戦国BASARA/エロパロ保管庫

ハナシノブ15

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bsr_e

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木枯らしが吹くようになっても佐助はまだ戻らなかった。
冬になる前に帰りたいと言う希望は叶わなかったようだ。
暮が近付くと一段と寒さが厳しくなり、雪が舞うようになった。
寒さが障りにならないか心配したが、彼が多めに薪を用意していたお陰で
体調を崩す事は無かった。
――ひゅうううう
年が改まって間もない晩、かすがはその音で目を覚ました。
――ひゅうううう
最初はただの風の音だと思ったがどうも違う。
――ひゅうううう
この呼び掛ける様な音は一体何の音だったろう。
――ひゅうううう
どうも気になって寝巻のままそっと縁側の戸を細く開けた。
――ひゅうううう
「―――!!」
外を見たかすがは文字通り凍り付いた。
満月を背にして庭先にあの男が立って居る。
自分から忍としての命を奪った男。
姿を見た者は全て葬り去って来た故に伝説と呼ばれる男――。
声にならない声で彼女は呟いた。
「……悪、魔」
――ひゅうううう
答える代りにその口から風の音がした。
体は震えて足が竦み一歩も動けないが、今ここで死ぬ訳には行かない。
悪魔はジリジリ彼女に近付いて来た。彼女は僅かに後退る。
(まだ死ねない)
悪魔の姿が一段と大きく迫り、その影が彼女を完全に呑み込んだ。
(私は、まだ死ねないんだ――)



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