戦国BASARA/エロパロ保管庫

お熱い夜がお好き2

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だぷん、と音を立てて湯船に入ると、幸村は天井を見上げた。
湯煙がまるで天井に紗を張ったかのようで、贅沢だ、と目を細めた。
冷え切った体が、じんわりと温まってくる。
泡を含んだ湯帷子が湯に浮かぶ。幸村は湯帷子を沈め、ぶくぶくと泡立つ湯船を眺めた。
幸村が奥州の「竜の右目」、片倉小十郎の元に嫁いで十分な時間になる。
奥州と甲斐の仲は険悪にも良好にもならず、同盟の体裁を保っている。
信玄が「若き竜」と呼ぶ女大名、伊達政宗は、今頃城の中で書類の山に埋もれているのだろう。
田植えの今の時期、かなりの人数を裂いて田植えを行う。城の者から農民まで、一斉に
田植えにかかるため、どうしても城中の人が減る。当然、雑事が増えてしまう。第一の側近である
小十郎もまた、仕事が増える。城に泊り込み、屋敷に戻る用事といったら、着替えを取りに、というだけだ。

幸村は指を折った。
「いつか……いや、三十と六日か」
一月前に顔を合わせて以来、幸村は小十郎を見ていない。
小十郎は「変わった事はないか」と尋ね、幸村は「留守はお任せくだされ」と答えた。
そうか、と髪を撫でられ――それから三十六日。
着替えを取りに来たと報告を受けて急いで表に出ても、小十郎は既に城に行ってしまう。
気兼ねをする必要などない、と昼餉を届けても、小十郎の部下が「小十郎様は
今忙しいっす」と言って申し訳なさそうに昼餉を受けとる。
毎年の事とはいえ、気分のいいものではない。
する事がないからと槍の稽古を積めば、女中に「体を壊しますよ」と怒られる。
どうやら、かなり無理をしているように見えるらしい。
頭を空にしたい。そうすれば、この妙な息苦しさから逃れられる。体が疲れ、何も考えずにすむ。
幸村は目をつぶって息を止め、頭の先まで湯に体を沈めた。
(……寂しい)
ああそうだ、と一層深く湯船に身を沈める。背中が湯船の底に着き、足が湯船から飛び出した。
不安とよく似ているが、少し違う。
逢いたいのに逢えない。すぐそこにいるのに、逢えない。もどかしい。
寂しいのだ。
逢いたい。顔が見たい。声が聞きたい。
(情けない)
小十郎は戦に出ている訳ではない。逢おうと思えば逢える。
だが、逢っていない。逢ったところで小十郎は忙しく、時間を作って
語らえば、その分仕事を終えるのが遅れてしまう。
待つことしか、できない。

「――!!」


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