山の中を息を切らせ、走り抜ける。
雨でぬかるんだ泥土は一歩足を進める度にべしゃりとお粗末な音を立てていた。
これでは近くに敵が来ればすぐに見付かってしまうだろう。
けれど、敵方に悟られぬよう進軍していた別働隊がこうして破られた今、一刻も
早く本隊と合流せねばならない。
奇襲を受けてまだ生き延びていたはずの者達もほとんど力尽きてしまった。
雨でぬかるんだ泥土は一歩足を進める度にべしゃりとお粗末な音を立てていた。
これでは近くに敵が来ればすぐに見付かってしまうだろう。
けれど、敵方に悟られぬよう進軍していた別働隊がこうして破られた今、一刻も
早く本隊と合流せねばならない。
奇襲を受けてまだ生き延びていたはずの者達もほとんど力尽きてしまった。
(思った以上に消耗が激しい……!)
「幸村様!せめてその足の手当てだけでも」
一歩後ろからついてきていた兵にそう言われ、幸村は右足の動きが鈍いことによ
うやく気付いた。
具足についた血は元の赤色に混じりよくわからなくなってしまっているが、炎の
ような模様が施された戦装束の下履きは、白という色の性質柄赤く染まり上がり
、それが出血量の多さを物語っていた。
うやく気付いた。
具足についた血は元の赤色に混じりよくわからなくなってしまっているが、炎の
ような模様が施された戦装束の下履きは、白という色の性質柄赤く染まり上がり
、それが出血量の多さを物語っていた。
「今はお館様の元へ急ぐが先決!なに、これしきの怪我……っ!?」
ばさばさと鳥達が一斉に舞い上がる音と共に響く銃声。
別働隊である幸村達の裏をかいて奇襲を仕掛けてきたのは女の忍が率いる隊であ
ったはず。
ならばこの銃声は……――
別働隊である幸村達の裏をかいて奇襲を仕掛けてきたのは女の忍が率いる隊であ
ったはず。
ならばこの銃声は……――
「また別の追手か!!?」
ここまで距離が近付いてしまっては鉢合わせするのも時間の問題だろう。
ならば少しでも視界の広い場所へと幸村達は走り出した。
ならば少しでも視界の広い場所へと幸村達は走り出した。
「幸村様!あれを!」
背後に控えていた兵が顔面を蒼白にさせて恐怖か武者震いか、震える指が指し示
した先。
遠目に見ても奇天裂な旗印は。
した先。
遠目に見ても奇天裂な旗印は。
「伊達軍……!?最北端の一揆鎮圧に遠征中との情報では……――!!」
伊幸3
伊幸3