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ニル「――――……ハッ……ハッ……!なんだか、何処かですごい音が聞こえてきたような…気がします………!(あらぬ方角を見上げながら駆け抜けている) 」
ミツキ「えっ!?ひょっとして……先輩と一緒に走ってドキドキしてるミツキの心臓の音がバレて…!? 」
肆々玖「……どこの分岐も何かと交戦を始めているみたいだな、そういう空気だ。……こっちも何事も無い、なんて都合の良いことは起こらないだろうな。(冷静、かつ冷淡だ) 」
カツ―――カツ―――カツ―――(暗闇の向こう側、進行方向から誰かの足音が響く)
ヒサメ「おっと、先客だ。夫婦漫才が好きそうな手合じゃなさそうだね。 キンッ(青の打刀を抜刀、斥候として最前列に出、刃を水平に立て後衛の"主力"へ一歩下がるよう促す。暗がりの奥、靴音の正体を見やり目を細め) へぇ、縁ってのはよくできてるもんだ。それとも狙い撃ちかな? 」
イーリア「……さあね、アタシは興味無いよ。(剣呑。ただその一言の空気を纏う―――刃のように冷たい殺意の塊がそこにはいた)腐れ縁って言ってやりゃあいいか?今度はもう一人として活かして帰すつもりは無いから、どっちにせよこれで終わりだ。 」
肆々玖「相容れないな、どこまでも。(ヒサメに並ぶように横に立ち、前衛を買って出る構え)……あんたはどうしてここまでするんだ? 」
ミツキ「あーーーー!あの時のしつこい女…!ハッ…もしかして……先輩のストーカー…!?ならミツキが成敗してあげます。先輩に近寄る女は控えめに言って皆殺しにしますので。 」
イーリア「下らない、どうでもいい、意味がない。(唾棄するかのように、冷たく言い放つ)どうして?何故?そんなの単純だ―――"世界<あんた>"が先にあの子を棄てたんだ。だから、そのためにすべて壊してやるしかない。 」
肆々玖「……壊してどうするんだ、その後は?それは、本当にそいつのためになるのか。 」
ヒサメ「おぉっと、このおねーさんとは気が合いそうだ。どっちかというと僕がアレを呼び込んじゃった系なのかな?(真剣味もなくせせら笑い両手に添えた刀を回転させ弄び上体を左右に揺らす。初動、正面からの踏み込みはありえないとして、左右どちらから切り込むか悟られないように) ―――――覚えのあるハナシだ、耳が痛いよ。最も、僕は君と違って『当事者』だったけどね 」
イーリア「ならないだろうね、あの子は絶対に止めようとする……でも―――(ぎり、と剣を握り込む拳が強くなる)そうやって自分のために自分を押し殺して、全部犠牲にしようとする。あの子が救われる世界にするには、もう強引にでもやり遂げるしかない。例えそれが全てを……アタシを犠牲にする事でもだ。 」
肆々玖「どうだろうな、こっちにも何度か縁がある。(冗談交じりの軽口一つ、といった様相だがそこに余裕は一切無い)……揺るがないな。盲信だが、自分で選んでいる。 」
イーリア「ああ、だから――― ダ ンッ(前兆―――"起こり"すら視えない、超高速の突進。"ありえない"とすら断ずるような真正面からの突撃、そこからの補足すら困難な急襲―――) 」
肆々玖「な―――ッ(疾い、以前よりも遥かに!防御が、間に合わな……) 」
ミツキ「先輩――――――― ッ!? 」
ビシ バリ ガギギギッ…… バキャアアアァァァァァァァアンッ!!!!!(イーリアと、その他の間に割って入るような亀裂が"空間"に走り、砕け散って電子世界の裏側を露出させてゆき、その行動を阻む)
ニル「きゃっ――――――!?(迫りくる殺意の刃、それに待ったをかけるように砕けた空間の破裂音に驚いてびくりと跳び上がる) 」
イーリア「くッ―――これは……なん、だ……って……(強制的な介入により後退せざるを得なくなり、飛び退いて距離を取って―――ただ、亀裂から現れた気配に絶句する) 」
見観子「このガラクタ箱庭め……やっと特定できましたよ、座標。(引き裂いた空間の狭間からゆっくりと降り立ち、悪態をつく。その装束は普段の女性らしいものから、黒一色の喪服のような装束へ様変わりしている)……どうも、久しぶりですね、リア。調子はどうですか? 」
イーリア「みー……ちゃん……どうして、此処に……?ずっと、ログインなんてしてないって……(信じられないものを目の当たりにしたように、声が震える。ただ、その震えには未だ揺るがない闘志が宿っていた) 」
見観子「……止めに来たんですよ、わからずやのあんぽんたんを。騒ぎを見ましたよ、世界報道されるってまたえらいことしちゃいましたね、首級を狩る側が今度は狩られる側ですよ? 」
ヒサメ「誰かここに魔法陣でも放置したのかい?触媒召喚が願ったり叶ったりぢたようだよ、お相手の表情から察するに(――――最も、僕らにとっても無縁の人物じゃない。あれは階層に適するよう実力を設定された複製体。おそらくこっちは本体……)―――――敵じゃないってことでいいのかな?正面からやり合うのは背筋が凍るぐらい嫌なあいてなんだけど 」
肆々玖「助かったが……そうか、こいつが件の……あの女の"譲れないもの"なのか。 」
見観子「いいですよ、その認識で。これでも"元"攻略組……トップランカーでしたから、"元"。(やたらと元を強調するあたり、結構自慢しているっぽいぞ)……リア、私は別に我慢したっていいんですよ。私が不平不満を全部受け止める代わりに、貴女や周りの人達がぴーすはっぴーなら、それで。 」
ニル「はれ……?あっ……!(既視感のある横顔。23層の攻略戦で対峙した幻影体としての「彼女」がすぐに重なった)……雰囲気が、あの時と違う…もしかして…… 」
ミツキ「トップランカー……?ひょっとして、今噂になってる『 CROWNED《クラウンド》 』って奴じゃ…! 」
イーリア「全く良くないッ!!!(激憤―――その言葉で、感情が爆ぜる)アタシはそうやってみーちゃんが、全部抱え込んでどんどん不幸せになっていくのが受け入れられない!我慢ならないッ!!何より、それを強いる周囲も全部、全部全部全部全部全部!!納得がいかないんだよッ!!!(怒り、悲しみ、苦しみ―――その全てが綯い交ぜになり、激しく吹き出す) 」
見観子「ええはい本人ですよ、ほんとはご隠居ライフのつもりだったんですが世間様がそうはさせてくれないみたいで―――特に目の前のこのばかちんがね。(ひらひら、と手を振り気さくに二人へアピール)……でも、私はそれでリアが自分を犠牲にしてまで、私の幸福を願ってくれるのも、耐えられないんです。私は……私は、貴女や
ヴォイドさん達とか、学校で仲良くやってた人達とかと一緒に楽しく過ごせていれば、それが何よりの幸せだったんですから。 」
イーリア「そのみーちゃんの幸せにッ!!どうして、"あんた自身"もちゃんと含まれていないんだッ!!! 」
見観子「……だって、 私より私の大切な人達の方が、大切なんです。 」
肆々玖「互いに想い合っているのに、何処までも心のすれ違う……どうして、こんなに二人で噛み合わないんだ。 」
イーリア「……なあみーちゃん、アタシ今いいアイデアを思いついたんだよ。(募る激昂を抑え、すっと平静に戻り―――一つ提案を投げかける) 」
見観子「……奇遇ですね、私もそうなんです。参考までにそちらからお聞きしても? 」
イーリア「昔から……互いに意見がぶつかったなら、いつも競って決めてきたから。今日も平行線になり続けているこの意見―――どっちが正しいか、アタシと決闘しよう。 」
見観子「同意見ですね。でも、いいんですか?……こっちで学校から叩き出されて以降、私はリアに負けたことは一度もありませんよ。 」
イーリア「言ってな、地球にいた頃はアタシの方が強かった。そしてその余裕が、今日もそのまま続くとは思わない方がいい。 」
見観子「……あなた達、ここは私に任せて先に行ってください。今、ちょっと誰にも水を差されたくない気分なので……私の我儘聞いてもらってもいいですか?駄目?そこを何とか。(初手から拝み倒しの姿勢を見せつつも―――目はとっくに笑っていない。先程までの彼女と似ても似つかないほど、暗に"断るならお前たちから排除する"と言わんばかりの敵意が滲んでいた) 」
肆々玖「……わかった、その好意甘んじて受け取る。(当然のように受け入れ、イーリアの横を素通りしていく)……俺には、どっちの言いたい事も否定できない。あいつら二人、どっちが正しいか……答えとかはあるのか?……俺には、わからないな。 」
ミツキ「先輩、離れましょう!(先輩を巡って)修羅場になる前に…!早く!(肆々玖の片腕をぐいぐい引っ張りながら促す) 」
ニル「あ、ぅ……はい……!(私は…どちらにしてもあのお二人の間に割り込むべきじゃない……)(委縮するようなぎこちない会釈でそそくさとその場を後にしようとする) 」
ヒサメ「―――――(思うところは多々ある。決して他人事ではなく、まるで自身を俯瞰するかのような光景に口元を引きつらせ) ハッ、人たらしめ(鬱積した感情を煮詰めたようにして吐き捨て、駆け出す) 」
イーリア「邪魔者は消えたね、スッキリした―――それじゃあ。 」
見観子「ええ、そうですね……それじゃあ――― 」
見観子/イーリア「……勝負だッ!!!! 」
見観子「加減、手抜き、最初から全部抜きです。殺してでも、貴女を止める――― 」
―――ねえ、リア。私達、一体どこで間違えたんでしょうね。私がこのゲームに誘ったせい?それとも、全部?
イーリア「ッぉあああッ!(魔術発動の、その予備動作さえも許さぬ神速の一手。口火を切ったその初手の反射で既に眼前まで迫り)させるかァッ!!!(深く、横一線に大きく薙ぎ払う) 」
―――なあ、みーちゃん。アタシ達何を間違えたんだ?アタシがあいつ等を殴ったから?それとも、分不相応な願いなんて抱いちまったからか?
見観子「ぐうッ……!!("想出<イマジン>・武器<ウェポン>"!!) 」
ギ ガキャァンッ!!!(思考よりも疾い一手は、思考の速度で編み出された細剣で辛くも防がれるが―――見観子の細身は弾丸のように弾き飛ばされてゆく)
見観子「―――"全てを否定し、我は壊そう<Leberation The Destruction>"(弾き飛ばされる最中、その言葉を短く、されど強く口にした) 」
でも……楽しかったんですよ。それは、それだけは本当で、嘘偽りのない気持ちで。
ド ク ン ―――(空間が、世界が、震え脈動した。一人の異端なる魔女を中心に)
見観子「グルン―――(吹き飛ばされた宙空で、重力を無視して宙に立つ。己は何にも縛られず、"己が世界<ルール>"であるかのように)……【世界よ壊れろ、硝子のように】(そして、"世界<ルール>"は禍言を世界に強要した) 」
イーリア「ビク―――(剣先が"それ"を感じ取ったのは一瞬。遅れは致命―――そう判断した瞬間には)ッぁぁあああああッ!!!!("眼の前"を斬り裂いていた) 」
バキ ギ ギギギギギギギ ガシャァァァアアアアアアンッ!!!!!!("そうである"のが正しいように、魔女の言葉はその場を砕き壊し、破壊し尽くしてゆく。ただ、"言葉"を斬り裂いたイーリア以外を)
見観子「【ただ息絶えろ、物言わぬ骸へ】(【四肢よ爆ぜろ、引き千切れよ】)(思考による詠唱、発言による詠唱、そして―――手印による詠唱、【時よ凍れ、我が下僕】。無慈悲、冷徹、冷酷。一つ一つが確実に死へ至らしめる"魔法"を三重同時詠唱するその様は、紛れもない魔女) 」
イーリア「くっそ、があぁああああッ!!!!(だが、眼の前の狂剣は折れない。眼前へ形なく迫る"死"を感じ取った剣は振り下ろされ)かはッ―――ま、だッ!!!(吐血。防ぎきれず身体を通った【死】は刻まれながらも再度刃を振り払い) 」
バグンッ―――(イーリアの肩がごっそりと抉れ飛ぶ。四肢全てが引きちぎれていないだけ軽症だが―――)
イーリア「時を止めるなら、そのクソッタレな時ぐらい―――切り拓けなくって、何が剣だッ!!!!(感情が、心が、"それを斬る"と疑わない。ならばそれは極みの一閃へと至り―――) 」
カ ザンッ チッ
時計の刻む音を、世界を凍らせるそれを斬り捨て―――ただ狂剣は魔女へ猛追する。
楽しかったよなあ、みーちゃん。でも、それじゃダメなんだ、それじゃあ……ダメなんだよ。"楽しかった"で、終わってしまったら。
イーリア「ブッた斬れろぉぉぉおおッ!!!!(乱撃、その一撃一撃が飛ぶ。砕け散った空間を引き裂いて、食い荒らさんと迫りゆく) 」
見観子「【お前は永遠に届かない】(―――無慈悲な"世界<ルール>"の宣告が、ただ二人の距離を無限へ突き放した) 」
放たれた斬撃は虚しく空を切った。それが、彼我の心の距離のように。
イーリア「―――ッ……そうだ、こんなんじゃ届かない。(攻撃が触れるという行為の完全否定、無限の引き伸ばし―――そうだ、アタシはずっと本気を出したみーちゃんのコレが突破できなかった。でも……違う、この"無限"を斬るイメージをしろ。斬れ、ただアタシの刃は何にだって届く―――疑うな、一瞬たりとも。) 」
見観子「……どうにも、質量・形を伴わない致死攻撃は通りが悪いですね。いつの間に"概念"を斬る手段を?……まあ、いいですよ。だったら、"目に見える死"を叩きつけ、圧殺するまで。 」
イーリア「斬る、ただ斬る―――斬れ、眼の前の全て―――!!(前へ進―――めない、無限に押し戻される。だが意志は折れない、眼の前へ刃を振るう―――届かない) 」
見観子「……その内本当に斬りそうですね、その前に殺します。【雷光よ打て】(【炎よ灰まで焦がせ】)(言葉が、思考が、全てが形になり、手もまた【全て凍て冷えろ】と魔を紡ぐ) 」
イーリア「っく―――邪魔、だッ!!!(降り注ぐ雷光を、獣の如く飛び跳ね回避。続く炎を刃が捉え)はあッ!!!(真っ二つに斬り裂く。既に刃は無形のものさえ捉えている)想像しろ―――アタシの刃は、こんなもの、斬り捨てられると―――!!(襲い来る冷気に、ただ刃に炎を纏わせ、払う) 」
ガリ ッ……(振り抜かれた一閃は魂すら凍てつかせる冷気を断って、"無限を一瞬引っ掻いた")
私はね、リア。貴女が、あなた達が……私の大切な人達が無事なら、本当にそれだけで満足なんです。そこに例え、私がいなくたって、永遠に離れる事になったって、それで。
見観子「―――(斬った?今、この無限を。……氷に対する炎の相性のイメージで、斬る事への確信を強めたのか。悪手を打った……)なら、面で押す。【烈風よ引き裂け】(【降り注げ流星】)(手印にて刻むは【荒れ狂え波濤】、逃れる間なき風・巨岩・大波の3つを呼吸の如く操り放つ) 」
イーリア「……落ち着け、斬る。斬れる、無駄なく斬れば、凌げる―――(押し寄せる暴風に、タイミングを合わせ刃が切り開き)……ッ!! 」
ズル―――バシュッ!!!(真っ向突き立てた刃が正面から風を引き裂いて、分かたれた風は両手両足を打ち据えてゆく)
イーリア「……っそが!!(違う、"凌ぐ"なんて半端な心構えじゃあ斬れない、全部"叩き切る"んだ!)ギリッ……ブォンッ、ズガガガガッ!!!(歯を食いしばり、目を見開き片っ端から巨岩を斬り落とし)想像しろ、あのガキの領域を斬るのと―――変わらないッ!!!(以前ミツキの領域を両断した時のように、迫る海原を"斬る"という確信のもと、ただ両手の刃を振り払った) 」
ズバ ッ ……ズルッ(大海は奇跡の神託を受けたかの如く、両に分かたれ、そしてまた"無限"に刃は食い込んだ。より深くまで)
見観子「……ああ、そう……"極閃"とやらですか。本当に厄介だ、我力だけで"世界<わたし>"にすら食いかかる……でも、完全じゃない。【刃の如く引き裂けろ】(【打ち据えろ鉄の雨】)(結ぶ手印、示すは【地よ敵を呑め】。不可視の斬撃は正面を、無数の剣雨が空を、そして大地が肉体を押しつぶすために迫る三方同時攻撃) 」
イーリア「(どうあっても手が足りない。確実に殺しに来た、なら……)出来る……想像しろ、文字通り"切り開きゃいい"ッ!!(向けた刃は正面へと。突きつけたそれを斬って、"空間を切り取って"己を瞬間的に移動させる)斬れる、アタシの刃は"無"だって切り捨てられる!!!(強い確信、強い信念、疑わぬ刃が見観子へ放たれ―――) 」
ダメなんだよ、みーちゃん。"過去になって終わる"んじゃダメなんだ、アタシはずっと続けていたいんだよ……バカみたいな話、バカみたいな毎日、バカ騒ぎをさ……一緒じゃないとイヤなんだ。
―――――― ズ ッ(無音、静寂。刹那の間に奔ったそれが終わる頃、"無限"が斬り裂かれた音がした)
見観子「―――ツウ(頬に、一筋の傷を刻みつけられて血が滴った)今だけは……いや、違いますね―――地球の頃からずっと、貴女のその天才肌は心底イヤになりますね。 」
イーリア「ふ……こんな時でも良い子ちゃんぶって、その余裕ヅラが嫌いだからアタシはあん時噛みついたんだよ、優等生。(肉体の損耗度は自分の方が上、両手両足は刻まれた傷も癒えておらず今も血が流れて止まらないが―――痛み一つ覚えぬ獰猛な笑みを向ける)今んなって血化粧にでも目覚めたのかい?そんなに好きなら刻んでやるよ、もっと。 」
最終更新:2025年07月02日 22:50