「君はいつも下品な色合いの服が多いからね。髪の毛だってみごとに赤毛だし。一つでも慎ましかやな色のものを身につけてみるといい」
そのまま、少女に椿を手渡す。
しばしの間、少女は手にした椿をじっと見つめると、髪に椿を挿した。
そして立ち上がると、くるりと一回転。頬を桃色に染めて、悪戯がばれた子供のように照れ笑いを浮べた。
しばしの間、少女は手にした椿をじっと見つめると、髪に椿を挿した。
そして立ち上がると、くるりと一回転。頬を桃色に染めて、悪戯がばれた子供のように照れ笑いを浮べた。
「・・・・・・可愛い?」
可愛かった。
とてもとても可愛かった。
想いにまかせて抱きしめたかった。
しかし、それ以前に、僕は衝撃を受けていた。
自覚してしまったのだ。
とてもとても可愛かった。
想いにまかせて抱きしめたかった。
しかし、それ以前に、僕は衝撃を受けていた。
自覚してしまったのだ。
このこはおんなのこなんだ
「―――――調子にのらないでね、不細工」
「はああああああああああああああ!!?」
「君みたいなガサツ極まりないのが、花なんて片腹痛いよ。鏡見てきな、鏡」
「うるっせぇぇぇぇぇぇぇぇ!!お前が持ってきたんだろうがー!」
「手近に白いものが無かっただけだよ。いつもみたいに棍棒振り回してるほうがまだマシだね」
「俺がいつ棍棒振り回したよ!?珍しく優しいと思ったら、上げて落とすためかちくしょー!!」
「口大きいね」
「黙れ!陰険!根暗!イヤミ!もやしっ子!」
「殴られたいの」
「はああああああああああああああ!!?」
「君みたいなガサツ極まりないのが、花なんて片腹痛いよ。鏡見てきな、鏡」
「うるっせぇぇぇぇぇぇぇぇ!!お前が持ってきたんだろうがー!」
「手近に白いものが無かっただけだよ。いつもみたいに棍棒振り回してるほうがまだマシだね」
「俺がいつ棍棒振り回したよ!?珍しく優しいと思ったら、上げて落とすためかちくしょー!!」
「口大きいね」
「黙れ!陰険!根暗!イヤミ!もやしっ子!」
「殴られたいの」
結局いつものように喧嘩になって。
おさまったのは半刻ほど後。
お互いぼろぼろで、もう花は散ってしまっていた。
おさまったのは半刻ほど後。
お互いぼろぼろで、もう花は散ってしまっていた。
「・・・ばーか、はんべの、ばか、あほう」
「僕が悪かったよ。そろそろ機嫌を直してくれ」
「あやまるくらい、なら、さいしょっから、すんな、あほう」
「僕が悪かったよ。そろそろ機嫌を直してくれ」
「あやまるくらい、なら、さいしょっから、すんな、あほう」
くすん、と鼻をすする音がした。
背を向けられているの顔は窺えないけれど、きっと涙目になっているに違いない。
ああ、また泣かしてしまった。
泣かすのは僕のなのに、慰めるのはいつもあの大柄な親友だから、慰め方がよく解らない。
ねぇ、どうしたら君は笑ってくれるんだい?
あの時の様に笑ってよ。
あの時。
背を向けられているの顔は窺えないけれど、きっと涙目になっているに違いない。
ああ、また泣かしてしまった。
泣かすのは僕のなのに、慰めるのはいつもあの大柄な親友だから、慰め方がよく解らない。
ねぇ、どうしたら君は笑ってくれるんだい?
あの時の様に笑ってよ。
あの時。
「・・・・・・・」
「慶次君」
「・・・なに」
「・・・なに」
まだぐずっている彼女の背後にゆっくりと回る。
「なんだよ、まだなんか――――――」
降らせたのは、大輪の白椿。
庭から摘んできたそれらが、少女の頭上にぱらぱらとかかる。
雪のように
雪のように
庭から摘んできたそれらが、少女の頭上にぱらぱらとかかる。
雪のように
雪のように
あぁ、やっぱり君には白が似合う。
「・・・・・・っ」
「慶次君?」
「慶次君?」
黙ってしまった。やっぱり駄目だったのか。
「っぷ・・・くくっ・・・半兵衛おまえ・・・頭いいのか、悪いのか・・・」
失礼な。君よりは遙かにいいよ。
「ふふふっ・・・」
少女は零れおちた椿を手に取り、僕が欲したおひさまみたいな笑顔で言った。
「はんべのばぁか」
あぁ、そうだね。自分でもつくづくそう思うよ。
君が笑ってくれるなら何でもするだなんて、そんな陳腐な考え、馬鹿しか思いつかないだろう。
君が笑ってくれるなら何でもするだなんて、そんな陳腐な考え、馬鹿しか思いつかないだろう。