――――――っ!
川中島は時が止まったように静かになった
川中島は時が止まったように静かになった
「…やりおるな」
「そなたこそ」
腕に傷を受けたものの謙信は辛うじて斧を受け止めていた
「われわれはこれでひきます。だが、これでおわったわけではないですよ」
謙信はそう言い捨てると斧を押しやり、そのまま走り過ぎるように撤退した
かの者を追うように上杉軍も退却していった
「そなたこそ」
腕に傷を受けたものの謙信は辛うじて斧を受け止めていた
「われわれはこれでひきます。だが、これでおわったわけではないですよ」
謙信はそう言い捨てると斧を押しやり、そのまま走り過ぎるように撤退した
かの者を追うように上杉軍も退却していった
「御館様ああぁぁぁぁぁぁ!!」
信玄の元に幸村が滑るように走りこんできた
「御館様あぁっ! そのお怪我はっ!! ああ、この幸村…」
「案ずるな、幸村! ほんの掠り傷じゃわい」
心配してあたふたしている幸村に信玄は豪快に笑いつつ答えた
「武田の旦那、追わなくていいんですか?」
佐助が木の陰からひょいと現れた
「いいや、追わずともそやつとはいずれまた決着をつける日が来るだろう。それに…」
信玄はふと辺りを見回した
多くもの武田軍、上杉軍の兵士が川中島の地に倒れている
彼らの死がこの決戦の壮絶さを物語っていた
「確かにね…」
信玄が語らずとも佐助はこの事態を理解した
「わしもこの合戦まで緊張しっぱなしじゃ。少しは休まないと身が持たん」
信玄は大きく溜息をついた
「…それでしたら、旦那。いい話がありますぜ」
佐助はニヤッと笑った
信玄の元に幸村が滑るように走りこんできた
「御館様あぁっ! そのお怪我はっ!! ああ、この幸村…」
「案ずるな、幸村! ほんの掠り傷じゃわい」
心配してあたふたしている幸村に信玄は豪快に笑いつつ答えた
「武田の旦那、追わなくていいんですか?」
佐助が木の陰からひょいと現れた
「いいや、追わずともそやつとはいずれまた決着をつける日が来るだろう。それに…」
信玄はふと辺りを見回した
多くもの武田軍、上杉軍の兵士が川中島の地に倒れている
彼らの死がこの決戦の壮絶さを物語っていた
「確かにね…」
信玄が語らずとも佐助はこの事態を理解した
「わしもこの合戦まで緊張しっぱなしじゃ。少しは休まないと身が持たん」
信玄は大きく溜息をついた
「…それでしたら、旦那。いい話がありますぜ」
佐助はニヤッと笑った
「ほぉ、『おんせん』ですか」
日が暮れ辺りに灯りがともされる頃、謙信達は近くの常駐先で休んでいた
謙信はかすがからこの近くで怪我を癒すと言われる秘湯がある事を耳にした
「はい、謙信様は先ほどの戦いで怪我をなされております。それにこのところ
よく休まれていないかと思いまして…」
「なるほど…」
謙信は慈愛に満ちた笑みを浮かべかすがを見つめた
彼女の言うとおり川中島の合戦までの十数日間。強敵を前に一睡も出来てなかった
結果的には負けてしまったが、相手方にも大きな損害を与えられたのでまぁ良しとしよう
星合の空3
日が暮れ辺りに灯りがともされる頃、謙信達は近くの常駐先で休んでいた
謙信はかすがからこの近くで怪我を癒すと言われる秘湯がある事を耳にした
「はい、謙信様は先ほどの戦いで怪我をなされております。それにこのところ
よく休まれていないかと思いまして…」
「なるほど…」
謙信は慈愛に満ちた笑みを浮かべかすがを見つめた
彼女の言うとおり川中島の合戦までの十数日間。強敵を前に一睡も出来てなかった
結果的には負けてしまったが、相手方にも大きな損害を与えられたのでまぁ良しとしよう
星合の空3