管理者メモ:6月18日、平成30年大阪北部地震より2年

令和2年6月18日で平成30年大阪北部地震から2年を迎えました。
都市近郊の浅発地震という特徴も有り、規模こそMj6.1、Mw5.5でしたが、大阪市内においても震度6弱を観測、大阪府内で6名もの尊い命が失われました。

今回は、当時特に話題となったブロック塀の倒壊に関連して、構造物の危険性について述べます。
(※このコラムは2020年6月18日、Twitter上にアップしたコラムを加筆修正したものです。)


構造物については耐震基準・点検を定めた法規・内部規定が存在しないものもある

構造物についてですが、ここでは耐震基準が定められている住居やビル等の建物を除いて考えます。それらの建物、主に住居用建物に対する耐震基準については管理者メモ:1月17日、阪神淡路大震災より25年 を一度ご覧下さい。以下、その中で触れた事項に対しては改めて解説は致しませんので、ご了承願います。

この地震は先程も述べたとおり最大震度6弱を観測しましたが、住居などに対して定められた新耐震基準をクリアしていれば、一度の揺れでは建物は倒壊しないはずのものです。

しかしながら、塀やフェンスと言った構造物については耐震基準は特に定められて居らず、ものによっては点検の義務すら定められていないものもあります。


個人・設置者の裁量及びに良心に委ねられている部分もある

例えば、電柱であれば風による影響が地震による影響に勝る為、風に対する基準でカバーするという考えがあります。
同じ電気設備である鉄塔や風力発電設備などになると、倒壊した際の影響範囲の関係もありますので、更に厳密に管理されているでしょう。

このように、影響が重大なものに関しては独自の基準により設計・建設・検査が行なわれていますが、そういった基準が存在しないものに対しては放置されているのが現状です。
特に個人が私有地内に作った工作物に関しては、しっかりした検査態勢が整っているものの方が希と言って良いと思われます。
(当然、目に見えて劣化し、例えば災害がなくても自然に倒壊し、第三者に被害を及ぼしかねないと明らかな状態を放置した場合は責任を問われることもあります)


公共物=安全というわけでもない

また、標識や電柱と言ったある程度の基準が定められている構造物であっても、中々点検が及ばない箇所で損傷が進行し、倒壊に至った事例もあります。
例を上げると、犬のマーキング行為などによって根元が腐食したコンクリート電柱が、ほぼ外力が無い状態で自然倒壊した、というものもあります。

また、鉄道や道路構造物などの場合は、定期的に点検を行なっては居ますが、塩害(潮風や凍結防止剤の散布)や想定以上の負荷(過積載など)、その他の外的要因(事故などによる一部損傷) により劣化していきます。


外で地震に遭遇したときの原則

さて、外出時に地震に遭遇したとき、よく言われることが一つあります。

「上や周りに高いものが無い、開けた場所に出て、頭をできるだけ守るような態勢をとってください」というものです。

ここに来て強いて言う必要は無いかも知れませんが、これは飛来物などの危険を極力避けるとともに、構造物の倒壊に巻き込まれて被害に遭うことを防ぐ為でもあります。


「100%安全」は存在しないと思って、できる限りの自衛を

当然、倒壊させない、あるいは仮に倒壊しても第三者に被害が及ばないように配慮するように作り、点検するのは設置者の責務ではありますが、設置者個人の想像力に限度がある以上、それでも自衛は常に必要であると言えます。

強い揺れが来たら、まず身の安全を守る為に開けた場所に出てください。建物が密集している場所であれば、道路の真ん中など、できるだけ被害を防げる場所に一度待避してください。


補足:特に市街地で車を運転する際に気をつけて欲しい事

もちろん、その際は車側も道の左側にできるだけ幅寄せし、停車する必要があります。
強い揺れによりハンドルを取られ、衝突などの危険性があるのももちろんですが、こう言った歩行者保護の観点からも道路交通法でそのように定められていると言えます。
最終更新:2021年05月31日 20:16