カオスドラマ消滅編 過去ログ『独』Ⅱ

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ズ…ズズ…ズ…ッ……


ああ… もう、遅かったか…


ズ……ズ…グ… ズズズ…ッ… ズグン…ッ…


ついに「最後の預言」が的中した。だが…


ズ ズ ズ ン … … ッ … …  !  !


僕はまだ視ていない。この先の「未来」を―――


ズ  ズ  ズ  ズ  ズ  ズ  ズ  ズ  ズ  ッ  !  !  !  ! (大地が震撼する。恐怖に慄く様に―――)


―――― この「物語」の"結末"を ――――


ボ ゴ ォ ン ッ … ! ! ! メ ギ メ ギ メ ギ ィ ッ … ! ! ! (震える大地はやがて軋みを上げて盛り上がる)


ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ッ … ! ! ! (盛り上がる地面はそのまま宙へと吸い込まれる様に浮かんでいく)


ピキ…パキィ… ――― パ キ ャ ア ァ ン ッ … ! ! ! (そして亀裂だらけの赤い空から眩い閃光が迸ると、硝子破片の如く砕け散っていく。それは、時空間の境界、その崩壊を意味していた)


昇りゆく大地、堕ちてゆく空――――視えない境界にそれらが吸い込まれていく。もはやこの世界に救いなどない。その先に待ちうけるは「消滅」――――


とたけけ「やあ。…今、こうして呑気に椅子に腰かけ、ギターを手にしている状況ではないことは分かっているさ。 」

とたけけ「 だけどね、だからこそだよ。こんな時にこそ、僕は歌を届けたいと思っている。 」

とたけけ「 改めて気付いたよ。誰かの為に何かをしてあげることが、こんなにも素敵なことなんだって。 」

とたけけ「 だから僕は歌を歌う。何もかもが終わってしまいそうなこの舞台の上で。 」

とたけけ「さあ、最後のライブを始めよう。今日の主役は「君たち」だ。 」

とたけけ「 そんな「君たち」の為に、この曲を届けよう。…『共笑い』。 」


BGM♪



誰かがドラマしたら 僕も混ざりたくなる


誰かが黙っていたら 僕も黙ってしまう


――― 寄宿舎・ロビー ―――


L「 …ワタリ…この世界で…もう少しだけ、生きてみたくなりました…―――― (お菓子の包み紙が散乱したソファの上で、天井を仰ぎながら光に包まれるように消滅した) 」

ワタリ「 …ええ、私もです…―――― (Lの後を追うように静かに消滅する) 」


難しい課題 忙しい仕事 今ちょっと置いといてドラマするか?


――― 何処かの高台 ―――


夜神月「……(デスノートを片手に崩れる大地を鳥瞰する)―――― パ タ ン … (ノートを閉じると、その身は光となって消失する) 」


ト サ … シ ュ ボ … ッ … ォ ォ ォ …(彼が手にしていた一冊の黒いノートが地面に落ちる。やがてそれは青い炎に包まれ、灰となった)


きっとこの世界の共通言語は英語じゃなくてドラマだと思う


子供だとか大人に関わらず 男だとか女だとかじゃなく


ドラマを今楽しんでいるのか 「楽しいな」と胸張って言えるのか


それだけがこのドラマの全てで 画面の前で微笑む 僕の全て


――― キノコ王国・ピーチ城 ―――


ピーチ「 (祈るように胸の前で両手を合わせ、砕け落ちる紅い空を見上げた)…『あなたがた』に、すべてを託します。どうか、どうか…この世界を…―――――(桃色のドレスが蒸発し、その身諸共消失―――)」


貶すことに慣れ 中傷する人で溢れ


そこで誰か愚痴吐いていても 気に留める人もないない…


――― 秘境の地『カナン』 ―――


ネイピア「……まだ、終わらない… 『彼ら』がいる限り…『彼ら』が諦めない限り… (倒壊した結晶の柱の上で、崩壊する空を仰ぐ) 」


どれを切り取って"ドラマらしさ"って呼べるか分からないけど


――― DDDラジオ塔前 ―――


若本ゴールドハガネール「ぶる゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ゛!!!(廃の残党共にもろはのずつきを繰り出し吹き飛ばす) 」


誰かのドラマにつられるように こっちまでドラマしたくなる魔法のように


リア充ではないところで僕ら 通じ合える力を持っているハズ


あなたは今楽しんでいますか? 嫌々じゃなく心の底から


退屈が入る隙もないくらい 賑わいが響くドラマならいいのに


園崎魅音「…シャドウ… ねぇ…無事…だよね…?(消滅寸前の足を引きずりながら、剥がれていく地面をゆっくりと突き進んでいく)… 信じ…て…るよ……――――― (やがて足場が光となって昇華する。落下の最中、美しくも儚い白い空に向かって手を伸ばし、涙を残し消滅した――) 」

シャドウ「……(その双眸に、滅びゆく世界が映る)…行こう。「彼女」と、「君」の願いを叶えるために。(紫色に輝くカオスエメラルドを手に、崩壊する大地へ飛び込んだ) 」


その自作自演ありのままじゃダメだ!と誰かが言う


けれど皆でやるドラマは ありのままにゃ敵わない


――― カオス駅 ―――


のんのα「林檎、独眼竜… 無事、だよね……?(お願いだよ…もう誰も失いたくないんだ……!) 」

シャウル「はぁ…はぁ…!化け物の数が少なくなってきた様な…よかっ…(傷だらけの身体で空を見上げて)…よくはない…かな…は、ははは…(引き攣った笑みで、その虚空を見つめる) 」

キュウカ「諦めてはなりません。(二人の傍を蒼髪の麗しい女性が横切り、凛とした瞳でその醜悪な空としっかり向き合う)今、私たちの見えないところで戦っている人たちがいます。彼等は今も…この崩壊を止める為に抗いを続けている。 」

のんのα&シャウル『――――!!』

キュウカ「…私たちはまだ、ここから立ち上がれる。行きましょう…共に世界を救いに。(安寧を齎す女神の様な微笑みを二人に向け、手を差し伸べる) 」

のんのα「……はい…っ…!(キュウカの手を取り、一歩踏み込んだ) 」

シャウル「(麗しい女性だ…)おっと…(その美貌に虜になっていたところ我に返る)…うん、そうだったね。僕もまだ…戦えるんだ。行こう! 」


きっとこの世界の共通言語は英語じゃなくてドラマだと思う


このドラマに訪れた誰かを 愚直に迎えてやればいいと思う


チルノフ「(川の土手沿いに腰かけて割れていく空を呆然と眺めている)……(世界の終わりってこんな感じなんだな…)(それから消滅しかけていく自分の身体を見つめる。その運命を潔く受け入れるかのように、ただただ呆然としている) 」

ノホホ博士「バリッ、ムシャ…(チルノフの横で呑気にせんべいを頬張っている)…のぉ、チルノフ。ワシにはお前さんを救う手立てはないよ。今までお前さんにはできる限りの支援は尽くしてきたが、こればっかりはどうすることもできんのじゃ。 」

チルノフ「 ……(自分は無力だ。そう自分自身を蔑むように、俯く) 」

ノホホ博士「…じゃがのぉ、チルノフよ。お前さんの傍には何がいる?」

チルノフ「 え…?私の…傍に…?(きょとん)…私には………!!(その時思い出す。何かを思い出したようにポケットから何かを取り出す。…モンスターボールだ。) 」

ノホホ博士「お前さんは今までその為に戦い、冒険してきたのではないのか?どんな困難も、どんな逆境も、お前さんの大好きなその『ポケモン』と一緒に乗り越えてきたんじゃなかったのか? 」

チルノフ「 …ポケモン……(…そうだ、私にはこの子たちがいる。共に戦い、共に気づ付いて、共に笑い合った…大切なポケモンたちが…)(自分のモンスターボールをじっと眺め) 」

ノホホ博士「今、お前さんの力を必要としているものがいるはずじゃ。そやつらの為に、戦ってくるがよい。…お前が今できることを成せばよい。かけがえの無いパートナーたちと一緒にな。バリンッ…ムシャムシャ… 」

チルノフ「……ギュッ…(モンスターボールを強く握りしめ) ガバッ (消滅していく足で立ち上がる)…博士!私…行ってきます!大好きなポケモンたちと、一緒に過ごしたこの世界を守るために…!!(深々とお辞儀し、その場から駆け出した) 」

ノホホ博士「(去り行くチルノフの方へは振り向かず、ただ赤い空を映す真っ赤な川を眺めている)……それでいい。お前さんはまだ若い… 立ち止まるでないぞ…――― 」


誰かのドラマにつられるように こっちまでドラマしたくなる魔法のように


リア充ではないところで僕ら 通じ合える力を持っているハズ


あなたがいつも楽しんでいますように 心から満足でありますように


それだけがこのドラマの全てで どこかで同じように願う 人の全て



とたけけ「Oh~ Yeah~♪ (ギターを掻き鳴らす。最後まで、最期まで、さいごまで…)」



ゴ ト ン … ――――(そしてメロディーは鳴り終わる。そこに残されたのは丸椅子とギター。彼が残した最後の一曲が、時空を越えて、「物語」に響き渡る―――)




預言者は言う、真に確定的予言などなく、預言は変わるんだと。なぜなら…


――― 未 来 は 変 え ら れ る も の だ か ら ――――


こんなことを、僕が口にするのは滑稽なことだと思っている。だけどこれは紛れもない真理。みんな、そうして未来を切り開いてきたのだから。


ありえただろう未来、塗りつぶされてきた過去… 僕はあくまでそれら曖昧な「産物」を断片的に、客観的に…時に、悲観的に見つめることしかできなかった。


僕の目に映る未来はあまりにも残酷だ。いや…この世界に生み出された瞬間から、きっとこれは呪われているものだと思ったこともある。


…だけど、今なら信じられる。


ようやく、僕にも未来が視えなくなった。その先の結末を知る者は誰もいない。


やっと…未来が変わるかもしれない瞬間に直面したんだ… ずっとこの瞬間を待ち焦がれていたんだ。


EvAd「――― だから信じているよ。この先君たちが、その"未来"を掴んでくれることを ―――― 」




――― 某街中 ―――


混沌の廃「… サ ア ア ア ァ ァ ァ ァ … ―――(戦士たちと得体の知れない化け物の戦いはようやく決着がつこうとしていた。とある英雄が振ったナイフの剣閃により、最後に立っていた廃が切り裂かれ、消滅した) 」


BGM♪



アンリ「はぁ…はぁ……(埃だらけの身体で、荒い呼吸と共に歩いている)もう…あの化け物はいないみたいね…(傷だらけの巨大鋏で地面に突き、力なく座りこんだ) 」

アオ「っッ――――(振り抜いたナイフの先で霧散していく混沌の廃を睨みつけ、)は――――っ……(深い吐息をはきだしながら、眉間から流れる汗を拭うことなく視線を上空にむける)……今ので最後…だね………みんな!(皆の安否を確認しようとし、周囲を見回しながら声を上げる) 」

雛菊「っ……(周囲に警戒の刃を突きつけながら様子を窺っていたが、敵意を感じ取れなくなったことで肩の力を抜くように呼吸する)…ようやく鎮まりましたね… しかし、一体なぜこのようなことが… 」

キルビス「くそっ…何がどうなってんだ…(瓦礫から瓦礫へ飛び移りながら一同の元へ現れる) (アキラミオリたちは今頃政府の緊急避難所にいるはずだ。心配はまずないはずだ…だが…)…(ふと振り返り、滅びゆく空を仰ぐ。その奇想天外な光景に、思わず家族の面影が過り、不安や焦燥がその表情に現れる) 」

卓馬「あぁ、そのようだな……(刀をしまう)何やら、容易には説明がつかないことが起こってるのは、確かだな。 」

桃虹桜「ん…しょ……!(建物の残骸、その壁に開かれた異次元の穴から小柄な少女が現れる)…ふぅ…ここは、何処なんだろう…?思わず変な穴に落ちちゃったら…見たことのないところに…(自分よりも高くそびえたつ、今では廃墟となったビルをきょろきょろと見上げる) 」

サボ「恐ろしいな…俺の居た世界じゃ、とても見られたもんじゃない。(傾倒した高層ビルの上に立ち、シルクハットの鍔を摘まみながらその凄惨な光景を眺め目を細める) 」

現場猫「生存確認…ヨシ!(ガシャーン!!)(落ちてきた瓦礫に埋もれてしまった) 」

ジョン「(確信を持って見据えていた未来が、上空で実を成した事を認識すると握っていた戦鎚にもたれるようにして瓦礫の上に腰を下ろし乾いた吐息を零す)―――坊主、毎度驚かせてくれるな。百億の名画にも勝る光景じゃろうて(『活動限界超過3分』これ以上は『詰み』かの……) 」


パリン…ッ……パキン…ッ…(空が割れていく。その破片が人々の頭上に落ちていく。剥がれ落ちた赤い空から、白い光が覗いている。その光は神々しく、儚く…その先は本来の『無』を体現していた)


――――― … ズ ル リ (その真っ白な『無』の世界から、唯一つの真っ黒な『有』が生み出される)     オ        ゥ       ン       ッ    (黒い涙のように、『それ』は落ちた) 」


桃虹桜「ひどい…街がこんなにめちゃくちゃに……ふにゅ…?(悪路をゆっくりと歩いていると、ふと上を見上げた) 」


―――――― ズ シ ャ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ァ ン ッ  !  !  !  !  ! (上空より、隕石の如く巨大な物体が一同の元へ急落下した) 」


キルビス「…いや、あいつらなら大丈夫だ。絶対…絶対…っ…(ぎゅうと深く拳を握りしめ、振り返ることを止める)家族の幸せを摘み取る「絶対悪」は…俺が、この手で……―――――!(頭上から何かが来るのを察知し)うぉあ…っ…!!?(落下物による衝撃に耐えまいと顔面前に両腕を交差する)…ッ……何なんだ…っ…?(土煙を振り払い、その先に潜む影を見据える) 」

アオ「(埒が明かない…だけど戦いをやめる訳にはいかない。まだどこかで襲われている人たちが居るはずだ…見殺しになんかできない、早く行かないと―――)(砕けるような亀裂音に肩を震わせて顔を上げ、真っ黒な物体を目にして瞳が収縮する)――なんっ―――――みんな!上だっ!!(ありったけの声量で叫び、急落下する"それ"の落下地点から大きく飛び退く) 」

桃虹桜「きゃ…っ…!!(巨大な何かの落下と共に軽く吹き飛ばされ、地面に転がり倒れる)いた、た……びっくりした…な、なんだろ…っ……??(よろよろと起き上がる) 」

ワイト「 他者に同意を示す。それがワイトの意味でありワイトの生甲斐、そう思っている頃が私にもありました。だがこうして、終焉を目の前にすると、がむしゃらに前へ駆けていた自身へ置き去りにしてきた思いが去来にするんです。ああ、NOと言っても……よかったのだと 」

雛菊「ッ―――!?(アオの一声に上空から迫る『それ』に気付き、背後へ跳び下がる) ズザザァー…… ! (この気配…さっきの黒いのと同じ…!?)(土煙の中で揺らめく影に抜刀態勢に入る) 」

サボ「 ……!今のは……!(音がした方角へと飛び移っていく) 」

混沌の廃(蜘蛛型)「 パ ラ パ ラ … ッ … (砂塵を纏い現出したのは、今まで戦士たちが戦ったどの個体よりも二回り大きな蜘蛛型の廃。4対の脚は鋭利状になっており、背面に黒い十字架が何本も突き刺さっている)…ァ… ァァァ… ァァ…ッ… ! !(首らしき部位がガクガクと不規則に動く。男女混声の呻き声をあげ、黒い液体を垂らしている) 」

卓馬「……!(アオの叫び声を聞き、落下地点から飛びのく)……危なかったな…怪しい気配が…!(刀を抜く) 」


BGM♪



ジョン「 ! ? (大気そのものに生じる軋み、地に足を付け環境を共有する全生体を震わす”それ”がただ脈打つだけで、心の鼓動は一瞬時を止め)――――ドゴォッ(半ば地面を蹴りろくに動かない肉体を投げ捨てるようにして着地を計算に入れない無茶苦茶なバックステップでビルの残骸に背を叩きつけるようにして距離を開ける。間も無くして、老い先短い老体というにも関わらず冷汗がどっと吹き出しようやく呼吸を思い出した)――――おいおい、年金を浪費する自由もないっていうのか……! 」

キルビス「…ッ…!?こいつ…さっき道中で出会った黒いバケモンの仲間か………!(その時、偶然居合わせたアオの姿が視界に入る)アオさん…?アオさんなのか…!?(思わぬ再会に目を丸くする) 」

桃虹桜「ひっ……!(目に前に突如現れた巨大な化け物に身が竦み、尻餅を突いてしまう) 」

雛菊「……図体だけじゃない… 身も心も先程までよりもすべて…醜悪…っ…(思わず目を伏せたくなるほどの邪念の塊を目にし、一瞬戦慄が過った)…ザッ… けれど…立ち塞がる敵は斬り伏せます…!(抗いを示す様に片足を突き出し、抜刀で虚空を撫で斬る) 」

卓馬「…………なんっつう大きいバケモンだ……(刀を構える)だが、邪魔する奴は斬る、それだけ… 」

アオ「 パ リ ン ッ !(ドライブを発動させ、蒼剣を利き手に握る)まだ満足できないのか……これだけ俺たちの世界をメチャクチャにしておいて、まだ…ッ!(悲痛と怒りが混在する表情で混沌の廃に目をやり、蒼剣を構えて動きに備える) ……―――! キルビスさん…!?(こちらも同じように目を丸くしながら彼の姿を認め、微かだが希望が差したような瞳を向ける)良かった、無事だったんだね…! 」

混沌の廃(蜘蛛型)→背徳の肢「ァヒ…アィ……ィィ…ァ… ガ…ガガ…セ…セ……世界ガ…生マレタ… イノチ、ガ…産マレタ… …言葉…ガ……ウマ、レタ……モノガタリ…ガ…ウ…マ…レ……タ……――――― ブ ォ ン ッ 、ズ シ ャ ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ン ッ ! ! ! (鋭い前足二本を振り上げ、地面を突きだす様に思いっきり振り下ろした) 」


――― Vs 背徳の肢 ―――


キルビス「あ、あぁ…!なんとかな――――!(あれは…まさか……!?)(アオと視線を交わす中で見覚えのある少女、桃虹桜の存在に気づく)ッ……!(廃が動き出すよりも前に身を乗り出し、一目散に彼女の元へ駆けだす)おいっ、大丈夫か…!?(桃虹桜を立ち上がらせ、これから戦場になるだろうその場から彼女を遠ざけようとする)ここは危険だ…遠くへ逃げろ…!! 」

桃虹桜「ふにゅ…!?キルビスお兄ちゃん…?(自分からすれば未来のキルビスに助けられる)う、うん…でも、キルビスお兄ちゃんは… 」

卓馬「ほぉ…お仲間かい(キルビスを見てアオに)…危ないっ!(蜘蛛型の前足を飛びのいて避ける) 」

アオ「っ…!(彼女は……)(キルビスが駆け寄っていった先に居た桃虹桜を姿を見て) タンッ! トッ―――(背徳の肢が繰り出した振り下ろしを跳躍で避け、背徳の肢とジョンを結ぶ線上に降り立ってジョンを庇うような位置取りをする)さっきの…余裕がなさそうに見えましたから。前は任せてください…! ―――!(卓馬に声をかけられ)ええ、少し前に共に戦った…戦友です。すごく頼りになりますよ、彼は(こんな中だが、友達を自慢するかのようにニ、と少し笑ってみせる) 」

雛菊「それでは――― ヒ ュ ン ッ (背徳の肢の懐に潜り込み――)――私が撹乱いたします!(ザンッ、ザキィンッ、ザァンッ ! ! ! )(目にも止まらぬ連続居合切りを繰り出し、アオたちから一歩でも遠ざけようと圧倒する) 」

キルビス「平気だ、気にすんな。…俺はただ…(大切な家族の顔が走馬灯の様に蘇る)…かけがえのねえものを守るだけさ。(彼女の頭をぽんっと優しく叩き、優しくほくそ笑んだ)…ザッ…―――― うおおああぁぁーッ!!(踵を返すと共に片腕を刃に変え、雛菊と共に斬りかかる) 」

卓馬「ほぉ、戦友か。…修羅場をいくつも潜り抜けたような面構えだ。確かに頼りになりそうだな(キルビスの挙動を見てアオに) なっ…大丈夫か、あんた…!?(雛菊を見て) 」

背徳の肢「ギ ャ キ ィ ン ッ、 ガ キ ィ ン ッ ! ! ! (雛菊とキルビスの剣戟を刃と等しい前足で応戦する)ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ … ココニ…イル……ココニ…ココニ…「ワタシタチ」……! ガ キ イ ィ ン ッ ! ! ! (前足で二人を強く薙ぎ払い)存在スル…!生キテイル…!!(巨大な蜘蛛がついに動き出す。その先にはアオと卓馬、ジョンの三人が――) 」

ジョン「いや……この体たらくで言ったところで説得力はなかろうが、問題ない。君は思うままに立ち回って欲しい(言葉の節々で咳き込み、口橋を赤く染め、消え入りそうな日を灯した青い目をアオの背の向こうへ向け)―――なぁに、多少無茶をしたところでうるさい主治医も暫くは口が留守じゃろうて――――(歯を覗かせて気丈に取り繕って笑み、膝に手を添え、大股を開き)ふぬッ!(萎れていた筋繊維が爆発したように膨張、およそ老体から乖離した肉体を還元し)や”るかァ”……ッ!(迫る腕へ向け、大ぶりで腕を振りかぶり)――― 」

雛菊「くっ……!あぁん…っ…!(縦に身構えた刀で刃を受け止めるもそのまま吹き飛ばされ、柱に激突する) 」

桃虹桜「わっ…(頭に感じる温かな感触に、募る不安が拭い去られていくように安堵を覚え始めていく)…気をつけて…キルビスお兄ちゃん… 」

キルビス「ぐぐ…ッ…… あぁ…ッ!!(力強く刃を押しこみ拮抗していたが、ついに押し返され地面に転がり倒れる)くそ…が…!まだだ…!(身を起こし、背徳の肢の背に刃を突きつける) 」

ジョン「ズ   ァ      ォ ッ   (大気に砲弾が駆け抜けたような大穴を開け、青を肩透かしに一陣の風が吹き抜け)   ┣¨  ム   ンッ(大蜘蛛の腕の先端へ、力任せに金色の『アンビション』を纏った右のストレートを超加速、超質量を伴って叩きつけ蜘蛛の進行を妨げる)ズォゥル"ァァ"ァ"!!!!(当然、動きを止めるのは『コンマ一瞬』。膨張した上は細かく裂け、鮮血が吹き出徐々に押されていく) 」

卓馬「…どうやら、ものともしてねぇようだな(蜘蛛型が二人を薙ぎ払い、自身らに近づいてくるのを見てゆらゆらと近づきながら刀を腕に向けて振るう)爺さん、ムチャするなよ…(ジョンを見て一言) 」

アオ「…えぇ。彼の"つよさ"は俺が保証します。(卓馬に) ――――す…ごいな…(雛菊とキルビスによる獅子奮迅の剣戟に目を見張る) ……っ!(背徳の肢がこちらへ動き出したことを目視し、蒼剣を構えて一歩前へ出る) 卓馬さん、俺の後ろへ――――(と、動き出したジョンに気がついて目を見開く) …!? ダメですッ、じっとしてて!あなた、そんな体で無茶を―――(ジョンを咎めるような口ぶりで言いかけた所――)――…!!(筋肉が膨張した、その偉丈夫そのものの肉体を見てデフォ顔で目を丸くする)な、なっ――― 」

背徳の肢「 ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ッ !(光と影――― ジョンと激突し合う最中、廃は痙攣するかのような不規則な動作をしながら尚も老兵を押し潰そうと襲いかかる)生キテ…生キテ…キテ……ソシ、テ……死ン、デイク……(ジョンにとどめを刺そうと、後ろ足の刃が彼の心臓部に狙いを定める) 」

卓馬「ふむ、わかった…!(刀を振るった後、アオの後ろへ飛びのく)…!どうやら、あんたの後ろどころじゃ、なさそうだ…!(ジョンに迫る後ろ足の刃に目を向け、刃めがけて刀を振るう) 」

アオ「―――――っッ!!(頬を掠めていった龍が如く突風に目を細める。しかし彼が時間を稼いだ”コンマ一瞬の後”、背徳の肢の凶刃を感じ―――)――――させるかァァァァっ!!   ギ  ュ ン  ッ ! ! (ジョンに続くようにありったけの脚力で自分の体を前方へぶち込み、後ろ足の刃を両断せんとする勢いで斬撃を仕掛ける) 」

背徳の肢「 ガ キ ャ ア ン ッ … ! ! (ジョンに繰り出した刺突を卓馬に遮られ、金属のような残響が虚空に響く)―――   ザ   ァ   ン   ッ   !   !   !  (その隙を突かれアオに後ろ右足を切断される) ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛…ッ…!!(気味の悪い悲鳴を上げながら一歩、退く) 」


――― “火拳”ッ!!!(  ボ  グ  ア  ア  ア  ア  ア  ァ  ァ  ァ  ッ ! ! ! )(背徳の肢が退くや否や追い打ちをかけるかの如く、瓦礫の山を貫き業火の波が奴を焼き尽くした)


背徳の肢「 ア ア ア ア ア イ イ イ イ ィ ィ ィ ィ ィ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ア ア ッ ! ! ! ! ! (燃え盛る業火に身を焼かれ地面にのたうち回るかのように転倒する) 」

サボ「スタン…ッ… ! シュボボ…ッ…(一同の元へ、焔を纏い颯爽と現れる) 間一髪だったな。大丈夫か。(炎火が伝う鉄パイプを両手に、振り返らず背後のアオたちに声をかける) 」

キルビス「おお、流石だな…!(アオの両断によって戦況が一転したのを見て口角が上がる)うおあっ!?すげぇな…(やにわに飛んできた炎に焼きつくされる巨大蜘蛛をよそ目にアオたちのもとへ駆け寄る) 」

ジョン「(膨張した筋繊維は目に見える速度で煙を吐き収縮してしまう、それに伴い後方へ押される速度も早まるが)即興にしてはいい連携だ、助かる……ッ!(アオ、卓馬の斬撃。加えて燃え盛る炎の拳で敵との間合いが大きく開き、サボの声掛けへ息を切らした笑みで応える)ふ”ぬ”―――お”ぉ”ァッ!!(アオ、卓馬斬撃で引いた肢へ追撃。枯れた右腕を捨て置き、左腕へ生命力を集中させ第二撃へ備えた) 」

アオ「ズザァッ! はッ、はぁッ―――(次の攻め手を取ろうとした所、) !! (サボの一撃、それを受けてのた打つ背徳の肢に驚愕する)す…ごい……は、はい!大丈夫です!(サボの呼びかけに応え、ほうけていた表情を引き締める) 」

卓馬「上手いことやってくれたな、にいちゃん(アオに目を向け)……あぁ、大丈夫だ(サボを見て)無事かい?爺さん(ジョンに) 」

背徳の肢「ィィィア…ッ… ! ! (やがて身を焦がすほどの炎は消失し、全身から煙が湧き立つ)… 望ミ… 祈リ… 願イ… キミタチ…欲シタ「夢」……! 凡テ… 現実ニ… ―――― ボクタチガ、ボクタチガ、ボクタチガ…叶エテキタ…ンダ……ダ、ダダダダダダダダダダ(ジョンの追撃に腹部に大きな一閃が迸り、黒い瘴気が溢れ出した) 」

アオ「強烈だな…っ!(一閃を喰らわせたジョンの力量に感服するように) お互い様ですよ(小さく口角を上げて卓馬に言いながら、駆け寄ってきたキルビスを視界に入れて小さくうなずく) …やった…んだよね。それにしても……さっきからさ、こいつ…なにか妙なことを言っていたような―――(黒い瘴気を漏らす背徳の肢に一瞥をやりながら、この異形が並べ立てていた言葉を反芻し不安そうな表情を浮かべる) 」



続き

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最終更新:2018年11月03日 20:28