戦国BASARA/エロパロ保管庫

「上手に焼けました♪」2

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そうこうしてる内に戦局は激しさを増していく。
これこれこうで豊臣と織田の全面対決。
秀吉は本陣から前線へ。半兵衛は本陣から離れた、織田側からは悟られない場所で指示を出していた。元就は城に置いてきた。
何とか自軍有利に持っていけてる豊臣。このまま順調にいけば勝利。
と希望が見えたその先に、半兵衛の陣が爆破された。どこからか出てきた松永軍。
撤退する半兵衛。しかし道中、激しく咳きこんで進めなくなってしまう。爆風を吸いこんでしまったからだ。
松永は追いかけてこない。あの男の性格からして単に茶々を入れたかっただけかと察したものの、悔しくて腹立たしくて仕方ない半兵衛。
どうにかこうにか大きな木の洞に身を置く半兵衛と少数の兵の皆さん。
兵の皆さんは散り散りになってて、ちょっと、いや相当心もとない。
困った。
そこに現れた一頭の白馬。上に乗ってるのは何と元就。何やらでっかい風呂敷包みを抱えてる。
白馬の王子様ならぬお嫁様に目がまん丸の旦那さまご一行。
「何でここにいるんだい?」
お嫁様赤面しつつ、しかし堂々と
「知れたこと!そなたらに飯を持ってきたやったわ!」
持ってきた大きな包みは何とお弁当箱。何段のも重箱にみっちり入った様々な……黒こげ?
「……これ、君が?」
さすがに失敗を無言で認めたままうつむく元就。
「……精を、つけさせねば……と」

結局、今回の戦は織田方にも松永の邪魔が入って、なし崩しになってしまった。
何とか城に帰ってきた半兵衛たち。
落ち着いたところで改めて聞いてみると、元就語るに曰く、
半兵衛に元気になって欲しかった。と。
自分は化粧どころか家事も料理も女性らしい事は何も出来ない。
でも狩りはできる。猪くらい朝飯前である。ここで伊達さんの登場です。
滋養をつけるには肉が良いときいた。
料理上手と名高く、かつ肉料理と言えば欧米の風習にも詳しそうな伊達ならきっと良い調理法を知っているに違いない、と。
病気に苦しむ半兵衛が、亡くした自分の家族に重なった。出会いはどうあれ、家族に死なれるのはもう嫌だった。
でも他人は信用できない。ここは敵陣真っ只中。自分は恨みも買っている。
今までの経験には実際に毒を盛られたこともあったし、自分も必要ならばそうするから。
「何も全部、君一人が負わなくても」
「それはそなたのことであろう」
半兵衛こそが、その身一人で全部背負おうとしているのだ。
現在の事、未来の事、自分は死ぬ身だからと急いで走ろうとする。
豊臣の、秀吉の、そして元就のためと言っては自分を見ないのだ。
「それを、我がどんなに」
それきり口を噤む元就。
沈黙。半兵衛、軽く溜息。心配するのはこちらの役目だとばかり思っていたのに。
「で、君が狩ってきた獲物を、さばいて焼いて?」
こっくり頷く元就。姿形は華奢で可憐なのに、いつか秀吉が言ったように山猿だ。それも大将格。
「もうよい。そなたが喰わぬのならば、我が」
黒こげお重に手をのばして口に運ぶ元就。じゃりじゃり飛ぶ黒こげカスは頬にくっついた。
半兵衛、ちょっと笑って、「いいから、もう……気にすることなんて、」
頬を舐めて、いや口づけして、黒こげ取ってあげた。
きょとんとした後、真っ赤に爆発して座布団投げる元就。
「痛い痛い。僕の身を案じてくれてるんじゃなかったのかい」
「知るかっ!」

その後しばらく。
何とかやっとこ天下を取った豊臣。
負担が減って戦もなくなって、半兵衛は以前よりだいぶ体調が良くなった。
元就は相変わらず家事が下手だけど、いいから大人しくしてて下さいと押しのけてくる侍女たちには心を開いたようで、食事も任せるようになった。
それでもたまに時間が空いた時は、二人で山に入って狩りをして獲物を獲ってくる。
猪はちょっと大きすぎるから兎くらいにしといている。
元就も少しづつ料理がうまくなった。少なくとも問答無用で炭にすることはなくなった。
今日はよく肥えた山鳥を捕まえました。
さっそくさばいて調理します。
香ばしい匂い。
穏やかな風。きらきらの木漏れ日。苦しくない肺。生きてる自分。一生懸命な、妻。
改めて実感、香ばしい匂い。
彼女が得意げに顔をあげてきます。
半兵衛は笑って応えます。

「上手にやけました」

おしまい。
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