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異世界BASARA-15 - (2008/02/28 (木) 23:26:09) の1つ前との変更点
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「ひょわあぁー!持病の腰痛じゃあぁぁ!!!!」
夜、ほとんどの学院の生徒は夕食も終わって部屋に戻っていた。
グルルウウゥゥゥゥ…
と、誰もいない筈の廊下から、唸り声のような音が聞こえてくる。
「…くっ、空腹がこれ程辛いものとは…」
音の根源は真田幸村の腹からだった。
昼間のルイズの言葉通り、彼は昼食を食べる事が出来なかったのである。
さらに夜になってもルイズの許しは出ず、夕食にも有り付けなかったのだ。
グウウゥゥゥゥ~
苦しんでいる幸村へ追い討ちを掛けるようにもう一度腹が鳴った。
「い、今なら前田殿の気持ちが分かりそうな気がするぞ…」
「あの、ユキムラさん…大丈夫ですか?」
そんな幸村を心配したのか、シエスタがやって来た。
「シ、シエスタ殿か……何の、断食もまた鍛錬の1つと思えば…」
グギュルルル…
「…ユ、ユキムラさん…」
「…面目ござらん…」
「あの、今から厨房に来られますか?」
気の毒に思ったシエスタは、ここである事を切り出した。
幸村は今だ鳴り続ける腹を押さえ、シエスタに連れられて厨房へやって来た。
厨房に入ると、そこで働く給仕達が幸村を待っていた。
「よぉ!来てくれたか!!」
その中で貫禄のある男が幸村に声を掛ける。
ここを任されているコック長、マルトーである。
「シエスタから聞いたぞ、何でも御主人様に飯抜きにされたそうじゃねえか!」
そう言いながら豪快に笑う。
「な…何、武士は食わねど高楊枝、これしきの苦しみ耐えなければ…」
幸村のその言葉にマルトーはほう…と感心したような声を上げる。が……
グギュウウウウルル…
「だはは!腹の虫は正直みたいだな!よし、ちょっとそこに座って待ってな」
その音を聞き、マルトーは幸村をテーブルに座らせて皿を置いた。
皿の中には肉や野菜がたっぷりと入ったシチューが入っている。おそらく余った材料で作ったのだろう。
「こんなまかない料理しか出せないけどよ、食っていってくれ!」
「し、しかしルイズ殿は…」
「へっ、我侭な御主人様の事なんか気にすんなって。それによ…腹が減っては戦は出来ねぇって言うだろ?大事な時に倒れたらそれこそ恩を仇で返すようなもんじゃねえか」
確かにマルトーの言う事に一理ある。この状態で敵襲に遭っていたら本来の力を出せないかもしれない。
何より、自分の為に彼が用意してくれた料理を断るのが申し訳なかった。
「…かたじけない、有り難く頂戴いたす」
マルトーの作ったシチューは格別に美味かった。
思えば、この世界に来て初めてまともな食事に有り付いた気がする。幸村はすぐに平らげてしまった。
「馳走になった!そなたの作った飯は実に美味でござるな!」
「嬉しい事言ってくれるじゃねえか、腹が減ったらまた来な!我らの剣!」
「我らの…剣?」
「そうだ!お前さんは平民なのにいけ好かない貴族をぶっ倒してくれた。俺達の誇りだぜ!」
どうやらギーシュとの一件が学院に広まり、働く給仕達の耳にも入ったようだ。
「いや、拙者はまだまだ未熟者…ルイズ殿の役に立つにはもっと己を磨かねばならぬ」
「聞いたか!真の英雄ってのはこういう風に慢心しねぇ奴の事を言うんだ!お前達も見習えよ!」
「すまぬなシエスタ殿、そなたにも礼を言っておく」
食べ終えた幸村はシエスタにも頭を下げる。
「い、いえお礼だなんて!また来て下さい、皆待っていますから」
「…時に、シエスタ殿に頼みがあるのだがよいか?」
その頃、主人のルイズは学院中を歩き回っていた。
「まったく…主人の側から離れて何処ほっつき歩いているのかしら…」
幸村がシエスタに連れられて行ったその後、ルイズはそろそろ許してやろうと思い立ったのだ。
ところが廊下を見てみれば使い魔の姿が見当たらない。
そして今、幸村を探し歩いているという訳である。
「ではユキムラさん、準備はいいですか?」
「う、うむ!何分手慣れてない故、どうか頼む」
と、何処からか幸村と女の声が聞こえてくる。
「ユキムラ?何やってるのかしら…」
気になったルイズは声のする方へと足を運ぶ。近づくにつれて話し声もはっきり聞こえてくるようになる。
「よし!いざ参る!うおりゃぁ!」
「きゃ!ユ、ユキムラさん…もっと力を抜いて…」
「す、すまぬ…中々難しいものだな…」
「そう…いいですよ、そうやって優しく…」
「おお…よい感じでござるか?」
「はい。あ…もっと入れても大丈夫です…」
「承知いたした!どりゃああぁぁー!!」
「きゃあ!ダ、ダメ!強過ぎですー!!」
「な、なななななななななな!?!?」
やり取りを物陰から聞いていたルイズの顔は真っ赤になっていく。
「あ、あ、あいつったらこここ、こんな所で一体ナニを…!!」
聞いてられなくなったルイズは思わず飛び出してしまった。
「何してるのこのバカムラアァァァーー!!!」
「ミ、ミス・ヴァリエール!?」
「うわあルイズ殿!?こ、これはその…!」
突然現れたルイズに2人は驚いて声を上げる。
「…………は?」
ところがルイズの方はというと、呆気に取られていた。
2人の足元にあるのは水の入った洗濯桶。
そしてその中にある服…よく見ると自分のものである。
「洗濯……していただけ?」
「申し訳ありませぬ!自分でするなという禁を破ってしまい申し訳ありませぬうぅ!」
「あ、あの…ユキムラさんにどうやったら上手く出来るか教えて欲しいと言われまして…」
要するにこういう事だ。
幸村はただ洗濯の仕方をシエスタから教えて貰っていただけで、「強過ぎ」というのは手に力を込め過ぎている事だったのだ。
自分の完全な誤解だった事が分かり、体から怒りが抜けていくのをルイズは感じた。
「ルイズ殿?いかがなされた?」
黙っているルイズが気になり、幸村は声を掛ける。
「…へ、部屋に戻るわ。あんたも来なさい」
「は、ははっ!」
#navi(異世界BASARA)
「ひょわあぁー!持病の腰痛じゃあぁぁ!!!!」
夜、ほとんどの学院の生徒は夕食も終わって部屋に戻っていた。
グルルウウゥゥゥゥ…
と、誰もいない筈の廊下から、唸り声のような音が聞こえてくる。
「…くっ、空腹がこれ程辛いものとは…」
音の根源は真田幸村の腹からだった。
昼間のルイズの言葉通り、彼は昼食を食べる事が出来なかったのである。
さらに夜になってもルイズの許しは出ず、夕食にも有り付けなかったのだ。
グウウゥゥゥゥ~
苦しんでいる幸村へ追い討ちを掛けるようにもう一度腹が鳴った。
「い、今なら前田殿の気持ちが分かりそうな気がするぞ…」
「あの、ユキムラさん…大丈夫ですか?」
そんな幸村を心配したのか、シエスタがやって来た。
「シ、シエスタ殿か……何の、断食もまた鍛錬の1つと思えば…」
グギュルルル…
「…ユ、ユキムラさん…」
「…面目ござらん…」
「あの、今から厨房に来られますか?」
気の毒に思ったシエスタは、ここである事を切り出した。
幸村は今だ鳴り続ける腹を押さえ、シエスタに連れられて厨房へやって来た。
厨房に入ると、そこで働く給仕達が幸村を待っていた。
「よぉ!来てくれたか!!」
その中で貫禄のある男が幸村に声を掛ける。
ここを任されているコック長、マルトーである。
「シエスタから聞いたぞ、何でも御主人様に飯抜きにされたそうじゃねえか!」
そう言いながら豪快に笑う。
「な…何、武士は食わねど高楊枝、これしきの苦しみ耐えなければ…」
幸村のその言葉にマルトーはほう…と感心したような声を上げる。が……
グギュウウウウルル…
「だはは!腹の虫は正直みたいだな!よし、ちょっとそこに座って待ってな」
その音を聞き、マルトーは幸村をテーブルに座らせて皿を置いた。
皿の中には肉や野菜がたっぷりと入ったシチューが入っている。おそらく余った材料で作ったのだろう。
「こんなまかない料理しか出せないけどよ、食っていってくれ!」
「し、しかしルイズ殿は…」
「へっ、我侭な御主人様の事なんか気にすんなって。それによ…腹が減っては戦は出来ねぇって言うだろ?大事な時に倒れたらそれこそ恩を仇で返すようなもんじゃねえか」
確かにマルトーの言う事に一理ある。この状態で敵襲に遭っていたら本来の力を出せないかもしれない。
何より、自分の為に彼が用意してくれた料理を断るのが申し訳なかった。
「…かたじけない、有り難く頂戴いたす」
マルトーの作ったシチューは格別に美味かった。
思えば、この世界に来て初めてまともな食事に有り付いた気がする。幸村はすぐに平らげてしまった。
「馳走になった!そなたの作った飯は実に美味でござるな!」
「嬉しい事言ってくれるじゃねえか、腹が減ったらまた来な!我らの剣!」
「我らの…剣?」
「そうだ!お前さんは平民なのにいけ好かない貴族をぶっ倒してくれた。俺達の誇りだぜ!」
どうやらギーシュとの一件が学院に広まり、働く給仕達の耳にも入ったようだ。
「いや、拙者はまだまだ未熟者…ルイズ殿の役に立つにはもっと己を磨かねばならぬ」
「聞いたか!真の英雄ってのはこういう風に慢心しねぇ奴の事を言うんだ!お前達も見習えよ!」
「すまぬなシエスタ殿、そなたにも礼を言っておく」
食べ終えた幸村はシエスタにも頭を下げる。
「い、いえお礼だなんて!また来て下さい、皆待っていますから」
「…時に、シエスタ殿に頼みがあるのだがよいか?」
その頃、主人のルイズは学院中を歩き回っていた。
「まったく…主人の側から離れて何処ほっつき歩いているのかしら…」
幸村がシエスタに連れられて行ったその後、ルイズはそろそろ許してやろうと思い立ったのだ。
ところが廊下を見てみれば使い魔の姿が見当たらない。
そして今、幸村を探し歩いているという訳である。
「ではユキムラさん、準備はいいですか?」
「う、うむ!何分手慣れてない故、どうか頼む」
と、何処からか幸村と女の声が聞こえてくる。
「ユキムラ?何やってるのかしら…」
気になったルイズは声のする方へと足を運ぶ。近づくにつれて話し声もはっきり聞こえてくるようになる。
「よし!いざ参る!うおりゃぁ!」
「きゃ!ユ、ユキムラさん…もっと力を抜いて…」
「す、すまぬ…中々難しいものだな…」
「そう…いいですよ、そうやって優しく…」
「おお…よい感じでござるか?」
「はい。あ…もっと入れても大丈夫です…」
「承知いたした!どりゃああぁぁー!!」
「きゃあ!ダ、ダメ!強過ぎですー!!」
「な、なななななななななな!?!?」
やり取りを物陰から聞いていたルイズの顔は真っ赤になっていく。
「あ、あ、あいつったらこここ、こんな所で一体ナニを…!!」
聞いてられなくなったルイズは思わず飛び出してしまった。
「何してるのこのバカムラアァァァーー!!!」
「ミ、ミス・ヴァリエール!?」
「うわあルイズ殿!?こ、これはその…!」
突然現れたルイズに2人は驚いて声を上げる。
「…………は?」
ところがルイズの方はというと、呆気に取られていた。
2人の足元にあるのは水の入った洗濯桶。
そしてその中にある服…よく見ると自分のものである。
「洗濯……していただけ?」
「申し訳ありませぬ!自分でするなという禁を破ってしまい申し訳ありませぬうぅ!」
「あ、あの…ユキムラさんにどうやったら上手く出来るか教えて欲しいと言われまして…」
要するにこういう事だ。
幸村はただ洗濯の仕方をシエスタから教えて貰っていただけで、「強過ぎ」というのは手に力を込め過ぎている事だったのだ。
自分の完全な誤解だった事が分かり、体から怒りが抜けていくのをルイズは感じた。
「ルイズ殿?いかがなされた?」
黙っているルイズが気になり、幸村は声を掛ける。
「…へ、部屋に戻るわ。あんたも来なさい」
「は、ははっ!」
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