「良かったじゃねえか。――本当に。」
そう言ってやると、いつきは戸惑うように瞳を泳がせてから小十郎を見上げた。
「ふふ……やっぱり小十郎さんは見た目と違って優しいだな。」
くしゃりと泣き笑いのように顔をゆがませる。
いつきの瞳から涙がぽとりと一粒落ちた。
そう言ってやると、いつきは戸惑うように瞳を泳がせてから小十郎を見上げた。
「ふふ……やっぱり小十郎さんは見た目と違って優しいだな。」
くしゃりと泣き笑いのように顔をゆがませる。
いつきの瞳から涙がぽとりと一粒落ちた。
「すまねえ……おら……おら……。」
「泣きたいなら泣けばいい。嬉し泣きなら、俺は文句は言わねえよ。」
そう言ってやると、あの時の様にいつきは小十郎の胸に顔を埋めると、わあわあと泣き出した。
「泣きたいなら泣けばいい。嬉し泣きなら、俺は文句は言わねえよ。」
そう言ってやると、あの時の様にいつきは小十郎の胸に顔を埋めると、わあわあと泣き出した。
怖かったと言った。
もうずっとこのままなのかと不安だったと。
小十郎があの日泣かせてくれたから、
自分の気持を分かってくれる人が居たから、
それでも頑張れたんだと。
もうずっとこのままなのかと不安だったと。
小十郎があの日泣かせてくれたから、
自分の気持を分かってくれる人が居たから、
それでも頑張れたんだと。
やはり、泣く場所が無かったのかと思う。
無事成長が始まったからと言って、村人の前で手放しに喜ぶことは出来なかったのだろう。
あそこではいつきは生きた守り神だった。
幼い神の巫で在る内は村は安泰だと思っていたに違いない。
少し抱く力を強めてやると、いつきは『小十郎さん』とうわ言の様に名前を呼んだ。
無事成長が始まったからと言って、村人の前で手放しに喜ぶことは出来なかったのだろう。
あそこではいつきは生きた守り神だった。
幼い神の巫で在る内は村は安泰だと思っていたに違いない。
少し抱く力を強めてやると、いつきは『小十郎さん』とうわ言の様に名前を呼んだ。
政宗は先程『お邪魔みたいだから俺は帰るぜ』と去っていった。
何やら誤解しているようで『上手くやんな』と去り際に言われ、少し頭が痛かった。
下世話な勘繰りだといさめようとはしたが、腕の中でいつきが泣いているので出来なかった。
何やら誤解しているようで『上手くやんな』と去り際に言われ、少し頭が痛かった。
下世話な勘繰りだといさめようとはしたが、腕の中でいつきが泣いているので出来なかった。
それに話をきちんと聞いてやるなら、何も知らない政宗が居るのは不都合でもあった。
後で説教だ。
そう思っているといつきが言った。
「また、汚しちゃっただな。」
済まなそうにいつきは小十郎の着物を撫でた。
「構わねえさ。」
後で説教だ。
そう思っているといつきが言った。
「また、汚しちゃっただな。」
済まなそうにいつきは小十郎の着物を撫でた。
「構わねえさ。」
いつきは泣きやんでも小十郎にしがみついたままだった。
女らしく育ったと言っても小柄は小柄なままで、あの時と同様にいつきの体は小十郎の腕の中にすっぽりと収まる位だ。
「もう、平気か?」
そう聞くと察したのか、
「あ、ああ、済まなかっただな。おら、何だか嬉しくなっちまって……。」
と名残惜しそうにいつきは小十郎から身を離した。
女らしく育ったと言っても小柄は小柄なままで、あの時と同様にいつきの体は小十郎の腕の中にすっぽりと収まる位だ。
「もう、平気か?」
そう聞くと察したのか、
「あ、ああ、済まなかっただな。おら、何だか嬉しくなっちまって……。」
と名残惜しそうにいつきは小十郎から身を離した。
「少し腫れたな。」
涙で赤くなった目尻をそっと撫でてやると、いつきはびくりと体を震わせ、頬を朱に染めた。
はずかしそうにうつ向いて目を反らす。
その仕草に、何か悪いことをしたような気がして小十郎は手を放した。
涙で赤くなった目尻をそっと撫でてやると、いつきはびくりと体を震わせ、頬を朱に染めた。
はずかしそうにうつ向いて目を反らす。
その仕草に、何か悪いことをしたような気がして小十郎は手を放した。
どうしてだろう。
どこか居心地が悪い。
どこか居心地が悪い。
「顔を冷やした方がいい、今水を汲んできてやる。」
そう言って小十郎はいつきに背を向けた。
「こ、小十郎さん!」
背後からいつきが呼んでいる。
だが小十郎は「少し待ってろ」と言って、そそくさとその場を去った。
そう言って小十郎はいつきに背を向けた。
「こ、小十郎さん!」
背後からいつきが呼んでいる。
だが小十郎は「少し待ってろ」と言って、そそくさとその場を去った。




