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anko4457 およめさん宣言するよ! (前) 新郎さんは大変だ
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『およめさん宣言するよ! (前) 新郎さんは大変だ』 60KB
いじめ 考証 不運 差別・格差 変態 番い 自然界 独自設定 初投稿です
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およめさん宣言するよ!(前) 新郎さん編!
「ほら こっちよ まりさ!」
「ありす! ゆっくり まってね!」
<ピョン!ピョン!ピョン!>
花々が咲き乱れる野原。
二匹の若いゆっくりが追いかけっこをしている。
落ち着いた雰囲気のありすと子供っ気のあるまりさ。
二匹の若いゆっくりが追いかけっこをしている。
落ち着いた雰囲気のありすと子供っ気のあるまりさ。
「まりさ! ありすは ここよ!」
「ありす! ゆっ! ゆっ! つかまえたよ!!」
まりさがありすに追いつけば、ありすがまりさを追いかけ始める。
くるくると野原を行ったり来たりしている。
遊びつかれた二匹は大きな木の下で休んだ。
くるくると野原を行ったり来たりしている。
遊びつかれた二匹は大きな木の下で休んだ。
「あのね! ありすに これをあげるね!」
「ゆ? なにかしら まりさ?」
まりさが黒いお帽子の中から取り出したのは、小さくて可愛らしい木の実だった。
「ありすは どんぐりさんが すきだよね?
まりさは がんばったんだけど おっきいのは みつけられなかったよ ごめんね」
まりさは がんばったんだけど おっきいのは みつけられなかったよ ごめんね」
「ゆふふっ そうねえ… きっと かわの むこうにすんでる かりのじょうずな まりさだったら もっとたくさんみつけられたのかしら?」
そんな風にありすは意地悪く言うとプイッとそっぽを向いた。
「ゆう…」
ありすの喜ぶ顔を期待していたまりさはションボリすると大きな帽子で顔を隠した。
その様子をありすは横目でチラチラと見ている。
その様子をありすは横目でチラチラと見ている。
「ゆゆゆう…」
「…………………………まーりさっ!」
ありすは、まりさのお帽子をヒョイと上げた。
「うーそ! かりが じょうずか どうかなんて かんけい ないの!」
「ゆう…ほんとう? ありす ほんとう?」
「もう! ほんとうよ! まりさの ぷれぜんとだから ありすは とってもゆっくりできるのよ!
まりさが がんばって さがしてきてくれたから ありすは とってもうれしいの!」
まりさが がんばって さがしてきてくれたから ありすは とってもうれしいの!」
ありすの笑顔が見れたまりさは元気を取り戻すと、二匹は再びじゃれ合い始めた。
<ピョン!ピョン!ピョン!>
「まりさはね! まりさはね! どんぐりさんを たくさん みつけるよ!」
「まりさは かりが だいすきなのね! がんばってね!」
「ちがうよ! そうじゃないよ!」
「ゆ?」
「どんぐりさんが あれば ありすが ゆっくりできるからだよ!
ありすが ゆっくりできると まりさも とっても ゆっくりするからだよ!」
ありすが ゆっくりできると まりさも とっても ゆっくりするからだよ!」
「…まりさ」
「まりさは ありすのために まいにち かりを するよ! やまさんを のぼったり もりさんに はいったり
かりは ゆっくりできないけれど ありすのことを かんがえてると がんばれるんだよ!」
かりは ゆっくりできないけれど ありすのことを かんがえてると がんばれるんだよ!」
「も、もう まりさったら!」
真っ赤な顔をしたありすが急に止まると、追いかけていたまりさとぶつかって一緒に野原を転がった。
そしてお互いに汚れた顔を見合わせると笑顔で笑いあった。
そしてお互いに汚れた顔を見合わせると笑顔で笑いあった。
二匹は小さな山の群れの中で、冬の間に産まれたゆっくりだ。
その時期に産まれた子供達は、家族と身を寄せ合って長い冬を乗り越える。
越冬を終えて春になれば、おうちの結界さんを開けて外の世界へと飛び出していく。
そこで初めて風の匂いと太陽の暖かさを知る。
そんなゆっくりとした陽気の中で二匹は出会った。
家族以外の初めてのゆっくり。そして初めての友達だった。
その時期に産まれた子供達は、家族と身を寄せ合って長い冬を乗り越える。
越冬を終えて春になれば、おうちの結界さんを開けて外の世界へと飛び出していく。
そこで初めて風の匂いと太陽の暖かさを知る。
そんなゆっくりとした陽気の中で二匹は出会った。
家族以外の初めてのゆっくり。そして初めての友達だった。
まりさは、ゆっくりしたい時に必ずありすの事を考える。
そしてありすと一緒にゆっくりしていたいと思う。それはありすも同じだった。
まりさが美味しい山の幸を見つけたら二匹で分け合って食べた。
ありすが綺麗な石を見つけたら二匹の宝物にした。
二匹は群れでも評判の仲良しだった。
そしてありすと一緒にゆっくりしていたいと思う。それはありすも同じだった。
まりさが美味しい山の幸を見つけたら二匹で分け合って食べた。
ありすが綺麗な石を見つけたら二匹の宝物にした。
二匹は群れでも評判の仲良しだった。
いつのまにか太陽が山の向こうへ腰を下ろし始めていた。
ありすとまりさからは長い影が伸びで夜へ向かっている。
ありすとまりさからは長い影が伸びで夜へ向かっている。
「じゃあね ありす! またあしたね!」
「……ちょ、ちょっとまってね まりさ」
帰ろうとするまりさを慌ててありすが引き止めた。
呼び止められたまりさが戻ってきて近寄ると、何故かありすは顔を伏せてしまった。
呼び止められたまりさが戻ってきて近寄ると、何故かありすは顔を伏せてしまった。
「ゆゆゆ? ありす なあに?」
まりさは、ありすの顔を覗き込もうとするが、ありすはイヤイヤと頭を振って目を合わせてはくれない。
「どうしたの ありす? まりさに おかおを みせてね?」
「……………あ、あ、あのね まりさ… その… おは…おは…おはなしが…」
「ゆう? きこえないよ?」
「あの… その…」
「まりさに なんでもいってね! ありすの おねがいは なんでも きくよ!」
いつもはお姉さんなのに様子のおかしいありす。けれどまりさは気にしなかった。
いつも一緒にいる二匹の間に隠し事なんてありえない。大喧嘩だってしない。
とても仲の良いゆっくりだという自信があったからだ。
いつも一緒にいる二匹の間に隠し事なんてありえない。大喧嘩だってしない。
とても仲の良いゆっくりだという自信があったからだ。
「えっと…その…あの…だから…………まりさ さ、さようなら!」
「ゆ? さようなら ありす! ゆっくりしていってね!」
ありすは顔を伏せたまま、まりさにさよならを言った。
結局ありすが、まりさに何を伝えたかったのか分からないままだ。
けれどまりさは、それ以上聞き返そうとはしなかった。
また明日ありすに聞けばいい。明日も明後日もありすと一緒なのだから。
ありすが話したい時にゆっくりと聞けばいい。
二匹がゆっくりできる時間は数え切れないくらいたくさんあるのだから。
結局ありすが、まりさに何を伝えたかったのか分からないままだ。
けれどまりさは、それ以上聞き返そうとはしなかった。
また明日ありすに聞けばいい。明日も明後日もありすと一緒なのだから。
ありすが話したい時にゆっくりと聞けばいい。
二匹がゆっくりできる時間は数え切れないくらいたくさんあるのだから。
「まりさは おうちに かえるよ!」
<ピョーン!ピョーン!ピョーン!>
まりさがおうちへ向かって元気に跳ねていく。
何回も振り返ってはありすに「さよなら!」と言うまりさ。
そしてまりさが振り返らなくなってしばらくすると、ありすは顔を上げた。
何回も振り返ってはありすに「さよなら!」と言うまりさ。
そしてまりさが振り返らなくなってしばらくすると、ありすは顔を上げた。
「………………………………………まりさ」
ありすは、まりさの背中が丘を越えて見えなくなるまで追っていた。
◆
背の高い原っぱを駆け抜ける。
散らばった小石を飛び越える。
まりさの足取りは羽が生えたように軽い。
それはまるでお空を飛んでいるみたいだ。
散らばった小石を飛び越える。
まりさの足取りは羽が生えたように軽い。
それはまるでお空を飛んでいるみたいだ。
<ピョーーーン!ピョーーーン!>
明日はもっとたくさん木の実を見つけてこよう。
毎日たくさんの木の実をありすに届けてあげよう。
狩りは得意じゃないけれど、一生懸命に頑張る事なら誰にも負けない。
もしもたくさん見つけられなかったら綺麗な石を探そう。
綺麗な石がなかったら可愛い花を探そう。
ありすをいっぱいゆっくりさせてあげよう。
毎日たくさんの木の実をありすに届けてあげよう。
狩りは得意じゃないけれど、一生懸命に頑張る事なら誰にも負けない。
もしもたくさん見つけられなかったら綺麗な石を探そう。
綺麗な石がなかったら可愛い花を探そう。
ありすをいっぱいゆっくりさせてあげよう。
「ゆっくりしないで いそいで かえるよ!」
早くおうちに帰って、早くご飯さんを食べて、早くすーやすーやすれば、明日になる。
そして明日になればありすに会える。
そう思うとまりさの跳ねるスピードは加速していく。
そして明日になればありすに会える。
そう思うとまりさの跳ねるスピードは加速していく。
「ぴょんぴょんするよ! まりさの あんよさん もっと いそいでね!」
<ガササッ!!!>
『そこの まりさ! ちょっと まってね!』
急ぐまりさの行く手を塞ぐように、真っ赤なリボンを付けたれいむが草陰から飛び出してきた。
まりさと同じように若いれいむだ。しかしまりさやありすよりも少し大人なのか一回り大きい。
まりさと同じように若いれいむだ。しかしまりさやありすよりも少し大人なのか一回り大きい。
「ゆゆ!?」
<キキキーッ……ズッ ベターン!>
「ゆべぇっ!」
全速力で跳ねているところに急に呼び止められたしまったまりさは、案の定バランスを取れずに転倒してしまった。
そしてそのままコロコロとれいむの前まで転がると、黒いお帽子からは小さなキノコが何個かこぼれ落ちた。
そしてそのままコロコロとれいむの前まで転がると、黒いお帽子からは小さなキノコが何個かこぼれ落ちた。
<コロロ…>
れいむは体をぐりんぐりんと左右に振ってキノコを見つめると「なにこれ なんなの? ゆっくりできるもの?」と窺っている。
『ゆゆ? れいむ しってるよ! これは きのこさんだね? とっても おいしそうだね! せっかくだから れいむが たべてあげるよ!』
「ゆぺぺっ… すなさん まりさの おくちから ゆぺっ… でていってね おねがいだよう…」
やっと起き上がったまりさは地面に擦ったお顔をヒリヒリさせていた。ちょっと涙目になりながら帽子を被り直している。
そして先ほどのれいむは、まりさが獲って来たであろう美味しそうなキノコに目を向けると
ダラダラと涎を垂ら……すこともなく一気に頬張った。
そして先ほどのれいむは、まりさが獲って来たであろう美味しそうなキノコに目を向けると
ダラダラと涎を垂ら……すこともなく一気に頬張った。
『むーしゃ♪ むーしゃ♪♪ むーしゃ♪♪♪ むーしゃ♪♪♪』
「ゆゆゆゆ!? れいむ なにしてるの!? それは まりさが みつけた きのこさんだよ!」
『むーしゃ! むーしゃ! ごっくん!…………………………それなりー』
むーしゃ!むーしゃ!と上機嫌で食べていた割には、れいむは不満足な顔をした。
まりさのキノコは小さくてもゆっくりにはご馳走になる美味しいキノコだ。
まりさのキノコは小さくてもゆっくりにはご馳走になる美味しいキノコだ。
『ゆげええええっぷ!!! ゆゆゆ! まりさは きのこさんが みつけられるんだね! れいむは もっと たべてみたいよ!
つぎは もっと おいしいのにしてね! すこしだけなら まってあげてもいいよ!』
つぎは もっと おいしいのにしてね! すこしだけなら まってあげてもいいよ!』
「ゆ!? ゆゆ!? れいむは なにをいってるの!?
きのこさんは まりさの ごはんさんなんだよ!!! なんで たべちゃったの!?」
きのこさんは まりさの ごはんさんなんだよ!!! なんで たべちゃったの!?」
『ゆう? きのこさんは かわいい れいむに たべてほしかったんだよ? あたりまえでしょ? とうぜんでしょ?
どうして そんなことも わからないの? まりさは なにもわからない おちびちゃんなの?
れいむみたいに ゆっくりとした ゆっくりにならないと だめだよ?』
どうして そんなことも わからないの? まりさは なにもわからない おちびちゃんなの?
れいむみたいに ゆっくりとした ゆっくりにならないと だめだよ?』
「まりさは おちびちゃんじゃないよ! きのこさんは きのこさんだよ! まりさの きのこさんだよ!」
『もっと きのこさん ないの? さっきと ちがう きのこさんに してね!』
まりさがどんなにプンプンと怒っても全く意にも返さないれいむ。
れいむは長い舌を伸ばすとペロペロと唇に残ったキノコの風味を確かめている。
れいむは長い舌を伸ばすとペロペロと唇に残ったキノコの風味を確かめている。
「あのね れいむ! おなかが すいてるなら まりさの ごはんさんを わけてあげるよ!
でもね! かってに たべちゃだめなんだよ! まりさの ごはんさん なんだからね!!!」
でもね! かってに たべちゃだめなんだよ! まりさの ごはんさん なんだからね!!!」
『れいむは とっても おなかが すいてるんだよ? おなかが すいてると ゆっくりできないよ?
おなかが すいたら ごはんさんの じかんだよ? もしかして まりさは たりない ゆっくりなの?』
おなかが すいたら ごはんさんの じかんだよ? もしかして まりさは たりない ゆっくりなの?』
れいむは、まりさは一体何を言ってるの?という不思議な顔をしている。
「だからね! きのこさんは まりさが がんばって かりをして さがしてきた ごはんさんなんだよ!」
『そうだね! れいむは きのこさんを ひさしぶりに たべたよ! でも もっと たくさんみつけてきてね!
あじは それなりだけど たくさんあれば れいむも すこしは ゆっくりできるよ! がんばってね! いってらっしゃい!』
あじは それなりだけど たくさんあれば れいむも すこしは ゆっくりできるよ! がんばってね! いってらっしゃい!』
「もう れいむ!!! まりさの おはなしを ちゃんと きいてね!! ゆっくり きいてね!!!」
全然話の通じないれいむだったが、ふいに何かを思いついたような顔をすると食べかすの残る大きな口で叫んだ。
『れいむは ゆっくり きめたよ!』
「きのこさんは まりさの!……………………………ゆ? れいむ?」
れいむは大きなお腹に、これでもかと息を吸い込むと満面の笑顔と大音響で言い放った。
『れいむは まりさの およめさんになるよ!!!』
「…………………………………………………………ゆううううううううううううううううう!?」
せっかく被り直したまりさのお帽子も驚きでズルリと下がった。
まりさの中身はユガァアアアアアアン!という効果音で埋め尽くされている。
それはれいむが突拍子もない事を言ったので驚いてしまったからではない。
実は今さっきれいむが叫んだ言葉は、独り言でも世迷言でもないのだ。
まりさの中身はユガァアアアアアアン!という効果音で埋め尽くされている。
それはれいむが突拍子もない事を言ったので驚いてしまったからではない。
実は今さっきれいむが叫んだ言葉は、独り言でも世迷言でもないのだ。
<ここを れいむの ゆっくりぷれいすにするよ!>
『おうち宣言』
誰も住んでいない素敵なおうちや、気に入った場所を自分の物だと主張する行為。
どんなに権利や希望を口だけ騒いでいても人間社会ならば何の意味も為さない。
けれどゆっくりの話ならば違ってくる。一種の発言には正統な効果があり成立してしまう。
たった一言の言葉だけで?なんて無茶苦茶で馬鹿な事だと思うだろう。しかしゆっくりだけが特別おかしいというわけではない。
例えば動物の場合だ。ある哺乳類は、体躯が大きい割りには縄張り争いや雌の奪い合いにおいて、直接傷つけ合ったりはしない。
体の一部の大きさや色や形で優劣を決める。鳥や虫ならば不思議な踊りや体を奇妙に変形させたり綺麗な色を見せたりして求愛する。
いづれもそこには人間のような論理的な対話も即物的なやりとりもない。
人間には理解することが出来ない行動原理や習性が確かに存在している。
そしてそれは問題なく完璧に機能し現代まで至っている。
人間から見ればどんなに奇妙奇天烈な行為や習性でも
その種族にとっては本能に深く刻まれていて太古から築き上げられてきた絶対的なルールである。
誰かに教えられたわけでも強制されているわけでもない。
そのルールに従い、そのルールを全うする。それがその種族のあるべき姿だからだ。
誰も住んでいない素敵なおうちや、気に入った場所を自分の物だと主張する行為。
どんなに権利や希望を口だけ騒いでいても人間社会ならば何の意味も為さない。
けれどゆっくりの話ならば違ってくる。一種の発言には正統な効果があり成立してしまう。
たった一言の言葉だけで?なんて無茶苦茶で馬鹿な事だと思うだろう。しかしゆっくりだけが特別おかしいというわけではない。
例えば動物の場合だ。ある哺乳類は、体躯が大きい割りには縄張り争いや雌の奪い合いにおいて、直接傷つけ合ったりはしない。
体の一部の大きさや色や形で優劣を決める。鳥や虫ならば不思議な踊りや体を奇妙に変形させたり綺麗な色を見せたりして求愛する。
いづれもそこには人間のような論理的な対話も即物的なやりとりもない。
人間には理解することが出来ない行動原理や習性が確かに存在している。
そしてそれは問題なく完璧に機能し現代まで至っている。
人間から見ればどんなに奇妙奇天烈な行為や習性でも
その種族にとっては本能に深く刻まれていて太古から築き上げられてきた絶対的なルールである。
誰かに教えられたわけでも強制されているわけでもない。
そのルールに従い、そのルールを全うする。それがその種族のあるべき姿だからだ。
れいむが示したもう一つのルールがこれだ。
<れいむは まりさの およめさんになるよ!>
『およめさん宣言』
これを受けたゆっくりは、宣言してきた相手とツガイにならなくてはならない。
更に言えばお婿さんや旦那さん役にならないといけない。
どんなに苦手な相手だろうが、他に好きなゆっくりがいても関係はない。
これを受けたゆっくりは、宣言してきた相手とツガイにならなくてはならない。
更に言えばお婿さんや旦那さん役にならないといけない。
どんなに苦手な相手だろうが、他に好きなゆっくりがいても関係はない。
無用心にもお出掛けしている間に他のゆっくりによって『おうち宣言』をされてしまったのならば
それはもうどんな理由があろうとも、宣言して奪い盗ったゆっくりの住処となる。
新しい家主に対して誰も責めるような事はないし、盗られた方も悔しがりはするが納得はしてしまう。
それと同じように『およめさん宣言』をされてしまったら黙って受け入れるしかないのだ。
それはもうどんな理由があろうとも、宣言して奪い盗ったゆっくりの住処となる。
新しい家主に対して誰も責めるような事はないし、盗られた方も悔しがりはするが納得はしてしまう。
それと同じように『およめさん宣言』をされてしまったら黙って受け入れるしかないのだ。
どうしても…どおおおおおしても絶対に無理で嫌だったら?
駄目だ。どんなに嫌でも関係ない。
何があっても『およめさん宣言』に抗う事はできない。
自分の本能や種族の習性を否定する事など出来ないからだ。
ゆっくりがゆっくりとしてあるべき姿を自ら否定することになるからだ。
例えば『ゆっくりしていってね!』と声をかけられたら「ゆっくりしていってね!」と返してしまう。
とても美味しいご飯を食べたら「むーしゃ むーしゃ しあわせー!」と感激してしまう。
体を持ち上げられたら「まるでおそらをとんでいるみたい!」と喜んでしまう。
一言でも「おたべなさい!」と口に出したら、すぐさま真っ二つになってしまう。
どれも切っても切れない大事なゆっくりの習性だ。
どんなに不可思議で馬鹿馬鹿しかろうと、それがゆっくりなのだ。それこそがゆっくりなのだ。
ゆっくりとしてのルールを失くしてしまったら、きっと心も体もバラバラに壊れてしまうだろう。
ゆっくりの本質を失くしてしまったゆっくりは何者でもなくなってしまう。
しゃべるお饅頭でも何者でもない何かになってしまう。
何があっても『およめさん宣言』に抗う事はできない。
自分の本能や種族の習性を否定する事など出来ないからだ。
ゆっくりがゆっくりとしてあるべき姿を自ら否定することになるからだ。
例えば『ゆっくりしていってね!』と声をかけられたら「ゆっくりしていってね!」と返してしまう。
とても美味しいご飯を食べたら「むーしゃ むーしゃ しあわせー!」と感激してしまう。
体を持ち上げられたら「まるでおそらをとんでいるみたい!」と喜んでしまう。
一言でも「おたべなさい!」と口に出したら、すぐさま真っ二つになってしまう。
どれも切っても切れない大事なゆっくりの習性だ。
どんなに不可思議で馬鹿馬鹿しかろうと、それがゆっくりなのだ。それこそがゆっくりなのだ。
ゆっくりとしてのルールを失くしてしまったら、きっと心も体もバラバラに壊れてしまうだろう。
ゆっくりの本質を失くしてしまったゆっくりは何者でもなくなってしまう。
しゃべるお饅頭でも何者でもない何かになってしまう。
だからまりさには、れいむの一言がまるで楔のように深く打ち込まれていた。
「れ、れいむ? まりさは ありすと いっしょに…」
『ありす? ゆゆ? ありす????? ……………だれなの!?
まりさ!!!! まさか れいむに かくれて うわきしてるの!?』
まりさ!!!! まさか れいむに かくれて うわきしてるの!?』
「ううううわき!? まりさが!?」
『まりさ わかってるの!? うわきを しているような げすは せいっさいされるよ! いますぐにだよ!』
ゆっくりのお嫁さんは、おうちが他のゆっくりに盗られないようにお留守番をする。そして家族の蓄えたご飯や宝物を守ってくれる。
だから旦那さんは毎日狩りに勤しんで、おうちを守ってくれるお嫁さんに美味しいご飯を届けなければいけない。
それをないがしろにして遊び回っていたり、他のゆっくりと必要以上な関係で仲良くしていれば、たちまちゲスなゆっくりとして周りに扱われる。
そして群れからは白い目で見られてしまい、酷い時にはゲスへの制裁として袋叩きにされたあげくにずっとゆっくりさせられてしまう。
だから旦那さんは毎日狩りに勤しんで、おうちを守ってくれるお嫁さんに美味しいご飯を届けなければいけない。
それをないがしろにして遊び回っていたり、他のゆっくりと必要以上な関係で仲良くしていれば、たちまちゲスなゆっくりとして周りに扱われる。
そして群れからは白い目で見られてしまい、酷い時にはゲスへの制裁として袋叩きにされたあげくにずっとゆっくりさせられてしまう。
「れいむ!? まりさは ちがうよ!? まりさは げすじゃないよ!?」
まりさも慌てて否定する。制裁なんてされたらゆっくり出来ない。
『うわきじゃないの!? そうだったら れいむは しょうちしないよ!! れいむは およめさん なんだよ!! わかってるの!!!』
「ゆ…ゆ…ゆゆ? およめさん?」
お嫁さん? れいむが? まりさは展開についていけない。
まりさは勝手にご飯を食べてしまったれいむを叱っていたはずだ。
反省してくれたらご飯を分けてあげようとも思っていた。
そして早く家に帰って、ご飯を食べて、ぐっすり寝て、そして起きたらありすと一緒に遊ぶ。
ただそれだけだ。一体何が起きているんだろうか?
しどろもどろになっているまりさをれいむが急かした。
まりさは勝手にご飯を食べてしまったれいむを叱っていたはずだ。
反省してくれたらご飯を分けてあげようとも思っていた。
そして早く家に帰って、ご飯を食べて、ぐっすり寝て、そして起きたらありすと一緒に遊ぶ。
ただそれだけだ。一体何が起きているんだろうか?
しどろもどろになっているまりさをれいむが急かした。
『まりさは なにをしてるの? れいむは おつかれなんだよ! くちで いわないと わからないの? まったく まりさは きが きかないね!
はやく れいむの ゆっくりぷれいすに あんないしてね! ぐずぐずしてると おうちから おいだすからね!!!』
はやく れいむの ゆっくりぷれいすに あんないしてね! ぐずぐずしてると おうちから おいだすからね!!!』
なんだかすごい剣幕のれいむに、まりさは冷や汗をかいた。
「お、おうち? まりさの おうちは まりさの おうちだよ?」
『なに くちごたえしてるの? やっぱり まりさは げすなんだね! ゆっくりしないで わかったよ!
これは もう たくさん せいっさい されるしかないね! しょうがないね!!!!
まりさは げす なんだからね!!!!! げす だよ げす!! どうしようも ない げすだよ!!!』
これは もう たくさん せいっさい されるしかないね! しょうがないね!!!!
まりさは げす なんだからね!!!!! げす だよ げす!! どうしようも ない げすだよ!!!』
「ままままってね!? まりさは げすじゃないよ!? おおごえ ださないでね!!! ゆっくりしてね!」
『だったら さっさと おしえてね!!! ぐずは きらいだよ!!! はやくしてね! おそいよ! なにしてるの!!!』
「ゆあああああああっ!!!!」
…怒鳴られた時はピョンピョンと跳ねていたまりさだったが
今ではずーりっずーりっと力なく這っていた。そしてその後ろからぴったりとついてくるれいむ。
つい先ほどまでは、大急ぎで帰りたかったのに、今度はとっても帰りたくなかった。
このまま帰ってしまったらいよいよ終わってしまう。
何がどう終わってしまうのか、まりさにもよく分からなかったが、絶対にゆっくりできなくなると思っていた。
今ではずーりっずーりっと力なく這っていた。そしてその後ろからぴったりとついてくるれいむ。
つい先ほどまでは、大急ぎで帰りたかったのに、今度はとっても帰りたくなかった。
このまま帰ってしまったらいよいよ終わってしまう。
何がどう終わってしまうのか、まりさにもよく分からなかったが、絶対にゆっくりできなくなると思っていた。
『ここが れいむの ゆっくりぷれいすだね! ゆん! まあまあだね!
きょうは もう すーやすーやするけど あしたになったら かわいい れいむに あわせて りふぉーむしてね!』
きょうは もう すーやすーやするけど あしたになったら かわいい れいむに あわせて りふぉーむしてね!』
「ま、まりさの おうち…」
『ゆ? なにかいってるの? ひとりごとは きもちわるいよ! へんなくせは ゆっくりしないで なおしてね!』
「…」
あれこれどうしようかと考えている間におうちに着いてしまった。
そして…まりさとれいむは、新婚さんとして一緒に暮らす事になった。
◆
「ゆううううう…」
なんだか…とっても…いっぱい…かなり…すごく…ゆっくりできない。
この間までぐっすりと寝て起きれば、毎日ありすに会えて楽しかった。
しかし今は寝ても冷めてもまりさの生活には、あの大きな顔のれいむしかいない。
しかし今は寝ても冷めてもまりさの生活には、あの大きな顔のれいむしかいない。
れいむは毎日おうちでお留守番をする。まりさは毎日お山へ狩りないく。
まりさは留守番してくれているお嫁さんのれいむの分まで、キノコや木の実など普段より多く頑張って狩りをする。
しかしれいむは、まりさの探してくるご飯に対して毎回あれやこれやと文句を付ける。
そしてその割には全部綺麗に平らげてしまう。しかも必ずお代わりを要求する。まりさの仕事量は二匹分のご飯では済まない。
まりさが今まで頑張って集めてきた蓄えも、たった数日で使い切った。
今日からは毎日どんな天気でも狩りに出かけないといけない。
まりさは留守番してくれているお嫁さんのれいむの分まで、キノコや木の実など普段より多く頑張って狩りをする。
しかしれいむは、まりさの探してくるご飯に対して毎回あれやこれやと文句を付ける。
そしてその割には全部綺麗に平らげてしまう。しかも必ずお代わりを要求する。まりさの仕事量は二匹分のご飯では済まない。
まりさが今まで頑張って集めてきた蓄えも、たった数日で使い切った。
今日からは毎日どんな天気でも狩りに出かけないといけない。
まりさとれいむの棲家は崖に設けられた横穴だ。入り口こそ小さいが、家族単位のゆっくりでも暮らせるほどの空間がある。
以前は小さな動物が住んでいたのだろうか、ゆっくりには丁度いい穴倉を、まりさが何日も掛けて拡張した自慢のおうちだ。
以前は小さな動物が住んでいたのだろうか、ゆっくりには丁度いい穴倉を、まりさが何日も掛けて拡張した自慢のおうちだ。
『ぐーーーー』
<ぐーーーー>
れいむの大きなイビキと大きなお腹の音でまりさは目を覚ました。
元々まりさが寝ていたフッカフカの草のベットは、寝相の悪くて体の大きいれいむによって占有されてしまった。
冷たい地面さんの上で寝かされているまりさは寝不足だ。
それでも早く狩りに出ないといけない。
元々まりさが寝ていたフッカフカの草のベットは、寝相の悪くて体の大きいれいむによって占有されてしまった。
冷たい地面さんの上で寝かされているまりさは寝不足だ。
それでも早く狩りに出ないといけない。
「まりさの おぼうしさん よし! まりさの おさげさん よし! えっと あとは…」
『ぐーーーーー…… ゆ? んが? まりさ うるさいよ! しずかにしてね! れいむは おねむ なんだよ!』
「もう あさだよ れいむ! そろそろ おっきしてね!
まりさは これから かりにいってくるね! しっかり おるすばんしててね!」
まりさは これから かりにいってくるね! しっかり おるすばんしててね!」
『かりに いくのは まりさでしょ! れいむには かんけいないよ! しずかに でかけてね! まったく めいわくだよ!
じぶんかっては げすの はじまりだよ! いいがけんにしてね! はんせいしてね! つぎは ゆるさないよ!』
じぶんかっては げすの はじまりだよ! いいがけんにしてね! はんせいしてね! つぎは ゆるさないよ!』
「ゆ、ゆう……ごめんね」
そろーり…そろーり…まりさは、ナメクジのようにゆっくりと自分のおうちの中を移動する。
「そ、そろーり… そろーり…」
しかしその苦労の意味もなく、ドスンバタンと音を立ててれいむが、まりさの隣まで跳ねてきた。
『ちょっとまってね! まりさは きのこさんと きのみさんしか みつけられないの?
ぐるめの れいむは そろそろ くだものさんが たべたいよ? すこしは きを きかせられないの?』
ぐるめの れいむは そろそろ くだものさんが たべたいよ? すこしは きを きかせられないの?』
「ゆんと……くだものさん? まりさは くだものさんなんて どこにあるか しらないよ?」
『くだものさんは くだものさんだよ! とっても あまいのが いいよ! すごく ゆっくりできるやつにしてね!』
「れいむは くだものさんを みつけたことがあるの? どんなところに あったの?」
『それは まりさの しごとでしょ! くだらないこといってないで はやく ごはんを もってきてね!
ゆっくりしないで おぼえてね! くだものさんだよ! なんども いわせないでね! ばかは いらないよ!』
ゆっくりしないで おぼえてね! くだものさんだよ! なんども いわせないでね! ばかは いらないよ!』
<グイイイ! グイイイ!>
れいむは大きな体を押し付けて、まりさをおうちの出口へと無理やり追いやっていく。
まりさがどんなに踏ん張っても、大きなれいむの圧倒的な力の差で動かされてしまう。
まりさがどんなに踏ん張っても、大きなれいむの圧倒的な力の差で動かされてしまう。
『かわいい およめさんが おねがいしてるんだよ? みつけるまで かえってこなくていいよ!
はやく とってきてね! すぐにだよ! たくさんだよ! いっぱいだよ!
でも れいむは ねてるから しずかに かえってきてね!』
はやく とってきてね! すぐにだよ! たくさんだよ! いっぱいだよ!
でも れいむは ねてるから しずかに かえってきてね!』
「や、やめてね! わかったから ぐいぐい おさないでね!」
『いってらっしゃい!!!』
<ドーン!!>
<ズベシャ!!!!>
「ゆべっ!…………いじゃい」
れいむによっておうちの外に突き飛ばされてしまったまりさ。
顔面を強打したまりさが振り返っても、もろちん心配するれいむなんていなかった。
むしろ既にいびきをかいて寝ていた。
顔面を強打したまりさが振り返っても、もろちん心配するれいむなんていなかった。
むしろ既にいびきをかいて寝ていた。
「…」
まりさは自分のおうちなのに自分のおうちじゃない気がしてきた。
今日は、れいむの言うくだものさんを探して、お山の向こうへ太陽さんが隠れるまで跳ね回らないといけないだろう。
かわいいお嫁さんのお願い?ただ食っては寝ているだけのれいむ。まりさには毎日文句ばっかり。少しも可愛げなんてありはしない。
大きな口から出るのは、まりさへの催促とゲップだけ。これでまりさが元気に狩りに行けるはずもない。
今日は、れいむの言うくだものさんを探して、お山の向こうへ太陽さんが隠れるまで跳ね回らないといけないだろう。
かわいいお嫁さんのお願い?ただ食っては寝ているだけのれいむ。まりさには毎日文句ばっかり。少しも可愛げなんてありはしない。
大きな口から出るのは、まりさへの催促とゲップだけ。これでまりさが元気に狩りに行けるはずもない。
「いってきます…」
◆
「ゆう…」
一つ跳ねては溜息。三つ跳ねては空を見上げる。
おうちを追い出されたまりさは、ゆんしょゆんしょと山を登っていく。
おうちを追い出されたまりさは、ゆんしょゆんしょと山を登っていく。
「ゆうううう………」
どんなにありすと一緒に遊んで疲れた時でも、狩りは元気にする事が出来ていた。
しかし今は山を登っているだけでも気が重い。
通り雨に濡らされた時のように体も重い。
しかし今は山を登っているだけでも気が重い。
通り雨に濡らされた時のように体も重い。
「…ゆ」
サワサワと草の上を走る風の音が心地よい。
ありすと一緒に追いかけっこをしていた野原を通りかかった。
まりさは自然とありすと一緒に遊んでいた楽しい日々を思い出した。
綺麗なありす。
可愛いありす。
毎日少しずつ大人になっていくありす。
ありすと一緒に追いかけっこをしていた野原を通りかかった。
まりさは自然とありすと一緒に遊んでいた楽しい日々を思い出した。
綺麗なありす。
可愛いありす。
毎日少しずつ大人になっていくありす。
「ありす…」
花々の上に思い描くありすの姿にまりさは少し泣きそうになった。
れいむと一緒になってから、ありすには一度も会っていない。
クタクタになるまで狩りをして泥の様に眠る日々。
遊びにいく暇なんてない。
れいむと一緒になってから、ありすには一度も会っていない。
クタクタになるまで狩りをして泥の様に眠る日々。
遊びにいく暇なんてない。
ありすとゆっくりしたい。また野原で遊びたい。
ありすに会いたい。とっても会いたい。
ありすに会いたい。とっても会いたい。
しかしまりさはれいむと一緒になってしまった。
れいむの以外のゆっくりと狩りをさぼって遊んでいたり仲良くする事は出来ない。
そんな事は許されない。それでもありすに会いたい。
れいむの以外のゆっくりと狩りをさぼって遊んでいたり仲良くする事は出来ない。
そんな事は許されない。それでもありすに会いたい。
「……………ゆう?」
どうしてだろうか野原に浮かべていたありすの姿は、どんなに瞬きしても消えることはなかった。
それにありすの表情はいつのまにか笑っていない。そんな顔をまりさは見たことがない。
それにありすの表情はいつのまにか笑っていない。そんな顔をまりさは見たことがない。
「まりさ」
「…ありす!?」
久しぶりに聞いたありすの声だった。自分の名前を呼んでくれるありすの声に少し癒された。
れいむと一緒になってから、ありすの姿が思い出せないほどまでに月日は経っていないが
ずいぶんと懐かしく感じるありすの姿だった。
れいむと一緒になってから、ありすの姿が思い出せないほどまでに月日は経っていないが
ずいぶんと懐かしく感じるありすの姿だった。
「ありす…」
ありすがまりさを見てくれている。何もかも忘れてありすに泣きつきたかった。
けれどそんな姿を他の誰か見られてしまえば、浮気として制裁されてしまうかもしれない。
やきもちを妬いたれいむが何をしでかすかも分からない。
けれどそんな姿を他の誰か見られてしまえば、浮気として制裁されてしまうかもしれない。
やきもちを妬いたれいむが何をしでかすかも分からない。
「ゆ……………」
いままでありすと会わずにどうしていたのか。まりさがどんなにゆっくりできないのか。
何から説明すればいいのか分からない。
ただゆっくり出来なくて辛くて寂しくて声にならない吐息だけがまりさから漏れる。
何から説明すればいいのか分からない。
ただゆっくり出来なくて辛くて寂しくて声にならない吐息だけがまりさから漏れる。
「ゆう………ゆうぅ………………」
そして黙ってまりさを見つめ続けていたありすの口が開いた。
「まりさの ばか!!!! ばか! ばか! ばか! ばかああああああああああぁ!!」
「ゆ!?」
いきなり罵声を浴びせかけられたまりさは驚いて体を強張らせた。
ありすはギュッと目を瞑ってとにかくまりさに向かって喚き立てた。
ありすはギュッと目を瞑ってとにかくまりさに向かって喚き立てた。
「まりさの うそつき!!!! うそつき! うそつき! うそつきいいいいい!」
「ゆうう!? まりさ ありすに うそついたの? ごめんね! ごめんね!」
「まりさの! まりさの! ゆあああ………ゆわあああああああああん!!!! ゆわああああああああん!!!!!」
あんなに怒っていたありすが今度は大声で泣き始めた。
「ゆああっ ありす なかないでね… まりさが いるからね ゆっくりだよ ゆっくりしてね」
まりさはどうしてありすがここまで大泣きしているのか分からなかった。
確かにまりさと遊ぶ事はできなくなってしまったが、可愛いありすならまりさ以外にもお友達がたくさん出来るはずだ。
まりさがありすの一番の友達でなくなってしまうのは寂しいけれど
自分がゆっくり出来なくなる事よりも、ありすがゆっくり出来なくなる方が何倍もたくさん嫌だ。
確かにまりさと遊ぶ事はできなくなってしまったが、可愛いありすならまりさ以外にもお友達がたくさん出来るはずだ。
まりさがありすの一番の友達でなくなってしまうのは寂しいけれど
自分がゆっくり出来なくなる事よりも、ありすがゆっくり出来なくなる方が何倍もたくさん嫌だ。
「ゆえええええっ…ゆぐ……ゆううう…ゆえええ…」
いつもあんなに可愛い笑顔をしていたありすの泣き顔なんて、まりさは見たことがなかった。
まりさは泣いているありすに近寄った。
まりさは泣いているありすに近寄った。
「まりさ なんか ゆっくりしないで しんじゃえ!!」
<ドンッ!>
「ゆああっ!」
ありすに突き飛ばされて顔を上げると、そこにはもう誰もいなかった。
ありすと過ごした野原が風に流されているだけだ。
ありすと過ごした野原が風に流されているだけだ。
「…ありす?」
本当にまりさはありすと話をしていたのだろうか?
全部ウソなんじゃないだろうか?
寂しくて夢でも見ていたんじゃないだろうか?
全部ウソなんじゃないだろうか?
寂しくて夢でも見ていたんじゃないだろうか?
「ゆ?」
まりさのほっぺたが濡れていた。
ありすの涙がたくさんついていた。
ありすは本当に悲しがっていた。
まりさの大切な友達。
大喧嘩なんてした事もなかった。
ありすの涙がたくさんついていた。
ありすは本当に悲しがっていた。
まりさの大切な友達。
大喧嘩なんてした事もなかった。
「ありす…」
おうちに帰ってもれいむにこき使われるだけ。
外では大事な友達に嫌われてしまった。
まりさがゆっくりできる所なんてどこにもない。
「ゆあ…………ゆああ…………………………………………………ゆあああああん!ゆあああああん!ゆあああああん!」
まりさが泣いても誰も慰めてくれない。
まりさにはありすと一緒にいることが全てだった。
だからありすがいなくなれば、まりさには何もない。
何も。
まりさにはありすと一緒にいることが全てだった。
だからありすがいなくなれば、まりさには何もない。
何も。
◆
まりさとれいむの新婚生活も、ひと月が過ぎた。
『また きのこさんなのおおおお!? れいむは くだものさんて いつも いってるでしょおおお!?
きのこさんくらい れいむだって いくらでも みつけられるんだよ!? まりさは れいむを ばかにしてるのおおお!?』
きのこさんくらい れいむだって いくらでも みつけられるんだよ!? まりさは れいむを ばかにしてるのおおお!?』
「ゆう… れいむ きのこさんだって おいしいよ? ほら まりさが がんばってさがしてきた とっても おおきい きのこさんだよ」
<バシィィイイインッ!>
まりさとれいむの住んでいる穴倉に大きな音が響いた。
れいむの中身の詰まった重そうなモミアゲが、まりさのほっぺたを勢いよく叩いたからだ。
れいむの中身の詰まった重そうなモミアゲが、まりさのほっぺたを勢いよく叩いたからだ。
「いっだあああい!!!!」
まりさはおうちの端まで弾き飛ばされると大粒の涙を流して震えた。
『れいむは ぐずも! ばかも! ぜんぶ だいっきらいなんだよ! もしかして まりさは そのりょうほう なの!?
じょうだんでしょ? それでも かわいい れいむの だんなさんなの? いきてて はずかしくないの!?』
じょうだんでしょ? それでも かわいい れいむの だんなさんなの? いきてて はずかしくないの!?』
「い、いたいのは ゆっくりできないから やめてねぇ…」
まりさが頬を撫でながら後ずさると、それ以上痛いのはやってこなかった。
れいむは真っ赤に腫らしたまりさのほっぺを見ても悪びれずにふんぞり返っている。
れいむにとっては駄目な亭主を叱ってやったに過ぎないのだ。
れいむは真っ赤に腫らしたまりさのほっぺを見ても悪びれずにふんぞり返っている。
れいむにとっては駄目な亭主を叱ってやったに過ぎないのだ。
『まったく まりさは どうしようも ないね! おやの かおが みたいよ!
まるで れいむが まりさを そだててる みたいだよ! れいむは まりさの おかあさんじゃないんだよ!!!』
まるで れいむが まりさを そだててる みたいだよ! れいむは まりさの おかあさんじゃないんだよ!!!』
プンスカ怒るだけ怒ったれいむは、まりさの獲ってきた今日のご飯を貪り始めた。
『もっちゃ!もっちゃ! がーつ!がーつ!むーしゃ!むーしゃ!』
れいむは咀嚼音をわざわざ口で発しながら食べかすを散らばらせている。
『くっちゃ!くっちゃ!もーぐ!もーぐ!』
それはもう毎日ひたすら食べて寝るだけのれいむ。
体は更に大きく太ってしまって、最近では外で散歩もしなくなった。
食う、寝る、食う食う食う、寝る、食う食う食う、寝る、食う食う食う食う食う食う食う、寝る、食う。
体は更に大きく太ってしまって、最近では外で散歩もしなくなった。
食う、寝る、食う食う食う、寝る、食う食う食う、寝る、食う食う食う食う食う食う食う、寝る、食う。
『ゆげえええぇぇぇぇっぷう!!!』
「ゆう… おいしかった?」
咀嚼している時は、それなりに笑顔だが一瞬でひきった顔に変わった。
『まりさは なにを いってるの? こんなのが ごはんさんだと おもってるの?
まったく れいむに ふさわしくない でぃなーだよ!』
まったく れいむに ふさわしくない でぃなーだよ!』
「でも まりさは おいしいと おもうよ?」
まりさは自分の分の少ないご飯をもーぐもーぐしてみせる。
「とっても おいしいよ きのこさん」
という笑顔も、れいむの怒鳴り声で凍りついた。
『まりさの いけんなんて かんけいないんだよ!!!! れいむが おいしいか ゆっくりできるかでしょ!?
まりさが まんぞくすれば れいむは どうだっていいの? まりさは とんだ げす だね!!!』
まりさが まんぞくすれば れいむは どうだっていいの? まりさは とんだ げす だね!!!』
「だから げす げす いわないでねえ! まりさは わるいこと してないよ!!!」
『ゆあああああん? がんばれば それだけでいいと おもってるの? ばかなの? ほんとうに おちびちゃんみたいだよ まりさは!
がんばっても がんばらなくても おいしい ごはんさんが れいむの まえに なければ おんなじことでしょ!!
それくらい いくらなんでも れいむが おちびちゃんだったとしても わかるよ!!!』
がんばっても がんばらなくても おいしい ごはんさんが れいむの まえに なければ おんなじことでしょ!!
それくらい いくらなんでも れいむが おちびちゃんだったとしても わかるよ!!!』
「ゆう……うう……………ゆぅ…ぅぅ…」
これがまりさのお嫁さん? お嫁さんて一体なんなの?
まりさは誰かと一緒になるような事なんて、まだまだ先だと思って考えた事がなかった。
大人になって誰かとずっと暮らすのが、こんなにもゆっくり出来ないというのなら子供のままでいたいと思った。
どんなに頑張ってご飯を見つけてきても文句を言われるだけ。
たくさん獲ってきたご飯に喜んでくれたり疲れたまりさを労ったりもしてくれない。
不機嫌な顔をまりさに見せつけながら汚らしくむさぼるだけ。
最近ではまりさの分の少ないご飯でさえも奪おうとしてくる。
まりさは誰かと一緒になるような事なんて、まだまだ先だと思って考えた事がなかった。
大人になって誰かとずっと暮らすのが、こんなにもゆっくり出来ないというのなら子供のままでいたいと思った。
どんなに頑張ってご飯を見つけてきても文句を言われるだけ。
たくさん獲ってきたご飯に喜んでくれたり疲れたまりさを労ったりもしてくれない。
不機嫌な顔をまりさに見せつけながら汚らしくむさぼるだけ。
最近ではまりさの分の少ないご飯でさえも奪おうとしてくる。
『たまには まともな ごはんさんを れいむに たべさせてね!
であったときの れいむが いくら きのこさんを きにいってたからって
いつまでも きのこばっかりなんて まりさは ばかなの? ろまんてぃっくな つもりなの?
れいむのことが すきのは わかってるから さっさと ゆっくりしないで でざーとの くだものさんを さがしてきてね!! 』
であったときの れいむが いくら きのこさんを きにいってたからって
いつまでも きのこばっかりなんて まりさは ばかなの? ろまんてぃっくな つもりなの?
れいむのことが すきのは わかってるから さっさと ゆっくりしないで でざーとの くだものさんを さがしてきてね!! 』
「わ、わかったよ… あしたは もっとちがうごはんさんを さがしてくるね……」
まりさは、れいむと目を合わせることも出来ずに俯いて答えた。
『なにいってるの!? ゆっくりしないで いますぐ さがしにいくんだよ!!!』
「ゆゆ!? も、もう たいようさんが かくれちゃうよ? くだものさんは また あしたでいいよね!?」
れいむは視線を下げてゆっくりと答えた。
『………………………わかったよ』
「れ、れいむ!」
ハッとしたまりさは、れいむに前まで跳ね寄った。
『こんどは ひだりの ほっぺたさんをだしてね! ぶたれたら ありがとうございますって いってもいいよ!』
「…いってきます」
すぐにUターンして狩りに出掛けて行った。
◆
ゆっくりならば誰も出掛けようともしないだろう真っ暗な山の中。
まりさは暗い山道をずーりずーりと這って行く。
跳ねる気力がまりさには、もう残っていない。
昼間に探し回って集めたご飯は全部れいむのお腹の中に入ってる。まりさの分はない。
せめて自分のご飯さんを食べてからと戻ってみたが何一つ残ってなかった。
でざーとのくだものさんが見つけられなかった罰らしい。
こんな真っ暗では探しようもない。もう小石と木の実の区別もつけられない。
そして帰るのが早かろうが遅かろうが結局れいむに怒られるは分かっている。
しかし時間が掛かるほどれいむの説教は延びるだろう。とても痛いモミアゲビンタも嫌だ。
とはいえ、すぐに新しいご飯さんなんて見つけられるはずがない。
まりさは暗い山道をずーりずーりと這って行く。
跳ねる気力がまりさには、もう残っていない。
昼間に探し回って集めたご飯は全部れいむのお腹の中に入ってる。まりさの分はない。
せめて自分のご飯さんを食べてからと戻ってみたが何一つ残ってなかった。
でざーとのくだものさんが見つけられなかった罰らしい。
こんな真っ暗では探しようもない。もう小石と木の実の区別もつけられない。
そして帰るのが早かろうが遅かろうが結局れいむに怒られるは分かっている。
しかし時間が掛かるほどれいむの説教は延びるだろう。とても痛いモミアゲビンタも嫌だ。
とはいえ、すぐに新しいご飯さんなんて見つけられるはずがない。
もうどうしようもない。
「………………………」
「……………」
「…」
すでに地面は太陽の熱が逃げてひんやりとしている。
風も冷たい。どっちも見ても暗がりしかない。
風も冷たい。どっちも見ても暗がりしかない。
「………………………ありす」
今やっとまりさが動けるのは、思い出のありすがいるから。ただそれだけだ。
ありすにどんぐりさんを毎日届けようと思っていた気持ちを騙して重いあんよを動かしている。
ありすにどんぐりさんを毎日届けようと思っていた気持ちを騙して重いあんよを動かしている。
「いだだっ! …………ゆんやぁ まりさの あんよさん ゆっくりしてねえ」
何も見えない夜道では石や枝も避けられないので痛い思いをする。今まで大きな怪我をしなかったのが幸いだ。
夜の山には凶悪な動物もいるし怖いゲスの集団がうろついているかもしれない。
けれどそれより嫌で嫌でしょうがないのは餡子の底からじわりじわり感じるゆっくりできない気持ち。
そしてまりさの餡の奥に突き刺さっている重たい何か。
夜の山には凶悪な動物もいるし怖いゲスの集団がうろついているかもしれない。
けれどそれより嫌で嫌でしょうがないのは餡子の底からじわりじわり感じるゆっくりできない気持ち。
そしてまりさの餡の奥に突き刺さっている重たい何か。
「ゆう…ごはんさん……」
跳ねて疲れて、這って疲れて、怒られて、しょんぼりと寝る。それを繰り返すだけの日々。
「でざーとさん…でてきてね……」
まりさは自分が何をしたいのか。今なにをしているのか。時々わからなくなる。
「まりさは…ここにいるよ……」
余りに疲れてゆっくり出来なくなると、まりさがまりさということもあやふやとなってくる。
「…ゆう…あ…あ……………ぁ………」
ゆっくりするからゆっくりなのに、いつもゆっくり出来ていないのだから当然だ。
「……もう………や………………やだ…………やだあああああああああああああああああああああ!!!」
お嫁さんのれいむは、お留守番をしてゆっくりプレイス宣言からおうちを守ってくれている。
もちろん旦那さんだって狩りと言う立派な仕事をしている。
お嫁さんのれいむに、旦那さんのまりさは毅然とした態度を示すべきだ。
もちろん旦那さんだって狩りと言う立派な仕事をしている。
お嫁さんのれいむに、旦那さんのまりさは毅然とした態度を示すべきだ。
しかし温和なまりさが図太いれいむに歯向かったとしても勝てるわけがない。
では…ならば…いっそ………………いいや、そんなことは駄目だ。
ゆっくりごろしなんてとんでもない。ゆっくりできない。
そんな事をしたら老いてずっとゆっくりする時まで思い悩むだろう。
もしも犯人として見つかってしまったらもっと大変な事になる。
かといって全部を投げ出して逃げてしまったら…自分勝手なゲスとして群れから制裁されてしまうだろう。
もう群れにはいられない。ありすにも会えなくなる。
では…ならば…いっそ………………いいや、そんなことは駄目だ。
ゆっくりごろしなんてとんでもない。ゆっくりできない。
そんな事をしたら老いてずっとゆっくりする時まで思い悩むだろう。
もしも犯人として見つかってしまったらもっと大変な事になる。
かといって全部を投げ出して逃げてしまったら…自分勝手なゲスとして群れから制裁されてしまうだろう。
もう群れにはいられない。ありすにも会えなくなる。
「もう まりさは どうすればいいのおおおおお!!!!!!」
まりさがどんなに泣いても頑張っても跳ねても転がっても…以前として状況は変わらない。変えられない。
毎日ご飯のある山とれいむの前を往復するしかないのだ。
毎日ご飯のある山とれいむの前を往復するしかないのだ。
「やだよう……ゆっくりしたいよう……ありすに あいたいよう…」
優しいありすの顔を思い出そうとするが、毎日見ている偏屈な顔したれいむの表情で上書きされてしまう。
「ゆう…」
そして、やっぱり新しいご飯さんなんて見つけられずにおうちへ帰ると、怒ったれいむにしこたま叩かれた。
まりさのほっぺたは両方とも大きく膨れ上がってとっても痛かった。
でもそれ以上に疲れていたので直ぐに寝てしまった。
まりさのほっぺたは両方とも大きく膨れ上がってとっても痛かった。
でもそれ以上に疲れていたので直ぐに寝てしまった。
だって夢の中ならありすに会えるかもしれないから。
◆
この山に住んでいる小さな群れは固まって暮らしていない。
それぞれの特性と特技にあわして山を点々として住まいを持っている。
もしも群れへ伝える重要な知らせがあった場合や警告すべき事件があった時などは群れの長がまとめて連絡役となっていた。
それぞれの特性と特技にあわして山を点々として住まいを持っている。
もしも群れへ伝える重要な知らせがあった場合や警告すべき事件があった時などは群れの長がまとめて連絡役となっていた。
ありすが群れの長の家を訪ねると、若いぱちゅりーが出迎えてくれた。
ありすと仲の良かったまりさと、流れ者のれいむが夫婦になったという話は長の耳に入っていた。
ありすと仲の良かったまりさと、流れ者のれいむが夫婦になったという話は長の耳に入っていた。
「ぱちゅりーーーー! だってえええ だってえええええっ!!!」
「そうね そうね わかるわ ありす」
長のぱちゅりーは、紫色のお下げでポンポンしながら泣きじゃくるありすをなだめた。
群れの仲間の訴えを聞くのも長の重要な仕事である。
長は実の家族や友達にも言えない様なデリケートな相談を受ける場合がある。
色々と耳に入る噂話を世間話として終わらせてしまうのは普通のゆっくりならばそれでいい。
けれど有能な長は、色んな話を見聞きする事によって群れの状態を把握する。
そして迫り来る危険や解決すべき大きな問題に対して事前に対処する義務がある。
群れの仲間の訴えを聞くのも長の重要な仕事である。
長は実の家族や友達にも言えない様なデリケートな相談を受ける場合がある。
色々と耳に入る噂話を世間話として終わらせてしまうのは普通のゆっくりならばそれでいい。
けれど有能な長は、色んな話を見聞きする事によって群れの状態を把握する。
そして迫り来る危険や解決すべき大きな問題に対して事前に対処する義務がある。
「だって ぱちゅりー おかしいの! およめさんせんっげん!は とっても とっても たいせつなことなのよ!」
ありすは泣いてぱちゅりーに愚痴った。
「むきゅ そうよね そのとおりだわ」
ぱちゅりーは否定せずにコクコクとうなづいてあげた。
「おたがいのことを じかんをかけて ゆっくりと りかいして やっと けっしんして いうものなのよ!
あいてを どれだけ おもっているか! しんじているか! とっても ゆうきが ひつようで! はずかしくて!
でも! でも あの れいむは… れいむはあああ!!!」
あいてを どれだけ おもっているか! しんじているか! とっても ゆうきが ひつようで! はずかしくて!
でも! でも あの れいむは… れいむはあああ!!!」
「ありす おちつきなさい」
「まりさあああ…まりさああああ……」
わんわんと泣くありすの目は真っ赤だ。
もしもまりさが見たらどんなに心配するだろうか。
もしもまりさが見たらどんなに心配するだろうか。
「むきゅ」
ゆっくり同士の喧嘩は大抵堂々巡りで押し問答になることが多い。
そして餡子が流れる一大事になってしまうケースも多々としてある。
また何か困難が迫った時でも泣き喚くだけで具体的に解決しようとはしない。そして悲しい結末を迎える。
そんな時こそ群れの長は他のゆっくりにはない長という立場を使って争いを治めたり、広い知識を発揮し危機を取り除くことによって群れを導いていく。
大きな力を持つ者には義務と責任が存在するのだ。救うべきものを守らないといけない。
そして餡子が流れる一大事になってしまうケースも多々としてある。
また何か困難が迫った時でも泣き喚くだけで具体的に解決しようとはしない。そして悲しい結末を迎える。
そんな時こそ群れの長は他のゆっくりにはない長という立場を使って争いを治めたり、広い知識を発揮し危機を取り除くことによって群れを導いていく。
大きな力を持つ者には義務と責任が存在するのだ。救うべきものを守らないといけない。
「ごめんないさいね おさの ぱちぇでも もはや どうにもならないことだわ」
「ゆわああん! ゆわああん! ゆぐっ…ひぐっ…まりさ………」
「ありす… あなたは まださきが ながいのよ あまりに きにするのは よくないわ」
「でも こんなのって… こんなのって ないわぁ…」
「ぱちぇは なんでも しっているの
あのね ありす ぱちぇの はなしを よくききなさい
べつにありすだけが ゆっくりできなかったわけじゃないのよ
そういうことも いきていれば だれにでもあるの だから だいじょうぶ きをおとさないで
わかいうちは いろんなけいけんをするといいわ そして いつか ぱちぇみたいに りっぱになってね」
あのね ありす ぱちぇの はなしを よくききなさい
べつにありすだけが ゆっくりできなかったわけじゃないのよ
そういうことも いきていれば だれにでもあるの だから だいじょうぶ きをおとさないで
わかいうちは いろんなけいけんをするといいわ そして いつか ぱちぇみたいに りっぱになってね」
「ゆう…」
ぱちぇりーは、ありすの泣き言が終わった事を確認すると、満足げな顔をして見回りの仕事へと出掛けていった。
◆
<ピョン!ピョン!ピョン!ピョン!>
珍しくまりさは元気におうちへと帰ってきた。
おうちの結界さんを外して急いでれいむの前と跳ねていく。
おうちの結界さんを外して急いでれいむの前と跳ねていく。
「れいむ ただいま! ごはんさんだよ! まりさは きょうはね! えっとね!」
『うるさいよ! だまってね! むだぐち いってないで はやく よこしてね!!!』
今日は珍しいご飯さんを探してきたのに大声で怒鳴られてしまった。
さっきまであったまりさの笑顔は、あっという間に消えた。
さっきまであったまりさの笑顔は、あっという間に消えた。
「ゆ、ゆう… あの… まりさは… ごはんさん…」
『ごはんさんなのは わかってるよ! なにしに まりさは おそとにいってるの!
とにかくゆっくりしないで ごはんさんを れいむに みせてね!』
とにかくゆっくりしないで ごはんさんを れいむに みせてね!』
まりさはフリフリと頭を揺する。すると帽子と頭のスキマから色んな木の実やキノコと他にも沢山こぼれ落ちてきた。
今までまりさが獲ってきていた木の実やキノコだけではなく彩り溢れる山の実りだった。
まりさは毎日さんざん使い走らされた事によって今まで知らなかった新しいご飯さんの場所なども見つけ始めてきていたのだ。
今日の狩りで見つけた綺麗なお花さんは、まりさが狩りをしてきた中でも自慢の一品だった。
とても色鮮やかで美しく遠くからでも甘い匂いが漂ってくる花だ。
これなられいむも頑張ったまりさを褒めてくれるかもしれない。
今までまりさが獲ってきていた木の実やキノコだけではなく彩り溢れる山の実りだった。
まりさは毎日さんざん使い走らされた事によって今まで知らなかった新しいご飯さんの場所なども見つけ始めてきていたのだ。
今日の狩りで見つけた綺麗なお花さんは、まりさが狩りをしてきた中でも自慢の一品だった。
とても色鮮やかで美しく遠くからでも甘い匂いが漂ってくる花だ。
これなられいむも頑張ったまりさを褒めてくれるかもしれない。
「ゆんとね… あのね… れいむ みてね! こっちは とっても いいにおいのする おはなさんだよ! それにね すっごく きれいなんだよ!
れいむが いつも おはなししている しょくごの でざーとさんには まりさの みつけた おはなさんが―」
れいむが いつも おはなししている しょくごの でざーとさんには まりさの みつけた おはなさんが―」
『だから じゃまだって いってるでしょ! これは れいむの ごはんさん なんだよ!』
<ドガッ!>
「ゆわあぁ!」
まりさを勢い良く突き飛ばしたれいむは自分の前に沢山のご飯さんをかき集めると一口で頬張ってしまった。
木の実もキノコも綺麗な花もグッチャグチャのドッロドロに口の中で混ざり合わされていく。
木の実もキノコも綺麗な花もグッチャグチャのドッロドロに口の中で混ざり合わされていく。
『むがっ!むぐっ!もっちゃ!もっちゃ!もっちゃ!もっちゃ!』
「おはなさん…きれいな…まりさが…みつけて…」
『むーしゃ!むーしゃ!むーしゃ!むーしゃ!』
「…」
『それなりー……………げええええっぷ』
「……」
味もへったくれもない食べっぷりによってまりさの狩りの成果は役目を終えた。
太陽さんよりも早起きして太陽さんが帰っても続けていた狩りの成果は一瞬にして消えた。
山を跳ね回り一所懸命に汗をかいて、そして泥だらけになった汚いまりさだけがおうちの中にいる。
まりさがゆっくり出来ない姿なのは必死に狩りを頑張ったからだ。
いろんなご飯さんを見つけて喜んだ狩りの記憶もある。
でもその証拠がない。まりさは狩りをしてきた筈である。
しかしおうちの中には、疲れきって汚れたまりさと、いつも通り不機嫌なれいむが目の前にいるだけだ。
太陽さんよりも早起きして太陽さんが帰っても続けていた狩りの成果は一瞬にして消えた。
山を跳ね回り一所懸命に汗をかいて、そして泥だらけになった汚いまりさだけがおうちの中にいる。
まりさがゆっくり出来ない姿なのは必死に狩りを頑張ったからだ。
いろんなご飯さんを見つけて喜んだ狩りの記憶もある。
でもその証拠がない。まりさは狩りをしてきた筈である。
しかしおうちの中には、疲れきって汚れたまりさと、いつも通り不機嫌なれいむが目の前にいるだけだ。
『ねえ まりさ? もしかして れいむを ばかにしているの? いつまでたっても まいにち きのみや きのこさんばかりなんだよ?
おかしいよね? おかしいと おもわないの? かわいい れいむに にあう もっと ごうかな ごはんさんを もってこようって おもわないの?
きれいな おはなの ひとつくらい とってこれないの? そんなに れいむを おこらせて たのしいの?』
おかしいよね? おかしいと おもわないの? かわいい れいむに にあう もっと ごうかな ごはんさんを もってこようって おもわないの?
きれいな おはなの ひとつくらい とってこれないの? そんなに れいむを おこらせて たのしいの?』
ビキビキビキィ!と血管のような物を浮かび上がらせてれいむは苛立ち始めた。
怒りで食いしばった歯の間からキリキリとした音を発しながらまりさに詰め寄った。
怒りで食いしばった歯の間からキリキリとした音を発しながらまりさに詰め寄った。
『わかってるの? ねえ れいむの おはなし りかいしてるの? おはなさんってしってる? みたことないなら れいむが おしえてあげようか?』
「……ゆう………ゆあ…………………ご、ごめんね」
ガブリと齧りつかれそうなほどまで睨んだれいむの顔が迫ってくる。
まりさは、れいむが捕食種でもないのにボロボロに噛み切られるのではないかと思って怖くて仕方がなかった。
どんな量のご飯さんも一口で食べてしまうれいむならば、まりさなんてあっという間に大きな奥歯で噛み潰されてしまうだろう。
まりさは、れいむが捕食種でもないのにボロボロに噛み切られるのではないかと思って怖くて仕方がなかった。
どんな量のご飯さんも一口で食べてしまうれいむならば、まりさなんてあっという間に大きな奥歯で噛み潰されてしまうだろう。
「……………ゆ……………………ゆぅ………ゅ……」
まりさは自分の冷や汗が目の中に入っても瞬きをしない。
れいむを恐怖している精神が体を凌駕していた。
れいむを恐怖している精神が体を凌駕していた。
『まあ いいよ! いまは ゆるしてあげるよ! れいむは すっごく やさしいからね!
さすが れいむだね! れいむは てんしさん だね!
でも れいむは がまんしてるんだからね? わかってる? あとは いわなくても ゆっくり りかいしてね?
さあ あやまるひまが あるなら もっと まともな ごはんさんを さがしてきてね!
ゆっくりしないで いってきてね! ゆっくりしていいのは れいむだけだよ!』
さすが れいむだね! れいむは てんしさん だね!
でも れいむは がまんしてるんだからね? わかってる? あとは いわなくても ゆっくり りかいしてね?
さあ あやまるひまが あるなら もっと まともな ごはんさんを さがしてきてね!
ゆっくりしないで いってきてね! ゆっくりしていいのは れいむだけだよ!』
「が、がんばるよ」
『おいしくて あまあまな くだものさんだよ?』
「……………………………………………………………………………………ゆ、ゆん」
『くだものさんだよ?』
「…」
れいむは黙ってうつむいているまりさの頭の上に片方のモミアゲを置いた。
れいむの背丈はボロボロのまりさより二周りは大きい。まりさは子供ではないのに親子のように見える。
れいむはまりさの頭をポンポンと乗せたモミアゲでノックしつつ低い声で呟く。
れいむの背丈はボロボロのまりさより二周りは大きい。まりさは子供ではないのに親子のように見える。
れいむはまりさの頭をポンポンと乗せたモミアゲでノックしつつ低い声で呟く。
『ねえ… まりさは わかってるの? わかってないよね?
まりさは かりぐらいしか とりえが ないんだよ? じぶんの ことだから わかるよね?
まりさは いったい なんのために いきてるの? かわいい れいむの ためでしょう?
だから ちゃんと れいむのために はたらいてね? とうぜんでしょ?
もしも かくれて じぶんだけ ゆっくりしようとしていたら れいむは ゆるさないよ?』
まりさは かりぐらいしか とりえが ないんだよ? じぶんの ことだから わかるよね?
まりさは いったい なんのために いきてるの? かわいい れいむの ためでしょう?
だから ちゃんと れいむのために はたらいてね? とうぜんでしょ?
もしも かくれて じぶんだけ ゆっくりしようとしていたら れいむは ゆるさないよ?』
「ゆっくり…り…りかいし…したよ」
まりさはれいむの目を見ることが出来ない。
あのモミアゲが怖くて一つも体を動かせない。
あのモミアゲが怖くて一つも体を動かせない。
『さあ! きょうこそ くだものさんを みつけてきてね! ぜんぶ れいむが おいしく たべてあげるからね!
いろんな くだものさんが れいむに たべられたがって まってるよ! かわいそうだから はやく れいむの おうちに つれてきてね!』
いろんな くだものさんが れいむに たべられたがって まってるよ! かわいそうだから はやく れいむの おうちに つれてきてね!』
「…………」
『つれてきてね!』
「……………………………ゆぅ」
まりさが弱々しく呟いた瞬間、ゆっくりしてない速度で何かが動いた。
<グイイイイイイイイイイイイイイッ!>
<ブチチチチチッ!!!>
「ゆあああああああああああああああああああ!?」
まりさの頭を小突いていたモミアゲが黙っていたまりさの前髪を急に掴んでひっぱり上げた。
れいむによって力まかせにひっぱられた前髪の根元からは痛そうな音が聞えてくる。
れいむによって力まかせにひっぱられた前髪の根元からは痛そうな音が聞えてくる。
「ゆんやぁああああああ!!!! ゆああああああああ!!!!」
まりさが宙に持ち上げられる程までモミアゲは振り上げられていないが
なんとか頑張って背伸びを続けていないと、髪の根元からゆっくりできない激痛が襲ってくる。
まりさの悲鳴に被せる様にれいむが畳み掛ける。
なんとか頑張って背伸びを続けていないと、髪の根元からゆっくりできない激痛が襲ってくる。
まりさの悲鳴に被せる様にれいむが畳み掛ける。
『まりさ!! まりさ!!! まりさあああああああああ!!! おまえは いったい なんなの!? いいかげんにしてね!!!
いつも かえってきては ゆっくりできない かおを れいむにみせてさ!!!
まりさの おかけで おうちのなかが まっくらなるんだよ! まったく ゆっくりできないよ!!!!
いったい なにが ふまんなの? かりを するのは あたりまえでしょう? れいむは れいむで れいむの おうちを まもってるんだよ?
そんなだと ほら! れいむの しょくよくが おちてるのが わからないの? まったく たよりに ならないね!!!
ほんとうに おまえは だめな まりさだよ! れいむは ふこうだよ! かわいそうだよ!!!!! ぜんぜん ゆっくりできないよ!!!!』
いつも かえってきては ゆっくりできない かおを れいむにみせてさ!!!
まりさの おかけで おうちのなかが まっくらなるんだよ! まったく ゆっくりできないよ!!!!
いったい なにが ふまんなの? かりを するのは あたりまえでしょう? れいむは れいむで れいむの おうちを まもってるんだよ?
そんなだと ほら! れいむの しょくよくが おちてるのが わからないの? まったく たよりに ならないね!!!
ほんとうに おまえは だめな まりさだよ! れいむは ふこうだよ! かわいそうだよ!!!!! ぜんぜん ゆっくりできないよ!!!!』
<ブンッ! ブンッ!>
<ブチチチチッ!!!!>
「いだあい! いだいいいいい!」
れいむがまりさの前髪を掴んだモミアゲを振り回すと、悲鳴と異音が同時におうちの中に鳴り響く。
『いまの いままで だまっていたけどね! れいむは まりさに いちども おれいを いわれたことがないんだよ!
きのこと きのみしか とってこられないような のうなしを れいむが ひろってあげたんだよ!
もしも れいむが いっしょに なってあげなかったら いまごろ おまえは ひとりで のたれじんでるよ!
そういうところを ちゃんと れいむに かんしゃしてるの!? してないんでしょ? れいむは わかってるよ!
まりさは れいむが およめさんに なってあげたからって のぼせあがってるんじゃないの!?』
きのこと きのみしか とってこられないような のうなしを れいむが ひろってあげたんだよ!
もしも れいむが いっしょに なってあげなかったら いまごろ おまえは ひとりで のたれじんでるよ!
そういうところを ちゃんと れいむに かんしゃしてるの!? してないんでしょ? れいむは わかってるよ!
まりさは れいむが およめさんに なってあげたからって のぼせあがってるんじゃないの!?』
<ブンッ! ブンッ!>
<ブチチチチッ!!!!>
「やめでええええ! いだいの やだああ! はなじでえええ!!!!」
『まりさの できそこないが いつまでも いいきになってるんじゃないよ!!!』
れいむが大声で怒鳴る度に怯えたまりさの体には唾やら汗がひっかけられる。
出会った頃は一回りくらいしか大きくなかったれいむも、今では丸い形も維持が出来ないほどに大きなゆっくりだ。
出会った頃は一回りくらいしか大きくなかったれいむも、今では丸い形も維持が出来ないほどに大きなゆっくりだ。
『だれかの おかげで れいむの おうちに すめると おもってるの!!!』
れいむは朝から晩までおうちに引きこもっている。
常に間食をしてるので一日何食なのかも分からない。
れいむの寝床は食べ散らかしなどで汚れて荒んでいた。
れいむが来る前のまりさのおうちは、自慢できるほど綺麗だったのに今では面影もなくなっている。
常に間食をしてるので一日何食なのかも分からない。
れいむの寝床は食べ散らかしなどで汚れて荒んでいた。
れいむが来る前のまりさのおうちは、自慢できるほど綺麗だったのに今では面影もなくなっている。
「いだいいいい!! ゆんやあああ! やああああっ!!!」
『へんじを しろおおお!! れいむの おはなしを ちゃんと きいてるのおおおおお!?
いたがってるふりなんてするんじゃないよ! れいむは だまされないよ!!』
いたがってるふりなんてするんじゃないよ! れいむは だまされないよ!!』
れいむの足元は真っ黒だ。れいむが身じろぎをする度にグジュリグジュリと音が鳴る。
周りに積もっている黒い塊は、食べ残しや食べ散らかしなどではない。
それはれいむの口ではなくもっと下から出たものだ。
太りすぎて満足に動けなくなったれいむが、ついに垂れ流し始めた日々のうんうんだ。
そんな寝床でもれいむは自分のうんうんなど気にしない。
きっと可愛いれいむから産まれた可愛いうんうんなのだろう。
こんなにも素晴らしい自分から作り出されるものは、れいむという存在と同じように
みんなが感謝して喜ぶべきものなのだと思っている。
周りに積もっている黒い塊は、食べ残しや食べ散らかしなどではない。
それはれいむの口ではなくもっと下から出たものだ。
太りすぎて満足に動けなくなったれいむが、ついに垂れ流し始めた日々のうんうんだ。
そんな寝床でもれいむは自分のうんうんなど気にしない。
きっと可愛いれいむから産まれた可愛いうんうんなのだろう。
こんなにも素晴らしい自分から作り出されるものは、れいむという存在と同じように
みんなが感謝して喜ぶべきものなのだと思っている。
『いつも こんなに きたない かっこうして まりさは いったいなんなの! れいむが はずかしい おもいを してもいいの!?』
うんうんやらしーしーによって装飾された酷い寝床と近寄れば漂ってくる臭いに、まりさは堪えることが出来ない。
れいむに対して好きでもなんでもないのだ。こんな状況を我慢出来るはずがない
ある日からまりさは大きな葉っぱを狩りのついでに摘み始めた。
おうちに帰ってくると、れいむが自分で始末を付けられなかったうんうんを口で拾っては葉っぱに包んで外へ捨てに行った。
起き抜けの快うんうん。食事中のうんうん。食後のうんうん。寝る前のうんうん。
それも最近では狩りが忙しくて、お掃除する暇も気力もなくなっていた。
その結果が、おはぎのような黒いあんよのれいむと、もはや"おといれ"みたいな寝床だった。
れいむに対して好きでもなんでもないのだ。こんな状況を我慢出来るはずがない
ある日からまりさは大きな葉っぱを狩りのついでに摘み始めた。
おうちに帰ってくると、れいむが自分で始末を付けられなかったうんうんを口で拾っては葉っぱに包んで外へ捨てに行った。
起き抜けの快うんうん。食事中のうんうん。食後のうんうん。寝る前のうんうん。
それも最近では狩りが忙しくて、お掃除する暇も気力もなくなっていた。
その結果が、おはぎのような黒いあんよのれいむと、もはや"おといれ"みたいな寝床だった。
<ブンッ!> <ドシャッア!!!>
「ゆべっ」
やっとれいむが、まりさの前髪を離して開放してくれた。
幸いにも髪の毛がごっそりと抜けるような事はなかった。
幸いにも髪の毛がごっそりと抜けるような事はなかった。
『…ふう』
やりきった顔をしたれいむは、まりさを掴んでいた太いモミアゲをぐるんぐるんと振り回す。
<ブンッ! ブブンッ! ブンッ! ブブンッ!>
太った体は重くて位置を動かせないが、モミアゲの付け根から毛先までは気持ち悪いぐらい自由に動いている。
「や、やめてね…やだよ…」
れいむは一息つくと再びまりさを見下ろした。
『ねえ まりさ? なにを ぼけっと してるの?』
「わ、わ、わかったよ!!! かりに いってくるよ!!!! ゆっくり しないで すぐにかえってくるよ!!!!」
『なにいってるの? ばかなの?』
「ゆ?…ゆゆ?」
『ほら はやくしてね すぐにだよ さっさとしてね』
れいむは貧乏ゆすりのように体をプルプルと震わせてまりさを急かし始めた。
しかしまりさはれいむの考えている事が一つも分からなかった。
今の今までご飯の話をしていたのに、れいむが求めるものはご飯ではないようだ。
むしろいつも会話が出来ているようでれいむが一方的に話しているだけだった。
どんなにイラついているれいむの姿をうかがっても、どうすればいいのか分からない。
しかしまりさはれいむの考えている事が一つも分からなかった。
今の今までご飯の話をしていたのに、れいむが求めるものはご飯ではないようだ。
むしろいつも会話が出来ているようでれいむが一方的に話しているだけだった。
どんなにイラついているれいむの姿をうかがっても、どうすればいいのか分からない。
『いーらっ いーらっ いーらっ 』
「ゆゆ?…ゆ…?……ゆう…?……ゆ……」
あの振り回している重たいモミアゲが再び自分に振り落とされるのではないかと思うと
まりさは考える事も出来なくなってきた。
まりさは考える事も出来なくなってきた。
『はああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……… ほんとうに! ほんとうに! まりさは たりない ゆっくりだね!!
すこしは ゆっくりしないで あたまを つかったらどうなの?? ねえ どうなの???
ごはんさんを たべることしか かんがえてないの? うんうん おもらししてる あかちゃんと おんなじなの??????』
すこしは ゆっくりしないで あたまを つかったらどうなの?? ねえ どうなの???
ごはんさんを たべることしか かんがえてないの? うんうん おもらししてる あかちゃんと おんなじなの??????』
「ま、まりさは そんなこと な…いよ…」
大きな溜息をついたれいむの機嫌が次第に悪くなっていくのを感じたまりさは
反射的に前髪とほっぺたを左のお下げで交互に隠した。
反射的に前髪とほっぺたを左のお下げで交互に隠した。
『わからないの? ほんとうに わからないの? まりさに あんこさんは つまっているの? どこかに わすれてきちゃったの?』
「わ…わからな…よ……ご、ごめんなさい」
『だ、か、ら! れいむは あにゃるさんが よごれているんだよ!!!』
「…ゆ?」
『わざわざ れいむが ぜんぶ いわないと わからないの? まりさには でりかしーが ないの? さいってい だね!』
「…………あにゃ……ゆ?……え?」
れいむは太って重たくなった体を時間をかけて動かすと姿勢を大きく変えた。
真っ黒なあんよと汚れた口の間にある部分を前面に押し出した。
つまりあにゃるさんをまりさに向かってズイッと突き出した。
真っ黒なあんよと汚れた口の間にある部分を前面に押し出した。
つまりあにゃるさんをまりさに向かってズイッと突き出した。
『はやく れいむの あにゃるさんを なーめなーめしてね! しあわせーっていってもいいよ! れいむは ゆるすよ!』
「………………………………………………………………ゆゆゆゆゆ!?」
まりさの眼前に突き出されたれいむのあにゃるさん。
食べるサイクルが早ければ、もちろん出るサイクルも早い。
まりさのお口くらい大きく開きそうな、れいむのあにゃるさんはしっとりと濡れている。
食べるサイクルが早ければ、もちろん出るサイクルも早い。
まりさのお口くらい大きく開きそうな、れいむのあにゃるさんはしっとりと濡れている。
さすがに断っておくが、れいむは動く饅頭であって下から出てくるのは普通の餡子だ。
原材料が小豆じゃなくても科学的には問題なく食べられる正常な餡子だ。
しかし普通の餡子であることは確かなのだが、ゆっくりにとっては出てくる場所によって意味や感じ方が全く違ってくる。
怪我をした時に流れる餡子と、気持ち悪い時に吐く餡子と、あにゃるから出る餡子は完全に別物だ。
ゆっくりにとってあにゃるさんから出るうんうんは排泄物だ。汚いものだ。臭いものだ。
実際には何の変哲もない餡子に対してしかめっ面をして嫌がり堪らない臭いで激しく嘔餡する。そういう物として扱われている。
ゆっくりの習性でも説明したように、そういう物だと定義付けられているのならば絶対にそうなのである。
親が子供のうんうんを始末出来るのも愛情があって何とかしているだけで、何一つゆっくりできない仕事だ。
それなのに大の大人のれいむのあにゃるさん、しかも汚れいむのあにゃるさんなんて、絶対にゆっくり出来ない。
原材料が小豆じゃなくても科学的には問題なく食べられる正常な餡子だ。
しかし普通の餡子であることは確かなのだが、ゆっくりにとっては出てくる場所によって意味や感じ方が全く違ってくる。
怪我をした時に流れる餡子と、気持ち悪い時に吐く餡子と、あにゃるから出る餡子は完全に別物だ。
ゆっくりにとってあにゃるさんから出るうんうんは排泄物だ。汚いものだ。臭いものだ。
実際には何の変哲もない餡子に対してしかめっ面をして嫌がり堪らない臭いで激しく嘔餡する。そういう物として扱われている。
ゆっくりの習性でも説明したように、そういう物だと定義付けられているのならば絶対にそうなのである。
親が子供のうんうんを始末出来るのも愛情があって何とかしているだけで、何一つゆっくりできない仕事だ。
それなのに大の大人のれいむのあにゃるさん、しかも汚れいむのあにゃるさんなんて、絶対にゆっくり出来ない。
『ほら はやくしてね? なーめ なーめ してね? ぺーろぺーろしてね? ゆっくり やさしくだよ? てんしさんの れいむは でりけーと なんだからね?』
れいむが口を開くと、まりさの目の前にある下の穴も微妙に反応してうごめいている。
「……っ………っ」
まりさは息を止めた。思考も勝手に止まった。
それでも意識は自然と戻ってきてしまう。
それでも意識は自然と戻ってきてしまう。
「…………………………………れ、れいむは もう おとなだよ? あかちゃんじゃないんだよ?」
まりさは冗談でも受け流すように、れいむに向かって苦笑いをした。
『ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ!?』
れいむは眉間に皺を寄せて壊れた時計みたいに声を発しながらまりさを睨みつけた。
「だ、だって…れいむは…」
『なんなの? ねえ なんなの まりさ? こんなに かわいい およめさんを ないがしろにするの?
そうなんだね! れいむは しってたよ! やっぱり まりさは げすだったんだね! よくわかったよ!
だったら いますぐ むれのみんなに せいっさいしてもらおうね! みんなに いってあげるからね!
まりさが まいにち なまけているせいで どれだけ れいむを いーらいーら させてるか ぜんぶ みんなに ばらしてあげるよ!
かわいい れいむの ふかくて ひろい やさしさも もう げんかいだね! せいぜい ぼっこぼこの ぎったぎたに されるといいよ!』
そうなんだね! れいむは しってたよ! やっぱり まりさは げすだったんだね! よくわかったよ!
だったら いますぐ むれのみんなに せいっさいしてもらおうね! みんなに いってあげるからね!
まりさが まいにち なまけているせいで どれだけ れいむを いーらいーら させてるか ぜんぶ みんなに ばらしてあげるよ!
かわいい れいむの ふかくて ひろい やさしさも もう げんかいだね! せいぜい ぼっこぼこの ぎったぎたに されるといいよ!』
「ちがうよ!!ちがうんだよ!!! ゆっくり まってね!!!」
『おさげさんを もいで もらおうね! おぼうしは ばりばりに きっちゃおうね!
えださんは なんぼん さしてほしい? おめめさんには さんぼんづづ さして もらおうね!
あんよさんを ずたずたにしたら ありさんの おうちのまえに おいて もらおうね!
ああ でも せいっさいされるまえに おいしいごはんを たくさんさがしてきてね! もちろん あまあまな くだものさんに してね!』
えださんは なんぼん さしてほしい? おめめさんには さんぼんづづ さして もらおうね!
あんよさんを ずたずたにしたら ありさんの おうちのまえに おいて もらおうね!
ああ でも せいっさいされるまえに おいしいごはんを たくさんさがしてきてね! もちろん あまあまな くだものさんに してね!』
想像するだけでもゆっくりできない恐ろしい自分の姿がまりさをよぎった。
自慢の大きな帽子は、元には戻せそうにもない非道い引き裂かれ方していた。
その上には真新しいうんうんが乗せられて、しーしーで湯気を立ち上らせつつ溶けている。
どんなにぺーろぺーろしても、もうどうにもならないまりさのお帽子。
そしてまりさは怖い顔をした大勢のゆっくり達に連れ去られていく。
どんなやめてほしいと叫んでもいろんなゆっくり達の制裁を受け続ける。
金色の髪の毛は四方八方にひっぱられて抜け落ちた。まりさの大事な左のおさげさんは、何処かのおちびちゃん達の遊び道具に使われて千切れてしまった。
おめめには太い枝さんが三本づつ突き立てられていて、そのまま体を貫通してまりさを地面に繋ぎ止めている。
ズタズタに傷つけられて、もう跳ねることも動かすことも出来ないあんよさんからは、餡子が垂れ流されて地面を濡らしている。
まりさは動くこともしゃべる事も出来ずに、たった一匹で暗い山の何処かに取り残された。
やがて全身に走る痛みの理由が蟻さんだと分かる頃には、目の中から、口の中から、傷の穴から入り込んで全身を貪られていく。
どんなに体の中を蠢く蟻さん達を怖がってもまりさは一歩も―――――
自慢の大きな帽子は、元には戻せそうにもない非道い引き裂かれ方していた。
その上には真新しいうんうんが乗せられて、しーしーで湯気を立ち上らせつつ溶けている。
どんなにぺーろぺーろしても、もうどうにもならないまりさのお帽子。
そしてまりさは怖い顔をした大勢のゆっくり達に連れ去られていく。
どんなやめてほしいと叫んでもいろんなゆっくり達の制裁を受け続ける。
金色の髪の毛は四方八方にひっぱられて抜け落ちた。まりさの大事な左のおさげさんは、何処かのおちびちゃん達の遊び道具に使われて千切れてしまった。
おめめには太い枝さんが三本づつ突き立てられていて、そのまま体を貫通してまりさを地面に繋ぎ止めている。
ズタズタに傷つけられて、もう跳ねることも動かすことも出来ないあんよさんからは、餡子が垂れ流されて地面を濡らしている。
まりさは動くこともしゃべる事も出来ずに、たった一匹で暗い山の何処かに取り残された。
やがて全身に走る痛みの理由が蟻さんだと分かる頃には、目の中から、口の中から、傷の穴から入り込んで全身を貪られていく。
どんなに体の中を蠢く蟻さん達を怖がってもまりさは一歩も―――――
「ゆあああああああああああああああ!!!!! ま、まりさは げすじゃないよ!!!」
『だったら はやく きれいにしてね?』
今まで乗り越えてきたゆっくりできない日々は、まりさの努力で何とかしてきた。
大食らいのれいむの為に毎日疲れ果てるまで狩りをしてしきた。
くさいうんうんを片付けて、汚いしーしーを掃除してあげてきた。
何をやっても文句を言われて、たまに叩かれたりもしてきた。
しかし今度は額に汗水流す程度で乗り切れることではない。
大食らいのれいむの為に毎日疲れ果てるまで狩りをしてしきた。
くさいうんうんを片付けて、汚いしーしーを掃除してあげてきた。
何をやっても文句を言われて、たまに叩かれたりもしてきた。
しかし今度は額に汗水流す程度で乗り切れることではない。
『れいむは またされるのが だいきらいなんだよ? しってるよね? また ほっぺで りかいしたいの?』
お嫁さんであるれいむの要求を拒絶する事は出来ない。
ゆっくり出来なくてもやるしかない。
そのままにしておけば一晩中騒ぎ立てるだろう。
身の回りの世話をしてあげないと更にまりさのおうちは汚くなっていく。
もしも聞こえない振りなんかしてしまったら、散々ほっぺを叩かれた挙句に
おうちの外まで聞える大声で群れにある事ない事を言いふらすだろう。
ゆっくり出来なくてもやるしかない。
そのままにしておけば一晩中騒ぎ立てるだろう。
身の回りの世話をしてあげないと更にまりさのおうちは汚くなっていく。
もしも聞こえない振りなんかしてしまったら、散々ほっぺを叩かれた挙句に
おうちの外まで聞える大声で群れにある事ない事を言いふらすだろう。
『さあ ていねいに なーめ なーめ してね! ゆっくり ていねいにだよ! れいむは あにゃるさんは でりけーと だからね!』
「………………………………ゆん…やぁ…」
まりさは出来る限り頭を空っぽにしてれいむの下部に顔を近づけた。
そしてゆっくりと自分の舌をれいむには触らない程度に伸ばしていく。
まりさの崖っぷちの自尊心とツガイとしての義務感が天秤に乗っている。
抗うことの出来ない習性と抗わんとする理性。それがまりさの心を四方八方に引き裂いているようだ。
そしてゆっくりと自分の舌をれいむには触らない程度に伸ばしていく。
まりさの崖っぷちの自尊心とツガイとしての義務感が天秤に乗っている。
抗うことの出来ない習性と抗わんとする理性。それがまりさの心を四方八方に引き裂いているようだ。
「ゆっ…ゆぐぐっ…」
舌先が触れるか触れないかの距離で体が石になったようなまりさは一向に舐め始めない。
しかしそんなまりさの態度にれいむは怒ることがなかった。
しかしそんなまりさの態度にれいむは怒ることがなかった。
なぜならば…。
『ゆあん れいむ しーしー したくなったよ』
「しーしー?」
『れいむは しーしー したくなったんだよ』
「し、しーしー!? ちょ、ちょ、ちょっとまってねえええ!!!!!」
今の二匹の姿勢。そしてれいむの要求から出る答えは明確だ。
『こんなしせいだと しーしーで びしょ びしょだよ? まりさが ぐずぐずしてるから いけないんだよ?
そうなったら ちゃんと おそうじしてね? れいむは きれいずき だからね
まりさだって こんなに かわいい およめさんの れいむが きたならしくなったら いやでしょう?
きれいな ままの およめさんのほうが まりさも いいよね?』
そうなったら ちゃんと おそうじしてね? れいむは きれいずき だからね
まりさだって こんなに かわいい およめさんの れいむが きたならしくなったら いやでしょう?
きれいな ままの およめさんのほうが まりさも いいよね?』
むしろすでに十分汚らしいのだが、れいむの機嫌を損ねることは出来ない。
そして悲しいことに、しーしーならまだいいかな…なんてまりさは思ってしまった。
実際にはしーしーを乗り越えたとしても、あにゃるさんがなかったことにはならないのだが。
そして悲しいことに、しーしーならまだいいかな…なんてまりさは思ってしまった。
実際にはしーしーを乗り越えたとしても、あにゃるさんがなかったことにはならないのだが。
「……………………………………ゆう」
れいむの体の下の方で舌を長く伸ばしていたまりさは、今度はそのまま口を大きく開けた。
『もっと! もっとだよ! おおきく おくちを あけてね! まりさは どこみてるの? ちゃんと まえをみて しーしーを おうんだよ!!』
「あが……あがが……ああああ……………」
まりさは自分が涙していることにも気づいていなかった。
こんな姿をありすには見せられない。絶対に見せられない。
こんな姿をありすには見せられない。絶対に見せられない。
「ゆああぁ…がぁぁ…んあぁ…」
『そのままだよ! うごかないでね! そ、そろそろだよ!』
大丈夫だ。まりさはなんともない。ゆっくりしているよ。なんともないよ。
これは…まりさの…仕事なん…だよ。
これは…まりさの…仕事なん…だよ。
「ゆああ…ああああっ……あああああ!…」
『ゆふふふへへへへははははっはっはっ!! ないて よろこぶなんて まりさは しあわせものだね! これからは まいにち してあげるよ!』
ありすにはもう会えないんだ。
だってまりさは旦那さんだから。
だってもう大人なんだから。
だってまりさは旦那さんだから。
だってもう大人なんだから。
『れいむは しーしー するよ! かわいい れいむの しーしーたいむを ゆっくりみていってね!!!!!』
<プッシャア!! チョロロロロロロッ>
れいむの下腹部からは素人の水芸みたいなしょうもない放物線が描かれた。
そしてそれは空中に弧を描いて、れいむの下で小刻みに震えていたまりさの口と繋がった。
そしてそれは空中に弧を描いて、れいむの下で小刻みに震えていたまりさの口と繋がった。
「………ゆっ………………ごぼっ…んぶっ…ゆぶぶぶぶぼぼぼぼぼぼっ」
しーしーだって本当は砂糖水に過ぎない。
しかしゆっくりにとっては違う。こんな事はしてはいけない。ありえない。
しかしゆっくりにとっては違う。こんな事はしてはいけない。ありえない。
<チョロロロッジョボボボボブロブボボロロロ!!!>
殆どご飯を食べさせてもらえなかったまりさは、久しぶりの甘さで食欲が満たされていく。
駄目だ。甘いと感じてはいけない。でも甘い。ああ、甘いよ。まりさはゆっくりなんて感じてないよ。違うよ。違う。
駄目だ。甘いと感じてはいけない。でも甘い。ああ、甘いよ。まりさはゆっくりなんて感じてないよ。違うよ。違う。
『いっぱい でるよ! れいむの しーしー いっぱい でてるよ!!! ぞんぶんに あじわってね!!!』
「ゆごぼぼぼ!んぶぼっ!ゆんぐぐぐぼぼぼぼばばばっ!」
『ゆゆ~ん★ しーしーしている れいむも とびきりかわいくって ごめーんね♪ ゆっふん!』
れいむのしーしーが終わるまでじっとしているまりさ。
まりさから滴り落ちるのは口から溢れているれいむのしーしーだけではない。
流れる涙は、まりさの中に残っていた最後のゆっくりだ。
しかしそれもれいむの生暖かいしーしーと混ざり合って地面へと吸い込まれていく。
まりさから滴り落ちるのは口から溢れているれいむのしーしーだけではない。
流れる涙は、まりさの中に残っていた最後のゆっくりだ。
しかしそれもれいむの生暖かいしーしーと混ざり合って地面へと吸い込まれていく。
「ゆぶっ…ぼっぼっ…ぶゅっぼ……」
『ゆるるるるるん! すっきりーーーーーーーーーーー☆』
「ゆぐっ……ゆげっふ…ごっふ……ゆぇぇ…」
まりさの口の中はすごく甘い。そしてしびれている。
今にも餡子さんを吐き出しそうだった。
れいむの出したしーしーの臭いが自分から立ち上っているのが分かる。
今にも餡子さんを吐き出しそうだった。
れいむの出したしーしーの臭いが自分から立ち上っているのが分かる。
「ゆあ…あ……………あ…」
まりさの綺麗な髪の毛からも。
まりさの自慢の黒いお帽子かも。
まりさのもちもちした肌からも。
全てかられいむのしーしーのニオイがする。
まりさの自慢の黒いお帽子かも。
まりさのもちもちした肌からも。
全てかられいむのしーしーのニオイがする。
もう…ゆっくりしてもいいはずだ。
こんなにもゆっくり出来なかったんだから…まりさはゆっくりしてもいいはずだ。
こんなにもゆっくり出来なかったんだから…まりさはゆっくりしてもいいはずだ。
『じゃあ あにゃるさんを ぺーろぺーろしてね』
「………………………………………………………………………………ゆう」
『どうしたの? はやくぺーろぺーろしてね? がまんしなくてもいいんだよ?』
「…ゆんやぁ」
『ま、り、さ』
呼びかけられる地響きのような重い声。
たった三文字の自分の名前が、こんなにも恐ろしいと感じたことはなかった。
その音は確かに自分の名前を表す物だったが、この世の全てのゆっくりできないものが詰め込まれていた。
殺されてしまう。ずっとゆっくりさせられてしまう。ゆっくりできないのなら、ゆっくりできるようになろう。
だから逃げよう。ここから逃げないといけない。ゆっくりできないのだから。
でも逃げたら群れに制裁される。ありすにも会えない。ならゆっくりできない。ゆっくりできないのはだめだ。
だからここにのこらないと、でもころされちゃう、ゆっくりできない、だからにげないと、でもうごいちゃだめ、わかんない、わかんない、もうわかんない。
たった三文字の自分の名前が、こんなにも恐ろしいと感じたことはなかった。
その音は確かに自分の名前を表す物だったが、この世の全てのゆっくりできないものが詰め込まれていた。
殺されてしまう。ずっとゆっくりさせられてしまう。ゆっくりできないのなら、ゆっくりできるようになろう。
だから逃げよう。ここから逃げないといけない。ゆっくりできないのだから。
でも逃げたら群れに制裁される。ありすにも会えない。ならゆっくりできない。ゆっくりできないのはだめだ。
だからここにのこらないと、でもころされちゃう、ゆっくりできない、だからにげないと、でもうごいちゃだめ、わかんない、わかんない、もうわかんない。
「ゆ?」
今にもおかしくなってしまうそうなまりさが見上げると、その頭上には太くて重そうなモミアゲが掲げられていた。
ゴスンと振り落とされてしまえば、まりさのおめめは勢い良く飛び出して、口からは餡子を噴き出してペチャンコのグチャグチャになる。
ゴスンと振り落とされてしまえば、まりさのおめめは勢い良く飛び出して、口からは餡子を噴き出してペチャンコのグチャグチャになる。
「ぺぺぺーろ!ぺーろ!ぺー…ゆげぇっ!…ぺーりょ! ぶぇーりょ!…ゆぐっ…ぺ、ぺーろおおお!」
まりさは無我夢中で、れいむのあにゃるを舐めて始めた。
下に広がるゆっくり出来ない味とザラザラかつヌメヌメとした感触。
下に広がるゆっくり出来ない味とザラザラかつヌメヌメとした感触。
『ゆん♪ ゆゆん♪ ゆっくりのひ~♪ まったりのひ~♪』
れいむは、お歌を歌いながら自分の歯の間を長い舌で掃除している。
うんうんと同じ臭いが、まりさの餡子の嘔吐を促すが無理に我慢することによって余計に気持ち悪くなっていく。
ここは地獄だ。生きながらにしてまりさは地獄を味わっている。
うんうんと同じ臭いが、まりさの餡子の嘔吐を促すが無理に我慢することによって余計に気持ち悪くなっていく。
ここは地獄だ。生きながらにしてまりさは地獄を味わっている。
『れいむは せかいいち かわいいって? ゆん しってるよー♪ れいむは てんしさんなんだよ! もう おばーかさん♪』
苦悶の表情を浮かべてれいむのあにゃるさんを丹念に綺麗にしているまりさ。
そしてそのすぐ上では上機嫌のれいむが声高らかに歌っていた。
そしてそのすぐ上では上機嫌のれいむが声高らかに歌っていた。
『れいむは みんなの にんきもの~♪ みているだけで ゆっくりできるよ~♪ だって れいむは ゆっくりしてるからだよ~♪』
歌い終わったれいむはゴモゴモと口の中を蠢かせた。
そして固い皮や渋いスジのようなものがあれば、プッと下にいるまりさの帽子の上に吐き出していく。
あっという間にまりさの帽子のツバは、れいむのゴミ捨て場として飾られた。
そして固い皮や渋いスジのようなものがあれば、プッと下にいるまりさの帽子の上に吐き出していく。
あっという間にまりさの帽子のツバは、れいむのゴミ捨て場として飾られた。
「ぺーろぉ…くしゃあ………ぺーろ……にぎゃ……ゆっ……ぺえろぉ……」
まりさの体は皮から餡子に至るまで。
まりさの心は意識から魂に至るまで。
ゆっくりできないモノによって侵されてしまった。
まりさにとってのゆっくり。それが一体なんだったのか、まりさにはもう思い出せない。
まりさの心は意識から魂に至るまで。
ゆっくりできないモノによって侵されてしまった。
まりさにとってのゆっくり。それが一体なんだったのか、まりさにはもう思い出せない。
「ぺーろ…ぺーろ……………ぺーろ…ぺーろ………ぺーろ…」
『なかなか じょうずだね! れいむは まりさの とくぎを みつけて あげたんだよ!
れいむは のうなしの まりさを すくってあげた きゅうせいしゅだね! れいむに かんしゃしてね!』
れいむは のうなしの まりさを すくってあげた きゅうせいしゅだね! れいむに かんしゃしてね!』
「ぺっ…ろ…ぺっ…ろ……ぺぇ…ろお………」
『ゆ? ゆゆゆ? …ゆげげ!!』
「ぺっ…ろ……ぺぇ…ろお………」
『まりさなんて みていても つまらないから れいむは きょう はじめてきづいたよ!』
「ぺっ………ぺぇ………ろ…」
『ねえ ねえ ねえ! どうして まりさは そんなに きたならしいの?
れいむのしってる まりさたちは もっときれいな おぼうしさんを かぶっていたよ?
あたまは ぼさぼさだし おぼうしは たべかすだらけだし おかおは ……ざんねんだけど すくいどころがないね!』
れいむのしってる まりさたちは もっときれいな おぼうしさんを かぶっていたよ?
あたまは ぼさぼさだし おぼうしは たべかすだらけだし おかおは ……ざんねんだけど すくいどころがないね!』
「ぺっ…ろ…ぺぇ…ろ………」
『まりさは とっても かわいそうだね! れいむみたいに ゆっくりとした ゆっくりに うまれてくればよかったね!
でも まりさは れいむじゃないから むりだよね! わかるよ!
まりさは まりさらしく ていっへんで ゆっくりしていればいいとおもうよ!』
でも まりさは れいむじゃないから むりだよね! わかるよ!
まりさは まりさらしく ていっへんで ゆっくりしていればいいとおもうよ!』
「ぺっ…ろ…ぺぇ……………」
『こんなに ゆっくりしてない まりさでも ちゃんと ひろってあげた れいむは てんしさんだよね! ゆゆん かみさま? れいむは めがみさま だね!!!』
「ぺーろ…ぺ…………………………………………」
『どう? れいむの あにゃるさんから ゆっくりを もらえたでしょう? ありがとうございますって おれいをいってね? なんかいでもいいよ?』
「ぺろ…………………………………………………………………ぺろ……」
そうかまりさは、れいむなんだ。
れいむの取るに足らないどこかの一部なんだ。
れいむのお口へご飯を運ぶモミアゲさんと変わらないんだ。
れいむのお口から垂れるヨダレさんと変わらないんだ。
れいむの取るに足らないどこかの一部なんだ。
れいむのお口へご飯を運ぶモミアゲさんと変わらないんだ。
れいむのお口から垂れるヨダレさんと変わらないんだ。
だったられいむの言う通りにすればいい。
れいむの一部なんだから、れいむの望んだ通りにしていればいいんだ。
まりさがモミアゲさんやヨダレさんなら、ゆっくりできないなんて思うのはおかしいよ。
そんなのことないんだよ。ないない。なにもない。
だからありすに会いたくて辛くなるなんて事もないんだよ。
れいむの一部なんだから、れいむの望んだ通りにしていればいいんだ。
まりさがモミアゲさんやヨダレさんなら、ゆっくりできないなんて思うのはおかしいよ。
そんなのことないんだよ。ないない。なにもない。
だからありすに会いたくて辛くなるなんて事もないんだよ。
まりさは、まりさじゃないんだ。
◆
「まりさ? いるかしら? ゆっくりしていってね?」
長のぱちゅりーが巡回で、まりさのおうちを訪れた。
以前に来たのはいつだったろうか?ぱちゅりー曰く何かと忙しいらしいので本当に久しぶりだ。
おうちの入り口で一息ついてるぱちゅりーに、まりさは木の実をもてなした。
以前に来たのはいつだったろうか?ぱちゅりー曰く何かと忙しいらしいので本当に久しぶりだ。
おうちの入り口で一息ついてるぱちゅりーに、まりさは木の実をもてなした。
「ぱちゅりー みまわり ごくろうさま れいむの おうちに よっていくの?」
「いいえ けっこうよ ぱちぇは からだが よわいからね くうきとか おはだとか びんかんなの ごめんなさいね
でも ぱちぇは おさのしごとを やりとげるわ ぱちぇは りっぱな おさを つとめたいのよ」
でも ぱちぇは おさのしごとを やりとげるわ ぱちぇは りっぱな おさを つとめたいのよ」
「そうなんだ」
そう言うと、ぱちゅりーは薄汚れたまりさから少し距離を置いた。
何かの食べかすと枝クズで装飾された帽子はヨレヨレになっている。
汚らしい髪と泥を被ったような肌から生気のない目がぱちゅりーを見ている。
何かの食べかすと枝クズで装飾された帽子はヨレヨレになっている。
汚らしい髪と泥を被ったような肌から生気のない目がぱちゅりーを見ている。
「いまは とっても たいへんでしょうけれど あんしんしてね まりさ
ぱちぇは しっているわ だれでも はじめは そういうものなのよ
だから じぶんだけが ゆっくりできないだなんて おもわないでちょうだいね
どんな ゆっくりも ゆっくりしないで がんばってるのよ
そして だれもが おとなに なっていくの
まりさも これで いちゆんまえよ おとなの なかまいりだわ おめでとう
りっぱな おとなになって すばらしい ぱちぇの むれを つくってね」
ぱちぇは しっているわ だれでも はじめは そういうものなのよ
だから じぶんだけが ゆっくりできないだなんて おもわないでちょうだいね
どんな ゆっくりも ゆっくりしないで がんばってるのよ
そして だれもが おとなに なっていくの
まりさも これで いちゆんまえよ おとなの なかまいりだわ おめでとう
りっぱな おとなになって すばらしい ぱちぇの むれを つくってね」
そういうとぱちゅりーは遠くを見つめて目を細めた。
「ぱちぇも ひとりだちを したときは むずかしいことを たくさん けいけんしたわ
でもね すべて ちしきとして さいしょから しっていたから なんにも もんだいは なかったわ
あれも これも そんなに むずかしいことじゃないの
ちしきさえ あればいいの こころがまえさえ あればよかったのよ
むきゅ もしかしたら ぱちぇだから だいじょうぶだったのかもしれないけどね」
でもね すべて ちしきとして さいしょから しっていたから なんにも もんだいは なかったわ
あれも これも そんなに むずかしいことじゃないの
ちしきさえ あればいいの こころがまえさえ あればよかったのよ
むきゅ もしかしたら ぱちぇだから だいじょうぶだったのかもしれないけどね」
「そう」
「それにね かていを もつのは とってもゆっくりできるのよ
だって おうちに つかれてかえってきても
だいすきな ゆっくりが いつも まっていてくれるんですもの
すてきな およめさんに そして かわいい かわいい こどもたちが」
だって おうちに つかれてかえってきても
だいすきな ゆっくりが いつも まっていてくれるんですもの
すてきな およめさんに そして かわいい かわいい こどもたちが」
「ゆ?」
「いづれ ぱちぇも かぞくを もつことになるのでしょうね
だんなさまは ぱちぇの つぎくらいに あたまがよくて ぱちぇの みぎうでになるの そして」
だんなさまは ぱちぇの つぎくらいに あたまがよくて ぱちぇの みぎうでになるの そして」
「いま なんて いったの?」
「おちびちゃんたちには しっかりと きょういくをするわ ぱちぇの すべてを おしえこむの」
「うるさいよ まりさの はなしを きいてね」
「まいばん いろんな おはなしを きかせてあげるの そしてね…
むきゅ? なにかしら? ごめんなさい まりさ
ぱちぇは ほんの すこしだけ おはなしに むちゅうになっていたわ」
むきゅ? なにかしら? ごめんなさい まりさ
ぱちぇは ほんの すこしだけ おはなしに むちゅうになっていたわ」
「ぱちゅりーは さっき まりさに なんていったの? すてきな およめさんに… なに?」
「だから すてきなおよめさんに そして かわいい こどもたちよ」
まりさの瞳が変わった。
この世が闇に包まれているような眼差しではない。
誰かに助けを求めているような眼差しでもない。
「ありがとう ぱちゅりー」
「どういたしまして まりさ
ゆふふっ なんだか げんきが でてきたみたいね」
ゆふふっ なんだか げんきが でてきたみたいね」
「さすが もりのけんじゃだね まりさは ゆっくりしないで りかいしたよ」
「じゃあね ぱちぇみたいに どりょくを おしまないでね」
ぱちゅりーは得意げな表情を作ってまりさのおうちを後にした。
まりさは長のぱちゅりーが口を付けなかった木の実を一口で頬張るとガリガリと砕いて一気に飲み込んだ。
まりさは長のぱちゅりーが口を付けなかった木の実を一口で頬張るとガリガリと砕いて一気に飲み込んだ。
「そうだよ
まりさは だんなさん だよ
れいむの だんなさん なんだよ」
まりさは だんなさん だよ
れいむの だんなさん なんだよ」
まりさは黒い帽子を深く被り直した。
大きな帽子によって隠れた瞳は、影の中でも黒い光を揺らめかせていた。
大きな帽子によって隠れた瞳は、影の中でも黒い光を揺らめかせていた。
「およめさん宣言するよ! (中) 新婦さんが大変だ」 へつづく
作:パリジェンヌ・カーニサワー
挿絵: