護衛役はまりさが兼任することになった。
足の遅いれいむを気遣い、休憩を挟みながらゆっくりゆっくりと歩む春の山道、ゆっくりたちは色々な物を発見した。
葉っぱをむしゃむしゃと食べるアオムシ、花の天辺へ向かって茎をよじ登るてんとう虫、道をまばらに横切る比較的大きな山蟻。
昆虫を食料にするゆっくりたちにとっては、そのどれもこれもが美味しそうに見えた。
小さな木の根元で、居眠りをするゆっくりめーりんを見かけた。
とても気持ちよさそうに眠っていたので、一同はそっとしておくことにした。
タンポポの花を見て、ゆっくりゆうかが微笑んでいるのを見かけた。
とても嬉しそうに眺めていたので、やはり一同はそっとしておくことにした。
道中には棘の生えた草もいくらかあり、目につきにくい棘がまりさのあんよや頬に何度か刺さった。
その度にまりさは「べつにたいしたことないんだぜ」と言って強がり、棘の無い道を後続のゆっくりたちに提供し続けた。
偶々、仲良しグループのゆっくりみょんはこの時、別の場所へ狩りに出かけていたので、
何かあった時の護衛役はまりさが兼任することになった。
足の遅いれいむを気遣い、休憩を挟みながらゆっくりゆっくりと歩む春の山道、ゆっくりたちは色々な物を発見した。
葉っぱをむしゃむしゃと食べるアオムシ、花の天辺へ向かって茎をよじ登るてんとう虫、道をまばらに横切る比較的大きな山蟻。
昆虫を食料にするゆっくりたちにとっては、そのどれもこれもが美味しそうに見えた。
小さな木の根元で、居眠りをするゆっくりめーりんを見かけた。
とても気持ちよさそうに眠っていたので、一同はそっとしておくことにした。
タンポポの花を見て、ゆっくりゆうかが微笑んでいるのを見かけた。
とても嬉しそうに眺めていたので、やはり一同はそっとしておくことにした。
道中には棘の生えた草もいくらかあり、目につきにくい棘がまりさのあんよや頬に何度か刺さった。
その度にまりさは「べつにたいしたことないんだぜ」と言って強がり、棘の無い道を後続のゆっくりたちに提供し続けた。
ようやくヘビイチゴのある場所にたどり着くと、一同は一斉に感嘆の声をあげた。
「ゆゆ!!」
「むきゅーーーー!!」
「とかいはだわ!!」
「わかるよーーーー!!」
「れいむ、こっちにきてほしいんだぜ!!」
「ゆ!?」
「むきゅーーーー!!」
「とかいはだわ!!」
「わかるよーーーー!!」
「れいむ、こっちにきてほしいんだぜ!!」
「ゆ!?」
まりさは一番近くにあるヘビイチゴのもとへ軽快に跳ねていき、赤いそれをプチリとむしり取る。
それからくるっと振り返り、口に咥えたヘビイチゴを後からついてくるれいむの前にポトリと落とすと、
頬を使ってそれをクイックイッとれいむの方へ軽く寄せた。
それからくるっと振り返り、口に咥えたヘビイチゴを後からついてくるれいむの前にポトリと落とすと、
頬を使ってそれをクイックイッとれいむの方へ軽く寄せた。
「ぷれぜんと・・・なんだぜ」
「ゆ、まりさ・・・・」
「むきゅーおあついこと!!」
「らぶらぶなんだねー、わかるよー」
「ゆ、まりさ・・・・」
「むきゅーおあついこと!!」
「らぶらぶなんだねー、わかるよー」
周りからちょっとした野次が入る。
「さいしょにれいむにたべてほしかったんだぜ!!」
「ゆ・・・ありがとうまりさ・・・・ゆっくりいただきます」
「ゆ・・・ありがとうまりさ・・・・ゆっくりいただきます」
れいむはザラザラした果実の感触を舌で味わった後、赤い花托を丸々口の中に放り込む。
それから何度か咀嚼し、それをゴクリと飲み込む。
飲み込んだ後に一呼吸おいてから、れいむは溢れんばかりの笑顔をまりさに見せた。
それから何度か咀嚼し、それをゴクリと飲み込む。
飲み込んだ後に一呼吸おいてから、れいむは溢れんばかりの笑顔をまりさに見せた。
「あまあまーーーれいむはとってもしあわせーだよ!!」
「ゆっ、そういってもらえるとまりさもしあわせーなんだぜ」
「ゆっ、そういってもらえるとまりさもしあわせーなんだぜ」
じつはヘビイチゴ、名前にイチゴがついているものの、甘さは全くない。
毒は入っていないものの、そのかわり味もほとんどない。
れいむは、ヘビイチゴを食べて甘いと言った。
だがそれは単にまりさからもらったものという、思い込みの甘さを味わっただけなのかもしれない。
そんなこととは露知らず、他のゆっくりたちもれいむの言葉を真に受けて、ヘビイチゴを収穫し始める。
一方まりさは訳あって、一匹だけその場を離れて何かを探し始める。
するとやがて、ふたまわりほど大きなヘビイチゴを発見するに至った。
まりさは、その大きな大きなヘビイチゴをれいむにプレゼントすることで、
待ちに待った、れいむとの子づくり宣言をするきっかけを作ろう、と目論んでいた。
ゆっくりしたれいむとの間にできる、とてもゆっくりしたおちびちゃん・・・
自ゆんの妄想の世界に入りかけたまりさは、ふと我に返る。
毒は入っていないものの、そのかわり味もほとんどない。
れいむは、ヘビイチゴを食べて甘いと言った。
だがそれは単にまりさからもらったものという、思い込みの甘さを味わっただけなのかもしれない。
そんなこととは露知らず、他のゆっくりたちもれいむの言葉を真に受けて、ヘビイチゴを収穫し始める。
一方まりさは訳あって、一匹だけその場を離れて何かを探し始める。
するとやがて、ふたまわりほど大きなヘビイチゴを発見するに至った。
まりさは、その大きな大きなヘビイチゴをれいむにプレゼントすることで、
待ちに待った、れいむとの子づくり宣言をするきっかけを作ろう、と目論んでいた。
ゆっくりしたれいむとの間にできる、とてもゆっくりしたおちびちゃん・・・
自ゆんの妄想の世界に入りかけたまりさは、ふと我に返る。
「ゆん、れいむのためにがんばるんだぜ!!」
まりさは意気揚々と大きなヘビイチゴに近づき、茎の部分を口に咥えて体を大きく左右に振リ始めた。
「ゆっ、ゆっ」
茎をゆさゆさと振る度に、ヘビイチゴは透明な露を払いながらゆらゆらと揺れる。
やがて唐突にプチっと音がしたかと思うと、ヘビイチゴは思わぬ方向へ飛んでいってしまった。
やがて唐突にプチっと音がしたかと思うと、ヘビイチゴは思わぬ方向へ飛んでいってしまった。
「ゆゆ、あまあまさんゆっくりするんだぜ!!」
子作り宣言のきっかけとなるはずのプレゼント、見失ってなるものかと、
まりさはコロコロと転がるヘビイチゴを全速力で追いかけ始める。
まりさはコロコロと転がるヘビイチゴを全速力で追いかけ始める。
「ゆっくりして・・・ゆぅう、まつっていったらまつんだぜ!!」
突然ヘビイチゴとまりさの追いかけっこが始まったのだが、
その他のゆっくりはそのことに全く気がつかない。
ありす、ぱちゅりー、ちぇんは黙々とヘビイチゴを収穫し続けていた。
れいむは、近くにカラスノエンドウが咲いているのを発見し、
緑色の実を束ねて、まりさにプレゼントするお飾りにしようと試行錯誤していた。
その他のゆっくりはそのことに全く気がつかない。
ありす、ぱちゅりー、ちぇんは黙々とヘビイチゴを収穫し続けていた。
れいむは、近くにカラスノエンドウが咲いているのを発見し、
緑色の実を束ねて、まりさにプレゼントするお飾りにしようと試行錯誤していた。
「まてええええええ」
地面は緩やかな下り坂になっていく。
ヘビイチゴの動きは止まるどころか、逆に少しずつ加速していく。
ただただ追いかけることに必死なまりさは、そのことに気がつかない。
やがて、まりさは緩やかな傾斜をコロコロと転がり始める。
ヘビイチゴの動きは止まるどころか、逆に少しずつ加速していく。
ただただ追いかけることに必死なまりさは、そのことに気がつかない。
やがて、まりさは緩やかな傾斜をコロコロと転がり始める。
「ゆっ、こーろこーろしたらはやくおいつけるんだぜ!!」
ヘビイチゴとまりさが共に斜面をコロコロと転がっていく。
最初は緩やかだった傾斜も次第に角度を増していく。
最初は緩やかだった傾斜も次第に角度を増していく。
「こーろ、こーろ、ゆっ、まつんだぜ!!」
まりさはヘビイチゴを追いかけるのに必死でブレーキをかけることなどまったく考えていない。
当然この先に何があるのかも想像していない。
ただひたすられいむとのしあわせーな日々を望み、
ヘビイチゴを追って斜面をどんどんと下っていく。
当然この先に何があるのかも想像していない。
ただひたすられいむとのしあわせーな日々を望み、
ヘビイチゴを追って斜面をどんどんと下っていく。
突然、山の斜面に冷たい風が吹きすさぶ。
「こ……ね」
「ゆゆ?」
「ゆゆ?」
斜面の下から声が聞こえたものの、まりさはそれが何の声なのか分からなかった。
もう一度その声を聞こうと、今度は意識を集中させる。
もう一度その声を聞こうと、今度は意識を集中させる。
「こぼねー」
「ゆ!!!」
「ゆ!!!」
確かにこぼねーという声が聞こえた。
まりさは本能的にゆっくりできない声だと感じた。
やがてまりさは斜面下にいるゆっくりゆゆこの姿を目撃した。
まりさは本能的にゆっくりできない声だと感じた。
やがてまりさは斜面下にいるゆっくりゆゆこの姿を目撃した。
「ゆ!?ゆゆこ!!!」
ゆゆこの姿をはっきりと確認した瞬間、ゆっくりできない感覚がまりさの全身を襲った。
「どぼじでゆゆこがいるのぉおおおおおおお」
斜面の下には全長1mほどのゆゆこが、口をパクパクさせながら待ち構えている。
「こぼねーこぼねー」
ゆゆこはゆっくりたちの間では「しをあやつるもの」として知られている。
ゆっくりたちにとって、ゆゆこに捕まるということは即ち、
永遠にゆっくりすることを意味する。
ゆっくりたちにとって、ゆゆこに捕まるということは即ち、
永遠にゆっくりすることを意味する。
「ゆぁ、ゆっ、ゆぐっ」
まりさは必死に斜面に留まろうとあんよに力を入れる。
無情にもまりさの体はごろごろと転がり続ける。
深々とかぶっていたまりさの帽子がポロッと外れる。
無情にもまりさの体はごろごろと転がり続ける。
深々とかぶっていたまりさの帽子がポロッと外れる。
「ゆぐっ・・・れいむ・・・れいむ!!れいむぅうううううう!!」
ゆっくりしたいという本能からか、まりさはゆっくりできるれいむの名前を無意識に連呼し始めた。
「れいむ、れいむ!!ゆぐっ、れいむぅううゆぐっ、れいむぅ!!れいむ!!!!!」
グルグルとまわり続ける世界の中で、今度はゆっくりできるれいむの姿を探し始める。
「れいむ!!どこ!!!ゆぐっ、ゆっくりしないででてきてほしいんだぜ!!」
れいむは赤いお飾りを頭につけているはず、一目見れば分かるはず。
まりさはれいむのお飾りを必死に探す。
緑の草や青い空、紅いあまあまの実と黒い帽子が見えるものの、赤いお飾りはどこにも見当たらない。
れいむは・・・いない
どれだけ探しても、どこにもれいむはいない。
もしかしたら、れいむは頭のお飾りが外れてしまったのかもしれない。
まりさは、今度はれいむの声を探し始める。
まりさはれいむのお飾りを必死に探す。
緑の草や青い空、紅いあまあまの実と黒い帽子が見えるものの、赤いお飾りはどこにも見当たらない。
れいむは・・・いない
どれだけ探しても、どこにもれいむはいない。
もしかしたら、れいむは頭のお飾りが外れてしまったのかもしれない。
まりさは、今度はれいむの声を探し始める。
「れいむぅううううおへんじするんだぜ!!ゆぐっ、れいむぅううううううう・・・ゆっ、れいむ!?」
まりさは一瞬、れいむの声を聞いたような気がした。
だが依然として、れいむの姿は見当たらない。
視界にはグルグル回る青と緑の世界と、時々見えるゆゆこの姿。
ぜんぜん、ゆっくりできない
だが依然として、れいむの姿は見当たらない。
視界にはグルグル回る青と緑の世界と、時々見えるゆゆこの姿。
ぜんぜん、ゆっくりできない
「れいむ・・・」
灯籠を駆け巡る馬のように
れいむとの思い出が次々と甦り、まりさの頭の中を全速力で走りまわる
れいむとの思い出が次々と甦り、まりさの頭の中を全速力で走りまわる
冬の間、食べるものが少ないから自ゆんの食べる分をれいむに分けてあげたら、
今度はれいむが自ゆんの食べる分を分けてくれて、とてもゆっくりできたこと
れいむといっしょに巣穴の中で寒い寒い思いをして、
冷えた体を温めるために頬を寄せあったとき、れいむの頬の柔らかい感触を心地よく感じたこと
ようやく春がきて、巣穴から出た後に一緒にとてもゆっくりできる挨拶をしたこと
帽子を失くしてゆっくりできなかった時に、後ろから帽子をかぶせてもらってゆっくりできたこと
そのお礼に、れいむの頭にきれいな花飾りをつけてあげたこと
1日の狩りでイモムシをいっぱい持って帰ったら、れいむにとっても褒められたこと
いっしょに巣穴を広げる作業をしている間、ゆっくりできるおちびちゃんの話をしたこと
発見したあまあまの実を、れいむに一番にプレゼントしてあげたこと
れいむとのいっぱいいっぱいの思い出
とっても、とっても、ゆっくりできるたくさんの思い出
ゆゆこに捕まってしまったら、それが全部消えてしまう
れいむと自ゆんを繋げる、大事な大事な思い出が
永遠にゆっくりしてしまう
それは、ぜんぜんゆっくりできない
今度はれいむが自ゆんの食べる分を分けてくれて、とてもゆっくりできたこと
れいむといっしょに巣穴の中で寒い寒い思いをして、
冷えた体を温めるために頬を寄せあったとき、れいむの頬の柔らかい感触を心地よく感じたこと
ようやく春がきて、巣穴から出た後に一緒にとてもゆっくりできる挨拶をしたこと
帽子を失くしてゆっくりできなかった時に、後ろから帽子をかぶせてもらってゆっくりできたこと
そのお礼に、れいむの頭にきれいな花飾りをつけてあげたこと
1日の狩りでイモムシをいっぱい持って帰ったら、れいむにとっても褒められたこと
いっしょに巣穴を広げる作業をしている間、ゆっくりできるおちびちゃんの話をしたこと
発見したあまあまの実を、れいむに一番にプレゼントしてあげたこと
れいむとのいっぱいいっぱいの思い出
とっても、とっても、ゆっくりできるたくさんの思い出
ゆゆこに捕まってしまったら、それが全部消えてしまう
れいむと自ゆんを繋げる、大事な大事な思い出が
永遠にゆっくりしてしまう
それは、ぜんぜんゆっくりできない
まりさの目から涙があふれてきた
「れ゛いむ!!ゆぐっ、れ゛いむ゛ぅう゛う゛う゛う゛う゛!!!」
斜面を転がりながら全身全霊を込めてれいむの名前を叫ぶ。
零れ落ちる涙が甘い露となり、斜面の草に飛び散る。
斜面を転がる度に、命の灯をつなぐ生命の蝋が失われていく。
頭の中の灯籠に映るたくさんの思い出が、ゆらゆらと揺れて時折かすむ。
やがて斜面を先行していたヘビイチゴが、ゆゆこの口の中へと吸い込まれていく。
プレゼントの予定だったヘビイチゴが消え去ってしまった。
それでもゆゆこは顔色一つ変えず、こぼねこぼねと言いながらその場で口をパクパクさせている。
運命の瞬間が刻々とまりさの身に迫っていく。
零れ落ちる涙が甘い露となり、斜面の草に飛び散る。
斜面を転がる度に、命の灯をつなぐ生命の蝋が失われていく。
頭の中の灯籠に映るたくさんの思い出が、ゆらゆらと揺れて時折かすむ。
やがて斜面を先行していたヘビイチゴが、ゆゆこの口の中へと吸い込まれていく。
プレゼントの予定だったヘビイチゴが消え去ってしまった。
それでもゆゆこは顔色一つ変えず、こぼねこぼねと言いながらその場で口をパクパクさせている。
運命の瞬間が刻々とまりさの身に迫っていく。
「い゛やじゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
「こぼねー」
「ゆ゛あ゛あ゛ゆぐっ、ゆ゛あ゛あ゛・・・あ゛あ゛あああああ・・・・・・・ゆ・・・・・・ゆゆ?」
「こぼねー」
「ゆ゛あ゛あ゛ゆぐっ、ゆ゛あ゛あ゛・・・あ゛あ゛あああああ・・・・・・・ゆ・・・・・・ゆゆ?」
幸いにもまりさは、背丈の高い草の群に引っかかってスピードが落ち、ゆゆこのもとに到達する前に止まることができた。
「こぼねー、こぼねー、こぼねー」
まるでおあずけを喰らった犬のよう、ゆゆこは悲哀の目でまりさを見つめながら、こぼねーこぼねーと繰り返す。
「ゆゆ、たすかった・・・たすかったんだぜ!!たすかったんだぜ!!!!」
まりさは、心の奥底からとめどなく湧いてくる喜びの感情を、叫び声として発散し始めた。
ゆゆこは、体をぷるぷると震わせながら口元をひくひくさせ、涙をこらえるような仕草を見せる。
ゆゆこは、体をぷるぷると震わせながら口元をひくひくさせ、涙をこらえるような仕草を見せる。
「こぼねーこぼねー……!?」
ふわりと風が吹き、淡いピンク色の花びらがゆゆこの目前をひらひらと舞う。
「こぼねー!!」
突然、ゆゆこの中の何かが切り替わった。
ゆゆこはその場で笑顔を浮かべながら、花びらのルーツを探し始める。
地面には何枚もの桜の花びら、数枚の赤茶色の葉っぱ、まりさの黒い帽子
視線を徐々に上げていくと、斜面には帽子のない傷だらけのまりさ
斜面の上には、ぷっくりとした瓢箪型のれいむ
その頭上には、毅然として立つ山桜の木
弱々しくも優雅に咲き誇る桜の花
そこからひらりと舞い落ちる桜の花びら
ゆゆこはスッと目を瞑り、落ち着いた面持ちで歌を歌い始めた
ゆゆこはその場で笑顔を浮かべながら、花びらのルーツを探し始める。
地面には何枚もの桜の花びら、数枚の赤茶色の葉っぱ、まりさの黒い帽子
視線を徐々に上げていくと、斜面には帽子のない傷だらけのまりさ
斜面の上には、ぷっくりとした瓢箪型のれいむ
その頭上には、毅然として立つ山桜の木
弱々しくも優雅に咲き誇る桜の花
そこからひらりと舞い落ちる桜の花びら
ゆゆこはスッと目を瞑り、落ち着いた面持ちで歌を歌い始めた
「ひさかたのー あまあまふりなば やまざくらー
とぶにおよばずー はなの~ちるらんー ……こぼねー」
とぶにおよばずー はなの~ちるらんー ……こぼねー」
久方の 雨々降りなば 山桜
十分に及ばず 花の散るらむ
十分に及ばず 花の散るらむ
歌い終えると、ゆゆこはパチリと目を開いた。
「まりさぁああああああ!!」
「れいむ!?」
「れいむ!?」
まりさの声を聞きとったのか、はたまた偶然なのか、斜面の上にはれいむの姿があった。
口に咥えて持ってきたのであろうエンドウのお飾りが、れいむの足元にポトリと落ちる。
れいむは、斜面の草陰にいる帽子のないゆっくりを見て、まりさとは認識できなかったものの、
声の感じから、それがまりさなのだと察することができた。
口に咥えて持ってきたのであろうエンドウのお飾りが、れいむの足元にポトリと落ちる。
れいむは、斜面の草陰にいる帽子のないゆっくりを見て、まりさとは認識できなかったものの、
声の感じから、それがまりさなのだと察することができた。
「ゆっ、れいむ!!いまそっちに・・・ゆ?!」
「ゆっ、まりさ、あぶないよ!!そっちにはゆゆこがいるよ!!」
「ゆっ、まりさ、あぶないよ!!そっちにはゆゆこがいるよ!!」
突然、ゆゆこがその場で大きく息を吸い込み始めた。
花びらやまりさの帽子がゆゆこの口の中に吸い込まれていく。
まりさの周りに生える草がガサガサとなびき始める。
花びらやまりさの帽子がゆゆこの口の中に吸い込まれていく。
まりさの周りに生える草がガサガサとなびき始める。
「ゆっ、ゆっ、ど・・・ぢで」
「まりさ、そっ・・・っちゃだめ・・・はやくこっ・・・ってきてね」
「まりさ、そっ・・・っちゃだめ・・・はやくこっ・・・ってきてね」
吸気の音が2匹の会話を途切れさせる。
「あ・・が、かってに・・・ど、どぼぢでぇ・・・・」
「まりさ!!だめ・・よまり・・・・ああ!!ぞっぢは、ばでぃざぁ・・・・あ゛あ゛あ゛」
「れ・・・む!!れいむ!!れい・・・ゆああゆぐっ・・・あああああ」
「まりさ!!だめ・・よまり・・・・ああ!!ぞっぢは、ばでぃざぁ・・・・あ゛あ゛あ゛」
「れ・・・む!!れいむ!!れい・・・ゆああゆぐっ・・・あああああ」
まりさは、ひたすられいむの声がする方へ向かおうとする。
まりさの体は、確実にゆゆこのもとへ引き寄せられていく。
れいむには、その理由が分からない。
ただただ、泣くことしかできない。
まりさの体は、確実にゆゆこのもとへ引き寄せられていく。
れいむには、その理由が分からない。
ただただ、泣くことしかできない。
「ばでぃざ!!ば・・・ざぁあ゛あ゛あ゛あ゛・・・・ばでぃざぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
れいむの泣き声を聞いて、まりさはいてもたってもいられなくなる。
「れいむ・・・・れいむ・・・・・ゆぐっ・・れ・・む、れいむ・・む!!れいむ!!!」
「ばでぃざ・・・いでね!!れ゛・・・の゛お・・・・には」
「ゆっ・・れいむ・・・ゆあああぶぁ・・・・」
「じ・・は・・・の゛お゛な゛が・・・ばでぃ・・・の・・・・・んが・・・・」
「ゆ!?」
「ばでぃざ・・・いでね!!れ゛・・・の゛お・・・・には」
「ゆっ・・れいむ・・・ゆあああぶぁ・・・・」
「じ・・は・・・の゛お゛な゛が・・・ばでぃ・・・の・・・・・んが・・・・」
「ゆ!?」
一瞬だけ、風の音が止む
「れ゛いむ゛のお゛ながに゛ばでぃざのあ゛がぢゃんがいる゛みだいな゛の゛!!」
「・・・・・・!?」
「・・・・・・!?」
はっきりと、まりさはれいむの声を聞くことができた。
なにを言えばいいのか分からず、まりさはとっさに返事をすることができなかった。
なにを言えばいいのか分からず、まりさはとっさに返事をすることができなかった。
「おちび・・・ちゃん・・・・」
まりさは何日か前の夜、れいむと寄り添いながら眠っている間、
とてもゆっくりできる感覚と共に、待望のおちびちゃんを授かる夢を見た。
いや、ひょっとするとその時に・・・
とてもゆっくりできる感覚と共に、待望のおちびちゃんを授かる夢を見た。
いや、ひょっとするとその時に・・・
おちびちゃん・・・・
かわいいおちびちゃん、とってもゆっくりできる、
とってもゆっくりしたおちびちゃん
はやくおうちにかえって、みんなでいっしょにゆっくりするんだぜ!!
ゆっくり、ゆっくり、ゆっく・・・ゆ?
れいむ?
どうして・・・どうしておちびちゃんのおかおがれいむに・・・??
みおぼえのあるれいむのおかお・・・ゆっくりできるれいむのおかお・・・・
にっこりとしたれいむのおかお・・・とってもゆっくりできるれいむのえがお・・・
そうだったんだぜ、まりさにとっておちびちゃんはゆっくりできるけど
まりさがいちばんゆっくりできるのは
れいむのえがおなんだぜ
かわいいおちびちゃん、とってもゆっくりできる、
とってもゆっくりしたおちびちゃん
はやくおうちにかえって、みんなでいっしょにゆっくりするんだぜ!!
ゆっくり、ゆっくり、ゆっく・・・ゆ?
れいむ?
どうして・・・どうしておちびちゃんのおかおがれいむに・・・??
みおぼえのあるれいむのおかお・・・ゆっくりできるれいむのおかお・・・・
にっこりとしたれいむのおかお・・・とってもゆっくりできるれいむのえがお・・・
そうだったんだぜ、まりさにとっておちびちゃんはゆっくりできるけど
まりさがいちばんゆっくりできるのは
れいむのえがおなんだぜ
「れいむ!!」
ぐるぐる回る視界の中で、遠くぼやけたれいむの赤い色が映ると、
とてもゆっくりできる感覚が、まりさの頭の中にピリピリと伝わった。
自然とまりさの顔から、微笑みがこぼれた。
すると、まりさの世界はみるみるうちにぼやけていき、
れいむの赤色も見えない、滲んだ世界しか見えなくなった。
目の辺りに温かいものが広がるのを感じた後、
やがてその滲んだ世界も曖昧になっていき、
ピンク色の世界がほんの一瞬だけ、まりさの目に映り込む。
それから、まりさの視界は真っ白になった。
とてもゆっくりできる感覚が、まりさの頭の中にピリピリと伝わった。
自然とまりさの顔から、微笑みがこぼれた。
すると、まりさの世界はみるみるうちにぼやけていき、
れいむの赤色も見えない、滲んだ世界しか見えなくなった。
目の辺りに温かいものが広がるのを感じた後、
やがてその滲んだ世界も曖昧になっていき、
ピンク色の世界がほんの一瞬だけ、まりさの目に映り込む。
それから、まりさの視界は真っ白になった。
まりさは無になった
いや、違う
まりさは散ってしまった
春風に遊ばれる花びらのように
茫然とするれいむの周りに数匹のゆっくりが集まっていく様子を遠目で確認すると、
ゆゆこは朗らかな表情でうとうとし始める。
春風のいたずらでピンク色の髪が散り散りになびく、
それはまるで、永遠に続く桜吹雪のよう。
一刻の幽雅に身を任せて、ゆゆこはすやすやと眠りについた。
ゆゆこは朗らかな表情でうとうとし始める。
春風のいたずらでピンク色の髪が散り散りになびく、
それはまるで、永遠に続く桜吹雪のよう。
一刻の幽雅に身を任せて、ゆゆこはすやすやと眠りについた。
一般的に桜は、儚く散り逝く一瞬の生命を象徴していると言われる。
一方で山桜は、まばらに咲くことでより長く楽しむことができる。
果たして桜の性質としては、どちらがより本質に近いものなのだろう……
それは、
どちらとは言えない
どちらとも、それぞれの本質なのだから
一方で山桜は、まばらに咲くことでより長く楽しむことができる。
果たして桜の性質としては、どちらがより本質に近いものなのだろう……
それは、
どちらとは言えない
どちらとも、それぞれの本質なのだから
舞い落ちる桜の花はわびしくも
やがて実生うと思えばいみじ
やがて実生うと思えばいみじ
とぼけているように見えて案外ゆっくりゆゆこは、そのゆん生を存分に楽しんでいるのかもしれない
鉄籠あき過去の作品
ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
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http://www26.atwiki.jp/ankoss/pages/1213.html