ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko3344 ゆ虐に目覚めたすいか
最終更新:
ankoss
-
view
『ゆ虐に目覚めたすいか』 39KB
制裁 愛情 自業自得 お家宣言 同族殺し 飼いゆ 希少種 現代
1.
『ここだな・・・』
俺は、今日から入居するとあるアパートに辿り着いた。
『思ったより綺麗なアパートでよかった。えーと102号室はと・・・』
部屋は1階の手前から2番目。さっき大家さんから預かったばかりの鍵を取り出し、玄関の扉を、開ける。
新しい部屋の空気が、俺を迎えてくれた。今日からここを拠点に、4年間の大学生活がスタートする。
『当たり前だけど、見事に何も無いな・・・ん?』
開けたままの玄関の扉から、トラックのエンジン音が聞こえる。実家からの荷物が届いたのだろうか。
俺は、背負っていた鞄を下ろすと、小走りに外へ駆けて行った。
俺は、大学受験を何とかパスし、地方から引っ越してきた新入学生だ。
地方って言っても、そんな田舎から来たわけじゃないけどね。
両親はかなり過保護で、学費、引越し費用はもちろん、毎月の仕送りも、俺がバイトをしなくて済むぐらいの額を、
出してくれることを約束してくれた。
引越し先の部屋は1LDKで、家賃は実家のほうで振り込んでくれるそうで、俺は気にしなくていい。
気がかりなのは・・・進学先の大学に知っている奴は誰も居ないって事だ。
いきなりぼっちな大学生活になりそうだが・・・まあ、サークル活動に合コンと。寂しい青春にならないよう、
心がけていこう。
さて、実家から送っておいた、机、椅子、洋服ダンス、本棚などの家具を受け取り、引越し業者の人に協力してもらって、
リビングに運び込んだ。
また小型冷蔵庫とテレビ、コンロも設置。ガスコンロは火がつくことも確認した。一人暮らしにお湯は必需品だからな。
後、必要な大型電化製品は・・・電子レンジ、掃除機、暖房器具、パソコンだな。後日買って来ないと。
玄関脇にも、そこそこ広い部屋がもう一つあるが、この荷物の量だと、当面は空き部屋になりそうだ。
『あ、そういえば・・・』
そうそう、この部屋には一つ問題があった。
リビングと玄関脇の部屋に有る窓ガラスが、ゆっくり対応の強化ガラスになっていないことだ。
この辺りは、野良ゆっくりの数が多く、ゆっくりが家に侵入してのお家宣言による被害が多発していたらしい。
窓のゆっくり対策はどの家でも行われているそうだが、この部屋は、長く入居者が無かったため、未対応だったそうだ。
大家さんは、明日の午後に業者が来て窓を交換するので、その時間には部屋に居るよう言われている。
『ま、いきなり今日明日にゆっくりが来たりはしないでしょ』
・・・分かっている。今の台詞は、死亡フラグだね。
万が一に備えて、小物類や本などは、机の上など高い位置に置いて、侵入を許しても荒らされないようにした。
送ってきた家具なども、壁や角に密着させ、倒れないように心がけた。
一通り、部屋の様子を見て満足したところで、ここに来る途中に目をつけておいたコンビニに行き、食事にお菓子、
お酒などを買って来て、夕食にする。
引っ越し祝いに、友人と馬鹿騒ぎしたいところだけど、離れ離れじゃなあ。
酒も一人で飲んでるんじゃ美味しくないよ・・・。
何、お前はまだ未成年じゃないのかって?
ああ、これは、なんだ、ノンアルコールビールだ。きっとそうだ。
まあ、お酒はともかく、友人と離れ離れになってしまった寂しさに対しては大丈夫、俺には秘策がある。
その秘策とは・・・ま、明日お目にかけよう。というわけで、今日はお休みなさいだ・・・。
で、次の日。
俺は予め場所を調べておいた、ゆっくりショップに来ていた。
『どうも、ありがとうございましたー』
「えへへー、おにいさん、ゆっくりありがとう。これからよろしくねー」
『うん、よろしくな、すいか』
俺は、身長が俺の腰ぐらいしかないほど小さな、2本の角の生えた女の子を引き連れてゆっくりショップを出た。
背丈と比較して妙に顔が大きいのと、リボンに付いた銅色のバッチで分かるとおり、この子は人間じゃない。
胴付きのゆっくりすいかである。
そう、俺の寂しさを紛らさす秘策、それはゆっくりを買うことである。
ペットを飼うのと似たような感覚だが・・・ゆっくりは人の言葉を話すし、情動もある。胴付きなら人の姿に近いので、
犬や猫より、楽しく時間をすごせそうだと思ったのだ。まあ、人それぞれかもしれないけどね。
因みに銅バッチだから安かった。1500円。
れいむやまりさの銅バッチつきなら500円ぐらいだし、生餌用、虐待用なら袋に詰め放題で100円だからな。
何、銅バッチじゃゲス化して扱いが大変じゃないかって?
大丈夫だ、希少種はゲス化しにくい。よっぽど甘やかして、他のゆっくりと比較しておだててやらないと、
すいか種がゲス化することは無い。
両手を挙げてタッタッタと駆け回るすいかを見ながら、俺は時間を確認する。
午後は家に居ないといけないからな。今のうちに食糧も買っておこう。
『すいか、お店に寄っていくよ。荷物持ち手伝ってくれ』
「はいな!」
俺は来る途中で見つけておいたスーパーマーケットに入り、食糧を買い込む。
店内を歩いてみると、胴付きゆっくりって、結構居るもんだ。
れいむ、まりさの他、てんこ、うどんげも居た。
ふと見てみると、
「んー?ふふふん」
「むー!」
他の胴付きがすいかを見て、何やら勝ち誇った顔をしたり、どや顔になったりしてる。すると、すいかは怒って睨み付け、
俺の陰に隠れるのだ。
何だと思ってすいかに聞こうとしたが、その前に気が付いた。
他の胴付きはみな金バッチだった。それで銅バッチのすいかを馬鹿にしてるのだ。
うーん、ちょっとこれは、可哀想だな。
バッチ試験を受けさせてあげる事も考えなくちゃならんか・・・。当人、いや当ゆんの希望しだいだが、絶対受けたがる。
などと考えながら、買い物を終え、俺はアパートに戻った。鍵を開け、緊張するすいかを部屋に入れてやる。
「おじゃまします!ただいま!」
『ただいまだけでいいんだ。先に上がって奥行ってろ』
「はーい」
ちゃんと靴を脱いであがり、とっとっと、とリビングに向かう。俺は荷物をおいて、靴を脱ごうとした。
と、
「ねえー、おにいさーん」
『ん、何だ』
「まりさなんて、かってないよねぇ」
『え?』
まりさだと?と、前を見ると、すいかがまだ子ゆっくりのまりさを掴んでる。右手に一匹、左手にも一匹。
そして、すいかの足元にも。
「いちゃいいいいい!!はなしちぇえええ!!」
「おちょらをちょんで!!ちゅ、ちゅびゅれりゅううううううう!!」
「ゆんやああああああ!!いもうちょをはなちぇえええええええええええ!!」
同じく子まりさが、すいかに体当たりしている。更に、成体のまりさ、恐らく親か、が餡子を吐いて倒れている・・・。
2.
何だ何だ、と慌てて靴を脱いで、身元不明のまりさを見ようとする。
倒れている成体まりさの、近くの戸棚が開けられ、スナック菓子が袋から床にこぼれ落ちているのを見て、
取りあえずまりさが餡子を吐いて倒れている理由は分かった。
あれは、昨日買ってきた激辛スナックだ。余りの辛さに食べきれず、残したんだっけ。
家を出るとき、ゆっくりが進入してきたことを想定して部屋を再確認したが、このスナック菓子は、
取られたら取られたでトラップになるだろうと、棚に入れたのをそのままにしてたら・・・ご覧の有様だよ。
「ゆっゆっ、おい!はなちぇ!すいかのくちぇにぃい!!」
「うっるさいなあ、ちょっとだまってなよ」
「おみゃえのほうがうるちゃいんだじぇ!!くずすいかが、まりしゃしゃまにえらちょうにしゅるんじゃないのじぇえ!!」
「くちわるいなあ、このこ」
それはともかく、こいつらは、まあ、
『野良が入ってきたのか』
俺はそう言うと同時に、すいかの隣をすり抜け、リビングに移動する。
窓が割られていた。そして、こぶし大の石も、ガラスの破片や泥に混じって、不自然にリビングに転がっていた。
人間がこの部屋に入居したのを目ざとく見つけ、あまあまを求めて入り込んだんだろう。
『あーあ、部屋を汚しやがって』
「やっぱりこいつら、のらなんだね、おにいさん。あーあまどさんが・・・」
「おい!にんげん!いもうちょちゃちを、ゆぎゅ!!おちょら!!」
すいかと一緒に、3匹目の子まりさまで着いてきたので、左手でぐわしっと掴んでやった。気持ち悪いから潰しはしない。
部屋の損害状況を確認すると、リビングは、窓が割れて、床と家具が汚れているだけだ。後、台所の戸棚が開けられて、
スナック菓子を少し食べられただけだ。
高い位置に置いておいた、本や小物はすべて無事。窓は取り替えるし、スナック菓子は諦めよう。被害は軽微だ。
と、
「やい、げしゅにんげん、ここはまりしゃたちのおうちにゃんだじぇ!!にんげんとすいかはでていくにょじぇえ!!」
『はいはい、ゆっくりゆっくり』
しっかり、おうちせんげん済みか。まあ当然だわな。
俺は子まりさを、目線の高さまで持ち上げ、顔を近付けた。
子まりさの目を睨みつける。
『おい、うるせえぞ糞饅頭。出て行かせてえんだったら、やって見やがれ』
ドスの効いた低い声で脅しをかけた。相手は所詮子ゆっくりだ、これで怯えて黙ると思ったのだが。
それでも、子まりさは動じない。
子まりさは、あごを引き、口の中をなにやらグニュグニュと動かした
(ん?・・・まさか?!)
俺はあわてて子まりさから顔を離した。それと同時に、
「ぺっ!!」
『うわっ』
俺の顔に唾を吐きかけようとしやがった!
顔を離したのが幸いして、唾は俺の顔を逸れて飛んだ。
『こいつ・・・』
ゲスゆっくりは今まで何度も見てきたが、これほど俺を怒らせたやつもいない。
こいつも、他のゆっくりも、逃がしてやるなんて甘っちょろいことは言わねえ。
そう思ってすいかの方を見てみると・・・
「ぐじゅぐじゅするんじゃにゃいのじぇえ!!はやくおろちぇ!!おとうしゃんもたしゅけろぉおお!!」
「おとうさんって、このあんこはいてるまりさ?もうしんでるんじゃない(ぐにぐに)」
「ゆ・・・ゆげ・・・」
「あ、いきてる」
「おとうちゃんをけるにゃああ!!このげすすいかぁ!!」
「げすにげすなんて、いわれるすじあいないね。かってにひとのいえにはいって、からいものたべてきぜつして。
ばっかじゃないのさ」
『そうだ。すいかはゲスじゃないぞ。うちの立派な飼いゆっくりだ。お前みたいな他人や他ゆんに迷惑を掛ける、
ゆっくりとは違うんだよ』
「くずすいかが、かいゆっくり?でもばっちしゃんが、きんいろしゃんじゃにゃいよ!」
「な!」
すいかの顔色が変わる。
「ふんじゃ!まりしゃがかいゆっくりににゃったら、しゅぐにきんばっちににゃれるよ!!くずすいかは、
どうばっじで、ゆっくりしちぇにゃいにぇえ!げらげらげら!」
「このまりさ・・・」
こいつ、親が元飼いゆなのか、元飼いゆの知り合いでもいるのか、子ゆっくりのくせにバッチに詳しいな。
お陰で、もはや同情の余地がないくらい、俺のすいかを馬鹿にしてくれた。
「しゃあわきゃったら、くずすいかとくずにんげんは、はやきゅおとうしゃんをたしゅけるんじゃぜえ!
しょして、まりしゃにあまあまをもってきゅるじぇえ!」
「しょうしたら、しゃっしゃとここきゃらでていきゅんだじぇえ!」
「いや、くずすいかとくずにんげんは、どれいにしちぇやりゅんだじぇえ!げらげらげら!!」
俺とすいかは顔を見合わせた。
お互いににやり、と笑う。こいつらをたっぷり痛めつける、と目で意思統一を行った。
「さて、とりあえず、おとうさんをたすけろ、ね」
『助けるには、オレンジジュースを掛けるか、甘いものを食べさせるしかないが・・・今はどっちも無いな』
「あまあまはあるよ、おにいさん」
『そうだな!』
俺は、掴んでいた子まりさをすいかに渡すと、気絶している親まりさを拾い上げた。
すいかは3匹の子まりさを器用に掴む。
俺は親まりさの上あごと下あごを掴み、口を上にして広げた。すいかは、親まりさの口の上に、3匹の子まりさを
持ってきて構えた。
『よーし、あまあまだぞまりさ。すいか、やれ!』
「はいな!」
「なにをしゅるのじぇ、げすすいかぁ!!」
「ぎゅーーー、とね」
「ちゅ、ちゅびゅれりゅうううううう!!」
すいかは、3匹の子まりさを、クリームを搾り出すように締め上げた。
「ゆぎゃああああ!!いちゃいいちゃい!!」
「ちゅびゅれりゅ!!ちゅびゅれりゅううううう!!」
子まりさの体内の餡子は、下腹の方に押しやられて、下半身の小麦粉の皮がみちみちと音を立てる。
このままでは破裂してしまう!と思ったが、
ぶりゅっ!!ぶぼっ!!
3匹の子まりさのあにゃるから餡子がほどばしり、親まりさの口の中に落ちていった。
すると、
「むみゅ、ゆゆ!」
『お、気を取り戻した』
「あ、あまあま、あまあまなんだぜ!しあわせー!」
俺が口を広げているのに、よくまあ器用に喋れるものだ。
親まりさはムカつく笑顔を取り戻した。目も見開いて、俺の姿に気付いた様だ。
「ゆ、にんげん。あまあまとは、なかなかきがきいてるのぜ!だがまりささまには、まだまだたりな・・・」
親まりさは、ぐだぐだと口上を述べながら、視線を俺からあまあまの出所へと移す。
自分の食べたあまあまの正体に気付いたようだ。そう、そのあまあまとは、
「まりちゃの、あんこしゃんが・・・」
「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ」
「やべちぇ、たしゅけちぇ・・・」
自分の子ゆっくりのあにゃるから捻り出されたものであると。
その現実を受け止めるのにたっぷり30秒は固まった後、その表情が恐怖に凍りついた。
「ゆゆゆゆゆゆあああああ!!!お、おちびがあああ!!!ゆ、ゆげえ」
『おっと吐かせん!』
俺は親まりさの頭とあんよを掴んで押さえつけ、口を開かせまいとした。更に、頭とあんよを動かし、
親まりさの口の中にある子まりさの餡子を、無理矢理咀嚼させた。
『ほら喰え!喰え!喰え!!あまあまなんだから喰え!』
「むにゃ!むにゅ!やべて!しあわせー!やべるんだぜ!しあわぜー!」
『口を押さえてても喋れるんだね』
「へ、へべえ!!やめるんだぜくずにんげんげん!!まりさのおうちでなにをやってるんだぜ!!」
『へへー、ここお前の家?お前、何自分の家で気絶してんの』
「ゆゆ!あのどくをしかけたのはおまえかなのぜ!!このくずにんげん!!くそにんげん!!げすにんげん!!」
『お前、自分の家に毒を仕込まれて、喰っちまうとかなんだよ、馬鹿すぎるだろ、ゆっくりの限界を超えた馬鹿だろ』
「ゆあああ!!なにいってるんだぜ、くそじじい!!おまえがこんなことしたのぜ!!はやくどげざしてあやまるのぜ!!」
「ねえねえ、まりさぁ」
「ゆ?!くずのすいかがいるのぜ!!いまとりこみちゅうだから、だまってるのぜ!!」
「おちびちゃん、もうしんじゃいそうだよ」
「ゆ?!」
すいかに言われて、親まりさは視線を子まりさに戻す。
「ゆっ、ゆっ、ゆっ、あん、きょ、が、が、」
「も、もっちょ、ゆっぐ・・・」
「お、とう、ちゃ」
「ゆああああおちびぃぃぃぃいいい!!!ゆっぐり!!ゆっぐりするのぜええええええ!!」
ようやっと、子まりさの危機的状況を理解したようだ
というか、子まりさはもう限界だろう。親まりさも十分失礼な奴だし、制裁は親まりさに移行しよう。
俺は再び、親まりさの上あごと下あごを掴んで口を広げた。
『すいか、子ゆを喰わせてしまえ』
「ほいさあ」
すいかは、掴んでいた3匹の子まりさの残りを、親まりさの口に放り込み、ぱんぱんと手を払った。
「ゆげ!!おちびがあ!!」
すかさずすいかは、俺から親まりさを受け取った。
さっき俺がやったように、親まりさの頭とあんよを掴んで動かし、口に放り込んだ子まりさ達を咀嚼させようとする。
「ほら!たべろ!たべろ!むーしゃ!むーしゃ!むーしゃ!むーしゃ!」
「むにゃ!むしゃ!むにゃ!むしゃ!しあわせー!やべろ!しあわぜー!しあわせー!おちびがぁ!」
更にすいかは、親まりさの顔面を殴る!殴る!殴る!
「いい、から、のみこめ、ほら!」
「ゆべ!ゆべ!ゆぼ!ゆぼ!しあわせー!たた、たべちゃったのぜええ!」
「あ、あんこでてきちゃった」
すいかが殴りすぎたのか、親まりさの頬が破れて、餡子が出てきていた。
「ゆゆ!!いだい!いだいのぜ!おちびが!あんこがあ!!」
「んーーー」
さっきまでの威勢はどこへやら。泣き叫ぶまりさを前に、すいかは何やら考えた後、
「ほれほれ(ぐにぐにぐちゅぐちゅ)」
「ゆぎゃああああ!!いだあいいい!!」
傷口に指を突っ込み、掻き回した。これは痛いだろう。
親まりさの悲鳴をものとせず、傷口が更に広がるのも気にせずに、なおも掻き回すすいか。
「ぐぎゃああああ!!やべて!!いだい!!いだい!!いだああああ!!」
更にすいかは、傷口部分の皮をつまみ、桃の皮を剥くように、小麦粉の皮を引っ張って剥いだ。
ベロンと、内臓にあたる餡子が晒される。
「が!ぐがああああああああああああ!!!」
ゆっくりの叫び声とは思えない絶叫がほどばしる。それでもすいかは、親まりさの皮を剥ぐのを止めない。
親まりさの体の下半身正面からあんよにかけて、餡子が丸出しになった。
餡子がぼとりぼとりと、床に落ちる。
「ぎょえ!!!ぎゅぎょおおおおおおおおおおお!!!」
「ああん、あんこがこぼれちゃうなあ」
『おっと、それなら・・・』
俺は小物の中から木工用ボンドを取り出し、更に近くに置いていたヘアドライヤのコンセントを差し込んだ。
親まりさの体の、餡子の露出部分にボンドを垂らし、表面を固めるように伸ばし、ドライヤの風を当てる。
「ぎゃあああああ!!!やめでええ!!!あああああああ!!!じぬうううあああああああ!!!」
『よし、少し固まった』
「さっすがおにいさん」
『そこの台の上でやりな』
「うん」
気を付けてやれば餡子は漏れにくくなったので、台所のステンレス台の上に親まりさを乗せ、作業?を続行させる。
親まりさも大きさはバスケットボールぐらいあり、軽くはない。ずっと抱えていれば、すいかも疲れるだろう。
どうでもいいが、親まりさの悲鳴も凄まじい。近所迷惑になるな。
「さあ、どんどんいくよ!びりびりびりぃーー」
『ボンドをぺたぺた、と』
「びりびりぃ」
『ぺたぺた』
「ゆぎゃひ、ゆぐふ、ゆっ、ゆっ、ゆっ」
背中も顔面も、頭部も髪の毛ごと皮を引っぺがし、餡子を完全に露出させた。
今のまりさの姿は、餡子の塊に、2個の白玉の目玉と、砂糖細工の歯が付いてる状態だ。
「ようし、きれいにむけましたぁーー」
『ほらまりさ、お前の外側だ』
「ふひっ、ふひっ、ふはっ、ふはっ」
大きく裂け目はあるが、丸々残っているまりさの皮を、頭の部分に帽子を乗せて、まりさの前に置いてやった。
中身が無いから、すぐにふにゃっと潰れてしまったが。
「ゆひーーー、ゆひーーー」
皮だけの自分の姿を見て、まりさは涙を流しているが、まともに喋る事ができない。
神経が露出しているような状態だ。少し空気が動いただけで、全身が痛いはずだ。
「まあまあ、そんなになくなよー(ぽんぽん)」
「!!ゆぎーーーー!!ぐーーーー!!」
そんなに落ち込むな、元気を出せと、すいかはまりさの頭を軽く叩いてやった。それだけで壮絶な痛みに襲われたようだ。
見ていて飽きない・・・と言いたい所だが、飽きた。この大きい餡子の塊を、どうしてくれよう。
『さてと、どうするこいつ』
「うーん、とくになにもかんがえてない・・・おにいさん、なんかないかなーー」
『そうだな・・・』
俺は何か無いかと見回したが、実家から持ってきた、大きめの鍋が目に留まった。
よし。
『風呂に入れてやろう』
俺は鍋に、少し水を入れると、火にかける。
そして、まりさを両手で掴んで持ち上げ、
「ゆぐぐぐーーー!!ゆがががーーーー!!!」
鍋に入れた。
大きさは大丈夫か、と思ったが、ぎりぎり鍋に収まった。
水かさも、まりさの目の直ぐ下あたりになった。良い塩梅だ。
「ーーーっ!!ーーーっ!!」
痛みと恐怖で、まりさの悲鳴は声になっていない。
目をこちらに向けて、涙を流しながら、助けてくれと視線で哀願している。
でも、残念だったなまりさ。言葉にしないと通じないことは、世の中には数多くあるのだ。
「お、お、あったまってきたよ!」
うむ、水面に泡が盛んに出始めた。まりさの体も、少しずつ餡子が崩れ始めているな。ボンドで薄く固めただけだしね。
と、
「がばぁあ!!た、、す、け、、、」
まりさが大きく口を開けて何か喋った。最後の力を振り絞って、命乞いをしたんだろう。
つーか、歯、無くなっちゃってるね。溶けちゃったんだね。
更に、大きく口を開けたものだから、まりさの体の中にお湯がたっぷりと入った。
もう湯気が出るぐらいに、水温は上がっている。体の融解が早まることだろう。
「ああ」
『あー、崩れるな』
とうとう頭が崩れ始めた。口にお湯が入ったせいで、口から上部の崩壊が早まったようだ。
餡子にちょこんと乗っかっていただけの目玉も、融解した餡子上で、ぷかぷかと浮かんでいる。
「ん、もうしんじゃったかな」
『だろうな・・・いや』
浮かんだ目玉をよく見て、俺は思った。死んでいない。まりさはまだ死んでいない。
だって、目玉はゆらゆらと蠢いているが、瞳孔の部分は、俺とすいかを見続けているのだ。
確かに、溶けてるのは頭部が主で、胴体はまだかなりの量が溶けずに残っている。中枢餡は胴体に守られているのだろう。
中枢餡が無事でも、大量の餡子を喪失すればゆっくりは死ぬはずだが・・・
推測だが、餡子は中枢餡から完全に離れないと、喪失した状態とはならないのではないか。
溶けていても今のまりさの様に、中枢餡と餡子続きの状態で接していたなら、生命維持の餡子として有効なのだろう。
体が溶けている状態を、今まりさが感じているのならば、果たしてそれはどのような感覚なのだろうか。
水温は上がり続けている。
餡子が焦げることがあれば、今度こそその餡子は、生命維持の役を果たさず、まりさは死ぬだろう。
「うーん、おにいさん。すぷーんかりていい?」
『お、いいぞ』
すいかは、大き目のスプーンを取ると、まだいくばか溶け残っている頭部を掻き回し始めた。
胴体部も側面をスプーンで突っつき、少しずつ崩していく。
胴体が僅かに動く。痛みに身悶えているのだろう。だが、もはや救いは死しかない。
側面を崩し続けていくと。
「あ、このかんじは、ちゅうすうあんだね」
『ほう』
中枢餡を掘り当てたらしい。スプーンでつつくと、大きく揺れ動いた。
中枢餡が刺激を受ける苦痛には耐えられないらしい。脳みそを掻き回されるようなものだろうからな。
「おうおう、かわいそうにねえ。でもあんしんしな、もうげんかいだろうから」
『沸騰し始めたな』
水面は激しく泡立ち始めた。融解が早まる。何より中枢餡が露出してしまった。最早ここまでだろう。
すると、僅かに胴体から、何かが聞こえた。
「も、も、」
「え?」
『何か、聞こえ・・・』
「っと、ゆ、くり・・・」
断末魔か。口の形状は残っていなかったのに、どうやって声を発したのか。
目玉の瞳孔も、あさっての方向を向いていた。まりさは死んだのだ。
「いやー、すっきりー!」
『うむ!少しばかり落ちが弱かったがな!』
「すっきりー!」
こうして俺は、不法侵入をやらかしたゲスなゆっくりから、住居を守ったのだった。
3.
その後、まりさの餡子は生ごみとして捨て、30分ぐらいかけて鍋を洗った。甘いにおいがなかなかとれず、苦労した。
夕方近くになって、ようやく業者の人たちが来て、窓ガラスを交換してくれた。
これで、戸締りを忘れることの無い限り、野良ゆっくりに侵入を許すことは無いだろう。
そして夜・・・
「かんぱい!」『乾杯!』
んぐ、んぐ、んぐ、と缶ビール(ノンアルコール?)をあおる俺たち。
「いやあ、さいこう!やっぱりあたしぁ、おれんじじゅーすさんより、おさけさんだね!」
『そうか、流石すいか、良い飲みっぷりだな!』
これだよこれ!俺は酒を付き合ってくれる奴が欲しかったんだよ!
酒好きの友人を作ったとしても、毎日呼ぶわけにはいかないしな。
ただ、飲む割にはあんまり食べない。
食事はゆっくりフードではなく、俺と同じ様にしようと、小さめの弁当を買ってきたのだが、
「うー、もうたべられない・・・ぽんぽんいっぱいでくるしい・・・」
『ん、そうか?』
半分ほど食べるとギブアップした。
そりゃ俺と比較すれば体格差はあるが、人間の子供でももう少し食べそうな気がするが・・・
何はともあれ、俺とすいかは、安酒ではあるが夜が更けるまで飲んで酔っ払い、リビングで引っくり返って寝てしまった。
何、ノンアルコールビールで何故酔っ払うのかって?
それはなんだ、気分だ、気分。
まあ、こんなことがあってから、一週間が経過した。
大学では、1年度前期がいよいよ始まる。この期はバイトをしないと決め(前述通り金銭的に余裕があるため)、
多めに講義を選択した。
ここは大学の図書室兼資料閲覧室。
『きゃははは、すいかちゃんが野良を撃退ねえ』
『撃退ってほどでも・・・俺もいたし。』
『しかも皮を引ん剥いた挙句、お湯攻めでしょう。すいかちゃんもいい趣味してるわね』
『お湯攻めは、俺が提案したんだけどさ。でもすいかも楽しそうにやってたな』
この女の子は俺と同じ一期生で、最初に受けた講義で隣りに座ったので、知り合いになったのだ。
少し話をした後、この子がゆっくり愛好家だったので、その後に頻繁に会うようになった。
ちなみに、愛好家というのは、愛で系ではなく、ゆっくり虐待愛好家、だ。
『で、その後は。すいかちゃんはどんなゆっくり虐待をしてるの』
『やってないよ、野良に侵入を許すなんて、あれ以来無い。・・・だけど最近、すいかは元気無いな』
元気が無いってほどでもないが、つまんなそうにしてる。
胴付きっていってもゆっくりだ。ゆっくりしていれば満足するかと思っていたが、個体差があるのだろうか。
それともすいか種はアグレッシブなのかな。
『可哀想じゃない。飼い主がそこを察してあげなきゃ。虐待の機会を与えるべきよ。貴方も好きなんでしょ』
『ひでぇ。まあ、ムカつくゆっくりを叩きのめすのは気分が良かったけど』
『やるんだったらほら、ネット上にこんなものも・・・』
そういうと、目の前にある資料検索用のパソコンを操作しだした。因みにネットにも繋がっている。
彼女は、マウスを操作し、俺にホームページを見せた。とある通販サイトだった。
『へえ、これは・・・』
そして、また時は過ぎ、あれから二日後。
今日は土曜日なので、大学は休みだ。俺は自宅で、まだ購入して間もないパソコンを使い、家計簿を作成していた。
と、
ピンポーン
「あ、だれかきた。すいかがでるねー」
『お、頼む』
とてとてとて、とすいかが玄関に駆けて行く。扉の開く音と、宅急便でーす、という声が聞こえた。
来たな、と、俺も席を立つ。すいかが、小さめのダンボールを抱えて戻ってきた。
「おにいさんのおなまえをかいて、うけとったよー。これなあに?」
『これはな、通販サイトで購入した、ゆっくり虐待グッツだ』
「え、え、ぎゃくたい?ゆっくりを?ほんとう?これ」
そう、あの女の子から教えてもらった通販サイトとは、加工所のグッズ購入サイトである。
殴る蹴るだけじゃなく、虐待も楽しくやればすいかも元気に・・・と思ったのだが。
もうすでに元気になった。虐待なんて物騒な話を笑顔で言うあたり、本当に好きになったんだな。
まあ、それはともかく、ダンボールを開けて、中を確認しよう。
最初に取り出したのは、お菓子袋。袋を開けて中身を取り出す。クッキーだ。
「うわ、あまあま!すごくいいにおい!」
俺はさほど匂いを感じない。ゆっくりにしかわからない匂いなのだ。と、商品紹介文に書いてあった。
一枚ずつ取り出しては、手頃な皿に移していく。
『すいかは食べるなよ、危ないからな』
「え、あぶない?これあぶないの?!」
『おう。こいつは、どこに仕掛けるか・・・そういや、玄関の隣の部屋、使ってないな・・・』
4.
ゆっ、ゆっ、ゆっと、3匹のゆっくり、ちぇん、まりさ、れいむが人気の無いアスファルトの上を跳ねている。
この時間帯は人間の姿が少ない。人間は狩りに出て行くため、おうちを空ける。極まれに、
結界を張ってない人間のおうちがあるので、入り込んでおうち宣言をしてやろう、と探索を続けているのだ。
長のぱちゅりーは、人間のおうちはおうち宣言で手に入れることが出来ない、と訳の分からない事を言う。
馬鹿げている。
おうち宣言は、はるか昔から住処の問題を解決していた伝統有る儀式だ。人間が理解できないなら教えてやればいい。
おうち宣言を理解できないまま歴史を積み重ねることこそ、人間の悲劇であり、ゆっくりが正してやらねばならない。
そんなことを考えながら歩を進めていると、
「ゆ、これは・・・」
「どうしたんだぜ、ちぇん。ゆゆう、このにおいは!」
先頭を跳ねていたちぇんが気付く。続いてまりさも、気付いた。今までに無いぐらいに強い、あまあまの匂い。
「あまあま!あまあまなんだぜ!」
「ゆ、ちぇん、まりさ!あそこのとうめいなかべさんが、あいているよ!」
「においも、そっちからするんだぜ!」
「はしるんだねー」
大きな人間のおうちの、透明な壁の一つが開いている。
以前は、大きな石さんをぶつければ、透明な壁を壊すことが出来たのだが、何故か最近は、壊せなくなってしまった。
先日、将来を有望視されていた若いまりさが、透明な壁に石をぶつけたら、跳ね返ってきて自分自身に当たり、
片目が潰れてしまう事故があった。
だが、開いていれば関係ない。近づくと、そばに壊れた台座が転がっており、それを足場に、窓枠に乗る。
中を覗き込み、人間はいない事を確認する。と、匂いを発生源であるあまあまが、部屋の中央に置かれていた。
「ゆわああああ!」
「あまあまだぁ」
窓枠から床まで結構な高さがあったが、矢も盾もたまらず部屋に飛び込む。ちぇんが真っ先に、あまあまに辿り着く。
「ちぇんのすーぱーむしゃむしゃたいむ、はじまるんだよー」
「ちぇん、ずるいよ!」
「ひとりじめはゆっくりしてないのぜ!」
場面は変わって、ここはリビング。
パソコンのディスプレイに、加工所製クッキーに喰らい付こうとするちぇん。後に続くまりさ、れいむの姿が映っている。
「ちぇんのすーぱーむしゃむしゃたいむ、はじまるんだよー」という声も聞こえている。これはスピーカーからと、
玄関の隣の部屋から扉越しにも聞こえてくる。
『来た来た、きやがった』
「たべると、ばーん、なんだよね!」
『おう、そうだ。見てろ。』
ディスプレイに映るちぇんは、クッキーを3枚咥え、むしゃむしゃと咀嚼した。
「むーしゃむーしゃ、しししししあ(ばあああああん!!!)あ?」
「ゆあ?!なに?」
「ちぇ、ちぇんがぁ!!」
噛むと爆発するかんしゃくクッキーが爆発!
『よっしゃあ、爆発した!』
「あははは、くちがふっとんじゃった!」
思わずハイタッチをする俺たち。
さてと、と俺たちは立ち上がり、隣の部屋に向かう。
ガチャリ、と扉を開け、室内に入る。口が破砕して息絶えたちぇん、そして驚愕の表情のまりさとれいむ。
「ゆゆ、にんげん!」
「そうか、あのにんげんが、ちぇんをころしたんだよ!このあまあまは、にんげんのひきょうなわなだったんだよ!」
「ゆゆううううう!!れいむ、さがっているのぜ!!」
ごちゃごちゃ言ってる野良どもは完全無視。俺とすいかは部屋に入り、扉を閉めた。
『まずはれいむからだ。まりさは俺がどかす』
「うん!」
そういうと、俺は前に出てきたまりさに、どたどたと走り寄った!
「やい、くそにんげん!!ちぇんを・・・」
『ドライブシュートだぁ!!!』
俺は左足を軸足に強く踏み込み、縦回転がかかるようまりさの顔面を蹴りこんだ!!
ドゴオオオォォォォッォン!!!
「ゆぐば?!!!!!!」
ぽきぽきと、硬いものが砕ける感触が足に残った。歯が砕けたのだろう。
まりさの体は、ドライブ回転によって、山を画く様な軌跡で吹っ飛び、
ビダアアアアァァァァァン!!!
壁に叩き付けられた!!
「ゆゆゆが!!!ゆげっ!!ゆげがっ!!」
「ま、まりさぁ!!」
おお、痛がってる。人間と違って腕で体を守るとか、受身とか取れないからな。
まあいい。さしあたって目標はれいむだ。俺はれいむの後ろ、すいかはれいむの前にしゃがみ込み、
れいむにマシンガンパンチをかます!
ドカ!バキ!ドカ!バス!
『オラオラオラオラ!』「しねしねしねしね!」
「ゆが?!ゆが!やべて!なにすぶ!!」
ボカ!ドス!バゴ!バス!
『オラオラオラオラ!』「しねしねしねしね!」
「いじゃい!まり!たすべ!ゆぎゃあ!!」
この餡子の詰まった小麦粉の肌に、こぶしを入れる感触がたまんねー!
すいかも生き生きとしているな。元気になってくれて嬉しいよ。
と、
「ゆぐぐぐぐ・・・なんでくそにんげんなんかに・・・ゆゆう!れ、れいむになにをするのぜえぇぇ!!」
背後で声がすると思ったら、まりさが復活したらしい。
うるさいね。お前の出番はしばらく後だよ。
まりさは無視して、れいむに正拳ストレートを連打!
『オラオラオラオラ!』「しねしねしねしね!」
「ぶぶべ!べっ!たすげ!ぐぎゃあ!!」
「やべるんだぜ!れいむをはなぜええ!!」
どすん、と背中をどつかれた気がする。が、勿論気にせずれいむに向かって打つべし!打つべし!
『オラオラオラオラ!』「しねしねしねしね!」
「ゆげぼ!ゆわば!ゆべし!しんじゃべ!!」
「やめるんだぜ!やめるんだぜ!どおしてやめないのおおぉぉ!!!!」
当たり前だ、ゆっくり如きが人間を止められるか。
こんな時、やせがまんなんかするんじゃないのぜ!!とか言っちゃうんだろうけどね、それも通用しないね。
痩せ我慢しながら、れいむを殴り続けてるなんておかしいもんね。
さてと、ただ殴り続けるのもいい加減つまらん。いい具合にれいむの体も傷だらけで、餡子が漏れ出している。
そろそろ有終の美を飾らしてあげましょう。
俺はれいむを持ち上げ、立ち上がった。すいかも立ち上がる。
「お、おしょら・・・」
「ゆ、れいむをおろせえ!」
『行くぞ、すいかぁ!』
「あいよ!」
俺は、れいむを宙に放り投げる。すいかはこぶしを作り、腰を屈めると、
「しょーりゅーけーん!!」
「ぎゅがああああ!」
腰に捻りをいれ、アッパーを繰り出しつつ飛び上がり、れいむを突き上げる!
腰の捻りはれいむにも伝わり、れいむは水平に激しく回転しつつ吹っ飛んだ!
そのまますいかは、ふわりとスカートをなびかせつつ華麗に着地した。
「こんどはおにいさんだよ!」
『よーし行くぞ!』
「や、やべてえええ」
足元の叫びは無視し、空中を舞い続けるれいむに合わせ、俺はショルダータックルのように、
肩を大きく前に突き出しつつ、思いっきり踏み込み、
『タイガーアッパーカッ!!』
「ぎょぴょおおおぉぉぉ!」
回転などはかけない、純粋なアッパーカットをれいむに炸裂させた。
極限までの高い飛び上がりにより、アッパーによって突き上げられたれいむに、更にアッパーの衝撃が襲う。
そのまま俺は、空中で宙返りをし、華麗に着地した。
と、自分のこぶしを見ると、餡子に塗れていた。見上げると満身創痍のれいむの姿。もう限界だな。
俺は、落ちてきたれいむを何度かリフティングした後、
『すいか、パスだ!』
すいかに絶妙なセンタリングをあげた!
「よーし、ひくいぼーるにうごきをあわせる!」
「やめて、やめてくださいいいいぃぃぃ!!」
すいかは宙を舞うれいむに動きを合わせ、飛び上がりつつ、体を横に倒し、右足を思いっきり振り抜いた!
「じゃんぴんぐぼれー!!」
ドゴオオオオオンン!!!
「ゆぐがああああああああぁぁ!!」
ガッツを250ぐらい消費しそうな勢いで、空中でのボレーシュートを決めた!
完璧なタイミングでれいむの芯を捕らえている。衝撃はれいむの全身に伝わり・・・
「ゆべっばっっ!!!」
ブバアアアアアン!!!
『うお!』
「わあ!」
れいむの体は、その衝撃に耐え切れず、粉々に砕け散った!
小麦粉の皮も餡子も粉々になって四散する。正しく爆散!である。
『うおお!最高だぜ、ナイスすいか!』
「うっひゃああ!かんぺきにきまったなあぁ!ねえねえまりさ、どうだった?どうだった?」
まりさは、と見てみると、全身にれいむの餡子を浴び、涙目で、痙攣しているように震えて答えない。
余りの惨劇に、現実への認識を拒否しているようだ。
「ねえねえ、どうだったってばぁ。むしするなよー(ぺちぺち)」
「・・・・・・・・・」
「ねえったら、まりさ」
「ど・・・ど・・・・」
「え?」
まりさは、突如すいかの方を向き、叫び声を上げた。
「どぼしてこんなことずるのおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!!まりさたちなにもしてないでしょおおおおおお!!!」
俺たちには敵わないとわかっているのか、怒りはなく、情けない泣き顔で訴える。
するとすいかは、
どかっ!!
「ゆぐうう!!」
まりさの頭を踏みつける。
「そんなこときいてるんじゃないよ!すいかのじゃんぴんぐぼれーしゅーとがどうだったかきいてるんだよ!」
どかっ!どかっ!どかっ!どかっ!
「ゆぐ!ゆぐ!ゆげ!ゆげ!」
まりさの頭を、何度も踏みつけ、更にまりさのお帽子を取り上げた。
「へへーぼうしもーらった」
「ゆゆ!おぼうし!おぼうしかえすんだぜええ!!」
まりさはお帽子を取り返そうとジャンプするが、すいかは高い高いをして取らせない。
「おにいさん、ころころ!!ころころさせてみたい!!」
『お、いいぞ、やろう』
「むしするなあああああ!!!」
俺は、予めこの部屋に置いておいたゆ虐グッズから、プラスチック製の、透明の球体を取り出した。
実は、球体の一部がパカッと開くようになっている。
『ほら、すいか。入れろ。』
「はーい(ひょい)」
「おぼうしかえ・・・ゆ!おそらをとんで!」
そして、球体の中にまりさを放り込む。
「ほれ」
「(どぺ)ぐえ!」
素早く蓋を閉じてロック。すいかに渡した。
すいかにはちょっと大きいが・・・すいか種の特徴である怪力を生かし、両手で抱えた。
「ゆ、ゆ、なんなんだぜ、ここからだすんだぜ」
「よーしいくぞー、ころがれー!」
「ゆ、ゆわわああああ!!」
すいかは、まりさ入り球体を、壁に向かって、成るべくスピードが付くように転がした!
「ゆわ、ゆわ、とまるんだぜええあああああ!!」
まりさは当然、球体の中で一箇所にとどまれず、壁に張り付いて一緒に回転している。間抜けな姿だ。
そして、
どん!
「ゆげ!」
壁に激突!
この球体は、衝撃を吸収してくれるほど頑丈じゃない。まりさは激突の振動をまともに喰らい、球体内でひっくり返った。
すいかは楽しそうに、とてとてと球体に走り寄る。
「ゆげええ、きもちわるい、いたい、きもちわるい・・・」
「ほーら、またころがれえー!」
「ゆわああやめええーー!!」
すいかは球体を俺の方に転がしてきた。俺は、
どん!
「ゆぎゃ!」
受け止めた。勿論壁に跳ね返ってきたところをだ。
そして、
『ほーらすいか!』
ごろごろごろごろ・・・どん!
「ゆぎゃ!」
「おにいさーん!」
ごろごろごろごろ・・・どん!
「ゆぎょ!」
まりさが転がる様子を楽しんだのだった。
何度か転がしていると、まりさが餡子塗れになっていた。
怪我をするわけないし、何事かと球体を止めると、
「ぐええ・・・ぎもじわるい・・・いたい・・・」
『汚いな、餡子吐いたのか』
目を回しすぎて吐いてしまったらしい。
結構な量を吐いおり、致死量じゃないが、まともに動けないだろう。
すいかも近付いて来て、まりさの様子を見た。
「あーもーだめだねこりゃ」
『死ぬまで転がすか?』
「うーん・・・じゃあさいごに、あにゃるをばーんする!」
『ん。じゃやるか!』
俺は球体の蓋を開け、まりさを球体から取り出した。
すいかは虐待グッツの中から拘束具を取り出す。
拘束具とは、分厚い鉄板の中央に、拘束用の金具が取り付けられているもので、
まりさを鉄板上に寝かせて金具で固定すると、まりさは身動きが取れなくなる。
更に虐待グッツから爆竹を4つ取り出す。爆竹は長い導火線が付いているものだ。
すいかは爆竹を、まりさのあにゃるとしーしーあなに、それぞれ2つずつ差し込んだ。
「ゆが!・・・いた、い・・・」
「どうかせんをたばねて・・・」
『テーブルか椅子がいるな』
俺はリビングに戻り、椅子を持ち込んだ。拘束具を椅子の上に乗せ、束ねた導火線は椅子から垂らした。
「よーし、じゅんびおっけー」
すいかはライターを手に取った。
「じゃあ、てんかしまーす」
『いや待て、まりさが気絶したままだとつまらないな』
俺は冷蔵庫から甘みの有るスポーツ飲料を取ってくると、キャップ一杯分だけまりさに掛けてやった。
まりさはうっすらと目を開ける。
「う、あまあま・・・ゆ、か、からだがうごかないんだぜ!」
まりさは何とか目を覚ます。すぐに身動きが取れないことに気が付き騒ぎ出すが、それを合図にするように、
「はーい、てんか!」
すいかは導火線に火をつけた。
「ゆゆ、くずすいか!まりささまになにをしたのかぜ!」
「ああ、くずまりさ、きがついたのぉ?」
じじじじ・・・
導火線についた火は、少々大げさに、音と光を立てて、まりさに向かって進む!
「うわあああ、なんなのぜ!なにかひかってるのぜ!」
勿論まりさに爆竹なんて分かるはずが無い。だが、何やら悪い予感を感じ取り、まりさは騒ぎ出した。
だが、すいかは華麗にスルー。
「あ、まりさ。ぼうしかえすね」
まりさのお帽子を、まりさの腹の上に置いた。
「ま、まりさの、まりさのおぼうしかえってきたのぜ!」
まりさは、起き上がってぺーろぺーろしようと思ったのだろうが、体が動かない。
それに、お帽子を目前に置かれて光が見えなくなったが、音が響き続け、悪い予感をぶり返させる。
「な、なんだかゆっくりできないかんじなのぜ!このおとをとめるのぜ!」
すいかは、何も言わない。勿論俺もだ。
導火線の火は、まりさに押し込んだ爆竹に向かって、確実に進んでいく
「に、にんげん!なにを、なにをしたのぜ!ゆっくりできないことがおきそうなのぜ!」
俺もすいかも、まりさの問いには答えない。にやにや笑いながら、まりさを見下ろすのみ。
「く、くずにんげん!くずすいか!まりささまのめいれいなのぜ!このおとをとめるのぜ!!」
にやにや
「むしするななのぜ!!ことばがつうじないのかぜ!!」
にやにや
「おいぃ!!なんとかいうのぜぇ!!このくずがぁ!!このげすがぁ!!」
導火線の火はまりさに近付く。
「なにをわらっているんだぜぇ!!なにがおこるのぜぇ!!」
導火線の火は、まりさのお帽子の陰に隠れた。俺とすいかは身構える。そして・・・
「いいかげんなんとかいうのぜぇ!!!あっあつ!!」
ババババンッッ!!!!!!!
『わっ!』
「わあ!」
想像以上の大きな音に、思わず後づさった。まりさのお帽子が上空に舞い上がり、煙と火薬の匂いが漂った。
まりさの正面の床に、餡子と小麦粉の切れ端が飛び散っていた。
そして煙が引いていくとそこにいたのは、下腹部を大きくえぐられた、まりさ。
「ゆひ、ひへ・・・」
まりさは、両目を剥き出し、舌を口から出して、凄まじい形相で何か唸っている。
『いやあ、びっくり。あんな小さい爆竹4つでこの威力か』
「ねえねえ、まりさ、いまどんなきもち?どんなきもち?」
まりさに近寄ってみた。どうせもう長くないだろうけど。
餡子の喪失はともかく、爆竹の破裂による衝撃は、ゆっくりには相当きつい筈だ。
案の定、
「もっ、、といゆ、・・・くり」
断末魔。
ぷるぷる震えていた体が、脱力するように動きを止める。
人間の縄張りに、のこのこと足を踏み込んだ間抜けな饅頭は、こうして砕け散っていった。
まりさの壮絶な死に顔を眺め、俺とすいかは満足したように、こぶしをぶつけ合った。
「ううー、いやなにおいだよー、おそうじつらいよー」
『ごめんなすいか、次は消臭剤も買うから』
お掃除とお方付けが終わるまでが、ゆ虐です。
5.
後日、大学キャンパスにて。
『そう、すいかちゃんも満足してたの。よかったわねえ』
『ああ、お陰で。これからも少しずつ、機材を買っていくよ。小物のゆ虐グッズばかりじゃ飽きるだろうし』
『だったら私、ゆ虐同好会のサークルに入ったんだけど、貴方も来ない?部員には古いゆ虐グッズをあげるって』
『・・・そんなサークルあるの・・・』
俺はゆ虐同好会に入会し、サークル活動に参加しつつ、ゆ虐知識を広めていくこととなった。
そして、半年が経過した。
前期の単位は全取得に成功し、夏休みに入った。
俺は、自前で高価なゆ虐グッツを購入できるようにとコンビニでのバイトを始め、簿記検定2級の勉強も行っていた。
更に並行して、公務員試験の勉強も始めている。
今日も今日とて、アパートで冷房を効かせながら、勉学に没頭する。
「おにいさーん、おこめといでおいたよー」
『お、ありがとうすいか』
簡単な家事なら任せられるようになったすいかが、とっとっと、と近付いてきた。
俺は、すいかの頭を撫でてやる。
顔をほころばせて喜んだ後、すいかは、玄関隣の部屋に入っていった。
そこには、ゆ虐グッズが並べられている。ホットプレート、アイアンメイデンのようなもの・・・。
ゆ虐同好会から貰い受けたもので、今や虐待部屋と化したこの部屋は、設備がかなり充実してしまった。
すいかは部屋の隅の、加工所製ガラスケースに閉じ込められた、不法侵入ゆっくりどもから、れいむを一匹取り出す。
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい。た、たすけてね、もうにどとおうちにはいらないから、れいむをたすけ・・・」
「さあ、きょうはどんなことをしてあそぼうかねえぇ!んー、ようし、あんよやきだあぁ!!」
ゆっくりの悲鳴を聞きながら、俺は勉強を再開する。
すいかのゆ虐は、遊びとともにストレス解消にもなっているようだ。
何、ストレスが溜まるほど、すいかに仕事をさせているのかって?
いや、させてはいるが仕事量はそれなりだ。すいかが今一番がんばっているのは、バッチ試験のための勉強だ。
家事手伝いをしながら、俺の隣で参考書を読み、俺の出す小テストを答えていく日々。
頑張れよすいか。お前を見下していた奴を見返してやれ!
そして更に一週間後。すいかは銀バッチ試験に合格した。
早速、俺の手で、すいかのリボンに銀バッチを付けてやる。
『おめでとう、すいか。よく頑張った』
「うん!すいかがんばった!でも、きんばっちをとれまでがんばるよ!」
『おう、そうだな。あとこれは俺からの、合格の記念品だ』
俺は、ゆっくりショップで買ってきた瓢箪を、すいかにプレゼントした。
すいか種が喜ぶゆっくりグッズ、「いぶきびょう」だ。
「うわあー、おにいさん、ありがとう。わーい、おさけはいってる!!」
『はは、気に入ってくれてよかった』
今まですいかのご褒美といったら、ちょっと良いおつまみを食わせてやる、ぐらいしかなかったからな。
すいかはいぶきびょうがすっかり気に入ったようで、頬擦りしたり中のお酒を飲んだりしている。
金バッチが取れたら、番を飼ってやろうか・・・。
すいか種の番なら、ゆうぎ種かれいむ種だが・・・れいむは止めた方が良いな、虐待をやりかねん。
ところが4、5日経って、すいかが泣きながら俺のところに来た。
「おにいさーん・・・おさけがでなくなっちゃった・・・」
『え・・・あ、瓢箪からか』
やべ、すっかり忘れてた。
『見てみるから、そこでちょっと待ってなさい、動くなよ』
「?うん・・・」
俺は大慌てでキッチンに移動し、急いでお酒をいぶきびょうに入れた。
『すいか、ストッパーが動いてただけだ。出るようになったぞー』
「え・・・あ、ほんとだ!ありがとう!」
再び笑ったすいかを見て、俺は安堵した。
『やべやべ、トリセツに書いてあったのに・・・』
いぶきびょう使用上の注意:
ゆっくりが寝ている間に、お酒を注ぎ足しておきましょう。
注ぎ足しているところを見られると、ゆっくりはショックを受けます。
過去の作品
anko3278 死を覚悟したにとり 上
anko3279 死を覚悟したにとり 下
制裁 愛情 自業自得 お家宣言 同族殺し 飼いゆ 希少種 現代
1.
『ここだな・・・』
俺は、今日から入居するとあるアパートに辿り着いた。
『思ったより綺麗なアパートでよかった。えーと102号室はと・・・』
部屋は1階の手前から2番目。さっき大家さんから預かったばかりの鍵を取り出し、玄関の扉を、開ける。
新しい部屋の空気が、俺を迎えてくれた。今日からここを拠点に、4年間の大学生活がスタートする。
『当たり前だけど、見事に何も無いな・・・ん?』
開けたままの玄関の扉から、トラックのエンジン音が聞こえる。実家からの荷物が届いたのだろうか。
俺は、背負っていた鞄を下ろすと、小走りに外へ駆けて行った。
俺は、大学受験を何とかパスし、地方から引っ越してきた新入学生だ。
地方って言っても、そんな田舎から来たわけじゃないけどね。
両親はかなり過保護で、学費、引越し費用はもちろん、毎月の仕送りも、俺がバイトをしなくて済むぐらいの額を、
出してくれることを約束してくれた。
引越し先の部屋は1LDKで、家賃は実家のほうで振り込んでくれるそうで、俺は気にしなくていい。
気がかりなのは・・・進学先の大学に知っている奴は誰も居ないって事だ。
いきなりぼっちな大学生活になりそうだが・・・まあ、サークル活動に合コンと。寂しい青春にならないよう、
心がけていこう。
さて、実家から送っておいた、机、椅子、洋服ダンス、本棚などの家具を受け取り、引越し業者の人に協力してもらって、
リビングに運び込んだ。
また小型冷蔵庫とテレビ、コンロも設置。ガスコンロは火がつくことも確認した。一人暮らしにお湯は必需品だからな。
後、必要な大型電化製品は・・・電子レンジ、掃除機、暖房器具、パソコンだな。後日買って来ないと。
玄関脇にも、そこそこ広い部屋がもう一つあるが、この荷物の量だと、当面は空き部屋になりそうだ。
『あ、そういえば・・・』
そうそう、この部屋には一つ問題があった。
リビングと玄関脇の部屋に有る窓ガラスが、ゆっくり対応の強化ガラスになっていないことだ。
この辺りは、野良ゆっくりの数が多く、ゆっくりが家に侵入してのお家宣言による被害が多発していたらしい。
窓のゆっくり対策はどの家でも行われているそうだが、この部屋は、長く入居者が無かったため、未対応だったそうだ。
大家さんは、明日の午後に業者が来て窓を交換するので、その時間には部屋に居るよう言われている。
『ま、いきなり今日明日にゆっくりが来たりはしないでしょ』
・・・分かっている。今の台詞は、死亡フラグだね。
万が一に備えて、小物類や本などは、机の上など高い位置に置いて、侵入を許しても荒らされないようにした。
送ってきた家具なども、壁や角に密着させ、倒れないように心がけた。
一通り、部屋の様子を見て満足したところで、ここに来る途中に目をつけておいたコンビニに行き、食事にお菓子、
お酒などを買って来て、夕食にする。
引っ越し祝いに、友人と馬鹿騒ぎしたいところだけど、離れ離れじゃなあ。
酒も一人で飲んでるんじゃ美味しくないよ・・・。
何、お前はまだ未成年じゃないのかって?
ああ、これは、なんだ、ノンアルコールビールだ。きっとそうだ。
まあ、お酒はともかく、友人と離れ離れになってしまった寂しさに対しては大丈夫、俺には秘策がある。
その秘策とは・・・ま、明日お目にかけよう。というわけで、今日はお休みなさいだ・・・。
で、次の日。
俺は予め場所を調べておいた、ゆっくりショップに来ていた。
『どうも、ありがとうございましたー』
「えへへー、おにいさん、ゆっくりありがとう。これからよろしくねー」
『うん、よろしくな、すいか』
俺は、身長が俺の腰ぐらいしかないほど小さな、2本の角の生えた女の子を引き連れてゆっくりショップを出た。
背丈と比較して妙に顔が大きいのと、リボンに付いた銅色のバッチで分かるとおり、この子は人間じゃない。
胴付きのゆっくりすいかである。
そう、俺の寂しさを紛らさす秘策、それはゆっくりを買うことである。
ペットを飼うのと似たような感覚だが・・・ゆっくりは人の言葉を話すし、情動もある。胴付きなら人の姿に近いので、
犬や猫より、楽しく時間をすごせそうだと思ったのだ。まあ、人それぞれかもしれないけどね。
因みに銅バッチだから安かった。1500円。
れいむやまりさの銅バッチつきなら500円ぐらいだし、生餌用、虐待用なら袋に詰め放題で100円だからな。
何、銅バッチじゃゲス化して扱いが大変じゃないかって?
大丈夫だ、希少種はゲス化しにくい。よっぽど甘やかして、他のゆっくりと比較しておだててやらないと、
すいか種がゲス化することは無い。
両手を挙げてタッタッタと駆け回るすいかを見ながら、俺は時間を確認する。
午後は家に居ないといけないからな。今のうちに食糧も買っておこう。
『すいか、お店に寄っていくよ。荷物持ち手伝ってくれ』
「はいな!」
俺は来る途中で見つけておいたスーパーマーケットに入り、食糧を買い込む。
店内を歩いてみると、胴付きゆっくりって、結構居るもんだ。
れいむ、まりさの他、てんこ、うどんげも居た。
ふと見てみると、
「んー?ふふふん」
「むー!」
他の胴付きがすいかを見て、何やら勝ち誇った顔をしたり、どや顔になったりしてる。すると、すいかは怒って睨み付け、
俺の陰に隠れるのだ。
何だと思ってすいかに聞こうとしたが、その前に気が付いた。
他の胴付きはみな金バッチだった。それで銅バッチのすいかを馬鹿にしてるのだ。
うーん、ちょっとこれは、可哀想だな。
バッチ試験を受けさせてあげる事も考えなくちゃならんか・・・。当人、いや当ゆんの希望しだいだが、絶対受けたがる。
などと考えながら、買い物を終え、俺はアパートに戻った。鍵を開け、緊張するすいかを部屋に入れてやる。
「おじゃまします!ただいま!」
『ただいまだけでいいんだ。先に上がって奥行ってろ』
「はーい」
ちゃんと靴を脱いであがり、とっとっと、とリビングに向かう。俺は荷物をおいて、靴を脱ごうとした。
と、
「ねえー、おにいさーん」
『ん、何だ』
「まりさなんて、かってないよねぇ」
『え?』
まりさだと?と、前を見ると、すいかがまだ子ゆっくりのまりさを掴んでる。右手に一匹、左手にも一匹。
そして、すいかの足元にも。
「いちゃいいいいい!!はなしちぇえええ!!」
「おちょらをちょんで!!ちゅ、ちゅびゅれりゅううううううう!!」
「ゆんやああああああ!!いもうちょをはなちぇえええええええええええ!!」
同じく子まりさが、すいかに体当たりしている。更に、成体のまりさ、恐らく親か、が餡子を吐いて倒れている・・・。
2.
何だ何だ、と慌てて靴を脱いで、身元不明のまりさを見ようとする。
倒れている成体まりさの、近くの戸棚が開けられ、スナック菓子が袋から床にこぼれ落ちているのを見て、
取りあえずまりさが餡子を吐いて倒れている理由は分かった。
あれは、昨日買ってきた激辛スナックだ。余りの辛さに食べきれず、残したんだっけ。
家を出るとき、ゆっくりが進入してきたことを想定して部屋を再確認したが、このスナック菓子は、
取られたら取られたでトラップになるだろうと、棚に入れたのをそのままにしてたら・・・ご覧の有様だよ。
「ゆっゆっ、おい!はなちぇ!すいかのくちぇにぃい!!」
「うっるさいなあ、ちょっとだまってなよ」
「おみゃえのほうがうるちゃいんだじぇ!!くずすいかが、まりしゃしゃまにえらちょうにしゅるんじゃないのじぇえ!!」
「くちわるいなあ、このこ」
それはともかく、こいつらは、まあ、
『野良が入ってきたのか』
俺はそう言うと同時に、すいかの隣をすり抜け、リビングに移動する。
窓が割られていた。そして、こぶし大の石も、ガラスの破片や泥に混じって、不自然にリビングに転がっていた。
人間がこの部屋に入居したのを目ざとく見つけ、あまあまを求めて入り込んだんだろう。
『あーあ、部屋を汚しやがって』
「やっぱりこいつら、のらなんだね、おにいさん。あーあまどさんが・・・」
「おい!にんげん!いもうちょちゃちを、ゆぎゅ!!おちょら!!」
すいかと一緒に、3匹目の子まりさまで着いてきたので、左手でぐわしっと掴んでやった。気持ち悪いから潰しはしない。
部屋の損害状況を確認すると、リビングは、窓が割れて、床と家具が汚れているだけだ。後、台所の戸棚が開けられて、
スナック菓子を少し食べられただけだ。
高い位置に置いておいた、本や小物はすべて無事。窓は取り替えるし、スナック菓子は諦めよう。被害は軽微だ。
と、
「やい、げしゅにんげん、ここはまりしゃたちのおうちにゃんだじぇ!!にんげんとすいかはでていくにょじぇえ!!」
『はいはい、ゆっくりゆっくり』
しっかり、おうちせんげん済みか。まあ当然だわな。
俺は子まりさを、目線の高さまで持ち上げ、顔を近付けた。
子まりさの目を睨みつける。
『おい、うるせえぞ糞饅頭。出て行かせてえんだったら、やって見やがれ』
ドスの効いた低い声で脅しをかけた。相手は所詮子ゆっくりだ、これで怯えて黙ると思ったのだが。
それでも、子まりさは動じない。
子まりさは、あごを引き、口の中をなにやらグニュグニュと動かした
(ん?・・・まさか?!)
俺はあわてて子まりさから顔を離した。それと同時に、
「ぺっ!!」
『うわっ』
俺の顔に唾を吐きかけようとしやがった!
顔を離したのが幸いして、唾は俺の顔を逸れて飛んだ。
『こいつ・・・』
ゲスゆっくりは今まで何度も見てきたが、これほど俺を怒らせたやつもいない。
こいつも、他のゆっくりも、逃がしてやるなんて甘っちょろいことは言わねえ。
そう思ってすいかの方を見てみると・・・
「ぐじゅぐじゅするんじゃにゃいのじぇえ!!はやくおろちぇ!!おとうしゃんもたしゅけろぉおお!!」
「おとうさんって、このあんこはいてるまりさ?もうしんでるんじゃない(ぐにぐに)」
「ゆ・・・ゆげ・・・」
「あ、いきてる」
「おとうちゃんをけるにゃああ!!このげすすいかぁ!!」
「げすにげすなんて、いわれるすじあいないね。かってにひとのいえにはいって、からいものたべてきぜつして。
ばっかじゃないのさ」
『そうだ。すいかはゲスじゃないぞ。うちの立派な飼いゆっくりだ。お前みたいな他人や他ゆんに迷惑を掛ける、
ゆっくりとは違うんだよ』
「くずすいかが、かいゆっくり?でもばっちしゃんが、きんいろしゃんじゃにゃいよ!」
「な!」
すいかの顔色が変わる。
「ふんじゃ!まりしゃがかいゆっくりににゃったら、しゅぐにきんばっちににゃれるよ!!くずすいかは、
どうばっじで、ゆっくりしちぇにゃいにぇえ!げらげらげら!」
「このまりさ・・・」
こいつ、親が元飼いゆなのか、元飼いゆの知り合いでもいるのか、子ゆっくりのくせにバッチに詳しいな。
お陰で、もはや同情の余地がないくらい、俺のすいかを馬鹿にしてくれた。
「しゃあわきゃったら、くずすいかとくずにんげんは、はやきゅおとうしゃんをたしゅけるんじゃぜえ!
しょして、まりしゃにあまあまをもってきゅるじぇえ!」
「しょうしたら、しゃっしゃとここきゃらでていきゅんだじぇえ!」
「いや、くずすいかとくずにんげんは、どれいにしちぇやりゅんだじぇえ!げらげらげら!!」
俺とすいかは顔を見合わせた。
お互いににやり、と笑う。こいつらをたっぷり痛めつける、と目で意思統一を行った。
「さて、とりあえず、おとうさんをたすけろ、ね」
『助けるには、オレンジジュースを掛けるか、甘いものを食べさせるしかないが・・・今はどっちも無いな』
「あまあまはあるよ、おにいさん」
『そうだな!』
俺は、掴んでいた子まりさをすいかに渡すと、気絶している親まりさを拾い上げた。
すいかは3匹の子まりさを器用に掴む。
俺は親まりさの上あごと下あごを掴み、口を上にして広げた。すいかは、親まりさの口の上に、3匹の子まりさを
持ってきて構えた。
『よーし、あまあまだぞまりさ。すいか、やれ!』
「はいな!」
「なにをしゅるのじぇ、げすすいかぁ!!」
「ぎゅーーー、とね」
「ちゅ、ちゅびゅれりゅうううううう!!」
すいかは、3匹の子まりさを、クリームを搾り出すように締め上げた。
「ゆぎゃああああ!!いちゃいいちゃい!!」
「ちゅびゅれりゅ!!ちゅびゅれりゅううううう!!」
子まりさの体内の餡子は、下腹の方に押しやられて、下半身の小麦粉の皮がみちみちと音を立てる。
このままでは破裂してしまう!と思ったが、
ぶりゅっ!!ぶぼっ!!
3匹の子まりさのあにゃるから餡子がほどばしり、親まりさの口の中に落ちていった。
すると、
「むみゅ、ゆゆ!」
『お、気を取り戻した』
「あ、あまあま、あまあまなんだぜ!しあわせー!」
俺が口を広げているのに、よくまあ器用に喋れるものだ。
親まりさはムカつく笑顔を取り戻した。目も見開いて、俺の姿に気付いた様だ。
「ゆ、にんげん。あまあまとは、なかなかきがきいてるのぜ!だがまりささまには、まだまだたりな・・・」
親まりさは、ぐだぐだと口上を述べながら、視線を俺からあまあまの出所へと移す。
自分の食べたあまあまの正体に気付いたようだ。そう、そのあまあまとは、
「まりちゃの、あんこしゃんが・・・」
「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ」
「やべちぇ、たしゅけちぇ・・・」
自分の子ゆっくりのあにゃるから捻り出されたものであると。
その現実を受け止めるのにたっぷり30秒は固まった後、その表情が恐怖に凍りついた。
「ゆゆゆゆゆゆあああああ!!!お、おちびがあああ!!!ゆ、ゆげえ」
『おっと吐かせん!』
俺は親まりさの頭とあんよを掴んで押さえつけ、口を開かせまいとした。更に、頭とあんよを動かし、
親まりさの口の中にある子まりさの餡子を、無理矢理咀嚼させた。
『ほら喰え!喰え!喰え!!あまあまなんだから喰え!』
「むにゃ!むにゅ!やべて!しあわせー!やべるんだぜ!しあわぜー!」
『口を押さえてても喋れるんだね』
「へ、へべえ!!やめるんだぜくずにんげんげん!!まりさのおうちでなにをやってるんだぜ!!」
『へへー、ここお前の家?お前、何自分の家で気絶してんの』
「ゆゆ!あのどくをしかけたのはおまえかなのぜ!!このくずにんげん!!くそにんげん!!げすにんげん!!」
『お前、自分の家に毒を仕込まれて、喰っちまうとかなんだよ、馬鹿すぎるだろ、ゆっくりの限界を超えた馬鹿だろ』
「ゆあああ!!なにいってるんだぜ、くそじじい!!おまえがこんなことしたのぜ!!はやくどげざしてあやまるのぜ!!」
「ねえねえ、まりさぁ」
「ゆ?!くずのすいかがいるのぜ!!いまとりこみちゅうだから、だまってるのぜ!!」
「おちびちゃん、もうしんじゃいそうだよ」
「ゆ?!」
すいかに言われて、親まりさは視線を子まりさに戻す。
「ゆっ、ゆっ、ゆっ、あん、きょ、が、が、」
「も、もっちょ、ゆっぐ・・・」
「お、とう、ちゃ」
「ゆああああおちびぃぃぃぃいいい!!!ゆっぐり!!ゆっぐりするのぜええええええ!!」
ようやっと、子まりさの危機的状況を理解したようだ
というか、子まりさはもう限界だろう。親まりさも十分失礼な奴だし、制裁は親まりさに移行しよう。
俺は再び、親まりさの上あごと下あごを掴んで口を広げた。
『すいか、子ゆを喰わせてしまえ』
「ほいさあ」
すいかは、掴んでいた3匹の子まりさの残りを、親まりさの口に放り込み、ぱんぱんと手を払った。
「ゆげ!!おちびがあ!!」
すかさずすいかは、俺から親まりさを受け取った。
さっき俺がやったように、親まりさの頭とあんよを掴んで動かし、口に放り込んだ子まりさ達を咀嚼させようとする。
「ほら!たべろ!たべろ!むーしゃ!むーしゃ!むーしゃ!むーしゃ!」
「むにゃ!むしゃ!むにゃ!むしゃ!しあわせー!やべろ!しあわぜー!しあわせー!おちびがぁ!」
更にすいかは、親まりさの顔面を殴る!殴る!殴る!
「いい、から、のみこめ、ほら!」
「ゆべ!ゆべ!ゆぼ!ゆぼ!しあわせー!たた、たべちゃったのぜええ!」
「あ、あんこでてきちゃった」
すいかが殴りすぎたのか、親まりさの頬が破れて、餡子が出てきていた。
「ゆゆ!!いだい!いだいのぜ!おちびが!あんこがあ!!」
「んーーー」
さっきまでの威勢はどこへやら。泣き叫ぶまりさを前に、すいかは何やら考えた後、
「ほれほれ(ぐにぐにぐちゅぐちゅ)」
「ゆぎゃああああ!!いだあいいい!!」
傷口に指を突っ込み、掻き回した。これは痛いだろう。
親まりさの悲鳴をものとせず、傷口が更に広がるのも気にせずに、なおも掻き回すすいか。
「ぐぎゃああああ!!やべて!!いだい!!いだい!!いだああああ!!」
更にすいかは、傷口部分の皮をつまみ、桃の皮を剥くように、小麦粉の皮を引っ張って剥いだ。
ベロンと、内臓にあたる餡子が晒される。
「が!ぐがああああああああああああ!!!」
ゆっくりの叫び声とは思えない絶叫がほどばしる。それでもすいかは、親まりさの皮を剥ぐのを止めない。
親まりさの体の下半身正面からあんよにかけて、餡子が丸出しになった。
餡子がぼとりぼとりと、床に落ちる。
「ぎょえ!!!ぎゅぎょおおおおおおおおおおお!!!」
「ああん、あんこがこぼれちゃうなあ」
『おっと、それなら・・・』
俺は小物の中から木工用ボンドを取り出し、更に近くに置いていたヘアドライヤのコンセントを差し込んだ。
親まりさの体の、餡子の露出部分にボンドを垂らし、表面を固めるように伸ばし、ドライヤの風を当てる。
「ぎゃあああああ!!!やめでええ!!!あああああああ!!!じぬうううあああああああ!!!」
『よし、少し固まった』
「さっすがおにいさん」
『そこの台の上でやりな』
「うん」
気を付けてやれば餡子は漏れにくくなったので、台所のステンレス台の上に親まりさを乗せ、作業?を続行させる。
親まりさも大きさはバスケットボールぐらいあり、軽くはない。ずっと抱えていれば、すいかも疲れるだろう。
どうでもいいが、親まりさの悲鳴も凄まじい。近所迷惑になるな。
「さあ、どんどんいくよ!びりびりびりぃーー」
『ボンドをぺたぺた、と』
「びりびりぃ」
『ぺたぺた』
「ゆぎゃひ、ゆぐふ、ゆっ、ゆっ、ゆっ」
背中も顔面も、頭部も髪の毛ごと皮を引っぺがし、餡子を完全に露出させた。
今のまりさの姿は、餡子の塊に、2個の白玉の目玉と、砂糖細工の歯が付いてる状態だ。
「ようし、きれいにむけましたぁーー」
『ほらまりさ、お前の外側だ』
「ふひっ、ふひっ、ふはっ、ふはっ」
大きく裂け目はあるが、丸々残っているまりさの皮を、頭の部分に帽子を乗せて、まりさの前に置いてやった。
中身が無いから、すぐにふにゃっと潰れてしまったが。
「ゆひーーー、ゆひーーー」
皮だけの自分の姿を見て、まりさは涙を流しているが、まともに喋る事ができない。
神経が露出しているような状態だ。少し空気が動いただけで、全身が痛いはずだ。
「まあまあ、そんなになくなよー(ぽんぽん)」
「!!ゆぎーーーー!!ぐーーーー!!」
そんなに落ち込むな、元気を出せと、すいかはまりさの頭を軽く叩いてやった。それだけで壮絶な痛みに襲われたようだ。
見ていて飽きない・・・と言いたい所だが、飽きた。この大きい餡子の塊を、どうしてくれよう。
『さてと、どうするこいつ』
「うーん、とくになにもかんがえてない・・・おにいさん、なんかないかなーー」
『そうだな・・・』
俺は何か無いかと見回したが、実家から持ってきた、大きめの鍋が目に留まった。
よし。
『風呂に入れてやろう』
俺は鍋に、少し水を入れると、火にかける。
そして、まりさを両手で掴んで持ち上げ、
「ゆぐぐぐーーー!!ゆがががーーーー!!!」
鍋に入れた。
大きさは大丈夫か、と思ったが、ぎりぎり鍋に収まった。
水かさも、まりさの目の直ぐ下あたりになった。良い塩梅だ。
「ーーーっ!!ーーーっ!!」
痛みと恐怖で、まりさの悲鳴は声になっていない。
目をこちらに向けて、涙を流しながら、助けてくれと視線で哀願している。
でも、残念だったなまりさ。言葉にしないと通じないことは、世の中には数多くあるのだ。
「お、お、あったまってきたよ!」
うむ、水面に泡が盛んに出始めた。まりさの体も、少しずつ餡子が崩れ始めているな。ボンドで薄く固めただけだしね。
と、
「がばぁあ!!た、、す、け、、、」
まりさが大きく口を開けて何か喋った。最後の力を振り絞って、命乞いをしたんだろう。
つーか、歯、無くなっちゃってるね。溶けちゃったんだね。
更に、大きく口を開けたものだから、まりさの体の中にお湯がたっぷりと入った。
もう湯気が出るぐらいに、水温は上がっている。体の融解が早まることだろう。
「ああ」
『あー、崩れるな』
とうとう頭が崩れ始めた。口にお湯が入ったせいで、口から上部の崩壊が早まったようだ。
餡子にちょこんと乗っかっていただけの目玉も、融解した餡子上で、ぷかぷかと浮かんでいる。
「ん、もうしんじゃったかな」
『だろうな・・・いや』
浮かんだ目玉をよく見て、俺は思った。死んでいない。まりさはまだ死んでいない。
だって、目玉はゆらゆらと蠢いているが、瞳孔の部分は、俺とすいかを見続けているのだ。
確かに、溶けてるのは頭部が主で、胴体はまだかなりの量が溶けずに残っている。中枢餡は胴体に守られているのだろう。
中枢餡が無事でも、大量の餡子を喪失すればゆっくりは死ぬはずだが・・・
推測だが、餡子は中枢餡から完全に離れないと、喪失した状態とはならないのではないか。
溶けていても今のまりさの様に、中枢餡と餡子続きの状態で接していたなら、生命維持の餡子として有効なのだろう。
体が溶けている状態を、今まりさが感じているのならば、果たしてそれはどのような感覚なのだろうか。
水温は上がり続けている。
餡子が焦げることがあれば、今度こそその餡子は、生命維持の役を果たさず、まりさは死ぬだろう。
「うーん、おにいさん。すぷーんかりていい?」
『お、いいぞ』
すいかは、大き目のスプーンを取ると、まだいくばか溶け残っている頭部を掻き回し始めた。
胴体部も側面をスプーンで突っつき、少しずつ崩していく。
胴体が僅かに動く。痛みに身悶えているのだろう。だが、もはや救いは死しかない。
側面を崩し続けていくと。
「あ、このかんじは、ちゅうすうあんだね」
『ほう』
中枢餡を掘り当てたらしい。スプーンでつつくと、大きく揺れ動いた。
中枢餡が刺激を受ける苦痛には耐えられないらしい。脳みそを掻き回されるようなものだろうからな。
「おうおう、かわいそうにねえ。でもあんしんしな、もうげんかいだろうから」
『沸騰し始めたな』
水面は激しく泡立ち始めた。融解が早まる。何より中枢餡が露出してしまった。最早ここまでだろう。
すると、僅かに胴体から、何かが聞こえた。
「も、も、」
「え?」
『何か、聞こえ・・・』
「っと、ゆ、くり・・・」
断末魔か。口の形状は残っていなかったのに、どうやって声を発したのか。
目玉の瞳孔も、あさっての方向を向いていた。まりさは死んだのだ。
「いやー、すっきりー!」
『うむ!少しばかり落ちが弱かったがな!』
「すっきりー!」
こうして俺は、不法侵入をやらかしたゲスなゆっくりから、住居を守ったのだった。
3.
その後、まりさの餡子は生ごみとして捨て、30分ぐらいかけて鍋を洗った。甘いにおいがなかなかとれず、苦労した。
夕方近くになって、ようやく業者の人たちが来て、窓ガラスを交換してくれた。
これで、戸締りを忘れることの無い限り、野良ゆっくりに侵入を許すことは無いだろう。
そして夜・・・
「かんぱい!」『乾杯!』
んぐ、んぐ、んぐ、と缶ビール(ノンアルコール?)をあおる俺たち。
「いやあ、さいこう!やっぱりあたしぁ、おれんじじゅーすさんより、おさけさんだね!」
『そうか、流石すいか、良い飲みっぷりだな!』
これだよこれ!俺は酒を付き合ってくれる奴が欲しかったんだよ!
酒好きの友人を作ったとしても、毎日呼ぶわけにはいかないしな。
ただ、飲む割にはあんまり食べない。
食事はゆっくりフードではなく、俺と同じ様にしようと、小さめの弁当を買ってきたのだが、
「うー、もうたべられない・・・ぽんぽんいっぱいでくるしい・・・」
『ん、そうか?』
半分ほど食べるとギブアップした。
そりゃ俺と比較すれば体格差はあるが、人間の子供でももう少し食べそうな気がするが・・・
何はともあれ、俺とすいかは、安酒ではあるが夜が更けるまで飲んで酔っ払い、リビングで引っくり返って寝てしまった。
何、ノンアルコールビールで何故酔っ払うのかって?
それはなんだ、気分だ、気分。
まあ、こんなことがあってから、一週間が経過した。
大学では、1年度前期がいよいよ始まる。この期はバイトをしないと決め(前述通り金銭的に余裕があるため)、
多めに講義を選択した。
ここは大学の図書室兼資料閲覧室。
『きゃははは、すいかちゃんが野良を撃退ねえ』
『撃退ってほどでも・・・俺もいたし。』
『しかも皮を引ん剥いた挙句、お湯攻めでしょう。すいかちゃんもいい趣味してるわね』
『お湯攻めは、俺が提案したんだけどさ。でもすいかも楽しそうにやってたな』
この女の子は俺と同じ一期生で、最初に受けた講義で隣りに座ったので、知り合いになったのだ。
少し話をした後、この子がゆっくり愛好家だったので、その後に頻繁に会うようになった。
ちなみに、愛好家というのは、愛で系ではなく、ゆっくり虐待愛好家、だ。
『で、その後は。すいかちゃんはどんなゆっくり虐待をしてるの』
『やってないよ、野良に侵入を許すなんて、あれ以来無い。・・・だけど最近、すいかは元気無いな』
元気が無いってほどでもないが、つまんなそうにしてる。
胴付きっていってもゆっくりだ。ゆっくりしていれば満足するかと思っていたが、個体差があるのだろうか。
それともすいか種はアグレッシブなのかな。
『可哀想じゃない。飼い主がそこを察してあげなきゃ。虐待の機会を与えるべきよ。貴方も好きなんでしょ』
『ひでぇ。まあ、ムカつくゆっくりを叩きのめすのは気分が良かったけど』
『やるんだったらほら、ネット上にこんなものも・・・』
そういうと、目の前にある資料検索用のパソコンを操作しだした。因みにネットにも繋がっている。
彼女は、マウスを操作し、俺にホームページを見せた。とある通販サイトだった。
『へえ、これは・・・』
そして、また時は過ぎ、あれから二日後。
今日は土曜日なので、大学は休みだ。俺は自宅で、まだ購入して間もないパソコンを使い、家計簿を作成していた。
と、
ピンポーン
「あ、だれかきた。すいかがでるねー」
『お、頼む』
とてとてとて、とすいかが玄関に駆けて行く。扉の開く音と、宅急便でーす、という声が聞こえた。
来たな、と、俺も席を立つ。すいかが、小さめのダンボールを抱えて戻ってきた。
「おにいさんのおなまえをかいて、うけとったよー。これなあに?」
『これはな、通販サイトで購入した、ゆっくり虐待グッツだ』
「え、え、ぎゃくたい?ゆっくりを?ほんとう?これ」
そう、あの女の子から教えてもらった通販サイトとは、加工所のグッズ購入サイトである。
殴る蹴るだけじゃなく、虐待も楽しくやればすいかも元気に・・・と思ったのだが。
もうすでに元気になった。虐待なんて物騒な話を笑顔で言うあたり、本当に好きになったんだな。
まあ、それはともかく、ダンボールを開けて、中を確認しよう。
最初に取り出したのは、お菓子袋。袋を開けて中身を取り出す。クッキーだ。
「うわ、あまあま!すごくいいにおい!」
俺はさほど匂いを感じない。ゆっくりにしかわからない匂いなのだ。と、商品紹介文に書いてあった。
一枚ずつ取り出しては、手頃な皿に移していく。
『すいかは食べるなよ、危ないからな』
「え、あぶない?これあぶないの?!」
『おう。こいつは、どこに仕掛けるか・・・そういや、玄関の隣の部屋、使ってないな・・・』
4.
ゆっ、ゆっ、ゆっと、3匹のゆっくり、ちぇん、まりさ、れいむが人気の無いアスファルトの上を跳ねている。
この時間帯は人間の姿が少ない。人間は狩りに出て行くため、おうちを空ける。極まれに、
結界を張ってない人間のおうちがあるので、入り込んでおうち宣言をしてやろう、と探索を続けているのだ。
長のぱちゅりーは、人間のおうちはおうち宣言で手に入れることが出来ない、と訳の分からない事を言う。
馬鹿げている。
おうち宣言は、はるか昔から住処の問題を解決していた伝統有る儀式だ。人間が理解できないなら教えてやればいい。
おうち宣言を理解できないまま歴史を積み重ねることこそ、人間の悲劇であり、ゆっくりが正してやらねばならない。
そんなことを考えながら歩を進めていると、
「ゆ、これは・・・」
「どうしたんだぜ、ちぇん。ゆゆう、このにおいは!」
先頭を跳ねていたちぇんが気付く。続いてまりさも、気付いた。今までに無いぐらいに強い、あまあまの匂い。
「あまあま!あまあまなんだぜ!」
「ゆ、ちぇん、まりさ!あそこのとうめいなかべさんが、あいているよ!」
「においも、そっちからするんだぜ!」
「はしるんだねー」
大きな人間のおうちの、透明な壁の一つが開いている。
以前は、大きな石さんをぶつければ、透明な壁を壊すことが出来たのだが、何故か最近は、壊せなくなってしまった。
先日、将来を有望視されていた若いまりさが、透明な壁に石をぶつけたら、跳ね返ってきて自分自身に当たり、
片目が潰れてしまう事故があった。
だが、開いていれば関係ない。近づくと、そばに壊れた台座が転がっており、それを足場に、窓枠に乗る。
中を覗き込み、人間はいない事を確認する。と、匂いを発生源であるあまあまが、部屋の中央に置かれていた。
「ゆわああああ!」
「あまあまだぁ」
窓枠から床まで結構な高さがあったが、矢も盾もたまらず部屋に飛び込む。ちぇんが真っ先に、あまあまに辿り着く。
「ちぇんのすーぱーむしゃむしゃたいむ、はじまるんだよー」
「ちぇん、ずるいよ!」
「ひとりじめはゆっくりしてないのぜ!」
場面は変わって、ここはリビング。
パソコンのディスプレイに、加工所製クッキーに喰らい付こうとするちぇん。後に続くまりさ、れいむの姿が映っている。
「ちぇんのすーぱーむしゃむしゃたいむ、はじまるんだよー」という声も聞こえている。これはスピーカーからと、
玄関の隣の部屋から扉越しにも聞こえてくる。
『来た来た、きやがった』
「たべると、ばーん、なんだよね!」
『おう、そうだ。見てろ。』
ディスプレイに映るちぇんは、クッキーを3枚咥え、むしゃむしゃと咀嚼した。
「むーしゃむーしゃ、しししししあ(ばあああああん!!!)あ?」
「ゆあ?!なに?」
「ちぇ、ちぇんがぁ!!」
噛むと爆発するかんしゃくクッキーが爆発!
『よっしゃあ、爆発した!』
「あははは、くちがふっとんじゃった!」
思わずハイタッチをする俺たち。
さてと、と俺たちは立ち上がり、隣の部屋に向かう。
ガチャリ、と扉を開け、室内に入る。口が破砕して息絶えたちぇん、そして驚愕の表情のまりさとれいむ。
「ゆゆ、にんげん!」
「そうか、あのにんげんが、ちぇんをころしたんだよ!このあまあまは、にんげんのひきょうなわなだったんだよ!」
「ゆゆううううう!!れいむ、さがっているのぜ!!」
ごちゃごちゃ言ってる野良どもは完全無視。俺とすいかは部屋に入り、扉を閉めた。
『まずはれいむからだ。まりさは俺がどかす』
「うん!」
そういうと、俺は前に出てきたまりさに、どたどたと走り寄った!
「やい、くそにんげん!!ちぇんを・・・」
『ドライブシュートだぁ!!!』
俺は左足を軸足に強く踏み込み、縦回転がかかるようまりさの顔面を蹴りこんだ!!
ドゴオオオォォォォッォン!!!
「ゆぐば?!!!!!!」
ぽきぽきと、硬いものが砕ける感触が足に残った。歯が砕けたのだろう。
まりさの体は、ドライブ回転によって、山を画く様な軌跡で吹っ飛び、
ビダアアアアァァァァァン!!!
壁に叩き付けられた!!
「ゆゆゆが!!!ゆげっ!!ゆげがっ!!」
「ま、まりさぁ!!」
おお、痛がってる。人間と違って腕で体を守るとか、受身とか取れないからな。
まあいい。さしあたって目標はれいむだ。俺はれいむの後ろ、すいかはれいむの前にしゃがみ込み、
れいむにマシンガンパンチをかます!
ドカ!バキ!ドカ!バス!
『オラオラオラオラ!』「しねしねしねしね!」
「ゆが?!ゆが!やべて!なにすぶ!!」
ボカ!ドス!バゴ!バス!
『オラオラオラオラ!』「しねしねしねしね!」
「いじゃい!まり!たすべ!ゆぎゃあ!!」
この餡子の詰まった小麦粉の肌に、こぶしを入れる感触がたまんねー!
すいかも生き生きとしているな。元気になってくれて嬉しいよ。
と、
「ゆぐぐぐぐ・・・なんでくそにんげんなんかに・・・ゆゆう!れ、れいむになにをするのぜえぇぇ!!」
背後で声がすると思ったら、まりさが復活したらしい。
うるさいね。お前の出番はしばらく後だよ。
まりさは無視して、れいむに正拳ストレートを連打!
『オラオラオラオラ!』「しねしねしねしね!」
「ぶぶべ!べっ!たすげ!ぐぎゃあ!!」
「やべるんだぜ!れいむをはなぜええ!!」
どすん、と背中をどつかれた気がする。が、勿論気にせずれいむに向かって打つべし!打つべし!
『オラオラオラオラ!』「しねしねしねしね!」
「ゆげぼ!ゆわば!ゆべし!しんじゃべ!!」
「やめるんだぜ!やめるんだぜ!どおしてやめないのおおぉぉ!!!!」
当たり前だ、ゆっくり如きが人間を止められるか。
こんな時、やせがまんなんかするんじゃないのぜ!!とか言っちゃうんだろうけどね、それも通用しないね。
痩せ我慢しながら、れいむを殴り続けてるなんておかしいもんね。
さてと、ただ殴り続けるのもいい加減つまらん。いい具合にれいむの体も傷だらけで、餡子が漏れ出している。
そろそろ有終の美を飾らしてあげましょう。
俺はれいむを持ち上げ、立ち上がった。すいかも立ち上がる。
「お、おしょら・・・」
「ゆ、れいむをおろせえ!」
『行くぞ、すいかぁ!』
「あいよ!」
俺は、れいむを宙に放り投げる。すいかはこぶしを作り、腰を屈めると、
「しょーりゅーけーん!!」
「ぎゅがああああ!」
腰に捻りをいれ、アッパーを繰り出しつつ飛び上がり、れいむを突き上げる!
腰の捻りはれいむにも伝わり、れいむは水平に激しく回転しつつ吹っ飛んだ!
そのまますいかは、ふわりとスカートをなびかせつつ華麗に着地した。
「こんどはおにいさんだよ!」
『よーし行くぞ!』
「や、やべてえええ」
足元の叫びは無視し、空中を舞い続けるれいむに合わせ、俺はショルダータックルのように、
肩を大きく前に突き出しつつ、思いっきり踏み込み、
『タイガーアッパーカッ!!』
「ぎょぴょおおおぉぉぉ!」
回転などはかけない、純粋なアッパーカットをれいむに炸裂させた。
極限までの高い飛び上がりにより、アッパーによって突き上げられたれいむに、更にアッパーの衝撃が襲う。
そのまま俺は、空中で宙返りをし、華麗に着地した。
と、自分のこぶしを見ると、餡子に塗れていた。見上げると満身創痍のれいむの姿。もう限界だな。
俺は、落ちてきたれいむを何度かリフティングした後、
『すいか、パスだ!』
すいかに絶妙なセンタリングをあげた!
「よーし、ひくいぼーるにうごきをあわせる!」
「やめて、やめてくださいいいいぃぃぃ!!」
すいかは宙を舞うれいむに動きを合わせ、飛び上がりつつ、体を横に倒し、右足を思いっきり振り抜いた!
「じゃんぴんぐぼれー!!」
ドゴオオオオオンン!!!
「ゆぐがああああああああぁぁ!!」
ガッツを250ぐらい消費しそうな勢いで、空中でのボレーシュートを決めた!
完璧なタイミングでれいむの芯を捕らえている。衝撃はれいむの全身に伝わり・・・
「ゆべっばっっ!!!」
ブバアアアアアン!!!
『うお!』
「わあ!」
れいむの体は、その衝撃に耐え切れず、粉々に砕け散った!
小麦粉の皮も餡子も粉々になって四散する。正しく爆散!である。
『うおお!最高だぜ、ナイスすいか!』
「うっひゃああ!かんぺきにきまったなあぁ!ねえねえまりさ、どうだった?どうだった?」
まりさは、と見てみると、全身にれいむの餡子を浴び、涙目で、痙攣しているように震えて答えない。
余りの惨劇に、現実への認識を拒否しているようだ。
「ねえねえ、どうだったってばぁ。むしするなよー(ぺちぺち)」
「・・・・・・・・・」
「ねえったら、まりさ」
「ど・・・ど・・・・」
「え?」
まりさは、突如すいかの方を向き、叫び声を上げた。
「どぼしてこんなことずるのおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!!まりさたちなにもしてないでしょおおおおおお!!!」
俺たちには敵わないとわかっているのか、怒りはなく、情けない泣き顔で訴える。
するとすいかは、
どかっ!!
「ゆぐうう!!」
まりさの頭を踏みつける。
「そんなこときいてるんじゃないよ!すいかのじゃんぴんぐぼれーしゅーとがどうだったかきいてるんだよ!」
どかっ!どかっ!どかっ!どかっ!
「ゆぐ!ゆぐ!ゆげ!ゆげ!」
まりさの頭を、何度も踏みつけ、更にまりさのお帽子を取り上げた。
「へへーぼうしもーらった」
「ゆゆ!おぼうし!おぼうしかえすんだぜええ!!」
まりさはお帽子を取り返そうとジャンプするが、すいかは高い高いをして取らせない。
「おにいさん、ころころ!!ころころさせてみたい!!」
『お、いいぞ、やろう』
「むしするなあああああ!!!」
俺は、予めこの部屋に置いておいたゆ虐グッズから、プラスチック製の、透明の球体を取り出した。
実は、球体の一部がパカッと開くようになっている。
『ほら、すいか。入れろ。』
「はーい(ひょい)」
「おぼうしかえ・・・ゆ!おそらをとんで!」
そして、球体の中にまりさを放り込む。
「ほれ」
「(どぺ)ぐえ!」
素早く蓋を閉じてロック。すいかに渡した。
すいかにはちょっと大きいが・・・すいか種の特徴である怪力を生かし、両手で抱えた。
「ゆ、ゆ、なんなんだぜ、ここからだすんだぜ」
「よーしいくぞー、ころがれー!」
「ゆ、ゆわわああああ!!」
すいかは、まりさ入り球体を、壁に向かって、成るべくスピードが付くように転がした!
「ゆわ、ゆわ、とまるんだぜええあああああ!!」
まりさは当然、球体の中で一箇所にとどまれず、壁に張り付いて一緒に回転している。間抜けな姿だ。
そして、
どん!
「ゆげ!」
壁に激突!
この球体は、衝撃を吸収してくれるほど頑丈じゃない。まりさは激突の振動をまともに喰らい、球体内でひっくり返った。
すいかは楽しそうに、とてとてと球体に走り寄る。
「ゆげええ、きもちわるい、いたい、きもちわるい・・・」
「ほーら、またころがれえー!」
「ゆわああやめええーー!!」
すいかは球体を俺の方に転がしてきた。俺は、
どん!
「ゆぎゃ!」
受け止めた。勿論壁に跳ね返ってきたところをだ。
そして、
『ほーらすいか!』
ごろごろごろごろ・・・どん!
「ゆぎゃ!」
「おにいさーん!」
ごろごろごろごろ・・・どん!
「ゆぎょ!」
まりさが転がる様子を楽しんだのだった。
何度か転がしていると、まりさが餡子塗れになっていた。
怪我をするわけないし、何事かと球体を止めると、
「ぐええ・・・ぎもじわるい・・・いたい・・・」
『汚いな、餡子吐いたのか』
目を回しすぎて吐いてしまったらしい。
結構な量を吐いおり、致死量じゃないが、まともに動けないだろう。
すいかも近付いて来て、まりさの様子を見た。
「あーもーだめだねこりゃ」
『死ぬまで転がすか?』
「うーん・・・じゃあさいごに、あにゃるをばーんする!」
『ん。じゃやるか!』
俺は球体の蓋を開け、まりさを球体から取り出した。
すいかは虐待グッツの中から拘束具を取り出す。
拘束具とは、分厚い鉄板の中央に、拘束用の金具が取り付けられているもので、
まりさを鉄板上に寝かせて金具で固定すると、まりさは身動きが取れなくなる。
更に虐待グッツから爆竹を4つ取り出す。爆竹は長い導火線が付いているものだ。
すいかは爆竹を、まりさのあにゃるとしーしーあなに、それぞれ2つずつ差し込んだ。
「ゆが!・・・いた、い・・・」
「どうかせんをたばねて・・・」
『テーブルか椅子がいるな』
俺はリビングに戻り、椅子を持ち込んだ。拘束具を椅子の上に乗せ、束ねた導火線は椅子から垂らした。
「よーし、じゅんびおっけー」
すいかはライターを手に取った。
「じゃあ、てんかしまーす」
『いや待て、まりさが気絶したままだとつまらないな』
俺は冷蔵庫から甘みの有るスポーツ飲料を取ってくると、キャップ一杯分だけまりさに掛けてやった。
まりさはうっすらと目を開ける。
「う、あまあま・・・ゆ、か、からだがうごかないんだぜ!」
まりさは何とか目を覚ます。すぐに身動きが取れないことに気が付き騒ぎ出すが、それを合図にするように、
「はーい、てんか!」
すいかは導火線に火をつけた。
「ゆゆ、くずすいか!まりささまになにをしたのかぜ!」
「ああ、くずまりさ、きがついたのぉ?」
じじじじ・・・
導火線についた火は、少々大げさに、音と光を立てて、まりさに向かって進む!
「うわあああ、なんなのぜ!なにかひかってるのぜ!」
勿論まりさに爆竹なんて分かるはずが無い。だが、何やら悪い予感を感じ取り、まりさは騒ぎ出した。
だが、すいかは華麗にスルー。
「あ、まりさ。ぼうしかえすね」
まりさのお帽子を、まりさの腹の上に置いた。
「ま、まりさの、まりさのおぼうしかえってきたのぜ!」
まりさは、起き上がってぺーろぺーろしようと思ったのだろうが、体が動かない。
それに、お帽子を目前に置かれて光が見えなくなったが、音が響き続け、悪い予感をぶり返させる。
「な、なんだかゆっくりできないかんじなのぜ!このおとをとめるのぜ!」
すいかは、何も言わない。勿論俺もだ。
導火線の火は、まりさに押し込んだ爆竹に向かって、確実に進んでいく
「に、にんげん!なにを、なにをしたのぜ!ゆっくりできないことがおきそうなのぜ!」
俺もすいかも、まりさの問いには答えない。にやにや笑いながら、まりさを見下ろすのみ。
「く、くずにんげん!くずすいか!まりささまのめいれいなのぜ!このおとをとめるのぜ!!」
にやにや
「むしするななのぜ!!ことばがつうじないのかぜ!!」
にやにや
「おいぃ!!なんとかいうのぜぇ!!このくずがぁ!!このげすがぁ!!」
導火線の火はまりさに近付く。
「なにをわらっているんだぜぇ!!なにがおこるのぜぇ!!」
導火線の火は、まりさのお帽子の陰に隠れた。俺とすいかは身構える。そして・・・
「いいかげんなんとかいうのぜぇ!!!あっあつ!!」
ババババンッッ!!!!!!!
『わっ!』
「わあ!」
想像以上の大きな音に、思わず後づさった。まりさのお帽子が上空に舞い上がり、煙と火薬の匂いが漂った。
まりさの正面の床に、餡子と小麦粉の切れ端が飛び散っていた。
そして煙が引いていくとそこにいたのは、下腹部を大きくえぐられた、まりさ。
「ゆひ、ひへ・・・」
まりさは、両目を剥き出し、舌を口から出して、凄まじい形相で何か唸っている。
『いやあ、びっくり。あんな小さい爆竹4つでこの威力か』
「ねえねえ、まりさ、いまどんなきもち?どんなきもち?」
まりさに近寄ってみた。どうせもう長くないだろうけど。
餡子の喪失はともかく、爆竹の破裂による衝撃は、ゆっくりには相当きつい筈だ。
案の定、
「もっ、、といゆ、・・・くり」
断末魔。
ぷるぷる震えていた体が、脱力するように動きを止める。
人間の縄張りに、のこのこと足を踏み込んだ間抜けな饅頭は、こうして砕け散っていった。
まりさの壮絶な死に顔を眺め、俺とすいかは満足したように、こぶしをぶつけ合った。
「ううー、いやなにおいだよー、おそうじつらいよー」
『ごめんなすいか、次は消臭剤も買うから』
お掃除とお方付けが終わるまでが、ゆ虐です。
5.
後日、大学キャンパスにて。
『そう、すいかちゃんも満足してたの。よかったわねえ』
『ああ、お陰で。これからも少しずつ、機材を買っていくよ。小物のゆ虐グッズばかりじゃ飽きるだろうし』
『だったら私、ゆ虐同好会のサークルに入ったんだけど、貴方も来ない?部員には古いゆ虐グッズをあげるって』
『・・・そんなサークルあるの・・・』
俺はゆ虐同好会に入会し、サークル活動に参加しつつ、ゆ虐知識を広めていくこととなった。
そして、半年が経過した。
前期の単位は全取得に成功し、夏休みに入った。
俺は、自前で高価なゆ虐グッツを購入できるようにとコンビニでのバイトを始め、簿記検定2級の勉強も行っていた。
更に並行して、公務員試験の勉強も始めている。
今日も今日とて、アパートで冷房を効かせながら、勉学に没頭する。
「おにいさーん、おこめといでおいたよー」
『お、ありがとうすいか』
簡単な家事なら任せられるようになったすいかが、とっとっと、と近付いてきた。
俺は、すいかの頭を撫でてやる。
顔をほころばせて喜んだ後、すいかは、玄関隣の部屋に入っていった。
そこには、ゆ虐グッズが並べられている。ホットプレート、アイアンメイデンのようなもの・・・。
ゆ虐同好会から貰い受けたもので、今や虐待部屋と化したこの部屋は、設備がかなり充実してしまった。
すいかは部屋の隅の、加工所製ガラスケースに閉じ込められた、不法侵入ゆっくりどもから、れいむを一匹取り出す。
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい。た、たすけてね、もうにどとおうちにはいらないから、れいむをたすけ・・・」
「さあ、きょうはどんなことをしてあそぼうかねえぇ!んー、ようし、あんよやきだあぁ!!」
ゆっくりの悲鳴を聞きながら、俺は勉強を再開する。
すいかのゆ虐は、遊びとともにストレス解消にもなっているようだ。
何、ストレスが溜まるほど、すいかに仕事をさせているのかって?
いや、させてはいるが仕事量はそれなりだ。すいかが今一番がんばっているのは、バッチ試験のための勉強だ。
家事手伝いをしながら、俺の隣で参考書を読み、俺の出す小テストを答えていく日々。
頑張れよすいか。お前を見下していた奴を見返してやれ!
そして更に一週間後。すいかは銀バッチ試験に合格した。
早速、俺の手で、すいかのリボンに銀バッチを付けてやる。
『おめでとう、すいか。よく頑張った』
「うん!すいかがんばった!でも、きんばっちをとれまでがんばるよ!」
『おう、そうだな。あとこれは俺からの、合格の記念品だ』
俺は、ゆっくりショップで買ってきた瓢箪を、すいかにプレゼントした。
すいか種が喜ぶゆっくりグッズ、「いぶきびょう」だ。
「うわあー、おにいさん、ありがとう。わーい、おさけはいってる!!」
『はは、気に入ってくれてよかった』
今まですいかのご褒美といったら、ちょっと良いおつまみを食わせてやる、ぐらいしかなかったからな。
すいかはいぶきびょうがすっかり気に入ったようで、頬擦りしたり中のお酒を飲んだりしている。
金バッチが取れたら、番を飼ってやろうか・・・。
すいか種の番なら、ゆうぎ種かれいむ種だが・・・れいむは止めた方が良いな、虐待をやりかねん。
ところが4、5日経って、すいかが泣きながら俺のところに来た。
「おにいさーん・・・おさけがでなくなっちゃった・・・」
『え・・・あ、瓢箪からか』
やべ、すっかり忘れてた。
『見てみるから、そこでちょっと待ってなさい、動くなよ』
「?うん・・・」
俺は大慌てでキッチンに移動し、急いでお酒をいぶきびょうに入れた。
『すいか、ストッパーが動いてただけだ。出るようになったぞー』
「え・・・あ、ほんとだ!ありがとう!」
再び笑ったすいかを見て、俺は安堵した。
『やべやべ、トリセツに書いてあったのに・・・』
いぶきびょう使用上の注意:
ゆっくりが寝ている間に、お酒を注ぎ足しておきましょう。
注ぎ足しているところを見られると、ゆっくりはショックを受けます。
過去の作品
anko3278 死を覚悟したにとり 上
anko3279 死を覚悟したにとり 下