アルメリア兵士の剣

アルメリア兵士の剣

アルメリア王国正規軍の一般歩兵向けに配備されている、黒の刀身を持った長剣。
正式名称は『制式汎用野戦直剣』。

過酷な戦場での長期使用に耐えうるよう、構造を単純化し頑丈に作られている。
刃は鈍く、切れ味よりもその重量で叩き斬る運用を想定しており、
手入れの出来ない長期戦のさなかであっても威力を維持することができる。

剣と言うよりも、剣の形をした鉄塊。
刃物と言うよりも、刺突機能を備えた打撃武器。

重厚で頑丈な直刃の黒剣は、それを扱う兵士たちの精強と愚直の証明である。

―――フレーバーテキストより。


アルメリア国軍の兵士が標準装備している剣。
全長1メートル、刃渡りは70㎝程度で、刀身は黒の不動態被膜(黒錆)で覆われている。
柄には滑り止めの革が巻かれ、鍔には王国の紋章を模した装飾が施されている。

安価な量産品ながら、国軍の要求仕様を満足する様々な工夫を凝らしてある。
主たる特長はまず、野戦での使用に特化した耐久性。
分厚く鍛造された刀身は頑丈の一言に尽き、大型魔獣が踏んでも曲がることはない。
雨晒し・野晒しの環境下でも錆ひとつ浮かず、岩を斬りつけても刃毀れしない。
十分なメンテナンスの出来ない戦場でも、適当な布で血糊を拭うだけで手入れが完了する。

サイズに比してかなり重量があることも特長で、これは正規軍制式の鎧装備を想定した設計。
可動域の狭い鎧を着込んだ状態で剣を振るう場合、刃筋を立てて斬り込むのは至難の業であるが、
単純な質量と硬度によって多少雑な当て方をしても威力を発揮できる。
一応刃は付いているが、刃というより威力を一点に集中させる「楔」として機能する。
言わば斧に近い性能を持っているわけである。

正規軍が相手にするのは同じ鎧を着込んだ軍隊か強固な甲殻を持つ大型魔獣であり、
重装甲の敵には斬撃よりも打撃の方が通りが良い。
「鎧を着て、鎧を着た相手と戦う」という軍隊としての運用理念に合致する性能と言えよう。

一方で、かなり重い剣であるため万人に扱いやすいわけでもない。
この剣を振るうには相応の筋力が要求され、市井の民では持ち運ぶだけで息切れする。
「兵士向けの剣」であると同時に、正式な訓練を経た「兵士にしか扱えない剣」とも言える。

前述の重量と、切れ味が鈍いため手加減が容易な性質から、
同国の正規軍や近衛兵団、騎士団においては刃引きをして訓練用の剣としても用いられる。
この剣を振るえるようになって初めて一人前とされ、
また実戦に出るようになってからも重い剣を振り続けることで筋力の増強と維持ができる。
ある意味、「使い手を兵士に育てる剣」とも言えるかもしれない。

標準装備品であるが、その重さから採用は歩兵や騎兵などの前衛兵科に限られ、
魔法兵、弓兵、斥候兵や輸送兵等は別途に標準の装備が用意されている。
また歩兵においても主力装備には槍などの長物を持つことが多いが、
多くの兵士にとってこの剣を帯びるということは軍人としてのプライドに紐づいているため、
脇を固めるサイドアームとして戦場に広く持ち込まれている。

逆説的に言えば、この剣を振るえなくなった時が兵士としての終わりでもある。
負傷や傷病、あるいは老齢などによって重い剣を持てなくなった者は、
誰に肩を叩かれるでもなくおのずと自らの引き際を知り、退役の道を選ぶのである。

切れ味鈍く、重量と硬度に任せて敵を殴る打撃武器に近い剣であるが、
一方でしっかりと刃筋を立てて斬ることができれば斬撃武器としても十分な性能を持つ。
加えて正規兵ともなると訓練の過程で魔力の扱いも一通り習得するため、
刀身に魔力を纏わせて切断力を高めるといったことも可能になる。
使い手を選ぶ武器であり、同時に使い手の実力をダイレクトに反映する武器である。

アルメリアでは魔法効果を持たない量産品の武器防具については、
隣国フェルゼン公国タウゼンプレタ魔装工廠から輸入するか、
フェルゼンの技術者を招聘して国内でライセンス生産を行っている。

この剣についても冶金に優れたフェルゼンの技術がふんだんに盛り込まれており、
一級品ブランドの鋼装(サーメット)とはいかないまでも、
その高度なノウハウを量産向きに転用した技術で製造されている。

軍用品であるが、前哨基地が過剰な在庫を払い下げた場合や、
退役した軍人が売り払ったり、戦場跡地に打ち棄てられた武器を周辺住民が拾い集めたりして、
数は多くないものの一般市場にも流通している。

このため、剣士系のクラスの冒険者や傭兵は軍属でなくともこの剣を装備していたりする。
手ごろな値段で性能も良いため、クルードソードからの乗り換え先として一定の需要がある。
退役軍人から冒険者などに転身した者などはそのままこの剣を使い続けるし、
軍歴のない在野の剣士にとっても、実力の証明として帯びる者は羨望を集める。

ならず者の中には、兵士を専門的に狙う「剣泥棒」なんて者もいたりする。
兵士にすればこの剣は誇りそのものなので、大抵は人死にの出る刃傷沙汰になる。

また、上位の武器としてアルメリア騎士の剣があり、
こちらは将校や騎士が自費で誂える高価で高性能な「鋼装」である。


ゲーム上では、「中盤の強い剣」(ドラクエで言うはがねのつるぎポジション)として登場する。
斬撃ではなく打撃と刺突の属性を持っており、硬い敵と相性が良い。
また特殊効果としてSTRにボーナスが付与され、実質的な近接攻撃力は表記以上になる。

プレイヤーからの愛称は「アル剣」、「黒剣」のほか、
後述のエピソードから「詐欺剣」とか呼ばれることもある。

初出はストーリーモード最序盤の穀倉都市デリンドブルグにて。
『覇道の』グランダイトによるクーデターのさなかにあるこの街で、
プレイヤーを庇って負傷したアルメリアの兵士エイナスから、
覇王の野望を止めるという意思とともにこの剣を託される。

受け取った段階ではよほど極端なレベリングでもしない限り要求STRが高くて装備しても扱えないが、
強引に装備するとSTRボーナスで要求ステータスが満たされて使えるようになる

ご親切にチュートリアルで「要求ステが足りない武器は装備できても扱えないよ!」と言われた矢先の出来事であり、
こんな最序盤から運営の底意地の悪さを実感する羽目になる。

運営の言うことを即座に疑ってかかる性根がねじ曲がり心の荒み切ったプレイヤーだけが、
色々と火力の足りない序盤をこの剣の攻撃力の恩恵を受けつつ進めることが出来るのである。

順当に要求ステータスを満たせるのは序盤のイベントを一通りこなし、中盤に差し掛かるあたり。
単純に武器として見た場合、要求ステに目を瞑れば素直な性能で扱いやすい剣と言える。
デリンドブルグのイベント後も、武器種が剣ながら打撃可能なこの武器のお世話になることは多い。
またSTRボーナスというのもそこそこ貴重な効果で、強化を重ねれば終盤まで使っていくことが出来る。

極まった廃人などは、魔法系のステータスに極振りしつつ最低限のSTRを確保するため、
ハイエンドコンテンツに序中盤の武器であるこの剣を持ち込むことがあったりもする。

重厚な見た目に反して、魔法立国であるアルメリアを象徴する剣と言えないこともないかもしれない。

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最終更新:2022年05月27日 21:37