~黒の国・城・とある一室~
召使い「ス…(
エクロシア側のテーブルに紅茶の入った豪華なカップを置く) 」
エクロシア「……(召使いの方には向かずに会釈し、紅茶の水面(みなも)に映る自分の顔を見つめる。包帯の巻かれた顔面、露わとなる紅の眼(まなこ)――――その"死神"のような顔を。) 」
アウシュビッツ「(奥側から現れ、エクロシアへ一礼し向かい側の席に腰かける)いつも白の国にはお世話になっております。お陰で研究開発は順調に捗っております。…して、今回は、どのようなご用件でしょうか。 」
エクロシア「フフフ… こちらこそ、黒の国…いえ、貴方の兵器にはいつも感服しております。この度貴方の元へお伺いしたのも、女王様の命令のもと、また新たに兵器を仕入れようとのことでして。 」
アウシュビッツ「もったいなきお言葉でございます。……!ほう…女王様が…。フフフ…わかりました。では今回も、我が国でも披露されていないとっておきのものを――――― 」
エクロシア「―――ですがその前に、少しお話が…(軽く手を挙げて) 」
アウシュビッツ「(きょとんとした顔で話を止め)…なんでしょう…? 」
エクロシア「先日、貴方が送ってくださったOnyxis♞の現状報告書に、少し気がかりな点がございましてね。 」
アウシュビッツ「…ああ、もしかするとそれは…―――――二条派によるクーデターの懸念について、でしょうか。(顎元に指を添えて) 」
エクロシア「ええ。薄々こちらの方でも警戒していたのですが… 彼女たちは今も勢力の拡大を図っているのでしょうか。 」
アウシュビッツ「間違いありません。ですが、緑との対戦を終えてから黒の団員数が激減したことで、それも難きことかと。未だ有能な戦士が何人か生存しているとはいえ、現在の兵力はどの国よりも最低だと言えます。この現状を他国が知れば、真っ先に黒を殲滅しにかかるでしょうが… 」
エクロシア「窮鼠猫を噛む… いくら弱体化したからとは言え、追い詰められた鼠輩はここぞという時に馬鹿力を発するため、侮ってはなりません。…とは言え、他国が黒へ攻め込むとなると…それはそれで手間が省けて好都合です。ス…(カップに手をかけ紅茶を啜る) 」
アウシュビッツ「その言動ですと…ついに女王様も黒との契約破棄を正式に発表したのでしょうか?(不敵な笑みを浮かべながら小首を傾げる) 」
エクロシア「(カップを置く)いえ、まだ正式な発表はされていません……ですが、それも時間の問題かと思われます。既に黒と白の間には大きな亀裂が生じている…。一発触発の状況下で、かろうじて互いの様子を窺っているに留まっているだけです。 」
アウシュビッツ「そうですか。しかし先程の話ですが、他国が黒を責めるよりも先に、黒がそちらの方へ攻撃を仕掛ける可能性が高いかと思われます。もう既に例の組織は戦闘準備に取り掛かっている模様で… とにかく、いつでも対戦できる状態かと。 」
エクロシア「…やはりこちらから先手を打つしかなさそうですね。Onyxis♞の戦闘データは定期的に貴方が送ってくれる報告書で既に閲覧済みではありますが… それでも少々厄介な相手です。(しばらく無言する)…そこで、本題に戻ります。今回予想されるOnyxis♞との戦闘に向けて、貴方の兵器を使ってこれを阻止し、黒の殲滅へと望みたいのです。そこで、アウシュビッツさん――――――貴方を我が♚Chess♛に迎え入れたい。これは、"女王様たっての希望"です。(両手を組み、アウシュビッツに迫る) 」
アウシュビッツ「――――――!!……女王様が、私を白に…?……フ、フフ… フフフ…!!なんという、光栄の至り!まさか黒である私を迎え入れてくるとは… し、しかし…何故そのようなことに?(動揺と歓喜を含んだ顔で) 」
エクロシア「これまで我が国に惜しみない協力をしてくれたこともありますが、何より、現在のOnyxis♞の新制度に反対意思を示している貴方なら、我が♚Chess♛の『計画』に賛同してくれるだろうと思ったからです。 」
アウシュビッツ「全ては金が目的ですので… 莫大な資金を投資してくれる貴方がたの為なら、当然のことです。…『計画』とは…? 」
エクロシア「(相も変わらずの拝金主義者…)対クーデターの殲滅… 白の安寧維持… 黒の領地奪還…それらをひっくるめた――――――――――『 黒国殲滅計画 』(ブラックアウト)です。 」
アウシュビッツ「黒国殲滅計画… なるほど、流石は女王様の『眼』を持つ神の組織♚Chess♛、黒よりもすでに動いていましたか。…わかりました、協力いたしましょう。(席を立ち、エクロシアに手を差し出す) 」
エクロシア「ありがとうございます。ようこそ、♚Chess♛へ。(遅れて起立し、アウシュビッツと握手する)これより貴方は我が組織の一員です。手厚く歓迎したいところ…ですが、生憎今はそのような暇(いとま)はなさそうですね。(苦笑し) 」
アウシュビッツ「お気になさらず。『計画』は必ず成功させてみせます。(不敵な笑みを浮かべる)―――――パチンッ(指を鳴らす) 」
ギギ…ギュゥ――――ン… ……ドチャァ ドチャァ…!!(アウシュビッツが指を鳴らした後、周辺にいた召使いたちの全身に僅かな電撃が迸り、意識が途絶えたかのように力なく倒れ込んだ。彼らの正体は、アウシュビッツにより造られたアンドロイドであった)
エクロシア「頼もしい限りでございます。貴方の身の安全はこちらでしっかりと確保しますので。ギ ュ ァ ン (鎌で空を切り裂くと異次元穴が出現し、その中へ入るように促す)行きましょう―――――『Queen』がお待ちです。 」
アウシュビッツ「 バ ァ サ ―――――(白衣を靡かせ、エクロシアに促されるまま異次元穴の中へゆっくりと歩みを進めた) 」
~白の国・城・真っ暗な大広間~
ナナ「(真っ暗な空間の中、ぼうと浮かぶ白い玉座に座して目の前の人物を、"生気の全く感じられない無機質な瞳"で見下ろしていた) 」
アウシュビッツ「バッ(ナナの前に跪く)ご光臨を賜り、光栄に存じます――――――女王様。」
ナナ「アウシュビッツ―――本日より、貴方を我が♚Chess♛に迎え入れます。」
アウシュビッツ「はっ!」
エクロシア「フフフ…(その様子を、一同の背後から不敵な笑みを含んだ顔で見ている)」
エンペラー「……(ナナの傍で腕を束ねたまま、静かにアウシュビッツ…そしてエクロシアを見つめる)」
ナナ「アウシュビッツ、貴方に最初の命を下します。明日のOnyxis♞との対戦、そして黒国殲滅計画の指揮を貴方に一任します。私に代わり、以上の任務を全うしなさい。」
アウシュビッツ「全身全霊を尽くす所存でございます。このアウシュビッツに、お任せを…」
ナナ「………ザッ(それ以上の事は告げず、起立して颯爽とその場を後にした)」
エンペラー「 ガチャ…(ナナに続いていった)」
エクロシア「(二人が去ったのを確認し、アウシュビッツに近寄る)明日の対戦については私の方から、各団員に報告します。他に何かご要望があれば、なんなりと… 」
アウシュビッツ「はい、ありがとうございます。(ゆっくりと立ち上がる)では私は…『例の兵器』の最終チェックを行います。計画に失敗は許されません。念には念を… あらゆる作戦も考案しておかなければなりませんね…(顎元を指で摩りながら)」
エクロシア「では、Knightから二名を抜擢します。彼らにも事情報告をしておきます。」
アウシュビッツ「それは心強い。(ふと腕時計を見て)時間もあまり残されていないので…早速作業に移りましょう。 コツ……コツ……(踵を返しその場を後にした) 」
エクロシア「はい―――――――――――――― 」
――――――――― ニ ヤ ッ ―――――――――
キュウべぇ「 話が通じないのかしら?…―――牢に居る“槭”っていう人間に用があるのだけれど。分かったら早く通して頂戴。(ぬいぐるみを通じて、黒の組織の待機中の兵士達に) 」
―――――またキュウべぇと思われしぬいぐるみの周囲には、黒いスーツに身を包んだボディーガードらしき人間が数人立っている。
兵士達「ですが、そういう訳には――――…(キュウべぇとボディーガード達の身長差を見比べながら困惑している様子で) おい馬鹿、いくら王の許可がないとは言え相手は“EmPtIeS”の人間だぞっ!! やっぱそうだよな…通した方がいいよな…よし ――分かりました、ではこちらへ…(おどおどとした様子で、キュウべぇ達を座敷牢まで連れて行く) 」
兵士「―――槭殿。(槭の入れられている牢の前まで来て) ――――“EmPtIeS”の者の一人が、あなたと話をしたいとのことです。 」
槭「ん~?(ぐだ~っと寝転がっている)今さら俺に用のある奴が居るのかね…ま、いいや。畳の目を数えるのも飽きた、どうぞ通してくれ(体を起して座り直す) 」
「 (鉄格子向かいにちょこんと座っており) ―――――随分と暇そうね、後は死ぬのを待つだけってカンジ??(挑発するような声色で槭に話しかける) 」
槭「うぉっ……なになに、喋るぬいぐるみのプレゼント?ファービーとか、プリモプエル的な?いやぁでもこの年の男にぬいぐるみとおしゃべりさせるってのもなぁ……(鉄格子越しにキュゥべえを見ながら) 」
キュウべぇ「ちょっとやめてよ、馬鹿にしないで!(立ち上がり、てくてくと横に移動しながら) これはあくまで仮の姿!(ビシィッ!)本当の姿はもっとうこうー…なんといいますかねー。まぁいいや!…ところで本題に移ります!移っちゃいます!(口調が“以前の”報道と似ていることから、同じ人間が操作していると窺える) 」
槭「はいはい、なになに?魔法少女になってくれってんなら無理だぞ、変身シーンで裸になったりするの恥ずかしいからな(けらけら笑いながら) 」
キュウべぇ「 ばーっか!!こっちから願い下げよ!このろくでなし!!(ぴょんぴょんジャンプしながら) …アンタさ、なんでもっと深く考えてから作戦実行させなかったの? 」
槭「んー……正体も分からんぬいぐるみに話すのもどうかとは思うけど……(胡坐をかき、足に肘を立てる)ま、至極簡単に言うなら『どうでもよくなったから』かな 」
キュウべぇ「 じゃートラウマ思い返すようで申し訳ないけどサ……――――なんで『どうでもよくなったの』?(首を斜めにちょこ、と傾け) 」
槭「俺にとって、大事な友達が居なくなったから。そいつが一緒に居れば、俺は『黒を倒して緑を隆盛させる』つもりでいた。けど、居なくなったから。俺に残ったのは、黒への憤りだけだったから。『緑がどうなろうが、黒を潰せりゃそれでいい』ってなったのさ(特に悲しげな表情をするでもなく、つらつらと語る) 」
キュウべぇ「 あと何度も言わせないで、私は“EmPtIeS”の人間だって言ってるでしょ。具体的に言えば…そうね…―――“黒組織の新しい内通者”ってところかな! …へぇーそう、そんなことで?そんなくっっだらないことで黒に叛逆しちゃったの?うわー、『 こ れ は “ イ ナ ” ち ゃ ん が 可 哀 想 で す わ ー 』(棒読みで意味深なことを言いだし) 」
槭「いやいや、信じろって方が無茶だっつの。そんなぬいぐるみでさ(笑いながらいやいやと手を振る)ははは、勿論それが理由じゃないさ。俺が反逆した理由は今の黒の国づくりが気に入らなかったから。イナが居ようが居まいが、黒に反旗を翻すことは決まってた。イナの存在の有無は慎重になったか玉砕覚悟になったかの違いだけだ 」
キュウべぇ「 いや、周り(ボディーガード)見て分かるっしょ、私は間違えなく“EmPtIeS”の人間だっつーの。あーこれだから世間知らずは困るわ―、世界の裏事情を知らない平和な人間を相手にすんのは疲れるわ―。(呆れた様子で) …じゃ、イナちゃんのことはどうでもよかったんだ?ひっでぇ男ー、やだー 」
槭「ハハハっ、『どうでもいいからな』。そのなんとかって組織も、お前のことも(いつも通りの風体でけらけらと笑う)だぁからー、話聞いてないだろお前こそ。あいつが居たら、あいつを入れて緑の国を盛り上げて行くつもりだったのさ。人の話を聞かないで自分の中で勝手に結論を出すところまではまだいいけど、それで人を批判するようじゃあ器の大きさが知れるぜ(にやにや笑いをしつつ) 」
キュウべぇ「 ―――なーんにも分かってない、周りが視えていない人間っていうのは“可哀想”だな。(可愛らしいぬいぐるみの表情とは逆に、冷酷な口調でそう告げる) …“アイツ”が緑の国になんか入る訳ねーだろ?だって“アイツ”はさ―――…“EmPtIeS”の人間なんだもん。 」
槭「へぇ、そうだったのか(驚いた感じで話すものの、ショッキングな様子はない) 」
キュウべぇ「 んでしかも…―――入団理由が“槭っていう大切な××が変わってしまったから。”っていう内容だったんだよね!(××のところがよく聞こえず) あんたさぁ、あんたにとって大切なイナが。どう思ってたか考えなかった訳? 」
槭「俺が理由、ねぇ……なに言ってんだか、あいつは。変わったのは俺じゃなく黒の国の方だ。俺は変わらなかった、変われなかった。昔から不器用でな、手先も生き方も(髪を掻く)イナが俺をどう思ってたか……そういや、考えたことないかもな 」
キュウべぇ「 いーや変わった。黒の組織が変わったと同時に、アンタも知らず知らずの内に変わっちまってたんだよ。(突き付けるような言い方で) イナはさ、あんたのこと“友人としてじゃなくて異性として”無意識のうちに好きになっちゃってたんだ。けど―――……ある日からアンタの様子がおかしくなったと気づいたアイツはさ、“暁”って奴にそのことを相談したんだ。案の定奴も分かってなかったみてぇだけどな!男はこれだから… 。 」
槭「へぇ……イナが?俺のことを?(さっきよりも驚いた様子で)そりゃまた、勿体ないことだ。何も変わってなけりゃ、普通に恋する乙女とその相手として楽しめたのにな 」
キュウべぇ「 それだけじゃない、元々“EmPtIeS”は色んな思想を広めていく組織でね……黒の組織の師匠はいつも言ってただろ?“刀を構えるには理由(わけ)がある。それは決して人を傷つけるためのものではなく―――……自身を守り抜くためのものだ”ってさ。アイツは気づいてたんだ、同胞である黒の連中が徐々に“師匠”の面影を消していっているということに。だからこそ私達の仲間になったんだよ。…ほんっと不憫、自分以上に想っていた槭にも理解されず、親友だった暁にも分かってもらえず。あの二人があの日から離れていったのも全部アンタが原因だったんよ。(背を向け、槭に) 」
槭「……ったく……(小さくため息をつく)そんで、そんな話を俺に聞かせてどうしようってんだ?いつまでも死んじまった奴の話をしてんじゃねぇよ、辛気臭ぇ。お師匠様もイナも暁も、もうみんな居ないだろうが 」
キュウべぇ「 まぁ私達から見て“Onyxis♞”はどうせ終わるだろうしいいんだけどね♪強いて言えばだな……――――“生きろ”(振り返り) イナのためにも、暁のためにも…師匠の為にも。最後まで生き抜け、逃げてんじゃねぇ。罪を償うんだ。てめぇが何と言おうが、何をしようが……―――私達“EmPtIeS”が死なせねぇよ。叛逆は許されない、生き地獄を味わってもらおうか。 」
槭「そりゃあお前……これ見りゃ分かるだろ(やれやれといったポーズで)死にたくても死なせちゃくれないらしいぜ、二条さんがよ。生かされるさ、意味も無くな(呆れたような口調で) 」
キュウべぇ「 そ、じゃあ別にいいや!(けろっとした様子で再び前を向き、周囲のボディーガード達に話しかけ) …これ以上コイツ(槭)に用はない、行くぞ。(そう言い、兵士を一見してその場から離れていく) 」
槭「んっ……ふう…(ぐっと伸びをする)んー、時計がないからどれくらい経ったか分からないけど……そこそこ暇つぶしにはなったな(再び畳に横たわる) 」
主我「(切り落とされたエゼキエルの装甲を押しのけ、その下から出てくる)・・・陽はすっかり落ちてしまったらしいな・・・、ああ、散々だ・・・。 」
木々に囲まれた静粛そ破るかのようにけたたましい風切り音が響く、主我の頭上には♚Chess♛の戦術輸送機が浮上し着陸態勢に入っていた
トキオミ「う・・・うぐぅぅぅぅぅ・・・・・・・。(エゼキエルの装甲の残骸に挟まり身動きが取れない)・・・くそぉ、こんなことなら、長い術式の魔術を・・・使わなければよかった・・・・・。 」
アルヴィス「(輸送機のコックピットからモニターで主我の姿を確認すると、ハッチを開き彼の目の前に降り立つ、その際にトキオミの姿が視界に入った)ご無事……ではなさそうですね、トキオミ卿。手助けが必要ですか ……(そして横目で主我の姿を視界に入れじっと黙視) 」
主我「(腕を組み、輸送機を見上げる)手早い手配だな・・・。(歩くのも面倒だ、助かったな。)・・・む。(トキオミを横目で視認する) 」
主我「・・・。(目視され、こちらもその目を見る) 」
トキオミ「う、うむ。頼む助けてほしい。(ボロボロになりながらも二人に助けをもとめる) 」
アルヴィス「……(クスリと笑み肩を竦め仮面のように空虚な笑みを浮かべる)生憎、本国から回収の任務を請け負ったのは僕じゃないんですよ、当の本人はそうですね……今頃運悪く流れ弾にでも当てられて墜落しているのでは? ああ、これは手酷くやられましたね…少し時間かかりますがご辛抱を(輸送機からバールを下し甲板下に突き刺してテコで持ち上げようとするも時間はかかりそうだ) 」
カンナギ「(輸送機の中から助け出されるトキオミの姿をすんごいニヤニヤ顔で見てる) 」
トキオミ「(カンナギの視線にビクリと反応する)―――あー、アルヴィス郷。で、で、できればもう少し早くしてはくれないか?ほ、ほら・・・傷とかで痛むし・・・その~・・・。(ダラダラ) 」
アルヴィス「精一杯ッ!努力はッ!!して!ます!けど!ぬぇぇぇー…ッ!フヌヌヌヌヌ…(ようやく指一本挟めるか挟めないか程度の隙間が空き、すかさずバールをつっかえ棒にする)ふぅ、少し小休憩( 根 性 無 し ) 」
トキオミ「君ぃぃぃいいいいいい!!?早く!早くったらぁ!!(カンナギの視線を気にしつつアルヴィスに) 」
カンナギ「トwwwキwwwオwwwミwwwwwwwくははwwwトキオミぃwwww(絶賛) 」
主我「―――それは随分と、作為的な流れ弾だな、・・・ならば何故此処へ?(腕を組みながら、尋ねる)少しじっとしていろ、ふんっ。(黒い茨のようなものが右手に集まり、斧になり、その斧で一度、二度と残骸に攻撃を加えて粉砕する)・・・どうにも、陽が落ちていると力も出んな。 」
アルヴィス「まぁまぁ、見た所そう傷が深い訳でもありませんし、すぐ救出しますよ『お師匠様』…っとおぉ(主我の斧が甲板を破壊しトキオミの救出が容易になった)よいしょっと…あらら、赤いスーツが黒ずんでますね ええ、まぁ…ほっておかない理由がちゃんとあるんですよ、僕には僕なりに……酷く個人的な動機ですが 」
トキオミ「はぁ・・・はぁ・・・主我郷、助かりました。礼を申し上げます・・・。アルヴィス郷も、感謝する。・・・・ん?動機?なんだねそれは? 」
カンナギ「ふん、もう終わりか・・・・しかし、トキオミの無様は今までで一番見ごたえはあった方か?ふふふ、だが、それはいい・・・・そんなことよりも・・・・。(窓越しにアルヴィスを見据える) 」
アルヴィス「ええ、まぁ……(トキオミの手を取り助け起こしながら苦笑を浮べる)彼(主我)に少し用がありまして、個人的な話ですからこういう機会でもないとご相談できそうになかったんですよー、いやー運が良かったなー 」
主我「個人的、か…(腕を組みながら、聞いている)礼には及ばん、同じ組織員のよしみだ。 」
トキオミ「うむ、そうか・・・個人的なことなら私がむやみに首を突っ込むのは野暮だろう。 いえ、感謝の極み。このご恩決して忘れませぬ。 」
アルヴィス「あはは、まあそう時間は掛けませんよ、かつての恩師を一人で本国へお送りするのは薄情というものでしょう?港へ連絡船を手配させています、空からだと何かと目立つのでそちらへ……ただ、今はこの治安ですからそう長くは停滞していないでしょうが ま、立ち話はなんですし主我卿もどうぞこちらへ、熱き長良でも話そうではないですか 」
トキオミ「ほぉ・・・連絡船か。確かに・・・空は多くの人間の目につく。それがいいだろう。 」
主我「ふむ、良い思慮だな…。(さて、何を話されるものか…) 」
アルヴィス「ああでも、時間の心配は入りませんよ(トキオミへ相変わらずの無機質な笑みを浮かべ) 主我卿……こういう言い回しをされると観に触るでしょうけど率直に聞きますね……貴方は絶望を眺めるのと抗うの……どちらを望みますか–––––– 」
トキオミ「うむ、では私は港へ向かうとするよ。(クルリと背を向け港の方へ歩こうとする) 」
トキオミ「え?時間の心配かな?・・あ、あぁ、わかった。 」
主我「―――俺は、・・・抗えるだけ、抗う、自分ができる限り、抗う、例え、一人だけでも。 」
アルヴィス「ははっ……やっぱりそうか、そういう答えか––––安心した(コートの袖からナイフの先端を除かせ微笑み)なら主我"さん"、僕があなたの行く道を切り開くと言ったら、一人で抗う事をやめてくれますか? (そう囁くと、そのナイフを音も無くトキオミの背、心臓の裏に辺る部位へ投げつけてみせた) 」
トキオミ「(時間の心配はないということでゆっくり優雅に歩いている、背後からくるナイフには全く気付いていない) 」
主我「―――お前、が・・・ッ!!!(瞬間、投じられた金属の短い刃に向けて、右腕を伸ばし、自らの腕に突き刺させる事で止める)・・・何の、つもり、だ。 」
投擲されたナイフは吸い込まれるかのようにトキオミの背を貫通し、バターによく熱したナイフで切り込みを入れるかの如く容易に切り裂いて心臓を穿ってみせ、闇夜に街灯で照らし出された赤が優雅に咲いた
アルヴィス「"甘い"ですよ(指に挟んだ複数本のナイフを扇のようにズラリと並べほくそ笑む、既に投擲したナイフが複数であったことを示すかのように)見ているのでしょう、最古の王……初めての割には上出来な幕開けを飾る事ができたと思うのですが如何でしょう 」
トキオミ「―――――ガッ!!!?(苦痛と当然の絶望にゆがんだ顔で) 」
主我「貴様、一体、何を企んでいる(右腕に突き刺さった鋼の塊を、引き抜く、その痕から、流水の如く、真紅が滴る) 」
アルヴィス「連絡船なんて言いましたが、行き先は冥府ということを言い忘れてましたね。僕は嘘つきではありません、ただ間違いを犯すだけなのです、師よ 企みはお互い様ではないですか(首を傾げ無機質な笑みを浮べたまま)少なくとも、この戦争の仕組みを理解しながら疑問を抱いているように見えるのですが 」
カンナギ「上出来だ人形・・・いや、アルヴィス。ようやく・・・悪性(ヒト)というものがわかってきたな?ふふふふ(船内でくつろぎながら) 」
トキオミ「ぁ・・・・ぁ―――あ・・・・。(ドサァ) 」
主我「つまり、・・・お前は、この戦争に対して、何を起こすつもりだ。(真紅の雨を零し続ける蛇口に、左手を押し付け、圧迫する) 」
アルヴィス「んー、実感は薄いですけどね。僕自身これが間違っていると疑った事は一度もありませんしね(苦笑をカンナギに返しながら剣にこびり付いた流血を払う) ––––ねぇ主我さん、質問を質問で返す様で無礼なのは承知ですが、何故人類は全体が平和に…少なくとも主義思想に基づいた集団による殺し合いを終わらせる事ができないのだと思いますか 」
主我「―――動物故の、性、同族嫌悪、実力行使という極めて単純な、従わせる方法、様々な要因があり、それ故に、同じ事を繰り返す、愚かなものだ、俺は、そう考えている。 」
カンナギ「ふふふ、まぁ最初はそんなものだろうさ。だが、直にそれが己にとっての美酒となる。 ―――――。(二人のやり取り俯瞰し聞いている) 」
アルヴィス「そうでしょうか(ナイフをコートの袖に収納し戦意の無い事を表して、眼を細める)それならば純粋に性に忠実な動物は何故、無意味な闘争をしないのか。人は人の肉を喰らう訳でもなし、同種ならば血を最低限流さず種の存続を優先する事だって出来た筈 」
主我「・・・人類はあまりに多様性を持ちすぎた、それだけではない、動物にはない理性を持ってしまった、他にも考え得る要素は、山ほどあるだろう 」
アルヴィス「それだけなら精々個人同士の殺し合いに終わるのではないですか(主我に何ら警戒も無く歩み寄り、彼を見上げ自身の左胸に付けられたChessの象徴であるバッチを指で差し示す)先程の質問にお応えしましょうか。僕の目的は"国家"という概念そのものの消滅です 」
主我「同じ思想を持つ、一括りの大きな集団を、潰す。そう、言いたいのか。 」
カンナギ「――――ほぅ?(国家という概念を生滅させると聞いて心なしか愉しそうに酒を飲む) 」
アルヴィス「そうです、この戦争のルールに乗っ取った理想の結末を言うなれば貴方達のような監視者も含めた全組織の”敗北”、これが僕の望むこの戦いの終焉の形です。勝者と敗者、正義と悪が二分されどちらかが虐げられる、こんな歴史を繰り返し続け、一握りの人間の思想に大勢の人間が賛同”させられ”命を費やすような事を延々と続けて平和などあり得ますか(笑みは次第に薄れ、言葉の一つ一つに威圧が増して行き、感情が表出し初めて行く)出来ない……出来ない、出来ない。国家が、思想が命より重んじられる限りあり得ないんだ 」
主我「『大衆の意見』となり、大衆を動かしている、『大衆気取りの少数』を消滅させて、大衆を一つ一つの思想に別つ、というのか。(ス、と圧迫を続けていた左手を離し、止血を確認する)有り得ない、国家というものは、それに続く人によって成り立つ、その命が、軽視されてしまうような事は、あってはならん。(こいつは、監視者、俺が、そうであるという事にも、気付いているのか) 」
アルヴィス「なればこそ、今この全ての仮想国が集う大戦の最中である今こそ……戦争の、一人一人の人間の尊厳を軽んじるこの世の仕組みの破壊を、国家の消滅を行うべきではないですか。主我さん、あなたならわかってくれる筈だ、そう信じたからこそ僕はあなたに全てを打ち明けた(武装解除、仕込んだ武器や鞘に納めた剣に至まで全てをその場で一斉に放棄し、反撃する術を失った状態で決意を固めた視線で主我の眼を突き刺すように見つめる)国家や思想、命も実体もないただのシステムに大勢の命がゴミ屑のように踏みにじられ、血の涙が絶えないこの現状がこのままではいつかまた繰り返されてしまう、あなたはそれでも良しとできますか 」
主我「良しとなど、出来るはずが無いな、私の喜びの一つは、例えどんな状況でも、生きようと、足掻く命の輝きだ、その輝きを、手当たり次第、無差別に闇へ葬るなど、俺は、認めない、認められない。 」
アルヴィス「(無音、西風が木々をざわめかせ沈黙が流れて行き、ようやく口を開く)これを最後の戦争にしましょう。手段は選ばない、最古の王の力を使ってでも、監視者の特権を利用してでも僕は、この戦いで二度と誰も孤独にならない世界を叶えたい 」
主我「思想は同じか、なれば、俺はこの、『視る』側の業を、個々の救済の為に、振るおう。少数の為の奴隷を、個人という存在に生まれ変わらせるために。 」
カンナギ「―――話はまとまったか?(お酒グビグビ) 」
アルヴィス「同盟成立ですね、主我さん……いや、主我 ええ、こちらの”契約”は済みました。心は等の昔に決めています…後はそれを行うに見合う力を得るだけです、そう、力には力、国家には国家をぶつけなければ…… カンナギ、あなたの力も借りる事になるでよう。無論、興じさせる事は保証しますよ 」
主我「同盟の期間は。『大衆を奴隷とする大衆の意見気取りの少数の完全消滅』。だな、アルヴィス。(静かだが、それでも、強い意志を秘め、アルヴィスをその瞳の中心に捉える) 」
カンナギ「―――いいだろう。国崩し、神殺しは王の特権。だが、それをたまには衆生に譲るのもまた一興だ。 」
アルヴィス「あはは…それまでに不足の事態で同盟決裂とあってはシャレにならないので気をつけてくださいね やだなぁ、僕にはそんな野心はありませんよ(苦笑して小首を傾げ)それに折角あなたをお招きしたんだ、極上の獲物はお客人にお譲りするのが礼儀でしょう ……さて、これから忙しくなるな……(道とは言えない程に、この荒野は険しい。けれど、それを照らす覚悟を持ってして進めばきっと––––––……) 」
主我「ところで。俺が『視る側』だという事実を知り得るのは。この場にいる者以外には、居るまいな。(周囲を軽く一瞥した後で、確認を取る) 」
アルヴィス「あそこの死体だけです(トキオミを親指で指してしれっと) 」
カンナギ「あぁ、あのゴミか・・・・・。(もはや名前すら) 」
主我「それならば、問題は無いな。暫くは俺の本当の身分が明かされることは無いだろう。 」
香蓮「(一方、某国のホテルにて)・・・・戦争も佳境に。もう、後戻りはできない・・・・。しっかりしなきゃ!私が、私が 」
香蓮「私がしっかりしないでどうするの・・・・・!誰もあの娘を守れない・・・・・私すらも、だったら・・・だったら・・・!そう、決めたじゃない・・・!!(ベッドに座りながら頭を抱える) 」
香蓮「時の番人、エヴァドのような権限は私にはない・・・・だからこそ、地道な作業が必要になる。―――それでも、私は救いたい、あの子を・・・・。 」
香蓮「―――――。(部屋のドアの近くまで歩み寄り)・・・・人の気配は、ないわね。・・・・最近はこういうのも過敏になってきたわ・・・・。 」
香蓮「少しは・・・・休んだ方がいいかしら。・・・・そういえば、寝たのいつだっけ?・・・・少しだけ・・・・少しだけ・・・・いや、でも・・。 」
香蓮「―――――ッ。(上着をハンガーにかけ、そのままベッドに軽く横になる。)・・・・・そうね、きっとあの子も休めっていうでしょうね・・・。うん・・・少し、休もう・・・そし、た、ら・・・。(静かに眠りにつく) 」
黒衣の男「……なに? …できないだと?(声‐置鮎龍太郎) 」
ウィンガル「どうやら、俺はもう……"Onyxis♞"から、逃れられそうにはない…(声‐木内秀信) 」
黒衣の男「そうか……… ならば、あの日交わした言葉、あれは……偽りの言葉だったというのだな。(声‐置鮎龍太郎) 」
ウィンガル「! それは………(声‐木内秀信) 」
黒衣の男「……やはり、お前に期待する俺が愚かだったということか。(声‐置鮎龍太郎) 」
ウィンガル「ま、待て……待ってくれ…………"アースト"ォッ……!(声‐木内秀信) 」
黒衣の男「…『アースト』か………懐かしいものだな。 俺がいて、お前がいて……プレザやアグリア、ジャオ。みな笑顔が絶えることなく、不自由なく過ごしていたな…(声‐置鮎龍太郎) 」
ウィンガル「あ、あぁ……そうだったな。(声‐木内秀信) 」
黒衣の男「お前は……あの頃の温もりを忘れたわけではないだろう。(声‐置鮎龍太郎) 」
ウィンガル「当然だ…!だからこそ、俺は"Onyxis♞"に………(声‐木内秀信) 」
黒衣の男「………何があった。(声‐置鮎龍太郎) 」
ウィンガル「あの国は……この手を下すまでもなく、滅亡の危機を迎えた。しかしあの女には、政治的能力といったものは皆無だ。もはや意志は固まっていたはずだった。だが……… あの女は俺に放った。「私はようやく、少し強くなれた。お前のお陰でもある。」……と。あの女は……もはや期待を寄せていた。(声‐木内秀信) 」
黒衣の男「―――――――――お前はそんな言葉に誑かされたのか。 …ぬるいな。俺達が生きてきた幾年という重みに比べれば、大したものではない。(声‐置鮎龍太郎) 」
ウィンガル「アースト………(声‐木内秀信) 」
黒衣の男→アースト「…抗え。どこまでも。俺達の希望は…半ばで朽ち果てていいものではない。邪魔をするものは、誰であろうが切り捨てろ。取り戻すんだ……あの日を。(声‐置鮎龍太郎) 」
ウィンガル「ふふ……やはり、お前には敵わないな。アースト。俺にとってのお前は、いつだって大きかった…(声‐木内秀信) 」
アースト「何を言う…。俺とお前は、常に対等であり続けていたはずだ。何よりそれを望んだのは他でもない…俺達だ。(声‐置鮎龍太郎) 」
ウィンガル「あぁ……そうだな。 ……やろう。やり遂げよう…必ず。そのためには、まず……かつての同胞には声をかけておく必要がある。(声‐木内秀信) 」
アースト「…あぁ。ならば俺は、まずはアグリアを拾うとしよう。(声‐置鮎龍太郎) 」
ウィンガル「では、俺はプレザとジャオを呼びかける。(声‐木内秀信) 」
アースト「機が熟した時……落ち合うぞ。 ―――――――――誰一人として犠牲があってはならない。(声‐置鮎龍太郎) 」
サイラス「うし、よく聞け新入りちゃん共、時刻はめんどいから本日未明ということにしておく、お前等下っ端はなんもしてねーから俺が黄色の仮想国の組織員、霧雨魔理沙他数名をこの森林地帯まで追い詰めた、お前達の任務はその始末だ。俺は帰って観たいテレビあるからよろしく 」
魔導士A「(何言ってだこいつ……疲労と眠気で頭がパァになっちまったのか…) 」
隠密A「(考えたら負けでござる)同等な打撃を与え片足の骨を折って下さったそうだ、医療品も補充できない今なら我々だけで充分であろうよ 」
魔導士B「なに、既に私の重力操作結界で機動力は削いでいる、赤子を殺すより楽な作業であろうよ(草を踏み分けながら森林奥地へ進んで行く) 」
魔理沙【yellow】「だーくっそ…!んなんだあのオッサン…!素手で魔法跳ね返すとかラッキーマンかよ!(魔導士達が進行して来る足音を聞き、負傷した足に手を添えつつも冷や汗を流す)っざけんなズェ……まだ攻略してないゲームが家で眠ってるってのに…ッ 」
魔導士A「見ィー…っつけた(魔理沙の上空逆さに達腕を組んで彼女を見下ろしている)んじゃぁ俺早速手柄もーらいって事でいいよな?クルーシォ––––––– 」
ドッ パ ァ ン ! ! (破裂音のような何かが衝突した音が響き魔導士がロケットのように吹っ飛ばされた)
魔導士A「 う わ ら ば ッ (情けない悲鳴を上げて吹っ飛ばされ森林奥の滝壺へまっさ鎌に落ちて行く) 」
魔導士C「おぉい待たれぬかこのうつけが、お前等未熟者がこうして現役としてのさばれるのは誰のお陰だと思ってるんだ、うん?これだから若いというのは–––––(杖をついておぼつかない足取りでその現場に出くわす)……なんじゃい、このジジイにも容赦なく戦えっちゅーのかそうかそうか(杖に魔力を貯め、竹林がざわめき異風が舞った) 」
ピカマン【yellow】「(竹林にもたれかかるようにして腕を組み浮遊し悠々と緑の仮想国の組織員を見下ろしている)凡人、この私の臣下に深手を負わすとはな……『始末』される覚悟はできていような 」
魔導士C「ふざけた容姿をしよってからに、口だけは流石王と言ったところか、達者よの(トンと杖を地に突き、彼を中心に上空から見てもハッキリを認識できる程の巨大魔法陣が一瞬で生成される)––––その余裕は死の間際まで保たせておけ、せめて絶望に魂をにごらせぬようにな。『包囲する闇《ミィル・オブセシオ》』(詠唱破棄、高密度な闇のエネルギーの塊無数に出現しピカマンを囲んでいた)逃げ場等あるまい、チェックメイトじゃ 」
ドガァッ!(魔導士Cに向って、白黒のボールのようなものが蹴り飛ばされ、飛んでいく)
魔導士C「一瞬で終わりにしてくれる––––––散れ、命を刈り取る色によっt \ メ メ タ ァ /うわァァァァァ––ァ––ァ––––(白黒のボールのような物が当たるり魔導士A同様滝壺へ吹っ飛ばされて行く) 」
カズミ「………(自室の窓から外を眺めている) 」
魔理沙【yellow】「ひゅぃ!?(白黒のボールが耳をかすめ涙目)お、おおおま…おまままおま…!世界一位じゃねぇか!! 」
霊夢【yellow】「全く、何してんのよ魔理沙。(やれやれといった様子で、空から降りてくる)あーあ、陰陽玉、見失っちゃったわ・・・高くつくわよ。 」
「新手か!?」「ええい小癪な!魔導士殿の展開した魔法は我々でも扱えるように仕込まれておるわ!」「え、そうだっけ」「残念だったな!サイコミュファンネル式黒魔法で宇宙の塵となるがいい!」「キャーイクサーン」「放て、全黒球解答、連続射出!」 」
魔理沙【yellow】「やーすまないんだズェ、ちょっとコンビニまでソイジョイ補充しに行って後は48時間ぶっ続けでダンジョン攻略する寸断だったんだがこの有様……ってゔぇ?!まだやる気だズェあいつら!! 」
ピカマン【yellow】「 ゾ ッ (背を大きく仰け反らせた存在そのものが威圧である立ち方をし、こともあろうに『あたかもそこに居たかのように』魔導士Cの背後に立っている)ほう、それで?束になったところでこの【 】に対し、そうマッチを数本束ねればロードローラーにも勝てるというレベルの思い込みをしていたのかね?? 」
ブォンッ(ピカマンの背後では黄金の光彩を放つ大男のようなビジョンが投影されており、そいつは機関銃のような拳のラッシュを放ち、容赦なく緑の組織委の内蔵をシェイクするような乱打をぶちこんだ)ウバッシャァァァァ 」
霊夢【yellow】「・・・もしかしてトルネコ?それともシレン?いやそんな事はどっちでもいいんだけど、後でちょっとやらせなさい。(どうやら、興味がある様子)あーもう、うっさいわよ、ちょっとお口にチャックしなさい。(緑の組織員達を見て、イライラしながらその口にお札を投げつけていく) 」
ピカマン【yellow】「 俺はッ!!恐怖を乗り越える事こそが!生きる事だと思う……真の頂点に立つ者とは!ほんのちょっぴりの恐怖も保たぬ者よ!!WRRRYYYYYYYYYYY!!!!!!!(背後に立つ(スタンドバイミー)大男のビジョンに乱打を打たせながら雄叫びを上げる、その背には『ジップ』のようなものが見え隠れしていた) 」
「「「「「ヤッダァァァァァアバァァァァァァァァァァァーーーッ!!!!」」」」」(緑の組織員達は霊夢の放った札とピカマンのラッシュによって暴風に煽られる紙切れのように吹っ飛ばされ滝壺へ落下していった。燃える組織員は月水金)
魔理沙【yellow】「(その有様を目を皿のようにして見つめ呆然とし、帽子を深く被る)……んぁー…ムービーは全部飛ばしてプレイするズェ、それでよければ… 」
霊夢【yellow】「別にいいわよ、一回やった事あるし(無断でだけど・・・。)よく飛ぶわねほんと、相変わらずホームランバットみたいな強烈さね。 」
魔理沙【yellow】「………(キングの”ジップみたいなの”……ありゃなんだ?いつもはボイスチェンジャーで奇声を発するキチガイだが……いや、どうでもいことだズェ。私にとってはな)
―――美しく聳え立つ時計塔、一人の《人間》が内部から景色を眺めていた。
――それは、青の国で内通者の正体が明かされた直後のことだった。
××××「(時計塔の中で一人、シャンデリアの下に立っている) …(本当に、来て下さるのでしょうか……) 」
クレア「(コツ、コツと靴音を鳴らして時計塔の中、シャンデリアのもとに歩いてくる)ふむ……呼び出し人は貴様か?(目の前の××××を見て) 」
××××「あっ…(振り返り、クレアを見て) はい、その通りでございます―――……(一礼し) 私はこの世界を管理している組織………――――いわば《EmPtIeS》の者です。(仮面やマントを羽織っており、容姿は見えない) 」
クレア「あぁ、あのみょうちきりんな放送の主たちだな。私に何用だ?王ならともかく緑の一兵ごときを歯牙にかける組織とは思えんが……(腕を組んで) 」
××××「これは組織での活動というより、私が“勝手に行動している”と言った方が正しいのかもしれませんが…… (クスリ、と笑ったように見せかけ) “クレア”さん、本日“蒼秤総裁機構”が彼らの中の内通者を突き止めたという話は聞きましたか? 」
クレア「む、それは初耳だな……諜報活動には力を入れているつもりだが、私の耳には入ってきていない 」
××××「…やっぱり、そうですよね(見透かしたような口調で) 言うまでもないとは思いますが、あなた方《影蜘蛛華纏魔群》の中にもお一人《内通者》がいるのです。…近頃、怪しい行動を起こしたような人はいませんでしたか?(首を傾げ、クレアに) 」
クレア「うむ、うちの王だ。あれだけ先のことまで作戦を練っていたと言うのにいきなり自暴自棄になりおって怪しいを通り越して頭がおかしく……(ぐちぐち)あぁいや…そうだな……最近ではサイラスが独自に動いている様子を見せているが……内通者、という感じはしないのだがな 」
××××「“サイラス”さん……ですか (クレア同様、彼の名前を知っており) …“槭”さんが一時期騒動を起こしたのは知っていますよ、ずっと“視て”ましたからね。 ――――ですが彼のお気持ちも理解できないという訳ではございません。やり方が気に入らず、反旗を翻した彼の度胸には感銘を受けました。(背を向け装飾に目を向ける) 」
クレア「やり方が問題なのだ、これではバックアップをした意味が無い……(ため息をつく)しかしまぁ、ハッキリ言えば我ら緑の国の者は全員怪しい。そんな奴らの集まりなのでな、内通者を見つけるのは難航するだろう 」
××××「…組織の中で、何もせずに文句ばかり吐いている人の方がよほど愚かだと私は思います。(俯き、顔を上げクレアの方へ向きなおる) 確かに……あなた方の様な“利害の一致”を求める組織員の集いでは。内通者を暴き出すのは困難であると言いきれましょう。 」
クレア「その通りだ、緑というのはそういう組織でな。おおよそ絆などというものは無いに等しい……見てきたと自称する貴様らなら、言われんでも分かっているとは思うがな 」
××××「ほう……では―――…… “いつあなた方に災難が襲い掛かっても…抗わずに受け入れる”…と? 」
クレア「さて、どうであろうな。抵抗できる災難ならば抵抗するだろうが……私には貴様らがどれほどの力を持っているか、未だ予想もつかぬのでな 」
××××「 ふふっ…♪ …――私は強いですよ、試してみますか?(発言とは裏腹に穏やかな様子でクレアに) 」
クレア「いや、止めておこう。さすがに多人数を相手にすると分が悪い……貴様を殺してしまっては報復されるであろうからな(クックッと笑う) 」
××××「賢明ですね(クスッ) …私達がいなくなったら、この世界はどうなると思いますか (ふと思いついたのか、意味深なことを問う) 」
クレア「ふむ、もう少し自由に動けるようになるであろうな。戦いもやりやすくなる……うむ、助かるな 」
××××「(間を置き) ―――争い事がなくなるという可能性も十分に考えられます、未来の可能性は無限大――― それを“視る”ことはできたとしても…未来がどれを選ぶかなんて、誰にも予測できません。だからこそ、存在の意義という事柄を考えるのには永遠の時間を必要とするのですが。 ……少し、難しかったでしょうか 」
クレア「難しいというよりは、考えすぎであろう。貴様自身が勝手に物事を難しくしているにすぎん。存在の意義などというものは各々の中にあり、各々が考え導き出せばよい。それが真実であろうがなかろうが、問題ではないのだから…永遠の時間など必要ないのだ 」
××××「…当然ですよね。(誰にも聞こえないように呟く) そのような返事が返ってくるということは目に見えていました。いいのです、“慣れて”ますから ―――私には私の考え方があります。誰になんと言われようと… 私の考えは不変です。私には私にしか分からない問題や事情がある…… ―――誰にも介入はさせません。私が《EmPtIeS》に存在しているのも、元々は《さまざまな思想を広めていく組織》であったから。 …今はどうでしょう、一概にそうとは言い切れない面もあるかもしれませんが、ね 」
クレア「ふむ、まぁ好きにすればよい。貴様の考えは貴様の考えだ。元より考えを改めよとなど言ってはおらん……あくまで、私の考えというだけの話よ。やれ、真意の見えぬ問答にも飽きてきたのだが用件は終わりか? 」
××××「言ったではありませんか、元々用件などありませんよ。(首を傾け) ―――ただの“気まぐれ”です(仮面の中でクスッと笑みを浮かべ) ですがもう一つだけ、知らせておかねばならないということといえば…そうですね。本当はこんなことしたくないのですけど……(戸惑った末、左腕を上げ指を鳴らし―――……) ――――パチンッ 」
ドドドッ…… !! バリバリバリバリィイイイイイイイ――― ン !!!!!!!!!!!!!!!! (それと同時に時計塔のステンドグラスが罅が入り、一気に全てが崩壊するかのように割れ始める)
クレア「―――――!!(割れていくステンドグラスを見て目を見開く)なんだ……?一体、何を…… 」
××××「―――我々を侮ってはいけません、とのことです。(両手をひらひらとさせ) …今日はどうもありがとうございました。近々あなた方《影蜘蛛華纏魔群》と青の組織《蒼秤総裁機構》には“意味もなく”争っていただきましょう。 …それでは “また会う時まで”、くれぐれも天に召されることの無いように。 ―――ご健闘をお祈りします(そう言い残し、クレアが再び××××の姿を見た時には、既に跡形もなく消え去っていた) 」
――――彼女が本当に存在していたのかどうかも疑わしいほどに
クレア「今のは……一体、いかなる方法を用いたのか……見極めることが出来なかったか(視線を伏せる)……まぁ一応、皆に報告しておくか(一つ息を吐いて姿を消す) 」
―――黒の国・某建物の一室―――
ツララ「――――……ん……(ベッドの上に横たわっており、窓から注ぎ込む陽光と心地の良い風に、静かに目覚めを迎える)」
ミシェル「コク… コク……(ツララのベッドの傍で、椅子に腰かけたまま転寝をしている) 」
ツララ「…… …ん…っ…(上半身をゆっくりと起して、ぼーっと力なく辺りを見渡す)………!(ミシェルに気づいてあっと声を漏らす) 」
ミシェル「コク… ………ン… ……?(彼女の視線に気づいたのかそっと瞳を開け、力なく微笑みかける)目覚めたかイ。ゆっくり休めたようだネ。(そう言い小さな欠伸をする。身体の至る部位に包帯が巻かれている) 」
ツララ「(この方は、確か…)…ミシェルさん…? ……!その怪我は…(自分の置かれている状況はさておき、ミシェルの身体を心配そうに見つめる) 」
ミシェル「ン? …あぁ…これカ。キミを助ける時にちょっと無茶をしてネ… なに、大したことじゃないヨ。(ツララの不安を払うように陽気に笑う) 」
ツララ「……!私を助けてくれたのですか…?わっ、あ…ありがとうございます……! ………?…私を…助け―――――――!!(その瞬間、以前の黒と白の対戦の事を思い出す)あっ…!そうだ…あの戦い…!どど…どうなってしまったのですか…?王は、みなさんは……ッ…!!?(一人で大混乱に陥り、慌てて部屋中を見渡す) 」
ミシェル「落ち着いくんダ。(先程までの陽気な表情が少し崩れ、改まった表情で彼女と向き合う)あの戦いの中、キミは気を失っていたからネ。気になるのは仕方がなイ。…これから話すことヲ、まずハ、ちゃんと落ち着いて聞いてほしいんダ。いいネ…?(落ち着きの籠った声で、しっかりツララと向き合う) 」
ツララ「……!は、はい……(ぎゅうと白いシーツを握り締め、表情に不安の色が浮かびはじめる) 」
ミシェル「HAPPYなことから言わせてもらうヨ―――――あの戦いハ、キミたちOnyxis♞の完全勝利ダ。キミたちの国モ、こうして今無事救われタ。キミの仲間たチ、王様ガ、全身全霊をかけて戦った結果だヨ。(にこりと笑む) 」
ツララ「…! 勝った…んですね… よかった… よかった……(ほっと胸を撫で下ろし、表情が綻ぶ)…あっ、そういえば… 他のみなさんは…?…あっ、いけない!レオハルトさん…!レオハルトさんは…!?とても酷い傷を負っていたんです!ちゃんと…回復できたのでしょうか――――――― 」
ミシェル「―――その『彼』なんだけド… (再び表情が歪み、少し俯き気味になる) 」
ツララ「………? 」
フ ワ ッ ―――――――(風でカーテンが天井へと舞い上がる)
ミシェル「―――――― あの戦いで『彼』はキミを庇ったまま動かなかった ―――――― 」
ツララ「―――――――――― 」
ヒ ュ ォ ォ ォ ――――――(窓から流れ込む風に、ツララの藍色の髪が靡く)
ツララ「…… …… …… ……ぁ………(眦が輝きを帯びる。唇が揺れる。その揺れは彼女の全身を伝い―――――眦に浮かぶその輝きを震わせた) 」
―――― " 行けッ!!!!!ツララァァァァァァァァァ––––––!!!!! " ――――(ツララの脳裏で、『彼』の勇ましい背中が閃いた。自らツララをいう『刀』を守る『盾』となった、彼の、最期の勇ましき像を…)
ツララ「…ぁ…… …ああ…っ… ……あ……!(全身が痙攣し始める) ……そん…ぁ… ……レオハルトさ… ……そんな… ……レオハルトさんが…死ん――――――― 」
ミシェル「バッ―――――"違うんだ" ツララ…ッ!!!!(ツララが言葉を発する前に勢いよく身を乗り出して彼女の右肩を強く掴んだ) 」
ツララ「――――――ビクッ! ……っ…!!!(ミシェルの唐突な行動に驚愕して我に返る。身の震えは止まったが、今にも溢れそうな滴の勢いは止まらない) 」
ミシェル「…違うんダ…違うんだヨ… それは違うヨ、ツララ。(陰を含んだ顔で静かに呟く)…キミハ、何故彼がキミを庇っテ…いヤ、守ったカ… その理由が解るかイ? 」
ツララ「……!(…レオハルトさんが…私を守った『理由』……) 」
ミシェル「それはキミが仲間だからという理由モ、確かにあっただろウ。けどそれ以上にネ―――――――――――彼にとっテ、キミを守る『価値』があったんダ。 」
ツララ「私を守る…『価値』…?(驚いたように目を見開く) 」
ミシェル「うン。それは仲間の為、国の為… あるいハ――――――"未来"の為。 」
ツララ「……"未来"…―――――――!(その時、何かを閃く) 」
――― " 未来を欲するなら、耐えろ…!傷のない未来に価値はない、傷付き血眼になって未来を手に入れろ!この私に抗い、克て!!貴様らの未来への執着を見せてみろ!!Onyxis♞レオハルト!!Onyxis♞ツララ!!私たちへ楯突いた意地を示せぇぇぇぇぇぇッッ!! " ――― (ツララの脳裏に、かつて刃を交えた敵の言葉が強く反響した)
ツララ「(脳内で様々な出来事が交錯する中で、やっと掴み得た『答え』に優しい微笑みを零した)…レオハルトさんは…――――――――――――――― 私に"未来"を託したんですね…。(弱弱しく微笑んで、頬に滴が伝う) 」
ミシェル「(その微笑みに応えるように、そっと微笑み返した)その"未来"を託されたというこト、それはキミと彼の育んだ絆が由縁だヨ。…キミは愛されていル。仲間たちかラ、人々かラ… そしテ、そこにいる『友達』からモ…ネ。(視線をツララのベッドの横にあるテーブルに向ける。テーブルの上には、ツララの大事な四刀が横たわっていた) 」
ツララ「(レオハルトさん…)(そっと心の中で彼の名を呟き、両手を胸に添える)『友達』……??(ミシェルの視線に促されて横のテーブルを見る)……!!(四本の刀… 自分の愛刀を見てあっと声を漏らした) 」
ミシェル「ボク等が初めてであった時のこと、覚えてル?(四刀を見つめたまま) 」
――― " 何かを大切にしているようだけど、本当はその『何か』に大切にされているってこと… 気付いたことがあるかな? その子たちはキミの腕がなければ"生きている証"を得られなかっただろう。だから彼らも嬉しいはずさ、君と出逢うことができてね。 " ――― (ツララの中で、ミシェルと初めて出会った時のこと、そして彼の言葉が横切った)
ツララ「はい…!覚えています――――………!!(以前の言葉を思い出したことで、自身の中で何かが閃いた) 」
ミシェル「(ツララの表情を伺い、そっと笑みを零した)彼モ、そしてその刀たちモ、キミと出逢った奇跡を喜んでいタ。彼等にとってキミといることハ、"生きている証"そのものダ。……だからキミに未来を託したんダ。 」
ツララ「(ずっと溢れそうだったものが激しく震え、一つの塊となってついに自分の手に落ちた)……ぁ…… …っ… っ……!(すすり泣きの声は息を継ぐごとに大きくなって、しまいには顔を両手で覆って泣きじゃくった) 」
ミシェル「……(泣きじゃくるツララを見て、何か語りかけるわけでもなく、ただ、ただ変わらない微笑みを送っていた) 」
ツララ「う…ぁ…っ……!あ…っ…!…あぁ…っ… あっ…!! あああぁぁ…っ…!!(最期を迎える『彼』のもとへ歩み寄ろうとした際、疲労の末に倒れ込むその最中(さなか)に見えた彼の像を思い出す。背中に一切の傷がなかったこと、その英雄が最後に告げたかった思いを知る)――――――うああああぁぁん…!!!(汪然として涙が溢れ出る) 」
ミシェル「キミは愛されていル。これからモ、ずっト… ずっト…――――― 」
―――黒の国Onyxis♞・牢獄―――
アウシュビッツ「うわぁーん!こっからだしてぇーよー!!うわあぁ~~~!!(薄暗い牢獄の檻の中で、幼児のように駄々をこねている) 」
アウシュビッツ「…… …… …… …フン…(大きな声を出して監視者が怒鳴りに来ないのを、冷徹な目で確認する)やはり昼食時は持ち場を離れるか。(いつもの大人びた雰囲気に戻ると、袖に隠れ腕時計を露わにした) 」
アウシュビッツ「計画というものは… あらゆる仮定を持って初めて完成する。(そこにいない誰かに向けて告げるように独り言を呟き始める)黒国殲滅計画(ブラックアウト)が失敗し、私が黒に捕えられるという仮定も…全ては計画の内。(腕時計をいじることで表面が開く。中には細やかな機材があちこちで点滅しおり、その中でも一際目立つ赤いボタンがあった) 」
アウシュビッツ「ククク…――――――カチ… (怪しく嗤うとその赤いボタンを爪先で押した) ――――" ま だ 私 の 計 画 は 終 わ っ て な ど い な い "――――(怪しく嗤い続けるアウシュビッツの顔は、やがてこの世のものとは思えないほどの醜悪を含んでいた) 」
―――黒の国Onyxis♞・管制塔―――
管制官リーダー「(巻煙草を銜えたまま眉間に皺を寄せて新聞の表紙を見ている)…我々だけでなく、遂に青と赤にも『謎の勢力』の刃が… こやつらは一体何を企んでいる…(まさかとは思うが、緑の奴等ではあるまいな…?奴等もまた、何処を問わず国々を襲撃している組織… 接点はあるが…―――――)(頬を掻きながら考えを巡らせている) 」
ビィーッ!! ビィーッ!! ビィーッ!!(突如けたたましいサイレンが鳴り始めた)
管制官リーダー「……!(サイレンが耳に入り新聞を折りたたんで席を立った)何事だ!?(巨大モニター前にいる管制官たちに) 」
女性管制官「九時方向より未確認物体接近!(素早い手つきでキーボードを打ちつけながら) 」
管制官リーダー「何…!? 」
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…ッ…!!!!!!(その頃『謎の物体』が土煙を上げながら、黒国周辺にある森林内を進行していた。物体は樹木を薙ぎ倒しながら真っ直ぐに黒の国へと向かっている)
管制官リーダー「敵の数は!?(巻煙草を銜え直し女性の背後に寄る) 」
女性管制官「一体のみです! 映像出します!(キーボードを打つ) 」
巨大モニターに一つのウィンドウが現れる。そこには森林内で樹木を蹂躙しながら進行している『何か』が映し出されていた。
管制官リーダー「(た…たった一体だけだと……!?)チッ…接近を阻止せよ!砲撃用意ーーー!!!(モニターに映るその『何か』に向けて手をかざす) 」
ドグゥオンッ!!!! ドグゥオンッ!!!! ドグゥオンッ!!!! (国壁付近にそびえ立つ幾つもの巨大砲門が次々と火を噴いた)
ボガァアンッ!!! ズギャアァンッ!!!!―――――――――ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…ッ…!!!!!!(巨大砲門から放たれた砲弾に直撃した『謎の物体』。しかしそれが怯むことなどはなく、やがて国壁の目前まで接近していた)
女性管制官「効果ありません!……!(そう言ってモニターの方へ視線を向けると、目を見張った)―――――間もなく壁に激突します!!!」
管制官リーダー「くッ――――――!!!(険しい眼差しで悔しそうにモニターを睨みつける) 」
ジュワァァアア……――――――――ボッガアアアアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーンッ!!!!!!!!!(国壁の一部が瞬く間に赤熱を帯びる。漆黒色の壁はやがて真っ赤に染まり上がり、激しい爆音を上げて崩れ落ちた)
起動兵器「ズシィーーーン…ッ…!!! ズシィーーーン…ッ…!!! (黒煙から姿を露わした『謎の物体』の正体は、ドラゴンをイメージした様な造りの起動兵器だった) ガチョン…ッ…!!! ガパ…!(その場にとどまったかと思うと背後の下半身のハッチが開いた) 」
ダッダッダッダッダッダッダッ……!!!!!(起動兵器の下半身から、武装した無数のアンドロイド兵が湧き出てくる。外見こそは、エゼキエルでの戦いで黒と交戦した白のアンドロイド兵と瓜二つだが、全身は暗緑色にカラーリングが施されていた。それだけでなく、全兵士は――――緑の組織『影蜘蛛華纏魔群』(イブリース)の国旗が描かれた腕章を身に着けていた。)
管制官リーダー「……!!何だあの兵器は…!?それに、中から何か出てきたぞ………!(アンドロイド兵に違和感を覚え、目を細めて凝視する)あれは―――――――緑(イブリース)の…ッ…!!!?(アンドロイド兵の腕章、それに描かれた模様を見て驚愕と困惑の入り混じった表情へと一変する)……ば、馬鹿な……?!(まさか私の予想が的中していたのか…!? ついに『奴等』(謎の勢力)は我々を標的に… そしてその正体は緑の奴らだった…!)……すぐに警鐘を鳴らせ!!王にもこの事態を報告するのだ!! 」
管制官たち『はっ!!!!』(各々に素早く散らばって活動を始めた) 」
警告、国内西側に影蜘蛛華纏魔群(イブリース)の侵入者有り!国民は速やかに東側へと避難してください!全兵士は直ちに侵入者を殲滅せよ!繰り返す、国内西側に影蜘蛛華纏魔群の侵入者有り!国民は速やかに東側へと避難してください!全兵士は直ちに侵入者を殲滅せよ!(国全域に緊急アナウンスが轟く)
管制官リーダー「(ずかずかと足を鳴らしてテーブルの上に広げられている黒国の俯瞰図に両手をつく)奴らの目的の詮索はこの際どうでもいい!敵の急襲を直ちに迎え撃て!そして殲滅ゥ!!敵の動向も監視せよ!!(敵は西側から襲撃… 念のために東側へと避難させた民たちにも防衛を付けなければ…)(俯瞰図を指でなぞりながら、西側の国壁であろう場所に赤ペンで×を描いた) 」
アンドロイド兵(緑)「ダッダッダッダッダッダッダッ……!!!!(兵器から解き放たれた大群は、城のある方角へと進撃を開始していた) 」
男性管制官「現在無数の兵士(アンドロイド)たちは兵器から離脱して城へと進撃している模様です! 」
管制官リーダー「なに…!?(城へ襲撃か…さては直接王の首を狙って―――――――)―――いや違う!!!!(何かを閃いたように叫び)…現在城の牢獄には、緑の王が幽閉されている。―――――敵の目的は、その王の救出に違いない…ッ!!!(握り拳をつくり、モニターに映る軍勢を睨みつける) 」
男性管制官「な――――ッ!?(激しく驚愕した後、再びモニターに向かう)城内の兵士たちに告ぐ!!現在そちらへ進行している影蜘蛛華纏魔群の軍勢の狙いは恐らく、奴らの王の救出だ!急いで城内の兵士らを牢獄に集結させてくれ!!(手に取ったマイクに叫ぶ) 」
起動兵器→機龍ヴァルハラ「ズシィーーーン…ッ…!!! ズシィーーーン…ッ…!!!(すべてのアンドロイド兵を外へ解き放つと再び起動し、アンドロイドたちの軌道には乗らず、別方向に転換して進行を開始した) 」
女性管制官「……?(兵器、機龍ヴァルハラの動きに違和感を覚え、キーボードを打ちながらヴァルハラの進行ルートを詮索する)……!!!大変です!!(リーダーに) 」
管制官リーダー「今度はどうしたァ!!? 」
女性管制官「国壁を破った起動兵器が、敵軍勢と同行せずに進行ルートを変更したため…気になってそのルートを予想したのですが、あの兵器は一定の速度で真っ直ぐに南西側へと向かっているようです。しかしその進行ルートには―――――――この管制塔が存在します…!! 」
管制官リーダー「まっさか…ッ…!!(表情が青ざめる)………敵は二手に分散した… 一つは城へ、そしてもう一つは――――――この管制塔か…ッ…!!!…これはマズいぞ…!国内の兵器を管理しているこの管制塔を攻め落とされてみろ!!国内の兵器は一切起動せず、この国は攻撃力を失う!!!そうなれば、もう他国からの防衛は不可能だッッ!!!!(酷く絶望した顔で) 」
女性管制官「そんな…っ…!! 」
管制官リーダー「…ぐぐぐ…ゥ…ッ…!!(どうすればいい…!?ここを攻め落とされればこの国は終わりだ…!だからと言って、城へ向かった軍勢を無視することはできない…!この国の全兵器を使ってでもあの兵器を止めてみるか…!?いやしかし、防衛ラインを突破したあの硬い装甲を打ち破る程の兵器は…もう存在しない…ッ…!増援を要求するか…!?)(人生の岐路に立たされ、ぼたぼたと滝汗が流れて俯瞰図を濡らす) 」
機龍ヴァルハラ「ズシィーーーン…ッ…!!! ズシィーーーン…ッ…!!!(進行ルート上の建物を蹂躙しながら、ゆっくりと管制塔のある場所へと進行している) 」
女性管制官「リーダー、指示を!! 」
管制官リーダー「ぐゥ……(優柔不断に陥りそうな困惑した表情で、モニターに映るアンドロイドの軍勢とヴァルハラを交互に見比べている) 」
ヘッドホンをした少女「―――――大丈夫だよ!(突然、管制塔の一室に入ってきて困惑するリーダーに背後から声をかけた) 」
管制官リーダー「……!!(少女の声に反応して振り返る)お前は―――――――メグか…!!(身長差のあるメグを見下ろして、彼女の登場に少し驚いた) 」
ヘッドホンをした少女→メグ「(黒の組織/Onyxis♞の優れたメカニック。リーダーの横に立つや否やモニターに映る状況を見上げる)兵器と管制塔の距離を考えると、まだ猶予はある。城へ向かった軍勢なら城内の兵士できっと十分。東側へ避難した国民たちのことなら、さっき私の方から兵士を手配しておいたよ。だから今は、あの兵器を何とかしないとね。(飄々とした表情で状況整理をし) 」
管制官リーダー「簡単そうに言うな!国の最高防衛兵器も通用せず、さらにはあの分厚い鉄壁を破壊した化け物だぞ!!今更奴をどうしようというのだ…!!?もう残された兵器や武器を使っても、奴は止められんぞ…!!(声を荒げて) 」
メグ「兵器や武器はそれだけでは本来の力を発揮することなんてできない。ここにはそれらに潜む力(パワー)を存分に発揮してくれる『優れた戦士』たちがいるじゃない。(可愛らしくウインクして) 」
管制官リーダー「優れた戦士たち……ハッ…!(脳内で、王の二条を初めとする多くの戦士たちの顔が横切った)……なるほどそういうことか… …しかし、もう彼らに頼るしか手はないぞ!?仮にだ、仮に彼らがあの兵器にやられたとしたら――――― 」
メグ「――――Onyxis♞の戦士たちはやられなんかしない。(変わらない口調で、しかし重みの籠もった一言を放つ)先日の♚Chess♛との戦いを見たでしょう?あの巨大要塞(エゼキエル)の進撃を、間一髪阻止した戦士たちを。彼らは絶対に奇跡を起こしてくれる、私はそう信じている。(頑なな眼差しでリーダーと向き合う) 」
管制官リーダー「――――――!(メグの頑ななな眼差しと言葉に胸を打たれたのか、しばらく無言で顎元を摩る)……そうだな… ならば私も賭けてみよう、その『奇跡』をな。 ―――――――管制塔付近にいる戦士たちをすぐに集めよ!この塔を死守するのだッ!!!(管制官たちに向けて) 」
管制官『はっ!!!!』
メグ「(決意したリーダーに笑みを零した)じゃあ、私も戦地に行ってくる。危なくなったら…みんなで逃げてね。(そう言い残し部屋を出ていく) 」
管制官リーダー「……恩にきる。(メグが部屋を出ると同時に呟く)頼んだぞ戦士たち…――――――我々も戦うぞ!!(そう叫ぶと再び俯瞰図に向き合い、兵器への対策を練り始める) 」
ボッカアアアアアアァァァァーーーーーンッ!!!!(城下町で爆炎が上がった)
アンドロイド兵 軍勢(緑)『ダッダッダッダッダッダッダッ……!!!!(黒煙の広がる荒れ果てた城下町を、武装したアンドロイド兵が軍隊のように進行していた) 」
スカーフィ「ザ…(多くの兵士たちと共に前線に並び、迫りくるアンドロイドの軍勢を迎え撃とうと仁王立ちで待機している)…見えたニャ。あいつらが…!(遠くに映るアンドロイドたちを見て激昂し) 」
隊長(黒国)「降伏せよ、影蜘蛛華纏魔群(イブリース)!!これ以上近づいた時、我々Onyxis♞は異分子であるお前たちを全力で排除するゥッ!!!(メガホンを通してアンドロイドたちに叫ぶ) 」
幸一郎「(アンドロイド兵を見据えながら)…………来たな、緑め………。(刀の柄を握りしめ 」
アンドロイド兵 軍勢(緑)『―――――――ダ ァ ン ッ ! ! (隊長格の男の声に反応し、無論止まることなど知らず、各々の武器を構えて一隊に襲いかかった) 」
アンドロイド兵A「ギュォォオオンッ!!!(チェーンソー型の腕を持つアンドロイド兵が、建物の屋上から幸一郎を急襲した) 」
隊長(黒国)「――――――! 来たぞ!!迎撃開始ィ!!!(刀を支持棒のように掲げ、背後の兵士等と共にアンドロイド兵の軍勢に突撃する) 」
Onyxis♞兵士『うおおおおぉぉぉッ!!!!!(隊長に続き、気炎を揚げながらアンドロイド兵の軍勢に立ち向かった)』 」
アンドロイド兵B「ガチャコンッ…!ドッドドドッドッドドド…ッ…!!!(両腕をガトリングガンに変形した一体が、スカーフィたちに乱射した) 」
幸一郎「………相手して欲しけりゃぁ―――――――――――――――――― ヒュバッッッ(恐ろしく早い居合抜きをアンドロイドに繰り出し)―――――――――――正々堂々、真正面から来いって言ってんだろ………。 チャキンッッ(刀を鞘に納め 」
スカーフィ「ついに動いた―――――ニャ!?(猫のようなしなやかな動きで銃弾を回避し、少しずつアンドロイドに接近する)うにゃあッ!!(アンドロイドBを水平に蹴り飛ばす) 」
アンドロイド兵A「ザァキィン――――――ボッカアアアアァァァーーーンッ!!!!(幸一郎の繰り出した鋭い一閃が全身に迸り、爆散した) 」
アンドロイド(?)「ダン…ダン…ダン…(アンドロイドの軍勢の中で、一際目立つ一体が幸一郎に歩み寄る。無機質な足音をあげながら憎悪を含んだ表情を見せる。他の兵士とは一風変わっていた) 」
アンドロイド兵B「ドガッ――――ズザザァー…!(蹴り飛ばされるが体重をかけてその反動を和らげる)ガチャ…ドドッドドドドッドッ!!!!(スカーフィと対峙し、無慈悲なほどにガトリングを乱射した) 」
幸一郎「………?(歩み寄ってきたアンドロイドを見て)………その様子からするに、僕に用があるみたいだけど……… 何だよ、その目………。(兵士の表情を見て 」
ウィンガル「……く……やはり、その身は堅いようだ。だが……我が剣の前では、無力だったな。(アンドロイド兵に一閃している)チャキッ… (声‐木内秀信) 」
アンドロイド(?)→ヴォルキル564 Mk-2「―――――邪魔者ハ皆殺シデース。 ズァッ!! (風に煽られ頭部を覆っていたローブが脱げると同時に、鋭利なナイフを持って素早い動きで幸一郎に斬りかかろうとした。本元と比較すると、外観上は頭部と腕部のデザインが異なるだけ) 」
アンドロイド兵 軍勢『ザァンッ―――ボッカアアアアァァーーーンッ!!!! ダッダッダッ……!!!(ウィンガルの一閃で二体が破壊されるが、それによって生じた黒煙から、さらに軍勢が押し寄せてきた) 」
幸一郎「邪魔者だと?………お前達の方から散々ちょっかいかけておいて、随分な言い様じゃないか………!! ヒュッッ ガキィィィンッッ!!!(こちらも素早くナイフを抜き、応戦する 」
スカーフィ「堅っ!? ニャッ…!!?(一目散に駆け出して物陰に飛びこんで隠れる) 」
ヴォルキル564 Mk-2「ガキィンッ!!(幸一郎との鍔迫り合いから退く)抹殺デース。 ドパァッ!!! (マントの死角から幸一郎に向け拡散弾を撃った) 」
Onyxis♞兵士『ぐあああああぁぁぁ~~~!!! 怯むなァ!!迎え撃てぇ!! うおおおぉぉーー!!! おらっ、くらえぇッ!!』(アンドロイドの軍勢と激しく競り合っている) 」
アンドロイド兵B「ドッドッドドドッ…!! …… ガチャン、ガチャン…(砲撃を止め、物陰に隠れたスカーフィを追うようにゆっくりと歩みを進める) 」
幸一郎「!!! (寸前で察知し、回避に移るが、広範囲に飛び散った弾が2,3発ほど体をかすめる)くっ……… 小賢しい真似をっ!!(爆弾付き手裏剣を投げ 」
ウィンガル「む……(アンドロイド兵Bに目をつけ、進行を遮るように立ちはだかる)おっと……どちらへ?(声‐木内秀信) 」
ヴォルキル564 Mk-2「―――――!!ボガアアアァァァーーンッ!!!!(咄嗟に避けようとするが爆発の衝撃を受けて建物の壁に激突してしまう)ススス…―――――――(謎の能力を行使し、隣の建物へと吸い込まれるように消えていく)―――――――ズァ…ッ…!!!(そして別の建物の壁から姿を現し、幸一郎の背後を討ち取らんとナイフで襲いかかろうとするが…) 」
アンドロイド兵B「……! ガチョンッ…!!(さっそうと現れたウィンガルに反応し、彼に銃口を突き付けようとするが…) 」
アンドロイド兵 軍勢『ガキィンッ!! カキィンカンッ!!! ダダダダダッ!!!!(黒国の兵士等と競り合っているうちに、徐々に数が減少していく)」
幸一郎「!(消えた……… !!) ガキィンッッ!!(気配を察知し、小刀でナイフを受け止め)………真っ向から向かって来てくれると思ったけど、ちょっとでも期待した僕が馬鹿だったよ………やっぱりお前達は卑怯者ばかりだ!! ビュッッ!!(もう片方の手に握ったナイフを振りかざし 」
ヴォルキル564 Mk-2「――――――!!!(急襲を阻止されたことで壁からずるりと体が抜けだす)……!!!(見上げた時には既に、幸一郎の刃がすぐそこまで迫ってきており―――――) 」
ウィンガル「ふ……我らに抵抗するとは命知らず。いや…元より命などというものは存在しないか。…まあいい。その銃口を向けたところで、もはや貴様に勝ち目はない。(声‐木内秀信) 」
スカーフィ「――――今だっ!!!(ウィンガルと対峙しているアンドロイドBの隙をつき、物陰から姿を現してウィンガルの頭上を飛び越えた)んにゃああああぁぁーーー!!(アンドロイドBに強烈なドロップキックを見舞った) 」
幸一郎「ザシュッッ――――――――――(ヴォルキルの顔面を切り裂き)―――――――――――はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!(小刀から、日本刀に持ち替え、ヴォルキルの胸部を勢いよく突く 」
アンドロイド兵B「チャキ―――――ガァンッ!! ボッカアアアアァァーーーンッ!!!(ウィンガルを発砲しようとしたその瞬間、死角から現れたスカーフィに対応できずドロップキックが直撃し、吹き飛んだ先で爆散した) 」
ウィンガル「――――――よくやった。今回の功績は、洩れなく王のお耳にいれておいてやろう。(スカーフィに)(声‐木内秀信) 」
ヴォルキル564 Mk-2「ザシュゥッ―――――パカ…チュボンッ!!!(顔面を切り裂かれたことでマスクが真っ二つに割れ、素顔であるロボット顔を露わした瞬間に顔面が爆発する)ガン…ガンガン…――――――ザキィィーーーンッ!!! ボッカアアアアアァァァァァーーーーーンッ!!!!!!(顔面を抑えながら退こうとすると幸一郎の追撃を許してしまう結果となり、胸部に刀が突き刺さって勢いよく爆散した) 」
隊長(黒国)「いょーーーし!!!このエリアの敵は殲滅した!総員、他の所へ加勢に行くぞ!!!(兵士らを引き連れて城下町を駆けて行った) 」
幸一郎「チャキンッッ……(武器をしまって)…………もっと……もっと強くなる………そして―――――――――――(その場から立ち去って行き 」
スカーフィ「やったニャ!(爆散したアンドロイドを見て)えっ!?それは本当かニャ!?やったニャやったニャ♪(あまりの嬉しさに跳び上がり)あっ、おぉー!!(ギコニャン… ボクも幸一郎も、頑張ってるニャ。だから、ちゃんと見ててニャ。)(今は亡きギコ侍のことを思いながら、兵士等と共に駆け出した) 」
―――黒の国・某建物の一室―――
ツララ「(号泣した後で目元が赤く腫れている)…ぐす… ……す、すみません…(恥ずかしそうに俯く) 」
ミシェル「Never mind. でもキミは大事なことに気が付いタ。ボクは嬉しイ。(にこりと微笑んで) 」
警告、国内西側に影蜘蛛華纏魔群の侵入者有り!国民は速やかに東側へと避難してください!全兵士は直ちに侵入者を殲滅せよ!繰り返す…(窓の外から警報と住民のざわめきが聞こえる)
ツララ「ミシェルさん… ……!!(ミシェルの笑みにつられて、なんだか嬉しそうな表情を浮かべようとしたその時、外から聞こえた騒動にピクリと微動した)い…今のは……!?(布団をぎゅうと掴み、不安そうに窓の外を見つめる) 」
ミシェル「……!(警報と共に飄々とした顔が歪み、窓の外を一瞥する)カタ… ス…(ゆっくりと席から立って、テーブルの上にある四刀の内の一本を手に取り、それをツララに突き付けた) キミはひとりなんかじゃなイ。まだたくさんの仲間たちがいル、そしテ、『彼ら』もずっとキミの傍にいル。(温かい眼差しを向け) 」
ツララ「……!(突き付けられた刀を見つめ、そしてミシェルの顔を見上げる。彼の温かい眼差しによって、不安が何処かへと飛んでいったかのように、表情に穏やかさが戻る) 」
ミシェル「キミを必要としている人たちがいル ……行くんダ。 」
ツララ「…はいっ…!(刀を掴んだツララの表情は、堂々たる剣士そのものだった―――――) 」
その頃、黒国の街中では…
奴を止めろォ!! 加勢に来たぞ!!全部隊、突撃開始ィ!! 進め進め進めェーーーッ!!!!(既に街中で大多数のOnyxis♞の軍隊が、機動兵器と交戦を開始していた)
機龍ヴァルハラ「ズシィーーーン…ッ…!!! ズシィーーーン…ッ…!!! ドシャアアアアアァァァァーーーン…ッ…!!!(軍隊の迎撃兵器をものともせず、建物を蹂躙しながら、ゆっくりと管制塔へと進撃している) 」
隊長(Onyxis♞)「とめろぉぉッ!!これ以上奴を進ませるなぁッ!! 」
兵士(Onyxis♞)『撃って撃って撃ちまくれぇ!! ドォンッ、ドォンッ、ドォンッ!!!!』(一列に配置した一部隊が一斉砲撃する) 」
機龍ヴァルハラ「カアアァァァァー…ッ…―――――――バシュゥゥゥウウウウウーーーーーーンッ!!!!(口内に高エネルギーを集束する。エネルギー体が生まれるとそれを光線状に放つ荷電粒子砲を繰り出した) 」
真庭鳳凰「(よし、彼奴等は機龍に翻弄されている・・・今のうちに、――――各将の首を獲る) 」
隊長(Onyxis♞)「……!!! 待て…何か来るぞ!!(ヴァルハラの口内に溜められたエネルギーを凝視し、やがてそれが危険なものだと察知し表情が青ざめる)いかん…ッ!全部隊退避!!退――――――(命令を下した時には既に閃光に呑まれてしまう) 」
ウィンガル「ふん……これ程の相手に……何故、この俺が出迎えなければならない。理解不能……(戦意喪失していく)(声‐木内秀信) 」
ドグゥオオオオオオオオオオォォォォォォォーーーーーーーーーンッッ!!!!!!!(街中で激しい閃光が瞬き、凄まじい爆音とともに巨大な火柱が上がった)
アンドロイド兵(緑)「ギュォォオオンッ!!!(両腕に刃を武装したアンドロイド兵がウィンガルを急襲した) 」
真庭鳳凰「(音も気配もなく影という影を駆け抜け城へと侵入しようとする) 」
兵士(Onyxis♞)「次弾(つぎ)だ!は…早く撃てええぇー!! 」
ツララ「スタ―――――――(どこからともなく現れては華麗に舞いながら鳳凰の前に立ち塞がった)…ここから先へは、行かせません!! ジャキィンッ!!(一気に四刀を抜刀し、鳳凰に身構えた) 」
ダンダァンッ!! ダァンッ!! ダァンッ!!!(兵士等が各々の拳銃や砲台を持って、距離を取りながらヴァルハラと交戦している) 」
真庭鳳凰「む!?(スザザと動きを止め身構える)――――最早Onyxis♞に力などない、すでに烏合の衆。死人ぞ。(苦無を二刀、羽根のマントからとりだす) 」
ウィンガル「―――――――ズシャッ!!(戦意は喪失しながらも、向かってくる敵は機敏に斬り払う)スチャッ… ……他愛もない。(声‐木内秀信) 」
依田「………あんなデカイのどう ―――いや、死んでから考えてやる。ジャキッ!! 内側から破壊が出来れば、ラクなんだがッ… 依田剣介、接近を試みる タタッ(天を穿つ機龍ヴァルハラの下(もと)へと掛け出す) 」
ツララ「――――――"私たちは死んでなんかいません"!!!!(怒号を含んだ鋭い目で鳳凰を睨み、普段のツララらしからぬ熱気を帯びている) 」
機龍ヴァルハラ「カパッ――――シュドドドドドドドッ!!!!(背面のハッチが展開されると中から大量の弾道ミサイルが発射され、全員の頭上に降りかかった) 」
スカーフィ「うわわっ…!(アンドロイドとの戦闘から部隊に加勢して戦場へと赴いた瞬間、飛んできたミサイルに驚き高い跳躍で回避する)あっぶないニャ…! あれが敵かニャ?ずいぶんとデカいニャ…(遠くからヴァルハラを見て苦い表情を浮かべる) 」
真庭鳳凰「(く、この覇気・・・・赤か青の連中を思い出させる・・・だが、退くわけにはいかん)―――――ギュン!!(七色の残像が見えるほどの高速移動で一気に間合いを詰め苦無における十文字切り) 」
ドガアアアアアアァァァァーーーンッ!!!! のああああああ~~~~ッ!!!! ボッカアアアアアァァァーーーーンッ!!!!(ミサイルの雨による苛烈な攻撃に、呆気なくその餌食となっていく兵士たちの断末魔が響く)
〖ルリ〗&【マリ】:〖おわぁー… なんだか楽しそうだね。〗【だねだね。】〖ちょっと面白いしー、あれ観てから みっしょん やる?〗【うんっ、そうしよう♪】(何処から侵入してきたのか、城の屋根の天辺にて、しゃがんで街中の暴動を俯瞰している)
アンドロイド兵(緑)「ボッカアアァァァーーンッ!!(ウィンガルに斬り伏せられて爆散する) 」
依田「―――くッッッ シュダ―――ドオオオオンッ!!!!(間一髪ミサイル攻撃を回避する)ケホッ!………馬鹿者め(易々と近づかせては貰えんか…!建物を盾に往くかッ)スタタッ…(姿勢を低くし裏路地を掛ける) 」
ツララ「―――――ドゥッ!!(爆発的な脚力で接近し、鳳凰の斬撃に合わせて四刀を強く振った) 」
ド ゥ ッ ! ! ―――――――――― パ リ ィ ィ ン ッ ! ! (ツララと鳳凰、互いの斬撃が激しくぶつかり合った。その衝撃で大気が振動し、廊下のステンドガラスが割れて光の礫となった)
ウィンガル「……来たか。(スカーフィの姿を横目で捉える)……しばし、様子見だ。前線の奴らには申し訳ないが、戦力さえ削いでくれれば問題ない。衰弱したところを一気に叩く…(声‐木内秀信) 」
機龍ヴァルハラ「ズシィーーーン…ッ…!! ズシィーーーン…ッ…!!(標的を殲滅(あるいは見失う)したことで管制塔への進撃を開始する) 」
女性管制官「管制塔への進行、止まりません!!(焦燥感の募った顔で素早くキーボードを打ち続けている) 」
管制官リーダー「ぐぅ…っ…(モニターに映るヴァルハラ、そして残骸の中で変わり果てた兵士たちの姿を見上げる) 」
真庭鳳凰「――――ッ!!―――――――ッ!!(双方目にも留まらぬ太刀捌きの中、刀の苦無の圧倒的な機能性の前に苦戦する、まず射程距離はこちらが圧倒的に不利。それだけではなく、あちらは剣士、こちらは陰に潜む忍び。接近戦においては相性の悪い相手。)―――――ふっ!!!(苦無をクロスさせ、ツララの刀を防御していく) 」
スカーフィ「そんな…!ここでみんなで討てば勝機はあるニャ!…ボクは行くニャ。こんなところで、立ち止まってちゃ…ギコニャンに合わせる顔がないニャ!!(そう言って素早く駆け出し、ヴァルハラに果敢に立ち向かった) 」
依田「ア奴…敵がいる限りは殲滅せんと気が済まぬ性分か。カラクリめ…如何やら融通の利かぬ機械仕掛けらしい、やはり操縦者を屠る近道は無いか…(本当にこりゃ終わったな、という実感から冷や汗が滲む)―――くっ、只我が任を全うするのみ!!我が任を全うするのみい!!クっ―――(怒鳴り己を鼓舞し、駆け出す) 」
ウィンガル「待て… ……やれやれ。何もわかっていない……何もだ……(駆け出していったスカーフィを見据えながら呟く)(声‐木内秀信) 」
ツララ「ガキィンカキィンカンッ!! キィンカンキィンッッ!!! (目にも止まらぬ刀捌きで鳳凰を圧倒する)私たちは強い…強い…――――――強いッ…!!!!(あたかも自分に言い聞かせるように叫び、鋭く強かな四閃で鳳凰を吹き飛ばした) 」
機龍ヴァルハラ「ズシィーーーン…ッ…―――――クルッ カアアァァァァー…ッ…―――――――バシュゥゥゥウウウウウーーーーーーンッ!!!!(依田とスカーフィの二人を感知したのか唐突に首だけが振り返り、あの大多数の部隊を葬った最凶の荷電粒子砲を一直線に放った) 」
真庭鳳凰「―――ウガァアア!!!?(成す術もなくドカンと音をたて壁を突き抜けていく。)――――こ、ここは、武器庫か!?(立ち並ぶ刀剣や銃器などを見て) 」
堤「我が名は堤実篤(つつみ さねあつ)―――堤とは、俺の先祖が受けた誇り高き名である。堤とはァ―――ッッッ 即ち塞き止めるものなりッッッ 我、堤実篤ここに有り!!!!貴様を通す訳に行かぬ!!!!てやああああああーッ!!!!ドゥッ―――ッッ(刀を構え、たたと跳びはね、ヴァルハラの右前脚に回転切りをかます) 」
メグ「(エクストリームギアと呼ばれる、浮遊ボードに乗って街中を疾走している)解析に時間がかかっちゃった…! もう既に戦地で交戦が始まっているはず…急がなきゃ…!(そう呟いてギアの速度をあげ、急いで依田たちのもとへと向かった) 」
依田「な――――ッ --- ドンッ ひ―――ドグゥオオオオオオオオオオォォォォォォォーーーーーーーーーンッッ(スカーフィを押し飛ばし光の中に消える) 」
ツララ「はっ…!(吹き飛んでいった鳳凰を追い掛けるように武器庫へなだれ込む)観念してください…!!(ここは…武器庫…!?)(無防備の鳳凰に詰め寄る) 」
真庭鳳凰「(その奥に怪しく光る刀を目の当たりにする)――――なんだ、この刀は?見たことがない・・・。(もしや・・・) 」
真庭鳳凰「観念?―――く、そうは。(ジャキリとその怪しい刀に手を伸ばし柄を握る)いくかっ!!!(シャンと鈴鳴り、刀身が宙に晒される) 」
―――――――それは誤りだった。
ツララ「(武器を変えた… ……あれ、あの武器…何処かで、見覚えが…)(その時刀マニアのツララの中で、妙な突っかかりが横切る。そのまま鳳凰を凝視すると、突然何かを閃いたかのようにビクッと飛び上がった)……!!あっ、駄目…ッ!その刀は――――――― 」
スカーフィ「ニ゛ャ゛…ッ…!!?(横から依田に押し飛ばされて宙へ舞う)依田ニャ―――――――(呼びかけた時には既に遅く、自分を救った恩人は既に光の中へと消えてしまい、思わず目を伏せてしまった)んにゃああああああああぁぁぁぁああああああーーーーーーッ!!!!!!(悔しい叫びをあげながら地面に落下した) 」
機龍ヴァルハラ「ガキィィィィイイン…ッ…!!(堤の渾身の回転切りも、ヴァルハラの堅い装甲には全く通用していなかった…)ズオッ――――――(右前脚を上げて、そのまま堤を踏み潰そうとする) 」
堤「ガィ ―――― ンンン~ッ!!(刀が弾かれる)ヨロッ… く―――ッ…! 」
突如、鳳凰の手の刀が大きな光を発する。光は部屋全体を包み込み今にもすべてを溶かしてしまいそうなほどの眩さを醸し出している。刀身が光っているのではない。―――刀そのものが光っている。
真庭鳳凰「―――ぁ・・・がぁ・・・!!ぁぁぁああああああっぁぁあ・・・・・・・・・!!!!!!!!(何かが作用したのか剣を掲げた状態のまま苦しみだす) 」
長門「らあああああああああッ!!!ザシュッ―――スオオオオンッッッッッッ!!!!(剣から真空波を放ち、足の軌道をずらし堤を救う)―――長門長閑(ながと のどか)…女みてーな名前、そうさな、門みてーな字が二つも並んでらァ… 俺だって通さねえよ。(長刀を構え現れる) 」
メグ「――――――ギュンッ!!(ギアと共に颯爽と現れ、今にも踏み潰されそうな堤に手を差し出して救出しようとする)――――つかまって!!! 」
ツララ「あ……ぁぁ…!(もし…もし私の間違いでなければ… あ、あれは…―――――)―――――毒刀「鍍」…ッ…!!(鳳凰の苦しみ悶える姿、そして彼が握りしめるその刀を見て表情が一変する) 」
堤「長門さん!くっ―――(長門の真空波によって出来たラグにより、メグの手に捕まり脱出を果たす)礼を言うッッ!(メグに)畜生…!歯が立たないってのは…こういうのを言うんだ……畜生…ッ(足が、刀を持つ手がプルプルと震えだす) 」
メグ「ううん…!(堤が無事なのを確認しほっと胸をなでおろし、ギアを止める)何とか間に合って…ないみたいだね…(戦場に着いた際、地面に横たわっている多くの兵士たちを見て苦悶の表情を浮かべる) 」
真庭鳳凰「フヒャァアア!アヒャアアウギャァハッハハッハハhッハ!!!!(突如ゲラゲラと狂い笑い無作法に振り回しながらツララに駆け寄ってくる) 」
機龍ヴァルハラ「ズシィーーーン…ッ…!!! …パラパラパラ…(足が勢いよく地面を踏みつけたことで周辺に砂塵が舞う。集った長門とメグ、そして堤の三人を悠然と見下ろしている) 」
堤「―――任を全うするのみだッッ!!ギリリリリリ(拳を握り絞めながら、ヴァルハラを睨み付け唐突に怒鳴る)キッ―――我が死地はここに有りて…!(メグにもそう示すように)我が死地はここに有りて…!!ジャキッ!!(己の信念をここに復唱し刀を構える)(―――装甲の隙間さえ打つことが可能ならば…ッ!!) 」
ツララ「うッ―――――ガキィンッ!! (毒刀… 手にした者に呪いがかかると謳われた妖刀…!もう、この人は正気に戻らない……)……刀に毒されている… もともと貴方を殺すつもりはありませんでしたが…ッ…!!ジャギィンッ!!(殺意を込めた四刀を、鳳凰…いや、鳳凰の皮を被った『化け物』に向けた) 」
ウィンガル「……やはり、期待するには器が小さすぎたな……(――――――期待だと?いや……そんなものは、端からしていない。そう……奴らは、駒だ。我らの力となり………――――――――――死んでゆけ) (声‐木内秀信) 」
長門「―――ああ、我が死地はここに有り… ここ(戦場)で死なにゃ…―――きっと俺は―――奴隷(ウツボ)にも劣るッ ギッ!!―――・・・ドオオオオオオオオオオオオオッッーーー!!!!(刀を握り締めると、全身から真っ赤な闘気が立ち上り囲う)本気を見せてやる…上司ってやつのな…!! 」
真庭鳳凰「キィイイイイ!!キィイイイイイイイイイイ!!!(ブンブン)―――――・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・(だんだん落ち着きを取り戻してきたのか、動きが緩やかなものとなり肩で息をし始める)―――――。(そしてゆっくり周りを見渡し、自分の手をクニクニと動かす) 」
メグ「堤さん…(彼の死を覚悟した重みある言葉に胸を打たれ、キッと強く目を瞑り、真剣な眼差しとなってヴァルハラの方へと睨みつけた)解析結果を報告するよ… 奴の最大の武器は…―――――口腔内に装備した『集束荷電粒子砲』。分厚い鉄壁をも一撃で蒸発させるほどの破壊力を持っている…!ミサイルとアンドロイドを内蔵しているわ。…そして他にも厄介な機能があって…(そう言って、ヴァルハラの周りに浮遊しているビットを見上げる) 」
機龍ヴァルハラ「ドシャンッ!! ドシャンッ!! ドシャンッ!! ドシャアァン…ッ!!!!(機体の周辺を浮遊している8つのビットがそれぞれ地面に突き刺さる) バチッ…バチチ…ッ…!! バチバチバチィ…ッ…――――― ド グ ォ ゥ ン ッ ! ! ! ! !(8つのビットは一斉に帯電し、広範囲にまで渡る電撃波を解き放った) 」
堤「………(刀を携えた剛毅な武者のようなつらのまま、メグの言う方を見る)―――ッ 何を…!(帯電を始めたビットをさぞや忌々しく睨み付ける) 」
ツララ「(何か仕掛けてくる…!?)(相手が先程の鳳凰と変わっているためか、かなり慎重になって様子を窺っている) 」
メグ「あ゛…ッ……!!(結果報告を続けようとした時、放電が全身を貫通し感電する)はぁ…はぁ…ッ…!(地面に手をついて跪く。非戦闘員であるためか、攻撃に耐えうるだけの体力を持ち合わせていない) 」
長門「馬鹿者―――!はぁッ ズオッ―――ドコオ ッ(赤い衝撃波が辛うじて堤の電撃を防ぎ、土が鈍い音を立てて勢いよく打ちあがる) 堤ィ!!!!良くないものに決まってる!!!! ブ ッ 壊 せ !!!!おおおおーっ ドンッ!(鋭利極まる、真っ赤な真空波をビットに放つ) 」
真庭鳳凰(?)「―――ふぅん、中々の上玉だ。・・・おっと戦闘中だったけか?こいつぁいけねぇ、こんなとこで死ぬわけにゃいかねぇからなぁ?(不敵に笑みながら突如べらんべぇ口調でしゃべりだす) 」
ボボボボボッカアアアアアアアァァァァァァーーーーーーンッ!!!!!!(長門の放った真空波、そして堤の回転斬りによる見事なコンビネーションで8つのビットが瞬く間に爆散した)
堤「君ッ―――!!くっ…(長門の衝撃波に守られる) 解りましたッ―――!!君ッ 回復次第いつでも報告をッ!!タッ タッ タタッ ズシャッ!!(先よりも勢いを付けた回転切りでビットに斬撃を放つ) 」
ツララ「――――――!(さっきの人じゃ…ない…?)…あ、貴方は一体…(鳳凰の姿をした得体の知れない何かに向かって) 」
丙「 ス タ ァ ン ッ (高台から首に巻いたスカーフを靡かせて飛び降りヴァルハラにワイヤーガンを撃ち込んで弧を描くように旋回しながらスライド移動しメグを片腕で回収)済まない、草(雑魚)の踏み分け(始末)に手間取った、話せるか、辛かろうが報告を続けてくれ。声帯が潰れてなければ…なッ!(ワイヤーを切り離し空中へ放り投げながら鋼鉄のボウガンをヴァルハラの眼に当たる部位へ向けて機関銃のように放って行く) 」
長門「見たか、カラクリ野郎。次はお前がこうなるぜ。(赤い闘気の揺らぎの向こうから、鬼のような面構えでヴァルハラを睨む)ドオオオオオオオオオオッッーーー!!!!―――メグッ!!どうすれば勝てるッ!!(次の真空派に向けて気を満たしていく) 」
メグ「はぁ…はぁ…―――――!…丙さ…ケホッ…ケホ…ッ!(丙に救出されて安堵した瞬間にむせてしまう)はぁ… ありがとう… ……そうだ、奴の弱点……―――――荷電粒子砲の発射口、そこを閉じられる前に叩いて……!(弱弱しくも力のある声で叫ぶ)はぁ…はぁ… …っ…でも、発射後はすぐに口を閉じてしまう…一瞬の隙をつかないと……はぁ…はぁ…!…倒せないかも…!(荒い息を上げながらヴァルハラの頭部を指す) 」
堤「発射口…アイツの口の事かよ……!―――本当にどうやって口に当てろってんだよ―――長門さん!!俺はあそこまでは攻撃が出来ない!!貴方の波撃のみが現状頼りだ!! 」
スカーフィ「―――――――ニ゛ャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァーーーーーッ!!!!(建物を飛び越えて現れたのは、今は亡き同胞「依田」の仇を討たんと咆哮する猫…否、小さな獅子だった)ならボクが…――――囮になるニャ…ッ…!!!(メグから弱点を聞いて、真っ向からヴァルハラに立ち向かう) 」
真庭鳳凰(?)「あん?おいおい、敵に名前きこうなんざ随分と余裕じゃねぇか。あ、そっちが優勢だったけか?まぁいい、それももう意味はなくなる。――――そこどけ。俺はまだ死ねないんだよ死にたくないんだよ・・・ま、"もう死んでるけどな" 」
丙「粒子砲とはまた馴染みのないブツを……あいつが興奮して喜びそうだな(苦い顔をして肩を竦め、メグを抱えていた腕を放し、『雷』を記された札を一枚取り出す)––––ならばその一瞬を確実にすれば良かろう、その任は私が、晦日丙(つごもりひのと)が受け持とう(札が金剛杵へ姿を変え、それを矢のようにして弓を構える) 」
ツララ「(得体の知れない人物の、底知れない何かを含んだ言葉に耳を傾けながらも、しっかりと刀を構え直す)私も…死にたくありません… 大切な仲間を守るためにも…(脳裏で、これまで失ってしまった仲間たちの像が次々と横切っていく) 」
機龍ヴァルハラ「カアアァァァァー…ッ…―――――――バシュゥゥゥウウウウウーーーーーーンッ!!!!!!(スカーフィを認識し、高出力の荷電粒子砲を解き放った)―――――――シュゥゥ…(荷電粒子砲を放った直後、静かに口を閉ざそうとするが…) 」
長門「晦日のぼうがんでは火力不足とあらばそうだろうな――。あいわかった!!!ではどうする!!!奴の光線の線上にいれば死ぬ、だが離れれば口は閉じるのだ!!!!何か策は―――――っ(駆けるスカーフィーを見て察する)頼んだぞ、若き獅子よ。ドシュウウウアアアアア―――――!!!! 」
スカーフィ「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁーーーーーッ!!!!! ガ ッ ! ! (荷電粒子砲を跳び越えてヴァルハラの頭上へと移動する。そして閉ざされようとする口に自ら跳び込んで『つっかえ棒』になる)今ニャ…ッ…!!!ボクごと…こいつを討てええええええええェェェェェェーーーーーーッ!!!!!! 」
堤「!!? スカーフィ!!お前ッッ!!!!(スカーフィの捨身の行動に絶叫する) 」
真庭鳳凰(?)「――――また、会うことになるだろうなぁお前とは。その時まで、待ってるぜ!(割れた窓から鳳凰の身体能力を活かし、そのまま街を駆け抜けていく) 」
ツララ「あっ……!(鳳凰(?)の後を追うように割れた窓へと近寄り、闇の中へと消え行く彼を見下ろした)……あの人は…………!(しばらく先の人物についていろいろ考えを巡らせていたが、爆発音を聞いて我に返る)そうだ… まだ事態が鎮圧されたわけじゃない。急がなきゃ…!(納刀し、その場を後にした) 」
管制官リーダー「……!総員、直ちにこの場から撤退せよ!(ヴァルハラと管制塔の距離が近づいているのをモニターで確認し、腹をくくったかのように管制官たちに指示した) 」
丙「なッ……!(馬鹿が…自ら死に急ぐ行為が命一つの単価を、兵力一つの価値をどれだけ落すと……ッ)く…この愚か者が、夜通しで正座させてくれるぞ貴様ァ!!(スカーフィへ向け容赦なく矢を放つ、その矢は縦に回転しながら飛び、キューのように伸びてスカーフィの身長を遥かに凌ぐ直径になりヴァルファラの口を開けさせる柱となって、スカーフィにかかる負担がなくなる)さっさとそこを退け虚けが!!どうなっても知らんぞ!! 」
男性管制官「なっ… り、リーダーは…!? 」
機龍ヴァルハラ「ググググ…ッ……!!!! メシメシメシィ…ッ…!!(口に挟まったたくさんの矢を感知したのだろうか、咀嚼するかのごとく、スカーフィごと矢を食い破ろうと閉口に力がこもる) 」
長門「―――――美しきかな、黒の誉れその体現よ。目を、逸らすなよオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!ドシュアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!せぁああああああああ―――ドゴバァアアアアアアアアアアアアア―――キュン…… ド ッ (長門の刀から繰り出された真空波が渦をなし、最終的に一本の螺旋形の槍となりヴァルハラの口内に飛び込む) 」
スカーフィ「あッ…ニャ……ッ…!!(ヴァルハラの閉口により脚部の関節がやられ苦痛の色を浮かべる。しかし、死を覚悟して尚抗い続けようと、微かな隙間をつくる)もう……ボクはダメニャ… ……でも、みんなと一緒に食べたご飯の味は―――――絶対に忘れないニャ…(振り返って精一杯つくった笑顔を見せる) 」
機龍ヴァルハラ「ドギュンッ!!!!!―――――――キギュグァアアアアアアァァァァァァアアアアアアアッ!!!!!(龍の如きけたたましい咆哮を上げながら頭部が大爆発した)ギギ…ギ……ギュゥゥ…ゥゥウン…ッ…ゥ……ッ……――――――(機能は完全停止した) 」
メグ「……!!スカーフィーーーー!!!! 」
管制官リーダー「私は負うよりこの管制塔を仰せつかった男だぞ。…行けッ、もう時間は無い。お前たちだけでも生き残るのだ!! 」
男性管制官「リーダー…… ……御武運を…!!(他の管制官たちと共に管制塔から撤退した) 」
丙「ッ…くそ……!(こうなる未来は見えていた筈だ…ッ 変えられないのか俺は…俺は……ッ)ギリィィッ… 」
長門「間に合ったか… ふ――――…ドシャッ!!(力を使いすぎ、よろけて地に伏す)見たか…ウツボ、このクソヤロー…へへ 」
スカーフィ「―――――――――――(宙へ舞いあがった小さな獅子は、満足したように微笑んでいた。爆散したヴァルハラの頭部の破片が目の前を横切ると、そこにはもう、あの獅子の姿はなかった… 」
堤「長門さん。(倒れた長門に駆け寄り、肩を貸す)しっかりしてください、まだ敵の機械兵団は闊歩しています。避難しましょう―――(スカーフィ…最期に何か…しゃべって)気高いっ 最期だったッ……(震えた声でそうつぶやく) 」
メグ「……!やった……!(ヴァルハラが完全に機能を停止したのを、脇に挟んでいたパソコンで確認していた)丙さん…(彼の横顔に悲愴の色を浮かべる) 」
機龍ヴァルハラ「―――――――ピコン♪ ピコン♪ ピコン♪ (機能が停止したと思われた直後、全身の至る部位が点滅し、機体から謎のサイレンが鳴った。サイレンの音と同時に、機体から蒸気が溢れ始めた) 」
メグ「……?カタカタカタカタ…!! ……!!!(ヴァルハラの異変に気付き、急いでパソコンでデータの解析を開始する。解析後、青ざめた表情となった)…や、奴の内部から高エネルギー反応を確認…っ…!…自爆する気だよっ!!今すぐ逃げてえぇぇー!!!(パソコンを折りたたんで脇に挟み、エクストリームギアに飛び乗って一目散に逃走する) 」
堤「――――――― ッ゙゙゙ --- 嘘。 なん…だよ、えっ…(悪いことが起こる、その直感からくる不快感に言葉すら詰まる)な、長門さん!?もう一度アレを!!何か危険だ!! 」
長門「バカ言え…ッ 出来るかよマヌケッ! へへ…なァ堤、置いてけ。 」
堤「ばっ―――――何言ってんすか!!!!!!殺しますよ!!!!!! 」
長門「ああ――――――― (っ…) そーしろ。(ニコッ)ザシュウッ ――!?ドサッ…(首を堤の刀の切っ先で掻っ切り、倒れる) 」
堤「うわあああああああっ!!!???――――そんなッ…… そんな…――ハッ くっ…!!ギリリ(長門を置いて、ヴァルハラから全力で逃げる) 」
機龍ヴァルハラ「ピコン♪ ピコン♪ ピコン♪…… ビィィンッ!!! ビィィンッ!!! ビィィンッ!!!―――――――――――――カアアアアアアアァァァァ…ッ…!!!(かしましいサイレンが鳴り響いた後、機体そのものが激しい光に包まれる) 」
管制官リーダー「――――――――(メグ… 私は最後まで戦うぞ…!誇り高き、Onyxis♞の者として―――――――)(眩い閃光に呑み込まれる) 」
ゴ ッ ! ! ! ! ! ! (激しい猛光に包まれた一帯に、この上なく凄まじい火柱が広がった)
漆黒色の国を大きな黒煙が覆った――――――
ゴ ッ ! ! ! ! ! ! (黒の国の南西で起きた猛烈な閃光の大地を喰らった轟音が国中に渡った)
ツララ「きゃっ――――!!(轟音、激しい閃光、それらのよる衝撃により廊下の柱に激突し、そのまま凭れかかる)…ぃ…今の…は……?―――――!(衝撃が治まったのを確認して窓の外を見やる。そして、目に映る変わり果てた国の光景に酷く絶望した)そんな…っ……! ……と、とにかく向かわなきゃ…!(そう言って廊下を駆けて城を出る)」
ガシャン ガシャン ガシャン…ッ……!!!!(一方城門前にて、謎の軍勢が城へと進行しようとしていた)
ツララ「門を開けてください…!(門番に城門を開けるように乞う)―――――――――!(軋む音を立てながらゆっくりと開く門をじれったそうに見ており、開門と同時に駆けようとした時、前方に映る光景に足を止めてしまう)」
彼女は驚愕した――――――城門前に、大多数のアンドロイド兵の軍勢が待ち構えていたのだった
ヴォルキル564 Mk-2「抹殺シマース!(軍勢の先陣に立ち、現れたツララにナイフの切っ先を突きつける) 」
アンドロイド兵 軍勢『 ジ ャ カ ッ … ! ! (
ヴォルキル564の合図で一斉に武器を構え戦闘態勢に入る) 」
ツララ「くっ…―――――(今ここには私しかいない… なら、私一人で……!)(覚悟を決めたかのように四刀の柄に手を添える) 」
――――――ボガアアアアアァァンッ!!!! ボッカアアアァァァーーーンッ!!!! ボッガアアアアアァァァァーーーーーーンッ!!!!!!(両勢力が睨みあう中、突然アンドロイドの軍勢の一部で大爆発が発生する。まるで誘爆するかのように次々とアンドロイドたちが爆散し始めていく)
ヴォルキル564 Mk-2「……!!(爆発のした方を「何事だ」と言わんばりに確認する) 」
ツララ「(でも敵の数が多すぎる… 正直、私ひとりじゃ―――――)……!!?(爆発音を聞いて) 」
ヒュン――――――ヒュン――――ヒュン―――――――――ヒュンッ――――――(アンドロイドの軍勢の中で、目に見えない速度で二つの影が蠢いていた)
アンドロイド兵D「ドッドドドッドッドドドドッ――――――――ザキィンッ!! ボッカアアアァァァーーーンッ!!!!(見えない何かにガトリングを乱射しているようだが、その得体の知れない何かによって瞬間的に斬り刻まれ、成す術も無く爆散した) 」
アンドロイド兵E「ピュンピュンピュンッ――――――――バシュンッ!! ボッカアアアァァァーーーンッ!!!!(同様にビーム弾を放って迎撃しているようだが、突然機体に大きな風穴が開いて爆散した) 」
ツララ「えっ……!?(次々とやられていくアンドロイドたちを見て唖然としている)(これは… もしかして、仲間の増援…!)(表情に輝きが戻る) 」
ズギャアアアアアアァァァッッ!!!!!(ヴォルキル564を除き、軍勢は瞬く間に全滅した)
ヴォルキル564 Mk-2「(爆散していくアンドロイドたちから離れていく)敵襲デ―――――ザキィンッ!! ガンガンガンッ!! ボッガアアアアアアァァァァーーーーンッ!!!!(体が真っ二つに切断され、宙へ舞った上半身に無数の銃弾がめり込んで爆散した) 」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ……(広がる爆煙の中に、その二つの影がはっきりと映し出される―――――)
ツララ「……!(全滅…!あの数を一瞬で倒すなんて…)あ、あの… 増援、ありがとうございま―――――(その二つの影に声をかけようとした瞬間だった…) 」
〖ルリ〗&【マリ】:(黒煙の中から姿を現したのは、二羽の兎――――)〖ねーねー、ルリたちも混ぜてよー。〗【混ぜてよー。】(にこにこしながらツララに歩み寄る) 」
ツララ「――――――!!!(見覚えのある姿に驚き、咄嗟に距離を取って四刀を抜いた)なっ……なんであなたたちがここに…!?(かつて幸一郎と共に戦った二人組に、明らかな敵意を持って睨みつける) 」
〖ルリ〗&【マリ】:〖そんなのどーでもいーじゃん。〗【いーじゃん!】(ツララの警戒を一蹴するかのように更に歩み寄っていく)〖もう観てるだけなんて退屈しちゃうね。おねーちゃん、ルリたちと遊んでよ。〗【前に遊んだ"赤い"おねーちゃんと"黒い"猫さんはつまらなかったけど、おねーちゃんはマリたちを楽しませてくれるのー?】 」
ツララ「――――――!(「黒い猫」と聞いてピクリと疼く)…やっぱり…あなたたちがギコさんを…っ…!(憤怒に声を震わせ二人を睨みつける)(…スカーフィさんから聞いた通りだった… この娘たちは、火咎病さんを殺したあの道化の仲間。そして今度はギコさんにも手をかけた…―――)……許さない…(俯いたまま小さく呟く) 」
〖ルリ〗&【マリ】:『ほえー?』(ツララの声が聞き取れなかったのか、小首を傾げて不思議そうに見つめる) 」
ツララ「――――――許さない… 絶対に…っ!!!(顔を上げると同時に二人を鋭く睨みつける)…以前会った時は、まだ幼いからと容赦していました。でも違う…!あなたたちは『人間』じゃない…!! ジャキィンッ!! (四刀を振り抜き、敵意から殺意へと切り替えて対峙する) 」
〖ルリ〗&【マリ】:〖ふぇー、ルリたちが人間じゃなかったら何なのかなー?〗【何なのかなー?】(ツララを不思議そうに見つめて嘲笑する) 」
ツララ「あなたたちのこと、調べさせてもらいました。あなたたちは他国の戦士を無差別に殺害する犯罪集団≪ダウト≫の一味です。そしてあの道化はあなたたちの仲間だ…!(この世のものとは思えない、あの凶悪な気質を醸し出していた道化師の仮面がフラッシュバックする) 」
〖ルリ〗&【マリ】:〖わぁ、ルリたちのこと知ってるんだー♪〗【『にぃ』のことも知ってるんだねー♪】(面白そうに笑いながら) 」
ツララ「人を殺す目的がわからない… けれど、どんなことがあっても人を殺すことなど許されることじゃない!"殺し"を平然と行うあなたたちはもはや人じゃない…! 」
〖ルリ〗&【マリ】:〖――――ふぇ、なんで?〗【でもでも、おねーちゃんたちも"人をたくさん殺してるよね"?】(二人の表情からあどけなさが消える) 」
ツララ「え…(二人の一変した態度に硬直する) 」
〖ルリ〗&【マリ】:〖『にぃ』は言ってたよ、「よくぼーにまみれたこのせかいで、おろかなひとびとはおかねやこくせきでおたがいをさべつしてる」って。〗【「りけんやしゅぎしゅちょうでころしあうひとびとに、いきるかちはない」とも言ってた。】〖"人を殺すことはいけない"んだったよね?じゃあ、なんでおねーちゃんたちは人を殺すの?〗【マリたちは人を殺すのが楽しくていっぱい人を殺している。でもマリたちとおねーちゃんたちは"違う"よね?おねーちゃんたちは何のために人を殺すのかな?】〖かな?〗【かな?】『――――――――かなぁ?』(機会の様な無機質な声でツララの心を突き刺す) 」
ツララ「っ…―――――(唐突に下された重苦しい問いに対し、独善的なあるいは罪悪感のような、言いようのない何かが込み上げてくる)…私…たちは…(言い淀みかけていたが、固唾をのんで真剣な眼差しで二人に向き合う)…確かに間違いばかりを犯している…。国々は安寧の為に戦争を起こし、そしてたくさんの命を奪う。でも、そんなのは間違っていると私は思う。いえ、私だけじゃない…きっとすべての人たちもそう思っているに違いない。 」
ツララ「私たちは、私たちを変えない限り"殺し"を止めることはできない。だから私は… 人を殺すことを否定するために戦―――(そう言いかけて首を振う)いえ…『私たち』は誰もが苦しまないために戦い続ける…!たとえ道を外してしまっても、『彼ら』のぶんまで生きて、それを叶えなきゃならない…!(亡き同胞たちの像を思い出しながら) 」
〖ルリ〗&【マリ】:〖…… …… ……『にぃ』はこんなことも言ってた。〗【 「きょうごーとどくぜんにかられたきょしょくのりんねはしゅーえんをむかえる」って。】〖人はおねーちゃんみたいにはなれない。〗【なれない。】〖結局みんな、最後には騙し合う。〗【だから殺しを止められない。】〖そんな人間を殺す、ルリたちはとても楽しいよ。〗【とっても楽しい。もっといっぱい人を殺そう。いっぱい人を殺す人を殺そう。】(無機質な眼でツララを見つめる) 」
ツララ「……!(二人から感じられない覇気に戦慄を覚え、一瞬掴んでいた刀を落としそうになる) 」
〖ルリ〗&【マリ】:〖ころす――――ジャキャァッ!!〗【ころす――――ジャカァッ!!】(それぞれの袖から銀色の得物を突出させる)〖人をころしちゃダメなわけがないよ。〗【もっといっぱい人をころそう、人が人をころすように。】(得物で地面をコツコツと叩きながらツララへと歩み進める。無機質な声と目から察することのできる、底知れない"狂気"が二人の中で渦巻いている)〖ころす。〗【ころす。】〖ころす。〗【ころす。】〖ころす。〗【ころす。】『――――― こ ろ す ―――――』(両者とも地面を蹴って空からツララに襲いかかった) 」
ツララ「―――――ッ!(止めなきゃ… この娘たちを止めなきゃ、私が…っ……!!)―――――やああああぁぁぁぁーーーッ!!! (殺戮兵器と化した二人に四刀を構えて迎え撃つ) 」
―――黒の国Onyxis♞・牢獄―――
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ……(地上で起きた大爆発による衝撃で、薄暗い牢獄内の天井から砂塵がぱらぱらと小音を立てながら降ってくる)
アウシュビッツ「(砂塵をやり過ごし、頭部を手で払って赤く鋭い目を露わにする)どうやら順調に事は進んでいるようだ。(クククと狡猾そうに口角を上げる)」
アウシュビッツ「かつて私が『緑』にいた頃、(王の命令で)他国を攻め落とす為に造った兵器だが… この時の為に取っておいて正解だった。(フンと満足そうに鼻で笑って立ち上がる)切り札は最後まで取っておくもの…そうだよね、二条伏見。貴女との勝負には負けた、だけど、計画は完成した。この国の末路は私のシナリオ通りとなった。これから先どう足掻こうと、このOnyxis♞に未来などない。」
アウシュビッツ「さて…(腕時計を見る)(エクロシアさんには「報道により♚Chess♛の敗北が宣言された時、私は幽閉されるであろうからその際は迎えをよこしてほしい」と言ったからな。)この事態だ、そろそろ来る頃だが…―――――」
ギ ュ ァ ァ ァ ァ ァ (突如、檻を隔てた向かい側の空間が渦を巻くように歪んだ。やがてその歪みは徐々に赤みを増していく―――――)
幻影の道化師「 ォ ォ ォ ォ ォ ォ (アウシュビッツの前に姿を現し、静かに彼の姿を見つめる)」
アウシュビッツ「来たか。(やれやれと言わんばりに緩慢とした足取りで数歩近寄り、道化師と見つめ合う)さあ、早く私を連れ出してくれ。いつも室内に籠りっぱなしの私でも、このような場所に居続けると退屈過ぎて気がどうにかなりそうだ。(にこりと微笑み手を差し出す)」
幻影の道化師「……ス…(檻をすり抜けて牢獄内にいるアウシュビッツの目前まで近寄り、差し出された手に握手をしようとこちらも手を差し出すが―――――)―――――― ド ス ッ ―――――(差し出した手は、そのままアウシュビッツの胸板を貫いた)」
アウシュビッツ「フフ――――――――――!!?? ごはぁ……ッ…!!(綻びた表情から一変し、勢いよく吐血した)……が… ……ァ…ッ…! …なんの……真似だ……ッ…(道化師の腕をか細い両手で強く握りしめながら、ゆっくりと睨みあげる) 」
幻影の道化師「グッ――――ドグシャァ…ッ…!!(アウシュビッツの心臓ごと手を抜き出した。暗い室内であるにもかかわらず、仮面に付着した血糊が怪しい輝きを帯びている) 」
アウシュビッツ「ぐ…ァッ……! ドサァ…!!(ぐらりと倒れ込み、胸部を強く押さえつけ、荒い息を上げながら道化師を睨む)ゼェ……ゼェ…ッ… 何故私を拒む…ッ…… 貴様、誰だ……!?この私を殺したこと、それが何を意味しているのか分かっているのだろうな…ッ……!(なおも体から赤いものがどくどくと溢れ出す)
幻影の道化師「ズァ――――(何処からともなく取り出した醜悪な大鎌を高く掲げ、そして…)――――― ブ ォ ン ッ ! ! 」
―――――――― ブシャアァ…ッ…!! (光の差さない牢獄が、真っ赤に染まった)
その頃、城門前では―――――
ガキィンッカンキィンッカンッ!!!! ガッガッガッキャァンッ!!!! ギッカキカァンッ!!! カンキンカキンッカンッ!!! (凄まじい剣激の軌跡が飛び交い、その中を無数の火花が舞っている)
〖ルリ〗:〖あっははははは~♪ ギャギィィインッ!! 〗(荒々しい動作で巨大刃を振りツララを圧倒する)
ツララ「う…っ… ガキャァン…ッ!!!(四刀を振って弾き返す度に体が吹き飛ばされそうになる)」
【マリ】:【後ろにもいるんだよ~?♪ ダンダンダンダァンッ!!!】(銃口から銃弾を乱射する)
ツララ「……! やっ…あぁ…っ!!(どちらも厄介だけど… まずはあの娘から…!)(横ステップによる回避と弾き返しを交互に行いつつ、マリとの距離を縮めていこうと試みるが…)」
〖ルリ〗&【マリ】:〖ばぁっ♪ ズギャアァンッ!!〗(ツララの前に立ち塞がるように、巨大刃を振って行く手を阻む)〖おねーちゃん、今度は逃げられないよ?〗【だってここはおねーちゃんたちの国なんだもんね。】(ルリの背後で重い銃身を地面に下ろし、何かを弄っている)
ツララ「逃げも隠れもしません。今度こそ、あなたたちを倒しますから!チャキ…(四刀を構えたまま微動だにしない)」
〖ルリ〗&【マリ】:〖ふーんー… でも、おねーちゃんにルリたちは倒せないよ。〗【倒せない。】〖だっておねーちゃんの刀、全然痛くないんだもん。〗【マリも痛くないね。】
ツララ「……(そうだ… この娘たちはただの人間じゃない。私や、幸一郎さんの刀ですら傷ひとつつけることのできなかった頑丈な体… まるで機械を相手にしているかのような変な感じになる…)(以前の戦いを思い出しながら)どうすれば…―――――――!(ぴくりと何かを閃いたように微動する)」
〖ルリ〗&【マリ】:【今度はマリからいくよ?ルリ!】〖うんっ! シュバッ…!!〗(ルリが跳躍することで隠れていたマリの姿が露わになる)【派手に吹き飛んじゃえっ♪ カチャン―――――ボムッ! 】(銃身の半分が屈折するように開くと中から兎の落書きをあしらったミサイルが放たれる)
ツララ「(前回の戦いを通じて新しく得た力… まだ体得したばかりで十分に慣れていませんが――――いや、もう使うしか…!)……もう誰も失いたくない… 火咎病さん…ギコさん… …レオハルトさん……―――――――ッ…!!(何かを決意したかのように強い眼差しを見せ、ミサイルをぎりぎり引きつけてから跳躍回避する)」
〖ルリ〗&【マリ】:『ふぁ…!?』(宙へ跳んだツララを見て驚く)
ツララ「(私に力を貸して下さい…!)―――――――“
アンビション” 硬化!! ドッギンッ!! (両手と四刀が黒く変色し硬質化する)はああああああぁぁぁーーーッ!!! ザァンッ!!! (着地と同時にマリ目がけ刀を振り落とした)」
【マリ】:【このぉ~! ジャコンッ―――――ザァンッ!!! ……!!?】(銃身を元に戻し落下するツララに照準を合わせようと構えた瞬間、銃身が真っ二つに切断されてしまう)【―――――――まだだよっ! ジャカァ…ッ…!!】(得物を失った刹那、もう片方の袖から同じ銃身を突出させ、再びツララに銃口を向ける)
ツララ「―――――ああああぁぁぁッ!!! ズァンズァンズァンッ!!! ズギャアアアァンッ!!!!(強烈な横薙ぎを連発しマリにあらんかぎりの剣撃を叩き込んだ)」
〖ルリ〗&【マリ】:【ひぐぅ…っ!?あッ!い…ッ?!ぎゃ…ッ!ああぁ…ッ…!!!】(斬撃の効かないはずの身体が傷ついていくことに驚き隠せず、今までにない叫びをあげながらツララの剣撃に叩き込まれていく)〖ま…マリ…ッ!!? ス…シュバンッ…!〗(流石の事態にルリ自身も驚愕しており、マリを担いでツララから離れる)
ツララ「はぁ…はぁ……! やっと……届きましたね…っ…!(肩で息をしながら、してやったりとはにかんだ笑みを見せる)」
〖ルリ〗&【マリ】:【はっ……はっ……!な…にゃんで… マリ…痛い…から…だ… いたい……】(突然身に起きた状況に興奮しているようで、口をパクパクさせながら焦点のない目で青空を仰いでいる)〖マリ! …よくもマリを…!〗(怒りを露わにしながらツララと対峙する)
ツララ「痛い?そうでしょうね… それがあなたたちに殺された人が感じたものですから…!(ルリの怒号に返すように憤怒をむき出す)痛みを知りなさい…!それが本当の"死"の怖さです!!」
〖ルリ〗:〖 死 ぬ の は お 前 だ ! ダッ――――――ガキャァンッ!!! 〗(爆発的な脚力で一気に間合いを詰め、凄まじい回転斬りを繰り出す)
ツララ「くッ…! ガキィィインッ――――――し…しまった…!!(ルリの回転斬りを四刀で受け止めることには成功したものの、あまりにも強烈だったためか片方の二刀が弾き飛ばされ手放してしまう)」
〖ルリ〗:〖ニタリ―――――ジャキャァ…ッ…!!―――――ギュルルルルルルルラァッッ!!!! 〗(もう片方の袖から同じ巨大刃を突出させる。縦に高速回転することで自らチェーンソーのようになってツララを切断しようと猛撃を仕掛ける)
ツララ「(これは…ッ…!)ふんっ――――――ギャリギャリギャリィィ…ッ!!!!!!(避ける間もないため止むを得ずニ刀に切り替え、アンビションを纏ったままルリの猛撃を受け止める)くっ…うぅぅ…ッ…!!!(誤れば確実に死を刻まれると身の危険を感じるが…)(一か八か……!!)てやあぁぁぁ…ッ!!! ガァインッ!!(横へ受け流すように高速回転するルリを弾き飛ばした)」
〖ルリ〗:〖(―――――!!)ギュルルルルル…ッ!!! ガシャアアァァーーーンッ!!!!〗(そのまま受け流されて城門付近の壁に激突する)〖パララ… あっははは… とっても楽しいや…♪ なぁんだ、おねーちゃん、あの時全然本気じゃなかったんだねっ♪〗(土煙と瓦礫の中から姿を現す。先程の怒りに満ちていた表情は嘘の様になくなり、代わりにいつもの「殺し合い」を愉しむ、純粋にして狂気の姿に戻っていた)
ツララ「はぁ……はぁ……!(動きがだんだん激しくなってきた… ただの人間じゃないってことは分かっているはずなのに… どうして、この娘たちはこんなにも――――)(苦い表情を浮かべながらルリを見つめる)」
【マリ】:【うっ…うっ… ぐずっ…ずびっ…… いたい…】(精神が安定していたかと思えば、傍らで泣きじゃくっていた)
メグ「(エクストリームギアに乗って城門前に現れる)――――――!ツララ…っ…!(彼女が得体の知れない二人組と交戦している光景を見て、慌ててツララの元へ近寄る)」
ツララ「メグさん…!(彼女の姿を捉えた時、彼女自身が無事だったことに安堵を覚える)向こうの戦況はどうでしたか…?(ルリの様子を一瞥しながら) 」
メグ「……それが… …っ……(あまりの辛さ故に言葉にさえできないような、悔しい表情を浮かべる)」
ツララ「(そんなメグの様子を窺い心境を察したようにぎこちない微笑みを浮かべた)…そうですか… ……ですが今は、前を見なくてはいけません。私も今、私にできることを精一杯やり遂げます。たとえ死を覚悟してでも…守りたいものが、ここにありますから…!」
メグ「……!(ツララ… ♚Chess♛との戦いの後で、肉体的にも精神的にもあんなにボロボロになったばかりだというのに… 本当はわかってる、ツララ自身が一番辛いんだ… でも彼女はそれを乗り越えようとしている。仲間の死や、国のピンチなんかで絶望に追い込まれて尚…彼女をここまで駆り立てるもの… ツララに何が起きたのか分からないけど、ただ一つだけ言えることは――――――――)」
〖ルリ〗:〖あっははははは!死んじゃったら全部お終いなのにねっ♪ ジャキャァ…ッ…!!!〗(袖から大量の鋭利な刃を突出させ、それらを一斉に解き放った)
ツララ「――――――"命尽き果てるまで"…ッ…!!! ガキィンッ!!カキィンキンカンッ!!!(ニ刀を振って刃を弾き返していくが、幾つかが体の至る部位をかすめていく)くぁ…ッ…!(右肩を切り裂かれ歯を食いしばる)」
メグ「(――――彼女はずっと前を見ている――――)ツララぁ…ッ!!(非戦闘員であるがためにただ彼女を見守ることしかできない)」
ツララ「(右肩に走る痛みを手で押さえ込む)はぁ…はぁ… んっ……大丈夫です…っ…(メグを安心させるように無理矢理笑顔をつくる)」
〖ルリ〗:〖グッ―――――ドゥンッ!!!〗(思いっきり両足を踏み込んでからミサイルの如き突発力でツララの目前に迫る)〖とりゃー―――――――メゴォ…ッ…!!!〗(ツララの腹部に砲弾の如き一撃を誇る飛び蹴りを炸裂させる)
ツララ「(…次はどう来――――)――――――!!??(ルリの姿を認識した時には既に体が「く」の字に曲がっており、声を上げる間もなく吹き飛んでいく)かっ…は……ッ…!!(地面に打ち付けられるように倒れ、青い空に吐血する) 」
メグ「……! ツララ…ッ!!!! 」
〖ルリ〗:〖タッ…―――――スタ…スタ…〗(着地後、ゆったりとした足取りで地面に横たわっているツララの元まで進む)〖――――「いままでうごいていたものはいつかはこわれてしまう。せーめーってなんだろう、どこにせーめーがあるのかな。」は…ははは…!〗(その言葉を呟いた際の瞳はあまりにも無機質で、あたかもルリではなく別の誰かが喋っているかのような奇妙な感覚を思わせる)
ツララ「はぐ…っ… ぁ……(ダメ…力、入らない……)(ルリの接近に伴い焦燥感が溢れ出す)」
メグ「……! タッ――――――ツララはやらせない…(ツララを庇うようにルリの行く手を阻む。しかし全身は恐怖に慄き震えている)」
ツララ「メグ…さ…っ……!(ぐぐぐと力を入れて起き上がろうとする)」
〖ルリ〗:〖ズ ア ァ ッ … ! ! 〗(背後で黒い霧状の物体が飛散する)〖じゃーまだよっ♪ ジャキンッ!!ズォ…ッ!!!〗(物体は鋭利な刃へと変形し、メグを襲うように指示する)
メグ「――――あぐ…ぅッ…!!(両腕を広げてツララの盾となるように刃をその身で受け止める)はぁ……はぁ…… ポタ…ポタポタ…(突き刺された部位から鮮血の滝が流れ落ちる)」
ツララ「―――――!!!!メグ…さん…ッ……!!? ……!(メグのとった行動に驚愕する。その時ツララの中である言葉が横切った)」
――― " 彼モ、そしてその刀たちモ、キミと出逢った奇跡を喜んでいタ。彼等にとってキミといることハ、"生きている証"そのものダ。だからキミに未来を託したんダ。 " ―――
メグ「はぁ…はぁ…… ッ…あ…!……ツ…ララ……っ… よく聞いて… ……貴女の友達、スカーフィ…そして多くの仲間が…さっきの戦いで戦死したわ…(荒い息と血を吐きながら、背後のツララに静かに語りかける)」
ツララ「え…――――――(スカーフィ…それにみんな…が……?)(メグと再会した際、本当はその事実を何処かで認知していたはずであったが、いざ詳細を告げられたことで表情が絶望色に染まりあがろうとしていた)」
メグ「でも…ね…っ… みんな… みんな…最期は"笑ってた"… 仲間の為に…自分の為に何かをしてやれたことが…とても嬉しかったみたい… はぁ…はぁ…その時私、気づいたの。いつまでも逃げてちゃダメだって… 仲間の背に隠れちゃダメだって… 私は戦えない非力な女だけど…それでも、立派なOnyxis♞の戦士だもん…!(震える全身に抗うかのように無理矢理不敵な笑みをつくろうとしている)」
ツララ「……!(メグさん… …みんな……)(Onyxis♞を象徴するバッジを強かに握りしめる)」
メグ「大丈夫…私はまだ死なないから… ううん、死ぬわけにはいかないの。ツララ、それは貴女も同じはずだよ…! レオハルトが、火咎病が、ギコの侍さんが亡くなった時… ツララ…一番辛かったはずだよね……!?でもあなたは今前を向いている……! 今なら私にも、わかる気がする… 仲間が仲間へと託す想いが…その絆が、残された人たちにどれだけの希望を齎してくれるのかってことを…!!」
ツララ「……!!!(メグの言葉ではっと息を呑む)」
〖ルリ〗:〖ねーねー、何をお喋りしているのかなぁ~?邪魔なんだよ~。〗(黒い物体は更にメグの身体を抉っていく)
メグ「はぐぅぅ…ッ…!!(抉られる度に喘ぐ)……わだ… わだしも…っ… 仲間の想いに応えたいから…っ…!これからもずっとみんなと歩んでいきたいから…っ…!!――――――ツララ…!」
ツララ「(メグの言葉に感化され、足元に転がっていた二刀を拾い上げる)……―――――――――――うああああああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!!!!(天に雄叫ぶと刀にアンビションを纏い、メグを横切り彼女を苦しめる黒い物体を叩き斬った)」
ザンッ―――――シュァァァ…ッ……! (一直線に伸びていた黒い物体が切断されたことで蒸発するようにゆっくりと消滅していく)
〖ルリ〗:〖わっ…!?〗
メグ「(物体が消滅したことでゆっくりと仰向けに倒れ込む)(ツララ… あなたなら、きっと……――――)(倒れゆく際に虚ろな目でツララの姿を捉えていた)」
ツララ「はぁ……はぁ……!(私はまだ… 私はまだ……)…負けられない――――――――負けられない理由があるんだぁぁッ!!!(絶叫と共に駆け出した) 」
―――黒の国・某建物の一室―――
ミシェル「(部屋に取り残された後、心配のあまり疲れ果てたのか転寝をしていた)……(何かを感知したかのようにピクリと微動し、ゆっくりと瞳を開く)」
ミシェル「(今まで露わにされなかった綺麗な碧色の瞳が、窓からさす光で反射し神々しく輝いている。やがて瞳を閉じると元の表情に戻り、「んっ」と声を漏らした)
ミシェル「……嫌な予感がするネ… ………ス…(椅子から立ち上がり部屋を出ていく) 」
―――黒の国Onyxis♞・城門前―――
〖ルリ〗:〖あっはははは~♪いいよいいよぉ♪さっきより楽しくなってきたよ、おねーちゃん♪〗(ツララとの激しい剣戟が繰り広げられる中でも無邪気に笑いながら戦いを愉しんでいる)
ツララ「くぅ…っ…!やっ…!はあああぁッ!!!(二刀を巧みに振りながらルリを圧倒していく) 」
〖ルリ〗:〖よっと…!〗(跳躍後退で剣戟から離脱する)
ツララ「ビュッ―――――(着地隙を狙おうと全力で駆け出し、一刀による刺突を繰り出そうと踏み込む) 」
〖ルリ〗:(向かってくるツララにニィっと口角をあげる)〖ほいさ…っ♪ ス―――――〗(今にも着地しようとしたその瞬間、虚空を軽く蹴って空中跳躍し、ツララの刀に跳び乗った)
ツララ「ッ――――!?(今の動きは…!?)(明らか人間業ではない彼女の行動に驚く) 」
〖ルリ〗:〖おねーちゃんのその黒い刀(アンビションのこと)…ルリ嫌いだなぁ~――――― ゲシィッ !! 〗(先ほどまで上げていた口角を極端に下げ不機嫌そうな表情を取ると、ツララの右頬を蹴り飛ばした)
ツララ「ぎゃ…っ…!! ズザザァー…ッ……! (右頬を強く蹴り飛ばされて地面に転がり倒れるが、すぐに体制を整える) 」
メグ「ツララ…ッ…!(刺された部位から流れ出る鮮血を片手で強く押さえながら、離れた個所でツララを見守っている) 」
〖ルリ〗:〖すぅきあぁりぃっ♪ ギャオンッ!! 〗(巨大刃を振り上げながら跳躍し、地上のツララに目がけ思いっきり振り下ろした)
ツララ「――――――――ッ! ガ ァ キ ン ッ ! ! ! ! (ルリの重い斬撃をニ刀で受け止める。しかし咄嗟に防御したことと、ルリの重い一撃により、徐々に潰されていくように沈みかけていく) く…ッ… あ……っ……!!(苦悶の表情を浮かべながら、潰されまいと必死に抗うが力が入らない) 」
〖ルリ〗:〖ギャリギリ…ッ…!! ギチ…ッ… ギャリリ…ッ…!!!! あっはははっ♪このまま叩き斬っちゃうぞぉー♪♪〗(黒い表情で嗤いながら巨大刃による圧力をかけ、ツララを完全に圧倒する)
ツララ「(―――はぁ……はぁ……ッ…!!!)(歯を食い縛りながら筋力に力を入れ、なおも抗い続けようと踏ん張る) 」
――――――ィ…ン… ……キィィ―――ン……(ツララの眼の奥で、ある異変が起こり始める)
〖ルリ〗:〖あっはははは♪♪ あはっ、あっは♪はははっ♪♪はははっ♪あっはっはっはっはっ♪♪♪〗(狂気を孕んだ嘲笑をあげながらツララを見下している)
メグ「く…っ… このままじゃ……!(焦燥に駆られ、観戦しかできずにいる自分に悔しさを感じている) 」
ツララ「(はぁ……!はぁ…!はぁ……ッ…!)ギリッ…!! ギャギィン…ッ…!!!(火花が激しく散る。アンビションを纏っているとはいえ、二刀は今にも折れそうなほどに圧力がかかっている) 」
キイィィィ――――――――ィン……ッ……! (ツララの黒い眼が、徐々に紅色に染まりゆき、光を帯び始めていく)
ツララ「ギリリィ…ッ…!!!(―――――――負けない……) 」
少女の中で 彼女に微笑みかけるたくさんの像が次々に浮かんだ――――――
ツララ「(「負けない」って言ったんだ…)――――――絶対に負けるもんかああああああぁぁーーーーーッ!!! ズンッ――――――!!(大きな叫びと同時に鍔迫り合いから抜け出すように素早く後退した) 」
〖ルリ〗:〖ふぇ―――――――ドシャアアアァーーーンッ!!!!〗(鍔迫り合いから逃げられたことで、勢い余って重い斬撃を地面にぶつけてしまった)
ツララ「スンッ―――――ガキイィンッ!!!!(後退した後素早く一刀を構えて鋭い刺突を繰り出し、ルリを吹き飛ばす。その機敏な動きは、先程までのツララのものとは思えないほどだった) 」
〖ルリ〗:〖なっ、なんで――――――あぎゃ…ッ!!!〗(刺突を受けて、それが体に突き刺さることはなかったが、その攻撃によって容易く吹き飛んでしまう)〖ズザザザァー… ふぎゅぅー……いったいなぁ~もう――――――〗(両足に力を入れることで吹き飛ばされた反動を和らげる。すぐに反撃に回ろうと視線をツララへ向けようとするが…)
メグ「……!?(ツララの様子に違和感を覚えたようでようにその動きを見る) 」
ツララ「ギュンッ――――――ザギイィィンッ!!!(ルリが気づいた時には既に目と鼻の先で二刀を構えており、反撃の隙を与えずに二刀で追撃する) 」
〖ルリ〗:〖ぎゃふぁ…ッ…!!?―――――ご…のぉ…ッ!!!〗(追撃を受けると同時に巨大刃によるカウンターを浴びせようとする)
ツララ「ヒュンッ――――ザキィンッ!!! ヒュンッ―――――ザギャアンッ!!!! ヒュンッ―――――ザァンッ!!!!(残像が出来上がる程の人間離れした速度でカウンターをも回避し、"カウンターからのカウンター"をルリに炸裂させる。その後も高速移動でルリの攻撃を回避しながら、死角から刀を振って攻撃する) 」
〖ルリ〗:〖ぎゃん…ッ!! ブォンッ!! ふきゃッ!! ブンッ!! ぎゃああああぁぁッ!!!〗(攻撃されると同時にツララの方へ振り返って反撃に回ろうとするがことごとく回避される。そのループを繰り返していると、やがて、悪魔の少女が初めて悲痛な叫びをあげた)〖ゼェ…ッ… ゼェ…ッ…!!―――――――お゛ま゛え゛ェ゛ェ゛…ッ!!!〗(本性を露わにした兎の顔は、もはや血に飢えた獣の如き形相だった)
メグ「……!(これは――――)―――危ない、ツララ…ッ!!(ルリの様子を察知し、その意味を知って戦栗し、ツララに注意を喚起する) 」
〖ルリ〗:〖スンッ―――――スタ……〗(ツララの攻撃から逃げるように跳躍後退する)〖ち゛ね゛ェ゛…ッ…!!! ドヒュヒュヒュヒュンッ!!! ズアアァッ!!!!〗(両袖から大量の刃が突出し、それらが一斉に解き放たれる。またそれと同時にツララに向かって巨大刃による刺突を繰り出そうと駆け出した)
ツララ「……! ヒュンッ―――――(スローモーションの世界の中、前方から襲い来る大量の刃を軽い身のこなしで避け、または刀で弾き返してルリを迎え撃つ)―――――――はああああああぁぁぁーーッ!!! ザ ァ ン ッ ! ! (巨大刃をかち割る勢いで二刀を思いっきり振り下ろした) 」
〖ルリ〗:〖……!!??〗(しょ…しょんな……?!……なんで… …なんでこのおねーちゃんが…―――――なんでこいつが『にぃ』とおんなじ動きを…―――――)――――― ザ ァ ン ッ ! ! (その小柄で機械の様な硬さを誇る体に強烈な一閃が描かれる)〖 …ぎ…ッ… い…ぎ…ッッ……!!! ぎぃ゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あああぁぁぁああぁぁあああああーーーーッッ!!!!!〗 (切断された巨大刃の残骸、服の切れ端、血飛沫、そして悪魔の如き断末魔が一斉に舞い上がる)〖……か…ッ…… …かは……ッ…! ぁ… ……ぁが…ッ…… が… …に、『にぃ』… ……ごめ……―― 」
メグ「……! …やった……ツララが…やったんだ…!(ルリが戦闘不能に陥った直後もしばらく唖然としていたが、我に返ってツララの勝利を確信した) 」
【マリ】:【――――――!!?? …うそ…ルリ……??…ルリッ…!!】(得物を失いしばらく傍らで静かに観戦していたが、ルリが倒れたのを見て驚愕し、一目散に彼女の元へ駆け寄る)【ルリ…!しっかりしなよ…っ…!ねえ!ねえってば…っ…!!】(気絶したルリを何度も揺さぶりながら涙目で訴える)
ツララ「はぁ……はぁ……っ……(いつの間にか紅色に染まっていた瞳に、元の黒々さが戻っていた。荒い呼吸と共に胸部を抑えつけながら少しずつ双子に近寄っていく)…はぁ…はぁ…… …心の弱い人は…人の命を…平気で奪うことができます… それでも、人の絆だけは…絶対に奪えない……! ……昔、私に剣術を教えてくれた方の言葉です。 」
【マリ】:【……!!】(傍に近寄ってきたツララに驚き恐る恐る彼女の顔を見上げる)
ツララ「あなたたちが…互いに絆を通わせているのなら… …もう、人を殺すことはやめてください… あなたたち二人のどちらかが死んでしまったら、残された方の気持ちは…一体、どうなると思いますか……? …悲しみや…怒りに駆られて生きていくことは、辛いはずです。でも何よりも…!大切な人を失ってはじめて、その人のありがたみを知り、無常に包まれて生きていく方が…ずっと辛いんですよ。 」
【マリ】:【…… …… ……】(呆然とツララの言葉に耳を傾けている)【………ルリ……】(その名をそっと呟き、名の主を静かに見下ろす)
ツララ「(マリの様子を見て、何処か安心したかのような微笑みを浮かべる)…今ならまだ、間に合います… さあ……―――――(マリにそっと手を差し伸べようとする) 」
幻影の道化師「 ド ン ッ (刹那―――ツララ自身が影で覆われる。振り向くとそこに、招かれざる道化の姿があった――――) 」
【マリ】:【―――――あ、『にぃ』。】
メグ「…… …… ……ッ…!!!? ツララ後ろ…ッ…!!!(突然の登場に呆気取られ、思わずツララへの喚起が遅れてしまう) 」
ツララ「(自分自身が影に覆われていくのに気付き、ゆっくりと背後へ振り返る)――――――――!!!(太陽を遮り、逆光によって歪な存在感を漂わす黒い存在…そして凝視の末、その正体が、自身が最も恐怖の対象としていた殺戮の権化だと認知した時、非常に形容しがたいほどの感情が含まれた絶望的な表情を見せた) 」
幻影の道化師「 ォ ォ ォ ォ ォ ォ (疲労困憊に陥った双子には目もくれず、ただただ黒髪の剣士を嘲笑するかのように見下ろしている。肩に掛けた醜悪な大鎌が、いつにも増して三日月の様な輝きと鋭さを帯びていた) 」
【マリ】:【……! シュタン…ッ…!! 】(ツララが道化師に呆気取られているのを横目に、ルリを担いでその場から逃げる様に離脱した)
メグ「……!(逃げた…!いや、それより今は…――――)(蛇に睨まれた蛙の様に硬直しているツララを心配そうに見つめる) 」
ツララ「カタ… カタッカタ…カタカタ…ッ……(戦慄による震えが刀に伝わる)……! ズギャアアァッ…!!!(一瞬で間合いを取り、幻影の道化師に二刀を構える)はぁ……はぁ…はぁ…っ……!!(すべての…元凶… この感じ…初めて会った時と同じ… 今にも押し潰されそうな覇気と、見れば見るほどに感覚が狂わされるような…この感じ……! 間違いない… 私の仲間の命を奪った…―――道化師だ……っ…)(先程の戦いで蓄積された疲労とはまた異なる重圧感に、鼓動が激しくなっていく) 」
幻影の道化師「―――――――― ズ ァ ッ ! ! ! (大鎌を天高く掲げ、ツララの脳天をかち割る勢いで振り下ろす) 」
ツララ「――――――ッ!!(ニ刀で受け止めようと試みた瞬間の内に殺気を感じ、防御ではなく後退することで攻撃を回避した)
幻影の道化師「ズグシャアアァッ!!!!(大鎌の刃が地面を抉り亀裂を引き起こす) グン――――― ズ ァ ッ ! ! (そのまま前転するように移動し、大鎌を引き抜くと同時に横一文字に振り抜いた) 」
ツララ「……!(あの攻撃…避けて良かった… この隙は逃さな――――)―――― へ… ひゃ…ッ…!?(疲労故か道化の挙動についていけず、一瞬の内に一刀で防御を試みたが弾き飛ばされ、手放してしまう) 」
幻影の道化師「ズォ ―――――― ギャン ギャン ギャァンッ !!! (頭上で大鎌を振り回し上下に三閃を繰り出しツララを攻め崩さんと猛撃を加える) 」
ツララ「あッ… く…ッ…!! (残された一刀は攻撃を防ぐので精一杯であり、苦悶と焦燥が一緒に表情に滲み出る) 」
メグ「…… ……!!(窮地に追いやられるツララをいたたまれなく思ったのか、意を決したかのように立ち上がる)ツララは…やらせない…!!(靴裏に収納した小型ナイフを取り出し、鮮血を流しながらも道化の背後を討たんと走りだす) 」
幻影の道化師「ガギンッ…ギャンッ !! ……――――――クルルル…ッ… ガチャ ダ ァ ン ッ ! ! ! (ツララを攻める最中、虚空の中で片手を振り回すことでトランペット型ショットガンを出現させ、視界に入っていないはずのメグに向けて正確に発砲した) 」
メグ「(敵は攻撃に集中している…今なら、私だって――――)―――――!!? きゃあぁ…ッ…!!(左肩を貫かれ成す術もなく前のめりに倒れ込む) 」
ツララ「くぅ…ッ…!……!!! メグさん!!?(自身のために駆けつけてくれたメグが返り討ちに遭うのを道化の脇から見え、それに驚き、そして恐怖する)…だめ… これ以上…―――――これ以上誰も死なせたくないッ!!!(メグがつくってくれた一瞬の隙を無駄にすることなく、刀を納刀し居合の構えを取る)…一刀居合―――――“天神”(あまがみ)!!!(強い踏み込みと同時に素早く道化師に接近し、居合を繰り出そうとする) 」
幻影の道化師「ググググ…! (ショットガンを消滅させた後ツララに合わせるように大鎌を振り抜いた) 」
―――――――ザギィ――――――――ン――――――――
ツララ「…… ……(吹き抜けて… 場に走る沈黙の中、静かに刀を納刀する)」
メグ「はぁ……はぁ…… ……はぁ…はぁ…!(左肩を強く抑えながら上半身を無理矢理起こし、訪れた沈黙を見やった)」
幻影の道化師「…… ……(大鎌を振り抜いた状態でツララの背後に立つ。陰りを帯びたその赤黒の仮面は―――― 嗤っていた )」
ツララ「…… …… ……――――― ごめ ん な さ … ―――――― ブシャアアアァ…ッ!!!!(肩から腰元にかけて斬り刻まれ、血飛沫をあげながら力なく倒れ伏した) 」
メグ「――――――!!!? ……ぅ…うそ… ……つら…ら…――――――ツララあああぁぁーーー!!!(悲痛な叫びを上げ) 」
幻影の道化師「ズル… (メグには目もくれず背後に倒れたツララの方へ振り返り、ゆっくりと近寄った) ォ ォ ォ ォ ォ ォ (血だまりの中のツララを嘲笑するかのように見下ろす)」
ツララ「…… …… (うつ伏せの状態で浅い呼吸をしながら、光を失った瞳で恐る恐る道化師を見る)…… ……(体がもう…動けない… やっと仇討ちできると…思ってたのに…―――――悔しい… すごく…悔しい……っ…)(人形のような無機質な表情、その瞳から青い雫がぽたりと滴る)」
幻影の道化師「……ズォ… (今度こそツララにとどめを刺そうと大鎌を振りあげる)」
ツララ「――――――(メグさん… レオハルトさん… みんな…―――――― ごめんなさい… )」
幻影の道化師「 ブ ン ッ ! ! 」
――――― ブ シ ャ ア ア ア ァ … ッ … ! ! ! (青い空が赤く染まる…)
ツララ「…… …… …… ……?(痛くない……? ああ…そっか… 死ぬと痛みなんて感じないんだ… 私…死んじゃったんだ……)…… …… ……?(…風が冷たい… 何も感じないはず…なのに、どうして…)(一陣の風が頬を伝い、黒い髪が靡く)」
メグ「…あ…… あぁ……(あまりの刹那の出来事に呆然と言葉を失う。その視線の先はツララ……ではなく、ましてや道化でもなかった)」
ツララ「…… ……?(メグさんが見える… きっと死んだ私を見て驚いて…… …… ……違う…?私の方じゃない……?じゃあ……じゃあ、何を見て…―――)――――――!!(メグの視線を追うようにゆっくりと顔を動かし視界を広げる。そしてその双眸に映った姿を捉えた瞬間瞳に生気が復活し、だが――――― 絶望した) 」
ポタ…… ポタ…… (道化師の大鎌を伝って、誰かの鮮血が音を立てて滴り落ちる)
ミシェル「―――――…ヒュー……ヒュー……(大の字に広げた肢体で大鎌からツララを守っていた)…ヒュー…ハァー… …間に合って…よかっタ……(吐血をしていながらも、いつもの柔らかく温かい表情を彼女に見せる。背に突き刺さった大鎌の切っ先から鮮血が滴り落ちている)
ツララ「…あ……ぁ… ……み…ミシェ…さ……?な…なんで……(驚愕と悲愴の混じった声を震わせ、赤く染まった、それでもいつもと変わらないミシェルの顔を見上げる)」
ミシェル「はぁ……はぁ…… ……ははっ…ヤな予感がしたから駆け付けたんダ… そしたらそれが的中していただけのことだヨ… (ふふっと笑みを零す度に血も零しそうになるが、必死に口内に留めているようで唇の隙間からどくどくと滴る。刃はそのまま心臓部を貫いていて、切っ先からはなおも赤い雫が音を立てて滴り落ちている)」
ツララ「ピチャ…(ミシェルから落ちた一滴の赤い液体が頬に落ちる)ちが… そうじゃない、です… ……なんで… なんで、私を……!?(腕に力を入れ起き上がろうとするも力尽きた状態では自分の身体でさえ動かせなかった)」
ミシェル「……言ったじゃないカ…" キミは愛されていル " テ… …キミは生かされた存在なんダ。人から、運命から… 未来を託されていル。 だから、キミはまだ歩き続けなきゃならなイ。生きて…活きて… そして、誰かを愛するんダ。キミが、ボクや「彼ら」から愛されていたようニ… 今度ハ…… キミガ……――――――――」
幻影の道化師「ドグシャァ…!!(ミシェルから大鎌を引き抜く)」
――――― ト サ ァ … ッ … ! (狂気の道化から少女を守った若い道化は、優しく微笑んだ顔を浮かべたまま、静かに倒れた)
ツララ「(私が…誰かを…―――) ……ミシェルさん、私―――――――――――――――(彼の笑顔に応えようと口を開いた瞬間、自身の真横に倒れたミシェルに追いつけず、彼のいた方向を――――まだ生きていたミシェルのいた方を見据えていた)…… …… ……ミシェル…さん……?(まるで自分の中だけ時間の流れが遅れていたかのように微動し、恐る恐る目だけを動かしミシェルの遺体を捉える)…… …… ……(青空に向けて微笑む彼の横顔を傍で見つめ、そこに彼がいないことを知り、静かに滴を零した)」
メグ「…… ……(ツララとミシェルの静かなやりとりを見つめていたが何が起きたのか理解に追いつけず、ただただ呆然と立ち尽くしていた)」
ツララ「…ミシェル…さん…… (もはや動く力さえなかったはずの身体がゆっくりと動き出し、ミシェルの遺体の元へ這いずり寄る)……そんな… 貴方まで、そんな……(遺体の胸部に頭を置き、ゆっくりと上半身を超しミシェルの表情を見下ろした)」
――― " キミはひとりなんかじゃなイ。まだたくさんの仲間たちがいル、そしテ、『彼ら』もずっとキミの傍にいル。 " ―――
ツララ「…… …… ……」
――― " キミを必要としている人たちがいル ……行くんダ。 " ―――
ツララ「…ぁ… あぁ…っ… ひく…っ… …ああぁ…あ…ぁ…――――――うわあああああああああぁぁぁぁぁ!!!!(ミシェルの身体に触れ、天に慟哭を響かせる)」
メグ「…ツララ……っ…(辛い思いを乗り越えてきたツララをずっと見ていたからこそ、とうとう彼女にも"限界"が訪れてきたことに気づき、どうすることもできないまま悲想の眼差しで彼女の背を見つめる)」
ツララ「ああ…っ… あっ…うわああぁ…!…ひぐっ……う…っ…!あっ…あああぁ…っ……!!(みんないなくなっていく… 私だけが取り残されていく… もう誰も死なせないって…そう決めて、強くなったはずなのに…!)…わだ…わだしは…っ… もっ、もう…っ… ……誰も守れないのかな…っ…? …みんながいなくなっていくの…を…っ… ずっと見ているしかできないのかな…っ……!?…うぅ…っ… …うあ…ぁ…っ…!(冷たくなっていくミシェルの胸の中に顔を埋める)」
幻影の道化師「…… ……ズァ… ! (ツララの様子に構うことなく、無慈悲にも大鎌を構え直す)」
メグ「……!! だめ…ツララ…!逃げてえ…ッ!! 逃げてえええぇー!!!(道化が動き出したのを見、ツララに逃げるよう力いっぱい叫ぶ)」
ツララ「……わたしは… もう…――――――――」
幻影の道化師「 ブ ン ッ ! ! (凶刃がツララを襲う)」
××「ヒュンッ―――――――― ガ キ イ ィ ン ッ ! ! ! (瓦礫の陰から風の如く現れ、道化師の大鎌を"素手"で受け止めた)」
幻影の道化師「――――!!(処刑を妨げた謎の存在に驚きを示したのかピクリと顔が微動する)」
メグ「危な―――――え……っ…!?(突如現れた××に目を見開き)」
××「ガチ…ガチッ… ガチ…ッ…!! (大鎌の刃をしっかりと掴んで道化が攻撃できないよう封じ込めている)……「お前」…本当にそれでいいのか…?(目深に被ったシルクハットから覗く口元は、何かを呟いている)」
幻影の道化師「……!(大鎌を振り抜こうと何度も試みるが、××の尋常ではない握力を前に苦戦している)………?(××の声に反応し)」
××「お前じゃねえ…!「お前」だ――――――――「ツララ」ッ!!!(道化の方を睨みながら、背後で泣き崩れているツララに)」
ツララ「(……!)…… …貴方は……(知らない誰かの声に反応し、涙で歪んだ表情でその主の背を見上げる) 」
メグ「……!?(ツララのことを知っている…?この人は…)(不思議そうに××を見上げる)」
××「俺はお前のことをよく知らねえ、だが!!そいつ(ミシェル)が何故自分の命を捨ててまでお前を守ろうとしたのか、分かっているのか!? お前は―――――そいつの死を無駄にするつもりなのかッ!!?(声を震わせるツララに怒号する。その睨んでいる対象は道化師ではなく、実はツララへのものだった)」
ツララ「……!(××の言葉に感化され、今もなお微笑んでいるミシェルの顔を見る)…ミシェルさん……(私は……私は……―――――!)」
――― " キミはまだ歩き続けなきゃならなイ。生きて…活きて… そして、誰かを愛するんダ。キミが、ボクや「彼ら」から愛されていたようニ… 今度ハ…… キミガ…――― " ―――
ツララ「……!! ……(死を直前にして忘れかけていた… 大切な人たちの顔を、言葉を……) …う…っ…… あっ…あああぁ……!(溢れるものをこらえながら立ち上がろうとする)」
メグ「ツララ…!(立ち上がろうとするツララに希望を見出したかのように、目に輝きが灯る)」
××→サボ「(ツララの姿を横目に小さく不敵に笑んだ)……前だけを見ろ、恐れることはねェ!お前には「そいつら」がついているんだろ?意地を見せろツララ。俺が…俺達が…支えてやるよ ―――――竜爪拳…!!(ビキビキィ…ッ…!! パ キ ャ ァ ン ッ ! ! ! ! )(大鎌に亀裂を生じさせ、粉砕する)」
幻影の道化師「――――!!?(大鎌を粉砕された瞬間サボを警戒し、素早く退こうとするが…)」
サボ「 竜の――― ガシィッ !! ――――(道化師を逃さんと素早くもう片方の手を構え、その歪な仮面を鷲掴んだ)―――― 鉤爪ェッ!!!!( バ ギ ャ ア ァ ン ッ ! ! ! ! ! )(嵩取る悪魔を引き裂く"爪"が、道化師の仮面を粉砕した)」
幻影の道化師「 ! ! ! ! (仮面が割れた直後世界がスローモーションになり、その中で破片が勢いよく宙に舞い上がった) ブワサァ…ッ…!!!(その反動で後方に吹き飛び、白銀色の長い髪が靡く中、素顔を隠そうと片手で顔面を覆った)」
サボ「―――行けえ!! ツララァァーーーーッ!!!!(大胆不敵な笑みを浮かべ、全てを彼女に託す)」
ツララ「ガシッ (傍に落ちていた刀を拾い上げ、限界が来ていたはずの身体が勢いよく弾け飛ぶ)――――― はあああああああああぁぁぁぁぁーーーーーーッ!!!!(逃げる道化師に、様々な思いの籠った一太刀を炸裂させる)」
幻影の道化師「―――――!!!??(ズシャアアアァァァッ !!!!!)(赤黒の禍々しい身体に神々しい一閃が迸る)ググ…グググッ…――――――――― ド ハ ゚ ア ァ ッ ! ! ドシャアァ…ッ… ! ! ! (傷口から黒い瘴気が勢いよく噴出し、そして地に堕ちた…)」
ツララ「はぁ……はぁ…!はぁ……はぁ…!! ………! ……やった…… ……やったんだ… ……私が……(刀を握る自分の手を見降ろし、そっと目を瞑り呼吸を取り戻す)―――――――― ううん…「私たち」が……!(そっと刀を握った腕をそっと下ろす)」
メグ「……!(やった… ツララがついに…!)(ツララが道化を破ったのを見て歓喜する)」
サボ「……へっ… やればできるじゃないか。」
幻影の道化師「――――――― ド ッ グ ン ッ ! (倒されたと思われた道化師から鼓動が鳴る) ズ…ズズ……(そして顔面を手で覆ったまま起き上がる)――――― 「 」 ――――――(指と指の間から垣間見える狂気の眼光が三人の姿を捉える)」
メグ「ひっ…!まだ…生きてる……!?(道化の様子を不気味そうに見つめる)」
サボ「………(起き上がる道化師、そして仮面の奥に隠されたその悪魔のような眼光を目にし、怯える様子はなく大胆に笑い返した)」
ツララ「……っ…!!(まだ……――――)―――――!!(あの目… ……人のものじゃない……)(道化師の歪な仮面をずっと見てきたツララ自身も、その素顔の一部である眼に、これまで感じることのなかった戦慄を覚える)」
幻影の道化師「 ォ ォ ォ ォ ォ ォ (三人としばらく対峙した後、大鎌を軽く振りまわした) ギ ュ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ――――――― シュゥゥン……(自身を中心に空間が激しく歪曲し、うねりが終えるとそこにはもう、道化師の姿はなかった…)」
メグ「…退いた…んだよね…?(道化が消えた後もしばらく警戒し)」
サボ「おそらくな… (メグにそう言い警戒を解かせる)」
ツララ「…… …… ……!(しばらく道化師のいた方を見つめていると、ふとミシェルのことを思い出し彼の遺体のある方へ振り返る)…ミシェルさん、私… やっと貴方の言葉に気づいた… 鈍感で、すぐに感情的になっちゃう… 私を…許して……くださ………――――― トサァ…! (ミシェルの元へ歩みを進めようとした途端、疲労の末に遂に気を失う)」
メグ「よかった… そういえば、貴方は一体―――――!(サボに問いかけようとしたその瞬間音を聞き、ツララの方へ振り返る) ツララ…!?(急いで彼女の元へ駆け寄る)」
サボ「(ツララの後を横目で追い、やれやれと溜息を零す)…俺のことは後だ。まずはあいつを安全なところへ。」
メグ「う、うん…!(左肩に重傷を負いながらもツララの腕を自分の肩に回し、足を引きずりながら城の方へと進んで行った)」
サボ「……(メグがツララを連れ去るのを見送り、静かにミシェルの遺体を見下ろした)……良い顔してるよ、あんた。あいつ(ツララ)があんたの顔を思い出す時は、きっとその中であんたはこうやって笑っているんだろうな。…それが、あんたの狙いなんだろ――――道化師さん、よ。(ふっと不敵な笑みを零し、ミシェルの遺体を担いで何処かへ去っていった)」
――― 黒の国Onyxis♞・病院 ―――
メグ「いった…(全身の至る部位に包帯が巻かれた状態で院内の廊下を、節々に感じる痛みに顔を歪めながら歩いている)……(こんな傷、ツララのものに比べたら… 今こんな時だからこそ、私自身もしっかりしなきゃ…)(両腕に抱いている、食糧の入った紙袋を見下ろしながら)」
メグ「コンコン…ツララ、入るよー。(ある病室の前に立ち、静かに入室する)…………あれ?(いない… 何処行ったんだろ…)(辺りを見渡しながら)」
男性兵士(Onyxis♞)「ああ、ツララさんなら先程外へ行かれましたよ。(困惑するメグの背後から)」
メグ「え…?あ、そうなんだ… (男に「どうも」と会釈する)………!…もしや……―――――」
――― 黒の国Onyxis♞・墓場のある高台 ―――
ヒ ュ ォ ォ ォ … (青空の中を優しいそよ風が流れる)
ツララ「……(ある墓の前に屈み、静かに手を合わせていた)…… ……っ…(静かに目を開けると何かを憂うように悲しげな表情を浮かべるが、再び目を瞑り、もう一度目を開けると平常になっていた)……そうですよね… いつまでもくよくよしていたら…『みなさん』に迷惑かけちゃいますよね。(はにかみながら呟いて、静かに立ち上がる)」
サボ「……挨拶は済んだみたいだな。(墓場付近の木に背凭れ、指に止まった小鳥を静かに見つめながらツララに声をかける)」
ツララ「はい。…あの、ここまで連れて来てくれて…ありがとうございました。(サボのもとへ移動しぺこりと頭を下げる)」
サボ「(「やせよ」と軽く首を振る)戦いに勝ったとはいえ、お前は重症者だ。無理はするなよ。(ふふっと不敵に笑んで小鳥を空に帰した)」
ツララ「はい… …貴方には、いろいろと助けられました。…あ、私、ツララと言います。貴方は…いったい…」
サボ「ん…?ああ、そうか…そう言えばまだ名前を名乗っていなかったっけ。(たははと苦笑して)…俺はサボ。「ACTORS」のサボだ。」
ツララ「サボさん… アクター…ズ… と言えば、黄の国の人ですよね…?何故、こんな所に…(意外そうに驚いて)」
サボ「ああ、気にすることはないさ。お前たちとは敵対関係にあるかもしれないが…俺達はちょっと変わっててな。支配とか、戦いとか、んなもんに興味ねえから、安心してくれよ。それに俺は今、国を離れて単独で諜報活動をしている。例の異端組織をずっと追跡しているところだ。(腕を束ねる)」
ツララ「そうですか…(敵対することがないと判断したのか、安堵の笑みを浮かべる)例の…組織… それって……(脳裏に例の双子や道化師のことが浮かび上がる)」
サボ「ご察しの通りだ。各国で軋轢が起きているこの状況下で、人知れず暗躍して殺戮や破壊活動を繰り返している連中が存在することを知ってから、放っておけば、時期に起きるだろう国家間の戦争にも何かしらの影響を及ぼすかもしれねえと踏んでな… だが思っていたよりも、早いうちから結果が見えてくることになってしまったようだが…(目を細め墓場に視線を向ける)」
ツララ「……(道化師たちに殺害された仲間たちを思い出し、胸の内が苦しくなる)」
サボ「長期間に渡ってあいつ等の動向を調べ上げてきたが、未だにその目的は謎のままだ。それでも奴らは徐々に活発化してきている。これ以上の被害の拡大は、"世界的規模"になる可能性も見込まれる。だから、俺は、これからも奴らの尻尾を追い続けるつもりだ。一刻も早く、壊滅へと導いてやらねえとな…(青空を静かに仰ぐ)」
ツララ「(しばらく黙りこんでいたが、何か意を決したかのように顔を上げる)…サボさん… 私も、奴等とは何度も接触しました。戦えば戦うほど、謎ばかりを残していく不思議な組織でした。」
――― よくぼーにまみれたこのせかいで、おろかなひとびとはおかねやこくせきでおたがいをさべつしてる ―――
――― りけんやしゅぎしゅちょうでころしあうひとびとに、いきるかちはない ―――
――― きょうごーとどくぜんにかられたきょしょくのりんねはしゅーえんをむかえる ―――
ツララ「っ……(以前対峙した双子の、彼女たち自身のものとは思えない謎の言葉を鮮明に思い出し表情が強張った)……だけどあの戦いの後、ひとつだけ、分かったことがあるんです。」
サボ「……(ツララの答えを待つかのように微動だにせず)」
ツララ「…奴らもまた、この世界に対し何らかの疑念を抱いているということ… きっと、私たちが気づく前から、奴らはこの世界の…何かとてつもない、『真実』を知っているみたいなんです… 少なくとも、私にはそう思いました… ……ただ…奴らが何の目的で動いているのかは、結局私にもよく分かりません。ですが…!目的がなんであろうと、やり方は間違っています…!」
――― 「人はおねーちゃんみたいにはなれない。」「なれない。」「結局みんな、最後には騙し合う。」「だから殺しを止められない。」「そんな人間を殺す、ルリたちはとても楽しいよ。」「とっても楽しい。もっといっぱい人を殺そう。いっぱい人を殺す人を殺そう。」―――
ツララ「(あの時戦った双子の無機質な目を思い出し、戦慄によって体が震える)…人を殺していいはずがない… そんなことは…絶対…っ……」
サボ「……(ツララの只ならぬ表情を静かに窺い一息つく) …なら、お前はどうしたいんだ?(静かに問いかける)」
ツララ「……私は… 私は、奴らを止めたい… そして、今度は、奴らと同じ目線に立って、何を思い、何を見ているのかを知りたい…(拳を震わせる) 私自身が正義を掲げて一方的に奴らを異端者として排除するのではなく、偽善的なことは捨てて… 奴等と向き合いたいんです。そうしなきゃ…きっと… 殺戮を繰り返す理由を見つけられないと思うんです。理由がわからなければ、ただ阻止をするだけじゃ…何も解決しない。悲劇の連鎖を止めるには、奴らのことを知る必要があると思うんです…!!」
サボ「だから、奴等と向き合おうと考えたのか… ……フッ…(不敵な笑みを零す)」
ツララ「……サボさん、私…決めました。 ……私も、サボさんと協力して組織の行方を追いたい。仇打ちのためでなく…これ以上、私の仲間たちのような被害者を出さないためにも、国を越えて…世界中の人々のために、組織の野望を全力で阻止したいんです!お願いします…私を…一緒に連れていってください…っ…!!(深く頭を下げる)」
サボ「……(シルクハットのつばを掴んでツララと向き合う)…お前の気持ちはよくわかったよ、ツララ。何より、やっと俺と同じ考えに辿りつけた同士に出会えて、嬉しいぞ。でもお前、勝手に国を離れて良いのか?それに、まだ傷も完全に完治していないじゃないか。(苦笑して)」
ツララ「ぁ… そ、それは……(困惑の色を浮かべる)」
メグ「―――― だいじょーぶだよ、ツララ。(木の陰からひょこっと顔を出す)」
ツララ「ふぇ…!?あ、メグさん…!(メグの突然の登場に驚いて)」
メグ「お話は全部聞かせてもらったよ。サボさんのことも、ツララが寝込んでいる間にいろいろと聞かせてもらったしね。…国のことは私たちに任せてっ。ツララは、ツララがやりたいようにやればいいと思うよ。…レオハルトさんなら、きっとそう言うだろうしね。(くすっと笑う)」
ツララ「メグさん…!(レオハルトさん… そうか…そうなんだ…)(レオハルトのことを思い出し、少しだけ笑顔を取り戻す)」
サボ「おー、メグじゃないか。 よかったな、良い仲間がいてくれて。(ツララにウインクして)」
メグ「でもサボさんの言う通り、まだ完全に回復したわけじゃないから…もう少しだけここに留まった方が良いと思うよ。万全の状態で挑まないと、元も子もないからね。」
ツララ「……!はいっ…!(満足そうにサボに頷く)うぅ…わかりました… (そう言われて畏まる)」
サボ「そういうこった。 んー…そうだなー… ……!(何かを閃き、ポケットから白い紙きれを取り出す)ツララ、こいつをお前に渡しておく。(そう言ってその紙きれを差し出す)」
ツララ「…これは…?(紙切れを受け取り不思議そうにそれを見つめる)」
サボ「そいつはビブルカード、別名「命の紙」と言われている。そいつがあれば、どんなに離れていてもまた俺に出会える。」
メグ「あ、それ知ってる!ツララ、ためしに掌の上においてごらん。」
ツララ「ビブルカード、ですか… ふぇ…?(メグに促されるままにビブルカードを掌の上に置く)……!う、動いている…?(徐々に進行するその紙切れに目を丸くする)」
サボ「そうだ。ビブルカードが進む先に、俺がいるということだ。 その紙を大事に持っていろ。ここで悠長にしててもいいんだが…一度帰国して、事態の報告をしなきゃならねえからな。だから、傷が癒えたら、その紙が指し示す方向に従って俺に会いに来い。(にかっと笑う)」
ツララ「わぁ…すごい…! わかりました…!そしたら…いよいよサボさんと行動できるんですね。」
サボ「いいや、それもいいんだが…先ずお前には力を付けてもらわないといけない。これから奴等と対峙するにあたって、今までの様な戦闘能力じゃ駄目だ。話し合いが通じる相手とは思えない。お前が奴等と本当に向き合いたいというのなら…先ずはあいつ等と対等に渡り合えるくらいの力をつけなきゃならない。でなきゃ、お前は殺される。」
ツララ「…っ……(前回の戦いで自分が敗北した失態を思い出し、表情が歪む)…そうですね…わかりました…!そのために、ちゃんと傷を癒してきます。」
サボ「それでいい。それにお前は…―――――(そう言いかけて口を閉ざし、首を振った)いや、それは再会してからにしよう。(シルクハットを目深にかぶり直す)」
ツララ「……?(小首を傾げる)」
メグ「……(サボが言いかけた理由を知っているかのように、静かに目を瞑り以前の戦いを回想する。ルリとの一騎打ちで、ツララ自身が何らかの力に覚醒したあの描写を。)……(サボさんはきっと、ツララにあの覚醒した力を自在に発動できるように修行を付けさせるつもりだ… あんな力は私も初めて見た…きっと、これからの戦いでも大きな戦力になるに違いない。私も独自に、ツララのあの力の解析を行わなくちゃ…)」
サボ「さてツララ、これからあいつらと向き合うことになるわけだが…今まで以上の過酷な戦いになるぞ。覚悟はいいな?」
ツララ「覚悟なら承知の上です。私は…絶対に負けるわけにはいきません。負けられない理由がありますから…(静かに墓場に視線を向ける)」
サボ「…愚問だったな。それじゃあ、傷が完全に癒えたら俺のもとへ来い。いつでも待っているぞ。(ふっと微笑んで、その場を後にした)」
ツララ「はい…!(サボさん… 私、頑張ります…)(サボの姿が見えなくなるまで見送った)……メグさん、あの…(サボが去った後静かに彼女の方へ振り返る)」
メグ「たまにはウチにも遊びに来てね。(ツララと一緒に見送る)ん、なぁに?(改まった表情で)」
ツララ「…あの時…私を庇ってくれて、ありがとうございました。(ルリとの戦いが脳裏にフラッシュバックする)」
メグ「ああ…あはは…結局力にはなれなかったけどね…(苦笑)」
ツララ「いえ…!そんなことはありません。メグさんのおかげで…私も、あの一瞬で…戦う意味をもう一度見つめ直すことができました。…あの戦いで多くの仲間たちを失いました。でも私たちにはまだ、希望がある…(胸の内に光るOnyxis♞のバッジに触れる)」
メグ「……うん、そうだね。いつまでも仲間の死を悼んでいたんじゃ、『彼ら』に怒られちゃうからね。(黒縁の眼鏡を外す。胸いっぱいにそよ風を受け止めて静かに瞳を閉ざす)……みんな死んじゃいない。私たちの意思は、いつだって"ここ"にある。ツララ、貴女はこの国に光を齎すのよ。大丈夫、私たちが全力で支えるから。」
ツララ「……!……はい!(メグに微笑みかけ、そして青空を仰いだ)」
――― " キミは愛されていル " ―――
ツララ「…………(瞳を閉じ、そよ風に髪を靡かせる)」
――― " キミはまだ歩き続けなきゃならなイ。生きて…活きて… そして、誰かを愛するんダ。キミが、ボクや「彼ら」から愛されていたようニ… 今度ハ…… キミガ… " ―――
ツララ「…………(ミシェルさん… ちゃんと、見ていてくださいね。貴方にされてきたことを、いつか私が、他の誰かに…―――)("最期"まで笑顔を貫き通したミシェルの顔を思い浮かべ、静かに笑みを浮かべる)」
メグ「……ふぅー…(眼鏡をかけて踵を返す)じゃあ、私たちも戻ろっか。いこっ、手貸してあげるから。(ツララの手を優しく掴んで歩きだす)」
ツララ「(そっと目を開ける)ありがとうございます、メグさん。(微笑みかけ、彼女に連れられ病院へと戻っていった)」
最終更新:2019年06月26日 19:56