A「始まり」
———"それ"は、唐突だった。
俺は確かあの時は...家にいた気がする。家で提出する為のレポートを書いていたんだ。その日は彼女とデートの約束をしていて、その前に課題を終わらせておこうと思ってたんだ。
「ウウウウウウゥウゥヴウウウウウウ」
突然、町中にサイレンが鳴り響いた。それと同時に、町が火に包まれた。俺は何が起きてるのか全く分からずただ立ち尽くしていた。窓から町を唯々眺めていると、影がうごめいていた。
「逃げなければ」
俺はとっさにアパートを出て、なるべく遠くへと逃げようとした。だが、もう遅かった。影が俺の道を塞いでいた。その影は、俺を眺めていた。そして、ガッという鈍い音とともに俺は吹き飛ばされた。それは余りにも唐突で、理不尽だった。薄れゆく意識の中、俺は死んだ。
はずだった。
目を覚ましたら、そこは真っ白な箱の中だった。
|