ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko1868 川辺の狩人
最終更新:
ankoss
-
view
「ゆっゆ!」
ぽいん!ぽいん!ぽいん!ぽいん!
あちらこちらでゆっくりの跳ねる音がする。
「ちょうちょさん!ゆっくりしないでたべられてね!」
「ゆゆん!きのこさんがあるのぜ!やっぱりまりさはかりのめいじんなのぜ!」
「わかるよー!こっちにいもむしさんがいるんだねー!」
「むきゅ!まどうしょによると、こっちにあまあまがあるわ!」
「ぱちゅりー!そっちはうんうんぷれいすなのぜ!!!」
狩りに勤しむ野生のゆっくりたちの、元気な声が聞こえる。
ある晴れた日のこと。緑豊かなこの森は、
ゆっくりが恐れる猪や熊などの野生動物はいなかった。
彼女達のゆっくりぷれいすは、とても平和であった。
「ゆふ~、だいぶあるきまわったから、のどさんがからからだよ!
かわさんのおみずをぺーろぺーろするよ!!!」
あるまりさが喉の渇きを潤すために、小川へと近づいていく。
この川は、群れ共通の水分補給の場で、
通称「ごっきゅりぷれいす」と呼ばれている。
ただ、実際に水面に口をつけて
「ごーく!ごーく!」と言いながら水を飲んでいるものは少ない。
というもの、水を飲み終えて、「しあわせーっ!」と言い放った瞬間に、
川にダイブしたり、お帽子を落としたりする餡子脳が、後を絶たなかったためだ。
そんな訳で、このまりさのようにぺーろぺーろの要領で水を飲むことが多い。
「ぺーろ!ぺーろ!」ぴちゃ!ぱちゃ!
長い舌で水を掬い上げていく。
からからで、もっさりしていた口内の餡子が見る見るうちにみずみずしくなる。
「ぺーろ!ぺーろ!」ぴちゃ!ぱちゃ!
両の頬には水滴が跳ねるが、まりさは渇きを癒すことに極上のゆっくりを
感じているため、顔面が少しぐらいふやけようとも気にしない。
「ぺーろ!ぺーろ!しあわせ~!!!」ぴちゃ!ぱちゃん!
大声で、体中のゆっくりを表現する。
もし、ここにゆっくりハンターがいたら、
即発見・射殺レベルの警戒心の無さである。
「ゆ~ん!とってもゆっくりできたよ!!!
でも、まりさはきょうはかりさんをとってもがんばったから、
もっとぺーろぺーろするよ!!!ぺーろ!ぺーろ!」ぴちゃ!ぱちゃ!
再び水を飲むまりさ。このまま放っておけば、
水っぱらになって動けなくなるまで川の水を飲み続けるだろう。
しかし、気が利くのか利かないのか、
よくわからないが、それを止めるものが現れる。
もう十分喉の乾きは満たされている。それでも、水を飲み続けるまりさ。
ゆっくりできたという記憶は、餡子脳内に深く刻み込まれる。
オナニーを覚えたての猿のように、無心にその動作を繰り返すのである。
このまりさ、それなりの餡子脳であった。
「ぺーろ!ぺ・・・!?!?!」ぴちゃ!ガブッ!
水中に深く突き刺した舌が引っ張られ、まりさは川に引きずり込まれそうになる。
突然かかった力に、まりさは不意を突かれ、陸と川の境界まで一気に持って行かれる。
「?!ひゃんひゃにょ!?!?」
慌てふためくまりさ。想像を超えた異常事態に、餡子脳の処理は追いつかない。
舌に走る痛みが。水に対する恐怖が。得体のしれない不気味さが。
まりさにゆっくりできない感情を植え付ける。
気がつけば、滝のように涙が溢れている。
バシャバシャ!
黄緑色のお帽子が見える。
それが何かはまりさにはよくわからないが、
自分をゆっくりさせない『何か』であるのは、わかっていた。
ぷくーっをして威嚇してやろうにも、口が開いているのでどうしようもない。
木の枝で振り払おうにも、肝心の舌は引っ張られ、ギチギチと嫌な音を立てている。
体当たりしてやろうにも、相手は水の中。飛び込んだ瞬間に破滅が決まる。
まさに八方ふさがりのまりさであった。
「ふぁふぇふぇふぇ!(やめてね!)ふぉっふぉふぃふぁふふぉ!(おっこちちゃうよ!)」
まりさの叫びを聞いてくれるものは誰もいない。
黄緑のお帽子が浮上し、水色の髪をしたゆっくりが現れた。
にとりだ。その姿を見たのは初めてであったが、
餡子に刻まれた記憶は、その名前をまりさに正確に伝えた。
にとりとまりさの目があった瞬間・・・
まりさは川に勢いよくダイブした。
放っておけば浮き上がってくるかもしれなかったが、
まりさの体は一度も浮き上がることなく、
深く、深く沈んでいく。
(たすけてね!だれかたすけてね!)
まりさは必死に祈る。
例えあんよが崩れ始めてきているとしても、
おめめが霞んで見えてきているとしても。
生きることを諦めようとはしなかった。
ブチィ!!!
まりさの体を引っ張る力が一気になくなる。
舌が千切れたのだ。
これ幸いと、じたばたするまりさ。
餡子が周りに滲むが、お構いなしである。
そんなまりさに柔らない感触が走る。
もしかしたら、自分をたすけてくれる、きゅうせいしゅが現れたのではないか?
そう思い、振り向くまりさ。
が、次の瞬間・・・
―がぶり!
まりさの頬は齧り取られてしまう。
(ゆあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!)
―がぶり!
心の中で雄たけびをあげている間に下あごを噛みちぎられる。
体をバラバラにされる恐怖に震えながら、
まりさが最期に見た光景は、
己に群がる、無数のにとりであった・・・。
「かぱー!やっぱりにとりはすごいね!まりさがりのたつじんだよ!!!」
「てれるなあ!そうでもないよ!
ただ、にとりはものたりないからもうちょっとかりをしてくるね!!!」
「じゃあ、にとりもいくね!!!」
「うん、にとりもいくよ!!!」
「わかったよ!!!いってらっしゃい!!!」
3匹の一人が陸に上がる。
各々が、森の茂みで身支度を始める。
数分後、葉っぱや木の枝を纏った三匹のにとりが姿を見せた。
「それじゃあ、いこうか」
「「そうだね」」
三匹のにとりは野原へと跳ねていく。
「おひさまさんぽーかぽーかだね!!」
「だにぇっ!!」
食後の日向ぼっこであろうか?
成体のまりさと子ゆっくりであろうまりさがいた。
2匹のまりさは終始笑顔で、くつろいでいた。
厳しい自然に生きる野生生物とは到底思えない表情である。
「ぽーかぽーか!!」
「ぽーきゃぽーきゃ!!」
体をこすり付けあい、幸せそうにするまりさ達。
生まれてこの方不幸なんてあったことがないと言わんばかりの笑顔。
「・・・かぱー・・・」
「ゆ?おちびちゃんなにかいった?」
「いってにゃいよ!!」
キョロキョロとあたりを見回すまりさ。
「ゆぅ?きのせいっだったみたいだね!」
彼女の目には野原が広がっているだけで、不思議なものは
何一つ写ってなかった。
最も、ゆっくりでないものがこの光景を見たら失笑ものだ。
カプッ・・・
「ゆっ!!くしゅぐったいよ!おちょうしゃん!!」
「??おちびちゃんなにいっているの?おとうさんはこっち・・・」ブチリ!
「・・・ゆん?」
子まりさの右頬は、なかった。
いや、消されたと言ったほうが正しいだろう。
さっきまであった右頬は跡形も無くなくなっていた。
「ゆ゛ぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」
「おぢびぢゃぁぁぁぁぁん!!!」
慌てて、傷口をぺーろぺーろするまりさ。
じたばたする子まりさをおさげで押さえつけ、必死に砂糖水の唾液を塗りたくる。
「ぺーろぺーろ!」
「ぺーろぺーろ!ゆっくりしないでなおってね!!」
「ゆ゛ぃ゛・・・ゆ゛ぃ゛・・・」
一心不乱に右頬をぺーろぺーろするまりさ。
しかし、彼女は気づかなければいけなかった。
子まりさが怪我をした原因を。
もし、気が付いていたら、こうはならなかっただろう。
子まりさが左半身を失うことなんかには・・・。
「ュ゛!・・・・」べちゃ・・・
左右の対称性が大きく崩れ、倒れる子まりさ。
右半身しか存在しないその体に、もはや命は宿っていない。
「どぼじてじんでるのぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!」
まりさの慟哭は響き渡る。
餡の底から叫んだまりさ。
悲しみの後に、ふつふつと怒りが湧き上がってくる。
「もう、ゆるさないよ!!!ぷくーっするよ!ぷくーっ!!!」
まりさは己の出来うる最高のぷくーっをした。
子供の躾のときにするぷくーっや、群れで喧嘩をするときのぷくーっとは格が違う。
野生生物を命がけで追い払うための、覚悟のぷくーっである。
本当に野生生物を追い払えるかと言われると怪しいところだが、
ゲスだろうとでいぶだろうと怯ませるであろうぷくーっをしたまりさは、
子まりさを永遠にゆっくりさせた相手を、せいっさいしたも同然であると思い込んでいた。
「ぷくーっ!ぷくーっ!」ドスドス!
本当に思い込んでいるだけだった。
世界が暗く、冷たく見え始める。
何のことは無い。まりさの両目が抉られただけだ。
にゅるりと取り出された白玉の眼球は、静かに地面に置かれた。
「まりさのつぶらなおべべがぁぁぁ!!!ぐらいよぉぉ!!!みえだいよぉぉ!」
まりさが叫んでいる間にも、体のパーツはブチブチと剥ぎ取られていく。
まりさの叫びは誰にも届かない。
まりさに届けられるのは、どす黒い好奇心である。
数十個のパーツに分けられた、まりさの亡き骸がそこにはある。
それ以外は何もないはずのところからにとりが三匹現れた。
にとりについていた葉っぱが一枚取れると、突然にとりが現れるのだ。
最も、ゆっくりの視点で言えば、であるが。
この習性は【ゆぷてぃかるかもふらーじゅ】と呼ばれ、にとりだけが持つ習性だ。
いわゆるけっかいっのようなもので、木の葉や木の枝を体に付けることで、
他のゆっくりから認識されなくなるといったものである。
ただし、付けたものが一つでも外れると効果を失うため壊れやすい。
この3匹は、ゆぷてぃかるかもふらーじゅを利用して、
まりさ狩りに勤しんでいたのである。
「たのしかったね!!!」
「きょうもたくさんぶんかいできたよ!!!」
「そうだね!!!じゃあ、にとりはおうちにかえるよ!!!」
「にとりもかえるよ!!!にとりはどうする??」
「にとりはちょっとようじがあるからまだかえらないよ!!!」
「わかったよ!!きをつけてね!!!」
2匹のにとりはおうちに帰る。
1匹のにとりは、誰一人いない野原でそわそわしている。
―数十分後
・・・ZZZ
「おい、にとり?起きてるか?」ぺしぺし
にとりの頬が軽くたたいてやる。
眠りが浅かった所為か、にとりはすぐさま目を覚ます。
「ひゅい!?」
「おう、起きたか。ほれ、きゅうりだぞ。」
「や、やぁ!めいゆう!きょうもきてくれたんだね!!」
「にとりにキュウリをあげるのが、俺の日課だからな。」
そう言って、男はキュウリをにとりに咥えさせる。
ボリボリ・・・。
「おいしいよ!めいゆう!!!やっぱりめいゆうのきゅうりはさいこうだね!!!」
「はは、そういってくれると嬉しいや。しかし、まぁあのちびすけが
ここまで大きくなるなんてな・・・。」
「ひゅい!めいゆうにはほんとうにかんしゃしてるよ!!」
この男とにとりには浅からぬ縁があるのだ。
にとりが子ゆっくりであった頃、森の中を歩いていると、
突然背後から、ゲスまりさに襲われた。
一応捕食種でもあるにとりだが、
子ゆっくりであり戦闘能力に乏しかったこと、
陸に慣れていない状態で奇襲攻撃にあったことから、
ゲスまりさに蹂躙されるしかない状況下にあった。
しかし、たまたまいた男が、ゲスまりさを偶然踏み潰したことで
にとりは危機を脱出した。
それから、何かと森の中でにとりと男は出会い、親交を深めていった。
「なぁ、にとり。今まで聞きたかったことがあるんだが、
いいかな?」
「いいよ!めいゆう!」
「にとりがまりさ狩りをするのって、ゲスまりさに襲われたときのことが
原因なのか?」
にとりは少し沈黙する。
「かぱー・・・。たしかにそれもあるね!じっさいまりさはだいっきらいだよ!!!
でもね!ほかにもりゆうがあるんだよ!めいゆう!」
「ほう・・・どんな理由だい。」
「ひみつだよ!めいゆう!」
「秘密かぁ・・・。そう言われるとますます気になる。
・・・おっ、もうこんな時間だ。じゃあ俺はここらでお邪魔するわ。」
「わかったよ!またきてね!めいゆう!!!」
男の背中が小さくなっていくのをにとりじっと見つめているのであった。
この森には、ある伝説がある。
1000まりさ伝説というにとり種だけに語り継がれる伝説だ。
なんでも、1000匹のまりさを永遠にゆっくりさせたにとりは、
胴付きゆっくりになれるという伝説である。
その伝説の真偽は定かではない。
ただ、その伝説を信じてあのにとりが、
まりさを狩り続けていることは確かな事実であるのだ。
男との甘い生活を夢見て、今日もにとりは狩りをする。
<おまけ>
「おーい!にとり~!」
シーン・・・
「ったく、どこ探してもいやしない。全く隠れてないで出てきてくれよ!」
ボリッ!ムシャムシャ!
にとりが見つからないイライラから、ついキュウリを齧ってしまう男。
いつも一本しか持ってこないので、
これでにとりにあげるキュウリはなくなってしまった。
「おーい!めいゆう!こっちだよ!!!」
「あーっ!そっちにいたのかにと・・・」
男は静止する。
「ひゅい!固まらないでよ!めいゆう!胴付きになっただけだよ!!!」
・・・
・・・・
・・・・・
「そ、そうか!おめでとう!!!」
「ありがとう!めいゆう!!!えっと・・おいわいのキュウリは?」
「・・・スマン!つい食べちゃったんだ!」
少し、悲しそうな顔をするにとり。
が、一転して笑顔に変わる。
「・・・そう。でも、めいゆうはきゅうりをまだ持ってるよね?
めいゆうのきゅうりが欲しいな!めいゆうのきゅうりが!」
怪しく笑いかけながら、きゅうりきゅうり連呼するにとりを見て・・・
気が付けば、パンツからポロロッカした、のびーるアームを
にとりにシューティングしようとしている男であった。
<あとがき>
ジェントルマンのドナルドあきです。
このSSは、にとりあきさんの舌を引っ張られて川に沈むまりさの絵と
ゆぷてぃかるかもふらーじゅの絵を参考に書いています。
あの絵の雰囲気を自分がSSで出せたか、と言われると怪しいものですが…。
にとりあきさま、勝手に作品からSSを連想しちゃって申し訳ないです。
それと、前作のゆっくりサイコロを振るよ!!!の挿絵ありがとうございました!!!
ぬか喜びするゆっくりの描写がニヤニヤさせられます。
では、夜も更けて参りましたので、ここらで失敬。
バイトの無い日はSSに励むドナルドあきでした。
「ちんちん!(今度こそ過去作よ!!!)」
anko1066 ゆくドナルド
anko1166 ゆくドナルド2
anko1304 れいむと・・・
anko1384 豆れみりゃとこうまかん
anko1395 ゆくドナルド3
anko1404 お前のゆん生30点
anko1432 幸福マスベ
anke1472 餡子に捧ぐは菊の花
anko1606 絶頂あにゃる
anko1643 流れゆく物 前編
anko1721 流れゆく物 後編
anko1730 靴磨きまりさ
anko1844 ゆっくりサイコロを振るよ!!!
ぽいん!ぽいん!ぽいん!ぽいん!
あちらこちらでゆっくりの跳ねる音がする。
「ちょうちょさん!ゆっくりしないでたべられてね!」
「ゆゆん!きのこさんがあるのぜ!やっぱりまりさはかりのめいじんなのぜ!」
「わかるよー!こっちにいもむしさんがいるんだねー!」
「むきゅ!まどうしょによると、こっちにあまあまがあるわ!」
「ぱちゅりー!そっちはうんうんぷれいすなのぜ!!!」
狩りに勤しむ野生のゆっくりたちの、元気な声が聞こえる。
ある晴れた日のこと。緑豊かなこの森は、
ゆっくりが恐れる猪や熊などの野生動物はいなかった。
彼女達のゆっくりぷれいすは、とても平和であった。
「ゆふ~、だいぶあるきまわったから、のどさんがからからだよ!
かわさんのおみずをぺーろぺーろするよ!!!」
あるまりさが喉の渇きを潤すために、小川へと近づいていく。
この川は、群れ共通の水分補給の場で、
通称「ごっきゅりぷれいす」と呼ばれている。
ただ、実際に水面に口をつけて
「ごーく!ごーく!」と言いながら水を飲んでいるものは少ない。
というもの、水を飲み終えて、「しあわせーっ!」と言い放った瞬間に、
川にダイブしたり、お帽子を落としたりする餡子脳が、後を絶たなかったためだ。
そんな訳で、このまりさのようにぺーろぺーろの要領で水を飲むことが多い。
「ぺーろ!ぺーろ!」ぴちゃ!ぱちゃ!
長い舌で水を掬い上げていく。
からからで、もっさりしていた口内の餡子が見る見るうちにみずみずしくなる。
「ぺーろ!ぺーろ!」ぴちゃ!ぱちゃ!
両の頬には水滴が跳ねるが、まりさは渇きを癒すことに極上のゆっくりを
感じているため、顔面が少しぐらいふやけようとも気にしない。
「ぺーろ!ぺーろ!しあわせ~!!!」ぴちゃ!ぱちゃん!
大声で、体中のゆっくりを表現する。
もし、ここにゆっくりハンターがいたら、
即発見・射殺レベルの警戒心の無さである。
「ゆ~ん!とってもゆっくりできたよ!!!
でも、まりさはきょうはかりさんをとってもがんばったから、
もっとぺーろぺーろするよ!!!ぺーろ!ぺーろ!」ぴちゃ!ぱちゃ!
再び水を飲むまりさ。このまま放っておけば、
水っぱらになって動けなくなるまで川の水を飲み続けるだろう。
しかし、気が利くのか利かないのか、
よくわからないが、それを止めるものが現れる。
もう十分喉の乾きは満たされている。それでも、水を飲み続けるまりさ。
ゆっくりできたという記憶は、餡子脳内に深く刻み込まれる。
オナニーを覚えたての猿のように、無心にその動作を繰り返すのである。
このまりさ、それなりの餡子脳であった。
「ぺーろ!ぺ・・・!?!?!」ぴちゃ!ガブッ!
水中に深く突き刺した舌が引っ張られ、まりさは川に引きずり込まれそうになる。
突然かかった力に、まりさは不意を突かれ、陸と川の境界まで一気に持って行かれる。
「?!ひゃんひゃにょ!?!?」
慌てふためくまりさ。想像を超えた異常事態に、餡子脳の処理は追いつかない。
舌に走る痛みが。水に対する恐怖が。得体のしれない不気味さが。
まりさにゆっくりできない感情を植え付ける。
気がつけば、滝のように涙が溢れている。
バシャバシャ!
黄緑色のお帽子が見える。
それが何かはまりさにはよくわからないが、
自分をゆっくりさせない『何か』であるのは、わかっていた。
ぷくーっをして威嚇してやろうにも、口が開いているのでどうしようもない。
木の枝で振り払おうにも、肝心の舌は引っ張られ、ギチギチと嫌な音を立てている。
体当たりしてやろうにも、相手は水の中。飛び込んだ瞬間に破滅が決まる。
まさに八方ふさがりのまりさであった。
「ふぁふぇふぇふぇ!(やめてね!)ふぉっふぉふぃふぁふふぉ!(おっこちちゃうよ!)」
まりさの叫びを聞いてくれるものは誰もいない。
黄緑のお帽子が浮上し、水色の髪をしたゆっくりが現れた。
にとりだ。その姿を見たのは初めてであったが、
餡子に刻まれた記憶は、その名前をまりさに正確に伝えた。
にとりとまりさの目があった瞬間・・・
まりさは川に勢いよくダイブした。
放っておけば浮き上がってくるかもしれなかったが、
まりさの体は一度も浮き上がることなく、
深く、深く沈んでいく。
(たすけてね!だれかたすけてね!)
まりさは必死に祈る。
例えあんよが崩れ始めてきているとしても、
おめめが霞んで見えてきているとしても。
生きることを諦めようとはしなかった。
ブチィ!!!
まりさの体を引っ張る力が一気になくなる。
舌が千切れたのだ。
これ幸いと、じたばたするまりさ。
餡子が周りに滲むが、お構いなしである。
そんなまりさに柔らない感触が走る。
もしかしたら、自分をたすけてくれる、きゅうせいしゅが現れたのではないか?
そう思い、振り向くまりさ。
が、次の瞬間・・・
―がぶり!
まりさの頬は齧り取られてしまう。
(ゆあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!)
―がぶり!
心の中で雄たけびをあげている間に下あごを噛みちぎられる。
体をバラバラにされる恐怖に震えながら、
まりさが最期に見た光景は、
己に群がる、無数のにとりであった・・・。
「かぱー!やっぱりにとりはすごいね!まりさがりのたつじんだよ!!!」
「てれるなあ!そうでもないよ!
ただ、にとりはものたりないからもうちょっとかりをしてくるね!!!」
「じゃあ、にとりもいくね!!!」
「うん、にとりもいくよ!!!」
「わかったよ!!!いってらっしゃい!!!」
3匹の一人が陸に上がる。
各々が、森の茂みで身支度を始める。
数分後、葉っぱや木の枝を纏った三匹のにとりが姿を見せた。
「それじゃあ、いこうか」
「「そうだね」」
三匹のにとりは野原へと跳ねていく。
「おひさまさんぽーかぽーかだね!!」
「だにぇっ!!」
食後の日向ぼっこであろうか?
成体のまりさと子ゆっくりであろうまりさがいた。
2匹のまりさは終始笑顔で、くつろいでいた。
厳しい自然に生きる野生生物とは到底思えない表情である。
「ぽーかぽーか!!」
「ぽーきゃぽーきゃ!!」
体をこすり付けあい、幸せそうにするまりさ達。
生まれてこの方不幸なんてあったことがないと言わんばかりの笑顔。
「・・・かぱー・・・」
「ゆ?おちびちゃんなにかいった?」
「いってにゃいよ!!」
キョロキョロとあたりを見回すまりさ。
「ゆぅ?きのせいっだったみたいだね!」
彼女の目には野原が広がっているだけで、不思議なものは
何一つ写ってなかった。
最も、ゆっくりでないものがこの光景を見たら失笑ものだ。
カプッ・・・
「ゆっ!!くしゅぐったいよ!おちょうしゃん!!」
「??おちびちゃんなにいっているの?おとうさんはこっち・・・」ブチリ!
「・・・ゆん?」
子まりさの右頬は、なかった。
いや、消されたと言ったほうが正しいだろう。
さっきまであった右頬は跡形も無くなくなっていた。
「ゆ゛ぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」
「おぢびぢゃぁぁぁぁぁん!!!」
慌てて、傷口をぺーろぺーろするまりさ。
じたばたする子まりさをおさげで押さえつけ、必死に砂糖水の唾液を塗りたくる。
「ぺーろぺーろ!」
「ぺーろぺーろ!ゆっくりしないでなおってね!!」
「ゆ゛ぃ゛・・・ゆ゛ぃ゛・・・」
一心不乱に右頬をぺーろぺーろするまりさ。
しかし、彼女は気づかなければいけなかった。
子まりさが怪我をした原因を。
もし、気が付いていたら、こうはならなかっただろう。
子まりさが左半身を失うことなんかには・・・。
「ュ゛!・・・・」べちゃ・・・
左右の対称性が大きく崩れ、倒れる子まりさ。
右半身しか存在しないその体に、もはや命は宿っていない。
「どぼじてじんでるのぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!」
まりさの慟哭は響き渡る。
餡の底から叫んだまりさ。
悲しみの後に、ふつふつと怒りが湧き上がってくる。
「もう、ゆるさないよ!!!ぷくーっするよ!ぷくーっ!!!」
まりさは己の出来うる最高のぷくーっをした。
子供の躾のときにするぷくーっや、群れで喧嘩をするときのぷくーっとは格が違う。
野生生物を命がけで追い払うための、覚悟のぷくーっである。
本当に野生生物を追い払えるかと言われると怪しいところだが、
ゲスだろうとでいぶだろうと怯ませるであろうぷくーっをしたまりさは、
子まりさを永遠にゆっくりさせた相手を、せいっさいしたも同然であると思い込んでいた。
「ぷくーっ!ぷくーっ!」ドスドス!
本当に思い込んでいるだけだった。
世界が暗く、冷たく見え始める。
何のことは無い。まりさの両目が抉られただけだ。
にゅるりと取り出された白玉の眼球は、静かに地面に置かれた。
「まりさのつぶらなおべべがぁぁぁ!!!ぐらいよぉぉ!!!みえだいよぉぉ!」
まりさが叫んでいる間にも、体のパーツはブチブチと剥ぎ取られていく。
まりさの叫びは誰にも届かない。
まりさに届けられるのは、どす黒い好奇心である。
数十個のパーツに分けられた、まりさの亡き骸がそこにはある。
それ以外は何もないはずのところからにとりが三匹現れた。
にとりについていた葉っぱが一枚取れると、突然にとりが現れるのだ。
最も、ゆっくりの視点で言えば、であるが。
この習性は【ゆぷてぃかるかもふらーじゅ】と呼ばれ、にとりだけが持つ習性だ。
いわゆるけっかいっのようなもので、木の葉や木の枝を体に付けることで、
他のゆっくりから認識されなくなるといったものである。
ただし、付けたものが一つでも外れると効果を失うため壊れやすい。
この3匹は、ゆぷてぃかるかもふらーじゅを利用して、
まりさ狩りに勤しんでいたのである。
「たのしかったね!!!」
「きょうもたくさんぶんかいできたよ!!!」
「そうだね!!!じゃあ、にとりはおうちにかえるよ!!!」
「にとりもかえるよ!!!にとりはどうする??」
「にとりはちょっとようじがあるからまだかえらないよ!!!」
「わかったよ!!きをつけてね!!!」
2匹のにとりはおうちに帰る。
1匹のにとりは、誰一人いない野原でそわそわしている。
―数十分後
・・・ZZZ
「おい、にとり?起きてるか?」ぺしぺし
にとりの頬が軽くたたいてやる。
眠りが浅かった所為か、にとりはすぐさま目を覚ます。
「ひゅい!?」
「おう、起きたか。ほれ、きゅうりだぞ。」
「や、やぁ!めいゆう!きょうもきてくれたんだね!!」
「にとりにキュウリをあげるのが、俺の日課だからな。」
そう言って、男はキュウリをにとりに咥えさせる。
ボリボリ・・・。
「おいしいよ!めいゆう!!!やっぱりめいゆうのきゅうりはさいこうだね!!!」
「はは、そういってくれると嬉しいや。しかし、まぁあのちびすけが
ここまで大きくなるなんてな・・・。」
「ひゅい!めいゆうにはほんとうにかんしゃしてるよ!!」
この男とにとりには浅からぬ縁があるのだ。
にとりが子ゆっくりであった頃、森の中を歩いていると、
突然背後から、ゲスまりさに襲われた。
一応捕食種でもあるにとりだが、
子ゆっくりであり戦闘能力に乏しかったこと、
陸に慣れていない状態で奇襲攻撃にあったことから、
ゲスまりさに蹂躙されるしかない状況下にあった。
しかし、たまたまいた男が、ゲスまりさを偶然踏み潰したことで
にとりは危機を脱出した。
それから、何かと森の中でにとりと男は出会い、親交を深めていった。
「なぁ、にとり。今まで聞きたかったことがあるんだが、
いいかな?」
「いいよ!めいゆう!」
「にとりがまりさ狩りをするのって、ゲスまりさに襲われたときのことが
原因なのか?」
にとりは少し沈黙する。
「かぱー・・・。たしかにそれもあるね!じっさいまりさはだいっきらいだよ!!!
でもね!ほかにもりゆうがあるんだよ!めいゆう!」
「ほう・・・どんな理由だい。」
「ひみつだよ!めいゆう!」
「秘密かぁ・・・。そう言われるとますます気になる。
・・・おっ、もうこんな時間だ。じゃあ俺はここらでお邪魔するわ。」
「わかったよ!またきてね!めいゆう!!!」
男の背中が小さくなっていくのをにとりじっと見つめているのであった。
この森には、ある伝説がある。
1000まりさ伝説というにとり種だけに語り継がれる伝説だ。
なんでも、1000匹のまりさを永遠にゆっくりさせたにとりは、
胴付きゆっくりになれるという伝説である。
その伝説の真偽は定かではない。
ただ、その伝説を信じてあのにとりが、
まりさを狩り続けていることは確かな事実であるのだ。
男との甘い生活を夢見て、今日もにとりは狩りをする。
<おまけ>
「おーい!にとり~!」
シーン・・・
「ったく、どこ探してもいやしない。全く隠れてないで出てきてくれよ!」
ボリッ!ムシャムシャ!
にとりが見つからないイライラから、ついキュウリを齧ってしまう男。
いつも一本しか持ってこないので、
これでにとりにあげるキュウリはなくなってしまった。
「おーい!めいゆう!こっちだよ!!!」
「あーっ!そっちにいたのかにと・・・」
男は静止する。
「ひゅい!固まらないでよ!めいゆう!胴付きになっただけだよ!!!」
・・・
・・・・
・・・・・
「そ、そうか!おめでとう!!!」
「ありがとう!めいゆう!!!えっと・・おいわいのキュウリは?」
「・・・スマン!つい食べちゃったんだ!」
少し、悲しそうな顔をするにとり。
が、一転して笑顔に変わる。
「・・・そう。でも、めいゆうはきゅうりをまだ持ってるよね?
めいゆうのきゅうりが欲しいな!めいゆうのきゅうりが!」
怪しく笑いかけながら、きゅうりきゅうり連呼するにとりを見て・・・
気が付けば、パンツからポロロッカした、のびーるアームを
にとりにシューティングしようとしている男であった。
<あとがき>
ジェントルマンのドナルドあきです。
このSSは、にとりあきさんの舌を引っ張られて川に沈むまりさの絵と
ゆぷてぃかるかもふらーじゅの絵を参考に書いています。
あの絵の雰囲気を自分がSSで出せたか、と言われると怪しいものですが…。
にとりあきさま、勝手に作品からSSを連想しちゃって申し訳ないです。
それと、前作のゆっくりサイコロを振るよ!!!の挿絵ありがとうございました!!!
ぬか喜びするゆっくりの描写がニヤニヤさせられます。
では、夜も更けて参りましたので、ここらで失敬。
バイトの無い日はSSに励むドナルドあきでした。
「ちんちん!(今度こそ過去作よ!!!)」
anko1066 ゆくドナルド
anko1166 ゆくドナルド2
anko1304 れいむと・・・
anko1384 豆れみりゃとこうまかん
anko1395 ゆくドナルド3
anko1404 お前のゆん生30点
anko1432 幸福マスベ
anke1472 餡子に捧ぐは菊の花
anko1606 絶頂あにゃる
anko1643 流れゆく物 前編
anko1721 流れゆく物 後編
anko1730 靴磨きまりさ
anko1844 ゆっくりサイコロを振るよ!!!