戦国BASARA/エロパロ保管庫

ハナシノブ16

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「どうした?佐助」
突然足を止めた従者を見て、白い息を吐きながら幸村が馬上から尋ねた。
任を終え帰路を急いでいる所だ。
「いや…何でも無え」
「ならばぐずぐずするな。また雪が降り始めたら厄介だぞ」
若い主はせっかちに手綱を握り直した。
ただでさえ信濃は急峻な地形のせいで行軍が困難だが、これ以上雪で足止めを
食うのは何より避けたい。
「分かってますって」
答えながら佐助は妙な胸騒ぎを覚えた。
(まさか、な)
白いものがヒラリと視界を過ぎる。二人は同時に天を仰いだ。
「また降り出したか……急げ、後僅かだ!」
幸村は忌々しげに呟くと隊員達に号令した。
遅れたりはぐれたりする者が居ないか佐助は眼を光らせる。
ふと自分の掌に雪が舞い落ちるのを見た。
体温で雪が儚く融けていく様は余計な事を思い出させる。
掴んだと思ったものがすり抜けた時の苦い思い。
一度目は奪われ二度目は自分の目の前で喪い掛けた。
ふと三度目はあるのかと考え、佐助は拳を握り締め視線を隊へ戻す。
かすがに執着するのには理由があった。
彼女と居れば、普段忘れがちな人としての感情が甦る。
隠し切れない血腥さを持つ自分でも、まだ人間なのだと確認したかった。
自分が剣なら彼女は鞘で、二つ揃わなければ意味がない。
鞘を喪えば自分は返り血塗れの抜き身の剣になってしまう。
抜き身の剣は敵味方関係無く傷付け、徐々にヒビが入って最期は折れる。
かすがを喪うのは最も忌諱すべき事だった。


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