戦国BASARA/エロパロ保管庫

幻惑の炎

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nozomi

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  • 毛利×半兵衛(♀)でエロ含む。
  • でも愛はない。
  • しかも死にネタ
  • 読後にもやもや感残る話


まだ春と呼ぶには少々早く感じるが、それでも吹き抜ける風は随分と和らいできた。
芽吹き始めた木々の枝先を見上げ、彼女は眩しげに目を細める。
白に近い癖の強い髪は短く切り揃えられている。
目元を独特の形をした仮面で覆い隠しているが、端整な顔立ちをしているのは一目で分かる。
彼女は洋風の作りをしている外套の襟を少し寛げると軽く息をついた。
「半兵衛様、少し休憩なされては…」
肺に持病を抱えている為、あまり丈夫ではない彼女を気遣ってのことだろう。
少し後ろに馬をつけていた部下が声を掛けてきたが、ゆっくりと首を横に振る。
「いや、先を急ごう」
雲行きがあやしくなる前に着きたいからね、と言うと、竹中半兵衛は馬の横腹を蹴った。



先程までは晴れていた空が薄暗くなり始めた。
湿気を含んだ空気が纏わり付き、雨の到来が近いことを告げている。
門のあたりが騒々しくなり、人の行き交う音がする。
予定よりも早いな、と呟くと、彼は障子の向こうに人の気配を感じて振り返る。
「大阪よりの使者が到着されました」
部屋で一人、机に向かって筆をとっていた毛利元就はその声に、わかった、と答える。
広げていた書類を片付け、書きかけの文をしまうと席を立った。



「雨に降られるかと思ったんだけど」
間に合ったみたいで良かったよ、と半兵衛は薄く笑いを浮かべた。
「余程、大阪は暇と見える」
広間に通された使者の一行を見渡し、元就は手にした扇子を軽く口元へと当てる。
「まあね、しばらくは大きな戦いもないだろうし…」
くすくすと意味深に笑う彼女の声に、元就の眉が僅かに上がる。
短く鼻を鳴らし、視線を外すように城の庭へと目を向けた。
ぽつり、ぽつり、と振り出した雨はいまや大粒となり、ざあざあと戸板に当たって音を立てていた。
「君達と和議を結べたのは運が良かったよ」
「…竹中、雑談をしに来たのなら疾く帰れ」
手の甲で払うような仕草をしながら、顔を顰めた元就を見遣り、半兵衛は両手を挙げて肩を竦めた。
「僕は豊臣から正式に使わされた使者だ、無碍に追い返すことは得策じゃあないだろ?
 頭の良い君の事だから承知しているよね、元就君」
わざと嫌味のある笑みを浮かべると、半兵衛は盛大な溜め息をついた。
用件は半月ほど前に文面で知らせてある。
中国領内を視察したい、という一方的な内容であり、こちらの可否は関係ない。
「この天気では視察も難しかろう」
今日は早めに休息でも取っておけ、と言い捨てると、元就は脇に控えていた部下に案内するよう命じた。


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