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虚無の闇-14 - (2009/02/10 (火) 03:12:40) の1つ前との変更点

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#navi(虚無の闇) トリスティン魔法学院の一室。キュルケは豊満な肉体を薄い寝間着に包んだまま、苛立たしげに腕を組んでいた。 せっかくルイズは魔法を使えるようになったのに、今度は授業をサボりっぱなし。一時は見返されバツの悪そうに黙っていた生徒たちも、また元気づいてあれこれと文句を言い始めている。 努力を止めたら足元をすくわれると窘めてやろううにも、最近はめっきり顔を合わせられない。決闘の後、恐ろしい速度で飛んで行ってしまってからは、食事時しか姿を見ていなかった。避けられているのだとは思いたくないが、そう考えても仕方が無いほどすれ違っていた。 そして始まる直前にやって来たかと思えば、すぐにどこかへ行ってしまうのだ。アンロックで部屋に押し入っても留守ばかりで、ことごとく声をかけるタイミングを逸してしまっている。 「まさか、ルイズに限って……ね」 キュルケは大げさに肩を竦めると、起きるのには早すぎる時間を指す時計を一瞥し、無理やりに布団をかぶった。 ルイズが何か恐ろしいものに取り憑かれているのではないか、という不安を感じていた。あの時に感じた悪寒が間違いであってほしいと願う。 キュルケの中で、ヴァリエールはまだライバルなのだ。向こうが同じように思ってくれているかは分からないが、少なくともキュルケはそう考えていた。 決しておぞましい何かではない。気を張っているだけの弱くて寂しがりやな女の子、それがキュルケがたどり着いたルイズの本性である。 それを寄って集って皆で殴打し、傷つく姿を見て笑っていた自分たちこそ責められるべきなのだ。ルイズにどう思われようとも、キュルケはルイズのライバルという立ち位置を貫ぬこうと考えていた。 「大丈夫かしら……。ルイズも……、タバサも」 頭を振って目を閉じる。目蓋の裏に浮かぶのは、同じく姿を消してしまった親友の姿だった。 ひたすらに他人を拒絶するその姿に、何か事情がありそうだとは感じていたのだけれど、今回のだけはルイズ絡みだと思うのは考えすぎだろうか? そういえばギーシュが魔法を使えなくって、"無能のギーシュ"などと呼ばれている事も気にかかる。彼は決闘の対戦者だったし、もしかすると……。 「ったく! そんな訳、ないでしょう?! ……私ったら、何を考えているのかしら」 主の不機嫌を察したのか、ベッドの下で使い魔のフレイムがぎゅるぎゅると気遣わしげな声を上げる。 キュルケは頼りになる使い魔の存在に少しだけ安心し、変な時間に起こしてしまったと謝りながら、大きく深呼吸して目を閉じた。 きっと大丈夫だ。ルイズはちょっと舞い上がっているだけで、すぐにいつも通りのルイズに戻ってくれるはず。タバサだって単なる偶然だろう。だから心配する必要なんてない。 やがてキュルケが微睡の中へと落ちて行った時、学院の外に風竜が降り立った。 朝露に濡れた芝生をザクザクと踏みつぶしながら、それぞれ別々の種族である3人は密かに学院の中へと入る。 門や周囲を守っている衛兵たちは気づいているだろうが、あの風竜がタバサの使い魔であることは周知の事実だ。オスマンもタバサの複雑な事情を知っているから、こんな時間に出入りしていても不振には思われない。 その証拠に、見回りをしていた槍兵がルイズたちに声をかけようと近づいてきたが、途中でタバサの蒼い髪に気づいたらしく踵を返した。 本来なら文句の一つぐらい言われてもいい行動でも、彼らは所詮幾らでも替えの効く立場。余程の事でなければ直接注意など出来はしないのだ。 一行は当然とばかりに門をくぐった。村へ行っていた間に雨でも降ったのか、学院全体が朝日を受けて光を反射している。 ルイズは演技のためにエルザの腕を取り、身を屈めて少女の顔を覗き込んだ。エルザは小さく声を漏らし、子猫のように体を震わせる。それを見てルイズは蛟のような笑みを浮かべた。 直接学院長の部屋に行ければそれが一番よいのだが、下手な行動をすれば怪しまれる恐れがある。これから行うのは命のやり取りなのだから、出来る限りオスマンの警戒心を呼び起こすような真似はしたくなかった。 狭い学院の中とはいえ、そこの最高権力者に会いに行くのだ。一生徒が正式に入るには、誰か教師の案内が必要だった。 しかし、こういった面倒事を頼めるような教師となれば限られてくる。 新任のシュヴルーズでは不足だし、ギトーのような偏屈者には頼みたくない。 そこで教師の中では一番同情してくれそうな、コルベールの下へとやって来たのだった。石造りの外壁に寄り添うように立てられた、薄汚れた小屋が彼の住居だ。 在室中の札かかかっている扉の前に立ち、ルイズはエルザと繋いでいない右腕で、薄い木製の扉を軽くノックする。 今のルイズがその気になれば、たとえこの扉が鋼鉄製であっても簡単に打ち壊せた。だが、今は怪力より丁寧な合図こそが必要だ。 しばらく待っても返事が無いので、再び薄っぺらい木の扉を叩く。眠っているのかと思われたが、しばらくして欠伸交じりの返事があった。 ルイズは自らの名前を名乗り、重要な用件があると扉越しに伝える。やがて何かを蹴倒すような音と共に、部屋の主である炎蛇のコルベールが姿を現した。側頭部の髪が寝癖で跳ね回っている。 「朝早くから失礼します。ミスタ・コルベール」 「ふむ、ミス・ヴァリエール……? どうやら……何か、事情がありそうだね。散らかっているが、どうぞ入ってくれ」 不安げに身を寄せているエルザに気づいたのか、コルベールは額に眉を寄せながらもルイズたちを迎え入れてくれた。やはり彼は優しい。 しかし、この部屋に対してはかなりスパルタなようだった。薄暗かった部屋に明かりが灯ると、ただでさえ酷い中の惨状がよくわかる。 まず、床がほとんど見えない。最低限の足の踏み場はあったが、それ以外は理解に苦しむガラクタが山のように積み上げられていた。ここが自室ではなくて、実はゴミ捨て場だと言われても信じてしまいそうだ。 ごちゃごちゃと計算式が書かれた羊皮紙などもあちこちに放置されており、踏みつけてうっかり足を滑らせでもしたら、全身打撲で包帯を巻くはめになるだろう。異臭もかなり酷い。 遅くまで実験でもやっていたのか、何かの薬品と汗が混じりあい、とても清涼な空気とは言えなかった。人間よりも鋭敏な五感を持つ吸血鬼には辛いものがあるようで、エルザは残った左手で袖で鼻と口を覆って呻いている。 「掃除の必要性は、分かっているんだけれど……。どうしても……なかなか、手が出なくてね」 コルベールは苦笑いしならがら言った。かれからすれば、掃除している暇があれば実験器具を弄り回していたいのだろう。 応接用だったらしいソファーの上に並べられていた雑多な物を手早く脇に積みなおし、どこからか持ってきた雑巾で軽く埃を払った。部屋に薄く埃が舞ったが、ルイズは笑顔を崩さずに待つ。 どうにか物置から椅子へと分かる程度に片付けると、コルベールは手を振って3人に座るように促した。ガラクタの山の乗ったテーブルを挟んで、次は自分の据わる場所を適当に確保する。 朝早くに起こされたというのに、相変わらずのお人よし。容易く籠絡できるだろうと見くびっていたルイズだったが、顔をあげた瞬間に思わず目を疑った。 向かい合ったコルベールの眼は鋭く、二つ名を体言するように狡猾な色を浮かべている。ルイズでさえ思わず息が詰まった。 普段の優しげな表情からは想像もつかないほどで、なるほど、炎蛇とはよくいったものだと感心する。発されるオーラも常人とは明らかに違う物であり、人選ミスかとルイズは内心で舌打ちしたが、エルザのフォローによって窮地を救われた。 「お姉ちゃん……。怖いよ……」 「……大丈夫よ、エルザ。安心して」 見透かすような視線に恐怖を感じたのか、エルザはルイズの薄い胸板に縋りついた。ルイズもそれに合わせて、なだめるような演技をする。 狡猾さという点においては、30年の時を生きたこの吸血鬼も負けてはいない。蛇と鬼の化かし合いだ。 エルザの大きな瞳にはうっすらと涙も浮かんでおり、村を出た時に着ていた継ぎ接ぎのある洋服と相成って、捨てられた平民の子供という雰囲気をよく出していた。 そうと知る者でも、うっかり気を抜けば騙されてしまいそうな迫真の演技。何十年も人間を欺いて生きてきただけのことはある。 怯えているエルザを優しく撫でるルイズの姿を見て、コルベールは苦しげに呻くと眼光を元に戻した。罪悪感でも覚えたのか、それともルイズには計り知れない過去のことでも思い出したのか。明らかに動揺が見て取れる。 それを見たルイズは微笑みを絶やさぬまま、内心で唇を釣り上げてほくそ笑んだ。 まさかコルベールが、優しくどんな相手にも理解を示すという鞘の中に、こんな剥き身の刃を隠しているとは予想外だった。 しかし、彼自身がそれを嫌っているのなら、後は簡単な仕事である。どんな人間でも、耳触りの良いものを信じたがるものだから。 「実は……」 コルベールに発生した揺らぎを見逃さず、ルイズは流れるように物語を紡ぐ。 タバサは家庭の事情によって任務を背負わされており、今回はルイズも手伝うことになった。 その任務とは森林の開拓に邪魔になる翼人を排除することであり、命令なので逆らうわけにはいかない。 ルイズたちは仕方なく実力行使に出ようとするが、村には翼人と恋仲であった者たちがいた。 そこでガーゴイルを使って一芝居うち、翼人と村人を一つにするという作戦に出た。 経過は順調であり、成功するかと思われた。しかし数人の村人が翼人の一人を騙し打ちし、死に至らしめた。 許す訳には行かないと、殺気立った彼らは再び闘争が始まるところであったが、少女の登場によって一気に終結する。 その少女の名前はエルザ。翼人と人間のハーフで、たった今母親を失った、忘れ形見になってしまった少女。 私は村の人を許すから、皆も許してあげてくれと、気丈に胸を張って懇願した。 母を目の前で殺された少女の言葉は翼人も人間も無関係に胸を打ち、今度こそ村には平和が戻った。 しかし一方だけが殺人を犯したとなれば遺恨が残るのは当然であり、それを憂いた父親は自殺して村人の罪を償った。 悲劇の象徴として、手を取り合ってエルザを育てる……などという甘い選択肢はない。翼人からしても人間からしても混じり物であり、まだ彼らはその段階には至っていなかった。 もう少し理解が進めば、いずれそういう日は来るだろう。だが、それではあまりにも遅すぎる。 こうして孤児になってしまったエルザを、ルイズたちが引き取ったのだと。 部屋は静まり返り、ただエルザがしゃくり上げる音だけが響く。本当に哀れな少女を抱きしめながら、ルイズは何度も大丈夫だと呟いた。 タバサも人形のような能面を割り、かすかに哀れむような表情を漏らした。唇を強く噛み締めると、ソファーの上で握りしめられているエルザの小さな手の平を包むように、そっと己の物を重ねる。 「そう……、でしたか。すみません、辛い事を、思い出させて……」 コルベールは長い間黙っていたが、やがて言葉を押し出すようにして、それだけ呟いた。 普段の柔和さ嘘だと思えるほど深い皺が苦痛と共に刻まれ、コルベールは右手を上げて己の表情を鷲掴みにする。その後で何かに疲れ果てたような苦渋の色を出したかと思うと、彼は普段以上に優しげに笑った。 心に欠陥がある人間は扱いやすい。他人からすればルイズもそうだろうし、タバサだって同じだ。利用されるやつが悪いのである。 「それで……。エルザを、私の部屋に置くことを、許可して頂きたいんです。迷惑はかけさせませんから、お願いします!」 ルイズは深々と頭を下げ、その体勢を維持したまま返答を待った。 失敗への不安がない訳ではないが、9割以上成功するだろうという自信もある。 十年以上も蔑まれ続けただけあって、ルイズは他人の悪意にだけは敏感だ。いまのところコルベールは、先ほどと違ってこちらを疑ってもいないし、悪く思ってもいない。 元々の優しさにも加えて、貴族が平民のために頭を下げたのが効いたのだろう。軽く視線を上げて顔色を伺ってみると、目じりには僅かだが涙さえ見えた。 かつては自分に理解を示してくれた教師を貶めるのは気が引けたものの、所詮は彼は人間の味方で、自分とは永遠に相容れない。 「わかりました! オールド・オスマンの許可が必要でしょうが……。必ずや、説得してみせます! ついてきてください!」 果たして、コルベールは張り切って席を立った。部屋の隅に積み上げられていた物が、その振動でガラガラと音を手ながら雪崩を起こす。 彼はそれを気にも留めず前だけを見て、それでいて足もとのガラクタを的確に避けながらドアへと向かった。 ルイズは牙を剥いてその背に続く。心の中でトゲのような物が疼いたが、甘い復讐の蜜を嗅ぐと気にならなくなった。 少し前までは寝起きの一服として暢気に水タバコをふかしていたオスマンだったが、今は冷や汗を垂らしながら壁際までジリジリと下がるはめになっていた。 その原因は先ほどから熱烈な説得を続けているコルベールその人であり、オスマンは必死に彼を落ち着かせながらも、迫り来る肌色の大平原から逃げ続けている。 自慢の白髭やローブに脂汗がつくのは遠慮したい。詰め寄られるならハゲ親父ではなく、ロングビルのような女性の方がいい、などと下らない思考がオスマンの脳裏を過ぎった。 「わかった! わかったから、落ち着け!」 「……お、これは、申し訳ない。少々、興奮してしまいまして」 あらかじめサイレントを詠唱していなければ、扉の向こうに居るだろうルイズたちを驚かせるほどの声を出して、オスマンはようやく一息つけた。 朝からとんだ災難だ。適当な椅子に座って煙草をふかし、溜息と煙を同時に吐きながら、冷静になったコルベールの説明を嚥下していく。 大体のところを飲み込んだオスマンはルイズの行動に感心したが、争いの種を持ち込んでくれたという面倒な思いも確かにあって、盛大に顔をしかめた。 「なるほどのう。翼人と人間のハーフ、か……」 煙と共に苦悩を吐き出したオスマンは、しばらく自分の長い髭を撫でながら熟考を始めた。 せっかくこの前の決闘騒ぎが無事に終わったというのに、今度は比べ物にならないほど馬鹿でかい爆弾が持ち込まれるとは。生徒と自分の平穏を願う彼としては好ましく無い事態である。 しかし、害にしかならないとは言い切れない。伝説である虚無のメイジ候補をコントロールするためにも、彼女に恩を売っておけばプラスになるはずだった。 嫌な考え方だが、やたらと虚無に動き回って欲しくないオスマンからすれば、そのエルザという少女は都合のいい楔となってくれる。 エルザを放置してあちこちに出かける事も出来ないだろうし、後々でこの話をちらつかせれば、貴族の建前さえ気丈に守っているミス・ヴァリエールのことだ。簡単に大人しくさせることが出来るだろう。 コルベールを言い包めるのも面倒だし、話を聞かない頑固ジジイという言われようより、いざというときは頼りになるお爺さんの方がいい。 「ふむぅ……」 しかし、そうなると問題になるのは、プライドが服を着て歩いているような貴族たちだ。 もし平民と翼人のハーフであるという事実がばれてしまったら、こぞって嫌がらせや悪戯を仕掛ける可能性がある。書類の山が出来るような事態が起きるかもしれない。 危険人物を学園に置いただのなんだの、自分の非を棚に上げて他人を追及する術には異常なほど長けている馬鹿が多いのだ。この国の腐敗の一端である。 優秀な秘書であるロングビルが来てからは、面倒な事この上ない書類の始末も少しはましになったが、だからといって自分から手間を増やすような真似はしたくなかった。王都の酒場に行って、綺麗な姉ちゃん相手に一杯ひっかける機会が減ってしまうではないか。 また、考えたくは無いが、エルザが生徒に害を与えるという可能性もあった。 不幸な人間とは、大抵が卑屈で攻撃的な性格になるものだ。 なんだかんだ言っても生徒は大切に思っているし、虚無のメイジが暴走でも起こしたら、どんな恐ろしい結末が待っているのやら。 「なるほどのう……。手間も省けるし、どうじゃね? コルペース君が引き取るというのは……。 その年で嫁さんもおらんし、この機会に子供とセットでお見合いをじゃな……。ロングビルは渡さんが」 「コルベールです、オールド・オスマン。……真面目に考えてください!」 肺の中に残っていた最後の煙を溜息として吐き出したオスマンは、これをどう捌くべきか思案を巡らせる。 もしミス・ヴァリエールがペットを拾うような無責任さで連れて来たのなら、打てる手はいくらでもあった。飽きた頃にこちらのコネで適当な里親を見つけ、そこに送ってしまえばいいのだ。 その後はなるようになるだろう。見た目は平民の子供と変わらないようであるし、もしかすれば先住魔法が使えるかもしれない。 適当に戸籍を作ってやれば、就職口ぐらいなら何とかなるはず。だからその後のことは、自分ではなく運命が扱うべき物になる。 感情論だけで済むものならば、オスマンとてその少女を見捨てたい訳ではない。しかし過去に泥沼のパワーゲームを経験した物としての本能が、安易に決定することを許さなかった。 全体を100とした場合、犠牲になるのが10であるのなら、90を危険に晒してまで助ける意味や価値は無い。成功すれば英雄になれても、失敗すれば大馬鹿者か無能でしかないのだから。 「ふぅむ……、そうじゃな。とりあえずは、顔合わせといこうかの」 無数の可能性とそれによって齎される面倒事を思い浮かべ、更にその解決方法にも手を伸ばしたところで、オスマンは様子見や熟考という皮を被った先送りの一手を打つ。 問題の少女、エルザが扱いやすい人物なら心労は幾分か軽減されるだろう。あのミス・ヴァリエールの専属メイドという扱いにしておけば、滅多な理由では他の貴族は手出し出来ない。 学院つきのメイドに暴行などを働く生徒は、非常に悲しい事ではあるがたまに出る。そういった場合、基本的には教師が絞った後で実家へ治療費を請求するなどして、金で済ませるのがこの学院での通例だった。 平民たちにも権利がある。いくら権力や財力のある貴族とて、それを真っ向から無視することが許されている訳ではない。 そんな事を黙認してしまったら、国が立ち行かなくなるのは目に見ている。極端な話になるが、貴族が廊下で転んだからといっても、いちいち施設の床板を壊されては困るのだ。 学院つきのメイドでこれなのだから、それが個人所有の、さらには大貴族の娘に仕えるメイドともなれば尚更だろう。下手をすれば戦争の切欠にもなるぐらいの事は、子供でも分かっているはず。 しかしミス・ヴァリエールを公然とゼロ扱いするような、まだ精神的に幼い生徒たちの事だから、その意味も分からずちょっかいを出すかもしれなかった。 「……ま、その時はその時じゃな」 責任が学院側にあるならまだしも、自らの思慮の浅さによってどのような罰を受けようと、オスマンはそこまで口を出す気にはならなかった。 自分とて若い頃やった馬鹿のお陰で後ろ指を差されたことはあるし、人はそうやって成長していく物だろう、と彼は思っている。 伊達に長生きをしている訳ではない。酔っていたとはいえ、今思い出しても顔を覆いたくなるようなクサいセリフを、髭の生えたオカマに向けて熱弁した事もあった。今思い出しても吐き気がする。 この失敗を生かしたオスマンは、あれ以降、酒は飲んでも正体を失くすほど飲むのを止めた。 アンロックが重大な校則違反になっていても罰則が特に無いのは、「馬鹿をやるのは勝手だが、起こした行動に対する責任は自分で持て」というのを教育する意味もあるのだ。 親しい仲にも礼儀あり。将来は統治者として何百人、何千人という人々の命に関わる決定を下す事もあるだろう。そういう時に配慮に欠ける行動を起こされては洒落にならない。 常日頃から他人の部屋へのアンロックを多用している生徒が泥棒疑惑をかけられ、屈辱的な二つを名を頂戴した後で退学処分にされたという記録は腐るほどある。 もう少し酷いのになると、大量の使用済み下着を知らぬうちに棚に押し込められ、生涯下着泥の変態として扱われることになった生徒とか。 後者は実に羨ましかった。教師に呼ばれて訪れた寮の一室で、下着の山の中でトリップしている姿を見たときは、本気でワシと変われと叫びたくなったものだ。ワシならもっと上手くやるのにと。 当時勤めていた美人教師の物もそこに含まれていると知った時にはすでに遅く、現場検証と称して何枚か貰っておく機会を逸してしまっていた。 しかし……。あの頃は密かに狙っていた彼女も、既に十数年前に流行病で死去した事を思い出してしまった。 かつて親しかった者たちも、今はもう誰も居ない。300年の時は人間が生きるには長すぎたように思われ、オスマンは一瞬だけ足元が崩れていくような不快感を感じた。 ろくな親孝行も出来なかった両親。自分がまだ子供だったころ、彼らがどんな顔で自分を育ててくれたのか、それすら忘れたのはいつ頃だっただろうか。 楽しい記憶はすぐに消えてしまうのに、嫌な記憶ばかりがしつこく脳を埋めている。 「失礼します、オールド・オスマン」 金属の機構が立てるガチャリという音で我に返った。オスマンは背で隠しながら頬を叩くと、皺がよっていた服に張りを与え、コルベールに迫られた件でやや乱れていたローブを整える。 普段どおりの態度を心がけながら、素早く学院長の顔を作った。応接用の机の上に積まれていた未処理の書類を脇にどけ、問題の一行にソファーを勧めながじっくりと観察を開始した。 コルベールの説明では、少女の名前はエルザといったか。見た目は本当に人間そっくりだ。 翼人についてはある程度の知識はあるものの、人間とのハーフが生まれたという記録は見た覚えが無かった。 そもそも亜人と人間というのは基本的に不仲。同じ人間同士でも下らない小競り合いや戦争が六千年も続いているのだから、種族すら違う両者の間に子供が出来た事例など、片手の指で数えられるほどだろう。 軽々と抱き上げる事が出来そうな身の丈は、人間で言えば5歳かそこらに見える。翼人とのハーフである事を考慮しても、10には届いておるまい、と当たりをつけた。 「ふぅむ……。まずは、おかえりと言っておこう。無事に帰ってこれて、なによりじゃった。 君の行動は全て正しかったとは言えんが、讃えられはすれども蔑まれる物では決してない。 我が魔法学校の生徒が、このような行動を取ることができる、真の貴族の精神を持っている事を誇りに思おう。 しかし……、だ。分かっているね? ミス・ヴァリエール」 「……はい、オールド・オスマン」 だが勧められる前に椅子に座らない辺り、ある程度の躾は出来ているらしい。オスマンは密かにエルザを見直した。 タバサとルイズの間に挟まれて座っているエルザは、柔らかすぎるソファーがどうにも慣れないようで、子供らしく何度も座る位置をずらしている。 ルイズの細い腕に体を寄せている様が可愛らしく、もしどうしても引き取り手が見当たらなければ、自分の娘にするのもいいかもしれないとオスマンは唸った。 彼に少女趣味は無いが、子供というのは、何かと手間がかかる頃を過ぎたこの辺りの年齢が最も可愛いものだ。 「あー、だからして、正しい行いとて時には害悪になる事もある。 自分に取れる責任の大きさを把握し、それを逸脱しない範囲で杖の振り方を……」 サイレントによって完全な静寂に包まれている学院長室に、オスマンの低い声だけが響いている。 ルイズは学院長直々のお話だからと酷く真剣に聞き耳を立てているようが、喋っている方は内心でかなり飽きていた。 他人を叱り付けることに優越感や快楽を見出すタイプではないし、またエルザという少女も居るのだから、長々としたお説教は可哀想だ。 下らない事をしでかした生徒に対するならまだしも、ルイズの行いは長らく学院長を務めてきたオスマンをして唸らせる物であったのだから。 しばらく念仏のような小言を吐いていた口を閉じ、オスマンは威厳たっぷりにゴホンと咳をする。 「まあ……こんな所じゃ。授業を抜け出した事については、多めに見ておこう。 彼女の扱いについては、わしに任せてもらいたい。……なに、悪いようにはせんさ」 「ほ、ほんとうですか?! あ、ありがとうござます!」 感激を態度で表すルイズを見て、オスマンは今の選択が間違いではなかったと頷く。 緊張の糸が解けたのか、両手で涙を拭いながらさめざめと泣き出してしまったエルザを、ルイズは妹にでもするようにギュッと抱きしめていた。 壁際では、コルベールが年甲斐も無く潤んでいる。オスマンは中年の涙より、思わず抱擁したくなる美女の涙が見たいと頭の隅で思った。 「ありがとうございます! オールド・オスマン! あと、その……。私の、属性について、なのですが……」 来るべくして来た地雷に、オスマンは短く息を吐いて覚悟を決める。 ここからの対応は極めて重要だ。ミス・ヴァリエールはまだ子供で扱いやすいが、だからこそ敏感だろう。無碍にはできない。 トリスティン魔法学院から虚無のメイジが送り出されれば、この学院の評判は正にハルキゲニアを駆け回る。その過程で、ここに多数の生徒が集まる事は間違いない。 だが道を誤った彼女が魔女のような行いをすれば、在学中の教師陣の無能と合わせ『あろう事か虚無のメイジを歪ませた最悪の無能集団』として、そっくりそのまま裏返った風評により、骨屋台が揺らぐような事態になる恐れもあった。 実際にそうなのだから反論できないのだが、そうなるとオスマンも立場が無くなる。コルベールも顔を上げ、ルイズへ多分の期待と少量の不安が混じった視線を送っていた。 「虚無、かの?」 「……っ! は、はい……。たぶん、そうだと、思うのですが……」 先手を打って切り出したオスマンの言葉に、ルイズはしどろもどろになりながらも答える。 伝説を口に出す愚かさは分かっているようで歯切れは悪いが、座学ではトップを守り続けたルイズの言う事には説得力があった。 翼人と村人の争いが起きた際、通常の水の属性では考えられない治癒を行えた。具体的には、水の秘薬もなしに折れた骨を繋いだというのだ。 日常的にするような軽い怪我ならば、極めて短時間で十分な治療を行える水の系統魔法だが、深い傷になればなるほど難しくなる。 不注意から木から落下して、完全に足が折れ曲がってしまうほど砕けた骨となれば、尖った先端が肉を引き裂くなりしている事は想像がつく。 潤沢な秘薬があればそこらのメイジでも対処可能だが、一滴も無いのではお手上げだ。スクェアでも完治させるのは無理だろう。 「その時は必死で、その……。よく、わからなかったのですけど……」 「凄い力だった。たぶん、スクェアでも足りない」 少々信じがたく脚色を疑いたくなるが、シュヴァリエを持つ少女が言うのであれば、恐らく真実なのだと納得するしかなかった。オスマンは白い髭を摩りながら熟考する。 始祖ブリミルが4つに分けたという虚無のうち、このトリスティンに伝わるのは水の力だ。 今頃はゲルマニアに居るであろう、アンリエッタ姫の指にある大きな宝石のついた指輪、水のルビーがその証である。 虚無に覚醒したミス・ヴァリエールが引き継いでいるのが正にそれであり、伝承に記されているような破壊力は、火を象徴するゲルマニアなどに伝わっている、とすればどうだろうか。 確かに最近の彼女は、一時期からは信じられないほど落ち着いてきている。平民のために杖を振るう行動など、聖母のようだと言って差し支えない。 少々虫が良すぎるかもしれないが、彼女の虚無が癒しを司っている物であれば実にありがたかった。オスマンは喉の奥で小さくため息を漏らす。 虚無で吹き飛ばされる学院が何度か脳裏をよぎっており、必要ならルイズを退学処分なりにして追い出す算段すらつけていたのだ。 「ふむ……、ミスタ・コルベール。例の書物はどこに?」 「あ、それは……。調べ物をしておりましたので、私の部屋にあります。持ってきますので、しばらくお待ちを」 学院長室を去っていくコルベールを視界の端で捕らえながら、オスマンは再びルイズたちを観察する。 ルイズの右手には今もヴィンダールヴのルーンがあり、ぼんやりとおぼろげな光を発していた。 言っても仕方がないことだが、これさえ無ければ信じずとも済んだろうに、と苦々しく思う。ずいぶんと光が薄いように見えるのは、化粧か何かで隠しているのかもしれない。 いくら神聖なルーンとはいえ、うら若き乙女の肌をキズ物にしていることは事実だ。それに失敗の証のように思われていたようだし、隠したくなるのもわかる。 まあ、やたらと見せびらかして欲しい物でも無いので、これは好都合だった。 もしヴィンダールヴのルーンに先にたどりつかれ、やたらに自慢されたら、それこそ大事になっていだろう。アカデミーにでも嗅ぎつけられてしまったら、まともな対応はとれなくなる。 「どうしたの? エルザ」 ルイズを値踏みしていたオスマンが最も小さい少女に視線を戻すと、彼女は縋るような視線をオスマンへと向けている所だった。 すでに彼女は、警戒すべき対象から外れている。それに、危険人物かもしれないという色眼鏡を外してみれば、将来が実に楽しみな美少女である。 上目遣いは天然なのか、大人殺しというヤツだ。実に可愛くて保護欲を誘われる。もう少し年が行っていれば、思わずお尻に手が伸びていたかもしれない。 「あの、ね……。抱っこして、欲しい……んです……。 失礼だとは、分かって、いるんですけど……。その、えっと……」 煩悩を展開するオスマンとは打って変わって、エルザは今にも消え入りそうな声で告白した。 オールド・オスマンの雰囲気が、村人でも唯一理解を示してくれた老人に似ているのだと言う。この前の冬を乗り切れずに亡くなってしまったが、友達の少ないエルザにとって、両親の次に大好きだったと。 涙を拭いながら言い切ったエルザに、先ほどまでの重苦しい沈黙とはまた違った、しんみりした空気が部屋を包んだ。オスマンは馬鹿な事を考えたなと少し後悔する。 「お泣きなさるな、お譲ちゃん……。わしでよければ、いくらでも胸を貸してやるぞい! ま……、本当は、あと10年ぐらいした後の方が、もっといいんじゃがな?」 極めて真面目な表情で言い放たれた戯言は空気を溶かし、少女達の笑い声がクスクスと響いた。 オスマンは己の頭をぴしゃりと叩き、おどけた態度によってさらに笑いを誘う。右腕に握っていた杖を机に置き、嬉しそうに机を回ってきたエルザを抱き寄せる。 ふんわりと甘い香りがオスマンの鼻をくすぐる。何かの香水の匂だろうか、それともこの少女特有の体臭なのか。なんにしろ心地よかった。 しわがれた両腕だが、小さな少女を支える程度の事は難なくこなせる。「お爺ちゃんの香りだ」耳元で囁かれた呟きは嬉しげで、オスマンも孫が出来たようで悪くない、と思った。 短いながらも平穏な時間。これから起こるであろう騒動に頭を抱えなければならないオスマンにとって、午後のひと時のようなこの時間は貴重だと思えた。 「エルザったら……。"見つかったら大変"よ?」 オスマンの腕の中でエルザがぴくりと動いた。 怖い大人でも思い出してしまったのか、オスマンの老いてはいるが枯れてはいない体に力強く抱きついている。 首筋にかかる温かな息遣いと高い体温が、命を抱いているという感覚を伝えてきた。今となっては既に遅いが、息子や娘が居ればこういうものなのだろう。 「ところで、オールド・オスマン……?」 ルイズの呼びかけに応えるべく、オスマンは抱きしめているエルザの体から視線を持ち上げた。 「なゃんじゃね、ミス……」 その瞬間、彼の首筋に鋭い痛みが走る。同時に何かを吸い取られていくような虚脱感が全身を駆け抜けた。 「なっ?! ま、まさか……!」 緩んでいた思考に警告の火花が飛び散る。長年かけて培ってきた感性が、極めて重大な緊急事態だと告げている。 反射的に杖を取ろうとしたオスマンだったが、彼の武器である重厚な黒い杖の上には、いつの間にかルイズの靴と足が乗っていた。 あの杖で魔法を使おうとするなら、少女の体重を片手で跳ね飛ばす必要があった。若い頃ならいざ知れず、今のオスマンにそれは無理だ。 後ろ手にはタバサの首を鷲掴みにしており、ルイズが少しでも力を加えた場合、彼の大切な生徒の一人が手遅れになるまで破壊される事は明白だった。 オスマンは左手を伸ばして懐に隠してある予備の杖を握ろうとしたが、あまりにも状況が悪すぎる。 おそらくミス・ヴァリエールをグールに変えたであろう吸血鬼を叩こうにも、距離が近すぎて、とっさの魔法ではどこに暴発するか理解の外だ。 守るべきは老い先短い自分か、それとも将来有望な生徒か。 その一瞬の躊躇が致命的となった。 伸びてきたルイズの腕によってエルザごと突き飛ばされ、半端に立ち上がりかけた体勢からソファーへと押し戻される。鈍痛が肩を叩く。 視界は急速にぼやけ始めており、助けを呼ぼうとこじ開けた口からは空気しか洩れない。窮地を抜け出す奇策が必要だというのに、思考はどんどんと散漫になっていく。 「ヴァ……、リエー……ル」 全身を耐え難い寒気が襲い、オスマンは小さく震えながら、その長い生涯を終えた。 #navi(虚無の闇)
#navi(虚無の闇) トリスティン魔法学院の一室。キュルケは豊満な肉体を薄い寝間着に包んだまま、苛立たしげに腕を組んでいた。 せっかくルイズは魔法を使えるようになったのに、今度は授業をサボりっぱなし。一時は見返されバツの悪そうに黙っていた生徒たちも、また元気づいてあれこれと文句を言い始めている。 努力を止めたら足元をすくわれると窘めてやろううにも、最近はめっきり顔を合わせられない。決闘の後、恐ろしい速度で飛んで行ってしまってからは、食事時しか姿を見ていなかった。避けられているのだとは思いたくないが、そう考えても仕方が無いほどすれ違っていた。 そして始まる直前にやって来たかと思えば、すぐにどこかへ行ってしまうのだ。アンロックで部屋に押し入っても留守ばかりで、ことごとく声をかけるタイミングを逸してしまっている。 「まさか、ルイズに限って……ね」 キュルケは大げさに肩を竦めると、起きるのには早すぎる時間を指す時計を一瞥し、無理やりに布団をかぶった。 ルイズが何か恐ろしいものに取り憑かれているのではないか、という不安を感じていた。あの時に感じた悪寒が間違いであってほしいと願う。 キュルケの中で、ヴァリエールはまだライバルなのだ。向こうが同じように思ってくれているかは分からないが、少なくともキュルケはそう考えていた。 決しておぞましい何かではない。気を張っているだけの弱くて寂しがりやな女の子、それがキュルケがたどり着いたルイズの本性である。 それを寄って集って皆で殴打し、傷つく姿を見て笑っていた自分たちこそ責められるべきなのだ。ルイズにどう思われようとも、キュルケはルイズのライバルという立ち位置を貫ぬこうと考えていた。 「大丈夫かしら……。ルイズも……、タバサも」 頭を振って目を閉じる。目蓋の裏に浮かぶのは、同じく姿を消してしまった親友の姿だった。 ひたすらに他人を拒絶するその姿に、何か事情がありそうだとは感じていたのだけれど、今回のだけはルイズ絡みだと思うのは考えすぎだろうか? そういえばギーシュが魔法を使えなくって、"無能のギーシュ"などと呼ばれている事も気にかかる。彼は決闘の対戦者だったし、もしかすると……。 「ったく! そんな訳、ないでしょう?! ……私ったら、何を考えているのかしら」 主の不機嫌を察したのか、ベッドの下で使い魔のフレイムがぎゅるぎゅると気遣わしげな声を上げる。 キュルケは頼りになる使い魔の存在に少しだけ安心し、変な時間に起こしてしまったと謝りながら、大きく深呼吸して目を閉じた。 きっと大丈夫だ。ルイズはちょっと舞い上がっているだけで、すぐにいつも通りのルイズに戻ってくれるはず。タバサだって単なる偶然だろう。だから心配する必要なんてない。 やがてキュルケが微睡の中へと落ちて行った時、学院の外に風竜が降り立った。 朝露に濡れた芝生をザクザクと踏みつぶしながら、それぞれ別々の種族である3人は密かに学院の中へと入る。 門や周囲を守っている衛兵たちは気づいているだろうが、あの風竜がタバサの使い魔であることは周知の事実だ。オスマンもタバサの複雑な事情を知っているから、こんな時間に出入りしていても不振には思われない。 その証拠に、見回りをしていた槍兵がルイズたちに声をかけようと近づいてきたが、途中でタバサの蒼い髪に気づいたらしく踵を返した。 本来なら文句の一つぐらい言われてもいい行動でも、彼らは所詮幾らでも替えの効く立場。余程の事でなければ直接注意など出来はしないのだ。 一行は当然とばかりに門をくぐった。村へ行っていた間に雨でも降ったのか、学院全体が朝日を受けて光を反射している。 ルイズは演技のためにエルザの腕を取り、身を屈めて少女の顔を覗き込んだ。エルザは小さく声を漏らし、子猫のように体を震わせる。それを見てルイズは蛟のような笑みを浮かべた。 直接学院長の部屋に行ければそれが一番よいのだが、下手な行動をすれば怪しまれる恐れがある。これから行うのは命のやり取りなのだから、出来る限りオスマンの警戒心を呼び起こすような真似はしたくなかった。 狭い学院の中とはいえ、そこの最高権力者に会いに行くのだ。一生徒が正式に入るには、誰か教師の案内が必要だった。 しかし、こういった面倒事を頼めるような教師となれば限られてくる。 新任のシュヴルーズでは不足だし、ギトーのような偏屈者には頼みたくない。 そこで教師の中では一番同情してくれそうな、コルベールの下へとやって来たのだった。石造りの外壁に寄り添うように立てられた、薄汚れた小屋が彼の住居だ。 在室中の札かかかっている扉の前に立ち、ルイズはエルザと繋いでいない右腕で、薄い木製の扉を軽くノックする。 今のルイズがその気になれば、たとえこの扉が鋼鉄製であっても簡単に打ち壊せた。だが、今は怪力より丁寧な合図こそが必要だ。 しばらく待っても返事が無いので、再び薄っぺらい木の扉を叩く。眠っているのかと思われたが、しばらくして欠伸交じりの返事があった。 ルイズは自らの名前を名乗り、重要な用件があると扉越しに伝える。やがて何かを蹴倒すような音と共に、部屋の主である炎蛇のコルベールが姿を現した。側頭部の髪が寝癖で跳ね回っている。 「朝早くから失礼します。ミスタ・コルベール」 「ふむ、ミス・ヴァリエール……? どうやら……何か、事情がありそうだね。散らかっているが、どうぞ入ってくれ」 不安げに身を寄せているエルザに気づいたのか、コルベールは額に眉を寄せながらもルイズたちを迎え入れてくれた。やはり彼は優しい。 しかし、この部屋に対してはかなりスパルタなようだった。薄暗かった部屋に明かりが灯ると、ただでさえ酷い中の惨状がよくわかる。 まず、床がほとんど見えない。最低限の足の踏み場はあったが、それ以外は理解に苦しむガラクタが山のように積み上げられていた。ここが自室ではなくて、実はゴミ捨て場だと言われても信じてしまいそうだ。 ごちゃごちゃと計算式が書かれた羊皮紙などもあちこちに放置されており、踏みつけてうっかり足を滑らせでもしたら、全身打撲で包帯を巻くはめになるだろう。異臭もかなり酷い。 遅くまで実験でもやっていたのか、何かの薬品と汗が混じりあい、とても清涼な空気とは言えなかった。人間よりも鋭敏な五感を持つ吸血鬼には辛いものがあるようで、エルザは残った左手で袖で鼻と口を覆って呻いている。 「掃除の必要性は、分かっているんだけれど……。どうしても……なかなか、手が出なくてね」 コルベールは苦笑いしならがら言った。かれからすれば、掃除している暇があれば実験器具を弄り回していたいのだろう。 応接用だったらしいソファーの上に並べられていた雑多な物を手早く脇に積みなおし、どこからか持ってきた雑巾で軽く埃を払った。部屋に薄く埃が舞ったが、ルイズは笑顔を崩さずに待つ。 どうにか物置から椅子へと分かる程度に片付けると、コルベールは手を振って3人に座るように促した。ガラクタの山の乗ったテーブルを挟んで、次は自分の据わる場所を適当に確保する。 朝早くに起こされたというのに、相変わらずのお人よし。容易く籠絡できるだろうと見くびっていたルイズだったが、顔をあげた瞬間に思わず目を疑った。 向かい合ったコルベールの眼は鋭く、二つ名を体言するように狡猾な色を浮かべている。ルイズでさえ思わず息が詰まった。 普段の優しげな表情からは想像もつかないほどで、なるほど、炎蛇とはよくいったものだと感心する。発されるオーラも常人とは明らかに違う物であり、人選ミスかとルイズは内心で舌打ちしたが、エルザのフォローによって窮地を救われた。 「お姉ちゃん……。怖いよ……」 「……大丈夫よ、エルザ。安心して」 見透かすような視線に恐怖を感じたのか、エルザはルイズの薄い胸板に縋りついた。ルイズもそれに合わせて、なだめるような演技をする。 狡猾さという点においては、30年の時を生きたこの吸血鬼も負けてはいない。蛇と鬼の化かし合いだ。 エルザの大きな瞳にはうっすらと涙も浮かんでおり、村を出た時に着ていた継ぎ接ぎのある洋服と相成って、捨てられた平民の子供という雰囲気をよく出していた。 そうと知る者でも、うっかり気を抜けば騙されてしまいそうな迫真の演技。何十年も人間を欺いて生きてきただけのことはある。 怯えているエルザを優しく撫でるルイズの姿を見て、コルベールは苦しげに呻くと眼光を元に戻した。罪悪感でも覚えたのか、それともルイズには計り知れない過去のことでも思い出したのか。明らかに動揺が見て取れる。 それを見たルイズは微笑みを絶やさぬまま、内心で唇を釣り上げてほくそ笑んだ。 まさかコルベールが、優しくどんな相手にも理解を示すという鞘の中に、こんな剥き身の刃を隠しているとは予想外だった。 しかし、彼自身がそれを嫌っているのなら、後は簡単な仕事である。どんな人間でも、耳触りの良いものを信じたがるものだから。 「実は……」 コルベールに発生した揺らぎを見逃さず、ルイズは流れるように物語を紡ぐ。 タバサは家庭の事情によって任務を背負わされており、今回はルイズも手伝うことになった。 その任務とは森林の開拓に邪魔になる翼人を排除することであり、命令なので逆らうわけにはいかない。 ルイズたちは仕方なく実力行使に出ようとするが、村には翼人と恋仲であった者たちがいた。 そこでガーゴイルを使って一芝居うち、翼人と村人を一つにするという作戦に出た。 経過は順調であり、成功するかと思われた。しかし数人の村人が翼人の一人を騙し打ちし、死に至らしめた。 許す訳には行かないと、殺気立った彼らは再び闘争が始まるところであったが、少女の登場によって一気に終結する。 その少女の名前はエルザ。翼人と人間のハーフで、たった今母親を失った、忘れ形見になってしまった少女。 私は村の人を許すから、皆も許してあげてくれと、気丈に胸を張って懇願した。 母を目の前で殺された少女の言葉は翼人も人間も無関係に胸を打ち、今度こそ村には平和が戻った。 しかし一方だけが殺人を犯したとなれば遺恨が残るのは当然であり、それを憂いた父親は自殺して村人の罪を償った。 悲劇の象徴として、手を取り合ってエルザを育てる……などという甘い選択肢はない。翼人からしても人間からしても混じり物であり、まだ彼らはその段階には至っていなかった。 もう少し理解が進めば、いずれそういう日は来るだろう。だが、それではあまりにも遅すぎる。 こうして孤児になってしまったエルザを、ルイズたちが引き取ったのだと。 部屋は静まり返り、ただエルザがしゃくり上げる音だけが響く。本当に哀れな少女を抱きしめながら、ルイズは何度も大丈夫だと呟いた。 タバサも人形のような能面を割り、かすかに哀れむような表情を漏らした。唇を強く噛み締めると、ソファーの上で握りしめられているエルザの小さな手の平を包むように、そっと己の物を重ねる。 「そう……、でしたか。すみません、辛い事を、思い出させて……」 コルベールは長い間黙っていたが、やがて言葉を押し出すようにして、それだけ呟いた。 普段の柔和さ嘘だと思えるほど深い皺が苦痛と共に刻まれ、コルベールは右手を上げて己の表情を鷲掴みにする。その後で何かに疲れ果てたような苦渋の色を出したかと思うと、彼は普段以上に優しげに笑った。 心に欠陥がある人間は扱いやすい。他人からすればルイズもそうだろうし、タバサだって同じだ。利用されるやつが悪いのである。 「それで……。エルザを、私の部屋に置くことを、許可して頂きたいんです。迷惑はかけさせませんから、お願いします!」 ルイズは深々と頭を下げ、その体勢を維持したまま返答を待った。 失敗への不安がない訳ではないが、9割以上成功するだろうという自信もある。 十年以上も蔑まれ続けただけあって、ルイズは他人の悪意にだけは敏感だ。いまのところコルベールは、先ほどと違ってこちらを疑ってもいないし、悪く思ってもいない。 元々の優しさにも加えて、貴族が平民のために頭を下げたのが効いたのだろう。軽く視線を上げて顔色を伺ってみると、目じりには僅かだが涙さえ見えた。 かつては自分に理解を示してくれた教師を貶めるのは気が引けたものの、所詮は彼は人間の味方で、自分とは永遠に相容れない。 「[[わかりました]]! オールド・オスマンの許可が必要でしょうが……。必ずや、説得してみせます! ついてきてください!」 果たして、コルベールは張り切って席を立った。部屋の隅に積み上げられていた物が、その振動でガラガラと音を手ながら雪崩を起こす。 彼はそれを気にも留めず前だけを見て、それでいて足もとのガラクタを的確に避けながらドアへと向かった。 ルイズは牙を剥いてその背に続く。心の中でトゲのような物が疼いたが、甘い復讐の蜜を嗅ぐと気にならなくなった。 少し前までは寝起きの一服として暢気に水タバコをふかしていたオスマンだったが、今は冷や汗を垂らしながら壁際までジリジリと下がるはめになっていた。 その原因は先ほどから熱烈な説得を続けているコルベールその人であり、オスマンは必死に彼を落ち着かせながらも、迫り来る肌色の大平原から逃げ続けている。 自慢の白髭やローブに脂汗がつくのは遠慮したい。詰め寄られるならハゲ親父ではなく、ロングビルのような女性の方がいい、などと下らない思考がオスマンの脳裏を過ぎった。 「わかった! わかったから、落ち着け!」 「……お、これは、申し訳ない。少々、興奮してしまいまして」 あらかじめサイレントを詠唱していなければ、扉の向こうに居るだろうルイズたちを驚かせるほどの声を出して、オスマンはようやく一息つけた。 朝からとんだ災難だ。適当な椅子に座って煙草をふかし、溜息と煙を同時に吐きながら、冷静になったコルベールの説明を嚥下していく。 大体のところを飲み込んだオスマンはルイズの行動に感心したが、争いの種を持ち込んでくれたという面倒な思いも確かにあって、盛大に顔をしかめた。 「なるほどのう。翼人と人間のハーフ、か……」 煙と共に苦悩を吐き出したオスマンは、しばらく自分の長い髭を撫でながら熟考を始めた。 せっかくこの前の決闘騒ぎが無事に終わったというのに、今度は比べ物にならないほど馬鹿でかい爆弾が持ち込まれるとは。生徒と自分の平穏を願う彼としては好ましく無い事態である。 しかし、害にしかならないとは言い切れない。伝説である虚無のメイジ候補をコントロールするためにも、彼女に恩を売っておけばプラスになるはずだった。 嫌な考え方だが、やたらと虚無に動き回って欲しくないオスマンからすれば、そのエルザという少女は都合のいい楔となってくれる。 エルザを放置してあちこちに出かける事も出来ないだろうし、後々でこの話をちらつかせれば、貴族の建前さえ気丈に守っているミス・ヴァリエールのことだ。簡単に大人しくさせることが出来るだろう。 コルベールを言い包めるのも面倒だし、話を聞かない頑固ジジイという言われようより、いざというときは頼りになるお爺さんの方がいい。 「ふむぅ……」 しかし、そうなると問題になるのは、プライドが服を着て歩いているような貴族たちだ。 もし平民と翼人のハーフであるという事実がばれてしまったら、こぞって嫌がらせや悪戯を仕掛ける可能性がある。書類の山が出来るような事態が起きるかもしれない。 危険人物を学園に置いただのなんだの、自分の非を棚に上げて他人を追及する術には異常なほど長けている馬鹿が多いのだ。この国の腐敗の一端である。 優秀な秘書であるロングビルが来てからは、面倒な事この上ない書類の始末も少しはましになったが、だからといって自分から手間を増やすような真似はしたくなかった。王都の酒場に行って、綺麗な姉ちゃん相手に一杯ひっかける機会が減ってしまうではないか。 また、考えたくは無いが、エルザが生徒に害を与えるという可能性もあった。 不幸な人間とは、大抵が卑屈で攻撃的な性格になるものだ。 なんだかんだ言っても生徒は大切に思っているし、虚無のメイジが暴走でも起こしたら、どんな恐ろしい結末が待っているのやら。 「なるほどのう……。手間も省けるし、どうじゃね? コルペース君が引き取るというのは……。 その年で嫁さんもおらんし、この機会に子供とセットでお見合いをじゃな……。ロングビルは渡さんが」 「コルベールです、オールド・オスマン。……真面目に考えてください!」 肺の中に残っていた最後の煙を溜息として吐き出したオスマンは、これをどう捌くべきか思案を巡らせる。 もしミス・ヴァリエールがペットを拾うような無責任さで連れて来たのなら、打てる手はいくらでもあった。飽きた頃にこちらのコネで適当な里親を見つけ、そこに送ってしまえばいいのだ。 その後はなるようになるだろう。見た目は平民の子供と変わらないようであるし、もしかすれば先住魔法が使えるかもしれない。 適当に戸籍を作ってやれば、就職口ぐらいなら何とかなるはず。だからその後のことは、自分ではなく運命が扱うべき物になる。 感情論だけで済むものならば、オスマンとてその少女を見捨てたい訳ではない。しかし過去に泥沼のパワーゲームを経験した物としての本能が、安易に決定することを許さなかった。 全体を100とした場合、犠牲になるのが10であるのなら、90を危険に晒してまで助ける意味や価値は無い。成功すれば英雄になれても、失敗すれば大馬鹿者か無能でしかないのだから。 「ふぅむ……、そうじゃな。とりあえずは、顔合わせといこうかの」 無数の可能性とそれによって齎される面倒事を思い浮かべ、更にその解決方法にも手を伸ばしたところで、オスマンは様子見や熟考という皮を被った先送りの一手を打つ。 問題の少女、エルザが扱いやすい人物なら心労は幾分か軽減されるだろう。あのミス・ヴァリエールの専属メイドという扱いにしておけば、滅多な理由では他の貴族は手出し出来ない。 学院つきのメイドに暴行などを働く生徒は、非常に悲しい事ではあるがたまに出る。そういった場合、基本的には教師が絞った後で実家へ治療費を請求するなどして、金で済ませるのがこの学院での通例だった。 平民たちにも権利がある。いくら権力や財力のある貴族とて、それを真っ向から無視することが許されている訳ではない。 そんな事を黙認してしまったら、国が立ち行かなくなるのは目に見ている。極端な話になるが、貴族が廊下で転んだからといっても、いちいち施設の床板を壊されては困るのだ。 学院つきのメイドでこれなのだから、それが個人所有の、さらには大貴族の娘に仕えるメイドともなれば尚更だろう。下手をすれば戦争の切欠にもなるぐらいの事は、子供でも分かっているはず。 しかしミス・ヴァリエールを公然とゼロ扱いするような、まだ精神的に幼い生徒たちの事だから、その意味も分からずちょっかいを出すかもしれなかった。 「……ま、その時はその時じゃな」 責任が学院側にあるならまだしも、自らの思慮の浅さによってどのような罰を受けようと、オスマンはそこまで口を出す気にはならなかった。 自分とて若い頃やった馬鹿のお陰で後ろ指を差されたことはあるし、人はそうやって成長していく物だろう、と彼は思っている。 伊達に長生きをしている訳ではない。酔っていたとはいえ、今思い出しても顔を覆いたくなるようなクサいセリフを、髭の生えたオカマに向けて熱弁した事もあった。今思い出しても吐き気がする。 この失敗を生かしたオスマンは、あれ以降、酒は飲んでも正体を失くすほど飲むのを止めた。 アンロックが重大な校則違反になっていても罰則が特に無いのは、「馬鹿をやるのは勝手だが、起こした行動に対する責任は自分で持て」というのを教育する意味もあるのだ。 親しい仲にも礼儀あり。将来は統治者として何百人、何千人という人々の命に関わる決定を下す事もあるだろう。そういう時に配慮に欠ける行動を起こされては洒落にならない。 常日頃から他人の部屋へのアンロックを多用している生徒が泥棒疑惑をかけられ、屈辱的な二つを名を頂戴した後で退学処分にされたという記録は腐るほどある。 もう少し酷いのになると、大量の使用済み下着を知らぬうちに棚に押し込められ、生涯下着泥の変態として扱われることになった生徒とか。 後者は実に羨ましかった。教師に呼ばれて訪れた寮の一室で、下着の山の中でトリップしている姿を見たときは、本気でワシと変われと叫びたくなったものだ。ワシならもっと上手くやるのにと。 当時勤めていた美人教師の物もそこに含まれていると知った時にはすでに遅く、現場検証と称して何枚か貰っておく機会を逸してしまっていた。 しかし……。あの頃は密かに狙っていた彼女も、既に十数年前に流行病で死去した事を思い出してしまった。 かつて親しかった者たちも、今はもう誰も居ない。300年の時は人間が生きるには長すぎたように思われ、オスマンは一瞬だけ足元が崩れていくような不快感を感じた。 ろくな親孝行も出来なかった両親。自分がまだ子供だったころ、彼らがどんな顔で自分を育ててくれたのか、それすら忘れたのはいつ頃だっただろうか。 楽しい記憶はすぐに消えてしまうのに、嫌な記憶ばかりがしつこく脳を埋めている。 「失礼します、オールド・オスマン」 金属の機構が立てるガチャリという音で我に返った。オスマンは背で隠しながら頬を叩くと、皺がよっていた服に張りを与え、コルベールに迫られた件でやや乱れていたローブを整える。 普段どおりの態度を心がけながら、素早く学院長の顔を作った。応接用の机の上に積まれていた未処理の書類を脇にどけ、問題の一行にソファーを勧めながじっくりと観察を開始した。 コルベールの説明では、少女の名前はエルザといったか。見た目は本当に人間そっくりだ。 翼人についてはある程度の知識はあるものの、人間とのハーフが生まれたという記録は見た覚えが無かった。 そもそも亜人と人間というのは基本的に不仲。同じ人間同士でも下らない小競り合いや戦争が六千年も続いているのだから、種族すら違う両者の間に子供が出来た事例など、片手の指で数えられるほどだろう。 軽々と抱き上げる事が出来そうな身の丈は、人間で言えば5歳かそこらに見える。翼人とのハーフである事を考慮しても、10には届いておるまい、と当たりをつけた。 「ふぅむ……。まずは、おかえりと言っておこう。無事に帰ってこれて、なによりじゃった。 君の行動は全て正しかったとは言えんが、讃えられはすれども蔑まれる物では決してない。 我が魔法学校の生徒が、このような行動を取ることができる、真の貴族の精神を持っている事を誇りに思おう。 しかし……、だ。分かっているね? ミス・ヴァリエール」 「……はい、オールド・オスマン」 だが勧められる前に椅子に座らない辺り、ある程度の躾は出来ているらしい。オスマンは密かにエルザを見直した。 タバサとルイズの間に挟まれて座っているエルザは、柔らかすぎるソファーがどうにも慣れないようで、子供らしく何度も座る位置をずらしている。 ルイズの細い腕に体を寄せている様が可愛らしく、もしどうしても引き取り手が見当たらなければ、自分の娘にするのもいいかもしれないとオスマンは唸った。 彼に少女趣味は無いが、子供というのは、何かと手間がかかる頃を過ぎたこの辺りの年齢が最も可愛いものだ。 「あー、だからして、正しい行いとて時には害悪になる事もある。 自分に取れる責任の大きさを把握し、それを逸脱しない範囲で杖の振り方を……」 サイレントによって完全な静寂に包まれている学院長室に、オスマンの低い声だけが響いている。 ルイズは学院長直々のお話だからと酷く真剣に聞き耳を立てているようが、喋っている方は内心でかなり飽きていた。 他人を叱り付けることに優越感や快楽を見出すタイプではないし、またエルザという少女も居るのだから、長々としたお説教は可哀想だ。 下らない事をしでかした生徒に対するならまだしも、ルイズの行いは長らく学院長を務めてきたオスマンをして唸らせる物であったのだから。 しばらく念仏のような小言を吐いていた口を閉じ、オスマンは威厳たっぷりにゴホンと咳をする。 「まあ……こんな所じゃ。授業を抜け出した事については、多めに見ておこう。 彼女の扱いについては、わしに任せてもらいたい。……なに、悪いようにはせんさ」 「ほ、ほんとうですか?! あ、ありがとうござます!」 感激を態度で表すルイズを見て、オスマンは今の選択が間違いではなかったと頷く。 緊張の糸が解けたのか、両手で涙を拭いながらさめざめと泣き出してしまったエルザを、ルイズは妹にでもするようにギュッと抱きしめていた。 壁際では、コルベールが年甲斐も無く潤んでいる。オスマンは中年の涙より、思わず抱擁したくなる美女の涙が見たいと頭の隅で思った。 「ありがとうございます! オールド・オスマン! あと、その……。私の、属性について、なのですが……」 来るべくして来た地雷に、オスマンは短く息を吐いて覚悟を決める。 ここからの対応は極めて重要だ。ミス・ヴァリエールはまだ子供で扱いやすいが、だからこそ敏感だろう。無碍にはできない。 トリスティン魔法学院から虚無のメイジが送り出されれば、この学院の評判は正にハルキゲニアを駆け回る。その過程で、ここに多数の生徒が集まる事は間違いない。 だが道を誤った彼女が魔女のような行いをすれば、在学中の教師陣の無能と合わせ『あろう事か虚無のメイジを歪ませた最悪の無能集団』として、そっくりそのまま裏返った風評により、骨屋台が揺らぐような事態になる恐れもあった。 実際にそうなのだから反論できないのだが、そうなるとオスマンも立場が無くなる。コルベールも顔を上げ、ルイズへ多分の期待と少量の不安が混じった視線を送っていた。 「虚無、かの?」 「……っ! は、はい……。たぶん、そうだと、思うのですが……」 先手を打って切り出したオスマンの言葉に、ルイズはしどろもどろになりながらも答える。 伝説を口に出す愚かさは分かっているようで歯切れは悪いが、座学ではトップを守り続けたルイズの言う事には説得力があった。 翼人と村人の争いが起きた際、通常の水の属性では考えられない治癒を行えた。具体的には、水の秘薬もなしに折れた骨を繋いだというのだ。 日常的にするような軽い怪我ならば、極めて短時間で十分な治療を行える水の系統魔法だが、深い傷になればなるほど難しくなる。 不注意から木から落下して、完全に足が折れ曲がってしまうほど砕けた骨となれば、尖った先端が肉を引き裂くなりしている事は想像がつく。 潤沢な秘薬があればそこらのメイジでも対処可能だが、一滴も無いのではお手上げだ。スクェアでも完治させるのは無理だろう。 「その時は必死で、その……。よく、わからなかったのですけど……」 「凄い力だった。たぶん、スクェアでも足りない」 少々信じがたく脚色を疑いたくなるが、シュヴァリエを持つ少女が言うのであれば、恐らく真実なのだと納得するしかなかった。オスマンは白い髭を摩りながら熟考する。 始祖ブリミルが4つに分けたという虚無のうち、このトリスティンに伝わるのは水の力だ。 今頃はゲルマニアに居るであろう、アンリエッタ姫の指にある大きな宝石のついた指輪、水のルビーがその証である。 虚無に覚醒したミス・ヴァリエールが引き継いでいるのが正にそれであり、伝承に記されているような破壊力は、火を象徴するゲルマニアなどに伝わっている、とすればどうだろうか。 確かに最近の彼女は、一時期からは信じられないほど落ち着いてきている。平民のために杖を振るう行動など、聖母のようだと言って差し支えない。 少々虫が良すぎるかもしれないが、彼女の虚無が癒しを司っている物であれば実にありがたかった。オスマンは喉の奥で小さくため息を漏らす。 虚無で吹き飛ばされる学院が何度か脳裏をよぎっており、必要ならルイズを退学処分なりにして追い出す算段すらつけていたのだ。 「ふむ……、ミスタ・コルベール。例の書物はどこに?」 「あ、それは……。調べ物をしておりましたので、私の部屋にあります。持ってきますので、しばらくお待ちを」 学院長室を去っていくコルベールを視界の端で捕らえながら、オスマンは再びルイズたちを観察する。 ルイズの右手には今もヴィンダールヴのルーンがあり、ぼんやりとおぼろげな光を発していた。 言っても仕方がないことだが、これさえ無ければ信じずとも済んだろうに、と苦々しく思う。ずいぶんと光が薄いように見えるのは、化粧か何かで隠しているのかもしれない。 いくら神聖なルーンとはいえ、うら若き乙女の肌をキズ物にしていることは事実だ。それに失敗の証のように思われていたようだし、隠したくなるのもわかる。 まあ、やたらと見せびらかして欲しい物でも無いので、これは好都合だった。 もしヴィンダールヴのルーンに先にたどりつかれ、やたらに自慢されたら、それこそ大事になっていだろう。アカデミーにでも嗅ぎつけられてしまったら、まともな対応はとれなくなる。 「どうしたの? エルザ」 ルイズを値踏みしていたオスマンが最も小さい少女に視線を戻すと、彼女は縋るような視線をオスマンへと向けている所だった。 すでに彼女は、警戒すべき対象から外れている。それに、危険人物かもしれないという色眼鏡を外してみれば、将来が実に楽しみな美少女である。 上目遣いは天然なのか、大人殺しというヤツだ。実に可愛くて保護欲を誘われる。もう少し年が行っていれば、思わずお尻に手が伸びていたかもしれない。 「あの、ね……。抱っこして、欲しい……んです……。 失礼だとは、分かって、いるんですけど……。その、えっと……」 煩悩を展開するオスマンとは打って変わって、エルザは今にも消え入りそうな声で告白した。 オールド・オスマンの雰囲気が、村人でも唯一理解を示してくれた老人に似ているのだと言う。この前の冬を乗り切れずに亡くなってしまったが、友達の少ないエルザにとって、両親の次に大好きだったと。 涙を拭いながら言い切ったエルザに、先ほどまでの重苦しい沈黙とはまた違った、しんみりした空気が部屋を包んだ。オスマンは馬鹿な事を考えたなと少し後悔する。 「お泣きなさるな、お譲ちゃん……。わしでよければ、いくらでも胸を貸してやるぞい! ま……、本当は、あと10年ぐらいした後の方が、もっといいんじゃがな?」 極めて真面目な表情で言い放たれた戯言は空気を溶かし、少女達の笑い声がクスクスと響いた。 オスマンは己の頭をぴしゃりと叩き、おどけた態度によってさらに笑いを誘う。右腕に握っていた杖を机に置き、嬉しそうに机を回ってきたエルザを抱き寄せる。 ふんわりと甘い香りがオスマンの鼻をくすぐる。何かの香水の匂だろうか、それともこの少女特有の体臭なのか。なんにしろ心地よかった。 しわがれた両腕だが、小さな少女を支える程度の事は難なくこなせる。「お爺ちゃんの香りだ」耳元で囁かれた呟きは嬉しげで、オスマンも孫が出来たようで悪くない、と思った。 短いながらも平穏な時間。これから起こるであろう騒動に頭を抱えなければならないオスマンにとって、午後のひと時のようなこの時間は貴重だと思えた。 「エルザったら……。"見つかったら大変"よ?」 オスマンの腕の中でエルザがぴくりと動いた。 怖い大人でも思い出してしまったのか、オスマンの老いてはいるが枯れてはいない体に力強く抱きついている。 首筋にかかる温かな息遣いと高い体温が、命を抱いているという感覚を伝えてきた。今となっては既に遅いが、息子や娘が居ればこういうものなのだろう。 「ところで、オールド・オスマン……?」 ルイズの呼びかけに応えるべく、オスマンは抱きしめているエルザの体から視線を持ち上げた。 「なゃんじゃね、ミス……」 その瞬間、彼の首筋に鋭い痛みが走る。同時に何かを吸い取られていくような虚脱感が全身を駆け抜けた。 「なっ?! ま、まさか……!」 緩んでいた思考に警告の火花が飛び散る。長年かけて培ってきた感性が、極めて重大な緊急事態だと告げている。 反射的に杖を取ろうとしたオスマンだったが、彼の武器である重厚な黒い杖の上には、いつの間にかルイズの靴と足が乗っていた。 あの杖で魔法を使おうとするなら、少女の体重を片手で跳ね飛ばす必要があった。若い頃ならいざ知れず、今のオスマンにそれは無理だ。 後ろ手にはタバサの首を鷲掴みにしており、ルイズが少しでも力を加えた場合、彼の大切な生徒の一人が手遅れになるまで破壊される事は明白だった。 オスマンは左手を伸ばして懐に隠してある予備の杖を握ろうとしたが、あまりにも状況が悪すぎる。 おそらくミス・ヴァリエールをグールに変えたであろう吸血鬼を叩こうにも、距離が近すぎて、とっさの魔法ではどこに暴発するか理解の外だ。 守るべきは老い先短い自分か、それとも将来有望な生徒か。 その一瞬の躊躇が致命的となった。 伸びてきたルイズの腕によってエルザごと突き飛ばされ、半端に立ち上がりかけた体勢からソファーへと押し戻される。鈍痛が肩を叩く。 視界は急速にぼやけ始めており、助けを呼ぼうとこじ開けた口からは空気しか洩れない。窮地を抜け出す奇策が必要だというのに、思考はどんどんと散漫になっていく。 「ヴァ……、リエー……ル」 全身を耐え難い寒気が襲い、オスマンは小さく震えながら、その長い生涯を終えた。 #navi(虚無の闇)

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