CHAOS SOULS 過去ログ.1





混沌を捧げよ。

物語を焚べよ。




物語無き本は、世に堕ちる

緑の光に覆われし世界は、突如として、断絶するように、その光を失った

まるで何かの鏡写しの如く栄えていた世界はある日、歪められたようにその姿を失い、濃い霧に世界は包まれた

写し鏡は、割れたのだ

火は届かない。霧を晴らすのに足る炎はなく、それどころか、日に日に明かりは絶えようとしていた

いつか壊れた。いつまでも壊れた。何かが壊れた。何もかもが壊れた

誰がそうしたのか、灰に塗れた屍山血河 燻る魂は、人の身すらも怪物に変えてゆく

また一人、誰かがそこで目を覚ます

炎の鎧を纏った名も無き剣士 それは、世界を照らす最後の火になり得るか それとも、死に行く世界に最後の一撃を加えに来たのか

……外から声がする。立たねばならない

自分には、何か使命があった気がする




―――え、ますか 聞こえ、ますか?

―――「…………目覚める前に、質問をさせてください 」


声が、する。聞き覚えのない……だけれど、安心感のある声だ


―――「名前をお聞かせ願えますか? 」


――――――名前を答える


―――「―――「XXX」―――良い名前だと思います。……ええ。ちゃんと覚えましたよ。どうして疑うのですか? 」

―――「次に行きましょう。素性をお聞かせ願えますか? 」


――――――騎士、盗賊、狩人、魔術師、聖職者、呪術師……


―――「―――それに、なさるのですね。ええ。しっくりくると思います。魂の形に合っている、というか 」

―――「……これは、質問ではなくなってしまうのですが。贈り物を差し上げたいのです。旅立つあなたに。こちらに、ありますので。一つ、選んでいってください 」


―――遠眼鏡、焼夷弾、万能鍵、お守りの指輪、万能鍵、ロケット……


―――「――――――はい。きっとお役に立つと思いますよ。いつの日か、きっと…… 」

―――「……目覚めの邪魔をして、申し訳ございません。もうすぐ、あなたの瞼が開く頃です 」

―――「私から言えるのは、一つだけ。最後まで…… 」

―――「……最後まで、心を強く持ってください。それだけです。貴方ならば……やり遂げるかも…… 」


声が、遠ざかっていく 目の前が、白んでいく 重い瞼が、ゆっくりと開いていくようだ


夢の時間は、終わるらしい






――――ガサ…(古びた牢屋の中、身動ぎが音を立てる。いつの間にか、こんなところに座って眠っていたのだろうか)

???「………………(よおく瞳を開いて、自分の身体を確認する。何か、鎧のようなものを着ている。ほんのり暖かく、光を帯びているような) 」

???「………………(右手には何かが握られている。赤い火のような造形が特徴的な、古びた剣のようだ) 」

???→名も無き剣士「………………(牢屋の端に、鏡がある。自らの姿を、ぼろぼろのそれでまじまじと見る。炎のような奇妙な鎧と、火の意匠のある剣。自分は、剣士だったようだ。詳しい事は、何も覚えていないけれど) 」

名も無き剣士「………………(そこまで確認すれば、もう鏡に興味はない。自分が映るそれから目を外す。ここは、独房か。随分と古びた、酷い所だ) 」

名も無き剣士「………………(外に出たい。こんなところで野垂れ死ぬのは、御免だ。だけれど、剣で斬りつけても、牢屋は壊せなさそうだ。途方に暮れる中……) 」


「……おや。まだ生きている者がいるのですね。…妄者では、ない」(……声が、聞こえた)


ド サ …(声が聞こえた方向を見上げると、死体が投げ落とされた。上の窓からだ。見上げると、誰かが居る)


???「乱暴なやり方になってしまいましたが、その死体がそこの牢屋の鍵を持っています。そこから抜け出して……(死体を投げ落とした張本人だろうか。鎧を纏った少女が、そう語り掛ける。願ってもない話だ。ここから出られる) 」

???→ブリテンのアルトリア「……私は、騎士アルトリア。すぐに合流しましょう。……貴方に使命があるのなら。お気をつけて(彼女はそう言い残して、その場から去っていった) 」

名も無き剣士「………………(使命。それが何かは分からないが…確かに、自分にもそれがあった気がした)  ス… (立ち上がる。剣を握り締めて、もう片方の手で鍵を開け、一歩を踏み出した。なんにせよ、行かねばならぬ。ここに留まる理由は、ないのだから) 」


ギ ィ…… (金属のきしむ音を立てて、牢屋のドアは開け放たれた)






CHAOS SOULS
〜混沌の魂と表題無き本〜






――― 東の砦跡 ―――


名も無き剣士「    ザ ンッ    (試し斬りをするように、手に持っていた剣で打ち捨てられていた樽を斬り飛ばす。鈍ではないようだ)………………(辺りを見渡すと、血のような赤い文字が複数見当たる。剣の基本的な使い方、鎧を着た時の動き方。自分への助言のようだ。……鎧は脱げない。まるで、鎧まで含めて自分の身体のようだ) 」

名も無き剣士「……………(まずはここから出なければ。牢屋から出ても、ここはまだ陰鬱な通路の中だ。助けてくれた彼女にもお礼を言わなければならない。鎧を揺らしながら、階段を登り、その先の扉を開いた) 」

ブリテンのアルトリア「……………おや。(扉を開けた瞬間、動く死体のようなものを斬り捨てる彼女の姿が見えた)……合流できましたね。あなたも、不死人、ですよね?(彼女は手を差し出す。不死人。また、新たな単語が出てきた) 」

ブリテンのアルトリア「……ああ。不死人というのは、アナタのような、ソウルある限り死なぬ身体を持った……呪われた人々と、言われております(困惑しているのを察したのか、先手を取って彼女は単語を説明する)……しかし、ただ呪われているだけとは私は思いません。特に、ここに導かれた以上、アナタのような不死には、不死にしか出来ぬ使命を背負っていると思っていますので 」

名も無き剣士「……………(使命とは。彼女の言う使命……自分の背負う使命とは何なのか。問う必要を感じた) 」

ブリテンのアルトリア「不死の使命。世界を包む霧……人を狂わせ、世界を闇に包まんとする魔性の霧。随分前、世界の中心たる「原初の城」から発生したそれを晴らせるのは……『火』を溜め込むことのできる者……すなわち、不死に呪われし者だけ、と言われております 」

ブリテンのアルトリア「……私はその火を灯すべく、ここまで来たのです。貴公の鎧からも、微かな炎を感じる。どうか、使命に手を貸しては……(そこまで言って、自らを戒めるように目を伏せ)……いえ。いきなりそこまで頼むのは、その……厚かましい話ですね。まずは、安全な場所まで行きましょう 」

名も無き剣士「……………(頷く。安全な場所があるのならば、まずはそこに行きたくなるものだろう。それに、火。他人の気がしない。この剣も、鎧も、まるでその話を肯定するように、赤い烈火をあしらっている故に) 」

ブリテンのアルトリア「……改めて自己紹介を。私はブリテンから来たアルトリア。使命を果たすべくここまで来た、貴公と同じ、不死です(軽く会釈し、再び剣を構える。小走りで、剣士を導くように)こちらです。かつて皆が寄る辺としていた場所が、この城砦跡から近いです。まずはそこを目指しましょう 」

妄者「……ズ…ズズズ…ズ…(一言で表すなら、亡者だ。まるで死人のように窶れた人のようなもの、ゾンビや動く死体と表現できるそれが、足を引き摺りながら、二人に襲いかかる) 」

名も無き剣士「……………(無感動に、それを剣で斬り捨てる。突然襲ってきたものだから、反射的に。まるで死体が動いているような異形。先、アルトリアも斬っていたこれは何なのか。当然の疑問をぶつける) 」

ブリテンのアルトリア「……妄者です。妄執に囚われし亡者。故に我々は妄者と呼んでいます。今のこの世界では、万物が妄者になり得ます。深い絶望や執着に囚われた時に。……不死も例外ではありません。アナタや私も、希望を失えばああ成り果てるでしょう。今や……世界のほとんどを妄者が埋め尽くしています 」

名も無き剣士「……………(切り捨てたそれを見下ろしながら、アルトリアの言葉に思いを馳せる。不死の末路……死なぬ以上、最期にはこのような怪物に成り果てる者が大多数なのだろう) 」

ブリテンのアルトリア「……そうだ、不安ならばこれを渡しておきましょう(彼女が手渡してきたのは、いくつかの緑色のガラス瓶)不死の必需品。火を溜め込み、生命力の源となる液体に変える、『緑瓶』です。私の分もありますので、お気になさらず。……自らの身体を守り、なるべく死を体験しないことが、我々のような不死が妄者にならぬ一番の対策です。傷を負ったら、すぐに飲んでください 」

名も無き剣士「………………(受け取った瓶を一通り見つめて、ベルトを使って腰に括り付けた。流石に鎧の懐には仕舞えまい) 」

ブリテンのアルトリア「不死人の知恵には色々とあるのです。その緑瓶の他にも、不死の魂の拠り所になる篝火や、強敵と戦う時に便利な知恵が……こういうのは、追々話せば良いでしょう。先を急ぎます 」

名も無き剣士「………………(彼女の指示に従い、先を急ぐ。大きな扉を開ける。城丸のような、かつて守りの要になっていたであろう場所へと) 」

ブリテンのアルトリア「…………(扉を開けて、数歩歩んだところで、剣を添えて、名も無き剣士を制止し)……気配が、します。只ならぬ気配。先までの妄者では、このような覇気は出せません 」

名も無き剣士「………………(制止する彼女の姿を見て、問う。敵なのか。気配の正体を) 」

ブリテンのアルトリア「……分かりません。所謂、殺意の類を感じませんから。……ただ、これは、妄者では…… 」

剣聖「────ジャブ、ジャブ(ほんのちょっとした水たまりを何事もなく歩み抜けて)…………ほう、お主……(ふたりの存在、そのうちの名も無き剣士に目をやる)そうか……(言葉は少なく、ただ静謐に鯉口を切り、愛刀を引き抜く。なにか知っている素振りこそあれど、老獪なる剣士はそれ以上語らない。"まいれ"と言うようにその場に仁王立ち) 」

ブリテンのアルトリア「ッ…………お、お侍様、でしょうか。生者……ですね。そこの方。我々は今、寄る辺の跡に向かっていて…… 」

名も無き剣士「………………(今度は、自分から彼女を制止する。……おそらく、言葉を交わす気はない。そう判断して、手を差し伸べようとする彼女を制止し……剣を構える) 」

ブリテンのアルトリア「…………生きている者同士で戦っている場合ではありません。お互い剣を収め……て……と……言って、聞くようなお方では、なさそうですね。……訳も言わず、ですか 」

名も無き剣士「………………(ヒリヒリと、威圧のようなものが感覚を擽る。……自分よりも何倍も格上の相手に、敵意を向けられている。今までの妄者とは違う、色濃い死の予感を感じながら、応戦を選ぶ事とした) 」



──────── 剣聖 ────────





剣聖「……ザッ、ザッ、ザッ(にらみ合うこと数分か。剣聖、動く。ゆっくりとした足取りで近づくさまは無防備に見えて歴戦の隙の無さをかんじるという矛盾的空気を醸し出す。その出どころはすなわち、彼がここまで練り上げてきた剣気による力場の影響が大きいだろう) 」

ブリテンのアルトリア「……慎重に。あの侍、間違いなく只者では…… 」

剣聖「────迷えば、敗れる。さぁ、まいれ!! 」

名も無き剣士「────ダッ(アルトリアの忠告を無視するように、動き出した剣聖に向けて駆け出す。剣を両手で持って、上段から振り下ろすように……一閃) 」

剣聖「(名も無き剣士の一閃。素人の剣とは思えぬ切れの良さからなる剣の煌めきを瞳に映すも) ガ ァ ン !("弾く"。ここへ来る途中の血の文字にこれは書いてあったか。それを思い出す暇も与えず)ザン!(弾いてすぐに横薙ぎを繰り出す) 」

名も無き剣士「 !! (剣が、弾かれた。体勢を崩され、何よりそうされたという事実が彼を揺さぶる。すぐさま放たれる横薙ぎが、名も無き剣士を斬り捨てることは難しくない……) 」

ブリテンのアルトリア「危ないッ!!(急速に割り込み、名も無き剣士に襲い掛かる刃を受け止め)このッ…!!(そのまま逆風。剣を弾き合い距離を取ろうとする)……大丈夫ですか。あれは、相当な達人。迂闊に踏み込めば、先のように弾かれましょう…… 」

名も無き剣士「────スッ(軽率に飛び込んだ事を反省し、二度も自らの命を救ったアルトリアに感謝の意を込めて会釈する。達人相手に、軽率な太刀筋など入らない。それどころか、隙を作り出す糸口にされるだけだ)チャッ……(さりとて、ここで迷えばその隙を突かれ斬り捨てられることだろう。相手がこちらの一撃を弾くことにより崩して来るのならば、こちらも…) 」

剣聖「戦場で戦術の指南か。生兵法は大怪我の基ぞ。死にたくなくば、動け!(今度は走って迫ってくる)バ ッ ! (飛び上がり) ギ ュ ン!(上から下へ抉るような刺突。ふたりとも串刺しにする勢いで正確無比なそれを放つ) 」

ブリテンのアルトリア「ッ、避けてッ!!(ステップ。直感的にその場から飛び退きながら、剣士に向けて叫ぶ) 」

名も無き剣士「 ダッ ! (そこで敢えて、攻撃に向けて突っ込む。抉るように突き下ろされる刺突を…) ギ ィ ン!!(刀の刀身で滑らせるように受け流し、その刀身が地面に突き刺さろうとする瞬間に刀の切っ先を踏み付け) ギュ ン (そのまま身体を捻って叩きつけるように、反撃を叩き込もうとする) 」

剣聖「────!(突っ込んできた。出会って早々、見ず知らずの格上だろう人斬り相手に臆することなく。しかもその刺突を) ザ ン ! (切っ先が地面に刺さり、なおかつ踏まれることで一時的に硬直、なおかつ体幹がやや崩れる)む!(すかさず反応。見事な反撃。回避した際、剣士の切っ先が頬をかすめた)……ほう(目がギラついた。戦意が上がり身が震えた。剣士に斬り返そうと思った直後────)…………いや、よい。(突然納刀した。殺気もすべてを消し、背中を向けて別方向へ歩き出した)…励め。いずれまた、会おうこととなるだろう。 」

名も無き剣士「……!!(突然殺気が消えた。納刀という、明確な武装解除。その行為に困惑しながらも、剣を構えるも) 」


BGM♪:


ブリテンのアルトリア「…やめましょう。アナタも剣を納めるべきです(去っていく剣聖に手を出さぬよう、引き留める)……アナタの思っているより、我々の傷は深い(先の攻防で斬られたのか……腹部から、血を流すそれを、抑えながら) 」

名も無き剣士「……………!!!(同じく、鎧の一部が揺らめいて…掠めた斬撃が、思った以上に深く傷を刻んでいたことに気付く)…………(底知れぬ相手に、少しばかり戦慄を覚え。そして、アルトリアを心配して、駆け寄って抱き起こす) 」

ブリテンのアルトリア「…………心配、しているのですか?問題、ありま、せん。確かに……先の侍から受けた傷は大きいです。ですが、私は、不死、です。……向かいましょう、寄る辺の跡に。篝火が必要です。篝火で瓶に炎を補給し、それを飲めばこの程度の傷、元通り、です(息が荒く、剣を地面に引きずり、すり足気味になりながらも、そう言って笑う) 」

名も無き剣士「……………(脚を引きずる彼女に肩を貸すようにしながら、彼女の向かおうとする場所を見据え…足を進めようとする。命の恩人に何もできぬままでは、申し訳が立たない) 」

ブリテンのアルトリア「…………アナタは優しいのですね。私は大丈夫、だと、いうのに。……アナタの傷も浅くはない。早く、傷を癒しましょう。ここを出なければ……(そう言って、進むべき道を指差す)……アナタとなら、この使命、必ず……いえ。まだ、聞いていませんでしたね…… 」

ブリテンのアルトリア「………………私と共に、この国に火を灯してくれますか? 」

名も無き剣士「…………(頷く。勿論だ。今思えば、あの侍もまた……使命を背負うに足る人間なのか、自分を試していたのかもしれない。もう迷いはない。恩人たる彼女の頼みなら。二人で、この国に火を……) 」


   ザクッ────  (散らばる亡骸を踏み越えながら、砦跡を出ようとした瞬間。足音とは違う、鈍い音が響いた)


ブリテンのアルトリア「    は っ ?    (漏れ出るような声のあと、その後を追うように、彼女は血を吐き出した) 」

名も無き剣士「  !  (刺された。アルトリアが、背後から。踏み越えようとした亡骸が立ち上がって、彼女を突き刺した。それを認識した彼は、瞬間的に剣を突き出して────) 」

妄者「────ザグン!!(その立ち上がった亡骸……名も無き妄者の一体を刺し貫いた) 」

ブリテンのアルトリア「…………こ、れは。鈍り、ました。不覚を……(吐き出された血を見て、瞳から光が消えていく)……痛い……こんな痛みは、久しぶり…………ですね……(自然に笑みが浮かぶ。諦めたような表情。それゆえの笑顔が、彼女に浮かび、身体は名も無き剣士の身体から投げ落とされて、鎧の音を立てて尻餅をつく) 」

名も無き剣士「………………ッ……(息が詰まる。まだ何も恩返しが出来ていない。自らをあの狭い檻から連れ出した恩人を、こんなところで失うのか。諦観の表情を浮かべる彼女に、先渡してもらった瓶を飲ませようと取り出す) 」

ブリテンのアルトリア「あ……あ……あはは……う、嘘をついたんです。少しだけ……私は……ここまで来るのに……瓶の中身を使い切ったので……私が渡したその瓶……中身が……入っていない、んです……(笑いながら、その様子を制止し、歩み寄って来る彼の肩に手を当て)……なので、その。私はもう、助かりません。それに、内蔵がやられてます。中身があったとして、満足に飲めるか、分かりません 」

名も無き剣士「………………(見捨てたくない。その意思を示す。彼女はまだ、使命を果たせていない。自分はまだ、恩を返せていないと) 」

ブリテンのアルトリア「…………ははは。恩返しを、したいなら……継いでください、私の意志……使命を……アナタが齎してください。この世界に……火を……(息も絶え絶え。喉にまたも血が絡む)……それに……そんなに深刻に考えなくても……いいですよ……私は、不死ですから……篝火の元で復活します……そうすれば、また会える…… 」

ブリテンのアルトリア「ただ、その時。私が正気を保ったままなのかどうかは……分かりません、が。だから、その。行ってください。私を置いて。もしここで死んで……復活した時……私が、妄者になって、アナタを襲うとしたら……私はそれが、一番辛い…… 」

名も無き剣士「……………… 」

ブリテンのアルトリア「……ここまで言えば、分かる、でしょう。さようなら……です。行ってください。最後に、託せる人に出会えて、良かった。これで、希望を持って、死ねます…………っ 」

名も無き剣士「………………(アルトリアは、最後の力を振り絞って、行くべき道を指差している。……それでも、彼女を見捨てたくない。彼女の言う、「寄る辺の跡」へ向かう崖の方へ、彼女を背負って、一歩一歩、向かおうとする) 」

ブリテンのアルトリア「……分からず屋、ですね(自らを連れて行こうとする、名も無き剣士。見捨てろという言葉が分からないのか。そんな、哀れで、誠実で…使命を託すに足る彼の、重荷を降ろすため) 」


ドンッ──── (最後の力を振り絞って、彼女は、彼一人だけで行くように、彼を崖から突き落とした) 」


名も無き剣士「…………!!! 」

ブリテンのアルトリア「……そのまま転がり落ちれば、目的地に着きます。アナタなら、大丈夫です。行って(再び鎧の音を立てて、彼女はその場に崩れ落ちる。名も無き剣士が滑り落ちていく崖とは別の方向へと、転がっていく) 」

ブリテンのアルトリア「────────ああ、でも、やっぱり、死にたくない。まだ死にたくない……使命を、果たせていない……死ぬわけには……まだ…… 」



まだ、アナタと会えるのなら────────





???「また一人、落ちてきたようですね。使命を背負った不死が、また一人……」




────────ドサ。(穴の底に落っこちた。音を立てて落っこちた。冒険の始まり。ああ、落下とは、旅立ちと縁が深い。)

???「また一人、落ちてきたようですね。使命を背負った不死が、また一人……(鈍い音を立てて落ちてきたそれに、野次馬が集まって来る。と言っても、人数は少ない。三、四人ほどの人影が、乱暴に降りて来た彼を見下ろす) 」

ガサツな騎士「おい、何してんだ(酒を片手に???の背後からやってきて)────へっ! まぁた邪魔者が増えやがったのか?(終始不貞腐れたような態度で酒を呷り、足先で『それ』を小突く) 」

???B「……新入り?どこのどいつだよ。てかそっち、騎士王サマが行ってた砦跡の方じゃないのか。……また面倒が増えやしないか? 」

???「……彼もここまで来れた貴重な不死です。選ばれし者と呼ぶに相応しい人間なのは間違いないでしょう。丁重に扱って差し上げたいのですが(それをあまり好意的に思っていないガサツな騎士ともう一人を手で制止し、『それ』を抱き起そうとする)……炎と龍をあしらった鎧…… 」

???「…………確かに、アルトリア様は帰ってきていません。砦跡に向かったのなら、今頃形はどうあれ帰ってきてもおかしくはないのですが 」

???B「……あの騎士王サマが死んで戻って来るってんなら、それはそれで笑ってやったんだが 」

???「…………彼が起きるようですよ。 」

ガサツな騎士「おいおい、いいのか? それよりよぉ!こんだけ頭数がいるんだ。ここでボコボコにして身包みはいじまおうぜ。大丈夫だ。どうせろくでなしだよ。ひっひっひっ。 」

名も無き剣士「ッ!!(周りの声が、ようやく鮮明に聞こえる。意識を取り戻して飛び起きる。目覚めると、そこは……何かの跡、廃墟のようで……それでいてなぜか安らぐ、不思議な場所。その中心には、篝火があった) 」

???B「とか言ってるうちに起きちまったぞ……お前が物騒なこと言ったからじゃないのか(気だるげに、ガサツな騎士へ) 」

名も無き剣士「…………(物騒な台詞が聞こえた気がする。咄嗟に、握っていた剣を構え直し) 」

ガサツな騎士「ゲッ!!(名も無き剣士が起き上がるのを見て飛びのき)お、俺のせいってかあ!? おいおい、待て待て待て、待てってオイ。そんな身構えなさんなってへへへ冗談キツイぜ(焦ったように名も無き剣士をなだめつつ) 」

???「……失礼。身構えなくて構いません。お待ちしておりました(静かにお辞儀をする。透き通るような印象を受ける少女。ゆっくりと名も無き剣士に近づき、抑えてその剣を降ろさせる) 」

???→語り部「私はこの『寄る辺の跡』の案内人……『語り部』とでもお呼びください(名乗った彼女は柔らかに微笑む)……彼らは…… 」


――― 寄る辺の跡 ―――

???B→心折れた剣士「えぇ……そこで俺たちに振るかよ。俺は……俺はもういいんだ。そこのそいつと違って追い剥ぎとかする気力もねえ。出来る事と言えば……話し相手くらいで……(何処か名も無き剣士の着ている鎧に似ているが、顔の露出した鎧を着た男が、自嘲するように笑う) 」

ガサツな騎士「ふん、お前に名乗る名前なんてねえ!(ふんぞり返るように睨みつけていたが) 」

名も無き剣士「…………(素直に剣を降ろす。敵でないのなら、わざわざ殺す意味もないだろう。話を聞こう) 」

少女「あれ?新人さんですか!(トトトと走ってきて)初めまして! わたし、ソーラムと言います!こちらはコルベットさん。ちょっとガサツですけど、基本的にはいい人ですよ!(青髪サイドテールの元気な少女は他のメンツとは違いかなり友好的な微笑みをたたえながら自己紹介する) 」

ガサツな騎士→コルベット「おいテメェ!勝手に人の名前をバラすんじゃねえ!!(ソーラムに怒鳴りつつ)……あー、クソ。調子狂う奴がもう一人増えやがったクソ! 」

名も無き剣士「……………(気が抜けるような集まりだ。問うべきことは沢山ある。ここはどこだ?と、彼は問いかけた) 」

語り部「先も言いました通り、ここは『寄る辺の跡』と言います。かつては、多くの人々で賑わった、少し古い宿舎がありました。……今はこの通りですが、その時の名残なのか、ここには妄者が寄り付きません 」

語り部「あそこに見える篝火を拠り所に出来るのもあって、ここには多くの人々が集まります。特に……使命や目的を持った不死人が、多く 」

名も無き剣士「………………………(篝火、妄者の寄り付かない安全地帯。それに、「寄る辺の跡」という名前はアルトリアも言っていた。自分は、無事そこに辿り着けたようだ。しかし……) 」

語り部「どうされましたか? 」

躯纏う老婆「ヒッヒッヒ、下手な妄者より「らしい」ババアが住み着いちまっとるがのう。(会話を聞きつけて一足早くこちらに腰を落ち着けていた老婆が姿を表す。天狗のような鼻、ひしゃげた顎、金や銀が混じった歯。何かの動物の骨を首飾りや杖、顔を覆うローブに身に付けたいかにもといった風貌) ――――(名もなき剣士の様子を見、首を横に振って丸太に腰掛ける)そうかい。一層寂しくなるねェ 」

名も無き剣士「…………(こういう時は、心中を隠さないものだろう。彼は話した。自分の身に何が起きたのか) 」

語り部「…………(老婆が会話に入って来たことに視線を少し送りながらも、再び名も無き剣士を見つめ)……そうですか。アルトリア様はもう帰りませんか。……アルトリア様は勇敢で素晴らしい騎士でした。火を灯そうとする勇気ある、選ばれし不死の一人でした。わざわざ彼女の治める国から、この霧に覆われた国にはるばると。そのアルトリア様が貴方を生かした。それは間違いないのですね 」

コルベット「────ピク(アルトリアが死んだことを耳にし一瞬反応、それは悲しみとは違う……)ケッ! いくら強いからって、ひとりで無茶しやがるからだ! 前から気に入らなかったんだよあの女は……本当に……バカが(バツが悪そうにしながらまた酒をかっくらう) 」

心折れた剣士「……はぁ……そうか、騎士王サマはくたばったかぁ……心折れそうにない奴だったんだが……その緑瓶も、もしかして騎士王サマのかい?そいつは役に立つぞ…… 」

名も無き剣士「…………………(自分のせいだ、と語る。情けない気分だ。自分は生かされただけ。……だけれど、生かされたことには意味があると信じたいと) 」

語り部「あなたは、彼女の遺志を継ぐつもりなのですか? この世界は霧に包まれています。濃霧は随分と前からこの世界を包み、妄者たちを生み出しました。 あなたが、霧を払う炎を灯したいのなら……そこの篝火は、役に立つでしょう 」

名も無き剣士「………………(篝火を見る。アルトリアも言っていた……不死の魂の拠り所。それにゆっくりと近づいて、手を翳す) 」


――― BONFIRE LIT ―――

ソーラム「そんな、アルトリアさんが……でも、その人を守ってくれたんですね。────わかりました。わたし、アルトリアさんの意志を無駄にはしません!  」

語り部「それは、不死の拠り所。 何度命を落としても、ソウルある限り篝火の傍で蘇ります。 ……呪われた命です。しかし、炎を灯せるのは、その呪われた人々しか居ないのです。 炎は、緑瓶に溜め込むと液体になります。良い飲み薬になりますよ。傷など一瞬で癒えるでしょう 」

コルベット「へっ、意志を無駄にしないって一体どうするってんだ? オメェみたいなちんちくりんな奴がどうやってアルトリアに迫るってんだよ!ガキの夢ならほどほどにしろ!(ソーラムに突っかかるように) 」

名も無き剣士「…………………(確かに暖かい……安心感のある炎だ。自分を繋ぎ止めるような……) 」

ソーラム「で、でも! アルトリアさんはいつも皆のことを気にかけて、ずっとわたしたちを守ってくれました!だからわたしも! 」

語り部「……篝火の近くならば、私もあなたのお手伝いが出来ます(そっと手を伸ばし)……集めたソウル。妄者や魔物……あるいは人も落とすでしょう。それらを私に渡してくれるのなら、それを貴方の鎧を強くするのに使えます。 ソウルは、通貨にもなり得ます。使命を果たすならば、多くを集めてください 」

名も無き剣士「…………………(それに軽く頷く。周りのソーラムと名乗った少女やコルベットと名乗った男も、確かに悪い人ではなさそうだ、そう思うだろう)…………(自分は何をすればいい。語り部を始めとした者たちに問いかける) 」

コルベット「────ッ!(空になった瓶をソーラムに投げつけ)それがくだらねえ妄想だってんだよ!俺らみてぇなペーペーの不死がよぉ!アイツの足元に及ぶと思ってんのか!? いいか、アイツはなぁ、特別なんだよ。そういう奴の言葉は夢なんて言葉で終わらねえ!実現しない夢なら寝言と一緒だ!馬のクソ以下だ! ……そこの新人にも伝えろ。託されたかなんだか知らねえが、そんなもんおいそれと継げるもんじゃねえ。重荷になるだけだ。諦めろ!(そう言ってまた新しい酒を飲み始める) 」

心折れた剣士「…………本気で騎士王サマと同じ事しようってのかよ。火を灯すなんて…… ……元凶は……「古王」は、今も世界の中心、「原初の城」でふんぞり返ってやがる。そこに行ってヤツを殺して……あの城の天辺にある火の炉にありったけのソウルをくべりゃ霧は晴れるだろうよ。でもな、無理だ。無理なんだ 」

名も無き剣士「…………(それは何故だ。荒れているコルベットから軽く顔を背けながら、再び問う) 」

語り部「……古の王、ティルク。霧を生み出した元凶とされる者です。今も、原初の城で霧の発生源を守っているとされています。彼の棲む「原初の城」には、入ることが出来ません。実体すら持つ深い霧が、侵入を阻んでいます。 」

語り部「……その霧を抜ける為には、ソウルが必要です。この世界の各地に棲む、強大な妄者たちの、強大なソウル。 」

語り部「────枯れはてた泉を根城にする、壊れた再生装置。────刀狩りを繰り返す、人斬りに狂った修羅。────独りぼっちで演奏を繰り返す、独りきりの軍隊。────破壊の渦と炎の嵐を呼ぶ、球態を象った騎士。

語り部「────もはや戻らぬ四肢を引きずる、かつて人間だった武器。────理想郷を守護し続ける、星の光を帯びた勇者。────幻影を追い求め続けて彷徨う、無数の刃を振るう剣鬼。────狂ったような譫言を繰り返し、回転鋸で全てを抉る悪魔。

語り部「……他にも居ます。 この世界を闊歩する、強く、淀んだ魂たち。 歪に成り果てた存在……彼らのソウルは特別です。彼らを屠りつくし、彼らのソウルを貴方の身体へ取り込めば、侵入を阻む霧は晴れ、古王に貴方の刃は届き得るでしょう 」

心折れた剣士「……だけどな、誰も、誰もそれが出来なかった。あのアルトリアでさえだ。最高に、最悪に強大な魂を持った妄者たち。誰もそいつらを殺せなかった。……だから、誰もあの城には入れない。だから、誰もこの世界を救えやしない…… 」

名も無き剣士「…………(では、そいつらを殺せばいいのか。端的にそう問いかける) 」

心折れた剣士「おまっ……そりゃ、そうだろうけどよ。それが出来ねえって話なんだ。アルトリアも……あの騎士王サマも多くの妄者を殺したさ。だが……奴らのレベルの妄者は一人も殺せてねえ。 星の勇者……嵐の神……燃え殻……あいつらは、桁違いだ。撃退するだけで精いっぱい。殺してソウルを奪うなんて……無理に決まってる 」

語り部「──────その力を求めるならば、ソウルを集めてください。 不死人は誰でも、ソウルを力に変えられます。 ソウルを集め、より強く、より賢く、より美しくなり続ければ、あるいはその望みも叶うやもしれません。 貴方が本当に、心折れぬ選ばれし者ならば…… 私も、ソウルを力に変える手伝いをします。この場に集まった彼らも、ソウルによっては力を貸してくれることもあるでしょう 」

名も無き剣士「………………(それを聞いて安心した。希望はないわけではないのだ。そう思ったと、彼は言う。とにもかくにも、ソウルが必要だということも、理解した) 」

コルベット「そうそう。へっ、絵本の騎士物語と思ったのに、ってか? そんな甘いわけねえだろ。そーゆーバケモンしかいねえんだよ。バケモン相手に戦いに行くなんぞ気狂いもいいところだぜ。(そう言って寝そべりながら酒をあおる) 」

心折れた剣士「仮にそいつらを全員倒せたとして……その先に待ってるのは古王ティルクだ。 この霧を作った張本人……この世界の惨状から想像するだけでも、とんでもねえ力を持ってるに違いない。 ……俺は戦えない。 そんな強大な奴らと戦うのに、俺は足しにもなりゃしないさ…… 」

語り部「ええ。 古王ティルクは最強の妄者でしょう。 この霧を作り出した張本人なのですから。 ……しかし、これを聞いても尚あなたが心折れぬというのなら。私は全力を持って貴方の力になりましょう。貴方が心折れて、妄者に成り果てるまで。 」

ソーラム「む~~~……ふ た り と も !!(心折れた剣士とコルベットに一喝するように)どうしてこうやる気をそぐようなことを新人さんに言うんですか!! あのアルトリアさんが意志を託した人なんですよ! もっと応援しましょうよ!(プンスコ) 」

名も無き剣士「………………(覚悟はとうに決まっている。そのような意志を込めて、彼は頷いた。心が折れるまで闘えるというのなら、心が折れるまで闘おう。そういった意志が、強く彼から滲んでいるように感じる) 」

躯纏う老婆「ババァに出来ることなんざ人様に迷惑かけずくたばるだけさ。ここにゃ人様なんていないけどね、ヒヒヒ。まあ使えそうな躯やらがあったら持っておいで、気休めのお守り程度は拵えてあげるよ(古王ティルクを始めとする魑魅魍魎の話題に眉一つ動かさずひしゃげた笑みを浮かべる。まるで"それと対峙することはない"と知っているか、そもそも戦うことを度外視しているかのようだった) 」

心折れた剣士「……ケッ。こういうタイプのバカは、止めたって聞きはしねえよ。 アルトリアだってそうだった……本当に大馬鹿だ。 ……大馬鹿と言えば……あの嬢ちゃんが居ないな。あの頭メルヘンのお花畑女…… 」

語り部「──────そうでした。私としたことが、一つ大切なことを語り忘れるところでした。貴方の力になってくれそうな者が、あと一人おります。 」

語り部「──────「リエス」という名の少女をお探しください。少しばかり前にこの寄る辺の跡を後にしたばかり。近くに居ると思いますので。彼女は、貴方の力になってくれるはずです。 」

名も無き剣士「……………(リエス。この近くに居る少女。その名を理解する。同時に、語り部が指差した方向に彼女が行ったのだろうということも容易に解釈できる。では言う通りに探してみよう。ここに関してはまだ分からないことだらけだ、先人に従っておいた方がいい。) 」

語り部「外には妄者がうろついておりますので、こちらも渡しておきます。(彼女が手渡してきたのは、白いチョークのような何か)……「白き石筆」と言います。妄者に襲われた時、これを地面に擦り付け、図形を描いてください。 ……きっと、貴方の力になります 」

心折れた剣士「…………魂写しの石筆か。 俺も何度か使ったが……いいものだ。 迷わず使いな……あのメルヘン女と関わるなら、厄介ごとになるだろうしな…… 」

名も無き剣士「……………(その石筆を受け取ると、振り返って駆け出す。一刻も無駄に出来ない。自分には使命があるのだから。背中が、そう物語っていた気がした) 」

ソーラム「頑張ってくださいね新人さん!わたし、応援してます!(手をブンブンと振りながら) 」

語り部「────彼は、世界を救えるでしょうか 」



――― 霧中の旧市街 ―――


――――――歩を進めていると、その先には立派な街が見える。大きな門で隔てられた大きな街。……だけれどやはり、あの場所を抜けたからなのか、少しばかり息苦しい気分だ。 」

???「……はっ、はっ、はっ、はっ……(しばらく走っていると、人影が目に入る。誰かが追われている。槍を持った兵士……妄者だろうか。それに誰かが追われている。遠目では分からなかったが、歩を進めるとそれは鮮明に。) 」

???→リエス「……はぁ、はぁっ……もうちょっとで、寄る辺にっ……!!(……少女だ。可愛らしいエプロンドレスを着た少女が、追われている。……彼女が、リエス?) 」

名も無き剣士「……………(状況からして、彼女がリエス、なのだろう。しかし、仮にそうでなかったとしても……やることは変わらない。目の前で人が襲われているのなら、助けるだろう) 」




名も無き剣士「──────ザギン!!(慣れた手つきで、彼女を追う妄者を斬り捨てる。赤い太刀筋が走って、まるで積み木が崩れるように簡単に妄者は倒れ伏した) 」

リエス「っ!? ……あ……(彼女を庇うように躍り出た彼に驚き、尻餅をついて見上げる)……えっと、助けに……? ソーラムちゃんでも、コルベットさんでも、アルトリアさんでもないっ…… 」

名も無き剣士「…………(自分は敵ではない。手を振るジェスチャーで彼女にアピールする。……この口ぶり、どうやらこの子がリエスで間違いなさそうだ。……そして、周りの空気……) 」

妄者「……………(槍兵の妄者たちが、ざわつき出す。彼女を庇うように出てきたせいで、街に入る正門の真正面に出てきてしまった。) 」

リエス「…………えっと、私はリエスと言います。助けに来てくれたところ、その、あれなんですけどっ……に、逃げた方がいいですっ。この門には…… 」

名も無き剣士「……………(逃げるなら、君を連れて逃げる。それに、この程度の妄者たちなら一人ずつ相手にすればどうってことない。彼女に伝え……) 」

???「……侵入者発見。鎧の剣士が一人と、少女が一人。どちらもここを通しはせん。生かして返すな(……ようとした瞬間、ドスの利いた男の声が門の方から聞こえる。その門から現れたのは……) 」


???→黒鉄のファランクス「第一迎撃態勢、密集陣形ッ!!(その男の声を中心に構成されているのであろう、槍と盾で出来た、鋼鉄のハリネズミのような異様。黒ずんだ金属で固められた、それそのものが一つの異形のような密集陣形だった) 」


リエス「……あの、門番が……ずっとここを守っていてっ……!! 」



──────── 黒鉄のファランクス ────────


名も無き剣士「…………(威圧感。確かに、今までの生きているか死んでいるかも怪しいような妄者共とは格が違う。あの「剣聖」にすら近しいものを感じる、妄執の権化……)…………!!(リエスを下がらせる。しかし、自分の力だけでは彼女を守れそうにない) 」

名も無き剣士「 ! (渡された白き石筆が、淡く光る。……使えそうだ。これを使えば、何かが起きる。語り部から聞いたことだ)…………!!(何が起きるのか分からなくとも、今はこれを使うしかないだろう。静かに、石畳の上にその石筆を滑らせた) 」


カリ ッ  ……


────白いサインに触れました。白霊を召喚します────


メタナイト(白霊)「────勝負だッ!!(『仮面の騎士 メタナイト』を召喚しました!)(白い光から飛び出たのは霊体。名も無き剣士とリエスを守るように、剣を構えてファランクスの前に立ちはだかる) 」

響鬼(白霊)「────鍛えてますから!(『音撃の鬼 仮面ライダー響鬼』を召喚しました!)(メタナイトと同じく白い光から飛び出し、リエスを守るように1対のバチ、「音撃打」を両手に構える) 」

霧雨魔理沙(白霊)「………………(こちらは無言。箒に乗った「普通の魔法使い」が、掌の八卦炉を構えてファランクスと対峙した) 」

アッシェ(白霊)「 天 地 灰 燼 。(『灰の王 アッシェ・ケーニヒ』を召喚しました!)(白い霊体の上からでも分かる黒ずんだ鎧の騎士が、剣を構えて名も無き剣士の前に立つ) 」

名も無き剣士「…………!!(白い霊体……それも、自分たちの味方をするように立ってくれている。味方なのか。……このサインは、味方を呼ぶための目印なのか)…………(サインから現れた霊体たちと共に、ファランクスに向けて剣を構える) 」

黒鉄のファランクス「……敵が増えた。どうする?打ち砕け。まとめて殲滅する。決して通すな(ファランクスの中から声がする。威圧的な男の声、高い女の声……それらは一糸乱れず槍を構え)……この門は絶対に通さん。漆黒の槍の威力を思い知れ!! 」

黒鉄のファランクス「────ギ ィン !!(組み合わせた槍の先から、空を割く光……熱線による攻撃を仕掛けて来た) 」

メタナイト(白霊)「フッ!!(華麗なステップを持ってその光線の射程から抜け、そのまま槍衾を作るファランクスに向け)ソードビームッ!!(宝剣の光を収束した黄色い斬撃の光波を放った) 」

名も無き剣士「 ! (光線を見て、あえて前転。光線の内側に回り込むように避け、そのまま体勢を立て直して剣を両手で構えると斬りかかる) 」

アッシェ(白霊)「…………(仁王立ち。盾を構えてリエスを庇うように光線を受け止める。散る光が周囲に裂けて石畳を捲り上げる)…………少女は、任せると、いい……(他が思う存分戦えるよう、静かにそう言った) 」

響鬼(白霊)「ふん、こんなもん!!(光線を避けつつ肉薄し)ダァー!!(音撃棒を天高く掲げ)ハァ!! ドゴドゴドゴドゴ!(盾を太鼓に見立て、凄まじいバチさばきで叩く。通常のバチとは異なり、鬼の力である為、その技の威力は貫通し中へと音撃が響いていく) 」

黒鉄のファランクス「来たか、抜けると思うなよ(妄者がそれぞれ対応する。三又槍を構えた妄者がレーザーを放ち、メタナイトのソードビームを相殺すると共に、黒いエネルギー槍が盾の裏側より名も無き剣士を退けるように一突き)……!!(防御を貫通する響鬼に焦りを見せ、槍と剣を持った妄者が稲光を纏った突きで彼を突き飛ばそうとする) 」

霧雨魔理沙(白霊)「…………(上空より魔術の一撃。ファランクスに向けて、構えた八卦炉より「強いソウルの太矢」を放射。光が弾となってファランクスへ降り注ぐ) 」

名も無き剣士「…………!!(突き飛ばされた。槍と盾、これでは上手く近付けない)…………(リーチの差をどう埋めるか……そのヒントは霊体たちが教えてくれているようだ。遠距離攻撃…あるいは槍を潜り抜けて…) 」

響鬼(白霊)「う、ぐわああー!(稲妻をまとった突きに反応しきれず、当たった部位から火花を散らし、後退するように転げる)く、こんなもんで俺を抑えられると思うなよ!────ふぅうう……ハァアアアアアア!!(鬼幻術 鬼火。正義の怒りをエネルギーに変換し、口から紫色の火炎を吐く) 」

黒鉄のファランクス「迎撃を続行しろ。決して抜かれるな(魔理沙の強いソウルの太矢を受け、着弾地点の盾と槍が散らばって音を立てる。すぐさまその穴を埋め合わせる。巧みな動きだ。太陽のような槍を構えた妄者が、その槍より光熱を放射し、名も無き剣士たちを焼き払おうとすると共に、上空に向けて、黒いエネルギー槍を構えた妄者が魔法陣を展開。魔理沙を撃ち落とそうとする) 」

メタナイト(白霊)「見切った!(黒鉄のファランクスの動きに合わせるように、マントを翻しその場から消失)───甘いなッ!(マントと共にファランクスの懐に出現、斬り付ける) 」

名も無き剣士「──────(熱波を見てから横に飛んで回避。やはり、強力な遠距離攻撃だ。強い一撃を遠くから加えれば、あれは崩れる。何かないか……) 」

霧雨魔理沙(白霊)「………………(お手本通りのソウルの連射を追撃としてぶつける。そう、弾幕とはパワーなのだ。槍衾など、砲撃の前には意味が無い) 」

黒鉄のファランクス「ッ──────怯むな!!通してはならんッ!!(紫炎と斬撃に襲われ、ファランクスがどよめく。盾が零れ落ち、槍が震える)迎撃ッ!迎撃ッ!(反撃が来る。エネルギー槍の妄者の展開する魔法陣より無数の槍が飛び交い、三又槍の妄者は光線砲をむやみやたらに発射。彼らを退けようとする) 」

リエス「は、白霊の皆さんッ……あの人もやっぱり、選ばれし不死なんだ…… 」

アッシェ(白霊)「……問題無し……(飛来する槍を、地面に突き刺した剣から舞い上がる炎の渦をもってかき消し、そのまま飛来してくるレーザーを盾でパリィして弾く) 」

響鬼(白霊)「こんなもんで終わらねえ!────鬼棒術 烈火弾の型ァ! ハァ!(音撃棒の先端に炎の気を集中させ、凄まじい威力と質量過多ともとれる巨大な火の玉をファランクスめがけて放つ) 」

黒鉄のファランクス「散るなッ!!密集陣形ッ!!初志貫徹だッ!!(男の声が荒くなる。ソウルの連射を受けて陣形が崩れてきたからだろうか。盾を構える妄者たちは震え出す。陣形の安心感がほどけ、それで縛り付けられていた彼らはばらけようとしているのだ)怯むな、突き返せッ!!決して街に入れるなッ!!(再び高熱の放射、そして稲妻の放出が始まる。他の妄者たちの技と共に、イルミネーションを描き) 」

名も無き剣士「…………(炎だ。あれには、炎が効くのかもしれない。この剣からも炎を感じる。あるいはこの炎を何かに封じて投げつけることができれば……)─────ッ!!(ローリングしながら、その場に散らばっていた小さな壺を拾い込む。そして、自らの剣の力を壺に注ぎ込むようにして……) 」

名も無き剣士「 !!! (────投げる) 」

黒鉄のファランクス「ぐぁ……ッ!?(響鬼と名も無き剣士の炎が直撃し、苦悶の声を上げて炎上。次々と盾を取り落とす)───待てッ!行くなッ!!持ち場を離れるなッ!!!(耐えきれなくなったのだろう。妄者の一体……エネルギー槍を持っていた一体が、蝙蝠のような翼を広げて一目散に逃げていく) 」

メタナイト(白霊)「はあっ!!(ファランクスが分裂し始めた隙を見逃さず、竜巻を纏った剣をファランクスに叩きつけ、盾をひっぺがそうとする) 」

名も無き剣士「────────!!!(今なら近寄って殴れる。そう判断し、炎の中を掻き分けて一閃。今度は炎の剣を直接叩きつける) 」

黒鉄のファランクス「─────やめろッ、やめろッ!!逃げるなッ!!我々が破られれば、誰が街を─────(男の声が必死さを帯びていく。名も無き剣士たちの猛攻を受けて、続いて稲光を放っていた妄者が猫のように素早く、太陽光を放っていた妄者がジャンプを刻むように逃げていく)─────まだだッ、まだだッ!!略奪者どもめ、ここを通しはせんぞッ!!守備兵団の名に懸けてッ!! 」


黒鉄のファランクス「第二迎撃態勢ッ!!─────絶対死守ッ!!!(残った妄者たちの動きが変わる。減った人数を補うように。中が見えてくる。指揮を執っているのは銀髪の体格の良い成人男性の妄者だ。その周りを、奇妙な仮面を被った妄者と黒髪の女性の妄者が固めている) 」

名も無き剣士「─────!!!(動きが変わっていく……まだまだ、一筋縄では行かなそうだ) 」


響鬼(白霊)「な、なんだぁ! コイツら急に……(身構えながらジリジリと距離を詰める) 」

西部の銃士 ビリー・ザ・キッド(白霊)「ドゥーーーーン………(何故か重い鐘の様な音と共に、剣士の背後から現れ)いいね、頑張っているけれど、動きは鈍いし、身体もはみ出してる。狙いやすくて助かるよ(拳銃を弄びながら、余裕の表情で歩を進め) 」

メタナイト(白霊)「確かに動きは変わったが……見ろ。盾に隙間が出来始めている……突破口は開けている。このまま押し切るぞ(新たに現れた白霊と、今まで戦っていた者たちと共に、剣を構えてファランクスと相対) 」

断頭台のアウラ(白霊)「フフ、人型の亡者の割にはなかなかいい趣味をしているじゃない スポッ(何故かこの白霊だけめちゃくちゃ安っぽいSEと共に地面から垂直移動で生えてくる) 【服従の天秤】 私より魔力を下回る相手に絶対命令権を行使できる。私が最初に従えるのは、司令塔であるお前よ。これで一網打尽ってわけ(黒鉄のファランクスへ服従の天秤をかざし支配下に置こうと試みる!しかし魔力量はファランクスのほうが強い!(絶望)) 」

メタナイト(白霊)「何やってんだアイツ… 」

名も無き剣士「……………(周りの白霊の挙動はともかく、隙が出来ているのは間違いない。それら槍衾をすり抜けるように、剣から火を起こしながら黒鉄のファランクスへ向かう) 」

黒鉄のファランクス「─────砲撃用意ッ!!(再びファランクスが槍を組む。中枢となっている妄者の三槍が組み合わさり、そこより眩い光が放たれ)─────ズ オンッ!!!(赤いレーザーとなり、向かってくる名も無き剣士およびその後ろに控える白霊に襲い掛かる) 」

響鬼(白霊)「……ま、考えても仕方ねえか!いっちょやってやるぜ!ハァア!!!(炎を宿した音撃打を振り回しながらファランクスへと迫る) 」

断頭台のアウ / ラ(白霊)「 あ、ありえない・・・・・このわたしが・・・・・!(レーザーが首を通過。余裕で切断され・・・消滅した・・・・) 」

ビリー・ザ・キッド(白霊)「うおっ……とっ……!(倒れ込む様ジャンプしてレーザーを避け様、中心の妄者へと照準を合わせ……)まずは、三発(三槍を持つそれぞれの手目掛け、拳銃を三発発砲)……あっ!嫌な予感はしてたけど、初段で一人脱落か……嫌になるなあ 」

メタナイト(白霊)「甘いなッ!(すぐさまマントを翻しその場から消失。赤いレーザーを回避しながら頭上に回り)盾が少なくなっている…頭上や背後を覆うほどの数が無くなっているぞ!!(そのまま構えられている槍と盾のうち一つを斬り飛ばす) 」

名も無き剣士「 ! (レーザーを前転し前方へと回避。そのまま槍を受け止め、弾き飛ばすように剣を叩きつけ)─────!!(続いて突き出される槍を踏み付けながら、盾を斬り飛ばす) 」

響鬼(白霊)「うお!さっきのビームでひとり脱落かよ! こりゃあこっも燃えてきたね!(バッ)────音撃打・一気火勢(いっきかせい)の型ぁ!! ハァア!!(左右の音撃棒を同時に振り下ろし、大きなダメージを与える音撃打、主に硬い皮膚や装甲を纏う敵に対して使用される大技であり)ドゴドゴドゴ!(真っ向から盾を打ち崩していく) 」

黒鉄のファランクス「─────近接防御ッ─────(響鬼に向けて黒髪の妄者が乗り出し、両目より爆炎を纏ったレーザーを照射。すかさず槍で突き飛ばそうとする。同時に仮面の妄者がメタナイトに対処。最後にトウマに向けて本体と思われる白髪の男がトウマに対処……しようとしたところに、ビリーの放った銃弾が崩し、そのままトウマの一撃が吸い込まれ) 」

黒鉄のファランクス「─────!!(盾がまた一枚剥がされる。不明晰だった人影だけではない。集合体を成しているそれは、何か不定形の何かが蠢いている) 」

名も無き剣士「…………!!(すかさず怯むそれに追撃を叩き込む。人影は三つしか見えないのに、まだ槍と盾はこんなにも多い。その正体は……) 」

ビリー・ザ・キッド(白霊)「当てた、当たったは良いとして。そうか、妙に武器ばかり多いと思ったんだ……そう来たか…… 」

メタナイト(白霊)「崩れるか!!(仮面の妄者の対処にすかさず、無数の連撃を叩き込み、フィニッシュの一撃で槍を叩き折り)なるほど、『原形をとどめていない』妄者もいたか! 」

響鬼(白霊)「ズ ガ  ────ぐわぁあああああ!!(爆炎をまとったレーザーに反応できず)ぐぅ、チクショウ、結構ダメージくらっちまった……なんだってんだぁ? タフじゃねえか! 」

響鬼(白霊)「へ、だったら────もう手加減はいらねえな!(紫色の炎が右足に宿り)ハッ!(宙高く飛び上がり)ハァァァァァ!!!(猛士式鬼蹴。つまるところ、ライダーキック) 」

黒鉄のファランクス「─────のれッ!!(すぐさま白髪の妄者が名も無き剣士に槍を突き、吹き飛ばす。しかし、メタナイトの猛攻でまたも槍の数が減り、続いて突っ込んで来る響鬼のキックを受け止めようと盾を構え……) 」

黒鉄のファランクス「ぐぁああああ────ッ!!!(盾が蹴散らされ、妄者の内一人……鉱物の槍を構えていた仮面の男が吹き飛ばされ、紫炎と共に門へと突っ込み、叩きつけられるように消えていく)────────よくもッ、よくもッ!!!(残った二体……そして、不定形の「雑兵」が構え直す。しかし、既に黒髪の妄者は及び腰だ) 」

黒鉄のファランクス「……撃て。撃てッ!!早くしろッ!!!(怒号が飛ぶ。黒髪の妄者が槍と盾を捨て、密集陣形の中心から各部の発射口を露出させ、そこに光を溜める) 」

ビリー・ザ・キッド「――――了解(一瞬のうちに拳銃に弾丸を込め直し、黒髪の亡者へと銃口を向け)ドン!ドン!ドン!!!!(三発の銃声で、六発……矛盾とも言える神速の早撃ち<<ファニング・ショット>>で以て、正確に発射口を撃ち抜く)――速く撃て、って言われたからね 」

黒鉄のファランクス「────────な……(黒髪の少女型の妄者が、放とうとした破壊光線が暴発して内側から弾け飛び、吹き飛んでいく。残されたのは、本体のみ……)───────俺は守護兵団の、団長として、この門をッ(纏わりつく不定形の妄者が構え直す。最初からは考えられないほどの勢力になったそれが、彼らへの最後の攻勢をかける。槍と盾で押しつぶすような……) 」

メタナイト(白霊)「今がトドメの好機と見た!!(再びマントを大きく翻し、突っ込んで来るファランクス……いや、もはや陣形の体すら成していないそれを闇に包み込み)思い知れッ……!!(盾ごと吹き飛ばすような超強力な斬撃を解き放った) 」

ビリー・ザ・キッド(白霊)「―――さて、仕事はこの位で十分かな。後は、生身の人に仕上げて貰わないとね(後ろへと振り返ると共に一発だけ拳銃のシリンダーに弾丸を込め、目を向けずに、かつ正確に肩越しに妄者の中心へと銃弾を撃ち込み)それじゃあ、いつかまた地獄で(拳銃をホルスターへと仕舞い、ファランクスの最期を見る事も無く……悠然と立ち去って行く) 」

響鬼(白霊)「だったら、最後はこれだ。────鬼棒術 烈火剣(きぼうじゅつ れっかけん)!!(音撃棒の先に炎のエネルギーを貯め、ライトセイバーの様に相手を切り倒す技を)ハァァァァァ!!(すれ違いざまに横薙一閃) 」

名も無き剣士「――――――ザ ン!!(そして、白霊のこじ開けた隙に叩き込むように、一撃。黒い要塞を打ち崩すような、一撃であった……) 」

黒鉄のファランクス「がッ──────────────(斬撃により盾が引き剝がされる。その隙を弾丸が逃さず、中心に風穴が開くと同時に、炎が横に薙ぐように叩き込まれ)───────────ぁっ……(最後、必死の抵抗として、ブーストを乗せて突き出した黒槍は剣士には届かず。それをすり抜けて振り下ろした斬撃が、彼の頭部を捉えた) 」

黒鉄のファランクス「───────間違えていたのか。俺の、貫こうとした道───(攻撃を受けた場所から、靄のように崩れていくそれは、最期まで、目の前の敵に向けて手を伸ばしながら……) 」


──── VICTORY ACHIEVED ────

黒鉄のソウル「─────────(淡く輝く魂を残して、朽ちていった) 」

響鬼(白霊)「……俺を呼んでくれてありがとよ少年! じゃあな、シュ!(彼にとっての『いつものポーズ』をした後、スゥーと消えていく) 」

メタナイト(白霊)「これは餞別だ、受け取っておくといい(名も無き剣士に小さなメダルを投げ渡しながら、マントに包まって消えていった) 」

名も無き剣士「…………(協力してくれた彼らに小さく頷くと、倒した妄者の残骸に佇む塊を手に取る。力を感じる。これが、彼の魂なのだろうか)…………!!(そうだ。少女は無事だろうか?) 」

リエス「あ、私は、大丈夫です!皆さんが守ってくれたので……(後ろで彼らの影に隠れていたのであろう彼女が駆け寄り、名も無き剣士に手を振る) 」

名も無き剣士「…………(駆け寄って来た彼女と合流し、彼女に話す。これ以上ここにいるのは危険だから、寄る辺の跡に戻ろうと) 」

リエス「ええ、戻りましょう!……えっと、あなたは新しくこの近くに来た不死人さん、ですよね?(先ほどまで、彼と自分を守るように立っていた白霊を思い起こし)……彼らを呼び出せるってことは。えっと、彼らは白霊って言います。違う世界の人たちを映し取るように来てくれる、不死人の強い味方で……あ、知ってました? 」

リエス「……改めて、私はリエスと言います。不死人の皆さんの力になるために、いろいろと頑張っているんですけど……(周りが騒がしい。黒鉄のファランクスを倒したことで一旦は安全になったが、その騒ぎが新たな妄者を呼び寄せているようだ)……ここはすぐに危険になりそうです。戻りながら話しませんか? 」

名も無き剣士「……………………(頷く。リエスの手を引くように、寄る辺の跡を目指して歩くことにした。ここからなら近い。そう急ぐこともないだろう) 」




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最終更新:2025年07月05日 23:13