戦国BASARA/エロパロ保管庫

しあわせのみち4

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さなだ げんじろう ゆきむら

「うーん…なんか長すぎるべ。おさむらいの名前ってよく分かんねえ」
何故もっと簡単な名にしないのかと、不可解そうに口を尖らせるいつきに、幸村は言った。
「呼ぶ時は“幸村”で良いでござる」

戦場で戦う前にも大きな声で名乗られたが、その時は彼の名を覚えることはできなかった。
傷を癒すためにこの城に滞在し、もう数日が経つ。仲間たちも元気になってきているようだし、そろそろ礼を言って出て行かねばならぬ頃合いだった。

「幸村、何してるだ?」
「あっ…こ、これは、佐助が買ってきた…」
「おいしそうな団子だな!もちろん、おらにも分けてくれるべ?」
「うう…」

戦場では恐ろしく強い男だった。そして、本当にうるさかった。
今だって、城内で鍛練をしている時は、遠くの部屋にいても絶叫が聞こえてくる。
まるで命を燃やすようなその叫びに、いつきの胸はいつも少し苦しくなる。

だが、武道から離れていつきの相手をしてくれる時の幸村は、明るく快活で礼儀正しく、時折いつきよりも子供っぽい面を見せる、ごく普通の青年だった。
団子も、初めて出会った時は分けてくれなかったが、今はあからさまに惜しそうにしながらも、いつきの分の団子を渡してくれる。

「いつき殿!何をなさるか!?」
「手に触っただけだべ」
少し触れただけなのにひどく慌てる幸村にかまわず、いつきは彼の手をぐいと引きよせた。
戦いの最中に受けた炎は激しかったが、今触れている手は春の日のように暖かい。

(幸村は、戦なんかしてない時のほうがいい…)

城にいる兵たちは、彼のことを紅蓮の鬼だの虎の若子だのと称えるが、いつきはそれが気に入らなかった。武人の幸村ではなく、今隣で団子を頬張っている幸村が良い。
あれだけ身体を動かせるのなら、戦よりも畑仕事をしたほうが良いのにと思う。
だが、彼はこの上田城の城主であり、いつきの故郷へ連れて行くことなど出来ない。
分かってはいても、どこか諦めきれぬ心持ちで、いつきは団子を一つ口に入れた。


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