「くっなら、あいつにするようにやって貰おうか。」
それも演技なんだろう?と嫌味を言ってやる。
と、その瞬間動きが止まり、鴟色の瞳がこちらを見据え寂しそうに笑った。
「ごめんなさい。」
予想外のその笑顔に泣き出しそうな瞳に小十郎は毒気を抜かれた。
胸に沸き上がりかけていた嗜虐心が庇護欲に代わる。
成り行きとはいえ無理に連れてきておきながら目が行き届かず酷い目に遭わせた。
だが何時もと変わらぬ飄飄とした態度に、そんな筈も無いのに、然程堪えていないのだと錯覚しかけていた。
それも演技なんだろう?と嫌味を言ってやる。
と、その瞬間動きが止まり、鴟色の瞳がこちらを見据え寂しそうに笑った。
「ごめんなさい。」
予想外のその笑顔に泣き出しそうな瞳に小十郎は毒気を抜かれた。
胸に沸き上がりかけていた嗜虐心が庇護欲に代わる。
成り行きとはいえ無理に連れてきておきながら目が行き届かず酷い目に遭わせた。
だが何時もと変わらぬ飄飄とした態度に、そんな筈も無いのに、然程堪えていないのだと錯覚しかけていた。
「……そうか、なら勝手にしろ。」
湯船で片倉さんはやけに丁寧に俺を抱いた。
部屋を片倉さんの居室に近い客間に変えて、普段はあまり部屋に篭るなと言った。
馬鹿な手合いが来たら死なない程度に追い払えと。
俺が無抵抗でやられてる様は随分酷い状態に見えたらしい。
下手に追い返すと余計に頑張るアホがいるし、めんどくさいから勝手にやらせてただけなんだけど。
湯船で片倉さんはやけに丁寧に俺を抱いた。
部屋を片倉さんの居室に近い客間に変えて、普段はあまり部屋に篭るなと言った。
馬鹿な手合いが来たら死なない程度に追い払えと。
俺が無抵抗でやられてる様は随分酷い状態に見えたらしい。
下手に追い返すと余計に頑張るアホがいるし、めんどくさいから勝手にやらせてただけなんだけど。
*
部屋が近いからか片倉さんは時々俺を抱きに来た。
別に嫌じゃあなかった。
だけど嫌がらせとか、他の奴への牽制とかその辺だと思うのに、妙に優しく抱いてくれて。
そんな筈も無いのに好意を持たれてるんじゃないかと勘ぐってしまう。
俺みたいなの本気で好きになる人が居るはず無いのに。
大将だって建前上騒いじゃいるけど、きっと本心ではホッとしていて、今頃は俺とは全然違う女らしい娘を毎晩閨に引き込んでいるんだろう。
別に嫌じゃあなかった。
だけど嫌がらせとか、他の奴への牽制とかその辺だと思うのに、妙に優しく抱いてくれて。
そんな筈も無いのに好意を持たれてるんじゃないかと勘ぐってしまう。
俺みたいなの本気で好きになる人が居るはず無いのに。
大将だって建前上騒いじゃいるけど、きっと本心ではホッとしていて、今頃は俺とは全然違う女らしい娘を毎晩閨に引き込んでいるんだろう。
そんな当然の事を思って、どうしてかじわりと目頭が熱くなった。
ばかじゃないの。
目を閉じて頭をぶるぶる振る。
こんな簡単に他の男に身体を許している薄汚れた草が今更何を悲しむことがあるというのか。
それにしても、何もする事がないってこんなに暇なんだね。
こっそり城の中探索とか領地散歩とかもやったけど全部みたしなあ。
今まで仕事が切れた事がなく自由に過ごしたことが殆んど無かったせいなのか。
甲斐でなら部具の調整とか旦那の相手とか、隊の編成とかいつも仕事が山積みだった。
何をやっても直ぐに終って、また手もちぶさたになる。
ばかじゃないの。
目を閉じて頭をぶるぶる振る。
こんな簡単に他の男に身体を許している薄汚れた草が今更何を悲しむことがあるというのか。
それにしても、何もする事がないってこんなに暇なんだね。
こっそり城の中探索とか領地散歩とかもやったけど全部みたしなあ。
今まで仕事が切れた事がなく自由に過ごしたことが殆んど無かったせいなのか。
甲斐でなら部具の調整とか旦那の相手とか、隊の編成とかいつも仕事が山積みだった。
何をやっても直ぐに終って、また手もちぶさたになる。
「甲斐が恋しいか。」
木の枝に座り雲の流れをぼんやり眺めていると下から声がした。
そんなつもりも無かったけど見ていた方向がそうだと言えなくも無い。
空は夕日を浴びて紅く染まっている。
「雲が紅いなって思ってさ。」
「……そうか。」
とだけ言って片倉さんは去っていった。
畑仕事が終ったんだろう。
……前から噂を聞いては居たけど、片倉さん畑を愛しちゃってるんだねえ。
収穫真っ只中、今年は豊作だったのか畑から帰ってくる片倉さんが気持ち悪いほど機嫌が良い。
それが少し羨ましい。
何かを大切だなんて気持ち、木偶の俺は持ち合わせちゃいない。
持って居ちゃいけないんだから。
木の枝に座り雲の流れをぼんやり眺めていると下から声がした。
そんなつもりも無かったけど見ていた方向がそうだと言えなくも無い。
空は夕日を浴びて紅く染まっている。
「雲が紅いなって思ってさ。」
「……そうか。」
とだけ言って片倉さんは去っていった。
畑仕事が終ったんだろう。
……前から噂を聞いては居たけど、片倉さん畑を愛しちゃってるんだねえ。
収穫真っ只中、今年は豊作だったのか畑から帰ってくる片倉さんが気持ち悪いほど機嫌が良い。
それが少し羨ましい。
何かを大切だなんて気持ち、木偶の俺は持ち合わせちゃいない。
持って居ちゃいけないんだから。
ただそう。
あの燃えるような紅色は真田の旦那みたいだねって思っただけ。
天気は悪くないのにやたらと大きい雲が赤から黒へと色を変えて行く。
黒くなった雲は次第に光を失っていく空に同化して姿が曖昧になって行く。
ぼんやりとそれを見ながら、もう帰れないんだと今更乍に思う。
こうして一日一日俺は死んで行くのだろう。
それでいい。
あの人達の邪魔にならないのなら。
雲が赤を無くして完全に黒に染まる様を俺はただ見つめていた。
あの燃えるような紅色は真田の旦那みたいだねって思っただけ。
天気は悪くないのにやたらと大きい雲が赤から黒へと色を変えて行く。
黒くなった雲は次第に光を失っていく空に同化して姿が曖昧になって行く。
ぼんやりとそれを見ながら、もう帰れないんだと今更乍に思う。
こうして一日一日俺は死んで行くのだろう。
それでいい。
あの人達の邪魔にならないのなら。
雲が赤を無くして完全に黒に染まる様を俺はただ見つめていた。
****************************************
以上です
それではごきげんよう
それではごきげんよう




