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#navi(ゼロと魔砲使い) &setpagename(第11話 盗賊)  それは、挨拶がきっかけになった出来事だった。  ただ一夜のめまぐるしい事件。だがそれが、この世界の歴史を変える、第二幕の幕開けであった。        その日の夜も、ルイズとその友人達は、マルチタスクをはじめとするなのはの講習を受けていた。  前回の休日から一週間近くが経ち、キュルケ達も二分割のマルチタスクをある程度こなせるまでになっていた。ルイズも遅ればせながらマルチタスクの練習をなのはとしている。もっともルイズは念話が繋がっているので、キュルケ達ほど制限がきつくない。  つまりはある意味いつでも練習できるので、この場ではほとんど別の練習をしていることの方が多かった。  タバサ以外は同時に二つの作業をある程度出来るようになったレベルであったが、それだけでもキュルケ達の能力は見違えるほどに進歩していた。  キュルケは魔法を詠唱しながら、周囲の状況を余裕を持って把握できるようになっていた。  言い換えるとある意味無意識的に魔法を唱えられるようになったということである。  魔法の詠唱時はどうしても無防備になりがちであるが、今のキュルケは杖を使った格闘戦をしつつ長時間にわたる詠唱を可能としていた。  これは軍人となることの多い火系統のメイジとしてはかなり優秀な能力になる。はっきり言って学院には卒業証書をもらうためだけに来ていたキュルケにとってもうれしい誤算となった。  ギーシュは授業時間中に意識の片隅でレイジングハート相手にワルキューレ操作の仮想戦をやっていたりする。二分割とはいえマルチタスクによって視界の広がったギーシュのワルキューレ操作の腕前は、決闘前とは見違えるレベルになっている。  なのはといえどもガンダールヴ補正まで使わねば生き残るのがつらいレベルだ。まあなのはは『戦闘』になったらまとめて吹き飛ばせるとはいえ、普通の軍人やメイジでは、今のギーシュを相手にするのはかなりつらいであろう。  今ギーシュはなのはからの宿題その二、ワルキューレ自体の見直しに入っている。  『このままでもそれなりに優秀だけど、出来るなら目的に合わせてもう少し幅広いカスタマイズが出来るとよりいっそう強くなれるよ。速いもの、力のあるもの、堅いもの、そんな特徴を持ったワルキューレを組み合わせるの』  自分の身を守るためのワルキューレと、敵に切り込むためのワルキューレに必要な能力は確かに違う。今ギーシュはそのイメージング能力を駆使して、『ワルキューレ・ヴァリエーション』の製作に挑んでいるのだった。  最終的には練習では七種類の能力の違うワルキューレを製作・制御できること、実戦ではそれらを適宜組み合わせてより強いワルキューレチームを生み出すことが目的である。  これらは目的がはっきりしているだけに、ギーシュとしてもやりがいのある訓練だった。  なのはからは最終的に八分割のマルチタスクと、ワルキューレとの間にある程度の感覚[[リンク]]を結べるようになることが大きなゴールだと言われている。これが可能になれば、ギーシュは七体のワルキューレを完全制御可能になるからだ。  その戦闘力はおそらくスクウェアクラスの偏在に匹敵するはずである。  ギーシュの日常は、もう一つの目的『ヴェルダンデと日常会話が出来るようになる』とあわせて、大変に充実していた。  そしてタバサ。  残念ながら最初の目的である『フライを維持しつつ魔法を唱える』のレベルにはまだ至っていない。  正確にはその状態で戦闘は出来ないというべきであるか。  マルチタスクは一番進んでおり、二分割ならほぼ完璧に思考の独立性を保つことが可能になっていた。授業を聞きながら念話でシルフィードの相手をするのなら完璧である。キュルケのように、白兵戦と呪文詠唱の複合も難なくこなす。  だが、なのはの提唱した『コアの分割』に手間取っていた。具体的には、フライをドットレベルというか、コアの一部だけを使って詠唱するという感覚がつかめなかったのだ。  なのはもこれを一番重視して、スキャナで魔力の流れを監視しつついろいろアドバイスを与えているのだが、さすがに類例のないものだけに難航していた。  不可能ではなく、一度だけタバサも成功していたが、その状態で二つ目の呪文を詠唱しようとしたところで集中を切らしてしまい失敗した。  『これは地道に鍛錬していくしかなさそうね』となのはも言った。  これだけに集中するのも疲れるため、今タバサはもう一つの目的、フライの改良に挑んでいた。  こちらはある程度の成果が出ていた。もっとも微妙な成果であるが。  今までのフライト一線を画す、『ハイスピード・フライ』『ハイマニューバー・フライ』とでも名付けられそうな、高速で飛行可能なフライと急速な方向転換を可能とするフライに一応成功していた。  だが今の段階だと、それはラインスペルになってしまう。それでは意味がなかった。  あくまでも基本となるフライの発展系としてこの動きを自在に使いこなせなければたいした意味はなくなってしまう。  やってみたら案外簡単だったのに広まっていないのは、この意味の微妙さのせいかもしれない、とタバサも思った。  もっともタバサはあくまでも実践する人であり、研究者ではない。この短期間にある程度の改良を成し遂げただけでもその才が知れようというものだ。  そのためタバサのテンションは、成果の割にいまいちであった。  そしてルイズは、主に前回も語った、魔法の発動をぎりぎりで留める練習を相変わらずやっていた。  「ねえなのは、これ、どういう意味があるの?」  スキャナを見ていたなのはは、そろそろいいかな、と小さくつぶやくと、ルイズの方に向き直った。  「あ、もうちょっと頑張ってくださいね、ご主人様」  維持はするように言って、ルイズと目線をあわせる。  「これは力の維持コントロールの練習です。だいぶ上手に意識を集中させておけるようになりましたね」  「集中?」  疑問に思うルイズに、なのはは言う。  「今ご主人様が使えるのは失敗だと思っていた、あの爆発だけですよね」  「ええ。なんの役にも立たないけど」  「それを少しでも役立つ方向に向ける練習だったんですよ」  ルイズの顔が一瞬呆けた。そのとたん霧散しそうになる意識をルイズは慌てて押さえ込む。  「あ、あぶなかった。で、役立てるって?」  「ご主人様の爆発がむちゃくちゃだったのは、無差別ランダムに魔力を引っ張ったため、きわめて乱雑に爆発が起きたからです。ですが、爆発そのものは実のところ、キュルケの攻撃魔法以上の威力があるんですよ」  その言葉に、ルイズと、脇で練習をしていたキュルケが大きく頷いた。  「い、言われてみれば」  「いつぞやの練金では教室吹き飛んでたものね」  なのはも頷く。  「ですからご主人様には、『魔力』の流れを感じて、爆発の起こるところを制御できるようになってほしかったんです。そうすれば限定的ですが、あの爆発を攻撃魔法代わりに使うことが出来るようになりますから」  「……そうなったらちょっと脅威ね」  キュルケが冷や汗を流す。  「何で?」  対してルイズは判っていなかった。  「回避できないからですよ」  説明するのはなのは。  「ご主人様の爆発は狙った場所にいきなり炸裂しますから、攻撃魔法として使われたらほとんど一撃必殺に近くなります。人からは魔力を集められないせいで、対人攻撃としては今ひとつですけど、やりようによっては最強です」  「最強?」  「ええ。たとえば遠方から相手の服の魔力を強奪して爆発させたら、たいていの人は死ぬか重傷を負いますよ。狙われていると判らなければ回避不能。最強の暗殺魔法です」  「暗殺魔法って何よ!」  冗談だとは判っていても、いくら何でも人聞きが悪い。キュルケは遠慮無く笑っている。  「まったく……なのはったら! この、お仕置きしてやる!」  ルイズは集中を解除して力を霧散させようとした。この状態で呪文を使うように狙いを定めると、狙った場所で魔力分離による爆発が生じる。  威力は集中の時間と、狙った場所の状態で変わる。空中は物質の密度が低いせいか、低威力の突風が巻き起こる程度だが、練金の授業の時のように堅い物質をターゲットにすると結構高威力の爆発が生じる。  練習の後半ではたまに実際に爆発させる練習もしていたので、ある程度はルイズもそのことを把握している。  そして……その『事故』はこの瞬間に起こった。        「こんばんは皆さん、ご精が出ますわね」        それは突然の乱入者。  正体は見回りに来たミス・ロングビルの挨拶だった。  彼女とはここにいる全員がすでに顔なじみになっている。週に一、二度、このように顔を合わせていたからだ。だが今ばかりは間が悪かった。  なかば悪ふざけでお仕置きをする『真似』をしていたルイズが、その集中を解こうとした瞬間に彼女は声を掛けてしまった。  その瞬間、ルイズはつい呪文を『発動』させてしまった。ターゲットはなのは。  直前まで冗談で言っていた言葉がルイズの脳裏によぎる。  たとえば遠方から相手の服の魔力を強奪して爆発させたら、たいていの人は死ぬか重傷を負いますよ。  今のままだとなのはが吹き飛ぶ!  そう思ったルイズは、強引に視線をねじ曲げた。  「ご主人様!」  一瞬強大な力が集まったのを感じたなのはがルイズの方を見る。  結果、ルイズの努力は無駄にはならなかった。が。        次の瞬間、何故か本塔の壁が爆発し、ひびまで入っていた。        「あっちゃ~、やっちゃったわね~」  キュルケが間抜けな声を上げる。  「……変。あそこは一番この学院で丈夫なはず」  タバサは不思議そうにそちらを見た。  「これはちょっと放っておけないわね」  ミス・ロングビルは、真顔で全員に言った。  「皆さん、ちょっと申し訳ないけれどここにいてね。今学院長に報告してくるわ」  「……よろしくお願いします」  学院長、の言葉に後々のことを考えて冷や汗を掻きつつ、それでもルイズは丁寧に頭を下げた。  それを見届けて小さく頷くと、彼女は案外速い速度でこの場を立ち去った。  「まずったわね。これは相当のお叱りを覚悟しないといけないわよ」  「ルイズ、まあしかたがない。僕も弁護するよ」  キュルケとギーシュがそう声を掛ける中、タバサだけはじっと爆発した壁を見ていた。  「どうしたのタバサ?」  その様子を不審に思って、キュルケは彼女に声を掛ける。  「ルイズ」  タバサはルイズの方に向き直った。  「ひょっとしたら、弁償しなくてすむかも」  「? なんで?」  ルイズのみならず、なのはも含めて全員が首をひねる。  「あの辺は確か学院長室の下だから宝物庫だったはず」  「よけいにまずくない?」  だかタバサは黙って首を振り、そして口を開いた。  「だからこそ。あそこの守りは何より堅かったはず」  うんうんと頷く一同。  「そこが事故とはいえ、たかが学生の魔法で傷ついたなんて、外部に漏らせると思う?」  「「「「あ」」」」  見事に全員の声がハモった。  「口止め代わりに不問にされる可能性が高い」  実に納得のいく可能性だった。        ところが、事態は予想の斜め上を行った。        そろそろミスロングビルが来るかしら、とルイズが思った頃。  具体的な時間にしてこちらの単位で約五分ほど。  何故か突然、ずしんと言う響きがみんなを襲った。  「な、なに?」  というルイズの疑問は、すぐに答えを得た。  のんびりした動きでありながらそれこそあっと言うまに、『それ』は目の前に現れた。  ルイズ達など目に入らぬかのように『それ』は歩みを進め、その手を大きく振り上げた。        『それ』――身長三〇メイルに及びそうな巨大な人型をした土の固まりは、その『手』を本塔の壁にたたきつけた。  「ゴーレム!?」  慌てて進路上から待避したルイズ達は、あっけにとられながらもその様子を見守っていた。  ただの一撃で本塔の壁が崩れ、タバサの言によれば宝物庫らしいあたりに大穴が空く。  と、ゴーレムの手を伝って、人影らしきものがその穴に飛び込んでいった。  「泥棒!?」  思わずルイズの口から叫びが漏れる。と、ゴーレムはその声に反応したのか、こちらに向き直ると、鋭くパンチを振り下ろしてきた。  「きゃあっ」  「うわあ」  「危ないじゃない!」  二人を除いて悲鳴を上げつつその場から逃げる一同。無言だったのはタバサとなのはである。  「このっ!」  ルイズが杖を振るうと、ゴーレムの腕の一部がはじけ飛んだ。が、見る間にその傷は修復されていく。  「自己再生」  「となるとちょっと分が悪いわね……」  タバサとキュルケは、即座に状況を把握した。  「相手が悪いわ。いったんここは逃げましょう」  「シルフィードも呼んだ」  「だめ! それじゃ泥棒が逃げちゃう!」  しかしルイズは良くも悪くも貴族過ぎた。  「何言ってるのよ[[ルイズ!]] あれに勝てるわけないじゃない!」  「無理」  「そうとも。あの大きさ、最低トライアングル、下手すりゃスクウェアだ。そんな相手とまともにやり合って勝てるわけない!」  ギーシュも正論を述べる。連日の練習は、彼に的確な戦力判断能力を与えていた。  だがそれがあだになった。トライアングルの一言が、ルイズに火を付けてしまった。  「トライアングルの土メイジって……まさか、『土くれのフーケ』?」  「あ、ひょっとしたら……」  ギーシュもそのことに思い至った。  「だとしたら逃がすわけにはいかないじゃない」  「し、しかし……」  「相手に後ろを見せないのが貴族よ!」  「時と場合による! 今は引くときだ!」  「でも!」  ルイズは思わず涙目になっていた。  その時、山が動いた。  ゴーレムではない。  彼女の使い魔だった。        「この場はギーシュ君の言うことの方が正しいですよ、ご主人様」  「なのは……」  なのははきっぱりとルイズを諫めた。  「貴族が相手に後ろを見せてはいけないのは、その後ろに守るべき民がいるときだけです。そうでないときに無理をして死んだら、苦しむのはその民です」  「でも……」  「勇気と無謀をはき違えると、私みたいに痛い目を見ますよ」  その目に浮かぶ悲しみに、特にタバサは何か悟るものがあった。  「でも何も出来ないのはいや! 目の前で盗賊がものを盗んでいくのを見逃すなんて、私はいやよ!」  「ならば力を付けてください。自分の言葉を相手に届けられるだけの力を。間違ったことをする相手を止められるだけの力を」  「うん。それはわかる。今の私じゃあれは無理……でも……」  「届かなければ考えてください。自分だけじゃ無理ならばまわりから。最悪卑怯と言われることまで。でも今は……」  そういって跪いて礼をするなのは。それはまるで騎士が君主に頭を下げているような姿勢だ。  「……なのは?」  寸劇のような一連の動きに、ルイズは初めて疑問を持った。  これは何なのかしら。こんな場面で、なのはは遊ぶ性格じゃない。  たとえばあのゴーレムが本気でこちらに襲いかかってきたら、なのはは私たちを守ってくれようとするはずだ。  そのゴーレムは、今はまた本塔の前で進入口を守るように立っている。  そしてなのはのポーズ。命令を待つ騎士のような……  そのとたん出し抜けに答えが出た。  なのはは命令を、私の決断を待っている。そんな謎かけが意味することは。  選択肢は二つ。そして私はそれを選ぶ権利がある。  そして私は、その一つを口にした。それはもちろん、私の望む方。  「主人として使い魔たるなのはに命じます……      やっておしまいなさい!!」    「御意」  そうつぶやくと同時に、なのはは立ち上がった。  その途中で、左手が胸元に伸びる。  そして完全に立ち上がると同時に、夜を昼に変えるがごとき閃光。  そしてそこには、一度だけ見た、無敵の戦乙女が長大な杖を手に立っていた。  彼女はくるりと振り向くと、体を少し前に傾ける。  そのとたん、彼女の体は弾けるようにゴーレムへと突進していった。        「ルイズ」  一連のやり取りを見ていたキュルケから声が掛かる。  振り返るとそこには、シルフィードに乗った三人の姿があった。  「あなたも乗りなさい。どうせ見たいんでしょ」  ルイズは力一杯頷くと、ギーシュに引っ張られながらシルフィードの上に乗った。        「判ってくれたみたいね、ご主人様」  吶喊する途中、なのはは小さくつぶやく。  一目見てなのはにはあのゴーレムが敵でないことは判った。戦えば自分が勝つ。  だが、そのことを自分から言うのは憚られた。  あまり自分の力を見せつけるのはいいことではない。  ただ、実のところなのはもあの泥棒は捕まえたかった。  捕まえて、話を聞きたかった。  そういう気持ちはある意味ルイズ達以上に強い。  不正を見逃せない、心に燃える正義感においては、なのはは筋金入りだ。  それにルイズ達の安全を考えるなら、引くことも正解だ。  だからなのはは謎かけをした。  『命令があれば戦いますよ』という謎かけ。  そして命は下った。ならば迷うことはない。  そしてなのはは、遙かに見上げるようなゴーレムの元に見参した。        近寄るものをなぎ払う。それが現在のゴーレムに与えられている命令。  到着したなのはは、高速でゴーレムのまわりを、螺旋を描くように飛行する。  周辺には建物がいくつもあり、水平方向への攻撃は問題有り。ならば。  振るわれる手を左手のルーンの援護もあり、まるで親友のような華麗な動きで回避するなのは。そして難なく彼女はゴーレムの足下に肉薄する。  そのまま転がるようにしてゴーレムの足の間に割って入る。  目もないくせに、このゴーレムは人間そっくりの動きをする。だとすれば背面はおそらく死角。  股間を抜け、少し離れたところで、なのはは杖を構える。向けるのは天。下から上への非殺傷砲撃。相手がゴーレムなら、おそらくは。        「あら、なんかレイジングハート、形が変わってる」  その様子を遠間で見る乙女+少年一同のうち、一番彼女と親しい主人が、真っ先にそれに気がついた。  「あ、確かに、僕と決闘したときと形が違う。先端が音叉みたいになってる」  次に気がついたのは杖を交わした少年。  「なんだか突撃するみたいな構えだけど……」  ある程度武の心得がある炎の少女が首をひねる。  「……」  無言で見つめる戦姫。  「何かものすごい力を感じるのね、きゅいきゅい」  騎竜まで言葉を挟む。  そして、一同が見たものは。        杖の上端近くに取り付けられた横棒が動き、ガシャンと言う何かが込められた音がする。      「ディバイン」      先端部の宝玉が、光を放ちはじめる。同時に浮かび上がる魔方陣。足下に一つ、そして、杖の先に、銃の砲身のように、円環状のものが数個。  そして唱えられる、解放の言葉。        「バスタァァァっ!」        竜の上の少年少女達は、一瞬目がつぶれたかと思った。  なのはの構えた杖の先端からほとばしる、巨大な光の奔流。  桃色に輝くそれは、文字通り天を貫いた。  ほんの数秒の間。だが、その光が消えると同時に。        巨大なゴーレムは、跡形もなく崩れ落ち、大量の土砂が落下する音があたりに轟き渡った。        そして彼女は、あっけにとられている一同の前で、軽々と空に舞うと、宝物庫に突入していった。        「すご……」  誰もしばらくの間、声一つでなかった。  圧倒的だった。  あれだけ巨大なものを、瞬時に消し飛ばす大威力。  天をも裂くような光の刃。  あれが、ただ一人の人間から放たれたものだろうか。  が、そうしていると、目の前の穴から何物かが飛び降りた。途中でレビテーションを唱えたのか、かなりの高さにもかかわらず着地寸前に速度を殺して軽々と着地する。  そしてそのままその人影は森の中へと走り去っていった。  「あ」  キュルケが真っ先にそれに気がついた。  「タバサ!」  「待って」  シルフィードなら簡単に追撃できるだろうが、何故かタバサはそれを止めた。  「どうしたの?」  不思議そうに聞くキュルケに、タバサは周りを見渡すようにしてから言う。  「さすがに今の騒ぎでみんなが起きた。それに」  視線が曲者の飛び出してきた穴に向かう。  「ナノハが出てこない」  「!!」  ルイズがその瞬間文字通り飛び上がりそうになった。人間、本当に驚愕すると比喩でなくその場から飛び上がることがある。メタな話だが、作者も過去一度本当に座った状態から飛び上がって一メートルほど後ろに跳んだことがある。  慌ててキュルケとギーシュがルイズを押さえ込んだ。  「すぐに」  「もう向かってる」  向かってと言いかけたルイズの言葉を押さえるようにタバサは言う。  その時すでにシルフィードはゴーレムの開けた大穴のところに着いていた。  「なのは!」  出てこないと言うことは、やられた可能性もある。  慌てて飛び込んだルイズ達は、意外なものを見ることになった。  争った跡はない。床に、金属製の筒みたいなものが落ちている。  確かあれは、一度宝物庫の見学の時に見た「破壊の杖」  壁に書かれた、『破壊の杖、確かに領収しました、土くれのフーケ』という文字。  そして。    無言のままじっと一点を見つめて立ち尽くす、無敵の使い魔。    彼女の視線は、壁に掛けられた一枚の肖像画に向いていた。  タイトルは『始祖の肖像画』  描かれているのは、美しい女性である。  長い金髪と、紅い目が特徴的だ。ローブに似た服を着て、杖を掲げている。  杖は割と平凡な、大きいが飾り気のないタイプのものだ。  だがこの絵で一番特徴的なのは、どうやって描いたかが全く判らないところにある。    かつての見学の時、学院長はこう語っていた。  『これは始祖の肖像画と言われているが、もちろん始祖を描いたものではない。始祖を描くのは不敬じゃからな。もし本当に彼女が始祖ブリミルなら、儂は教会に断罪されておる』  そこで一息ついて再び言葉を続けた学院長。  『見てのとおり、この絵はどうやって描いたのかが全く判らん。こんな不可思議な絵を描けるのは、始祖くらいのものだろう、と言うことで、この絵には始祖の描いた肖像画というタイトルが付けられたのじゃ』    「なのは……」  立ち竦むなのはに向かって、ルイズが駆け寄る。すぐそばに来たとき、なのはの口から言葉が漏れた。  それを聞いて、思わず足を止めるルイズ。  なのははこう言っていた。                「フェイト、ちゃん…………?」   #navi(ゼロと魔砲使い)
#navi(ゼロと魔砲使い) &setpagename(第11話 盗賊)  それは、挨拶がきっかけになった出来事だった。  ただ一夜のめまぐるしい事件。だがそれが、この世界の歴史を変える、第二幕の幕開けであった。        その日の夜も、ルイズとその友人達は、マルチタスクをはじめとするなのはの講習を受けていた。  前回の休日から一週間近くが経ち、キュルケ達も二分割のマルチタスクをある程度こなせるまでになっていた。ルイズも遅ればせながらマルチタスクの練習をなのはとしている。もっともルイズは念話が繋がっているので、キュルケ達ほど制限がきつくない。  つまりはある意味いつでも練習できるので、この場ではほとんど別の練習をしていることの方が多かった。  タバサ以外は同時に二つの作業をある程度出来るようになったレベルであったが、それだけでもキュルケ達の能力は見違えるほどに進歩していた。  キュルケは魔法を詠唱しながら、周囲の状況を余裕を持って把握できるようになっていた。  言い換えるとある意味無意識的に魔法を唱えられるようになったということである。  魔法の詠唱時はどうしても無防備になりがちであるが、今のキュルケは杖を使った格闘戦をしつつ長時間にわたる詠唱を可能としていた。  これは軍人となることの多い火系統のメイジとしてはかなり優秀な能力になる。はっきり言って学院には卒業証書をもらうためだけに来ていたキュルケにとってもうれしい誤算となった。  ギーシュは授業時間中に意識の片隅でレイジングハート相手にワルキューレ操作の仮想戦をやっていたりする。二分割とはいえマルチタスクによって視界の広がったギーシュのワルキューレ操作の腕前は、決闘前とは見違えるレベルになっている。  なのはといえどもガンダールヴ補正まで使わねば生き残るのがつらいレベルだ。まあなのはは『戦闘』になったらまとめて吹き飛ばせるとはいえ、普通の軍人やメイジでは、今のギーシュを相手にするのはかなりつらいであろう。  今ギーシュはなのはからの宿題その二、ワルキューレ自体の見直しに入っている。  『このままでもそれなりに優秀だけど、出来るなら目的に合わせてもう少し幅広いカスタマイズが出来るとよりいっそう強くなれるよ。速いもの、力のあるもの、堅いもの、そんな特徴を持ったワルキューレを組み合わせるの』  自分の身を守るためのワルキューレと、敵に切り込むためのワルキューレに必要な能力は確かに違う。今ギーシュはそのイメージング能力を駆使して、『ワルキューレ・ヴァリエーション』の製作に挑んでいるのだった。  最終的には練習では七種類の能力の違うワルキューレを製作・制御できること、実戦ではそれらを適宜組み合わせてより強いワルキューレチームを生み出すことが目的である。  これらは目的がはっきりしているだけに、ギーシュとしてもやりがいのある訓練だった。  なのはからは最終的に八分割のマルチタスクと、ワルキューレとの間にある程度の感覚[[リンク]]を結べるようになることが大きなゴールだと言われている。これが可能になれば、ギーシュは七体のワルキューレを完全制御可能になるからだ。  その戦闘力はおそらくスクウェアクラスの偏在に匹敵するはずである。  ギーシュの日常は、もう一つの目的『ヴェルダンデと日常会話が出来るようになる』とあわせて、大変に充実していた。  そしてタバサ。  残念ながら最初の目的である『フライを維持しつつ魔法を唱える』のレベルにはまだ至っていない。  正確にはその状態で戦闘は出来ないというべきであるか。  マルチタスクは一番進んでおり、二分割ならほぼ完璧に思考の独立性を保つことが可能になっていた。授業を聞きながら念話でシルフィードの相手をするのなら完璧である。キュルケのように、白兵戦と呪文詠唱の複合も難なくこなす。  だが、なのはの提唱した『コアの分割』に手間取っていた。具体的には、フライをドットレベルというか、コアの一部だけを使って詠唱するという感覚がつかめなかったのだ。  なのはもこれを一番重視して、スキャナで魔力の流れを監視しつついろいろアドバイスを与えているのだが、さすがに類例のないものだけに難航していた。  不可能ではなく、一度だけタバサも成功していたが、その状態で二つ目の呪文を詠唱しようとしたところで集中を切らしてしまい失敗した。  『これは地道に鍛錬していくしかなさそうね』となのはも言った。  これだけに集中するのも疲れるため、今タバサはもう一つの目的、フライの改良に挑んでいた。  こちらはある程度の成果が出ていた。もっとも微妙な成果であるが。  今までのフライト一線を画す、『ハイスピード・フライ』『ハイマニューバー・フライ』とでも名付けられそうな、高速で飛行可能なフライと急速な方向転換を可能とするフライに一応成功していた。  だが今の段階だと、それはラインスペルになってしまう。それでは意味がなかった。  あくまでも基本となるフライの発展系としてこの動きを自在に使いこなせなければたいした意味はなくなってしまう。  やってみたら案外簡単だったのに広まっていないのは、この意味の微妙さのせいかもしれない、とタバサも思った。  もっともタバサはあくまでも実践する人であり、研究者ではない。この短期間にある程度の改良を成し遂げただけでもその才が知れようというものだ。  そのためタバサのテンションは、成果の割にいまいちであった。  そしてルイズは、主に前回も語った、魔法の発動をぎりぎりで留める練習を相変わらずやっていた。  「ねえなのは、これ、どういう意味があるの?」  スキャナを見ていたなのはは、そろそろいいかな、と小さくつぶやくと、ルイズの方に向き直った。  「あ、もうちょっと頑張ってくださいね、ご主人様」  維持はするように言って、ルイズと目線をあわせる。  「これは力の維持コントロールの練習です。だいぶ上手に意識を集中させておけるようになりましたね」  「集中?」  疑問に思うルイズに、なのはは言う。  「今ご主人様が使えるのは失敗だと思っていた、あの爆発だけですよね」  「ええ。なんの役にも立たないけど」  「それを少しでも役立つ方向に向ける練習だったんですよ」  ルイズの顔が一瞬呆けた。そのとたん霧散しそうになる意識をルイズは慌てて押さえ込む。  「あ、あぶなかった。で、役立てるって?」  「ご主人様の爆発がむちゃくちゃだったのは、無差別ランダムに魔力を引っ張ったため、きわめて乱雑に爆発が起きたからです。ですが、爆発そのものは実のところ、キュルケの攻撃魔法以上の威力があるんですよ」  その言葉に、ルイズと、脇で練習をしていたキュルケが大きく頷いた。  「い、言われてみれば」  「いつぞやの練金では教室吹き飛んでたものね」  なのはも頷く。  「ですからご主人様には、『魔力』の流れを感じて、爆発の起こるところを制御できるようになってほしかったんです。そうすれば限定的ですが、あの爆発を攻撃魔法代わりに使うことが出来るようになりますから」  「……そうなったらちょっと脅威ね」  キュルケが冷や汗を流す。  「何で?」  対してルイズは判っていなかった。  「回避できないからですよ」  説明するのはなのは。  「ご主人様の爆発は狙った場所にいきなり炸裂しますから、攻撃魔法として使われたらほとんど一撃必殺に近くなります。人からは魔力を集められないせいで、対人攻撃としては今ひとつですけど、やりようによっては最強です」  「最強?」  「ええ。たとえば遠方から相手の服の魔力を強奪して爆発させたら、たいていの人は死ぬか重傷を負いますよ。狙われていると判らなければ回避不能。最強の暗殺魔法です」  「暗殺魔法って何よ!」  冗談だとは判っていても、いくら何でも人聞きが悪い。キュルケは遠慮無く笑っている。  「まったく……なのはったら! この、お仕置きしてやる!」  ルイズは集中を解除して力を霧散させようとした。この状態で呪文を使うように狙いを定めると、狙った場所で魔力分離による爆発が生じる。  威力は集中の時間と、狙った場所の状態で変わる。空中は物質の密度が低いせいか、低威力の突風が巻き起こる程度だが、練金の授業の時のように堅い物質をターゲットにすると結構高威力の爆発が生じる。  練習の後半ではたまに実際に爆発させる練習もしていたので、ある程度はルイズもそのことを把握している。  そして……その『事故』はこの瞬間に起こった。        「こんばんは皆さん、ご精が出ますわね」        それは突然の乱入者。  正体は見回りに来たミス・ロングビルの挨拶だった。  彼女とはここにいる全員がすでに顔なじみになっている。週に一、二度、このように顔を合わせていたからだ。だが今ばかりは間が悪かった。  なかば悪ふざけでお仕置きをする『真似』をしていたルイズが、その集中を解こうとした瞬間に彼女は声を掛けてしまった。  その瞬間、ルイズはつい呪文を『発動』させてしまった。ターゲットはなのは。  直前まで冗談で言っていた言葉がルイズの脳裏によぎる。  たとえば遠方から相手の服の魔力を強奪して爆発させたら、たいていの人は死ぬか重傷を負いますよ。  今のままだとなのはが吹き飛ぶ!  そう思ったルイズは、強引に視線をねじ曲げた。  「ご主人様!」  一瞬強大な力が集まったのを感じたなのはがルイズの方を見る。  結果、ルイズの努力は無駄にはならなかった。が。        次の瞬間、何故か本塔の壁が爆発し、ひびまで入っていた。        「あっちゃ~、やっちゃったわね~」  キュルケが間抜けな声を上げる。  「……変。あそこは一番この学院で丈夫なはず」  タバサは不思議そうにそちらを見た。  「これはちょっと放っておけないわね」  ミス・ロングビルは、真顔で全員に言った。  「皆さん、ちょっと申し訳ないけれどここにいてね。今学院長に報告してくるわ」  「……よろしくお願いします」  学院長、の言葉に後々のことを考えて冷や汗を掻きつつ、それでもルイズは丁寧に頭を下げた。  それを見届けて小さく頷くと、彼女は案外速い速度でこの場を立ち去った。  「まずったわね。これは相当のお叱りを覚悟しないといけないわよ」  「ルイズ、まあしかたがない。僕も弁護するよ」  キュルケとギーシュがそう声を掛ける中、タバサだけはじっと爆発した壁を見ていた。  「どうしたのタバサ?」  その様子を不審に思って、キュルケは彼女に声を掛ける。  「ルイズ」  タバサはルイズの方に向き直った。  「ひょっとしたら、弁償しなくてすむかも」  「? なんで?」  ルイズのみならず、なのはも含めて全員が首をひねる。  「あの辺は確か学院長室の下だから宝物庫だったはず」  「よけいにまずくない?」  だかタバサは黙って首を振り、そして口を開いた。  「だからこそ。あそこの守りは何より堅かったはず」  うんうんと頷く一同。  「そこが事故とはいえ、たかが学生の魔法で傷ついたなんて、外部に漏らせると思う?」  「「「「あ」」」」  見事に全員の声がハモった。  「口止め代わりに不問にされる可能性が高い」  実に納得のいく可能性だった。        ところが、事態は予想の斜め上を行った。        そろそろミスロングビルが来るかしら、とルイズが思った頃。  具体的な時間にしてこちらの単位で約五分ほど。  何故か突然、ずしんと言う響きがみんなを襲った。  「な、なに?」  というルイズの疑問は、すぐに答えを得た。  のんびりした動きでありながらそれこそあっと言うまに、『それ』は目の前に現れた。  ルイズ達など目に入らぬかのように『それ』は歩みを進め、その手を大きく振り上げた。        『それ』――身長三〇メイルに及びそうな巨大な人型をした土の固まりは、その『手』を本塔の壁にたたきつけた。  「ゴーレム!?」  慌てて進路上から待避したルイズ達は、あっけにとられながらもその様子を見守っていた。  ただの一撃で本塔の壁が崩れ、タバサの言によれば宝物庫らしいあたりに大穴が空く。  と、ゴーレムの手を伝って、人影らしきものがその穴に飛び込んでいった。  「泥棒!?」  思わずルイズの口から叫びが漏れる。と、ゴーレムはその声に反応したのか、こちらに向き直ると、鋭くパンチを振り下ろしてきた。  「きゃあっ」  「うわあ」  「危ないじゃない!」  二人を除いて悲鳴を上げつつその場から逃げる一同。無言だったのはタバサとなのはである。  「このっ!」  ルイズが杖を振るうと、ゴーレムの腕の一部がはじけ飛んだ。が、見る間にその傷は修復されていく。  「自己再生」  「となるとちょっと分が悪いわね……」  タバサとキュルケは、即座に状況を把握した。  「相手が悪いわ。いったんここは逃げましょう」  「シルフィードも呼んだ」  「だめ! それじゃ泥棒が逃げちゃう!」  しかしルイズは良くも悪くも貴族過ぎた。  「何言ってるのよ[[ルイズ!]] あれに勝てるわけないじゃない!」  「無理」  「そうとも。あの大きさ、最低トライアングル、下手すりゃスクウェアだ。そんな相手とまともにやり合って勝てるわけない!」  ギーシュも正論を述べる。連日の練習は、彼に的確な戦力判断能力を与えていた。  だがそれがあだになった。トライアングルの一言が、ルイズに火を付けてしまった。  「トライアングルの土メイジって……まさか、『土くれのフーケ』?」  「あ、ひょっとしたら……」  ギーシュもそのことに思い至った。  「だとしたら逃がすわけにはいかないじゃない」  「し、しかし……」  「相手に後ろを見せないのが貴族よ!」  「時と場合による! 今は引くときだ!」  「でも!」  ルイズは思わず涙目になっていた。  その時、山が動いた。  ゴーレムではない。  彼女の使い魔だった。        「この場はギーシュ君の言うことの方が正しいですよ、ご主人様」  「なのは……」  なのははきっぱりとルイズを諫めた。  「貴族が相手に後ろを見せてはいけないのは、その後ろに守るべき民がいるときだけです。そうでないときに無理をして死んだら、苦しむのはその民です」  「でも……」  「勇気と無謀をはき違えると、私みたいに痛い目を見ますよ」  その目に浮かぶ悲しみに、特にタバサは何か悟るものがあった。  「でも何も出来ないのはいや! 目の前で盗賊がものを盗んでいくのを見逃すなんて、私はいやよ!」  「ならば力を付けてください。自分の言葉を相手に届けられるだけの力を。間違ったことをする相手を止められるだけの力を」  「うん。それはわかる。今の私じゃあれは無理……でも……」  「届かなければ考えてください。自分だけじゃ無理ならばまわりから。最悪卑怯と言われることまで。でも今は……」  そういって跪いて礼をするなのは。それはまるで騎士が君主に頭を下げているような姿勢だ。  「……なのは?」  寸劇のような一連の動きに、ルイズは初めて疑問を持った。  これは何なのかしら。こんな場面で、なのはは遊ぶ性格じゃない。  たとえばあのゴーレムが本気でこちらに襲いかかってきたら、なのはは私たちを守ってくれようとするはずだ。  そのゴーレムは、今はまた本塔の前で進入口を守るように立っている。  そしてなのはのポーズ。命令を待つ騎士のような……  そのとたん出し抜けに答えが出た。  なのはは命令を、私の決断を待っている。そんな謎かけが意味することは。  選択肢は二つ。そして私はそれを選ぶ権利がある。  そして私は、その一つを口にした。それはもちろん、私の望む方。  「主人として使い魔たるなのはに命じます……      やっておしまいなさい!!」    「御意」  そうつぶやくと同時に、なのはは立ち上がった。  その途中で、左手が胸元に伸びる。  そして完全に立ち上がると同時に、夜を昼に変えるがごとき閃光。  そしてそこには、一度だけ見た、無敵の戦乙女が長大な杖を手に立っていた。  彼女はくるりと振り向くと、体を少し前に傾ける。  そのとたん、彼女の体は弾けるようにゴーレムへと突進していった。        「ルイズ」  一連のやり取りを見ていたキュルケから声が掛かる。  振り返るとそこには、シルフィードに乗った三人の姿があった。  「あなたも乗りなさい。どうせ見たいんでしょ」  ルイズは力一杯頷くと、ギーシュに引っ張られながらシルフィードの上に乗った。        「判ってくれたみたいね、ご主人様」  吶喊する途中、なのはは小さくつぶやく。  一目見てなのはにはあのゴーレムが敵でないことは判った。戦えば自分が勝つ。  だが、そのことを自分から言うのは憚られた。  あまり自分の力を見せつけるのはいいことではない。  ただ、実のところなのはもあの泥棒は捕まえたかった。  捕まえて、話を聞きたかった。  そういう気持ちはある意味ルイズ達以上に強い。  不正を見逃せない、心に燃える正義感においては、なのはは筋金入りだ。  それにルイズ達の安全を考えるなら、引くことも正解だ。  だからなのはは謎かけをした。  『命令があれば戦いますよ』という謎かけ。  そして命は下った。ならば迷うことはない。  そしてなのはは、遙かに見上げるようなゴーレムの元に見参した。        近寄るものをなぎ払う。それが現在のゴーレムに与えられている命令。  到着したなのはは、高速でゴーレムのまわりを、螺旋を描くように飛行する。  周辺には建物がいくつもあり、水平方向への攻撃は問題有り。ならば。  振るわれる手を左手のルーンの援護もあり、まるで親友のような華麗な動きで回避するなのは。そして難なく彼女はゴーレムの足下に肉薄する。  そのまま転がるようにしてゴーレムの足の間に割って入る。  目もないくせに、このゴーレムは人間そっくりの動きをする。だとすれば背面はおそらく死角。  股間を抜け、少し離れたところで、なのはは杖を構える。向けるのは天。下から上への非殺傷砲撃。相手がゴーレムなら、おそらくは。        「あら、なんかレイジングハート、形が変わってる」  その様子を遠間で見る乙女+少年一同のうち、一番彼女と親しい主人が、真っ先にそれに気がついた。  「あ、確かに、僕と決闘したときと形が違う。先端が音叉みたいになってる」  次に気がついたのは杖を交わした少年。  「なんだか突撃するみたいな構えだけど……」  ある程度武の心得がある炎の少女が首をひねる。  「……」  無言で見つめる戦姫。  「何かものすごい力を感じるのね、きゅいきゅい」  騎竜まで言葉を挟む。  そして、一同が見たものは。        杖の上端近くに取り付けられた横棒が動き、ガシャンと言う何かが込められた音がする。      「ディバイン」      先端部の宝玉が、光を放ちはじめる。同時に浮かび上がる魔法陣。足下に一つ、そして、杖の先に、銃の砲身のように、円環状のものが数個。  そして唱えられる、解放の言葉。        「バスタァァァっ!」        竜の上の少年少女達は、一瞬目がつぶれたかと思った。  なのはの構えた杖の先端からほとばしる、巨大な光の奔流。  桃色に輝くそれは、文字通り天を貫いた。  ほんの数秒の間。だが、その光が消えると同時に。        巨大なゴーレムは、跡形もなく崩れ落ち、大量の土砂が落下する音があたりに轟き渡った。        そして彼女は、あっけにとられている一同の前で、軽々と空に舞うと、宝物庫に突入していった。        「すご……」  誰もしばらくの間、声一つでなかった。  圧倒的だった。  あれだけ巨大なものを、瞬時に消し飛ばす大威力。  天をも裂くような光の刃。  あれが、ただ一人の人間から放たれたものだろうか。  が、そうしていると、目の前の穴から何物かが飛び降りた。途中でレビテーションを唱えたのか、かなりの高さにもかかわらず着地寸前に速度を殺して軽々と着地する。  そしてそのままその人影は森の中へと走り去っていった。  「あ」  キュルケが真っ先にそれに気がついた。  「タバサ!」  「待って」  シルフィードなら簡単に追撃できるだろうが、何故かタバサはそれを止めた。  「どうしたの?」  不思議そうに聞くキュルケに、タバサは周りを見渡すようにしてから言う。  「さすがに今の騒ぎでみんなが起きた。それに」  視線が曲者の飛び出してきた穴に向かう。  「ナノハが出てこない」  「!!」  ルイズがその瞬間文字通り飛び上がりそうになった。人間、本当に驚愕すると比喩でなくその場から飛び上がることがある。メタな話だが、作者も過去一度本当に座った状態から飛び上がって一メートルほど後ろに跳んだことがある。  慌ててキュルケとギーシュがルイズを押さえ込んだ。  「すぐに」  「もう向かってる」  向かってと言いかけたルイズの言葉を押さえるようにタバサは言う。  その時すでにシルフィードはゴーレムの開けた大穴のところに着いていた。  「なのは!」  出てこないと言うことは、やられた可能性もある。  慌てて飛び込んだルイズ達は、意外なものを見ることになった。  争った跡はない。床に、金属製の筒みたいなものが落ちている。  確かあれは、一度宝物庫の見学の時に見た「破壊の杖」  壁に書かれた、『破壊の杖、確かに領収しました、土くれのフーケ』という文字。  そして。    無言のままじっと一点を見つめて立ち尽くす、無敵の使い魔。    彼女の視線は、壁に掛けられた一枚の肖像画に向いていた。  タイトルは『始祖の肖像画』  描かれているのは、美しい女性である。  長い金髪と、紅い目が特徴的だ。ローブに似た服を着て、杖を掲げている。  杖は割と平凡な、大きいが飾り気のないタイプのものだ。  だがこの絵で一番特徴的なのは、どうやって描いたかが全く判らないところにある。    かつての見学の時、学院長はこう語っていた。  『これは始祖の肖像画と言われているが、もちろん始祖を描いたものではない。始祖を描くのは不敬じゃからな。もし本当に彼女が始祖ブリミルなら、儂は教会に断罪されておる』  そこで一息ついて再び言葉を続けた学院長。  『見てのとおり、この絵はどうやって描いたのかが全く判らん。こんな不可思議な絵を描けるのは、始祖くらいのものだろう、と言うことで、この絵には始祖の描いた肖像画というタイトルが付けられたのじゃ』    「なのは……」  立ち竦むなのはに向かって、ルイズが駆け寄る。すぐそばに来たとき、なのはの口から言葉が漏れた。  それを聞いて、思わず足を止めるルイズ。  なのははこう言っていた。                「フェイト、ちゃん…………?」   #navi(ゼロと魔砲使い)

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