御館様に勝ちましたよ、辛勝ですけど、と報告したら、
「うむ!」
それはそれは嬉しそうに頷かれた。
「で、風魔小太郎の意外な弱点露見しました。
一人で動いたら最強なんですが、ごく小部隊でも指揮する事は出来ないようです」
仲間と連携して動けたりはしない。
普通の戦忍じゃあ連携して動く事なんかムリ、って言えばその通り。
だけど、まるで仲間なんて一人もいないような動き方だった。
事前の打ち合わせ時間中にこう来たらこう行けー、
とか身振りと石ころ使って指示出せばいいのに、そういうのも一切なかったらしい。
結果最初からぐちゃぐちゃ、ボロ負け。
風魔ちゃん一人だけがピンピンしててもしょうがないでしょが。
まあねえ。ずっと一人で動いてきた期間契約の忍びだからかなー。
仕方ないから次は部隊中の大将役を一人に割り振って、大将を最後まで警護してね、とやったらキレイかつ鮮やかに守り抜いてくれた。
「俺の私見ですけど、風魔小太郎に一番向いているのは内緒の身辺警護と暗殺です」
「ほう、さほどに一人でしか動けぬか」
「ですね。誰にも気づかれずに守り抜くことと、誰にも気づかれずに殺す事、次いで乱戦の中で敵だけ討ち取る事、または敵軍を混乱させるか、一番固い場所を打ち破る……
こういう順番で向いてます。
順次指揮のやり方は教えますが、実戦では一人だけの遊軍扱いにします」
入れ替わりもその状況のが向いてるしねえ。
お館様は報告を聞いているのかいないのか、ふっふ、と笑って言った。
「気に入ったか。ならば今度の子も大切にせい!」
「あの?」
誰の子供?お館様がにんまりする。
「誤魔化すでない、佐助ェ。
幸村が行ってからの落ち込みようは何じゃ。全く見ておれぬわ」
誰が落ち込んだんですかっ。
ちょーっと肩の荷おりてのびのびしてただけでしょーっ?
大体”幸村様”が嫁に行ったのって七ヶ月も前!
そんな延々引きずりますか、この俺がッ
「不服そうにするでないわ」
……なんで顔にも気配にも出してないのに見抜けるんだろう。……怖いよ。
「忍隊に探りを入れたが、皆そろって佐助には手のかかる子供がいないと駄目だ、しかし自分たちでは幸村ほど天然の暴走はできぬ、と口をそろえて言いよったぞ」
あれ……俺ってさあ……一流の忍びだよね……?
内心なんて何時だって見せないでいられる、素敵に無敵な忍びだよ、ねえ?
コロコロ変わる表情なんて全部偽物なんだよ、そんなのみんな解ってるはずだよ。
なのに何で、みんな口そろえるの?
「良き子に恵まれて良かったのう」
なんでお館様ニヤニヤしてるの?
「北条攻めでは一層精彩を欠きよって……
幸村が伊達と幸せそうにしておった程度で、気落ちするでないわ!
子は巣立つものと心得ぃ!」
ホントにーやにや笑いながらのお叱りを受ける。
でもそれ違いますよ絶対!相手が強かったの手強かったの!
「その上幸村様、などと呼びおってからに。跡目を継いだ兄や妹達がどうしているのか、
佐助の口から聞きたかったが声をかけにくいと、寂しげにしておったのだぞ?」
え、そうだったの?やだなー水くさいよー。
そりゃちゃんとした情報は嫁いじゃったから言えないけど、それでもちょこっとした事くらいは言えたのに。
旦那に渡した守り袋とおそろいのを買ってきたら喜んで下さったんですよ、みんな肌身離さず持ってるみたいですよ、とか。
「正直者め」
あ。
「子の幸せを祝福してやるが親の務めというものよ。
己がおらずとも、などと拗ねるは慢心ぞ佐助ェ!修行が足らぁぁん!」
親じゃないんですけどまあ、ぴしっとかしこまり直すとお館様も表情を改めた。
「降格も考えたが、真田のオカン、否否、武田のオカンの名も高い佐助に見守られねば
やる気の出ぬ者もおることじゃ。折良く得た新たな子、よっく面倒をみるがよい!」
えっ、あの、そんな呼ばれかたしてるの俺様?
ていうかクビになるトコだったの?
ちょ、ちょっと待って……
やる気でないヒトって誰、何、俺忍びじゃなくてオカンなの?
見守るオカンなの?
そりゃゆきむ……いやあの旦那の育児はやったけどさ、
その、武田軍全体のオカ……ン?
「うむ!」
それはそれは嬉しそうに頷かれた。
「で、風魔小太郎の意外な弱点露見しました。
一人で動いたら最強なんですが、ごく小部隊でも指揮する事は出来ないようです」
仲間と連携して動けたりはしない。
普通の戦忍じゃあ連携して動く事なんかムリ、って言えばその通り。
だけど、まるで仲間なんて一人もいないような動き方だった。
事前の打ち合わせ時間中にこう来たらこう行けー、
とか身振りと石ころ使って指示出せばいいのに、そういうのも一切なかったらしい。
結果最初からぐちゃぐちゃ、ボロ負け。
風魔ちゃん一人だけがピンピンしててもしょうがないでしょが。
まあねえ。ずっと一人で動いてきた期間契約の忍びだからかなー。
仕方ないから次は部隊中の大将役を一人に割り振って、大将を最後まで警護してね、とやったらキレイかつ鮮やかに守り抜いてくれた。
「俺の私見ですけど、風魔小太郎に一番向いているのは内緒の身辺警護と暗殺です」
「ほう、さほどに一人でしか動けぬか」
「ですね。誰にも気づかれずに守り抜くことと、誰にも気づかれずに殺す事、次いで乱戦の中で敵だけ討ち取る事、または敵軍を混乱させるか、一番固い場所を打ち破る……
こういう順番で向いてます。
順次指揮のやり方は教えますが、実戦では一人だけの遊軍扱いにします」
入れ替わりもその状況のが向いてるしねえ。
お館様は報告を聞いているのかいないのか、ふっふ、と笑って言った。
「気に入ったか。ならば今度の子も大切にせい!」
「あの?」
誰の子供?お館様がにんまりする。
「誤魔化すでない、佐助ェ。
幸村が行ってからの落ち込みようは何じゃ。全く見ておれぬわ」
誰が落ち込んだんですかっ。
ちょーっと肩の荷おりてのびのびしてただけでしょーっ?
大体”幸村様”が嫁に行ったのって七ヶ月も前!
そんな延々引きずりますか、この俺がッ
「不服そうにするでないわ」
……なんで顔にも気配にも出してないのに見抜けるんだろう。……怖いよ。
「忍隊に探りを入れたが、皆そろって佐助には手のかかる子供がいないと駄目だ、しかし自分たちでは幸村ほど天然の暴走はできぬ、と口をそろえて言いよったぞ」
あれ……俺ってさあ……一流の忍びだよね……?
内心なんて何時だって見せないでいられる、素敵に無敵な忍びだよ、ねえ?
コロコロ変わる表情なんて全部偽物なんだよ、そんなのみんな解ってるはずだよ。
なのに何で、みんな口そろえるの?
「良き子に恵まれて良かったのう」
なんでお館様ニヤニヤしてるの?
「北条攻めでは一層精彩を欠きよって……
幸村が伊達と幸せそうにしておった程度で、気落ちするでないわ!
子は巣立つものと心得ぃ!」
ホントにーやにや笑いながらのお叱りを受ける。
でもそれ違いますよ絶対!相手が強かったの手強かったの!
「その上幸村様、などと呼びおってからに。跡目を継いだ兄や妹達がどうしているのか、
佐助の口から聞きたかったが声をかけにくいと、寂しげにしておったのだぞ?」
え、そうだったの?やだなー水くさいよー。
そりゃちゃんとした情報は嫁いじゃったから言えないけど、それでもちょこっとした事くらいは言えたのに。
旦那に渡した守り袋とおそろいのを買ってきたら喜んで下さったんですよ、みんな肌身離さず持ってるみたいですよ、とか。
「正直者め」
あ。
「子の幸せを祝福してやるが親の務めというものよ。
己がおらずとも、などと拗ねるは慢心ぞ佐助ェ!修行が足らぁぁん!」
親じゃないんですけどまあ、ぴしっとかしこまり直すとお館様も表情を改めた。
「降格も考えたが、真田のオカン、否否、武田のオカンの名も高い佐助に見守られねば
やる気の出ぬ者もおることじゃ。折良く得た新たな子、よっく面倒をみるがよい!」
えっ、あの、そんな呼ばれかたしてるの俺様?
ていうかクビになるトコだったの?
ちょ、ちょっと待って……
やる気でないヒトって誰、何、俺忍びじゃなくてオカンなの?
見守るオカンなの?
そりゃゆきむ……いやあの旦那の育児はやったけどさ、
その、武田軍全体のオカ……ン?
あ、あの俺……実家に帰っても良い?
ほんともう、泣きたいですよ……
ほんともう、泣きたいですよ……
終




