同国領は鬱蒼と茂る広葉樹の森が山の頂から麓までずっと続いており、
ブラウヴァルトの上空も周りの巨大樹から伸びた枝葉(=樹冠)が天蓋のように覆っている。
このため昼間でも直射日光は遮られ、葉を透過した緑色の光が地表に降り注いでいる。
「蒼き森」を意味するブラウヴァルトの名の通り、
青々とした柔らかな光の柱が幾本も地面に突き立つ光景には、神秘的な美観を覚えることだろう。
元は森林を住処とする閉鎖的な
エルフの共同体だったが、隣国
アルメリアの台頭を機に国際化。
族長であったエルフの一族を国家元首に据え、周辺の村々を併合することで、
小規模ながらも大陸国家のひとつに名を連ねる「ブラウヴァルト国」が成立した。
時代が下るにつれ山々の少数民族が次々に合流し、合併に合併を重ね、
現在の山岳一帯を領地とするフェルゼン公国となった。
フェルゼンとは彼の地の言葉で「岩」を意味し、多様な民族が一枚岩を成す同国の国是に繋がっている。
こうした成り立ちから、フェルゼン公国は地域によって住んでいる人種がガラリと変わるが、
首府ブラウヴァルトだけはエルフ、獣人、亜人、純人などがほぼ均衡のとれた割合で生活している。
大公家のエルフを中心とした大陸でも有数の他民族都市となっており、
他国から迫害を逃れて移り住んだ獣人や亜人種の一族も多い。
主な生産物は樹海を形成する巨大樹『精霊樹』から切り出した木材。
建材とすれば千年単位で形を保ち、木炭にすればいつまでも尽きることなく火を灯す。
最たる特徴は優れた魔力の伝達力であり、これを加工した武器は魔術師に力量以上の術を発揮させる。
高級品の杖や魔導書の装丁として用いられるほか、贅沢に丸木から削り出した『
精霊樹の木槍』は、
羽のように軽い取り回しと魔法の力を高める性質からエルフや妖精族にとって最良の武器とされる。
近辺でも髄一の標高を誇る霊峰の麓であるためか、山岳信仰が深く根付いている都市である。
霊峰「
頂きのハイペリオン」は崇拝の対象であり、当地の者たちが通過儀礼として踏破に挑む試練の地でもある。
成人を迎えるにあたり誰もが一度は登ることとなり、中腹にある御神木に名前を刻み、葉の一枚を証明として持ち帰る。
この葉はブラウヴァルトの市民権を証すものでもあるため、この都市に腰を落ち着けたいなら霊峰へ挑む必要があるだろう。
なお儀礼では中腹まで登って下山するが、フェルゼンの精鋭部隊
群青の騎士の昇格試験は登頂が合格条件となる。
当然通過儀礼とは比にならない険しい道程、過酷な気候、手強い魔物との戦いを制さねばならず、
数週間かけて山頂を踏破した者たちは、例外なく比類なき強者へと成長を遂げている。
頂きのハイペリオンはゲーム上ではダンジョンとして扱われ、クリア報酬として群青の騎士の称号を得ることができる。
ブラウヴァルトには
十二階梯の継承者・
『詩学の』マリスエリスの生家もある。
訪ねられるのは彼女が死亡した後になるが、出生や過去にまつわるエピソードが聞けるほか、
忘れ形見となった『
狼咆琴』を届けることでとあるイベントが発生する。
エリにゃんのファンなら一見の価値ありなので、少しくらい寄り道をしてみてもよいだろう。
最終更新:2020年06月16日 01:56