「伊達様は来ないんよ・・・」
お梅は気まずい面持ちで説明した。
「今朝、積み荷と一緒に伊達様の文も届いとったんだ。
でも、手違いで次郎さんの所の荷物に紛れていつきちゃんの所に届かなかったんだべ」
そうと気付かずに中身を見てしまった次郎は
文の内容を見て血相を変えて村中を探し回ったという。
「ごめんな、オラ、もっと早く気付いてれば・・・」
本当に申し訳なさそうに謝る次郎とは対象的に
平八郎はゲラゲラと笑い続けた。
「ほれ、わしの言った通りだろが!
それをこのだらずときたら、わしを端から嘘つきと決めつけてからに、
どうおとしまえつけてくれるんだ!?ああっ!?」
大人でもたじろいでしまいそうな怒声にお梅と次郎はびくりと肩を震わせた。
だが戦慣れしたいつきはその程度では怖じける様子もなかった。
しかし、今回ばかりはいつきにも問題があったのはたしかだ。
それにもし、平八郎が癇癪を興していつきだけでなく、お梅と次郎にまで被害が及ぶかもしれない。
それにいつきも悪い事をしたらまずどうするべきか解っていた。
「・・・悪かっただ」
ぽつりと、たった一言だけだが謝罪の言葉を口に出した。
だが、平八郎はそれでは満足しなかった。
「ああん?口の聞き方がなっとらんのう?」
「っ・・・、・・・ごめんなさい・・・」
「ああっ?耳が遠くてよう聞こえんなぁ?」
いつきはほんのりと桃色の小さな唇をぐっと噛み締め
「ごめんなさい!」
いつきは今度は先程よりはっきりと謝罪を口にした。
それにやっと満足したのか、平八郎はにぃ、と口端を吊り上げまたあの下品な笑い声を上げた。
「ははははははっ!そうだそうだ!子供は素直が一番だ!
今度からは目上の者に口聞く時は気をつけんとなぁ!
ぎゃはははははははははっ!」
平八郎はぐるりと踵を返すと肩を揺らしながら村の方へと歩き、帰っていった。
平八郎の後ろ姿が見えなくなって、それまで黙っていたお梅が漸く口を開いた。
「いつきちゃん・・・大丈夫?何かされんかった?」
後ろからのお梅の心配そうな声を聞いて、いつきは振り向きお梅にしがみついた。
お梅は気まずい面持ちで説明した。
「今朝、積み荷と一緒に伊達様の文も届いとったんだ。
でも、手違いで次郎さんの所の荷物に紛れていつきちゃんの所に届かなかったんだべ」
そうと気付かずに中身を見てしまった次郎は
文の内容を見て血相を変えて村中を探し回ったという。
「ごめんな、オラ、もっと早く気付いてれば・・・」
本当に申し訳なさそうに謝る次郎とは対象的に
平八郎はゲラゲラと笑い続けた。
「ほれ、わしの言った通りだろが!
それをこのだらずときたら、わしを端から嘘つきと決めつけてからに、
どうおとしまえつけてくれるんだ!?ああっ!?」
大人でもたじろいでしまいそうな怒声にお梅と次郎はびくりと肩を震わせた。
だが戦慣れしたいつきはその程度では怖じける様子もなかった。
しかし、今回ばかりはいつきにも問題があったのはたしかだ。
それにもし、平八郎が癇癪を興していつきだけでなく、お梅と次郎にまで被害が及ぶかもしれない。
それにいつきも悪い事をしたらまずどうするべきか解っていた。
「・・・悪かっただ」
ぽつりと、たった一言だけだが謝罪の言葉を口に出した。
だが、平八郎はそれでは満足しなかった。
「ああん?口の聞き方がなっとらんのう?」
「っ・・・、・・・ごめんなさい・・・」
「ああっ?耳が遠くてよう聞こえんなぁ?」
いつきはほんのりと桃色の小さな唇をぐっと噛み締め
「ごめんなさい!」
いつきは今度は先程よりはっきりと謝罪を口にした。
それにやっと満足したのか、平八郎はにぃ、と口端を吊り上げまたあの下品な笑い声を上げた。
「ははははははっ!そうだそうだ!子供は素直が一番だ!
今度からは目上の者に口聞く時は気をつけんとなぁ!
ぎゃはははははははははっ!」
平八郎はぐるりと踵を返すと肩を揺らしながら村の方へと歩き、帰っていった。
平八郎の後ろ姿が見えなくなって、それまで黙っていたお梅が漸く口を開いた。
「いつきちゃん・・・大丈夫?何かされんかった?」
後ろからのお梅の心配そうな声を聞いて、いつきは振り向きお梅にしがみついた。