反省はしていた。手を振ったのがマズかったらしい。
深緑色したアメリカンスリーブのドレスを纏った歌姫は、
「二度と来るな」と楽屋で柳眉を吊り上げた。
お見限りかと店の外へ出た矢先、後頭部に何かが勢い良く当る。
「いてっ!」
三日月くらい幅の細いストラップ付きのミュールが一足転がり、
その後ろにはショールを羽織った歌姫が腕組みして立っていた。
不貞腐れているのが一目瞭然だ。
寒空の下、スリットから伸びる彼女の足は何故か片方だけ爪先を覗かせている。
「あのさぁ…。呼び止めるなり他にやり方ってもんがあるだろ?」
痛む頭を擦りながら溜め息を吐いてミュールを拾う。
「勝手にすっぽ抜けたんだ」
ヒラヒラと素足を振って見せながら涼しい顔で歌姫は返した。
「嘘吐け」
どうやったらストラップが勝手に外れるのだろう。
跪いて白いふくらはぎを捕まえ、ミュールのストラップを止めてやる。
その間歌姫は自分の肩に手を置いていた。
「これで良し、と」
肩に触れていた繊手が離れるのが何となく寂しい。
歌姫がプイと外方を向く。
立ち上がった時見た頬が微かに赤かったのは見間違いだろうか。
「さっきは本当にゴメン。ね、また来ても良い?」
「お前が店に来ると調子が狂う」
「じゃあさ」
満面の笑みで手を差し延べる。
「俺様の部屋に来ない?お手をどうぞ、お姫様――なんてな」
横目で一瞥した歌姫は恭しく差し延べられた手に左手を添える。
「フン…」
が、次の瞬間右の拳は橙色の鳩尾にめり込んでいた。
「ぐっ…まさか…本気で殴るとは思わなかった、ぜ…」
蹲る橙色を冷たく見下し吐き捨てる。
「調子に乗るな」
深緑色したアメリカンスリーブのドレスを纏った歌姫は、
「二度と来るな」と楽屋で柳眉を吊り上げた。
お見限りかと店の外へ出た矢先、後頭部に何かが勢い良く当る。
「いてっ!」
三日月くらい幅の細いストラップ付きのミュールが一足転がり、
その後ろにはショールを羽織った歌姫が腕組みして立っていた。
不貞腐れているのが一目瞭然だ。
寒空の下、スリットから伸びる彼女の足は何故か片方だけ爪先を覗かせている。
「あのさぁ…。呼び止めるなり他にやり方ってもんがあるだろ?」
痛む頭を擦りながら溜め息を吐いてミュールを拾う。
「勝手にすっぽ抜けたんだ」
ヒラヒラと素足を振って見せながら涼しい顔で歌姫は返した。
「嘘吐け」
どうやったらストラップが勝手に外れるのだろう。
跪いて白いふくらはぎを捕まえ、ミュールのストラップを止めてやる。
その間歌姫は自分の肩に手を置いていた。
「これで良し、と」
肩に触れていた繊手が離れるのが何となく寂しい。
歌姫がプイと外方を向く。
立ち上がった時見た頬が微かに赤かったのは見間違いだろうか。
「さっきは本当にゴメン。ね、また来ても良い?」
「お前が店に来ると調子が狂う」
「じゃあさ」
満面の笑みで手を差し延べる。
「俺様の部屋に来ない?お手をどうぞ、お姫様――なんてな」
横目で一瞥した歌姫は恭しく差し延べられた手に左手を添える。
「フン…」
が、次の瞬間右の拳は橙色の鳩尾にめり込んでいた。
「ぐっ…まさか…本気で殴るとは思わなかった、ぜ…」
蹲る橙色を冷たく見下し吐き捨てる。
「調子に乗るな」




