ヒレル

【元ネタ】史実
【CLASS】ルーラー
【マスター】
【真名】ヒレル
【性別】男性
【身長・体重】182cm・65kg
【属性】秩序・善
【ステータス】筋力C 耐久C++ 敏捷D 魔力B 幸運A 宝具B
【クラス別スキル】
対魔力:A
 セイバー級の対魔力を保有する。

真名看破:A
 召喚された全てのサーヴァントの真名及びステータス情報が自動的に明かされる。
 ただし、隠蔽能力を持つサーヴァントに対しては、幸運値の判定が必要。

神明裁決:-
 宝具と一体化している。

【固有スキル】
平和主義:A++
 戦闘において、敵が行う生死判定の成功率を向上させるスキル。
 マイナススキルのように思われがちだが、同時に所有者の精神力と人格を保証する。
 Aランクからは防御数値に対するプラス修正も追加される。鋼の信念を持つものは、鋼に成らざるを得ない。

カリスマ:C-
 人々を惹きつける、高潔な精神と誠実な人格。
 国家や軍団を統率する力はないが、その影響力は一国の王に匹敵する。

指南の心得:A
 弟子たちの才能を開花させ、自らの技能を教えこむ指導スキル。
 門戸こそ常に開かれているものの、教育者としての彼は普段の温厚さとは対照的に、
 非常に厳しい一面を見せる。

【宝具】
『平穏よ、世を覆え(シャローム・アレイヘム)』
ランク:EX(B) 種別:対人宝具 レンジ:0 最大捕捉:七騎・七人
 キリストの金言「己の欲する所を人に施せ」の前身、
 ヒレルの「己の欲せざる所は人に施す勿れ」を聖杯戦争のゴールデンルールとして施行させる宝具。
 魂食いなど無関係な人々への加害行為を『全参加者』に禁止する。
 違反者にペナルティを与えるのではなく、そもそも違反行為をさせない類の強制力を持つもの。
 本来はここまで強力な宝具ではなかったが、ルーラーのクラスで召喚された結果、
 奇跡的な相性の良さにより、令呪の拘束力を持つ“絶対律”として機能するようになった。

『つつがなしや神の愛(ティックン・オラム)』
ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:0~100 最大捕捉:1000人
 ユダヤ的倫理観の根本教理「世界の修復」が宝具として解釈されたもの。本来の形からはかけ離れている。
 聖杯戦争終了時に、それまでの戦いによって生じたあらゆる被害・損害を回復させる対界宝具。
 ただし、人の生命はこの例外である。
 世界中の基盤から微量ずつリソースを集めて起動される大術式。
 彼が召喚された時点で発動予約が設定され、発動時にルーラーが現界している必要はない。

【Weapon】
『木こりの斧』
 ヒレルはわりとつよい。

『逆令呪』
 本来の令呪システムを逆転させ、
 サーヴァントのマスターなど令呪保有者に宝具の効力を及ぼす機能。
 魔術師にとっては、使い魔を律するための切り札を介して楔を打ち込まれるという皮肉である。

【解説】
 ズーゴートの終わりとタンナーイームの黎明を代表する偉大なラビ、ヒルレル。
 バビロニアに生まれて40歳からエルサレムで学び、十数年をサンヘドリンの長として過ごした。
 同時代のシャンマイとは対照的な隣人愛と寛容の教えを説き、
 ユダヤ教の正統を決定づけた。

 ダビデの血筋を母方から引いたとされ、樵仕事で生計を立てつつ貧困のうちに勉学をなしたという。
 業績をエズラに準えられる聖書解説者(ダルシャニーム)、律法研究家であると同時に、
 彼自身もまた自らの説いた教えに違わぬ聖人であったとされる。
 彼の逸話として最も有名なのが“片足で立っている間に律法の教えを示せ”と煽った異邦人への対応であろう。
 彼がその人に説いたとされるのが「あなたにとって好ましくないことをあなたの隣人に対してするな。
 これが律法の全体であり、他の全てはその注釈である」という黄金律である。
 納得した異人はユダヤ教に改宗したというが、それは彼の寛容さ故であって、
 シャンマイの如く突き返しては何事も成し得ないというのがシャンマイすら自覚していた道理である。

 どこかで聞いたことのある言葉だが、これはイエスの金言の原型である。
 新約聖書中でその偽善性を告発しながらも、キリストの思想はファリサイ派の伝統の上にあり、
 特にヒレルの影響を色濃く受けているとされる。
 また12歳のイエスが問答を交わした学者をヒレルに比定する興味深い説もある。
 紀元10年頃ならば彼はギリギリ存命であり、確かに言葉を交わすことは可能であっただろう。

 貧困の中で学んだ彼は、無料で講義を行う学院を開いた。
 ヒレルの学院の伝統は約500年続き、今もユダヤ系の教育機関の名にはヒレルの語が散見される。
 なお、彼やラビ・アキバなどの伝記に見える、40年を無学で過ごした云々という逸話は、
 明らかにモーセに倣った伝説であり、そのまま信じることは出来ない。
 晩年にエルサレムで活躍したという史実性は確かなようだが、伝統が彼の性格を誇張している感はある。
最終更新:2017年03月22日 21:40