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  • あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ
  • 機械仕掛けの使い魔-第17話

あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

機械仕掛けの使い魔-第17話

最終更新:2012年02月08日 20:34

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機械仕掛けの使い魔 第17話


 主賓出迎えが一部を除いて滞りなく済み、夕食も終えて部屋へと戻ったルイズ、クロ、ミーのトリオ。しかしルイズは、心ここにあらず、と言った様子だ。
食事の際も時折どころか、クロやミーが気付いたらどこか明後日の方を向いており、その度に赤面しては頭をブンブンと振って食事に向き直る。
明らかに異常だが、そんなルイズを心配するミーとは対照的に、クロは終始言葉を発さず、ニヤニヤと笑っていた。

 異常は部屋に戻ってからも続いており、早々に寝巻きに着替えたルイズはベッドに身体を投げ出すと、相変わらず奇妙な行動を繰り返していた。
むしろ、自室というプライベートな空間だからか、手足をバタバタさせたり、枕に顔をグリグリしたりと、悪化しているようだ。
「さっきからどーしたんだよ、ルイズよぉ?」
 食堂から、と言うより出迎えを終えたルイズと合流した辺りからずっとニヤニヤ顔のクロが尋ねた。その言葉に溢れ出る、生暖かいニュアンスをはっきりと感じ取ったルイズは、身体をビクリと跳ねさせた。
「なっ!? なななな何でもないのよぉ、クロ!?」
返事には変に力がこもっていた。これでは誰にでも、“何かある”と一発で看過されてしまう。無論、クロはそれを見逃すような甘い性格ではない。
「オメーよ、さっきのお偉いさん出迎えの最中から、ずーっとそんな調子じゃねーか。どーしたってんだぁ?」
明らかにルイズの異常の原因を知っているかのような態度。しかしルイズ、それでも悪あがきを止めない。
「なな何でもないって、いいい言ってるじゃないの!」
妙に頑固であった。

 なかなか口を割らないルイズ。そんな彼女へ、とうとうクロが決定打を叩き込んだ。
「オメー、今日来た連中の中に、好きなヤツがいたんだろ? それか、連中の誰かに一目惚れ、か」
意外と簡単な言葉である。しかし当のルイズは、みるみる顔が真っ赤に染まり、頭頂部から煙を噴き出し始めた。
「ちょっ!? る、ルイズちゃんがオーバーヒートしてる!?」
 その様子に慌てたミーが、鏡台の傍に置いてあった洗顔用の桶を手に取った。
中に水でも入っていれば、それをルイズの顔面辺りにぶっかけたのだろうが、あいにくと桶の中は空っぽである。微妙にパニックを起こしているのか、ミーは結局、空っぽの桶片手にオロオロとするだけだった。

「ホンット、解りやすいヤツだなー…」
 これほど効果があると思っていなかったクロも、呆れたような感心したような微妙な顔でルイズの変化を観察していた。まさかここまであからさまな反応を示すとは。
「あ、ああああアンタ、ななな何で知ってるのよッ!?!?」
顔面ヒートアップ状態のルイズが、クロに詰め寄った。しかしクロは表情をまたニヤニヤ笑顔に戻し、飄々と答える。
「今さっき言ったじゃねーか、オメーは解りやすいって」
「あっ…アンタ、あの時私の近くにいなかったじゃないの!」
「見えちまったモンはしょーがねーだろぉ?」
 ズーム機能の事は隠したまま、鼻をほじるクロ。あくまでも挑発的な態度を崩さないクロに、ルイズはプルプルと震えた。もちろん、怒りで。

 ルイズが動いた。アメフト選手もかくやというタックルを、クロにブチかましたのだ。
「ぐえっ!?」
「あ、ああああアンタ、絶対に、決して、特にキュルケには言っちゃダメだからね!? 言ったらアンタ、ばっ、ばば、ばばば爆破するわよ!?」
そのままクロの身体を前後に激しくゆするルイズ。これでは昼間のミーと同じだ。ただ違う点と言えば…
「刺さってる刺さってる刺さってる」
「痛そー…」
…ルイズのタックルによって腕ごと指が突き上げられ、爪が深々と鼻に刺さっている点だろう。
昼間に完全放置されたお返しとばかりに、ミーは傍観者に徹していたが、それでも鼻の穴に刺さったサイボーグキャットの鋭い爪を見て、同情的な言葉を呟かずにはいられなかった。

「まーとりあえず、話してみろや。今更隠せるなんて、思っちゃいねーよな?」
 鼻に丸めたティッシュを突っ込みながら、憮然とした顔でイスに座るルイズを促すクロ。ティッシュの入手先は、気にしてはいけない。
「べ、別に…大した事じゃないわよ。たたただ、私の好みな人がいただけで…」
派手にどもりながら、目が忙しなく宙を泳ぐルイズ。またしてもモロバレである。
「へーえ、ふーん、そーか、一目惚れかぁ」
そして余裕でそれを看破したクロ。テーブルの上に立ち、腕を組んでルイズを見下ろす。言わずもがな、顔は邪悪な笑みを浮かべている。見上げたルイズは、その笑顔に恐怖を覚えた。
「…いいいい言っとくけど、私は嘘なんてついてないからねっ!?」

「ま、言わねーんなら、オイラはそれでいいんだけどよ」
 思いの外、追撃が来なかった事にルイズは安堵した。ほっと胸を撫で下ろす。しかし、いつもの顔に戻ってから机から飛び降りたクロが再びルイズに向き直ると、
「…その様子じゃ、いつボロが出るかなー…?」「っ!?」
またしても悪魔の笑顔が顔を出した。固まるルイズ。最早、迂闊に顔に出すのはご法度と言えよう。顔に出やすいルイズにとっては、非常に難しい問題となった。

 ガタガタと震えていたルイズだが、ここで思わぬ助け舟が現れた。
コン  コン
部屋の扉が、少々長い間隔で2回、ノックされた。そして一拍置き、今度は短い間隔で3回。瞬間、弾かれたようにルイズが駆け出し、部屋のドアを開けた。
「ンあ、こんな時間に客か?」
「お茶淹れて来ようか?」
ポリポリと頭を掻くクロと、テーブル上のティーポットを手に取るミー。しかし、ルイズの脇をすり抜けて部屋に入り、後ろ手に扉を閉めた来客に、2匹は身構えた。
 純白のドレスを身に纏った来客は、フードを目深に被っていた。表情どころか、顔つきすらも窺えない。しかも片手には、見方によってはフランジ付きのメイスにも見える、水晶を埋め込んだ銀色の杖。
 クロとミーの総評…怪しい。あからさまに怪し過ぎる。
 身なりや所作には気品を感じるが、魔法が大きな力を持つこのハルケギニアで杖片手に入室とは、普通ではない。腹部ハッチを開き、クロはデルフの、ミーはなんでも斬れる剣の柄を握る。そこでルイズが、2匹を制した。
「やめなさい、クロ、ミー。この方は…」

 そこまで言ったところで、客人が空いている手の人差し指を唇に当てた。静かに、のジェスチャーだ。そして杖を軽く振り、周囲を見回す。
「『ディテクト・マジック』…ですか?」
「えぇ、どこに目や耳があるか、解りませんから…」
やや間を置いて、客人は一息つくと、杖をしまいフードを取り払った。
「やはり…姫さま!」
「お久しぶりね…ルイズ・フランソワーズ」
気品を感じるはずである。客人とは、昼に学院を訪れたトリステイン王国の主賓、すなわちアンリエッタ・ド・トリステイン姫だったのだ。
ルイズは彼女の顔を認めた瞬間、その場に膝をついて頭を垂れた。相手は王国の姫君なのだ、当然ではある。だがアンリエッタはルイズに抱きつき、喜びを示した。

 アンリエッタは旧知の友との再会を喜んでいるようだが、ルイズはと言えば、困惑が見て取れた。明らかに動揺している。
「い、いけませんわ姫さま。このような場所へお越しになるなど…」
「あぁ、ルイズ! ルイズ・フランソワーズ! そんな他人行儀はやめてちょうだい! わたくしたちはお友達じゃないの!」
何と言うか、テンションが天と地ほども差がある。ルイズは努めて冷静に振舞おうとしているが、対するアンリエッタは感情の歯止めが利かないかのように、ルイズとの友情や昔話を喋り続ける。
 どうやら話の内容から察するに、ルイズとアンリエッタは子供の頃から、少なからず親交があったようだ。

 そしてしばしの時が経ち、ようやく話が一区切りついたようだ。感極まって目尻から流れ落ちたのか、アンリエッタはこれまた純白のハンカチを取り出し、涙を拭った。
「ちったぁ落ち着いたか?」
思い出話の間、完全に蚊帳の外だったクロが、ようやく口を挟んだ。
「あら、可愛らしい黒猫ね。この猫ちゃんが、ルイズの使い魔なのかしら?」
「可愛らしいかは置いといて…色んな意味で。このクロと、隣にいるミーが、私の使い魔です」
ルイズの紹介に少々不満げなクロと、アンリエッタにペコリとお辞儀するミー。相変わらず対照的だ。
「まぁ…ではルイズ、あなたは使い魔を2匹も喚び出したの!? 昔から変わってはいたけれど、相変わらずなのね…」
「召喚したのは、一応クロだけなんですけどね…」
ミーは全くの別手段でハルケギニアにやって来たのだが、恐らく説明したところで、アンリエッタが理解出来るとは思えない。
と言うよりまず、ルイズ自体が詳細な部分を把握し切れていない。

 来客の素性が知れ、ようやく落ち着いたところで、ミーが再度ティーポットを取り、部屋を出た。『闖入者』ではなく『お客様』であれば、やはりお茶の1つも出すのが礼儀というものである。
「んで、そのお姫様が、こんなトコに何の用なんだ?」
「クロ、姫さまの御前よ!? 少しは礼儀ってのを…」
「いえ、いいのですルイズ。人間には人間の、猫には猫のルールがあるのですから」
慇懃無礼な態度のクロを叱りつけようとするルイズだったが、アンリエッタに止められた。それに気をよくしたクロは、さらに態度を崩す。
「その様子じゃ、ワケありっぽいけどよ」
 クロの指摘通り、顔を隠して寮塔に侵入し、目的地であるルイズの部屋に入った途端、『ディテクト・マジック』で周囲を走査すると言うのは、あまり穏やかには見えない。
旧知の友人同士の会話なら、聞き耳を立てられたところで、お忍びの外出の件を含めて後で少々のお叱りを受ければ、済むはずである。
 ふぅ、とアンリエッタは溜息をつき、ゆっくりと話した。

「わたくしは…ゲルマニアに嫁ぐ事になりました」
「ゲルマニアって…あの野蛮人の国に、ですか!?」
 ゲルマニアと言えば、ルイズの宿敵・キュルケの故郷である。先祖の代からツェルプストー家と因縁浅からぬ関係であるヴァリエール家息女としては、黙ってはいられない。
「ルイズ、アルビオンの状況は知っていますか?」
「え、えぇ…。王党派と貴族派に分かれて激しい紛争状態にあって、戦局は貴族派に大きく傾いている、とか…」
 ここでもアルビオンの話題か、と感じたのは、ルイズもクロも同じだった。つい先日、アルビオン出身の元貴族、ロングビルの一件があったばかりなのだ。

「貴族派の勝利は、最早決定的と言ってもいいでしょう。ではその後、彼らはどのような行動に出ると考えられますか?」
「うーん…」
 政治にも軍事にもあまり明るくないルイズは、考え込んだ。こう聞かれると、貴族派がアルビオンを制圧して、「はい満足しました!」と宣言するとも思えない。
「アルビオンに最も近いのは、我々の国、トリステインです。となれば、貴族派がアルビオンを制圧した場合、次に狙われるのは…」
「…では、ゲルマニアと同盟を結んで、貴族派の侵攻を抑止する、と?」
ルイズの答えに、アンリエッタはコクリと頷いた。所謂、政略結婚である。

 何か言いたげなルイズへ、アンリエッタは自嘲気味に笑った。
「よいのです。元より王族として生まれた以上、普通の恋愛や結婚は出来ない、と覚悟していました」
そんなアンリエッタを、耳をほじりながら見つめるクロ。こちらも何か言いたげである。しかし何かしら思うところがあるのか、口を閉ざしたままだ。
「しかし…ゲルマニアへ嫁ぐにあたり、1つ問題があるのです」
そら来た。爪の先に付いた耳クソを弾き飛ばし、クロは心中で肩を竦めた。結婚が決まっただけで、わざわざアレだけ用心してルイズの部屋を訪れるとは思えなかったのだ。
「私で力になれる事でしたら、どうぞお話し下さい!」
そしてルイズは、政略結婚を強いられた形になるアンリエッタへ同情し、やけにやる気を見せている。
「こりゃ、メンドくせー事になりそうだぜ…」
「でも、ちったぁワクワクしてんだろ?」「うるせっての」
溜息混じりに呟いたクロへ茶々を入れたデルフ。しかし否定しない辺り、やはり心躍っているのだろう。何か楽しい事になりそうだ、と。

 アンリエッタの話した内容は、こうである。
 アルビオン皇太子、ウェールズ・テューダー宛に昔送った手紙が、ゲルマニアとの婚姻において障害となる可能性が高い。
もしこの手紙が貴族派の手に渡れば、今回の婚儀は全て御破算となってしまう。しかしその手紙を回収しようにも、城内には彼女が心から信頼できる者が1人もいない。
その為、昔からの親友であるルイズに、手紙の回収を頼みたい。
無論、ここで話した件は他言無用である。
と、こういう事であった。
「つまりアレか、姫さん。今この瞬間にもドンパチやってるアルビオンって国に行って、紙切れ一枚を取って来い、ってか?」
「あぁ! わたくしはなんと罪な女なのでしょう! わたくしの過去の清算の為に、親友のルイズを危険な地に赴かせようなどと!」
クロが要約すると、アンリエッタは両手で顔を覆って泣き崩れた。
「って、おーい…」
いきなり泣かれてはどうしようもない。反応に困り、クロは頬をポリポリと掻くしかなかった。

「泣いてちゃ話になんねーんだけどよ…ん?」
「あぁ、おいたわしい姫さま……………ん?」
 不意に、ドアの向こうで物音がした。ドアへ素早く身体を向けるルイズとクロ。両者の手には――それぞれ改造拳銃とガトリング砲が。
 瞬間、強烈な爆音と爆風。
「ひぃッ!?」
何が起きたのか解らぬまま、アンリエッタは泣くのも忘れて耳を塞ぎ、手近にあったベッドの裏側に身を隠した。
もうもうと爆煙が立ち込める室内。その中でルイズとクロは、それぞれの得物をドアに向けて構えていた。
 徐々に薄くなる煙。その向こうには…
「何か用、ギーシュ?」「何か用か、クソガキ?」
つい先程までドア『だった物』が木屑となって転がり、ドア周辺の壁も木っ端微塵になって撒き散らされている。そしてその中央で、真っ黒焦げで髪の毛がチリチリのギーシュが倒れていた。
 物音がした瞬間、ルイズは失敗魔法を、クロはガトリング砲を、それぞれドアに向けてブチ込んだのだ。宝物庫の壁を破壊したルイズの失敗魔法と、モット邸を崩壊させたクロのガトリング砲を。
寮の壁が耐えられるわけもない。ドアの向こうにいたギーシュは、何の盾にもならない壁ごと、2人の手でズタボロにされたのだ。
「……く、クロちゃんの銃は慣れたけど……ルイズの失敗魔法は…よ、よ予想外だった、よ……」
プルプルと震えながらそれだけ言い、くてん、と全身から力が抜けたギーシュ。
「る、ルイズ…? そ、その方は…」
ベッドの縁から顔だけ出したアンリエッタが尋ねると、何気にクロとハイタッチなぞしているルイズは、事も無げに答えた。
「ただのクラスメイトです」「ただのクソガキ」
一緒になってクロも答えた。相変わらずのクソガキ扱いである。

「ちょっとルイズ、こんな時間に何騒いでるのよ!?」
 …そして爆発は、自室の壁を壊しただけでは済まなかった。お向かいのキュルケの部屋の壁も、一緒になって爆破されていたのだ。
さすがにこれだけ派手に壁を壊されては黙っていられない、と怒鳴り込むキュルケ。その傍らには、騒ぎを聞きつけたのであろう、寝巻き姿のタバサまでもがいた。
「…迂闊だったわ…」
咄嗟に失敗魔法を撃ち込んだ失態を呪うルイズ。だがクロは全く気にしていない。ガトリング砲を撃てた事に満足したのだろう。今更ながら、トリガーハッピーなヤツである。

    +     +     +     +     +     +

「粗茶ですが…」
 ティーポットを運んできたミーが、その場の人間組全員に紅茶を淹れて回る。結局ルイズ私室に集まっているのは、部屋の主たるルイズ、アンリエッタ、キュルケ、タバサ、ボロボロのギーシュの5名。
アンリエッタを除けば、いつも通りと言えるメンバーだ。
「大体ギーシュ、アンタ、何で女子寮にいるのよ?」
当たり前のように紅茶を飲んでいるギーシュ(髪の毛チリチリ)に聞いてみるルイズ。そんな彼女に、
「このギーシュ・ド・グラモン、一度見た女性は忘れない。たまたま女子寮に入っていく人影を見つけたのだが、その後姿が昼間に見た、アンリエッタ姫殿下と瓜二つじゃないか! 後を追わない理由などないだろう!?」
ギーシュはバラを片手にやたらと熱く返した。口調は熱いが、言っている事は少々寒々しい。
「…私とクロに吹っ飛ばされたのは、女子寮に侵入した罰と受け取っておきなさい…」
理詰めで女子寮侵入を咎めるのは不可能と早々に諦めたルイズは、溜息混じりにギーシュから離れた。

「しっかし、結婚話がオジャンになる手紙ねぇ…」
「く、クロ! アンタは黙ってなさい!」
当たり前のように先程までの話題を続けようとしたクロに、ルイズが声を荒げた。
この場には先程とは違い、キュルケ、タバサ、ギーシュがいる。ここで話してしまっては非常にまずい。だが、後の祭り。
「なっ…姫殿下は…結婚なさるのですか…!?」
 結婚話、のフレーズにショックを受けるギーシュ。手元が若干、震えていた。
「へぇ、結婚ねぇ。相手はどこの誰なのかしら?」
色恋沙汰と聞いて少し興味を示すキュルケ。さすがは『微熱』である。そしてタバサは無言のまま読書に勤しんでいる。こちらはどうやら興味はないようだ。

「だからアンタたち、当たり前みたいに話題を広げないでってば!」
 ついさっき他言無用と念を押された話が、どんどん広がっていく事に焦るルイズ。しかし、そんな彼女の肩を、ミーがぽんぽんと叩いた。心なしか、その表情は暗く見える。
「言いたくないけど、諦めた方がいいよ…クロがかかわった時点で、まともな展開なんてありえないんだから…」
「あ、すごい説得力…」
長い事クロと付き合っていたミーだからこその重い言葉に、ルイズは落胆した。単独でアルビオンに潜入するよりも、もっと大変な事になりそうだ。主に、クロの大暴れ的な意味で。

 腕組みして考えていたクロの耳と背筋が、ピンと伸びた。
「なぁ姫さん、もしかしてその手紙ってのは…」
キョトンとしているアンリエッタの瞳を覗くクロ。キュルケたちに手紙の一件が知れてしまった事は、もう諦めてしまったのだろうか。
「その王子さんへの、ラ ブ レ タ ァ、なんじゃねーのぉ?」
 ラブレター、のくだりで、クロの顔がどんどん崩れていった。最早ニヤニヤというレベルを通り越し、ヘラヘラと笑っている。
そしてその疑問に、アンリエッタは非常に解りやすい回答を出した。先程までのルイズのように、顔が耳まで真っ赤に染まったのだ。
「ラブレターですと!?」「ワォ、純ねぇ」「……」
相変わらず暑苦しいギーシュ、先程よりも興味津々な様子のキュルケ、ひたすら読書に精を出すタバサ。この辺りの構図も、あまり変わってない。

「…その通りです、クロちゃん。わたくしがお願いしたいのは、ウェールズさまへ宛てた一通の恋文…。わたくしが昔抱いていた恋心の、清算ですわ…」
 例え幼少のみぎりに書いた恋文であっても、二心ありと疑うには十分な材料である。これがもし貴族派を経由してゲルマニアに渡れば、なるほどアンリエッタの婚儀は、見事に破談となるだろう。
「でもさっきの様子じゃ、まだその王子さんの事、諦めきれてねーんだろ?」
「…いかなる場であれ、それを口にする事はまかりなりません。幼い頃からの親友の前であっても…」
「ま、それじゃ言ってるようなもんだけどな」

 溜息をついたクロは、アンリエッタに背を向けると、こう言った。
「よっし解った。どうせルイズは行く気なんだろーけど、オイラも行ってやんよ」
「アンタもどうせ行きたがってたんじゃないの?」
「違ぇねーな」
重い腰を上げた、と言わんばかりのクロだったが、ルイズとデルフにはお見通しらしい。何せ、未だに悪人面が解けていないのだ。何を考えているのか、一目瞭然である。
「ただし!」
1つ咳払いして、クロはずびしっ、とアンリエッタを指差した。本来なら不敬罪で即死刑な行動だが、誰も気にしない。むしろ、気にしても無駄だと解っているのだろう。
「姫さん、オメーも一緒に来てもらうぜ」
「なっ!?」「え…!?」
非常識とも言えるクロの要求に、その場の全員が絶句した。最初から一言も発していない者も約一名いるが。

 二の句が告げない一同。そこへさらにクロが続ける。いつの間にか、顔は真面目モードに切り替わっていた。
「1つだけ気にいらねぇんだよ。何もしねぇで、ただルイズに泣きつくのがな」
「し、仕方がないでしょ! 姫さまはそう簡単には、他所へ出る事なんて出来ないんだから!」
何も知らないで、と大声を上げるルイズだが、クロは訂正しようとしない。
「そりゃ人間が勝手に作ったルールだろ? 恋愛にゃ人間のルールも猫のルールも関係ねぇ。あんのは、動物共通のルールだけだ」
「ま、一理あるわねぇ」
このメンバーで特に恋愛に詳しいキュルケが相槌を打った。ギーシュは…真剣な顔でクロを見ている。恋愛に関しては、クロを師匠とでも定めたのだろうか。
「姫さんよ、本当に恋してるってんなら、こんなトコでウダウダ言ってる余裕はねぇはずだ。まず人に頼るってのをやめて、自分で動きな。それが本物の恋ってヤツだぜ」

 恋愛について、最初は茶化す事が多いクロだが、いざ相談を持ち掛けられればその成就の為に、真剣になるのだ。
ミーがリリィと言う犬に恋心を抱いた時も、鈴木がめぐみをデートに誘おうとした時も、クロは言葉で、行動で彼らを突き動かした。やはり頼れる兄貴分なのである。
「でも、わたくしはこの国の…」
しかし、アンリエッタは葛藤する。ウェールズに逢いたいのはもちろんだ。しかしトリステイン王国の次期女王として、恋心の為に他国へ赴くなど出来るわけがない。
理由など関係なく、国際問題に発展する。身の安全ももちろんだが、国を守る為、民を守る為、そう簡単に国境を越えるなど、出来ないのだ。

 言葉を紡ぐ余裕もないほどに悩むアンリエッタ。先程までのやたらに大げさな様子は、鳴りを潜めていた。そんな彼女を見たクロは、じれったそうな顔で激しく頭を掻き毟ると、ずいっ、とアンリエッタの前に顔を突き出した。
「いいかお姫さん、身内以外にバレなきゃ、やってねぇのと同じなんだよ。オメーが着いて来るってんなら危ねぇ事がないように守ってやるし、オメーが誰か解らねぇように偽装もしてやる! 後はオメーが覚悟決めるか決めねぇかだ!」
 叱り、諭すように怒鳴るクロの眼を、アンリエッタはおずおずと見返した。瞳の揺らぎが、クロの視線に吸い込まれるように収まっていく。
「オメーが結婚しちまう前に、王子さんがどうにかなっちまう前に、もういっぺん逢いたいとは思わねぇのか、えぇ、アンリエッタ姫さんよォ!!」
駄目押しとばかりに言葉を叩きつけるクロ。アンリエッタの瞳が、大きく見開かれた。視線は、微動だにせずにクロの瞳に釘付けだ。

 静寂。誰もがクロの言葉に、何も言い返せない。言っている事は人間社会のルールからすれば荒唐無稽でハチャメチャもいいところである。
しかしその奥にあるクロの本心に、大なり小なり全員が共感を抱いていたのだ。
 ギーシュが動いた。
「姫殿下。不肖このギーシュ・ド・グラモン、御身を守る為、クロちゃんと共に旅のお供をさせて頂きたい所存です。どうか私に、ご命令を!」
アンリエッタの前に跪き、バラを掲げた。こと恋愛に関しては、ギーシュはこの場の誰よりもクロの影響を受けている。そのクロの啖呵に、ギーシュは動かずにはいられなくなったのだ。

「叶わぬ恋、なかなか素敵じゃありませんの。私、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーも、その行き先を見届けさせてもらって、構いません?」
 次いで、キュルケが名乗りを上げた。燃えるような赤い髪をかき上げ、アンリエッタの前に立つ。
「姫さまの前に立つ不届き者は、私の炎で焼いて差し上げますわ」
まるで興味本位のような言い方だが、瞳には紛れなき炎。アンリエッタの恋路に、彼女は確かに、燃えていた。

 ギーシュとキュルケを本から目を離して眺めていたタバサが、誰も気付かないような小さな、小さな溜息をついた。そしてパタン、と本を閉じると、立ち上がった。
「…心配だから、一緒に行く」
「あぁ、タバサ! あなたってやっぱり、本当にいい子ね!」
共に行くと言ったタバサに感極まったキュルケが、抱き付いて頬擦りを始めた。驚くタバサ、しかし嫌がるようなそぶりは見せず、ほんのりと頬を上気させた。照れているのだろうか。

「姫さん、コイツらも一緒に行くって言ってるぜ? 後は、オメー次第だ」
 クロはそっぽを向いて座り、ドライバー片手に腹部ハッチを開けた。その背中は、もう口で語る事はない、と言っていた。
 キチキチキチ、とネジを締める音だけが響くルイズ私室。誰もが、アンリエッタの言葉を待っていた。クロの背中も、それを促している。さぁ、背中は押してやった、サポートの準備も出来ている、後はお前の決断だけだ。

 誰かの、ゴクリと唾を飲む音が聞こえた。それほどまでに静まり返っている部屋。その中で、アンリエッタは顔を上げた。
「…まだ会って間もないと言うのに、これほどわたくしの心を揺さぶったのは、あなたが3人目です、クロちゃん」
「そんなの知らねぇよ。オイラは言いたい事言っただけだっての」
ぶっきらぼうに答えるクロ。振り返りもしない彼に、アンリエッタは穏やかに笑った。人間の言葉を喋っても、やはり猫、気難しいのは同じなんだな、と。
「本物の恋なら、自分で動け…道理ですわ。思えばわたくしは、自分の背中を押してくださる人を探していたのかも知れません」
「そいつぁ、後で自分で考えるこった。けどよ、答えが出たんなら、そいつがオメーの本心だぜ」
肩越しにアンリエッタへ、クロはニヒルな笑みを送った。それに応えるように、アンリエッタは両の拳を強く握り締め、こう言った。
「みなさん、わたくしと共に、アルビオンへ向かいましょう!」

 力強い決断に、クロは勢いよく腹部ハッチを閉じ、その場に立った。
「よっしゃ決まったぜ! 可愛いご主人様の友達の為に、オイラたちが一肌脱いでやろうじゃねぇかぁ!!」
本当に可愛いと思っているかはともかく、クロの声にその場の全員が掛け声と共に拳を振り上げた。アンリエッタ姫御一行、アルビオンお忍び強行旅開始の号令である。

 その場の空気に流されるように、満面の笑顔で拳を挙げたルイズ。しかし次の瞬間、頭が急速に冷え、現状を整理してみた。
「…なな何一緒に手挙げてんのよ私!? 止めなきゃいけない状況なのに!?」
事ここに至り、ようやくルイズは状況に気付いた。誰もが熱に浮かされたかのように、声を上げている。あのタバサですら、戸惑いながらも、小声で賛同してしまっていた。
しかもその中心にいるのは、アンリエッタとクロである。ここまで進行してしまうと、もはや止められそうにない。

 ふと横を見ると、先程まで隣にいたはずのミーがいない。目で追ってみると、いつの間にやらクロの側まで移動していた。
「おいクロ…いくら何でも、この国のお姫様を連れ出すってのは、まずいんじゃないか…?」
ミーもさっきまでノッていたが、ルイズ同様冷静になったのか、今更ではあるがクロに問いただしている。そんなミーへのクロからの答えは…
「あ? 別にいーじゃねーかよ。ただオイラたちだけで行くより、何か面白そーじゃねーか」
これである。しかも悪魔の笑みのオマケつきで。
「オマエが楽しみたいだけじゃないか! またオマエはそうやって!」
「だーいじょーぶ大丈夫、お姫さんにゃ怪我1つさせねーからよ!」
 …クロの悪癖とも言うべき性質が1つ、ここで現れていた。事に当たっている最中、何か面白そうなモノが見つかれば、より楽しくなるようにそれを最大限利用し、場をしっちゃかめっちゃかに引っ掻き回すのだ。
 その悪癖が顕著だったのは、ミーの初恋騒動だろう。リリィとミーを再会させるまでは、クロも(本人からすれば)真面目に協力していた。
だがその後「何か面白そう」という理由で、初恋ロボ『ヒロスエ』を剛と共に起動し、ミーとリリィの逢瀬を完璧にぶち壊したのである。

 もう、どうしようもない。ここまで事態が進んでしまっては、自分1人の力ではどうする事も出来ない。ルイズは頭を抱えた。
 アンリエッタは拳を握り締め、ギーシュはチリチリ頭で彼女の前に跪き、キュルケも正気に戻ったのか、今ではルイズへ哀れむような視線を送り、タバサは疲れたのかまた本に目を落とし、クロはアンリエッタの横でケラケラと笑って、ミーがそんなクロにがなり立てている。
「ど、どうしてこうなったの……………」
その呟きは、誰にも聴かれることはなかった。

    +     +     +     +     +     +

 収拾が付かなくなりつつあったが、元凶とも言うべきクロの笑いが止み、ようやく場が静まった。
「そう言や、アルビオンってのはどうやって行くんだ?」
「あ、アンタ、やっぱり知らずに騒いでたのね…」
根本的な事を知らずにアンリエッタを焚きつけたクロに、ルイズは眩暈を覚えた。この猫、本当に後の事を考えているのだろうか。いや、考えてはいるのだろう。ただし、暴れる事限定で。

「アルビオンへは、ラ・ロシェールって港町から、船で行くのよ。ここからラ・ロシェールは、馬で大体2日ってところかしら」
「へー、この前行った街より離れてんだな」
 ルイズからアルビオンまでの道程を聞き、クロは少々考え込んだ。トリスタニアまで程度なら、現実として自分かミーが荷車を引っ張る事で、約半分の時間短縮が可能である。
だが馬でも2日かかるとなると、昼夜問わずクロたちが引っ張っても、単純計算で所要時間は1日。それだけ走り続ければ、どれだけ油が必要になるか、解ったものではない。
「ミーくんよ、例のアレは…」
「無理だ、って言ったろ? この世界じゃ、材料集めるだけでも結構大変だと思うな」
「だよなー…」
「それに、作れたとしても燃料の問題があるじゃん。前はタンクローリーが都合よく近くにいたからよかったけど…」

「ちっとでも余裕は持たせてーからな、やっぱオイラたちが走るしかねぇか…」
 先日トリスタニアと学院を往復した際に、時間当たりにどれだけ油を飲んだかを指折り数えながら、クロは溜息をついた。
「余裕って何よ? 余裕なんてないわ、今すぐ…は無理にしても、明日の朝一には出発しないと!」
「その通りです。もう、いても立ってもいられませんもの!」
悩みながらもあまり急いだ風ではないクロを、ルイズとアンリエッタが急かそうとする。ルイズは主に、早くこの破天荒な旅を終わらせて安心したい一心で。アンリエッタはただただ、ウェールズ皇太子と逢いたいが為に。

 そんな2人を見て、クロは呆れたように言った。
「さっき言ってた船、そんな頻繁に運航してんのか?」
「え?」
「あのな…。今すぐとか、明日の朝一に出発したとして、すぐにその船に乗れるのか、って聞いてんだよ」
「えーっと…船はスヴェルの月の翌日に…」
「んじゃ、そのスヴェルの月ってのは、いつだ?」「………あ」
 日付と曜日を頭の中で確認したルイズは、間の抜けた声を出した。そんなルイズに、クロは「ジーサンバーサンかよ…」と呟いた。

「アルビオンに行くには、どうしても船に乗らなきゃならねーんだろ? じゃあ、船が出るまでに港に行きゃーいいワケだ」
「スヴェルの月は明後日だから…」
「馬で2日かかるなら、オイラとミーくんが荷車を引っ張りゃ、1日だ。残りの丸1日、お姫さんを連れて暢気に観光でもすんのか?」
 王都トリスタニアでも、場所によっては治安がいいとは言えない。そこから遠く離れた港町、ラ・ロシェールの治安は、一体どの程度なのか。
「ココの外にいる時間は出来るだけ短くしてーんだよ。じゃねーと、姫さんが危ねーからな」

「ルイズ、紙とペン貸してくれや」
 クロも伊達に長いこと、ジーサンバーサンと一緒に暮らしているわけではない。常軌を逸した方向音痴の2人を助ける為、クロは自然と、乗り物を使った旅のノウハウがしっかり身に付いているのである。
各種公共交通機関の出発時刻の確認は初歩の初歩。ハルケギニアとて、それは例外ではないのだ。
 ハルケギニアの地理が全く解らない為、クロはまず頭の中に仮想の大陸を描き、続いて魔法学院、トリスタニア、ラ・ロシェール、アルビオンの位置を仮に設定した。ラ・ロシェールからアルビオンまでの距離は不明だが、ここの短縮は事実上不可能と判断。
 そこまで済んだところで、ある問題に行き当たった。船の出港時間が解らない為、そこから学院を出発する時間の逆算が難しいのだ。時刻表でもあれば話は別だが、生憎、そんな便利な物はこの場にはない。
「…しゃーねぇ、無難に日の出辺りで考えるしかねーな」

 出航時間を日の出と予想し、そこから全スケジュールを煮詰めるクロ。そしてそれを口頭で説明しつつ、ルイズから借りた羽ペンを走らせた。
「ざっとこんなモンか。学院出発したら、移動中以外にのんびり出来る時間なんてねーからな。休憩はオイラとミーくんが引っ張る馬車と、船の上だけだ」
全員がそのスケジュール表を見つめた。なるほど確かに、途中の休憩時間など一切取られていない、超過密スケジュールだ。
これが単なる観光旅行ならば、もっと余裕を持たせられたが、今回そんな時間を作れば、アンリエッタの身に危険が及ぶ可能性が高まる。
「タバサ、オメーの使い魔の竜…名前知らねーけど、何人まで乗れるんだ?」
「シルフィード。頑張れば、3人」
「んじゃ、当日メンバーのうち3人はシルフィードだな。こっちは人間と一緒に油も乗せんだ、あんまり多過ぎっとスピードが落ちる」

 スケジュール表を睨み、短縮出来そうな部分は他にないか、とクロは考える。しかし現状のスケジュール表でも、自分とミー、さらにはシルフィードまでを酷使するのだ。そうそう案が浮かぶはずもない。
「後ちょっと、行けそーな気がすんだけどなー…」
「待てよ、スヴェルの月って言ったら…」
悩むクロの横で、ミーが何かを閃いた。
「ンあ、どうしたよミーくん?」
「いや、ごにょごにょごにょごにょ…」
みんなに聞かれたところで特に不都合はないのだが、なぜかミーはクロに耳打ちした。
「なるほどなぁ、『アレ』なら材料もそんなに必要ねーな」
「ボクたちが走るより、『アレ』の方がもっと速いはずだよ」
「もし部品が足りねーなら、クソガキのガラクタ使えばよさそーだし」
「青銅だっけ? 強度がそんなにいらない場所になら、使えそうだね」
「僕のワルキューレが、どうかしたかね?」
ガラクタに反応したのか、ギーシュが会話に割って入った。ある意味、ガラクタ呼ばわりを認めてしまったようなものである。そんなギーシュに、クロはある事を頼んだ。すると、
「わざわざワルキューレを用意しなくとも、そこらの土を錬金すればいい話だよ。お安い御用だ、任せたまえ!」
と、快い返事が返ってきた。

 アルビオン行きで浮き足立っている一同。クロは机の上に跳び乗り、全員を見渡した。
「うっしオメーら、出発は明後日、日が落ちてからだ。それまで、きっちり準備しとけよ!」
威勢のいいクロの声に、全員が大きく頷いた。…ルイズはどちらかと言えば、脱力感から項垂れたと言った方が正しいかもしれないが。


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