Tenzen テンゼン

ひんがしの国出身の武士。ひんがしの国に「虚ろなる闇」が溢れ出した原因の究明と解決を帝に託され、中の国に渡航した。
ジュノ大公国がマザー・クリスタルの保護管理を怠った可能性を疑い、それが真実だった場合、中の国を相手取った戦争をも辞さぬ覚悟だったが、
「世界の終わりに来る者」の打倒を目指すPCと同道する内に、世界と人類の起源に触れ、虚ろなる闇とはそもそも人間が本質的に抱えているものなのだと知る。
それでもなお闇に回帰することなく人間として生きる道を選んだテンゼンは、PCが「世界の終わりに来る者」を討ち取るのを見届け、
更にエシャンタールが「今後アルマター機関がマザー・クリスタルのエネルギーを吸い上げぬよう監視する」と約束した事から、原因の究明解決は成ったと判断して帰国した。
ひんがしの国に生まれる。長じて武士の名乗りを許され、のちに虚ろなる闇が発生する原因の究明を帝より命じられる。その際、国宝「鳳凰丸」の帯刀を許された。

鳳凰丸

鳳凰丸とは、霊獣フェニックスの半身を宿らせた名刀である。
フェニックスは一万年前にもう片方の半身を失っていたため、鳳凰丸に宿る際、数多の人魂を吸収して霊力を回復させる必要があった。
当初その人魂は罪人や蛮族から集められたが、不足分を補うために最終的には貢租を納められぬ村より募られた生贄や、虚ろなる闇に飲まれて昏睡状態にあった人々までもが刃に掛けられた。
そのため鳳凰丸の帯刀には尋常ならざる重責が伴う事となった。
テンゼンは鳳凰丸を通じてフェニックスと交信する事ができ、これが中の国における彼の重要な羅針盤となった。

プロマシアミッション

884年、テンゼンはジュノ大公国がマザー・クリスタルの管理を怠ったがために虚ろなる闇が溢れ出した可能性を疑い、中の国へと渡航した。
その道中、テンゼンはPCやプリッシュらと出会い、旅の目的を同じくする者として道連れになった。
フェニックスの導きによって霊獣カーバンクルから協力を取り付けたり、虚ろなる闇の発生原因がやはりジュノにあった事を突き止めるなど、テンゼンは順調に調査を進めたが、
実はフェニックスにはセルテウスと共謀していた別の計画があり、テンゼンはフェニックスの今際の際までそれを知らされる事はなかった。

その計画とは「PCをマザー・クリスタルの光を吸わせてから殺害する」というものだった。
30年前にジュノのエルドナーシュらが「神の扉計画」を再開しマザー・クリスタルからエネルギーを吸い上げたために、ひんがしに虚ろなる闇が発生したのだが、
それに伴ってかつて高次元世界ルモリアに到達したアル・タユがエネルギー不足に陥って、ヴァナ・ディールに向けて落下を始めるという現象も起こっていた。
アル・タユ内にはプロマシアの器が封印されており、その落下を防ぎたかったフェニックスは、
アル・タユがルモリアに留まれるだけのエネルギーを各マザー・クリスタルから運搬する計画を立案。
セルテウスが運搬役の選定と殺害を行い、死亡した運搬役がアル・タユのマザー・クリスタルに還って光を補充した後で、フェニックスが改めて蘇生させるという計画であった。

バハムート襲来

エネルギーの回収が終わり、あとはアル・タユへ向かうだけとなった段階で、霊獣バハムートが襲来した。
バハムートはPCがマザー・クリスタルのエネルギーを盗んで回っているとみなして激昂、メガフレアによる焼却を図った。
この火急の事態を前に、フェニックスは捨て身の霊力でメガフレアを相殺したが、その結果力尽きて落命した。

武士道とは

俄かに訪れたフェニックスの死にテンゼンは落胆したが、それ以上に深い葛藤へとテンゼンをいざなったのは、
たとえ蘇生が不可能になってもPCは必ず殺さなければならないとするフェニックスの遺言であった。
不慣れな中の国で同道してくれたPCに深い恩義を感じていたテンゼンは最後の最後まで逡巡するも、
最終的には人類のため、ヴァナ・ディールのため、そして祖国で刃に掛けた無辜の民のため、PCを葬る決意をした。
この時のテンゼンの覚悟は凄まじく、その形相は周囲を驚かせ、明鏡止水の境地がゆえにプリッシュの心の言葉による読心をも完全に撥ね退ける程であった。

テンゼンはチェブキー三兄妹を買収し、彼らの移送魔法でPCを孤立させると、一騎打ちの名誉すらもかなぐり捨てて、徒党でPCに闇打ちを掛けた。
しかしそこまでしたにもかかわらず返り討ちに遭い、覚悟も名誉も敗れてしまったテンゼンは、せめてもの罪滅ぼしにと、PCが目指した「世界の終わりに来る者」の討伐に最後まで協力する事を約束した。
そして「世界の終わりに来る者」はPCの手によって討ち取られ、テンゼンの中の国における任務は終了した。
テンゼンはPCの前で腹を切り落とし前をつけようとしたが、配下のくノ一に帰国して祖国の窮乏を救うよう懇願され、
PCもまたテンゼンを許していたため、テンゼンは自身の終生を安寧の世を作るために捧げる事を誓って、帰国の途に着いた。

「そのときは、ぜひにともPC殿に我らが祖国を見ていただきたい。……とりわけ桜の季節の美しさを……。
 次に会うときまで、達者で。そなたが我輩に与えてくれた希望ある限り、我らの絆は断たれぬでござろう。」


【覚書】

  • プロマシアミッションにおける味方NPCの一人。汎用グラフィックのヒュームながらもBFに登場するなど大きな役回りを見せ、のちにフェイスにも採用された。
  • 流派は「天つ水影流」。
  • 生真面目で義理堅い性格。プリッシュが不老不死となった経緯を知るも、不老不死を渇望する帝に彼女の存在を伝えるような真似はしなかった。
  • 精神修養を積んだ武人として描かれ、前述の心の言葉を撥ね返した他にも、ル・メトの園で仲間達が軒並みプロマシアに意識を支配されて行く中、独り正気を保つ事ができた。
  • その硬い性格のせいか、劇中ではプリッシュの天真爛漫な性格に振り回されるような役回りも多かった。「ナ、ナ、ナ、ナヌ!?」「ひんがしの国の姫君よりも、人使いが荒いでござるよ!」
  • テンゼンの帰国を懇願するくノ一は、PCの許しを得るために自らの血肉を好きにしてよいと申し入れてくるが、PCがこれを受け入れようとするとシドが止めに入る。


【アクション】

【技連携:花鳥風月】……ただ、春の夜の夢のごとし……

テンゼン専用の技連携。「天つ水影流・花軍」「鳥舞」「風切」「天つ水影流奥儀・月影」の4つのウェポンスキルから成り、全て撃ち終えると紅い満月が出現して爆発する。
花軍は花車、鳥舞は燕飛、風切は陣風のエフェクトを流用しているが、月影だけは固有技であり、残像となった状態で瞬時に4回斬り付けるというエフェクトになっている。
戦闘開始から一定時間が経過すると必ず明鏡止水を発動させてから使用し、連携が成立するとPCは強制的にBFから排出される。
上位BF版では自身中心範囲の魔法ダメージ技に変更され、更に「鏡返」「花軍」「水鞠」「月影」から成る「鏡花水月」(カット無視の約3000頭割ダメージ)も追加された。
(鏡返と水鞠のエフェクトは燕飛、鏡花水月のエフェクトは花鳥風月と同じ。)

【負征矢】

浮かび上がらせた的のイメージを長弓で射抜いて炸裂させる。
テンゼンは一定時間ごとに両手刀モードと弓モードを切り替え、弓モード時はヘイトに囚われないランダム遠隔攻撃を行い、WSはこの負征矢のみを使用する。
連携に噛む事こそないが、テンゼンのWS中最大の威力を誇る。エフェクトは南無八幡の流用。負征矢(おいそや)とは、背負った矢筒中の征矢(実戦向けの矢)の意。

フェニックス死亡後、テンゼンは自らの得物を「鳳凰丸」ではなく「応報丸」と呼ぶようになる。
ポリゴンモデル上、両者に違いはないため(左:鳳凰丸、右:応報丸)元より応報丸にフェニックスの残り火を宿らせた物が鳳凰丸と呼ばれていたのだと考えられる。

フェニックスの残り火を纏う鳳凰丸。人間を嘲るバハムートやディアボロスを相手にまともな会話を成立させられたのは、フェニックスの発言力があればこそであった。

絵心があり、10周年記念イラストには彼が描いたという設定の掛け軸が用いられた。
その際「典膳」という漢字名も披露しており、最上段に描かれた満月は彼の技連携「花鳥風月」を髣髴とさせる。
また鳳凰丸やセルテウスの翼といった限定的な形でしか描かれなかったフェニックスの貴重な全身像も見る事ができる。
~掛け軸にまつわる伝承~ 
ひんがしの国の帝に仕える武士の一人が描き、献上したと云われる神獣の掛け軸。 
口伝に残る幻の獣らの姿を、その目で見たが如くの出来映え。武士の名と思われる「典膳」なる朱印が押されている。
本来は不倶戴天の敵同士である霊獣と神獣を調和させた美しい構図が映える珠玉の逸品である。
最終更新:2015年04月02日 09:33