概要
黒島は石垣島から船で約25〜30分の場所に位置し、空から見るとハートの形をしていることから「ハートアイランド」の愛称で親しまれている。島全体が平坦なサンゴ礁の隆起によって形成されており、高い建物や山がないため、どこまでも続く牧歌的な風景が特徴である。人口よりも牛の数が圧倒的に多い「牛の島」としても有名で、島の大部分が広大な牧草地として利用されている。周囲の海は「石西礁湖」と呼ばれる日本最大級のサンゴ礁域に属し、非常に高い透明度を誇るシュノーケリングの聖地である。2月には島最大のイベント「黒島牛まつり」が開催され、多くの観光客で賑わいを見せる。素朴な自然とゆったりとした時間が流れる、離島ならではの静寂を味わえる島である。
基本情報
- 面積: 約10.02km2
- 人口: 約220人(2025年12月現在の推計)
- 人口密度: 約21.9人/km2(2025年12月現在の推計)
観光情報
現地へのアクセス
船で
石垣島のユーグレナ石垣港離島ターミナルから
安栄観光
と
八重山観光フェリー
の2社が高速船を運航している。所要時間は直行便で約25~30分、
竹富島を経由する便で約50分(竹富島からは約25分)である。運賃は大人片道1510円、往復2910円(竹富島からは片道1410円)。本数は2社合わせて1日6往復である。
月・木には石垣港からの安栄観光によるカーフェリーも1往復運行される。所要時間は1時間、運賃は大人片道1180円。
島内のアクセス
黒島は島全体が非常に平坦で、周囲を巡る道路も整備されているため、レンタサイクルでの移動が最も一般的かつ効率的である。なお、島内に路線バスや流しのタクシーは存在しない。
車で
島内に1軒(黒島レンタカー)のみ存在するが、車両台数が数台と極めて少ない。雨天時や高齢者・乳幼児連れの場合は便利だが、利用を希望する場合はかなり早めの事前予約が必須である。料金の目安は 1日 5,500円程度(ガソリン代込みの場合が多い)。
自転車で
港の周辺に複数の業者があり、船の到着に合わせてスタッフが待機していることが多い。島内は坂道がほとんどないため、通常の自転車でも十分に一周可能だが、強い日差しや風を考慮して電動アシスト付きを選ぶ旅行者も多い。料金の目安は1時間 500円~、1日 1,500円〜2,500円程度(車種による)。主な業者は以下の通り。
なお、
安栄観光
、
八重山観光フェリー
などでは、往復の高速船とレンタサイクルがセットになったツアーを販売している。料金は5,000円で、個々に頼むよりも手間が少なく、料金も安くなるのでおすすめである。
歩いて
港から最寄りの「西の浜」までは徒歩約10分、集落の中心部までも徒歩約15分〜20分程度で行ける。ただし、伊古桟橋や仲本海岸といった主要スポットをすべて巡るには数キロの移動が必要になるため、徒歩のみでの観光は時間と体力に余裕がある場合に限られる。
観光名所
文化景観・博物館
黒島研究所
ウミガメの保護研究やサンゴの飼育、島に生息する生物の展示を行う国内でも珍しい研究施設である。巨大なウミガメの剥製や生きている生き物たちを間近で見学でき、併設の資料館では島の歴史や文化も学べる。入館料は研究資金や生物の餌代として活用されており、島独自の生態系を知る上で欠かせない拠点である。
黒島ビジターセンター
(紹介P)
黒島の自然、文化、伝統行事などをパネルや写真で分かりやすく展示している無料の資料館である。昔の農具や生活用品のほか、黒島牛まつりの様子や島独自の民俗行事についても詳しく解説されている。集落の入り口に位置しており、島巡りの前に立ち寄ることで観光がより深く楽しめる。
伊古桟橋
(紹介P)
島の北部に位置する全長354メートルの長い桟橋で、国の登録有形文化財にも指定されている。かつては船の接岸に使われていたが、現在は海の上を歩いているような感覚を味わえる絶好の散歩コースである。満潮時にはエメラルドグリーンの海に包まれ、干潮時には広い干潟が広がるなど、時間帯によって表情を変える。
東筋(あがりすじ)集落
国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されており、伝統的な石垣や赤瓦屋根の民家が美しく保存されているエリアである。集落内には「日本の道100選」の記念碑があり、フクギの並木とともに沖縄の原風景を今に伝えている。島の人々の静かな生活の場であるため、マナーを守った静かな散策が求められる場所である。
プズマリ
(紹介P)
琉球王朝時代に、海上監視や船への合図を送るための「火番所(ひばんじょ)」として築かれた遺構である。琉球石灰岩を積み上げた円錐形の石積みで、島内で最も高い場所の一つとして重要な役割を果たしていた。現在は立ち入りが制限されている場合もあるが、島の歴史を今に伝える貴重な史跡である。
自然景観
西の浜
(紹介P)
黒島港から徒歩約10分と近く、ウミガメが産卵に訪れることで知られる美しい天然の砂浜である。遊泳は禁止されているが、真っ白な砂浜と透明度の高い海が広がり、のんびりと景色を楽しむのに適している。夕日の名所としても有名で、対岸の西表島に沈む太陽を静かに眺めることができる。
黒島展望台
(紹介P)
集落の入口付近に立つ、渦巻き状のユニークな形をした高さ約10メートルの展望台である。周囲に高い建物や山がないため、360度の大パノラマで広大な牧草地や青い海、遠くの島々までを一望できる。黒島が平坦な「ハートアイランド」であることを肌で感じられる、島内随一のフォトスポットである。
黒島灯台
(紹介P)
島の南端に立つ白亜の灯台で、広大な牧草地の先にある青い海とのコントラストが美しい場所である。灯台の中に入ることはできないが、周辺は開放的な風景が広がり、映画やドラマのロケ地のような雰囲気を味わえる。最果ての情景を感じられるスポットであり、レンタサイクルでの目的地としても人気が高い。
ノッチと振り向き牛の岩
(紹介P)
海岸線にある、波の侵食によって根元が削られた「ノッチ(キノコ岩)」と呼ばれる奇岩群である。その中には、特定の角度から見ると牛が振り返っているように見えるユニークな形の岩が存在する。黒島ならではの自然の造形美を楽しめる隠れた名所であり、干潮時であれば近くまで寄って観察することができる。
沖縄県道213号黒島港線
(紹介P)
黒島港から仲本海岸方面へと真っ直ぐに伸びる、通称「日本の道100選」にも選ばれた美しい道路である。両側には広大な牧草地が広がり、のんびりと歩く牛たちの姿を眺めながらサイクリングを楽しめる。電柱がなく空が広く感じられるこの道は、まさに黒島を象徴する風景を体現している。
体験スポット
新城(あらぐすく)島
定期船が運行していないため、黒島や石垣島からのツアー参加でのみ上陸可能な、上地島・下地島の2島からなる秘境である。手付かずの極彩色なサンゴ礁に囲まれ、シュノーケリングでは圧倒的な透明度と魚影の濃さを体験できる。島内には今なお独自の信仰や祭事が色濃く残り、聖域への立ち入り禁止など厳格なルールを守りながら貴重な自然と文化に触れる場所である。
仲本海岸
(紹介P)
島内随一のシュノーケリングスポットで、色鮮やかなサンゴ礁と多くの熱帯魚を観察することができる。干潮時のみ「天然のプール」が現れて遊泳可能となるが、潮の流れが速いため安全対策が必須である。現在はライフジャケットの着用が強く推奨されており、自身のレベルに合わせた注意深い行動が求められる。
買い物スポット
たま商店
黒島の東筋(あがりすじ)集落に位置し、食料品や日用品、酒類、雑貨などを幅広く取り扱う島内唯一の総合商店である。生活に欠かせないインフラとして、弁当やパン、惣菜のほか、時期によっては「黒島アーサ」などの特産品も店頭に並ぶ。営業時間は朝から夜まで設定されているが、仕入れや行事等により変動する場合があるため、来訪時の確認が推奨される。
まちや
黒島港旅客ターミナルの建物内に位置し、乗船の待ち時間や到着直後に気軽に立ち寄れる売店である。黒島オリジナルのTシャツや可愛い牛グッズ、ポストカードなど、島ならではの土産品を豊富に取り揃えている。冷たい飲料やアイスクリームも販売されており、サイクリング後の休息や、島を離れる直前の買い物に最適なスポットである。
レストラン
島カフェ ハートらんど
黒島港からすぐの場所に位置し、目の前に広がる海を眺めながらゆったりとした時間を過ごせるテラス席が魅力のカフェである。八重山そばや自家製味噌そばなどの食事メニューのほか、アイスクリームの天ぷらや青豆ぜんざいといった島ならではのデザートも充実している。レンタサイクルや釣り竿の貸し出しも行っており、島巡りの拠点としても非常に利便性が高い。 (予算:1,000円〜2,000円)
そばcafe うんどうや
(紹介P)
仲本集落に位置する、ウッドデッキ風のテラス席が心地よい開放感あふれる飲食スポットである。店主自らが海で採ってきた濃厚な香りのアーサを贅沢に使った「アーサそば」が名物で、多くの観光客が訪れる。ツアーショップに併設されており、落ち着いた雰囲気の中で島の恵みを活かした八重山そばを堪能することができる。 (予算:1,000円〜1,500円)
パーラーあ~ちゃん
黒島の宮里地区に位置し、漁師である店主自らが獲った新鮮な魚介類や島の恵みを堪能できる、民宿に併設された食事処である。看板メニューの「ヤシガニそば」や「ヤシガニ汁」は、濃厚な出汁の味わいが評判を呼んでおり、提供に時間を要するため事前予約が推奨されている。素朴で家庭的な八重山そばや定食メニューも充実しており、黒島ならではのゆったりとした時間の中で、滋味溢れる島の料理を味わえる貴重なスポットである。(予算:1,000円〜1,500円)
カフェ・居酒屋
Cafe iconoma
東筋集落にある宿泊施設「ヴィラ・イコノマ」に併設された、こだわりの食事とドリンクを楽しめるお洒落なカフェである。地元の食材を活かしたプレートランチや自家製スイーツを提供しており、丁寧に淹れられたコーヒーとともに静かな時間を過ごせる。夜は居酒屋(バル)として営業することもあり、落ち着いた空間で島ならではの夜のひとときを楽しめる。 (予算:昼 1,500円〜 / 夜 3,000円〜)
宿泊施設
民宿のどか
(SNS)
東筋集落にある全室個室の宿で、Instagramを通じて島の風景や日々の食事などの最新情報を精力的に発信している。木のぬくもりを大切にした建物とアットホームな雰囲気が特徴で、一人旅から家族連れまでリラックスして過ごせる環境が整っている。ゆったりとした「島時間」を過ごしたい旅行者に人気があり、宿泊客同士や島民との自然な交流も魅力の一つである。 (予算:1泊2食付 7,500円〜)
なかた荘
東筋集落の中心部に位置し、初めての離島旅行でも安心して過ごせる老舗の民宿である。港からの送迎サービスやレンタサイクルの貸し出しを行っており、島内観光の拠点として非常に利便性が高い。ボリューム満点の家庭的な料理ともてなしに定評があり、親戚の家に帰ってきたような心地よい空間で黒島ならではの素朴な魅力を堪能できる。(予算:1泊2食付 7,000円〜)
イベント
黒島豊年祭
一年の収穫への感謝と翌年の豊作を祈願する祭事で、海の彼方の神に感謝を捧げるハーリー(爬竜船競漕)が最大のハイライトである。宮里海岸近くの宮里御嶽にて、勇壮な漕ぎ比べのほか、伝統衣装を纏った島民による様々な芸能が神前で奉納される。島の結束が最も強まる神聖な行事であり、伝統文化の息吹を間近に感じることができる。 開催時期:例年7月頃(旧暦に基づき決定)
黒島牛まつり
(SNS)
人口よりも牛の数が多い「牛の島」ならではの祭典で、牛丼や牛汁といった豪華な牛料理を存分に味わうことができる。一番の目玉は、抽選で本物の牛が一頭当たる「夢の牛抽選会」であり、全国から多くの観光客が詰めかける熱気溢れるイベントである。牧歌的な風景の中で、島民と来場者が一体となって盛り上がる黒島最大のエンターテインメントである。 開催時期:毎年2月の第4日曜日
最終更新:2026年01月15日 09:36