雪深い師走の奥州。
伊達家の居城である米沢城の一室で
歳末の雑事をこなしていた片倉小十郎は、
スパン!と小気味のよい音を響かせ、威勢よく襖を開けて
部屋に入り込んで来た主君の姿に、思わず手に抱えていた
文書の束を足元にバサバサと取り落とした。
歳末の雑事をこなしていた片倉小十郎は、
スパン!と小気味のよい音を響かせ、威勢よく襖を開けて
部屋に入り込んで来た主君の姿に、思わず手に抱えていた
文書の束を足元にバサバサと取り落とした。
「Merry Xmas!!小十郎!!」
「…は?」
元気のよい笑顔で、なにやら異国の言葉を言い放つ政宗は
いつもの青い陣羽織と鎧兜ではなく、見た事もない異国の着物で身を包んでいた。
鮮やかな赤とモコモコとした白い布地で作られたそれは、
上半身こそ暖かそうにしっかりと肌を覆っているが、下半身は
太腿の途中までしか布地がなく、そこから膝丈の長靴までの
肌がすっかり露出しているという、何とも奇妙なものだった。
いつもの青い陣羽織と鎧兜ではなく、見た事もない異国の着物で身を包んでいた。
鮮やかな赤とモコモコとした白い布地で作られたそれは、
上半身こそ暖かそうにしっかりと肌を覆っているが、下半身は
太腿の途中までしか布地がなく、そこから膝丈の長靴までの
肌がすっかり露出しているという、何とも奇妙なものだった。
「まま政宗様ッ!!なんという格好を…!!お気は確かですか?!」
「確かに決まってんだろ。今日は南蛮の「くりすます」とかいう
祭りの日だって長曾我部に聞いたんで、その衣装を特別に誂えたんだよ。
…どうだ?なかなかCuteだろ?」
祭りの日だって長曾我部に聞いたんで、その衣装を特別に誂えたんだよ。
…どうだ?なかなかCuteだろ?」
そう言ってくるんと回ってみせる政宗の、短い裾から覗く
真っ白い脚から、小十郎は器用に目を逸らした。
そして「また長曾我部か」と内心舌打ちをする。
西海の鬼・長曾我部元親は政宗を大層気に入っているらしいが、
南蛮の妙な品々を頼んでもいないのに送り付けて来たり、
これまた南蛮の妙な風習を政宗に吹き込んで来るのが難点だった。
真っ白い脚から、小十郎は器用に目を逸らした。
そして「また長曾我部か」と内心舌打ちをする。
西海の鬼・長曾我部元親は政宗を大層気に入っているらしいが、
南蛮の妙な品々を頼んでもいないのに送り付けて来たり、
これまた南蛮の妙な風習を政宗に吹き込んで来るのが難点だった。
以前も政宗に南蛮の女中の着物だとかいう
やけにヒラヒラとした、はしたない着物を贈って来たせいで、
それを着た政宗に散々迫られ、小十郎は心身ともに
クタクタに疲れ切っていたのだった。
やけにヒラヒラとした、はしたない着物を贈って来たせいで、
それを着た政宗に散々迫られ、小十郎は心身ともに
クタクタに疲れ切っていたのだった。
「この寒さの中でそのような薄着をして、お風邪を召したら如何いたします。」
「うるせぇな!平気だよ。それより小十郎。お前、何が欲しい?」
「は?」
何でも、この「くりすます」という祭りは、
赤い服を着た爺さんが「よい子」に贈り物をするという趣旨の行事らしい。
秋田の「なまはげ」の変形したようなもんだろうかと
小十郎がぼんやり考えていると、政宗は同じ質問を再度訊いて来た。
赤い服を着た爺さんが「よい子」に贈り物をするという趣旨の行事らしい。
秋田の「なまはげ」の変形したようなもんだろうかと
小十郎がぼんやり考えていると、政宗は同じ質問を再度訊いて来た。
「小十郎。お前は毎年そうだが、今年も「よい子」だったから
何でも褒美にやるぜ?…何が欲しい?」
何でも褒美にやるぜ?…何が欲しい?」