目が覚めた時は、柔らかな布団の中にいた。のろのろと身体を起こすと、恐らく謙信のもの
であろう白い着物を着ている。あの後、そのまま眠ってしまったかすがに、謙信が手ずから着
せてくれたのだと思うと、恥ずかしいのと申し訳ないので、顔が熱くなった。
であろう白い着物を着ている。あの後、そのまま眠ってしまったかすがに、謙信が手ずから着
せてくれたのだと思うと、恥ずかしいのと申し訳ないので、顔が熱くなった。
「おや、おこしてしまいましたか?」
「あ、謙信様…申し訳ありません…!」
「あ、謙信様…申し訳ありません…!」
敷かれた布団の隣に座って書物を読んでいた謙信は、目を覚ましたかすがを認めて穏やかに
微笑んだ。主君より遅く起きるとは何事だろうか。青くなったかすがは、頭を下げようと体裁
を改める。だが、謙信は微笑んだままそれを制止させた。
微笑んだ。主君より遅く起きるとは何事だろうか。青くなったかすがは、頭を下げようと体裁
を改める。だが、謙信は微笑んだままそれを制止させた。
「かすが、そうではないでしょう」
「え…?」
「…おはようございます、かすが」
「え、あ…お、おはよう、ございます…け、謙信様…」
「よくできました」
「え…?」
「…おはようございます、かすが」
「え、あ…お、おはよう、ございます…け、謙信様…」
「よくできました」
かすがの言葉に、謙信は嬉しそうに笑う。これではまるで恋人同士ではないか。嬉しくて、
幸せなのに、くすぐったいこの感覚に慣れなくて、かすがは俯いた。謙信の顔が見れない。
幸せなのに、くすぐったいこの感覚に慣れなくて、かすがは俯いた。謙信の顔が見れない。
「さくばんは、むりをさせてしまいましたね」
「け、謙信様…!」
「け、謙信様…!」
昨夜のことを思い出して、身体が熱くなる。この人とひとつになったということが、未だに
信じられない。けれど、胸元に咲く紅い所有印が、夢ではなく本当のことなのだと、かすがに
教えていた。
信じられない。けれど、胸元に咲く紅い所有印が、夢ではなく本当のことなのだと、かすがに
教えていた。
「さて、しゅうげんはいつあげましょうかね」
「え…!?」
「…おや、かすがはいやなのですか?」
「いいえ!そんなことは…!」
「え…!?」
「…おや、かすがはいやなのですか?」
「いいえ!そんなことは…!」
そんなことは絶対ない。かすがは、心から謙信を愛しているし、謙信に愛されているとも感
じている。しかし、あまりの展開に頭がついていかないのも事実だ。つい昨日までは、いつこ
こから出て行こうかと考えていたくらいだったというのに。
不安そうに見つめるかすがの額に、謙信は唇を落とす。そのまま髪を撫で、掌を重ねた。
じている。しかし、あまりの展開に頭がついていかないのも事実だ。つい昨日までは、いつこ
こから出て行こうかと考えていたくらいだったというのに。
不安そうに見つめるかすがの額に、謙信は唇を落とす。そのまま髪を撫で、掌を重ねた。
「……それでは、さきにふたりででかけでもしましょうか」
「…お出掛け、ですか?」
「ええ。そなたににあうきものやかみかざりでも、みにいきましょう」
「…お出掛け、ですか?」
「ええ。そなたににあうきものやかみかざりでも、みにいきましょう」
謙信が微笑む。いつもの微笑みだけれど、きっといつもとは違う。かすがとの関係と同じよ
うに。変わってしまったけれど、ずっと側にいられるのは変わらない。
うに。変わってしまったけれど、ずっと側にいられるのは変わらない。
「……はい、謙信様」
かすがは、華が咲くように、笑った。
終わり




