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???「―――――(黒ローブの男は第二階層の入口が遠のき、他メンバーが遠のいてからというものの歩速を落としているようだった。目的は分断だったのか、その割には槍と思しき武器を握る手から敵意は感じられず、リラックスしているようだった。)―――――あの後はどうしてたんだ。それぞれの世界線に分かたれたんだ、互いに消息を確かめるすべもなかったわけだが(ここでようやく声を発する。若く、それに見合った砕けた口調の青年の声。) 」
霞「どうしてたって言うと、まあ……"放浪"かな。色々思う所あったし、結構世界が違って見えたね。(何気なく、まるで見知った相手のように脱力した声色だ。そこに殺伐として剣呑な彼女はいない)……案外、捨てたもんじゃないって思えたよ。彼がいないと理解っていても、他に大切にできる何かがあればね。 」
???→
ケビン「そいつはよかった。どーりで俺が連中に事情を説明する手間がはぶけたわけだ(フードをつまんで退かし頭を左右に降る。霞の記憶よりはよりくすみ、無造作に伸びた頭髪を垂らした。 歩みは止めず背腰に彼女を一瞥し、てをひらりと振る) よっ 息災で何よりだ同期生。卒アルと見比べ……るまでもなく変わってねえな、同窓会なら悲鳴あげるレベルじゃねえか 」
霞「そういうそっちはちょっとだらしなくなってない?まあ、私は知っての通り"これ"だから。(くすりと笑いつつ、キリキリと右腕を鳴らす)でもたまにいるんじゃない?その"ドーソーカイ"ってやつに一人ぐらい全然変わらない人。……いないの? 」
ケビン「同じブラツイてる身の上でどうしてこう差が出るかね(だらしないことに関しては否定しないが苦虫を潰したような顔になり) いねーよぉ変わらねえやつ。中身はお前が例外じゃないように誰もが大なり小なり老けるとか家庭ができるとかしてるし、とすりゃ外ツラはもっと変わってる。時間ってのは誰にとっても残酷だよったく ――――――(談笑。人と人型、似て非なる存在故か互いの普通を交換するのが常だったのか、慣れ親しんだ様子でいたが) カツッ (足を止め、槍を一回転させ逆手持ちに切り替える。奥の暗がりを見据え、"ソレ" に対し目を細めた) 」
ケビン「――――なんで変わらないと悲鳴上げるかっていうとだな。そりゃくたばって時間が止まっちまってる筈だからだよ………『奴さん』みたいに 」
――――百層踏破。力の証明より予てより望んだ唯一の願望。この拳一つでそれは叶わなんだが……良き日々を共にした、悔はない
霞「そっか。まあ、やっぱり変わるよね……彼みたいに。だから心残りの一つとして訪れたんだ、此処に。(トントン、と腰に下げた刃の柄を叩く。それはさも挨拶を交わすようにして)調子はどう?……なんて、聞くまでもないかな。 」
侶梟「――――――――。(暗がりの奥。そこだけ照明が途絶えているのか、黒一色の空間に同化したかのような黒衣を身に纏う、巨漢にして初老の男が、眼前に聳える山のようにして立ち塞がった。 "
開拓者"にとってその男は……)―――――妙なものだな。こうして、さも幻影体であるかのように貴様らを迎えることになろうとは。(――――僅かに若く、しかし生気がないように見えた。 薄く笑みを浮かべ、それが常であったかのように構えず佇んでいる) 」
ケビン「トセガワァあたりにしてくれと化けて出るなら。(冷や汗を流し、"一歩引く") 奴さんがいるってことは、もう一つの心残りもこの先で正解か……とすれやここで全員消耗するのは間違いだな。(隣立つ霞へアイコンタクト送る。「任せていいか」と) ――――俺は万が一のための予備だ。"この先"を考えると、奴がエリ……ここで確実に突破できるようにしておきたい 」
霞「"三人"、私は外から騒動を見てずっと気がかりに思ってた。一人はエリノラちゃんで、一人はあなた。……別に
プランダラに混ざってるのが不思議だった訳じゃないよ?元からそっちに寄ったっておかしくないとは思ってたし。ただ……"変わったなあ"って、そう見えた。実際に相対したら、尚更かな。(その顔から伺い知れるものと、佇まい。武芸者特有の空気のみで、ただ語らう)……いいよ、行って。多分彼も私に用があるんじゃないかな、それも恐らくは前からずっと。 」
ケビン「(あっぶね、どこに耳があるかわからねえのに『クロノラ』は禁句だった)――――助かる、悪いな(包帯の巻かれた腕をさすり、眼前の"山"。質量以上の面積を誇る壁の隙を伺う)―――――(つっても通す気はねえなあれ。体力を温存して、クモ糸程度の可能性ができたら通貨……場合によっちゃ不意打ち…… は、霞が許さないか) 」
侶梟「ほう、一か零か。想いか虚無か……0か1、機械敵人間性だった貴様の口から"三人"とはな。(微動だにしない、無数のフェイントを貼った無形の位を保ち霞の一挙一動を観察。だが、そのような小細工は"無駄"と悟ったのか…) スッ (両足を開き腰を低く落とす。前に突き出した手刀を、膝の高さまで下ろし"構え"を取った。) 変わらぬものもある。言の葉より互いの武をもって語らう方がより解を得やすい……この一点に関しては特にな。 」
霞「んもー……そこまでツレない人だと思われてたの?私。最後の方は今とそんな変わらない感じだったはずなのになぁ……(ぶーたれながらもゆっくりと腰に据えた二つの刃を手に取り―――抜刀)とか言ってさ、ずっと"こうしたかった"んだよね?あの時からずっと。そこは変わって無さそうだなって思うけど……(刃を払い―――こちらも構える)いいよ、こっから先は話し合いをしよっか、思う存分"これ"で。色々教えてもらわないとね。 」
侶梟「――――(無言で答える。素人目には構えを取ったまま微動だにしないように見える沈黙の最中、手刀の先端を、数ミリ単位で微調整し続け ) フ ッ (後の先を得手としていた"山"が先んじて動く。初動、爪先で床を蹴るその一歩でスライド移動。構えを取った姿勢のまま足音を立てず、墨汁のような残影を僅かに残し霞へ肉薄し) シッッッ !!!! (間合いの内側での震脚、同時に拳を僅かに突き出し”再射出”。人のみで成すパイルバンカーのような突きを鳩尾めがけ繰り出す) 」
霞「……ふ はッ!(呼吸の一つを震脚に合わせ一歩後退、その身体を屈めながら大きく刃を―――跳ね上げ)疾ッ!!!(強烈な突きを垂直にかち上げずらし、その余りある衝撃をくるりと回りもう片刃―――逆手に握り込んだそれを独楽のように鋭く、嵐の如く振り抜く) 」
侶梟「(顎下に迫る刃。これに対し眼球は動かず手の甲を剣の腹に添え、軌道を僅かにずらし) クンッ ヒュ ッ (首をひねり耳にかすり傷を残して回避。これと同時に肘を曲げて放つ"突き"を片腕で三度、それぞれ膝・肩・右手首を狙いほぼ同時に穿つ) 」
霞「バッ―――(攻撃の同タイミング、その脚部から蒼い炎が噴出―――足の底に仕込まれた噴射機構より再度推進力を得て)もう一撃ッ!!(更にもう一回転、鋭い突きがその外套の端を断ちながらも軸をズラして一撃を外しつつ"肩・手首"への刺突と真っ向衝突する) 」
ガギッ ギギギギギィッ!!!(両者の一撃が激しくぶつかり拮抗、火花を散らす―――)
侶梟「 ッ (二撃目、手首への牽制は"打ち負け"甲に切れ込みが走り) ゴ ッ (三撃目、肩への打撃と霞の迎撃が拮抗。 咄嗟に腕に力を込め密着状態から無理やり突きを再射出することで衝撃波を発生させ、互いの距離を引き離す) クンッ (後退する際、機動力で上回る霞が先手を取り追撃を仕掛けることを危惧し、相手の速度=威力として放つカウンターの拳を"置く") 」
霞「バッ―――(引き剥がされた距離、その時点で追撃の手を―――納刀し、突き出されたのは"露光する右腕")Type:【ブラフマストラ】……"ヴァジュラ<追尾>"。(その掌から螺旋を描きながら、視界を塞ぐように無数のレーザーが侶梟へと殺到してゆく!!) 」
侶梟「(飛び道具……手の内は読まれている)(一瞬片眉が動くが山が動揺するには至らない。突き出した拳を垂直に落とし) ふッ (黒い闘気、『巨塔攻略時には存在しなかった』力を全身に纏わせ周囲に拡散。拳の動きを追従するようにして雨のように形を変え―――) ズ ッッッ (エネルギーの方向性さえも変える重力波が発生。迫りくる光線を床へ沈め爆炎が立ち込める) グ ンッ (正拳を前に突き出し発生する"気の流れが"空間を圧縮して押し出し、無色にして巨大な打撃と化して霞へ迫る。) 」
霞「―――へえ……"それ"か、あなたを変えたのは。(未知の脅威、黒い闘気から放たれた飛ぶ拳に対して目を見開くが―――)……でも、変わったのは貴方だけじゃない。私は―――それを、斬る。(迫りくる暴威に居合の構えを取り―――) は あ ッ ! ! !(一閃―――その刃は"眼の前の全てを斬り裂くことを決して疑わない") 」
―――――― ザ ギ ガ ガ ガ ガガガガガガッ キィィィィ―――ンッ(侶梟の一撃が、そして何よりもこの世界の空間そのものが―――放たれた極閃にて綺麗な断面で真っ二つに裂けた。)
侶梟「 ! (目を見開く。その技の"性質"に驚嘆し瞳が縮小したタイミングは"初動"。その構え事態は記憶にない、だが覚えのある感覚に第六感が警鐘を鳴らし―――――) キ ィ ン ッ (空間断裂。霞の眼前に存在する尽くが、その一閃を堺に隔たれ、泣き分かれる。その中に侶梟の――――) 」
侶梟「(――――両断されたブーニーハットが存在した) ガンッ ガッ ザ シュ …… ッッッ’(考えうる限り最長距離最速の回避行動のため床を"殴り"自身をふっ飛ばしていたからか着地が疎かになり受け身を取って片膝を突き後退する事となる。霞の"新たな手札"は把握していない、しかしながらその技の性質を理解し回避行動を取った。この事から彼は―――)―――ほう、天の位か。ここに来て"並び立つ"とはな(その技に対し既視感がある。額に掠めたのか、赤が顔半分を覆い、その傷口に触れると悦に口元を綻ばせた) 」
霞「これ、"天の位"って言うんだ……"本気で斬るつもりでやれば何でも斬れる"ぐらいの認識だったけど。(あっけからんと、さも当然の事象であるかのように)でも、その口ぶりは……つまり貴方もできるんだね?だったら、やっぱりもっと話し合う必要があるね、それも思いっきり……全部。(刃を軽く払うように振り、構え直す)ぶつけていいよ、今までやりたかったこと全部。私も遠慮しないから―――だって、私も結構楽しみにしてたし。(その瞳に、貪欲な闘志が灯る。極限環境で磨き上げられた、昏く鋭い喜悦が) 」
侶梟「ハッ………貴様からすれば俺こそが童であるような齢の差であろうに……。(無邪気に、悦に染まる霞の笑みに感化され、口元を綻ばせる。 開脚、腰を落とし拳を膝の高さに置く。空手に類似した古武術の構えを取ると、僅かに前に突き出した拳が目の前の虚無に触れ……) ズ ッ (霞の眼の前の空間が歪み、一点へ向かって"収束"してゆく。侶梟が"空間に向かって放った仮想超質量"の拳が擬似ブラックホールを発生させ、 彼と霞の間合いを凝集させていた。結果として……) 」
侶梟「 百叩き込むまで音を上げてくれるなよ。それは俺が受けた業苦の序の口に過ぎぬ (互いの間合いへ移動と同時に、空間を圧縮させた超質量を纏う拳が"瞬時に"彼女へ迫ることを意味する) 」
霞「それを言ったら―――ッ!?(縮地の発展型とでも言うようなそれに、距離を見誤り反射が遅れる―――だがその"遅れを取り返す反射"は疾い)ぁあああ゛ッ!!!(最早その攻撃は不可避、"ならば食らえばいい"。半身ずらして肉体の被弾面積を減らし、威力を流す方向で軽減―――)ぶ―――ッ!!!(正面衝突でない、それですら襲い来る痛苦に思考は一瞬消し飛ぶ) 」
霞「ぐ……ガ ッ(だが問題はない、その先の行動は全て思考ではなく反射行動。深々と地面に左手の刃を突き刺しそれを軸にして衝撃に身を委ね回転し―――)だ ら゛ ァ゛ ッ゛!!!!(その威力をそのまま転じて凄絶な横一閃として肉薄する侶梟へ送り返す) 」
侶梟「(咄嗟に摺り足で残影を連ね"より前へ"スライド移動。直撃、胴体の両断こそ回避するも左胸部、左腕にかけて一文字の斬撃痕を刻み込まれ彼の背後に鮮血の影が伸びる。 ) ┣" グ ッ ヒュ …―――― (怯まない。反撃による被弾は想定内、致命傷・行動不能のダメージを紙一重で避けつつ"間合いを詰め続ける"事を選択。踏み込みの都度震脚、周囲の地面を不安定にし、霞の"地を蹴ることで後退する"という択を奪う。そうして体格差故の威圧を以て迫り、ゼロ距離から"関節破壊"を狙った貫手を放ってくる) 」
霞「詰めるなら―――バッ(右手に握る片刃、"操銃剣グラディウス"を投げ捨て)はぁッ!!(貫手に対し、右足底が再び噴射―――同時に右肘を振り下ろし)ガァンッッ!!!!(ぴたりとその貫手を上下より挟み込む形で抑え込み、逆にその動きを止め)そっちも逃がさないよ。(左足で軽く地を蹴りこちらも地に足付けず、底からジェット噴射―――)ゴ ビュウンッ!!!!(一気に前方へと違いを釘付けにしたまま、そのまま壁へと玉砕せんと突き進む) 」
侶梟「(寸分狂わず止めた。やはり身体能力もこの娘が上回るか)―――――(再度震脚を使用し持ちこたえようとするが、足裏が床を捉えられない。防御行動が間に合わず霞の意図のまま進み、壁へ激突――――)―― フッ ――(――した。にも関わらず衝撃、音、それらがあまりにも軽い。何より、霞と侶梟は直進し続け、瓦礫が舞う中何度も迷宮の壁を"すり抜けて"いた。理由は肘。後方へ突き出したそれが壁を"破壊"し、全身が叩きつけられることなくすり抜け続けていた。) 」
侶梟「 ダムッッッ(床にかかと落としを打ち込み反動を利用してポジションチェンジ。腕を霞の首に向かって立てる。黒い闘気を纏い"仮想質量"を増した体躯と床に挟み込んで脊髄を圧砕する気だ) 」
霞「く―――ならば!(挟むのに使った右腕をリリース、そこに刃は無い筈が―――)ブ ァ ッ―――(光の刃が右腕に纏わり付く。"至高拳ゴッデスハンズ"がその刃を顕にし)っらあッ!!(背後へ刃を振るい、それは文字通りに"次元"を裂いて無理やり余白の空間を生み出しそこへ落ち、挟み込むべき床を失わせる) 」
データ、或いは世界と世界か。何処とも取れぬその狭間―――無機質で上下すらも定まらぬそこへ落ちても二人の戦いは続く
霞「ボ ヒュゥッ!!(再度両足のジェットが噴射、肉薄状態から強引に上下を入れ替え揺さぶりをかけ)楽しい……愉しい、悦しいッ!!ずっと、私はこの生と死の間で彼と一緒に戦っていたからッ!!!(両手の刃を鋭く、正確無比に乱打刺突―――目・頭・心臓……あらゆる急所へと狙い撃つ、どれを取りこぼしても"致命"となろう) 」
侶梟「―――――(仮想質量による自己強化。即ち自身の体の一部に重力の負荷を掛ける自傷行為、これを繰り返している為Gや平衡感覚の喪失といった障害には耐性がある。目まぐるしく景色が変わる最中、眼球だけが動き正確無比に霞の一挙一動を捉え続ける)――――不可か(―――が、目で追えても体が追いつく事はイコールではない。極閃を差し引いても神域に達する速度と精密性を併せ持つ霞の三連撃を全て回避することは不可能に等しい。どれかを捨てる事になる) 」
侶梟「 ガンッ ッッ (身を捩り心臓・眼球への刺突を回避。捨てたのは頭部への刺突。ただし受けるのではなく、迎撃する。頭部を振り下ろし、"頭突き"、頭蓋の丸さも相まって斬撃を滑らせ) ブシ ィッッッ(即死必須から、左側頭部、耳を抉れるまでに被害を抑える)シィィィ ッッ !!(平衡感覚を奪うべくバランサーの役割を担っているであろう片足のジェットを狙い足払い → 宙空で前のめりに転倒させ、頭部が間合いに来ると読んだ上で、後頭部が来ると予測される地点へ"仮想質量"を乗せた肘を戦鎚として振り下ろす) 」
霞「見事―――!(文字通りの"必殺技"を抑えた侶梟に舌を巻き、足元を崩されぐるりと身体が回るが)でも、まだ甘いッ!!(右腕の光が収束、光弾として"射撃"―――即ち推進力となり振り下ろされた肘鉄を紙一重で回避)でぇぁッ!!!(健在の片足からジェット噴射、密着距離からその肉体へ膝蹴りを放つ) 」
侶梟「 ゴッ ッッ ッ ぬ" ゥ" ッッ (膝蹴りが肋を圧砕する感触が霞に変える。取りに行った。無重力空間で前へ出過ぎた故にそのダメージは大きく苦悶の声を上げるが) グッ (その最中、奥へ控えた左拳は貯め行動に入り、もう片方の右腕は) ガッ (膝蹴りが入ったが故に密着状態の霞の視界を掌で塞ぐようにして前へ繰り出される。ソレに合わせ) パ ァンッッ (貯め行動に入った左拳から繰り出される、天の位に達した極打を伴う『零勁』。当たろうが当たるまいが、霞が発生させた異空間に亀裂を発生させ、カーディナルゾーン第二階層、迷宮へ向かって舞台は落下し始める) 」
霞「……ッ、これは―――(完全密着状況、視野の塞がった状況―――だが何をされるかは理解る、"致命の一撃"が来ると)グ ブォッ―――(無策で"それ"を受ける訳にはいかず、貯めのない状態で素早く空いた左腕の刃を払い、拮抗する"天"の打撃へかち合う) 」
ギャギャリギャリギャリギャリィッ!!!!!(二つの"天"が、己の一撃を疑わない。それぞれがそれぞれの上に立つと喰らい合うが)ギギギギッ……ガキィンッ――――――(万全の予備動作から放たれた拳は、不完全な状態で意思のみで喰らいついていた剣を跳ね除け、目標へと達する)
霞「が―――ッ……!!(直撃。だが、その威力を削ぐ事は叶った)ズダンッ―――バッ(地に失墜し叩きつけられるが、素早く地面を転がりながら跳ね起き)……ペッ(口に溜まった血を吐き捨てる)……ふ、ふふ、いいの貰っちゃった。たまんないなあ……痛かったよ今の。(語るその口には、戦意に一切の淀みが無い。寧ろ、より強く燃え上がる) 」
侶梟「 ガ ッッ ン ッ (着地を度外視した一撃、加えて拮抗による反動は"人間"である故か霞よりも負担が大きく、半ば意識が飛んだ状態で受け身も取れず側頭部から床へ転落。咄嗟に復帰し、全身が叩きつけられる前に側転することで"二度目の死"を免れる)――――――。(平衡感覚に難がある。尚も立ち上がり、老兵は拳を構える。お互い戦いに悦を見出した武人。その笑みは同じくするはず…… だが) 」
侶梟「―――――――。 」
違和感。 紛うことなき強敵。対等、否、むしろこちら側が挑戦者であるのだろう僅かな劣勢。心躍る戦況のハズ。だが…… 何も無い。胸を焦がす衝動が、鼓動が、躍動が無い。
戦いとはこういったものだったか? 己があの日失ったのは本当に、"一度目の渡世"だけだったのか?
『 やり直しだ 』
侶梟「――――否。 之は…… 」
記憶に深く突き刺さる楔。既視感のある気配が、塔に纏わりついている。己のために愉しめない、そういった場合ではないと、本能にまさる理性が、『人の性』が訴えている。 故に―――――― 」
侶梟「―――――。武と鋼の娘よ(拳を下ろす。技の語らいを中断してまで、言の葉で何かを伝えようとするが……)
エリノラを救出したならば此処に残るべきではない、若人には降りるよう伝えろ。お前と俺が共に征くならば或いはと――――――――― 」
1110001ジ■00ジ■00010000000111001ジ■10000100100ジ■1ジジ■0010111111000111000000110ジ■01110001110000010100ジ■0111110001110ジ■ジ■ジ■■001000000011100011100000011010100111100011100000011000011ジ■1100011ジ■0000110010111111000111000000ジ■01001101110ジ■111000000ジ■ジ■0100000001ジ■ジ■■ジ1001101000ジ■010011011111000111000ジ■ジ■ジ■ 」
モスキート音。特定の音域を拾える人物のみに聞こえる高音。これをより鮮明に、そして強烈にしたような耳鳴りが『異常な量の情報量とノイズ』と共に、両者の脳へ揺さぶりをしかけてくる。 部によって第六感を鍛えた二人にはその大本が自ずと理解できた。迷宮の何処か、ソレも近く。 そして"誰か"が、"ソレ"と既に邂逅していると 」
侶梟「――ッ――――――(欠損した耳を抑え、物言わぬ刀、戦闘マシーンであったはずの彼が"悲痛"に眉をひそめる。その方向を見やり、焦燥に表情を陰らせた)――――"三人目"だ。 勝負は預ける、構わないか 」
霞「う゛ッ―――……(半機械の肉体にソレは殊更に響くのだろう、痛烈な耳鳴りに思わず顔を顰めた)……みたい、だね……そっちが良いなら、私もそうしたい。(今まで戦う以外の選択肢を見せなかった彼の様子に、こちらも同じく右手に纏った光を収め、捨てた刃を回収しつつ納める)あれは……此処に来た理由、心残りの一つだから。見過ごす訳にはちょっといかないなあ…… 」
ケビン「―――――大人になったな爺さんと婆さんになって、ようやく(達人、それも超越者の戦いの最中突破口を見いだせなかったのか、物陰から姿を表し頭を掻き)――――ま、死にぞこないって意味じゃ俺のほうがおたくらよりジジイだ。満身創痍だろうが役立ってもらうぜ(軽口を発してこそいるものの笑みはない、既視感のある気配とその異質さに、眉間のシワは深い。 両者の間をすり抜け、暗がりの奥へと進み始める) 」
侶梟「・・・・・・・。知人の孫が爺を自称するようになるとは、死に損ないすぎたか(すれ違うケビンの背を呆然と眺め肩を落とし)―――――俺からも貴様や、他の"攻略組"には忠告すべきことがる。だがそれは後だ。今は…… 恥を忍んで、その力を借りたい。(目線を合わせないが、切実に、言葉の圧でそう懇願する。一瞬だけ霞を再度一瞥し、ケビンへ続いて暗がりへ進み始めた) 」
霞「失礼な、今までは恋する乙女だったと呼びなさい。それと婆さんは余計な一言です、もう助けてあげないよ?(つん、とケビンの指摘にへそを曲げる、先程までああも殺伐としていた少女とは全く思えない切り替えの速さである)昨日の敵は今日の友……と言うには日付も跨いじゃいないけど、別にいいよ。だって私も手合わせはしたかったし―――最初から"そういうこと"にしたっていい。(何でも無い事のように水に流し、そのまま後へと続く) 」
最終更新:2025年05月13日 23:51