第1話「始動」
———《我々が求めるものは!この世界の破滅だ!そして、我々のディストピアを創り上げることだ!》
うるさい騒音が俺を起こした。ここに着いてから、まともに寝ることができていない。
「おはようございます、団長」
「ああ、おはよう」
「今日の予定をお伝えします。今日は我々キルギシートをバックアップしたいという企業の社長との会合があります」
「そうか」
「では、失礼します」
秘書が出ていった。こんな無力な集まりに加担する物好きな企業がいるとはな。一体、どこから嗅ぎ付けたのやら。
十年前、父や仲間が殺されたあの日からここまで築き上げてきた。クソみたいな企業からの依頼にも応え、ただ、奴らに復讐することだけを考えてきた。
「おい、ジル。いるか?」
そう俺を呼んだのはカルロスだ。俺と共にあの戦場を逃げて来た3人の内の1人だ。彼は俺と共にキルギシートの稼ぎ頭となってもらっている。つまり、防術機乗りだ。
「ああ、なんだカール」
「お前の新機体、完成したらしい。なかなかに乗りやすそうだったぞ〜」
「分かった。会合の後に向かう」
「オーケー、ケイトにそう言っとくよ」
「ああ、頼む」
俺は自室を出た。
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