グランドバイパー

グランドバイパー

ブレイブ&モンスターズ!に登場するモンスターの一種。
フルス水系の支流タマン湿性地帯に生息する、強力な毒牙と長大な体躯を持った大蛇型の魔物。
成熟した個体は準レイド級相当の戦闘能力を誇る湿地のヌシである。

体格は胴回りが3メートルを記録し、体長は最大で10メートルを超える。
地球最大種のアナコンダを二回りほど太くしたようなサイズ感で、
牛一頭程度なら余裕で丸呑みできるほどの巨躯を持つ。体重は約1トン。

暗い紫色の体表は、深緑の斑紋が入った鱗で覆われている。
上顎の両端から伸びた、一対の長大な牙が特徴。
この牙は顎を閉じていても外に張り出しており、グランドバイパーのシンボルになっている。

牙には当然ながら猛毒を帯びている。
しかも二本の牙はそれぞれ出血毒、麻痺毒と異なる毒液を分泌し、
グランドバイパーはこれを自由に使い分けて狩りに用いる。

出血毒はその名の通り止血作用を阻害する毒で、獲物の体力をじわじわと確実に削ぐ。
加えて臓器も冒し、多臓器不全による致死へと速やかに導く。
いわゆるバッドステータスの「毒」にあたるものであるが、その効果は強烈。
人間なら数分程度で死に至らしめ、中型のワイバーンですら致死率は50%を超える。

麻痺毒はやはり「麻痺」のバッドステータスにあたるもの。
筋肉を強制的に弛緩させ、掠りでもすればものの数十秒で動けなくなる。
皮膚感覚も失われ、獲物は何が起きたか分からぬままに丸呑みにされる。

恐るべきことにこの毒液は、牙の先端から噴射することが可能。
直接噛みつくよりも効果は薄れるが、遠距離からでも毒を撃ち込まれるのはシンプルに脅威である。
いずれの毒も血清が有効だが、毒を受けてから治療の間に合う猶予は少ない。

そして、グランドバイパーの真の恐ろしさは毒による殺傷力ではない
頑丈な鱗の下は分厚い筋肉の塊であり、斬撃・刺突・打撃・魔法全てに耐性を持つ。
見た目に違わぬタフさを誇り、故に毒を使った遅滞戦術と凄まじいシナジーを持つ。
毒を撃ち込んであとはトグロを巻いていれば相手が勝手に死んでくれるのである。

強靭な筋肉を用いた巻きつき・締め上げも強力。
毒蛇でありながら、いわゆるニシキヘビ的な毒に頼らない攻撃手段を完備している。

その戦闘能力の高さから、湿地を旅する者にとって遭遇は死を意味する。
対策としてはまず大前提として血清を持ち歩くこと。
湿性地帯近辺の住人は衣服の袖に血清瓶を縫い留め、即座に自分に投与できるようにしている。
僧侶系ジョブの用いる解毒魔法や状態異常防止の加護も有効な対策となる。

また動きはそこまで素早くない。鈍重さをカバーするための毒でもある。
そのため原生林の奥に大蛇の姿を見つけたら、速やかにその場を離れることが重要。

湿性地帯の生物の中でも群を抜いて巨大であり、当地の生態系の頂点に君臨する。
これを凌ぎ得る存在はマツタケマンの上位種以外におらず、湿地の覇権を二分している。
天敵は最上位種のパーフェクトマツタケマン。
如何に頑丈な鱗であっても神代遺物すら貫くとされるパンチには耐えられず、
マツタケマンは神経構造が普通の生き物と異なるためか毒が効きづらい。

また身体のサイズに比して顎の力は強くないので、十分な毒対策を用意できるなら勝機がある。
毒さえ防げれば警戒すべき攻撃は巻き付きのみであり、距離をとることで回避可能。
それでも持ち前のタフさのせいで凄まじい泥仕合を覚悟しなければならないのだが。

仕留めることができれば、ミスリルを凌ぐ硬度の鱗と皮には金と等しい値段が付く。
優れた防御力と各種耐性を備え、それでいて金属素材よりもはるかに軽い。
軽鎧やコートの素材としては最上級であり、冒険者の装備の最終形と言えるものとなる。

特に毒・麻痺を完全に無効化できるため、原生林を旅する一張羅に最適と言えよう。
湿性地帯では当地の原住民族からなる「討鱗党」と呼ばれる狩猟集団が活動しており、
グランドバイパーの皮で織られた鱗付の外套は彼らのトレードマークとなっている。
ちなみに成体一匹仕留めれば50人分の外套の素材になるとされている。

もちろん毒牙も重要な素材となる。
グランドバイパーの毒分泌腺は牙自体の根本に付いており、
湿地の水分と反応して毒素を生成する触媒の役割を果たす。

したがって、毒牙は毒蛇本体から取り除いたとしても機能を保ち続ける。
そのものが水から毒を生成する刃として扱えるのである。

この特性を利用し、牙を剣に加工した武器が存在する。
毒双剣『エキドナ』は、毒と麻痺をそれぞれ敵に与える二振り一対の剣。
前述の原住民族の宝剣として、代々指導者に受け継がれている。

ちなみに毒牙が肉体から独立しているという性質のため、
グランドバイパーの肉は食べることができる。
美味だが肉質は非常に硬く、毒云々とは別の意味で調理には専門知識が必要。

ゲーム上では、土属性の準レイド級モンスターとして登場する。
設定を反映したタフさは健在で、DEFとHPが際立って高い典型的な耐久型。
AGIが極端に低く、ATBゲージの溜まりが遅いのが難点であるが、
二種の毒付与スキルをうまく使い分ければ、格上のレイド級も狩れる実力を持つ。

一方でPVP対戦における評判はすこぶる悪い。
敵に回せば厄介なデバフと常軌を逸した頑丈さでちまちまと削られることに苛立ち、
さりとて自分が扱う分にも決定打がないため超長期戦を覚悟しなければならず、もはや苦行の域。

強いといえば間違いなく強いしデバフと耐久に徹すれば高い勝率を約束されるのだが、
イマイチ爽快感がないうえ拘束時間ばかりが増えるため敬遠される傾向にある。

というかもうぶっちゃけるが、
8割のプレイヤーは相手がグランドバイパー出して来たら切断する
ペナルティを負ってでも他のことに時間を使ったほうが建設的であろう。

使用感としては超耐久型ということで『永劫の』オデットと似たところがあるが、
やはり美貌のヴァンパイアと小汚い色味の毒蛇ではプレイヤーのモチベも変わるのだろう。

また、ゲーム本編の外ではメディアミックスにも登場している。
例のアレと名高いアニメ作品デュエルメモリーズにおける活躍が有名。
子供の個体が主人公・夢島クウトパートナーとして抜擢されており、キービジュアルにもドヤ顔で映っている。
ニックネームは「シガテラ」。

夢島クウトはタイアップアニメの主人公らしからぬ耐久戦術を多用しており、
毒を撒いて防御を固めつつバフを積んで敵を絞め殺す姿に多くの視聴者が釈然としない思いを抱えた。
一方で、その石橋を叩くような堅実な試合運びは運ゲーに頼らない純粋な実力勝負とも言え、
常にベストを尽くし続けるストイックな戦い方には一定の好評があることも付記しておきたい。

グランドバイパーはそんな夢島クウトのバトルスタイルを過不足なく体現するパートナーであり、
派手さに欠けながらもまさに相棒と呼ぶに相応しい働きを見せてくれた。
結局人気は出なかったが。

ちなみに無印版アニメの方にもわずかではあるが出演している。
いかにも強そうなビジュアルのためか、主人公3人組にワンターンでぶっ飛ばされる噛ませ犬として登場。
しかしながら派手な攻撃で爆発四散するその姿は敵役として十二分に輝いており、
主役張ってるアニメよりも目立っていたというこれまた釈然としない評価を得ることとなった。

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最終更新:2021年11月05日 20:32