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–––– 某国某所・悪魔城門前 ––––
シェン「(鉄格子に背を預け腕を組み、殆ど日が沈み群青と真紅が混じった地平から差し込む陽光を浴びながら瞼を閉ざし沈黙)––––––– パ チ (静粛の中から何かを聞き取ったのか片目を開け、視線の先にある森林をじっと睨んだまま微動だにしない)––––お一人様か。生憎一見さんはお断りだぜぇ~お客様よォォォ~~…… 」
踊り子衣装の人物「ナヨォ~・・・ナヨォ~。(扇で顔を隠し腰をくねくねさせながら近づいてくる) 」
シェン「 ゾ ッ (瞬間、シェンの脳裏には脱皮した蛇の皮に潜り込むカエルのような珍妙で不気味な様がッ!)えっ、あれちょっと待って俺ちゃん今かっこよく決めたんだけどあれなにこれあのその 」
踊り子衣装の人物が扇子をゆっくりとじ、正体を詳らかにする 」
火愚病(踊り子衣装)「アタクシ、テキーラをお持ちしましたの♡ねぇ、入れてくださるぅ?(べったべたの化粧を施しなよぉ~と詰め寄ってくる) 」
シェン「(仮面のように張り付いた笑顔。なよぉっとガムテープのように迫り来る火愚病相手にシェンはなすすべもなく硬直し脳裏には自分をフッた元カノ達の顔の数々が浮かんでは消えてを繰り返していたというッ!!(CV大川透))┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨……丁度。(ぽつりと囁き火愚病の所持しているテキーラに手を触れ)門番っていうのは立ちっぱなしで近くに水飲み場もない、デスクワークとは懸け離れた激務なんだ。丁度、喉が渇いていたんだ。そのテキイィィィーラを分けてくれないかな( に っ こ り ) 」
火愚病(踊り子衣装)「(ふ、流石俺の変装・・・まさかマフィア相手に通じるとは、自分で自分の美貌が恐ろしくなってくるぜ)はぁい♡まずはアナタにぃ! 」
シェン「ドーモ、ありがとさん。いやぁ~助かるねぇこんな辺鄙なとこにわざわざ踊り子さんが来てくれるたぁ珍しいこともあったもんだぁなぁ(へらへらと談笑しつつもテキーラを手に取るがコルクを外すことはなく)中身は……入れたままにしておくよ。あとで飲むさ(┣¨┣¨┣¨┣¨…)君を、始末した後でねッ!!!! カッ (某ペルソナカットイン) 」
BGM:総攻撃チャンス(ペルソナ4)
火愚病(踊り子衣装)「あふん♡どうもありが・・・え?始末? 」
シェン「 ン 月 ッ !!!!(手に取った酒瓶に渾身の力を込めて火愚病の懐に潜り込みアッパーアカットのように振り上げ顎をカチ上げ) 光ッ!! (そして叩き上げた火愚病を追うように飛翔、頭上から背中へ踵落としを決め空中に固定し) 蝶ォオオォォォォォ–––––ッ!!!! (駄目押しに横に3回転し遠心力を乗せた真一文字の振り抜きによって酒瓶を顔面にぶち込んで吹っ飛ばす) 」
火愚病「あぎゃっぱぁあああああああああああ!!!!?(テキーラ・火愚病、潜入失敗ッ! 再起不能(リタイア)ッ!)(CV大川透) 」
シェン「シュトッ ––––┣¨ヤァァァ(鮮やかフォームで着地、からの清々しいまでのドヤ顔カメラ目線)ァァァ…… \カァーカァー/……アホくせ(後にはカラスの鳴き声と沈黙が残りぽつりとこぼして再び腕を組み鉄格子に背を預ける) 」
華峰「さてさて・・・困りましたわ。森を抜けたらあら不思議、不思議な洋館についてしまいました。皆様大丈夫でしょうか。まぁいいでしょう(門の方まで歩み寄り)もし、もしそこな門番の御方。私はしがないシスターです。どうか一晩だけで構いません。御泊め頂けることは叶いませんか? 」
シェン「……(テキーラ娘だった何かに対してそうしたように片目を開け、左口角を上げながら華峰に視線をやり)–––––(眉をひそめ沈黙、二人の間を木枯らしが駆け抜け)それはそれは大変だ(背を鉄格子から離し華峰と正面から向き合って目を糸のようにして友好的な微笑を浮かべる)"憂いの森"を抜けてきたのかい。ここに流れ着くとはオタクも運がいい。何があったのか知らんけど道中大変だったでしょうに…… –––––"お一人"で? 」
華峰「えぇ、道中連れがいたのですが逸れてしまい・・・いかがですか?(女性特有の涙目) 」
シェン「ああ!それはなんということだ、もうすぐ嵐が来るというのにッ!(華峰の涙目に呼応するように悲痛な表情を浮かべ声を張り上げる)ご安心を、すぐに捜索するように手配いたしますので。大丈夫、土地勘のある者を向かわせますからすぐにでも見つかりますよ。ひとまずは中へお入りください、ご同行者をお連れするまでの間は–––––(華峰の背に腕を回し友好的な笑みを浮かべ誘導しようとするが……) 」
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メ" キ" ィ" ィ"ィ"ィ" ……ッ!! (華峰の背に添えられた腕からさながら破裂寸前にまで膨張した筋肉によって骨が悲鳴をあげるような音が響き空気が凍りつく) 」
シェン「–––––– ベ ッ ド <棺桶> で お 寝 ん ね <永眠> し て な 。 」
華峰「――――ッ!!(寸でのところで気配を察知し、轟撃が背中を貫く前に、後方へ跳躍。)・・・・・・女性をエスコートするには少々力みすぎですね。もう少しリラックスしていただけると私としても安心なのですが。 」
シェン「 ヒ"ュ オ"ォォッツ (列車が駆け抜けた際のような風切り音が木霊し轟撃がブロック塀をスプーンで抉ったヨーグルトのように削られる) ッフゥゥゥゥ…… (腕を突き出した状態のまま息を吐き出して硬直し、肩の力を抜いて無形の構えをとる)んなるほどな、お前は少々女性に対してズボらすぎるとも言われてたんだけど、あんがとなべっぴんさん。お陰で自信がついたぜ(機微に手を添えコキコキと音を鳴らす)俺さえも知らねぇ
ジゼルちゃんの能力を知ってるんだって? 」
華峰「・・・・その名前が出るという事は、どうやら先方から話は伝わっているようですね。しかし、参りましたね・・・見ての通り私はか弱いシスター。乱暴をされてはこまります。ね?ここはひとつ穏便に・・・ねッ!(その速さはガンマンの早撃ち。袖口から銃剣を数本逆向きに取り出し一気に投擲。ヒュオオオッ!と風を孕み、閃光は鋭利な軌道を描きシェンに飛翔する) 」
シェン「 カ ッ (一連の動きの初動から攻撃を見抜き)ヒュ… オ ン (目の前に銃剣が飛来して時間の流れが時の流れが遅くなったと錯覚するようなスローモーションになり) パァンッ ガッ キィィィン!!(最初の一本を左手で払って弾きプロペラのように回転させ2本目とぶつけ相殺)パシッ ヒュ ォンッ!!カキカキィン!!(相殺した2本をキャッチして3、4本目をX字きりで振り払って叩き落とし) 会話のキャッチボールで片つくか試すか? そらよッ!! (地を蹴り駆け出しながらその手に取った銃剣を槍のように投げつける) 」
VS【グラナートファミリエ構成員 門番・磷火 沈】
華峰「ほう、あれを躱すとは・・・。(牙をむく閃光に対し冷静にくにゃんとバレリーナ並の柔軟でことごとく躱すし)どうやら、中・遠距離は対策済みのようです。(ズンッ!とブーツのヒール部分を地に埋まるまでめり込ませバネ仕掛けのように飛び掛かる。両手には袖口から出した新たな銃剣二刀流。空中からの両手上段。弾けんばかりの空圧をその身に宿しシェンに斬りかかる) 」
シェン「 ドゥンッ! (同じく地に右足を陥没させ勢いを殺し踏みとどまり) フ ォ ォォ……!! (空中から攻撃にかかるまでのラグを見逃さず)スパァンッッ!! ヒュオ……ッ–––––(素早く両腕をL字に曲げてガッツポーズのようにしがら振り上げ華峰の両肘にぶつけ軌道をそらさせ上体に飛び蹴りを仕掛けようとする) 」
華峰「―――ぐがっ!!?(両肘に攻撃を受け剣の軌道は大きく乱れるどころか反動で銃剣は明後日の方向へ。)―――――うぐぅふぅッ!(飛び蹴りが胸部と腹部の間に流星の様な鋭さで直撃、バランスを崩した状態で受け身など取れるはずはなく、無様に地面にドカドカと勢いよく転がっていく) 」
シェン「(潰すにはもったいねぇべっぴんだが) クルン… ストッ(サマーソルトを決めてから着地し休む間も無く着地の際の衝撃をバネに弾丸のように駆け出し転がっていく華峰を追って小さく地を蹴って飛び)–––––こうするのが確実なんでな ヒュ ォオ ッ!! (着地に合わせて華峰の顔面を潰さんと言わんばかりに正拳を降り降ろそうとする) 」
華峰「―――舐めてもらっては、困りますッ!(無理矢理に体勢を直し、まず正拳を左掌で受け止めゆっくり受け流すような動作で威力を吸収してから)―――チュドドッ!(サイレンサーをつけた銃器ににも似た空裂音と共に右の拳でシェンの顔面に二打。無行砕拳によるカウンター技の一つ) 」
シェン「–––––ッッ(反撃を食らう直前瞳が豆のように縮小し)―――チュドドッ! ッグ……ぁ"……ッ!!(顔面に二打がクリーンヒットし両足をしっかりと地につけ地表を抉りながらも後退) ベキ……–––インッッ!! (骨が砕けるような音が響き思い切り後方へ仰け反り隙が生じる) 」
華峰「はぁあああッ!!!(一気に詰め至近距離からの機関銃的拳打と蹴撃。胴体、下肢、顔面と余すところなく無行の嵐をもって砕きにかかる) 」
シェン「 ッハ!!(地にしっかりとつけていた足を浮かせ、華峰の初動に対し殆ど飛翔しないサマーソルトで爪先と拳を相殺させ対応)ストッ ┣¨ンッ!!(二撃目を拳と拳を真っ向からぶつけ相殺)ヒュン ガッツ!! フッ… ┣¨ ゴォッ!! (続けて半回転からの裏拳→逆方向への半回転から飛翔→両足による回転蹴り二連→続けて着地から回転の勢いを生かし大振りなローキックを放って華峰の攻撃全てを相殺し最終的にお互いの蹴りがぶつかり合ったまま硬直する) 」
華峰「(ギリギリと足と足の鍔迫り合いの最中、スルリとスリットがズレる。この気を見逃さなかった)あら、いやん。失礼ッ!(クンッと脱力しそのまま地面にフワリと倒れるようにサマーソルトをシェンの顎に放つ。反動を利用し後方へと間合いを開けることにした) 」
シェン「えっちょっっとまって見え……–––––(スリットの隙間が見えそうになったとたん急に目が丸くなり) 無 ェ !!? (直後蹴りを受け大げさに悲鳴をあげるが怯まず) ガ ォ ン ン ン ン …… ッ (さながら金属を蹴ったかのような鈍い音とそれ相応の衝撃が華峰の足に響く)ォォォン
シェン「–––––– ニ ィ 。(間合いを取った華峰に対して、人のそれとは思えない八重歯をのぞかせる微笑みを浮かべる彼は、攻撃を受けたにもかかわらず全く微動だにしていなかった) 」
–––––先程まで、地平の灯火のように光を放っていた暁は消失し、気づけば辺りは徐々に暗転しようとしていた。 」
シェン「なるほどな。(首に手を添えコキリと乾いた音を鳴らしながら、じっと裂けそうなほどに鋭い黄金色の眼光を讃え華峰の姿を捉える)期待ハズレじゃなかったぜ。ただまぁ–––– 」
虫のさえずりも、木のざわめきも死に絶えたように静まり返り、光源は城の照明と 」
シェン「(先ほどまでのおちゃらけた風の男のそれではない。既に楽しみ”終えた”、有り余る力を温存させたまま大義を成し遂げてしまった退屈な武将のような顔をしたその男の首筋には–––)ゾゾゾゾゾ……ッ(胴体から顎にかけて、黒く染まり始めた皮膚が顎にかけて徐々に侵食しており)––––––––予想通りだけどな。 」
––– 妖艶な輝きを放ちは閉めた、月光のみだった –––
*
シェン「お嬢をわざわざ落胆させてやることもねぇ。とはいえ、客はもてなすのが礼儀ってもんだ。(月の登り始めた深淵の入り口のごとき闇夜を背に、両腕を広げ胸を張り八重歯の除く笑みを浮かべる)––––– 来 な 、理解させてやる。五体満足は保証しねーがよ 」
ー悪魔城ー
【Crimson Overture】
Round2
― Broken Gate ―
華峰「・・・私もどうやら・・・・"天国"への道が、近いようですねぇ。(スゥっと身構え、冷たい空間に鋭く張り付く。不敵な笑みにはたらりと冷や汗が) 」
シェン「冥土の土産もなしってーのはちとしけてるってもんだろ。(「ヘッ」といった風に歯を見せて鼻で笑い)さっ、”遠慮するな”よ(首をクイと捻り攻撃を促すようにしながら) 」
華峰「―――ッ!(ズンッと風圧が地面を蹴り上げる。二拳の織り成す流星はシェンの頭部と顎を同時に砕きにかかる) 」
ガォ ッツ ––––––– ォォン…… (重金属を槌で打ったような鈍い金属音が静粛を破り、周囲の木々が悲鳴をあげるようにして騒めく)
シェン「––––––––––(華峰の穿った攻撃は確実にシェンの頭部、顎を確実に、そして的確に捉えていた)–––––ククッ(しかし、彼は微動だにせず拳の向こう側で不敵に笑み)おい。俺は”遠慮するな”って言ったはずだが? 指、逝ってねーだろうな 」
華峰「な。(にぃぃ~!?この・・・鎧を殴りつけたような感覚。ダメージが全く通っていない!)くっ!(着地直後に身を捻り脇に向かって蹴りを回す。) 」
シェン「ガギィィィンッッ(脇に叩き込まれた蹴りの一撃でさえも、常人が阿弥陀像に蹴りを入れたそれのようにブレることのなく同じ体勢のまま)ッ……フゥゥ……––––今のはちと”痒かった”な。いいおみ足してるだけあるなァ、アネさんや。それにひきかえ––––(冗談めかしく笑みながらも広げたままの腕を解き、羽織っていたジャケットを脱ぎ捨て。)悪いな、できればブ男になるから使いたくはねーんだけどよ。まぁ喧嘩に反則はあるまいし、恨んでくれるなよ(黒いノープのインナーに同化するかのように、黒く光沢を帯びた皮膚が、顎から下まで、殆ど全身すべてを覆っており、目元からは赤い血管が浮き出、頭部の左側面からは”ツノ”が発現していた) 」
華峰「・・・その角、そして体の頑強さ・・・"鬼"ねアナタ。(バッと一間の間合いを開け) 」
シェン「ご名答、さすがシスター!––––って褒めてやりてェとこだけど、”片角”ってとこを除けばまんまそれだからなァ(瞼を閉ざして首を左右に揺らし骨を唸らせ、片目を開け)ちょいと昔はそこそこ有名人だったんだぜ、”カタツノ”って名で通っててな。隠すつもりゃなかったんだけどほら、この通りブ男になるもんでよ(コンコンと音を鳴らしながら爪のたった黒く硬質な手で硬質化した顎を突き) 」
華峰「・・・・異形の者との戦闘は聊かの心得はありますが・・・・アナタのようなタイプは初めてですね。改めて自分の世界の小ささを認識してしまいます。(再び構えを取り) 」
シェン「そう悲観すんなってーの。己を知って初めて見える世界もあるってもんよ(今度は両腕を広げることなく、五指を立てて腰を低くし構えをとる)絶景だろう?負け戦の景色ってーのも 」
華峰「では、負けを覆す作業にでも取り掛かるとしましょう。生憎モモタローやキンタローの物語はあまり読んだことがないので、鬼殺しの方法はわかりかねますが。ま、大丈夫でしょう。(銃剣を二刀、聖教会の祝福儀礼が施され宵闇の中で白銀に輝く) 」
シェン「ビギナーズラックの時間は終わりだ–––– ┣¨ ゥ ッ (一歩の踏み込みのみで彼の右足の周囲の地面が陥没し、土埃が輪を描いて四散する)桃太郎が退治される物語、童共の新しい語り草の始まり始ま…… り ッッッ!!!!(一気に距離を詰め適度に間合いを開けながら華峰に向かって重いブローを放ってくる) 」
華峰「(来たッ!ここで剣を・・・!)――――え?(華峰の目測が外れる。実際よりも早くに間合いに到達したシェンのブローが両手上段で無防備になった腹部に衝突する)ぐはがぁああ!!?(隕石が衝突したような空気の揺れがズドンと響く。そのまま近くの岩に叩きつけられ磔状態に) 」
シェン「ズサァァァァッ(拳を命中した位置で止め、口から機関車の蒸気のように吐息を吐き出し)ザリッ トットットットッ……–––タン フ ォ ン (常人の延長線上にあるような速度で脇目も振らず駆け出し、地を蹴って飛翔し華峰ヘ向かって右の拳を振りかぶる) 」
華峰「う・・・・ぐぅ!!(避ける間もなく拳は腹部に衝突すると同時に岩がドガぁとくだけ無防備にその身を舞いあがらせる) 」
シェン「┣¨ゴ ァ ッ !! (岸壁すらもいともたやすく砕き、前進する息おのまま地表を抉りながら着地し、土埃が舞う)さて……とっ。(指の関節を一本ずつ鳴らしながら華峰が吹っ飛んでいた方向を見据え)期待通り、予想通り……まあなんつーか、ガッカリだ。(前に突き出していた腕を下ろし両腕をダラリとさせ、再び口から蒸気のように吐息をこぼす)シュゥゥゥ…… 」
華峰「あ・・・はは・・・は、ぐふっ・・・ごほっ。―――何という事でしょう、リジェネレーションが追い付かない・・・なんて。(ゆらりと立ち上がる) 」
シェン「あん?”それ”……術、仕込んでたんだ?へぇー、てっきり生身かと思っちまったよ、スポンジ殴ってるみてぇだったからな(眉をひそめ小首を傾げかと思えば、構えを取らず一歩一歩、無防備に華峰へ歩み寄っていく)どうする、コンテ・ニュゥ、かァ? 」
華峰「―――「らせん階段」「カブト虫」「廃墟の街」「イチジクのタルト」「カブト虫」・・・(ブツブツと呪文の様に単語を並べだす) 」
シェン「(打ち所が悪かったか、まずったな。流石にやりすぎ……)……(–––––いや……こいつは、来るな)–––––(呟き始めた華峰を前にし、目を見開いて足を止め)………フッ(何を思ったのか、伏見がちに、不敵に左口角を吊り上げて微笑し片腕を腰に添え、木枯らしが頭髪を逆なでする) 」
華峰「―――」「ドロローサへの道」「カブト虫」 「特異点」「ジョット」「天使(エンジェル)」 「紫陽花」「カブト虫」「特異点」・・・・・・「秘密の皇帝」 。(十四の言葉、しかし、それ以上は何も起こらない。彼女も顔を少し伏せ目線を下にしたままじっと動かない) 」
シェン「……(先ほどまでの落胆していた表情は消え、敵の姿を捉えた虎のように獰猛な眼光を光らせ) ト ン ッ (地を大きく蹴り進行方向へ飛翔)ヒュン…… フ ォ ッッッ––––– (両右足の関節を曲げ大きく円を描くようにして1回転しながら足を伸ばし、遠心力を上乗せした回転蹴りを大気を割きながら振りかぶり、踵が華峰の目と鼻の先まで迫った) 」
次の瞬間、黒い影がシェンの体をすり抜けると同時に思い一撃と衝撃だけがシェンの体に残る。華峰はシェンのいつもの定位置にもたれかかっていた。
*
シェン「 ズ ┣¨ ッッ!! (さながら弾丸で撃ち抜かれかのような鋭い衝撃が鳩尾を穿ち、白目を大きく見開いて瞳が点のように縮小し、体が海老のように折れ) か––––––ッ!!? (な”ン”……––––––)(意識が吹っ飛びかけた頃には、頭部が地に衝突する直前になっており、慌てて体を縦に一回転させ両足で華峰に背を向け着地) 」
華峰「―――この位置も悪くありませんね。シスター引退したら門番になろうかしら。・・・・・さて、次は私ですね?ちょっと、痛いかもですよ?(うふふと昼間の孤児院の先生の様な朗らかな笑みを見せ) 」
シェン「–––––冗談よせよや(背を向けたまま微かに震えの混じった声色で囁くように)おまんまの食い上げってのは時代劇において、最もぶち殺されなきゃならねぇお代官様のやることだぜ。おじょったまのツラ拝めなくなるしよォォォ……ッ!!(ゆっくりと、口から嬢機を吐きながら振り向く、その顔は全体を覆うように硬質化し、金色の瞳を覗いて白目まで黒く染まり、歓喜に震えていた)ようやく、今ようやく!この仕事が愉快になってきたんだ!!そう易々と譲れるかよ!! 」
華峰「ふふふ、そうですか。それは残念。では、アナタに最後言っておきましょう。―――――『時は加速』する。(華峰の姿が消え、拳と蹴りの跳弾がシェンに連続で飛び交う。ある程度攻撃すれば卑しいことにシェンの射程範囲外まで移動している) 」
シェン「ッッガッ! ギィン!! ガォン!!(全身が硬質化しているためか、痛みなどは感じていない様子だが尋常ではない速度が上乗せされた攻撃の連続で右へ左へと攻撃を受けるたび仰け反り、ひるんでいるのが伺える)ちィ……ッ(目で、追えねぇ……ッ!残像すら見えねえか……!前にもこんな事––––) が ッ !!(一撃が顎を捉え、衝撃で脳を揺さぶられ始めて”痛み”を感じる)––––––––!!(思い出した……ッ!ガキの頃のジゼル……ッ!!) 」
華峰「ん~、流石に硬いですね。イテテ・・・。降参したいのなら、してもいいですよ?主は鬼であろうと人であろうと、寛大であらせられますので。・・・といっても聞かなそうですが。言っておきますが加速された時間の中では生命はそれに追いつくことは出来ません、追いつくことができるのはこの『ステアウェイ・トゥ・ヘブン』を持つこの私だけ。 」
シェン「ッぐ……ぅ……!!(脳震盪により足元がぐらつき頭部を抑えうなだれるようにしながら華峰を見上げ)こいつ……(似たような現象……同じタイプの能力……–––––––“最悪の相性”)ザザッ(血塗れのナイフを片手に佇む幼いジゼルの姿が脳裏をフラッシュバッグし)っは……仕事でなきゃ素直になれたのによ。ニオみてぇな奴だったら楽に潰せんのに––––(苦虫を潰したように薄く笑みつつも、ぐらつく足元を見、何かを閃いたように目を見開き、隙が生まれる) 」
華峰「・・・・時の加速。(彼女自身はゆっくりあるいたつもり、そして軽く拳を握りガツンとシェンの額に) 」
シェン「 ゴ ッ (鈍い音が直接脳裏を揺さぶり衝撃が全身を駆け巡るが)ン”の–––––ッ!!(ここだ–––––)ンゥ––– る”ア”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ッ!!!!(スーパーアーマー状態でダメージと引き換えに全くひるむことなく攻撃を受けるとほぼ同時に足場を思い切り踏み抱き、水平だった地表が瞬く間に川辺のように砕け幾つも突起が出現し浮足状態を誘う) 」
華峰「―――何ッ!?(浮足立ちバランスをぐらりと崩す) 」
シェン「オ” オ”オ”ォ”ォ”ォ”ォ”ォ”ォ”ォ”ッッ!!!!!(––––引けねぇ) ┣¨ゥッ (自分自身も悪影響を受けるはずの凸の多い足場、それらを強引に踏み砕くと同時に破片を弾丸のように飛ばしながら華峰に向かって距離を詰め)ブ オ ンッツ!!(金色のオーラ<闘気>で三日月の軌跡を残しながらローキックを放つ)(俺は、俺の力はまだ!何一つ–––––!!) 」
華峰「―――これは、驚きました。(バランスを崩したところにローキックが足にめり込む。轟ッと音を立て吹っ飛ぼうとした瞬間、リジェネレーションがステアウェイ・トゥ・ヘヴンに合わせ超加速の治癒を足に施す。)――――ズガァッ!(その場に逆の足をめり込ませ、銃剣を取り出しびゅっと投擲。その瞳は相手を必ず仕留めるという"漆黒の意思"が宿っていた。)――――キィィィィン!(時の加速により銃剣さえも超高速でシェンに飛ぶ) 」
シェン「 ッツ!! (投擲された銃剣がシェンの”繰り出された右腕”に二本とも突き刺さり、切っ先を残して刀身ごと砕ける)(見える……ようやく”慣れ”てきた!あとは–––)そらァ よッ!!!!(再び遠心力を乗せての大振りのローキックだが) オ ォン ッ!!(衝撃波にも似たオーラを三日月型にして飛ばし間合いの外の攻撃を華峰へ一直線に穿つ) 」
華峰「(まさか・・・彼は今尚進化している?・・・それにこの攻撃、順応していっていると見ました。・・・・・加速しまくったからそろそろ夜が明ける時間ですね。)では、そろそろ終わりといたしましょう。これ以上戦うと私が不利になってしまうもので。(・・・この作戦、やってみる価値はあるッ!)(再び瞳に漆黒が宿る。衝撃波を躱しながら"一定の速度"でシェンに近づく) 」
シェン「ハッ––––––そいつは残念だ(一定の距離を保ちながら近づいてくる華峰を見据えながら、それが本心の言葉であったように切なげに笑み)フゥ––––(『なぁ、
キャロル。今思えばお前の言う通りだよ』) ┣ ¨ウゥ!! (地を”踏み砕く”問いう生易しいものではなく、ある種の”爆破”をさせて蹴り、矢よりも素早く、砲弾のような重い拳を携え、一直線に迎え撃とうと飛び出す)––––––了”ア “ア”ア”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ッ!!!! 」
『みんなどこかで、何かを間違えただけなんだ。僕も、エディおいたんも、ニオもジゼルもイガルクも、大好きなお姉ちゃんも–––––– パ パ も 』 」
互いにクロスレンジに入ると同時に、それこそ”時”が減速したかのような錯覚が起きた。体感時間は川の流れのように、ひどく緩やかだった 」
『また一つ、抗いようのない間違えが出来たんだよ。 ––––この人とこんな形で出会ってしまったことだ』 」
華峰「――――ッ!(唐突のフェイント。攻撃の意志を瞬時に途切れさせ後方に回る。そして)―――――ヌンッ!!(それは拳法の方ですらないだたの横暴なパンチ。) 」
『シェンがクマ太郎をバザーに出しちゃったの!』『大丈夫ですよお嬢様、私がこいつの皮で新しいの作りますから』『お姉ちゃんがぬっころす』『やめて!!』 」
シェン「–––––––– ┣¨ ォ ン !!(華峰の型を捨てた渾身の一撃は確実に顔面を捉え、黒く染まった仮面に亀裂が迸り)ガ!あッ…アァ!!(全体重を乗せ地を思い切り踏みしめ) 」
『なぁキャロル。一つだけ言い忘れたことがあったんだ。クマ太郎には親戚が居たんだよ。その名もクマ五郎』『シェンのバカ!お姉ちゃんもジゼルも本当バカ!』 」
シェン「(剥がれ地た漆黒の仮面の下から人としての苦悶と執念の混じった、深い皺を刻んだ鬼の形相を垣間見せ)ブォンッツ!!(あくまで反撃しようと拳を振りかぶろうとする) 」
『お姉が教えてくれたんだ!”家族”は選べないけれど、だからこそ出会えたことが奇跡なんだって!だからクマタローにも……シェンにも……代わりなんていないんだからッ!』 」
華峰「――ッ!(彼女自身、能力の行使と戦闘でのダメージで莫大な体力を消耗しているがそれでも時間の加速度をさらに上げヒット&アウェイを繰り返す。それはものの数秒で太陽がまた沈んでいく程にまで) 」
シェン「┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ッッ!!(それはさながらに拳打の雨霰。容赦なく降り注ぐ乱打に晒され全身を覆っていた黒い皮膚が砕け、剥がれ落ち、辺りが鮮血で赤く染まってもなお彼は立ち続けた––––そして)┣¨┣¨┣¨┣¨ドドドドド ド ド ・・・・・………–––––––––––––––––––––– 」
『……––––––だよな』 」
『––––––お嬢、キャロルは』『ああ、確信したよ。 覚えていないんだ、あまりにも残酷過ぎる、真実を』 」
┣¨ ゴ ゥ ッ !!!!
『神よ––––あなたはこの子を遣わす場所を間違えた。叶うなら、あのような悪魔の元に生まれてしかるべき魂ではなかったのだ–––––––––––––––––––』 」
シェン「––––––––––…… ポツ (時刻は夕方。静けさを取り戻した門前で彼は顔面に拳を受けながらも、最後に放った一撃を華峰の横っ面へ叩きつけたまま、夥しい量の赤を滴らせ–––––さながらコロッセオに佇む石像のように硬直していた) 」
華峰「―――ッヅァ・・・。(能力は解ける。同時にフラフラと後方へ揺らめく。)・・・・ふ、ふふふ、ふ・・・・鬼の底力、いいえ、彼の・・・・彼自身の底力でしょうか。 」
華峰「(ん~、ホントははしたないでしょうが・・・・まぁ主は寛大であらせられますので大丈夫でしょう)――――シュッ!(彼の頭部くらいまで跳躍し)―――がシィッ!ドゴォオ!!(正面から太ももによって投げられる側の頭部をはさみ首を極めてから地面へと叩きつける。俗にいう幸せ投げ)―――御無礼を♪ 」
シェン「 クシャッ (燃え尽きた玉ねぎをつぶすかのような乾いた音が静粛の中で木霊する)––––––コトン(後には、シェンの握られたままの拳が地に落ちる音だけが響いた) 」
*
華峰「ふぅ、門番撃破。能力デビュー戦としては・・・・いえ、デビュー戦でこれはきついですね・・・体中が・・痛い。せめて・・・・うぅ。(近くの岩場の陰にもたれかかる。能力がまだ体に馴染んでない故か体中にガタが来ている) 」
\あーららーらー! お疲れちゃんなんですー?/ (華峰が岩場にもたれかかった瞬間、陰から緊張感のない少女の声が耳をつん裂く)
華峰「・・・・・なんでしょうか?こんな時間に懺悔ですか?(声に対して) 」
/いやぁあいにく、私いい子ちゃんだから懺悔するようなことなんて一つもないんですよねーっ\ (今度は華峰の頭上から、同一人物と思わしき声が響く)
!! (その声が響く頃には、すでに華峰の横で果てていたはずのシェンの姿が、血溜まりだけを残して跡形もなく消えていた)
華峰「――――!?(正体不明の声、そして消えたシェン。疲れ切った顔が瞬時に吹き飛び)・・・・なんですか、次はアナタがお相手してくださるので? 」
クイント「/えぇ~冗談よしてくださいよぅ\(華峰の視線の先、そこには透き通った蒼髪と垂れたウサギの耳を携えた小柄な少女が、いたずらな微笑を浮かべていた。悪魔城を囲む塀の上、シェンを片手で抱えて)私脚力には自信ありますけど、能力ありきのアナタ相手じゃたかがしれてますしぃ?何より–––––(片手に何もない空間から一筋の光が迸り、そこから拳銃が出現して) ナンバーワンよりもナンバーツー!誰かと組んでこそ!ですもん♪ 」
華峰「・・・・(戦闘の意志はない、目的はあの男の回収か。どうやら彼女は誰かと組むことで本来の実力を発揮することができるタイプ。門番とは違う強さを併せ持った悪魔の駒) 」
クイント「まあほらほら、ドアマンがこのザマなんで、まあマンよりも需要があるガールちゃんがここを開けちゃいまして(塀に連なるように聳え立つ鉄格子の門を、敷地側から軽く蹴る)あ!それと、優しい優しいお師匠様が”お疲れだろうから”ってこれを預かってきましたぁ★(可愛らし(いつもりらし)く小首をかしげながら、緑色の液体が入ったボトルを華峰へ放り投げる)効果はてきめん、24時間たたけますヨ!ワタシモノンダシ(ゲッソリ) 」
ガ コォォォ ォォ ォ ン……(軽い蹴りのみだというのにもかかわらず、さながらクイントの従順なソレであるかのように鉄格子の門がゆっくりと開いていく) 」
華峰「敵に塩を送る・・・ですか?(緑色の液体を手にして)では、アナタのお師匠様とここの主にこうお伝えください。『救い無き道にせめてもの灯火を。主は、寛大であらせられます。』と。 」
クイント「クスッ この先で私……というより私とあの人に勝てたら直接伝えに行ってくださいよ、パシリじゃないですもん(指先を口元に当てながらほくそ笑み)あーそうそう、それと同じやつが大人買い状態で入り口に置いてありますから、後から来た人にも飲ませてあげてから来てくださいね! 私はともかく、相方さんがお強いですし何より–––––––『欠けたジェンがほど崩して面白くないものはないですもん』 それじゃーお先に!また会おうね☆(たった一度のバックステップで背後に構える洋館のテラスまで一気に飛躍し、窓の向こうへと消え入る) 」
華峰「・・・・なんと得体のしれない。(私は、少し戦闘には立てそうにないですね。無理をし過ぎました・・・・。) 」
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最終更新:2020年09月27日 22:52