追いかけたらトリスタニア
ギーシュは少し困っていた。
モンモランシーと一緒に店に入ったら、ルイズと修太が見たこともない大男と親しげに話していたから。
モンモランシーと一緒に店に入ったら、ルイズと修太が見たこともない大男と親しげに話していたから。
「あら、ギーシュとモンモランシーじゃない」
「やあ、ルイズ、シュータ。その人は、誰だい?」
「この人? オーゾラ・シズカっていって、シュータと同郷よ」
「よろしくな」
「やあ、ルイズ、シュータ。その人は、誰だい?」
「この人? オーゾラ・シズカっていって、シュータと同郷よ」
「よろしくな」
ルイズは、ギーシュとモンモランシーに大空を紹介した。
修太の服装を見たモンモランシーは、眉をひそめてこう言った。
修太の服装を見たモンモランシーは、眉をひそめてこう言った。
「ルイズ、この子、男の子でしょ」
「そうよ。れっきとした男の娘よ、シュータは」
「そうよ。れっきとした男の娘よ、シュータは」
キッパリと言い切るルイズ。
どうあってもスカートをはかせる気のルイズを尻目に、修太は自分で服を見繕うことにした。
去年より性質が悪くなっている。
ギーシュは心の中でルイズをそう評した。
流石に不憫に思ったのか、ギーシュが修太に話しかける。
どうあってもスカートをはかせる気のルイズを尻目に、修太は自分で服を見繕うことにした。
去年より性質が悪くなっている。
ギーシュは心の中でルイズをそう評した。
流石に不憫に思ったのか、ギーシュが修太に話しかける。
「君も大変だな」
「うん。結構苦労してるよ」
「うん。結構苦労してるよ」
結局、修太は自分に合う子供服を見繕ったが、ルイズは「お仕置き用」の名目で、ヤバイ下着や服などもゴリ押しで買おうとしたところ、後ろから声が聞こえた。
「甘い甘い。目の付け所はいいけど、選り好みしすぎよ」
ルイズが振り返ると、そこにはキュルケとタバサがいた。
ルイズはファイティングポーズをとり、修太は両手の人差し指を向けて臨戦態勢に入る。
それを見たタバサが割って入った。
ルイズはファイティングポーズをとり、修太は両手の人差し指を向けて臨戦態勢に入る。
それを見たタバサが割って入った。
「大丈夫。今日は襲うつもりは無いみたい」
この一言に安心したのか、二人とも臨戦態勢を解除した。
かくして、キュルケの助言によりお仕置き用のヤバイ服と下着の購入数は一気に増えることとなる。
お仕置き用のやつを、こっそり焼却処分したくなった修太であった。
かくして、キュルケの助言によりお仕置き用のヤバイ服と下着の購入数は一気に増えることとなる。
お仕置き用のやつを、こっそり焼却処分したくなった修太であった。
昼飯時。
ルイズの馴染みの店で、みんなは昼食としゃれ込んだ。
無論、シュータはルイズの隣に座らされたが、彼の隣にキュルケが座ろうとしたため、ルイズがまた吼えた。
ルイズの馴染みの店で、みんなは昼食としゃれ込んだ。
無論、シュータはルイズの隣に座らされたが、彼の隣にキュルケが座ろうとしたため、ルイズがまた吼えた。
「ちょっと、何シュータのとなりに座ろうとしてんのよ!」
「別にいいでしょ! 減るもんじゃあるまいし」
「うるさい! 黙れ!! シュータに近づくんじゃねえよ!!!」
「別にいいでしょ! 減るもんじゃあるまいし」
「うるさい! 黙れ!! シュータに近づくんじゃねえよ!!!」
ケンカするほど仲がいいというやつであろうか。
もっとも、それを言った瞬間、公衆の面前であのお仕置き用のヒモパンを履かされかねないので、シュータは黙ることにした。
修太が心の中で呆れ果てているところに、大空が話しかけてきた。
もっとも、それを言った瞬間、公衆の面前であのお仕置き用のヒモパンを履かされかねないので、シュータは黙ることにした。
修太が心の中で呆れ果てているところに、大空が話しかけてきた。
(二人とも、醜い……)
「チビ」
「何?」
「マチルダ、って女、知らねえか? 緑色の長髪で、メガネかけてるんだが」
「知らないよ」
「チビ」
「何?」
「マチルダ、って女、知らねえか? 緑色の長髪で、メガネかけてるんだが」
「知らないよ」
あっさり即答する修太。
しかし、それを聞いたモンモランシーが割って入った。
しかし、それを聞いたモンモランシーが割って入った。
「私知ってるわ。名前は違うけど、今聞いた特徴に一致する人」
「本当か?」
「その人、ロングビルって名前だけど……」
「たぶん偽名だな。そいつ、何処にいるんだ?」
「本当か?」
「その人、ロングビルって名前だけど……」
「たぶん偽名だな。そいつ、何処にいるんだ?」
藁にも縋る思いで質問する大空。
モンモランシーは大空のあまりの必死さに引きながらも、答える。
モンモランシーは大空のあまりの必死さに引きながらも、答える。
「トリステイン魔法学院で、学院長の秘書をやってるわよ」
「そうか……。あいつ、真っ当に働いてるのか」
「そうか……。あいつ、真っ当に働いてるのか」
自分の予感が外れた思い、胸をなでおろす大空。
しかし、予感は残念ながら当たっていることを、彼は数日後に痛感することとなる。
しかし、予感は残念ながら当たっていることを、彼は数日後に痛感することとなる。
すったもんだの末に昼食を終え、ルイズたちは気ままに買い物を楽しむことにした。
タバサは本を漁りに、ギーシュとモンモランシーは宝石店に、ルイズとキュルケはまた口論、大空はドサクサに紛れて修太と一緒にチクトンネ街へ。
いつの間にか修太がいなくなったことに気付いた二人が慌てるのは数十秒後。
タバサは本を漁りに、ギーシュとモンモランシーは宝石店に、ルイズとキュルケはまた口論、大空はドサクサに紛れて修太と一緒にチクトンネ街へ。
いつの間にか修太がいなくなったことに気付いた二人が慌てるのは数十秒後。
大空と修太は、武器屋に入った。
なんとも怪しげな雰囲気。
店主も怪しげであった。
なんとも怪しげな雰囲気。
店主も怪しげであった。
「いらっしゃいまし、何をお求めで?」
「そろそろ素手じゃきつくなってきたんで、剣を買おうかと思ってな」
「そろそろ素手じゃきつくなってきたんで、剣を買おうかと思ってな」
大空と店主が話す間、暇なので修太は店内の武器を見て回った。
あれこれ眺めているうちに、明らかに安物ばっかりが入れられているカゴが目に入る。
それに近づいた瞬間……。
あれこれ眺めているうちに、明らかに安物ばっかりが入れられているカゴが目に入る。
それに近づいた瞬間……。
「うわ、コラ、テメエ近づくな!!」
突然聞こえてきた怒声に、修太だけでなく大空も驚く。
その声は、明らかにカゴの方から発せられていた。
気になった大空は、その内の一本を手に取る。
結果は、大当たり。
その声は、明らかにカゴの方から発せられていた。
気になった大空は、その内の一本を手に取る。
結果は、大当たり。
「お前、使い手か!」
「……何だ、それ?」
「……何だ、それ?」
数時間後、学院の広場。
ロングビルことフーケは、屋外から下見をしていた。
ロングビルことフーケは、屋外から下見をしていた。
「固定化がかかってるから、錬金は無駄っぽいね……。ん?」
何となく視線を別のところに移すと、学院に戻ってきたルイズたちが目に入る
一行の中に、思いっきり見慣れたのがいた。
一行の中に、思いっきり見慣れたのがいた。
(な、何でオーゾラがいるんだよ!)
パニックになるロングビル。
しかし、そんなことは露知らず、彼女の姿を確認した大空が話しかけてきた。
ロングビルは他人のフリを決め込もうとしたが……。
しかし、そんなことは露知らず、彼女の姿を確認した大空が話しかけてきた。
ロングビルは他人のフリを決め込もうとしたが……。
「おい、おマチ」
「おマチゆーな!!」
「おマチゆーな!!」
……大空の作戦にあっさり引っ掛かってしまった。
(ぎゃあああああああ! 思わず返事しちゃったー!!)
在りし日の思いでヒラリ。
けれど父も、彼が尽くした大公家も、もうない。
真夜中、土くれが虚無の使い魔二人に挑む。
次回、「あの頃…」
離れていても、分かれていても、まぶたと心の内に強く焼きついている。
この世の光と共に眩しく、あの日のティファニアが。
けれど父も、彼が尽くした大公家も、もうない。
真夜中、土くれが虚無の使い魔二人に挑む。
次回、「あの頃…」
離れていても、分かれていても、まぶたと心の内に強く焼きついている。
この世の光と共に眩しく、あの日のティファニアが。