超レイド級モンスターの一角。属性は水と風。
軍神。戦神。永劫の戦いを求めて各地の戦場を彷徨する、闘争の化身。
錆びつきボロボロになった黄金色の全身金属鎧、朽ち果て切った深紅のマントを身に纏い、全身に無数の武具が突き刺さった状態の、身長10メートルほどの巨人。
その頭部も飾りの折れた兜と仮面によって覆われており、素顔を推し量ることはできないが、ただ仮面の奥から炯々と輝く真紅の双眸だけが見て取れる。
両手にそれぞれ持った大剣と大槍をだらりと提げ、ずるずる引き摺りながら猫背気味に逍遥する。
元々はブレモン一周年イベント
六芒星の魔神の饗宴で実装された六体の超レイド級モンスター、六芒星の魔神の一柱だった。
六芒星の魔神の饗宴はクロウ・クルーワッハ、
パズズ、
第六天魔王、
マーラ、
ケツァル・コアトル、
アジ・ダハーカの六柱が同時に発生し、
プレイヤーである『
異邦の魔物使い(ブレイブ)』はオンラインマッチングによってパーティーを組み好きな魔神と戦えるというイベントであった。
当然魔神たちには人気のあるなしがあり、
エグめのデバフでプレイヤーの心を折りに来るパズズなどは敢えて挑戦する者も少なかったのだが、
対クロウ・クルーワッハ戦は最多の挑戦者数を誇り最も盛り上がったレイド戦である。
というのも、イベント実装時のクロウ・クルーワッハには
重大なバグがあり、
ATBがMAXになり3ターンが経過すると発動する最強必殺技『今こそ、我星に挑まん(アクロス・ザ・スカイ)』の真価が発揮されず
クソ性能になっていたため、
それにプレイヤーが付け込んだ形になったのである。
なお、本来の『今こそ、我星に挑まん(アクロス・ザ・スカイ)』は
敵がバフを盛っている数だけ此方の攻撃力がアップするという技であり、
ガチガチに防御を固めている者ほど死ぬという鬼のような技だった。
バグによってこの『バフを盛っている者ほどダメージを喰らう』という仕様が発揮されず、単なる多少痛い物理攻撃に成り下がっていたため、
プレイヤーはクロウ・クルーワッハを他のレイドボスよりも与しやすいと考え、狩場が発生したのである。
尤も、その致命的なバグをもってしても超レイド級の牙城を崩すことはできず、無慈悲な軍神の前にプレイヤーの屍山血河が築かれたが、
最終的に大手YOUTUBE配信者やブレモンランカー6人からなる対レイドチーム『ブレイブエンフォーサーズ』が死闘の果てにクロウ・クルーワッハのすべてのパーツを揃えたと発表し、
大きな話題を呼んだ。
しかしチームメンバー6人に対して獲得したクロウ・クルーワッハは一体ということで所有権の主張を巡り醜い諍いが起こり、
最終的にブレイブエンフォーサーズは崩壊。チーム内の推しメンを擁護するファンの間でリアル暴力事件が勃発する、
私怨からメンバーの一人が当時極秘裏に交際していた某人気VTUBER(
ユメミマホロではない)との関係をリークされ、
VTUBERのファンから殺害予告を受ける、そのVTUBERも心労からノイローゼになり無期限の活動休止を宣言する、
挙句に他のメンバーが
脱税で捕まるなどといった事件が頻発し、解散の憂き目を見た。
ブレモンプレイヤーの間ではこれを『クロウ・クルーワッハの呪い』と呼び、正規の手段でなくバグに付け込んだ愚か者に対する神罰だと囁き合った。
なお、六芒星の魔神の饗宴以降のイベントでもおまけのチャレンジ要素的な敵として偶に出現することがあるが、バグは修正されている。
性能としてはゴリゴリの
アタッカー。戦場を逍遥しているときはふらふらと覚束ない足取りで彷徨っているが、
一旦戦闘が始まると途端に10メートルの巨体に見合わない速度で間合いを詰め、攻撃してくる。
両腕の大剣と大槍以外にも、自身の躯体に食い込んでいる斧やら鎌やら剣やらを抜き、テレキネシス的な能力で自在に振り回す。
従ってクロウ・クルーワッハに接近するだけでも、『異邦の魔物使い(ブレイブ)』と
パートナーは多大なリスクを負うことになる。
基本的に魔法は使用しないが、前述の必殺剣『今こそ、我星に挑まん(アクロス・ザ・スカイ)』の他、
敵のバフの一切合切を剥ぎ取る咆哮『大覇吼(モータル・クライ)』、高く飛び上がり上空から嵐を纏って降ってくる『超重隕石斬(コメットザンバー)』、
全身の武器をすべて開放して竜巻と成し、フィールド上のすべての敵を攻撃する『鏖殺斬舞(マサクル・リーパー)』などの強力なユニークスキルを持つ。
契約アイテムは『錆びた剣』。どこからどう見てもゴミであるが、神代に鍛えられたクロウ・クルーワッハの愛剣であるという。
最終更新:2022年09月06日 20:11