ゼロの伯爵 - (2009/06/28 (日) 03:48:09) の1つ前との変更点
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注)本SSは『HELLSINGのキャラがルイズに召喚されました』スレに掲載された作品です。
ここはトリステイン魔法学院。トリステイン王国の、全寮制メイジ養成機関だ。
メイジが用いる魔法には、火・水・風・土の四系統がある。
そして扱える系統が増えるにつれ、ドット(1系統のみ)、ライン(2系統)、トライアングル(3系統)、スクウェア(4系統全て)の使い手と呼ばれる。
火の系統の使い手 『微熱』キュルケ
水の系統の使い手 『香水』モンモランシー
風の系統の使い手 『雪風』タバサ
土の系統の使い手 『青銅』ギーシュ
――――そして彼女は――――
少女は憂鬱だった。
今日は、今年晴れて二年生へと進級した者達の、「使い魔召喚の儀」。つまりは「サモンサーヴァント」が行われる日だ。
使い魔は、メイジにとって、「目」であり「足」であり「盾」でもある。よってこの召喚の儀も、必然的に重要なものとなる。
彼女の名は、ルイズ。「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」
名門公爵家、ヴァリエール家の三女。
本来なら、おいそれと話しかけることも出来ないほどの身分だが、今彼女は、朝からずっと周囲の生徒から皮肉を浴びせられている。
「おい『ゼロ』のルイズ!お前本当にやるのか?間違っても俺達を爆発に巻き込むんじゃないぞ~」
「ダメもとでやってみたら、もしかしたら成功するかもしれないぞ?原形をとどめてたらいいけどなぁ!はははは!!」
(はぁ・・どうしてこんな目に・・・)
この罵詈雑言は、なにも今日に限ってのことではない。理由は一つ。
彼女が「魔法の使えないメイジ」だからである。
彼女は有名貴族の出でありながら、これまで一度も魔法が成功したことはないのだ。
ゆえに『ゼロ』。「ゼロのルイズ」だ。
「ルイズ~ごきげんようー」
怪しげな微笑を伴なって現れた、ルイズと対照的の豊満な肉体を持つこの女性の名は、キュルケ。
火の系統を得意とする、トライアングルメイジだ。
「あぁあんたね・・いったいなんの用?」
ぶっきらぼうに返すルイズ。キュルケとはいわゆる、犬猿の仲だ。出来れば早々に退散したいと思っていた。
「あらつれないわねぇ。今日はいよいよ召喚の日じゃない。あなたにはいったいどんな素敵な使い魔が現れるのかしらねぇ~。くすくす・・・」
「・・・・・言いすぎ・・・」
キュルケの横に立つ、青い髪の少女が言う。
だが、他人に哀れまれるなど、ルイズのプライドが許さなかった。
「・・・見てなさい・・・。絶対にあなたたちより高貴で!美しくて!そして強力な使い魔を召喚してみせるんだから!!!」
「おいおい。ルイズが吹いたぞ」
「ははは召喚の時間が楽しみだな、ゼロのルイズ」
負けてなるものか。ルイズは胸に固くそう誓った。
もともとプライドの高い少女である。このようなことを言われて、黙っていられるわけがないのだ。
そして召喚の時・・・
キュルケはサラマンダーを、タバサはなんと風竜を召喚した。
「おいルイズ。次はお前の番だぞ。どうせ何も召喚できないだろうけどな」
(どうしよう・・これで成功しなかったら・・・)
ルイズがそう苦悩する中でも、野次はとびつづける。
(・・・みてなさい・・!)
詠唱が始まる
「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ! 神聖で美しく、そして強力な使い魔よ!」
(・・・・お願い・・・!!)
「私は心より求め、訴える! 我が導きに、応えなさい!!」
すると突如、少女のまわりで、本来召喚の儀式では起こりえるはずのない爆発が起きた。
人々が驚き叫び、逃げ惑う
体中に纏う頑強な鎧
腰に携えた長剣
真黒の長髪
真紅のマント
爆発によって巻き起こった粉塵が晴れたとき
そこにいたのは
一人の男だった
(に・・人間!?どうして・・・そんな・・・)
片膝をついたその男は、鎧やマントを身に纏ってはいるが、杖を持っていなく、剣しか所有していないように見える。
おそらく、裕福な平民なのだろう。
だが次の瞬間、ルイズは自分の浅はかさを後悔した。
「お・・おい!ルイズが平民を召喚したぞ!!」
「は・・・ははは流石ゼロのルイズだ!やることが違うな!!!」
とりあえず差し迫る害がないと判断すると、途端に周りがざわめき始める。
「ねぇタバサ。いったいどういうことかしら、これ」
「・・・危険」
「え?どういうこと?タバサ」
今この場で、自分たちがどういう状況にあるのかを把握出来ているのは三人。
タバサとコルベール。
そしてルイズだけだ。
(・・まずい・・・!!あの男は・・危険だ!!)
これまで数多の死線を越えてきたコルベールだが、そんな彼でさえ、体中の細胞が警告を発している。
ただ一つ「逃げろ!!!」と。
「あ・・あなた・・いったい誰・・・?」
生まれて初めて感じる、言いようのない恐怖を感じながらも、少女は言った。
貴族としてのプライドが、この場から逃げ出すことを許さなかったのだ。
『彼』もまた困惑していた。
自分は完全に消滅したはずなのだ。
なぜ生きている?そしてここはどこだ?
目の前に広がるこの光景は何だ?
彼自身、何故そう言ったのかはわからない。
もはや捨てた名だ。
だが彼はゆっくりと。しかしハッキリとこう答えた。
「Wladislaus Drakulya」
そして続けてこう言った。
「アーカードだ」
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注)本SSは『HELLSINGのキャラがルイズに召喚されました』スレに掲載された作品です。
ここはトリステイン魔法学院。トリステイン王国の、全寮制メイジ養成機関だ。
メイジが用いる魔法には、火・水・風・土の四系統がある。
そして扱える系統が増えるにつれ、ドット(1系統のみ)、ライン(2系統)、トライアングル(3系統)、スクウェア(4系統全て)の使い手と呼ばれる。
火の系統の使い手 『微熱』キュルケ
水の系統の使い手 『香水』モンモランシー
風の系統の使い手 『雪風』タバサ
土の系統の使い手 『青銅』ギーシュ
――――そして彼女は――――
少女は憂鬱だった。
今日は、今年晴れて二年生へと進級した者達の、「使い魔召喚の儀」。つまりは「サモンサーヴァント」が行われる日だ。
使い魔は、メイジにとって、「目」であり「足」であり「盾」でもある。よってこの召喚の儀も、必然的に重要なものとなる。
[[彼女の名は]]、ルイズ。「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」
名門公爵家、ヴァリエール家の三女。
本来なら、おいそれと話しかけることも出来ないほどの身分だが、今彼女は、朝からずっと周囲の生徒から皮肉を浴びせられている。
「おい『ゼロ』の[[ルイズ!]]お前本当にやるのか?間違っても俺達を爆発に巻き込むんじゃないぞ~」
「ダメもとでやってみたら、もしかしたら成功するかもしれないぞ?原形をとどめてたらいいけどなぁ!はははは!!」
(はぁ・・どうしてこんな目に・・・)
この罵詈雑言は、なにも今日に限ってのことではない。理由は一つ。
彼女が「魔法の使えないメイジ」だからである。
彼女は有名貴族の出でありながら、これまで一度も魔法が成功したことはないのだ。
ゆえに『ゼロ』。「[[ゼロのルイズ]]」だ。
「ルイズ~ごきげんようー」
怪しげな微笑を伴なって現れた、ルイズと対照的の豊満な肉体を持つこの女性の名は、キュルケ。
火の系統を得意とする、トライアングルメイジだ。
「あぁあんたね・・いったいなんの用?」
ぶっきらぼうに返すルイズ。キュルケとはいわゆる、犬猿の仲だ。出来れば早々に退散したいと思っていた。
「あらつれないわねぇ。今日はいよいよ召喚の日じゃない。あなたにはいったいどんな素敵な使い魔が現れるのかしらねぇ~。くすくす・・・」
「・・・・・言いすぎ・・・」
キュルケの横に立つ、青い髪の少女が言う。
だが、他人に哀れまれるなど、ルイズのプライドが許さなかった。
「・・・見てなさい・・・。絶対にあなたたちより高貴で!美しくて!そして強力な使い魔を召喚してみせるんだから!!!」
「おいおい。ルイズが吹いたぞ」
「ははは召喚の時間が楽しみだな、ゼロのルイズ」
負けてなるものか。ルイズは胸に固くそう誓った。
もともとプライドの高い少女である。このようなことを言われて、黙っていられるわけがないのだ。
そして召喚の時・・・
キュルケはサラマンダーを、タバサはなんと風竜を召喚した。
「おいルイズ。次はお前の番だぞ。どうせ何も召喚できないだろうけどな」
(どうしよう・・これで成功しなかったら・・・)
ルイズがそう苦悩する中でも、野次はとびつづける。
(・・・みてなさい・・!)
詠唱が始まる
「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ! 神聖で美しく、そして強力な使い魔よ!」
(・・・・お願い・・・!!)
「私は心より求め、訴える! 我が導きに、応えなさい!!」
すると突如、少女のまわりで、本来召喚の儀式では起こりえるはずのない爆発が起きた。
人々が驚き叫び、逃げ惑う
体中に纏う頑強な鎧
腰に携えた長剣
真黒の長髪
真紅のマント
爆発によって巻き起こった粉塵が晴れたとき
そこにいたのは
一人の男だった
(に・・人間!?どうして・・・そんな・・・)
片膝をついたその男は、鎧やマントを身に纏ってはいるが、杖を持っていなく、剣しか所有していないように見える。
おそらく、裕福な平民なのだろう。
だが次の瞬間、ルイズは自分の浅はかさを後悔した。
「お・・おい!ルイズが平民を召喚したぞ!!」
「は・・・ははは流石ゼロのルイズだ!やることが違うな!!!」
とりあえず差し迫る害がないと判断すると、途端に周りがざわめき始める。
「ねぇタバサ。いったいどういうことかしら、これ」
「・・・危険」
「え?どういうこと?タバサ」
今この場で、自分たちがどういう状況にあるのかを把握出来ているのは三人。
タバサとコルベール。
そしてルイズだけだ。
(・・まずい・・・!!あの男は・・危険だ!!)
これまで数多の死線を越えてきたコルベールだが、そんな彼でさえ、体中の細胞が警告を発している。
ただ一つ「逃げろ!!!」と。
「あ・・あなた・・いったい誰・・・?」
生まれて初めて感じる、言いようのない恐怖を感じながらも、少女は言った。
貴族としてのプライドが、この場から逃げ出すことを許さなかったのだ。
『彼』もまた困惑していた。
自分は完全に消滅したはずなのだ。
なぜ生きている?そしてここはどこだ?
目の前に広がるこの光景は何だ?
彼自身、何故そう言ったのかはわからない。
もはや捨てた名だ。
だが彼はゆっくりと。しかしハッキリとこう答えた。
「Wladislaus Drakulya」
そして続けてこう言った。
「アーカードだ」
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