【元ネタ】エジプト史など
【CLASS】アサシン
【マスター】
【真名】ミュケリネ
【性別】女性(?)
【身長・体重】181cm・67kg
【属性】混沌・善
【ステータス】筋力D+ 耐久B+ 敏捷C+ 魔力A 幸運B- 宝具A
【クラス別スキル】
気配遮断:C-
 サーヴァントとしての気配を断つ、アサシンとしての能力。
狂化:EX
 バーサーカーのクラスの基本条件、というか前提である狂化の呪い。
 理性と引き換えに強大な暴力を身に宿すスキルだが、彼女の場合は奇形の精神性として現れている。
 “絶対に死にたくない”“人々に快楽をもたらしたい”という二つの軸を行動原理とし、本質的に破綻している。
 本来の善性の属性をそのままに、その方向性が歪められている、とも評し得る。(本来、彼女の属性は秩序・善である)
【固有スキル】
節制:D
 質素倹約を旨とした者に送られる節約スキル。宝具使用時の魔力負担を軽減する。
 ……はずなのだが、狂化のせいでタガが外れた彼女に対して、このスキルによる抑制はあまりに無力である。
 浪費を抑えられないという意味でも、節制を気にする必要がないという点でも。
二重召喚:C+
 アサシンとバーサーカー、両方のクラス別スキルを獲得して現界する。
 極一部のサーヴァントのみが持つ希少特性。
 
無辜の怪物:B
 本人の意思や姿とは関係なく、風評によって真相をねじ曲げられたものの深度を指す。
 ケオプス、ケフレンに比べて扱いの良かったミュケリノスだが、
 あろうことか墓経由で捏造を受けている。この件に関してはヘロドトスは無罪……とも言いきれないのが微妙な所。
 此度の召喚において、彼/彼女は『ピラミッドの夢魔』として現界した。
 
神性:E
 "無辜の怪物"の影響で、神性属性が重度に毀損している。
 メンカウラー王として正統に召喚されたならばこのランクはあり得なかっただろう。
魔性の美:B
 人を惑わす凶悪な美貌。
 存在そのものが魅了(洗脳)の呪いを伴い、人間種、特に男性の個体を容易くチャームし籠絡する。
 微笑み一つで男を破滅させるとされた『ピラミッドの夢魔』であれば、精神攻撃の手段にすらなってしまう。
 
対魔力で回避可能。
【宝具】
『愛の不夜城(ピリティス)』
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:30~60 最大捕捉:800人
 メンカウラーのピラミッドが歪められた結果、混沌の異界へ変貌したもの。
 内部では時間概念すら狂っており、昼夜の区分が意味をなさない。
 都市の一郭を丸々覆って「歓楽街」に偽装し、外部から人間を誘引する効果がある。結界宝具。
 取り込まれた人間は、多幸感のうちに自他境界が溶解していき、生命力、第二要素、やがては肉体すら結界に溶けだして
 アサシンの養分(魔力)に還元される。
『いま此処に不滅を示せ、愛の不夜城(ピリティス・メンケレス)』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:0 最大捕捉:一人
 “不夜城大結界”ピリティスの真の能力。
 時間概念、生死概念、その他概念境界を混濁、混乱させることで、異界の主であるミュケリネを際限無く復活させる。
 生と死が曖昧な状態に通常の精神は耐えられないはずだが、狂化の恩恵か、彼女はなにも変わらない。端から狂っているのである。
【Weapon】
『至大の天塔Ⅲ(ネチェル・エル・メンカウラー)』
 もはや本来の姿の片鱗もない。
 汚染のない聖杯での正統召喚であれば、
ニトクリスの粛清の逸話を習合した瀑布神殿“止まり”であったという。
 また方向性の異なる“無辜の怪物”の集大成として「ミュケリネ」が現界できたのは、メンカウラーのピラミッドが早い段階で
 それらを束ねられる混沌属性を獲得したためだともいわれる。
【解説】
 ギザの第3ピラミッド「メンカウラーは神である」の建造者、
 エジプト第4王朝のファラオ。
 クフ王の孫、カフラー王の子と推測され、ヘロドトスの記述では先王等とは打って変わった善君だったという。
 ピラミッドの小ささから連想されたのであろうミュケリノス伝説は例によって史実性皆無と思われるが、
 その悲劇は(ギリシャ風に過ぎるものの)美しい。
 慈愛深き賢君だった彼は、まず愛娘を失い、ついで善政のゆえに神託に6年後の破滅を告げられ、
 不夜城の酒池肉林に耽り寿命を伸ばそうと試みたという。顛末は知られないが、間違いなく功を奏さなかったことだろう。
 注目すべきことに、ヘロドトスはまたメンカウラーのピラミッドが娼婦ロドピスによって作られたという説を紹介している。
 ヘロドトス自身はギリシャ人が語るこの話をくだらぬ俗説として取り合っていないが、
 ストラボンはギザの第3ピラミッドが「遊女の墓」と呼ばれていると紹介し、
 ロドピスが娼婦の身から成り上がって大金持ちとなり、ついにはファラオの后となった逸話を書き残している。
 だが、メンカウラーのピラミッドを建てたのが女性である、という説は驚くべきことにマネトーの断片にも登場する。
 第6王朝の女王ニトクリスが第3ピラミッドを建てた……というのがそれで、
 これはニトクリスの元ネタ「男王ネチェルカラー」の後継ファラオ・メンカラー王とメンカウラー王を混同した、
 または単にユリウス・アフリカヌスとエウセビアス(あるいはマネトー自身)がロドピスとニトクリスを混同したためとされる。
 メンカウラーのピラミッド頂上に男を誘う裸の美女の亡霊が現れるという伝承があるらしいが、
 この亡霊もニトクリスに同定されている。
 サーヴァントの真名「ミュケリネ」は女王ミュケリノスの自称である。
 自身がメンカウラーである自覚はあるらしいが、生前の性別については「覚えていない」というあり得ない答弁をする。
 クフや
カフラーと比べて、それこそ神々に愛されているがごとく大量の彫像が出土している王が
 女性体で召喚されたのは皮肉といえるだろう。……いや、型月史では本当に女性だった可能性もあるのだが。
 狂った善君+成り上がり娼婦+復讐の女王(ポンコツに非ず)+ピラミッドの夢魔=ミュケリネ という計算である。地味にふたなり。
 無辜りまくった結果、「すべての人に幸せを与え、そのために永遠を掴みたい」と慈母の微笑みで宣う怪物となっており、
 昨今の地母神系毒親ボスの風格をたたえている。そんな強くないけど。
最終更新:2017年03月22日 21:37