プサンメティコス

【元ネタ】史実
【CLASS】ランサー
【マスター】
【真名】プサンメティコス
【性別】男性
【身長・体重】173cm・69kg
【属性】秩序・中庸
【ステータス】筋力B 耐久B+ 敏捷B- 魔力C 幸運B 宝具A
【クラス別スキル】
対魔力:C
 第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。
 大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。

【固有スキル】
仕切り直し:C
 戦闘から離脱する能力。
 また、不利になった戦闘を戦闘開始ターン(1ターン目)に戻し、技の条件を初期値に戻す。

神性:B
 ファラオはアメンの子にして地上のホルスである。
 末期王朝に到ってなおBを保つのは、時代の古さと発達した宗教観の賜物であろう。

友誼の証明:A
 相手の戦意を抑制し、交渉に持ち込み、同盟を締結するための能力。
 明確な利害対立のない第三勢力に対してならば、ほぼ確実といえる高確率で味方に引き込むことができる。

皇帝特権:B
 本来持ち得ないスキルも、本人が主張する事で短期間だけ獲得できる。
 実験の逸話の故か、“想定以上にランクが高い”という。

【宝具】
『十二の王と青銅の杯(カルケオイ・アンドレス)』
ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:2~20 最大捕捉:100人
 ヘロドトスの言う青銅の盃の逸話と、“青銅の男たち”ことギリシャ人傭兵を雇用した逸話の混成宝具。
 ある種の『選定』の宝具である青銅の盃により、
 以後のファラオにも受け継がれた異教の傭兵との絆(因果線)をあらわす。
 イオニア人とカリア人の海賊が“青銅の男たち”と呼ばれた伝承とギリシャ人の持つ青銅の種族の神話が合わさり、
 杯に神酒と青銅を投入することでブロンズの兵士たちを生み出す錬金術めいた宝具となった。
 兵士たちは『盃』の持つ選定の力、神託に選ばれた王以外を弑する加護により、他の王(領主)に対する特攻を獲得する。

『第一の言葉(プライマルワード・ベコス)』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:-
 最古の言語剥奪実験の成果。
 かつて存在した統一言語の欠片であり、その一端。
 わずかな切れ端に過ぎないながら神代の諸神言の尽くを凌駕する“根源喃語”。
 彼の会得した言葉の大意は【わたし「を」「満たせ】のようなもので、空腹を訴える原初の意思表示である。
 宝具としては魔力を世界から供給させる、または生み出させる破格の魔力確保手段となる。(ランクにしてE-未満の"根源接続")
 曰く、"ベコス"は人語から隔絶され、羊飼いに養われた赤子の発した言葉。――明らかに山羊の鳴き声を起源とする。

『青銅神話・羊神起源(リターナー・デミウルゴス)』
ランク:B++ 種別:対物宝具 レンジ:20~70 最大捕捉:800人
 青銅の盃に『第一の言葉』を叩き込むことで、プタハ神の霊基に接続する。
 素材は「青銅」に限定されるものの、多種多様な造物を可能とし、一つの世界すらも築き上げられる。
 プタハの神獣は通常牡牛だが、闇の神として習合したプタハ=セケル=オシリス神はねじれた羊角を象徴とした。
 プサメンティコスが山羊から原初の言葉を見出したこと、その逸話をメンフィスの神官が伝えたことは決して偶然ではない。

【Weapon】
『青銅神話・羊神起源』
 『エジプト全土を制したプサンメティコスは、メンフィスのヘパイストス神殿の南楼門を造営し、
 またアピスのためにはアピスが出現するたびにこれを養う場所として、先の楼門と相対したところへ中庭を造った』
 “青銅職人(カルケウス)”ヘパイストスと同一視されたプタハは創造神とされ、化身として聖牛アピスを持った。
 ちなみにマンダ教における世界創造者(デミウルゴス)の名をプタヒルといい、プタハを語源とする。
 これらの概念を青銅杯と原初の言葉で自分に再現するのが『青銅神話』なのだろう。
 山羊角の悪魔=デミウルゴス=羊神としてのプタハ、と一応イメージソースはあるのだが、
 我ながら無茶苦茶なこじつけである。

『傭兵の槍』

【解説】
 言語剥奪実験の逸話で知られる末期王朝のファラオ、プサムテク1世。
 またはプサンメティコス1世。

 はじめアッシリアに臣従したが、アッシリアが新バビロニアの脅威からエジプトを放棄したのち
 テーベの支配権を確立し全土を掌握、第26王朝を開く。
 アッシュールバニパルのエジプト侵寇に迎合したサイス候ネコ1世の息子であり、タヌトアメンに父が殺された直後は
 アッシリアに亡命した時期もあったらしいが、アッシリアの弱体化と同時にその支配下から独立を果たした。

 第26王朝の成立をもって、第3中間期の終わりと末期王朝時代の始まりとなる。
 統一国家が古代に範を求めるのは常であり、当然のように古王国時代を神聖視したエジプトの歴代王朝も例外ではないが、
 この王朝における芸術の伝統回帰は特にサイス・ルネサンスと呼ばれる。
 逸話多きネコ2世やカリスマ的なアマシス王を排出した第26王朝は最終的にペルシャ帝国に征服されたが、
 一時的な独立王朝・第30王朝はその様式を踏襲した。

 プサメンティコスの外交政策はギリシャの影響をエジプトに及ぼし、
 植民地ナウクラティスを成立させ、また以後のエジプトについてのギリシャ語による豊富な記録を残させた。

 ヘロドトスにおいてプサンメティコスは、ギリシャとの国交を開いた王とあってか(?)、
 ヌビア王朝後の神話と混乱した十二人体制から青銅の兜による献酒、青銅の男たちの雇用、建築の業績、守備隊の離反、
 また最古の民族を知ろうとして行った実験など、多くの逸話で記録される。

 最古の民族としてフリギア人を認定するヘロドトスの物語が成立した思想的、文化的、そして政治的背景は完全には窺い知れず、
 反ペルシャの意向や羊の鳴き声の特別視が推測されるばかりである。
 無論型月的には「統一言語」やら神代をめぐるあれそれが背景にあるのだろう。
 パレスチナを睥睨する立場にあったファラオに「最古の言語=ヘブライ語」説を教えたら間違いなく鼻で笑ったろうが、
 果たしてフリギア語ではどうだったのか。
 すでに幾度か外国による支配を受けていたとしても、
 長大な歴史を自ら誇ったエジプト人がフリギアの最古を認めたとはいささか信じがたい。

 世界が分かたれた後、世界が一つだった時代の痕跡を最初に探した王、となれば、これぐらいのチートは許されるはず……。
 赤子がしゃべったかろうじての一文/一語だけを、プサンメティコスは理解し喋れるという設定。
最終更新:2017年03月26日 17:14