ニセモノの錬金術師

登録日:2025/05/26 (月曜日) 23:05:00
更新日:2025/07/09 Wed 01:51:55
所要時間:約 35 分で利益出ちゃう!




とある世界で、錬金術師として生きようとする、ひとりの人間がおりました。

『だんなさま――どうか助けてください』

異世界に転生した青年、
パラケルススがであったのは、
奴隷として売りに出された女性ノラだった。

これは、
あるひとりの錬金術師が、
異世界でがんばるお話。



『ニセモノの錬金術師』は作画:うめ丸 原作:杉浦次郎の漫画作品。


あらすじ

転生者である新人錬金術師のパラケルススは書かれた手順通りに作れば誰でも完璧なものができるチート・スキル「天地万物のレシピ」を活用しながら生活していた。
しかし高額商品の材料を仕入れる資金はなく、目立つことも避けていたのでなかなか儲からず、忙しいばかりの日々。
人を雇うにもスキルの事は隠しておきたかったため、罪悪感を抱きながらも呪術契約によって秘密が漏れない奴隷購入を決め、そこでノラとボロボロのエルフに出会う。
これは錬金術を生業とする転生者が、とある女性と出会い、異世界でがんばる話。


概要

原作はロボット人妻は感情がある僕の妻は感情がない』の杉浦次郎で、当初のタイトルは「異世界でがんばる話」。
冴えない青年が交通事故死後に神様から特別なスキルを2つ貰い、転生先の異世界でそれを活かすいわゆる異世界転生モノ

本作は元々杉浦氏が2020年から2021年末にかけてX(旧Twitter)のアカウント、ニコニコ静画、pixiv等に投稿していたもの。
全82話+おまけ漫画5話。
「落書き」「ラフ版」と本人が言うように、ざざっと線描きした絵で構成されているものの、ストーリー自体はこの時点で完成されている。


開始時点のタイトル通りに、
トラックにはねられた主人公がチートスキル付きで異世界に転生してがんばっていく……
という導入なのだが、てっきりカワイイ女の子の奴隷と一緒にエルフさんを治療する、クラフト系ほのぼのスローライフが続く……と思いきや、ジョジョや『HUNTER×HUNTER』、『呪術廻戦』のような能力頭脳バトル漫画へと舵を切る。
  • やたらしっかりした錬金術や呪術の理論など設定の練り込み具合
  • 一度戦闘シーンに入れば敵も味方も容赦なく手足がもげ、目が潰れ、首がふっ飛ばされる強烈なバイオレンス描写
  • 錬金術、呪術、チートスキルを駆使した「場の読み合い」を中心とする思考戦と肉弾戦
といった要素もそれっぽさを加速させている。邪悪に笑ったときの顔の描き込み具合や線の粗さが似ているという意味ではない。

その後も思いもよらぬ展開を異様な速度で更新し続けた結果、寝不足になったとの声もあがっている。
なんなら、初手の時点でカワイイ女の子の奴隷が助けてくれた主人公に惚れていくのではなく、主人公が童貞を奪われてスパダリ系奴隷に助けられて惚れている。
頭のネジが外れた覚悟ガンギマリな登場人物が多いが、出てくる女の子はみんな無茶苦茶強い。


上述の通りネーム同様の状態でありながら、次にくるマンガ大賞2022年のweb漫画部門にて12位にランクイン。同大賞コミックス部門6位の『僕の妻は感情がない』とダブルノミネートとなった。
2023年6月より、うめ丸氏の作画によってComicWalkerにて商業連載が開始された。

商業版は帯の「異世界の全てがある」の触れ込み通りにRenta!マンガ大賞2024異世界要素コンプリート賞を受賞している。

原作者付き異世界物の作品であるためか、「原作」をなろう系小説作品と勘違いした検索サジェストも見られるが、先述のように原作はWeb漫画。
現在も作者のpixivやニコニコ静画、Kindleの無料配信で最後まで見ることができ、
続編として『第二部 呪術師たち』および『第二部 偉大なる、偉大なる、偉大なる者』、『第百部 スカイファイア』第3〜99部は無い
同一世界の外伝作品『神引きのモナーク』などの短編を現在更新し続けている。


なお前述のpixivはじめWeb投稿版(以下、原作)では女性キャラの乳首はしっかり描かれているのに対し、全年齢向けリメイクのComicWalker版(以下、商業版)ではうまい具合に隠されてギリギリ見えないように工夫している。
あと原作だと場面によって様々な男性キャラがコロコロコミック的作画でチンコがモロ出しになるが、さすがにこっちも同様に影や葉っぱで規制が入って見えない処理がされている。


【注意】現在連載中の商業版について多少はネタバレになる記述があってもご容赦ください。

登場人物

パラケルススたち

  • パラケルスス・サコガシラ
主人公。
パラケルススの名前はこの世界に転生し、初めて他人と会った際に咄嗟に名乗ったもの。読者からの愛称は「パラくん*1」。
異世界とはいえ、勢いで実在する中世ヨーロッパの超大物の名前を借りてしまった点は一種の黒歴史になっており、恥ずかしさで名乗るのが苦手。原作ではトトリがノラに紹介する形でボロクソに言われながら名前が判明するという、主人公にあるまじき様。
ついでに苗字についても判明したのはストーリーの後半。おそらく生前の名字が「サコガシラ」と思われる。*2

とてつもないお人好しであり、ボロボロの状態だったココを見かねて8万ゼニーで購入。その処置を手伝ったノラに対し発生した利益が2万5000ゼニーだったほど。
ノラの取り分は利益の3%なので元は約83万ゼニーとなる。つまり8万円で引き取った相手を1日毎に10倍の80万円の人件費をかけて処置する篤志家である。
たった一度ノラと関係を持っただけで200万ゼニーの利益(原価ではなく3%である)を発生させる。つまり女性経験のないお前ら
この時点でノラは2回半自由になれるのだが、これほど稼げる仕事はないという彼女の「得」と希望を優先させ、
自身もそれほどの「価値」を感じられる相手といられるのは何よりも幸運だからとノラの忠告は全く聞かず奴隷契約を解除せずに一緒に暮らすことを決める。完全に風俗にはまった男
出ちゃう!利益出ちゃうから!>


友人・取引先商人、さらにまともに人権の無い奴隷であっても他人には丁寧かつ大切に接するのに対し、自己評価はとても低い上に命を捨てることを一切顧みず、
また奴隷がいるにも関わらず危険な作業や肉体労働すべてを自分1人でやってしまおう(=周囲の人に何かあったら大変だから)とする卑下具合にノラはかなり心配している。
戦闘による負傷でほとんど見えなくなっていたからといって、成功の保証があるならばとスライムのショゴスを救うために右目を躊躇なく差し出して一体化したほど。
しかし、ノラやダリアといった大切な家族を守るため、そして師匠を越えるためにだんだんと自信を取り戻していく。

スキル自体はまったく戦闘向きでないのに加えて性格も基本的に荒事には向かないが、機転は利く方で戦闘用スキルではない『天地万物のレシピ』を使って水蒸気爆発でゾンビを蹴散らし、
対話不能と見做せば敵対する相手の生皮も容赦なく剥ぎ取る。
あと爆弾が好き。いわく、爆弾が爆発してなにもかもめちゃくちゃにするところを想像するとスカっとして気持ちいいとのこと。爆弾魔に気をつけろ

ちなみにレシピ召喚するときに気合が必要なので必ず「むんっ」と言う。

画面内での見た目の都合で原作47話より短い黒髪と引き締まった筋肉を持つデザインに変更。商業版でもこのビジュアルが1話から使われている。

レシピが万能すぎてそれに頼るあまり「何でもできる」と増長していた時期があり、そのときに起きたカワヤ山での辛い経験に加えて、
師匠のサン・ジェルマンから破門された際の出来事がトラウマとなって異様な自己低評価に繋がっている。
上の文で「だんだんと自信を取り戻していく」とは表現したものの低評価する部分は完全に払拭されないまま残り、かなり後になってマズイ事態を引き起こす。



  • ノラ・ペタン
ヒロイン というかぶっちゃけもう一人の主人公。
パラケルススが購入した奴隷。東方の小国に住む呪術師・ペタン一族の少女。褐色でソバカス顔の三白眼名前の通り貧乳。
奴隷ではあるが、とてもそうとは思えない肝っ玉の据わり方とふてぶてしさで今を生きるリアリスト。そしてお金儲けが大好き。
舞台となるオリハルコニア国的にはあまり美人判定されないらしい。
また、表に出さないだけで情に厚く優しい性格。パラケルススの性格が女に甘いものと気づけばそれとなく忠告する。全然聴いてないんですけどね

「奴隷」と言っても自宅で寝床を用意すれば食費だけで半永久的に雇用できる関係ではなく、
1.1日の基本給は、奴隷が働いたことで得た利益の3%。
2.80万ゼニーを支払うことで自由市民の権利を得られる。
という契約が呪術でパラケルススと結ばれている。
この利益による報酬は雇用主の心で決まってウソがつけず、各奴隷が所有する報酬帳に自動記載される。あと奴隷側は利益発生の度に主人の感謝の気持ちでキモチヨクなる

一人称は自分の名前の「ノラ」だが本来は「私」。これは「主人よりバカな振る舞いをした方が気に入られて、早くに解放される」と奴隷商の主人に言われたため。
別の国から奴隷となったのでオリハルコニアの文字は読めず、当初は文字を学ぶことを考えていたが、こちらも「本を読むようなことがあっても、主人に毎回読んでもらうようねだれば喜んで応じてくれるだろうから、たとえ覚えても知らないフリをしろ」と言われている。
が、パラくんが無害の良い人だとわかるとだんだんそれも無くなり素に戻った。

かくしてエッチな服で「どんな本を読んでるんですか」とパラケルススに迫った結果、一晩で200万ゼニーの利益が出ちゃって立場が逆転である。
以来、毎晩利益を出して報酬帳は見たことない額に、パラケルススがノラさんのことを書いたラブレター未来から戻った自分に宛てた手紙はその厚さから封筒がパンパンとなる。
しかし一方的に搾取してるわけではなく、直接好意を口には出さないものの、内面では損得抜きにパラケルススにベタ惚れである。そりゃもうデレデレデレデレデレくらいに。
いわく「だんなさまの自己評価が激低いうちに私のことを世界で一番大好きにさせる!その後で自信を付けさせる!!そうすればだんなさまも『力』も私のモノ…」
自分は既にだんなさまが世界で一番大好きなんですね

その後は完全に尻に敷いて力関係が逆転している*4


優れた呪術の才能を持ち、やはり呪術師であったノラの父は魂だけとなった状態で奴隷の身に落とされていた彼女の元にたどり着くと呪術の基礎を伝授。そのたった一度の教育で応用を見せたため父を驚かせたほど。
呪術は恐れる人が多いので、奴隷商の主からも黙っておいた方がノラのためになると言われ、知られることも不安に思っていたが、『秘密』を教えられた事をパラケルススは喜んでいる。ノラのほうが気味悪く思うほどに
筋力自体は年相応なものの、ここに呪力や憑依した父親の力を併用すると腕力や脚力が跳ね上がる。
本来の髪は短いのだが、父親の霊体が髪に居ついているあいだはその影響で長髪になっている。

呪いの基礎は挨拶、約束、もてなし、性行為等の縁を結ぶことでなされ、相手が「呪われても仕方がない」という禁忌を覚えることで発揮されるドンブラ式呪術。そのため呪術師はアイサツ挨拶を欠かさないらしい。
縁のある者を不幸にすることができる能力であるため、ノラが父から呪術師が最初に行うことと教えを受け使用した呪術は、自らを対象にした「自分の欲望のために呪術を使わない。その時は死ぬ」というもの。
人が人を呪うことをやめられなくても、少しでもよくありたいという願いがこめられたこの呪術をノラは愛している。

かつては弟や妹もいたようだが、現在どのような境遇になっているかは不明。
杉浦氏曰く、故郷や奴隷になった経緯は面白くまとめる構想ができていないので特に過去編を作る気は無いらしい。



  • ココ(ココモチ)
エルフの奴隷。
実際の名前はわからず、『ココ』という名前はノラの故郷で「可愛い赤ちゃん」を意味する『ココモチ』から採られたもの。
四肢のみならず眼球、鼓膜、乳房、全ての歯、舌が欠損と、どっかの少年侍みたいな状況に加えて全身に火傷の跡がある上に再生を阻害する呪いまでもがかけられている。
唯一無事と言えるのは性処理に使わせる事が可能な下半身くらいのものだが、性行為に『悦び』を見出す感情すら呪いで抑制されている。
他にも呪いによって『眠り』はおろか『発狂』にまで制約を受けているが、これらは『恨み』の類ではなく『慈しみ』『愛情』によってかけられている。
100年以上の長きに渡ってこの状態で半ば放置されてきた。
ここまで内側から鎖でがんじがらめにされているが「怒りの感情」は封印されていなかったため、敵の怒りに反応して無意識に攻撃することがある。

ノラの解呪とパラケルススの献身的な治療によって、美少女エルフの姿を取り戻す
……と多くの読者が思ってたのに、何故か髪の毛オバケと化してアレウスを貪り食ったのを皮切りにノラさんの乗り物と化す。エルフとは……?
その後も髪の毛を動かして移動する奇妙な姿が物語中で散見され、気色悪い姿に変貌して駆けつけることもある。


  • ダリア
パラケルススが吸い込まれた鏡の世界で出会った少女。当初はメカクレだったが、中盤から髪を結うようになった。
ものすごく勉強熱心で、独学で術式の勉強をした結果、他の錬金術師や呪術師では到達できないような高度な術式を次々に生み出す努力の天才。
魔術書や術式についてもパラくんに教えるほど。ただし独学故に基礎と加減を知らない。
戦闘面では体内に埋め込まれた術式を使って戦うことができるパワータイプのマッスルメイジ
術式と肉体攻撃の組み合わせかたが上手く、街の道場からスカウトの声がかかるほど。

鏡の世界でパラくんに助けられ行動を共にしたことで好きになり、同時に勇敢かつ頭の良いノラにも尊敬の念を向けている。
親を知らずに育った影響で、この2人は彼女にとって理想のお父さんとお母さんに相当し、終盤からは実際そう呼んでいる。




  • ウル・ペタン
ノラが奴隷に身を落とす前に亡くなった父親。
現在はオオカミのような霊体の姿でノラの使い魔として彼女の髪の毛に宿った、いわば地縛霊的存在。
祖国では最上級の呪術師であり、その実力は舞台の国の1級呪術師を越えるほど。
しかし本作ほぼ唯一きっての常識人枠。
ノラに「父さんもダンナ様とまぐわえばいいのよ」と提案されてはうろたえ、アレウス対策として「父さんが私の身体でまぐわうことができなければ貴方の娘は死ぬことになる」と、
娘の身体で性的奉仕をしろと娘の命を人質に娘から脅迫される羽目になる。
なお、ノラさん本人よりもパパが入ってたほうがエッチでカワイイと専らの評判。

ノラが幽体離脱で肉体を離れることで、代わりに父親が肉体の操作主導権を受け取ることができる。ノラの皮膚など彼女の体組織でできたものに憑依しても同様に操作可能。
(まぁ年頃の女の子を演じるのは厳しいので口調とかがガバガバになるが)
娘のためならどんな相手であっても果敢に受けて立つ良き父親の鑑。


  • 家の裏庭にいる精霊様
パラケルスス邸に住まう精霊。
現代日本人的価値観であまりにも不用心極まりない*6主人にいら立ったノラが呪術で呼び出した精霊。
人間と同じくらいの大きさの黒い1つ目スライム。会話するときは頭上に掲げた人間の頭蓋骨のアゴをカチカチさせる。
(本来普通に話すことはできるのだが、ノラに呼ばれたことがめちゃくちゃ嬉しくて少しでも人間っぽい振る舞いを入れたかったため地中の骨を使ってやっている茶目っ気の演出であることが原作で捕捉されている。商業版ではカット)

真っ黒な塊に一つ目という不気味な姿に反して非常に人懐っこく、自分を精霊と呼び崇めてくれたノラに涙ぐんで感謝の意を述べていた。そんなノラの為に事ある毎に力になろうとする様はまるでワンコ。
ノラも精霊の加護に応えるように自分達が日々の食事で食べた内容を構成する材料と同じ物つまり調理の過程で出た生ゴミを捧げている。

この世界では人間は無意識に「じぶんと似た精霊いる場所をすみかに選ぶ」特性があるらしく、精霊もパラくん同様に情に篤く心配性でお人よし。



アーレンビック魔法店

錬金物・魔法雑貨といったアイテムの販売から術式代行までなんでもおまかせの何でも屋さん。

1階は飲食店になっているが、獣人が働いているのと店主が肉を食べるやつをぶん殴りたいと思っているため提供される料理は動物の肉が使用されていない。
料理は肉好きな人も喜ぶメニューも用意されており意外と好評。持ち帰りも可。
錬金術で作成されたポーションに更に魔力を込めることで回復量・速度共に通常よりも強化されている。

奴隷のための勉強会も無料で開かれており、奴隷の互助会として不当な扱いを受けている場合の相談も請け負っている。

パラケルススの取引先でもある。


  • ノルン・アーレンビック
アーレンビック魔法店を経営する女性。
三つ編みおさげにメガネのドジっ娘お姉さん。でも多分若く見積もってアラサー

占いが大好きで、2級錬金術師・2級魔術師・1級調理師その他多数の資格を有し、呪術についても資格を有してないだけで造詣が深い。資格マニア
1つの事に集中できず、その対象がすぐに別のものに移ってしまうという魔術師や錬金術師として致命的な欠点を抱えるため、どちらでも1級になることはできず、2級魔術師になれた事すら奇跡。
しかしどちらでも1級になれなかった苦しみを、複数の知識を組み合わせることで専門家にも簡単に越えられない「壁」にまで昇華させている。
その最たるものが錬金術と魔法を組み合わせた錬金魔法で、
魔法の原動力である魔力を周囲からかき集めると、それを錬金術における万物の素材である第一質料(プリマ・マテリア)として扱って2つの性質を付与。第一質料は周囲の影響ですぐに状態変化を起こすため、熟練の魔術師が基礎的な魔法として小さな火球を産み出す時間(4秒ほど)よりも高速で尖った岩や水流を産み出しさらにその水を氷結させられる。そのスピードは誰も追いつけず、止められない。自分にも

「だったらみんなそれ使えばいいじゃん」と思うかもしれないが、「無意識の圧力」と呼ばれる一種の世界のルールでそれは難しくなっている。
やってることだけ見ると「わたしなんかやっちゃいました?」だが、
実際は世界のルールすら打ち破るに至ったのは血が滲む努力あってのことである。

正義感が異様に強く、奴隷のノラを貶める発言をしたグレコフにその場で決闘を申し込んで途中で気持ちよくなりながらぼろ雑巾にしている。
異世界からやってきた能力者を授かりし者(ギフテッド)と呼んで独自に追跡し、人々が守るべき規範の市民法から逸脱した悪事を働いているようならば私的制裁、場合によっては抹殺しようとも考えている。
しかし10年に渡って調査を続ける中でギフテッド疑惑のある監視対象者全てが確認が取れる前に行方不明・死亡・再起不能になっていることから、能力を奪う者・収穫者(ハーベスタ)が存在するとみて警戒している。
また、パラケルススが能力者である事も偽装工作がお粗末なので気づいている。

明らかに違法である私的制裁を下す行為については「正しいことではなく、やりたいことをやっている」とうそぶく一方で、
私刑という法を逸脱した手段を繰り返す自分自身も許すことができないため、他者に鞭打たせる事で自分にも罰を与えている。しかし法の遵守は「目的」ではなく自分の正義感と暴力性を暴走させないための「制限」である。
全ての生命は平等であるべきという考えから奴隷や獣人が人間扱いされていない現行法も尊重はすれど納得はしていない。
あと肉を食べる人はぶん殴りたいこれだけ完全に個人的な感情



獣人

アーレンビック魔法店の従業員でノルンの仲間。
獣人の出自はかつて錬金術師が好奇心のままに造りあげた存在であり、「獣人種」が元から存在する訳ではなく、神が創った存在(元からこの世界にいた存在)ではない為か蔑まれている*7
ノルンは彼らも社会的に「人間」として認められてほしいと願っている。
共通して奴隷の紋章を持つ。

  • トトリ・メアビッツ
ウサギ。非常に優れた聴覚、足の速さおよび脚力を持つ。しゃっす!
アーレンビック魔法商店に商品を卸す際の窓口業務も担当しており、パラケルススの元に赴いて直接の取引も彼が行う。あっす!
彼とはかなり気安い間柄であり、パラケルススが作成した来客を伝える照応のベルの音にかなり口汚くダメ出しを行っている。

獣人も奴隷も分け隔てなく接してくれる主人を尊敬している反面、過剰なほどの正義感にはさすがに怯えている模様。
また命の危機に直面すればするほど身体スペックが上昇し、神の攻撃ですら一切命中しなくなるほど高速で動けるようになる。

  • モードリン
牛。調理を担当し、非常に鋭敏な味覚を有する。
舐めたことないだろうにパラくんの味も分かる
また治療のエキスパートでもある。
作画が付いたことで妙に色っぽくなったと評判。

  • ベルク
鳥。パラケルススのレシピによって作られた魔法爆弾の「完璧な」断面や、人間業とは思えない高純度な素子の違和感に気づくという高い知識を持つ。
猛禽類の見た目通りに肉食。流石にノルンも生物としての食性に口を出しはしないようだが、悲しい顔をするので隠れて食べている。

  • ポチコ
犬。外見はほとんど普通の小さな犬でしゃべる事はできないようだが、直立することができ、前足は人間の手と同じ五本指で文字を書くこともできる。

  • モグタン
ホシバナモグラチュチューン!。こちらも外見は直立した小柄なモグラといった感じだが、明るいところが苦手なのか日中はローブを目深に被り顔を隠している。
触手状の鼻先を伸ばすことで対象の匂いを嗅ぎ取る鋭敏な嗅覚を持つ。

  • グレコフ
。ハゲの武闘家。アーレンビック魔法商店の常連客。
来店中のノラ=奴隷を蔑む発言をしたことからノルンに悪人判定を下され、決闘を申し込まれたが敗北。
徹底的にボッコボコにされ降参したのに、ノルンの自分にも止められない錬金魔法でギリギリ致命傷生きてるレベルの負傷を受けるも治療を受け、『恋天使の弓矢』を用いて強制的に洗脳・隷属。殺人未遂の罪と同じ3年間の奴隷化*8の契約を結んだ。
なお、ボコボコにしすぎたので当初の目的の「ノラに謝らせる」事はできなかった。


錬金術師

  • アグノシア・デア
錬金術協会の最高位・達人(アデプト)の称号を持つ唯一にして世界初の女性。
おっぱいの大きくて美人なアラアラ系お姉さん。かつては始祖錬金術師オールダーの元で技術を培ったとされる。
誰もが認める美貌、でかいおっぱい、人当たりも良好でまさに神が二物も三物もプレゼントしたかのごとき傑物。
チートスキルと地球の常識の影響で錬金術師としてステップアップできないパラケルススに力を貸し、いずれ達人(アデプト)にしようと協力を惜しまない。
同様にノルンにも錬金術師の心得を始め、彼女の精神的な支えになってあげている。
「あら、おっぱいがお好きです?」大好きです

奴隷屋で見かけたココを不憫に思い、手助けができないかとパラケルススの元に訪れ、ココの為にと「真理の目」という錬金物をさずける。
『この世のあらゆるものを少しずつ良いものに変える』という錬金術の基礎を自身の信条とし、もう1つはパラケルススが完成させるべきだと2つあった内の1つを持ち帰る。
錬金術協会の最高位にいながら、辛うじて独り立ちできてると言えるようなパラケルススの成長を見守る心優しい女性

……のように見えるが、本気で助けたいなら資金面からしてもすぐにココを買い取れるのにそうはせず、
ノラが呪いに触れた直後に現れた点から彼女こそがココに呪いをかけた張本人ではないかとパラケルススとノラの2人から初手で怪しまれ、実際2つあった真理の目の内持ち帰った片方を自らの眼窩にはめ、照応効果による監視を試みている。
なお、ココは100年以上呪いに苛まれているので、その呪いをかけた張本人の年齢も自ずと……



  • サン・ジェルマン
パラケルススの師匠の錬金術師。
不老不死の秘薬「生命の水」を錬金できたと噂され、200年近く生きている。通称『不滅のサン・ジェルマン』
技術は見て盗めと言う考えで、レシピだけ教えてもらって再現するならちょっと賢い犬にもできるのだから、大切なのは真理を追求することだと説いた。
そこには近道などなく、地道で目立たない基礎の繰り返し。修練の積み重ねこそが万物に秘められた真理へ近づく一歩と言えるのである。


だからワシのために毎日雑用をこなしなさい。


は?もう少し知識を教えてくれないと錬金術試験に合格できない?
しらんよそんなの。
雑用してればいいじゃん…
一生やってればいいじゃん…

ブチギレ不可避である
しかし安易に答えを求めるのではなく、地道な行いで真理を追求すべきという考えは確かだったようで、スキルというチート(イカサマ)によって、本来は能力に見合っていない試験を合格したパラケルススを真理の追究者であるはずの錬金術師とは認めず破門。
この事はパラケルススの心にも深い影を落とすこととなる。
その後に勘違い(厳密に言えばちょっと違うのだが)でオンネンに依頼しパラケルススの記憶を消そうとする、修行と称してその過程で発生する稀有な物品*9で荒稼ぎしてたなど、全体を通して見ても師匠ポジとしてカスな行動が多い。
長年の研究の末に不老不死の妙薬『生命の水』の製法を晩年発見した。


  • オールダー
この世で一番最初に錬金術の概念を生み出し、世に広めた2人のうちの1人。
とてつもなく長い時間を生きているが未だ健在。クリーチャーじみた見た目をしているが一応女性。
普段は穏やかな人格者で非常に物静かだが、気に入らないことが起こるとブチ切れて暴走し周囲に甚大な被害を出す。丁寧に対話して落ち着かせてあげるとちゃんと言うことを聞いてくれる。
要するにめちゃくちゃ強い認知症の老人。



  • バルカン・ポッド
達人(アデプト)の称号を持つ術師。
手の中の『宇宙』を抑え込んで完全制御する手袋なんてとんでもない発明もさらっとこなすナイスミドル。
本人は武器の開発が本領らしく、災厄化した錬金術師を殺すための武器も作ってみたいと自身の師匠が災厄化して被害を振りまいたパラくんに向けて嬉々として言ったりするので、
やっぱり頭のネジの吹っ飛び具合も実に達人(アデプト)
そもそも『宇宙』を抑え込む手袋も、暴走した術師の弱点を知りながら相対したら戦いがつまらないから作ったなんて言うくらいなので……。



鏡の世界の住人たち

  • ダークナイト
ドクロの仮面を着けた鏡の世界を作る能力者。多分名前からしてパラケルススと同じくらいの厨二病

パラケルススの持つ『天地万物のレシピ』を手に入れるために噴水の水鏡を通して鏡の世界へと引きずりこむ。
数か月前からパラケルススが何も考えず『レシピ』を出してアホ面で素材一覧を見ながら市場で買い物をするのを観察していた。
使い方どころか能力名までバレてる迂闊者……
目的はハーレムを作ることとして多くの女性を鏡面世界にさらっている。

死体を操り、ゾンビにパラケルススを襲わせているが、これは倫理観や常識による「無意識の圧力」で阻まれて実行のできない「禁呪」と呼ばれる屍術であるため、チートスキルによるものと思われるが……?

原作では名乗りを上げた際、心の中で「ダサッ」とツッコまれて続編でも擦られているが、商業版で普通にカッコよくなったので単行本では修正されている。

  • ゴールディ
ダークナイトにさらわれたという女性たちのリーダー格の魔術師。
パラケルススを魔術で救い、クロスグリ大聖堂に匿う。
ダークナイトの屍術がスキルであるなら本の形で持っているはずがそれがなかったため、同じ場所にいてずっと本を持っていたことからダークナイトの正体であるとパラケルススに疑われる。
しかしその本は魔力を流すことで術の詠唱の肩代わりや威力のブーストをしてくれる「魔術補助書 火の巻」。
実は貧乏な家の出で、魔法は独学で身につけたことから見習い魔術師の資格もなく、基本的なファイアボールといくつかの術式しか使えない彼女は、この本に魔力を流すことで魔法を行っていた。
この本は鏡の世界で入手したが、本来は家一軒が建つほどの値段。

  • シルビア
剣と盾で武装したポニーテールの女性。
苛烈な性格で、自分たちに窮地を救われておきながら「仲間にしてくれたら助けてあげられる」と口にしたパラケルススをボコボコにする。
しかしショゴスを伴い単身でゾンビの群れに立ち向かう姿を見て加勢。ダークナイトに抑え込まれているのを救助する。
元はただの町娘という割には強すぎる上に、戦いや殺し合いを楽しむダークナイトにも「気が合う」と受け答えているが……

ゴールディ曰く「私を護ってくれる騎士(ナイト)様」
「クッ殺」というか「ブッ殺」な女騎士

  • バイオレット
  • ローズ
  • リリー
ダークナイトにさらわれた女性たちの内、主な戦闘要員。



転生者

  • ツユリ
大切な人が死んだことにうろたえている際に運悪くトラックに轢かれ、この世界に転生。
死ぬ前の経験からアレウスじじいに貰った転生者能力も比較的「大切な人と一緒にいる」点に特化している。
魔力量を多量に保持していたにも関わらず魔術の使い方がヘタで、紙に書いた術式を中継して魔術を発動するまどろっこしい方法でしか発動できない欠点があった。

生前、大切な人と死に別れたことが少しずつ、だが確実に心に変調を与えていた。
異世界に来ても魔術はいつまでも上手くいかなかったが、なぜか死体をゾンビ化させる違法禁術――屍術を行使する才能は持ち合わせていた。
「大切な人達が不死になればもう悲しむことはない」 そう考えた彼女は、身近の大切な存在 "以外" を虫ケラのように何十人何百人と殺してまわり、腕を磨いた。
その後は鏡の世界に姿を隠し、不死の術の完成に必要なパラケルススのレシピを付け狙う。



  • ウェスリー・キング
他の転生者の能力を改変できる力を持つ青年。
誰が転生者でどんな能力を持っているのかが彼には筒抜けで、パラケルススの能力も一瞬でバレた。
態度がデカいわりに小心者で焦りやすい・イキって相手の能力を見誤る・煽られ耐性0とかませの見本市のようなキャラ。
そもそもパラケルススの持つ能力をどんな料理の作り方も書いてある万能レシピだと勘違いしたアホの極み。異世界料理無双でもしたかったのか?

天地万物のレシピ
念ずる事でレシピがでてくる鉄板がでてくる。
「いでよ完全なる調理法よ」と唱えることでレシピがでてくる。
「錬金術師…なんでもできる能力…!料理作る能力じゃなかったのか…!

調子に乗った生意気なアホではあるが、根は相手思いの良い人。
最初こそチートスキルが原因で対立したものの、なんやかんやあって最終的には友人になった。*10


  • テオフラストゥス・フォン・ホーエンハイム
さすがのパラくんも自分が適当に名乗った偽名の元ネタが異世界に来ているとは夢にも思うまい。
まさかの転生した元祖パラケルスス本人様。パラくんの名前を見た瞬間に「自分の名前を拝借している」ことに気づき盛大に噴き出していた。
元祖パラケルススは史実での死因に病死、暗殺、ケンカの末に撲殺なお複数の説があり定かではないものの、本作では毒殺説が採用されている。
史実で本人が提唱していたのと同様に万物に『アルカナ』が内在し、それを明らかにすることで新しい発見や人類の進歩に繋がると考え研究を続けている。

転生者は死んだときの肉体および見た目のまま異世界に移動させられるのだが、
なぜか彼の場合は15世紀当時と現在はまったく違う見た目。当時のアレウスじじいの気まぐれだろうか?
なお、15世紀の人間だろうと転生方法はトラックである。
見たこともない恐ろしい乗り物で轢き殺されたため、悪夢を見て悲鳴をあげるほどにトラウマになっている。

「一名様ご案な〜い!!」

呪術師

  • オンネン
最序盤から登場するハゲた1級呪術師。サン・ジェルマンとも顔見知り。
呪術の才能があるものは身分や出自に関係無く取り立てて育てる実力主義の男。
サン・ジェルマンからパラケルススの触れた「禁忌」の記憶を呪いで抹消する依頼をされ、ネムネムと共に実行に移してうっかり*12呪い殺すが呪術戦の末に返り討ちに。
対決後は正式にパラケルススに謝罪し和解。彼に協力することとなり、終盤のサン・ジェルマン邸探索ではその力量を如何無く発揮してくれた。

ノラの父・ウルには同じ呪術師として実力を認め、一種の友情のような感覚で接している。

実力確かなおじさんなのだが、自分に向けられた呪いへの防御方法は「自分がかわいいお人形だと思いこむこと」である。……人形は余計なことを考えないから「禁忌」にも触れないという意味で、ちゃんと合理的なのである。「かわいい」はいるのか?

私はかわいいお人形
だから心はない
何も考えない
呪いは効かない


  • ネムネム・ブランケット
オンネンの弟子。オッパイの大きい元娼婦。恐らく本作唯一の普通の女性
この世界でも体を売る商売はいやしいものとされており、それにも関わらず才能を見抜いて弟子に取り立ててくれたオンネンに心から感謝している。オンネンもまた人から恐れられる呪術師の自分に、普通の客と変わりなく接してくれた彼女に心を開いている。
だがオンネンに関わってしまったことでたびたび命の危機に陥り、生活や実利との兼ね合いで相当悩んだ結果、やむなく彼との師弟契約を解除。
娼婦の仕事に復帰しつつ、独立して1級呪術師を目指し再スタートを切った。
本人は搦め手しか能が無いような認識をしているが、ウルは数年で1級呪術師になれるほどの才能があると見抜いている*13。実際、作中で信じられないくらいのジャイアントキリングも打ち立てている。
何よりも豊満なその肉体はそれだけで男の目を惹き、飢えさせる呪術となる。
娼婦としては最高級で、自宅兼仕事場が馬車も入れない道を抜けた先の辺鄙なところにあるにも関わらず、通いの客も多く隣国から訪ねてくる客もいるのだとか。


武闘家

  • ウゲツ・カタシグレ
タチマチ流現師範。
ダリアが鋼杉で作られた道場の門を見様見真似の「流撃」で破壊したのを見て門下生に加えることも考える。
パラケルススに劣らず、かなりのお人好しのようで、鋼杉の門の修繕費300万ゼニーを子どもが悪気なくやったことなら請求しないだろうという点から、同じくお人好しのパラケルススとの間で支払う額は50:50で話がつくだろうとミソカに予測され、実際それで話がついていた。

  • ミソカ
タチマチ流十二段の女性武闘家。
小柄ながらも「気」の扱いに長け、スパルタ式指導でパラケルススをしごく。
パラケルススを筋がいいとみなしていたが、体内で気を移動させて破壊力を高める「流撃」を見様見真似で放っただけで道場の門を粉砕したダリアの素質に惚れ込むが、ダリア本人が本心では破壊衝動がある武道をやってみたいのにパラケルススの目を気にして本音を出せないでいるのを見抜いて(どっか行ってくれないかな)と、心のなかで邪魔者扱いし始める。
不滅討伐チームの一員でもあるが、話を聞かないでパラ君が余計な事をしたのと不滅に武道の歴史の重みを愚弄された事でブチギレてそばで見ていたパラ君が涙目になるレベルで痛めつけ、骨が折れようとも全集中の呼吸文字通り気合でつなげて追走しと、
この漫画の女性なのでやっぱりおっかない人であった。
ダリアの憧れの対象らしく、髪型を真似されるようになる。

ちなみに「気」とは魔術で言う魔力、錬金術で言う第一質料のことである←パラ「みんな好き勝手呼びすぎだろ…」

  • フツカ・アリアケ
タチマチ流三段。軽薄そうな青年。
気の流れを見る目に優れ、相手の気を伴った攻撃を受け流すことに長けている。
その目の良さだけで現在の段位に至り、武道家としての努力をしたことは1度もないので防御以外は完全な素人。
その理由は、何の努力もしていない自分に攻撃を容易く受け流され、「こんなはずはない、信じられない」と今までの努力が否定された相手のガッカリした顔が見たいから、というもの。それ以外には価値がないとまで思っているので、「努力をしない」という努力を命がけでしている人。
本気を見たいミソカの口車に乗せられた破壊した門の修繕費を国から出される褒賞金で賄うために道場破りを名乗ったダリアの対戦相手。
ミソカから死んでも努力不足だったフツカの自己責任だからむしろ死んだほうがいい、本気を出して構わないと聞かされたダリアは「本気を出しても壊れない相手」として様々な流撃を試すが、ヒートアップする攻撃に耐えきれずについに降参したため、彼女の心底ガッカリした顔を見ることとなった。

その他の人物

  • パトラ
サン・ジェルマン邸で働くメイド。クール。

  • サンサ
サン・ジェルマンの邸で働くメイド。
天真爛漫で本作で希少な戦闘能力を持たない普通の女性キャラ。
サン・ジェルマンがかつて愛した女性の子孫で、彼からは孫のように可愛がられている模様。
災厄「不滅」につけ狙われた事から、アグノシアによって絶対に安全な場所に匿われるが、それは読者の嫌な予感予想を遥かに上回る場所であった。

不滅「隠すならもっといい方法があるだろう!」
アグノシア「不滅さんがびっくりするかなと思って」
不滅「お前は気が狂っているのか!?


  • アレウス
トラックにはねられて地球から物理的にはじき出された地球人にチート能力を2つ授けて転生させる上位存在の老人。
なお、異世界に転生させられる人間の選定方法は不明だがアレウスの仲間カロンがトラックに乗り込んで轢き殺すことで条件が満たされるのは確定している。そして轢くときのカロンは非常に楽しそう。
異世界の住人に原初の魔術を授けた始祖エルフでもある。なお「アレウス」という名前はギリシャ神話の戦神アレスの異表記でもある。
続編では「争いと狂乱の神」と称されている。

魔術は全てを飲みこむ災害・原始のスライムに対抗するために授けられたと伝わっているのだが、授けた本人の意図は人類が魔術で争うのを見たかったため
実際に戦争で魔術が使われることから死者は増えたものの、一方で人類が想像力や能力の限界のみならず倫理観からも魔術を弱体化させていったのを不満に思っている。
原初の魔術そのままであるチートスキルに残留思念を忍ばせ、それを通して能力者同士の殺し合いや、もしくはこの世界の人間が能力者から力を奪い合う殺伐っぷりを単なるエンターテイメントとして楽しんでいるただの外道。

性格は無邪気で、無邪気故に残酷な子供そのもの。
そのためおだてに弱く、能力者やその関係者に褒めたたえられるとホイホイ地上に顕現して会いに来るほどフットワークが軽い。
基本的にパラケルスス以外の会った人全員から嫌われている。パラくんはおじいさんと呼んでいるけど他の彼を知る人物からはだいたいじじい呼びがデフォルト。自称も「じじい」。

異世界物で転生者にスキルを授ける存在という、設定面ではラスボスクラスのクセに主人公陣営の初戦の相手。
パラケルススですら戦闘系スキルではないと言うのに、対峙したのはチートスキルを持たないノラという無理ゲー……。
チートスキル内で説明してくれる各個体は一種の録画、地上に顕現してくるじじいは分霊のようなもので本体ではなく*14肉体的には不滅の存在なのでバラバラに殺してもプラナリアのように蘇生し非常に厄介。


  • ヘルメス・トリスメギストス
この世で一番最初に錬金術の概念を生み出し、世に広めた2人のうちの1人。錬金術の神。ヘルメス金貨にはヒゲの老人として描かれているが本当は女性。
人間だったオールダーに対して彼女はエルフ。
強さ弱さなんてそんなの関係ない、人間全部を慈愛の心で包んで愛そう! みんなハッピー! という博愛主義を持っていたが、
それがオールダーとの間に壮絶な解釈違いを生み出してしまうことに……。

アグノシアがあまりにもインパクトありすぎる狂人なので印象が霞みがちだが、ヘルメス本人も別ベクトルで脳筋かついろんな意味で狂人。
まぁこの漫画は狂人女性しかおらんので……。
彼女がどうして人間に甘々なのかというと、始祖エルフは人間に『与える』役割をもった全肯定の存在として生まれたと杉浦氏がマシュマロの質問で解説している。これは裏設定で本編では説明されていない。
元ネタは錬金術の祖とされるギリシャ神話のヘルメスエジプト神話のトト神を習合させて生まれた架空の賢人、ヘルメス・トリスメギストス。

  • デメテル・テスモポロス
アレウスじじいの孫。何を司る神かは不明。
神の言葉が届き切らない場所に掟を届ける、という役割を担っている。
その役割通り、絶対に耳に入ってしまう『声』と、言ったことが現実になる『本』の力という厄介な能力を使いこなす。
元ネタは豊穣を司るギリシャ神話の女神デメテル。デメテル・テスモポロスとは別名で「掟をもたらす者」という意味を持つ。


  • 偽なる神
作品舞台となる異世界の創造主。固有の名はあるようだが人間に知覚できる発音ではないらしく、実際に聴いたパラケルススには認識できず、100部で人々の前に姿を現した時にこのように名乗った。
球体から先端に顔のついた触手のような首を伸ばしているため、読者からはエーテル団子とかチンアナゴ呼ばわりされている。
正体は錬金術の概念が科学の発達で否定されたことで地球から弾き出されたエーテルと第一質料のうねり。

帰ることの叶わぬ地球への郷愁から異世界を作り出したが、地球から追い出された自分では地球に近づけることは難しいという考えから、自分同様地球から(トラックで物理的に)弾き出された地球人を転生させ、その後異世界で第二の人生を終えた転生者を自分の元に呼び寄せて改善点などを聞いている。
しかし地球に近づける事を目指しているならば、排除すべきであろうエルフや魔術のような地球では空想上の概念がこの異世界に多いのは、自分が地球から追い出される原因となった「科学」を人々が手にすることを恐れているため。
オンネンの呪いで臨死体験したパラケルススと遭遇。彼の言葉で不条理で理不尽な世界=心のままに動く神としての自覚を持った。
『神引きのモナーク』ではこのやりとりである「パラケルススが神に対して述べた言葉」を反対に「神が偽パラケルススに伝えた言葉」として本に記していた。

「偽」と自ら名乗っているように、神というのはこの世界の創造主という意味においてだが、言葉を述べるだけでそれが現実となる。ゴリ押しで無効化されるけど

チートスキル

トラックにはねられた人間が転生特典として「転生者必見 わくわくチートスキルカタログ」から好きなものを2つ選ぶ事ができる。
しかしアレウスの機嫌を損ねると急かされてゆっくり選ばせてもらえない。
大半のスキルは実体の出てくるアイテムの形態をしており踏ん張る念ずると出てくるが、入墨のように常に表に出たものもある。

サポート系から戦闘向けまで、作中人物のセリフを引用して『こんな力があればいいな ってやつが大体そろってる』と表すのが的確。
大雑把に分別すると能力は3種類のタイプがあり、

①【念じると能力が形になって現れるタイプ】
②【念じなくても能力が形になって常時発動しているタイプ】
③【念じると能力が本来とは別の形で現れるタイプ】

という具合。
パラくんの場合はレシピが、セーブがに該当。*15
は物理的に奪って能力譲渡が可能だが、を奪う描写が無いため可能かどうかはわからない。

これらのスキルは奪い取って自分のものにできる。しかし入れ墨なら獲られないと思いきや皮ごと剥ぎ取って装飾品にしても効果を発揮する

スキルが奪えることは隠された秘密のようなものだが、奪える事を最初から教えられてないのは恐らく言わなくたって欲しかったら奪ってみるよねくらいのノリ。
転生者のみならず異世界の住人も奪うことができる。
奪った際にアレウスの残留思念が能力の説明をすると共に、転生者にチートスキルを2つ授けている事を伝え「もう1つ奪えるかもよ(はぁと)」と余計なことを言って積極的な強奪を推奨してくる。
他にもご褒美に1つだけアレウスの知ってることならなんでも教えてもらえる。なんでもは知らないわよ。知っていることだけ。
この際、現実世界で3秒間硬直してしまっているが、親切な事に「奪われた持ち主が取り返しに来るかもよ」と注意喚起もしてくれるしマジモンの戦闘中なら頼めば1秒に短縮してくれる。


なぜかダンジョンに誰の物でもない能力がアイテムのように置かれることもあるらしく、探索して手に入れた者も一定数いる。
この世の全てのチートスキルを手中に収めたとき用のコンプリート特典も存在。
コンプするとスキルを持ったまま地球に行けるらしいが……?



今日は君の第二の誕生日だからね。じじいからお祝いがあります
このカタログギフトから好きなチートスキルをふたつ選んでいいよ


用語

  • 錬金術協会
錬金術の地位向上を目指して設立された組織。

硬貨を発行する機関でもあり、錬金術師は金に最も長けた存在であるため、その内のヘルメス金貨はこの世界で最も信頼された金貨である。

ヘルメスとは、錬金術師の祖であり幸運と富を司る神人として崇められるヘルメス・トリスメギストスの事で、表面にはヒゲの老人としてその姿が描かれている。

錬金術師が作成し、商品とする錬金物に対して購入者の信頼となる証明書を発行している。
しかしその発行料でせっかくの高額商品の利益もほとんど飛んでしまうことがある。パラケルススは相当嫌な思いをしたようでノラにムスッとした顔でその事を語っている。

協会員になれば照応効果で常に一定の温度の保たれた熱源となる『照応のコイン』が支給されることも大きなメリットなのだが、
前述の通り陰湿な錬金術師は新しい秘密にたどり着いたと思しき同業者にはスパイ用の小型ゴーレムや妖精を送り込んで1日中でも監視を試みる。
のみならず1年に1人は有能な新人が行方不明になってるらしく、
ヘルメス金貨100枚の入った水槽を邸の裏庭に
「誰も来ないから大丈夫でしょ」
と放置するパラケルススですら、同業者に対しては強い警戒心をみせている。パラケルススはパラケルススで異常

協会の幹部クラスは赤いマントを着用し、アグノシアは協会に3人しかいない達人(アデプト)。パラケルススは3級。ノルンは2級。

  • 照応効果
同じ時間に作られた同じ大きさ同じ重さ同じ外見の物が同期され、片方に発生した事象がもう片方にも同様に発生し、状態が連動する現象。2つのものの「完成度」が近ければ近いほど効果が高くなる。
アグノシアが持ちこんだ『真理の目』は2つの色、大きさから重さ、血管の形まで同じだったためパラケルススに怪しまれ、事実彼女はこの目で監視カメラのような運用を試みていた。
基本一対で運用されているが、作れさえすれば連動数は2つ以上にすることが可能。

この効果を利用した(前提とした)代表的な錬金物が『照応のベル』。
1つのベルが鳴れば同期した全てのベルが同時に同じ音色で鳴り響くため、作中では来客を知らせる合図として活用されている。
2つペアで作った場合、ベル上部の吊り下げるための穴を覗けばもう一方のベルから覗いたのと同じ光景を見ることができる。

照応のベルは一般的な錬金物であり、「1つ鳴らすと同時に全部鳴る」くらいなら逸脱した高性能ともなりにくそうなので『天地万物のレシピ』でも目立つことなく作れそうだが、パラケルススは自宅の物すら「ここまで酷いものはない」と評される代物になっている。
というのも、『レシピ』の作成手順に「いくつ作っても良い」と表示されるものの、最初の1つが完成した時点で「ベルの作成」手順をこなしたとみなされてレシピが消失してしまい、同期させたいベルの内、最初に完成した1つだけ完成度が極端にかけ離れてしまうため。穴から覗いた景色はボヤけ、同時に鳴っても本来同じ音色となるはずの両者の音は一方はチンで他方はコンのように異なってしまい、市販の最安値のベルよりも出来が悪くなってしまう。それでもパラケルスス本来の腕前だとレシピ使った方がマシ
他にもボードに書かれる文字を同期させれば通信アイテムとして使える。

また鏡の世界でダリアが同じ術式が刻まれたコピー体を大魔方陣で繋げたのはコレの応用と思われるが詳細不明。

  • 奴隷
「呪術」によって自由の制限を課した契約がなされている。
胸などに奴隷契約の証しの紋章が印されている。ここは対象の皮膚を引き伸ばして作られた『奴隷の部屋』と呼ばれる一種の異空間となっており、内部には人生すら縛る長大な術式が書かれている。
その名の通り奴隷に唯一許された自分だけの場所で四次元ポケットとして活用できる他者が内部に触れると呪いが返ってくる。また、報酬帳がここに入っている。
契約で「主人の命令は絶対」とあれば、主人による「命令」は記憶に関する事にまで作用する強力なもの。
主人に一定額の支払いで自由市民となる権利も獲得でき、報酬については前述の通り主人の感謝の心で決定される。とは言え一般的な主人ではなかなか報酬は出ず、解放には時間がかかると思われる。でもパラケルススは現代日本人基準でも異常
奴隷が契約に反した行動は取ること自体ができないのは当然だが、主人側にもできない。
また奴隷と主人のあいだに出来た子供は「奴隷の子供」という扱いになり、奴隷商預かりとなってしまう。解放されたあとに出来たのなら主人の子として扱われる。

舞台のオリハルコニア国では
「奴隷は市民共通の財産である。これをみだりに傷つけてはいけない」
「正当な罰以外では殴ってはならない殺してはならない」
「適切な食事と衛生的な環境を提供しなければならない」
と奴隷の権利を守る法律もあるが、他の国では「好きに殴れる」場合もある模様。
奴隷屋の親父にとっては奴隷の権利を保証する法律があることは誇りのようだが、ノルンのように奴隷制度の存在自体を許せない人間もいる。

実は古代ローマの奴隷システムがほぼコレに近い。*17


  • ココムチャリ
は?なにも言ってませんけど、なんか言ったみたいに言うのやめてください。



良項目を作るには……う〜ん
        えっ!?バッタをそんな使い方で!?


これだ!
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最終更新:2025年07月09日 01:51

*1 作中でアグノシアからそう称されたのが由来

*2 迫頭、窄頭(さこがしら)が名字の世帯は九州方面に実在する

*3 その後肥料になるものを出してくれる

*4 第百部では「義理堅い犬みたい」とまで評されている。まぁたしかにそうなんだけど

*5 ちなみに実際の「魔方陣」は正方形のマス目に重複なく数字を書き、縦横斜め全ての列について、それらの和が等しくなる物。

*6 誰もこんなところに金貨あるなんて思わないだろう と錬金実験中の金貨100枚を庭に放置

*7 アレウスの口から「汚らわしい存在」と語られている他、共通の世界観の『神引きのモナーク』では人造エルフが宗教家から同様の理由で激しい暴行を加えられている

*8 「殺そうとした」刑罰だが、グレコフの「殺そうとした」とは「ノルンに負けて悔しい殺してやりたい」と内心でムカついているだけなので市民法では裁けないという理由で

*9 作ろうと思ってもパラくん以外は作れないようなもの

*10 初対決後に再起不能に見えるほどボコボコにされて退場したため、再登場時に読者達が驚いたのは言うまでもない

*11 作中では天地万物のレシピを「使用すると鉄板が出てくる」、アキレスくんを「布を被せると行動不能になる」と書き換えて使用した

*12 呪殺は法律で禁じられている

*13 オンネンがスカウトした理由もそれだと思われる

*14 本体の場所は第百部で明らかになる

*15 セーブクリスタルはセーブポイントが結晶の形になっただけの物なので、結晶を他者が盗んでもパラくんの持つセーブ能力を奪ったことにならない

*16 別の能力者が所持しているのであれば、過去にコピーした能力の再コピーも可能。

*17 働きが認められればいずれ解放される場合がある、一定の権利や財産の保有が許されている、主人に生殺与奪の権限はあるが無暗やたらに奴隷を殴ったり殺したりはしない等