ネクテナボン

【元ネタ】アレクサンドロス・ロマンス
【CLASS】キャスター
【マスター】
【真名】ネクテナボン
【性別】男性
【身長・体重】185cm・98kg
【属性】中立・善
【ステータス】筋力D 耐久C- 敏捷C 魔力A- 幸運D 宝具A+
【クラス別スキル】
陣地作成:A
 魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。彼はエジプト最後の建築王でもある。
 黄金時代への回帰を志し、数多くの神殿を建立・修復したキャスターは、
 最高クラスで陣地作成を保有する。

道具作成:-
 変身宝具の代償として、道具作成スキルは失われている。

【固有スキル】
変化:B+
 魔術師として、あるいは神として身につける変身能力。
 レパートリーは大蛇の姿、ハヤブサの姿だが、いずれも人間の姿のときより大幅に戦闘力が強化される。
 ハヤブサに変身中は宝具であるアメンの角の恩恵を受けられないが、隼神の神威を示すため、神性はA+から低下しない。

竜の息吹:E→C→A++
 通常時は普通の魔術行使の方が強い程度の火しか吐けないが、大蛇の姿になるとパワーアップ。
 また、最終宝具を発動している間は、宝具級の攻撃手段として活用可能になる。

高速神言:B
 神代の言葉の習得。
 呪文・魔術回路との接続をせずとも魔術を発動させられる。
 大魔術すらも一節(シングルワード)で起動させられる。
 辺境ならばいざしらず、紀元前4世紀のエジプトという神代のほぼ閉じきった文明社会で
 Bランクを所持できたのは“偉業”と呼べる。

神性:A+(B)
 宝具により神性属性を強化し、半ば強引にだが最大の神性を獲得している。

【宝具】
『往きて還る双角の王(ヒュイオス・テオス)』
ランク:B- 種別:対人宝具 レンジ:0 最大捕捉:一人
 キャスターの頭部から生えている、アメン神の羊角。
 とある覇王に帰せられる「二つの角もてる王(ズルカルナイン)」のイメージの原型に当たる。
 所有者の神性を強化し、神がかりな戦術的直感や竜の魔力炉を獲得させる。
 最後のエジプト人ファラオ、ネクタネボ2世がアレクサンドロス3世として帰還するという伝承の具現。
 封印しない限り機能し続ける常時発動型の宝具だが、本質的に自己否定に近いため、発動している限りHPが減少し続ける。

『死して孵る双角の竜(アンモーン・パテーラス)』
ランク:A++ 種別:対神宝具 レンジ:1~10 最大捕捉:一人
 『神王の卵』による神性暴走。『卵』に還ることで、新たに擬似神霊アンモーン・パテーラスとして現世に孵ってくる。
 転生宝具、変身宝具とも呼ぶべき対自己宝具。
 新生したキャスターはサーヴァントの枠を超えた大災禍として敵と対峙するだろう。
 ただし、『卵』の外の外気に触れる度、霊格は劣化し、肉体は腐敗していく。還るべき『卵』は孵る時に破壊しているため戻れない。
 そして竜への変身が解けたキャスターは、霊基への反動が限界に達し、一般人すら傷つけられない亡霊にまで身を落としている。
 一度限りの切り札である。

【Weapon】
『神王の卵』
 コプト文字で「ズルカルナイン此処に眠れり」と刻まれた巨大な石のタマゴ。陣地作成で作られる。
 神代に限りなく近い世界を内蔵した、柩にして揺籃である。
 ……結論からいえば、ネクテナボンは予言の解釈を誤っていた。
 卵から孵り、卵に戻れず死ぬ蛇は、彼の望んだ征服王による時代回帰が一代だけの夢に過ぎないことを暗示していた。

『双角晴竜』
 擬似神霊アンモーン・パテーラス。
 晴天にいかづちを背負う、矛盾と可能性に満ちた赤き巨竜。その寿命は短い。

【解説】
 最後のエジプト人ファラオ、第30王朝3代目の王、ネクタネボ2世。
 この時代を支配したのは、ペルシャからエジプトの独立を回復した第28王朝、第29王朝が弱体化したのち、
 将軍だったネクタネボ1世が樹立した王朝である。
 ネクタネボ1世の没後即位したその子テオスは(古代エジプト最後となる)対外遠征を行った。
 その途上、父チャヘプイムとともに玉座を簒奪したのがネクタネボ2世である。
 チャヘプイムはテオス王の宰相で、テオスの兄弟ともネクタネボ1世の弟ともいわれる。
 彼はファラオとして即位後、ペルシャの内紛に起因するつかの間の平和を利用し、
 神殿の再建や軍備再編に取り組み、おそらく自己神格化も達成した。
 ネクタネボ2世は隼神として崇拝されていたようである。
 アゲシラオス2世がエジプトを去って以後もギリシャの傭兵や援軍を頼りつつ対ペルシャ戦争を戦ったが
 アルタクセルクセス3世に敗北してエジプトでの権力基盤を失いヌビアに逃亡、
 2年ほど権力を維持したらしい。

 以後の消息は不明……であるが、
 アレクサンドロス・ロマンスにおいてはなんと征服王の実父として登場する。
 魔術師にして王であったネクタネボスはペルシャ帝国に敗北後、南方ではなくマケドニアに逃れ、
 神を装って王妃を孕ませ、王に夢を見せて“神の子”を誕生させる。
 かくして生まれた後の大王アレキサンダーは、老いた王(ネクタネボス)に代わってエジプトを支配する若き王と予言される。
 彼自身はアレキサンダー少年に「おまえの占星術が本物ならば、この運命も見えていたのだろう?」と穴に突き落とされるが、
 最期に「運命を変えうるものはいない。我が子に殺されることこそ私のさだめであったのだ」と言い残し、
 少年の心に凄絶な運命観と父殺しの悲哀を植え付ける。
 そして少年は世界の王の座を駆け上がる。
 予言は成就した。

 オリンピアスが蛇に象徴されるアモン=ゼウスと交合し、神の子アレクサンドロスを産む秘教的なイメージは、
 彼においてはアメン(蛇)に扮して姦通する異教の魔術師の図像となった。
 中世の挿絵では、蛇は完全に竜として描かれた。

 1800年頃、エジプト遠征中のフランス人は、アレクサンドリアのモスクでファラオの空の石棺を発見する。
 土地の住民はそれをイスカンダルの棺と断言する。皇帝アウグストゥスも参拝した、かの征服王の棺の発見である。
 ナポレオンは棺をフランスに送らせる。彼は大王の棺で埋葬されることを望んだと噂される。
 棺はフランスに届かず、戦争に勝利したイギリスのものになる。
 20年後、シャンポリオンはヒエログリフを解読する。石棺の主が判明する。……ネクタネボ2世。

 本来は中の中程度の英霊でしか無いが、霊基を軋ませながら大英雄たちに並ぶ出力を確保している。
 いつか征服王と会おうと心に決めているが、何を話すかなど頭にはない。とりあえず会う。常にそのつもり。
 勝つにしろ負けるにしろいつもボロボロのサーヴァント。
 ファラオとしては有髪だが、キャスターでは神官として呼ばれるので頭は剃られている。
 神代復古を目指して敗北し、最終的に竜に化身したその在り方は、ともすれば遠き島国の“卑王”にも似るが、
 性格はかけ離れている。属性と言ってもいい。心の底では王の軍勢に加わることを望んでいるが、その自覚はないようだ。
最終更新:2017年03月26日 17:13