概要
- ローリングストック法とは、普段使いのものを多めに確保しておき、使ったら使った分だけ買い足していくことで、常に一定以上の食品や消耗品などを家に確保しておくという考え方。
- 家に一定以上確保し、消費と購入を繰り返すことで、災害時に普段使いのものを防災備蓄として取り込むことができ、非常時であっても日常と同じような生活を送ることができる。
趣旨
- ローリングストック法の趣旨は備蓄を「手軽に」「無駄なく」行うことにある。
- 普段使いのものを多少多めにストックしておくという方法であるため、家計への負担も少なくて済む。また、同様の理由から食品ロスなどの無駄は生じない。
- 上記に書いた通り普段使いのものを防災備蓄として取り込むため、非常時であってもいつもと変わらない食事などができる。そのため、低アレルゲン食や食事療法などが日常的に必要な家庭であっても、災害時にも普段と変わらない方法で対処が可能となる。
基本事項
- ローリングストック法の注意事項は二つ。「古いものから使う」ことと「使ったら補充をする」こと。
- 備蓄する食料が古くなり、賞味期限や消費期限が切れてしまうとローリングストックの意味がない。古いものが手前に来るように並べたりするなど、おき方を決めておくなどして、必ず古い方から消費していくように徹底しておくことが大切。
- また、使ったものから補充しておかなければローリングストック法にはならないので、必ず使った分から補充しておくこと。一般的な「買い溜め」との違いでもある。
- ローリングストック法といえば、基本的に食料に関するものについて取り上げられていることが多いが、同じく消費期限や使用期限が決められている「ばんそうこう」や「消毒液」などの衛生用品、「乾電池」や「使い捨てカイロ」などの日用品などについても同じ考え方で備蓄を行うことができる。
- 例として 飲料水のローリングストックについてはこちらで具体例を挙げている。
実例
- 食品を例にとると、生鮮品は多少困難なものもあるが、平成30年に発生した北海道胆振東部地震では、ジンギスカン用の羊肉を普段から大量に冷凍保存しておく習慣があったため、地震発生後の停電時においてはそれらを庭などで焼いて調理し、消費することでしのぐ家庭も見られた。
- また、冷蔵庫がなかった古来より漬物や干物、燻製などといった方法で野菜や肉、魚などを加工し、保存しておくことで、収穫がない季節を乗り切っていた。
- 胆振東部地震の例からもわかるように、火が使える環境であれば非常時に使える食材の幅が広がるため、カセットコンロやバーベキューセットなどを用意しておき、非常時に使えるようにしておくとよい。
実践
- 実際においてはすべてのものをまんべんなく、というのは難しいため、普段の生活の延長線上の中で実践していくのが確実である。
- 特に生鮮品は数日単位で持つものから、買った当日しかほとんど持たないもの、加工品であっても冷蔵・冷凍保存の手段が絶たれるとすぐに駄目になってしまうものなどがあるため、今の食材の状況を常に把握しておくことが望ましい。
- 非常時にあっては生鮮品などは特に日持ちしないもの、今の環境下ではすぐに駄目になってしまうものから率先して消費することを心がけなくてはならない。
- 常温で保存できる加工食品などはローリングストック法に適している。
- また、お菓子なども同様の方法で備蓄しておくとよい。特に子供のいる家庭においては精神的な苦痛を和らげるためにも、少しでも備蓄しておくとよい。
- 実際はローリングストック法だけに頼るのではなく、長期保存食品と組み合わせて、適切な備蓄を家庭の事情に応じて考えておくことが大事。
- 食品ではなくとも、消費期限や品質保持期限が設定された消毒液や乾電池などは普段の使用量を把握しておき、ある程度余裕をもって備蓄しておくことでいざというときに役に立つ。
- ローリングストック法に使用する食品や日用品は劣化しないようなところに保管しておくこと。高温多湿や直射日光を避け、においの強いものの近くは避けるなど、品質保持期限の期間内であっても補完法にはできる限りの注意を払うこと。
出典
最終更新:2022年07月02日 14:58