カズマたんの指をチュッパチュッパ!保管庫

佳主馬きゅんとゲーム

最終更新:

chupa2

- view
だれでも歓迎! 編集
188 名前:佳主馬きゅんとゲーム1[sage] 投稿日:2009/09/17(木) 13:17:00 ID:???
スレ2 500でうpろだにうpされたSSの加筆修正版です

OZが出来る以前のゲーム機が押入れから発掘されたので佳主馬きゅんと遊んでみるテスト



「ふうん…これがOZが出来る前に流行ってたゲームなの? なんかちゃちい感じ…」
「まあまあ、そう言わずにやってみようよ。これなんかどう?」
俺が取り出して見せたのは古き良き2D対戦格闘ゲーム。
「その辺はお兄さんに任せる。ぼくが見ても、よくわかんないし」
「よーし、じゃあ始めようか!」
テレビモニタとゲーム機を接続し、早速ゲーム機のスイッチを入れる。
横のテーブルの上に置かれたノートPCのモニタの中では、
キングカズマのアバターが画面から身を乗り出すようにして(もちろん出てこられないが)
佳主馬きゅんそっくりの目つきで興味津々と言うようにゲーム機を眺めている。

「なにこの長いデモみたいなの。――メーカーのロゴ? 
飛ばせないの? そうなの。ふうん…」
「タイトル画面のデザインはかっこいいね。センスある」
「あ、始まった……え?! キャラクター、これしかいないの!? この中からしか選べないの!? 
少なすぎるよ!!」
「ボタンで色が変わるだけなの? 性能も同じ? オリジナルキャラクリエイトもないなんて…」
「ステージとか音楽とか操作ボタンとか、全部少なすぎ……
このコントローラーは、手になじんでちょっと使いやすそうだけど」

佳主馬きゅん、始まる前からショック受けまくり。
そりゃあ、現行OZの格闘システムと比べたらちゃちすぎるだろうから、愕然とするのも無理からぬことだとは思うけどね。
いちいち驚く様子が可愛いけど、ずっと佳主馬きゅんを見てるわけにもいかない。
――ゲームスタート!

189 名前:佳主馬きゅんとゲーム2[sage] 投稿日:2009/09/17(木) 13:18:45 ID:???

「ええええっ? これ、2Dなの!!?」
試合が開始するなり、佳主馬きゅんの口から不満と驚きを隠そうともしない声が上がった。
予想していたことだけど、OMCみたいなきわめて自由度の高い3Dバトルに慣れた佳主馬きゅんにとって、
2D格闘なんてあまりにも単純すぎて物足りないんだろう。
「3Dのゲームもあるけど、これはこれで面白いんだよ。騙されたと思ってやってみようよ。ちょっとだけでいいから」
「ううー…。お兄さんがそう言うなら、やるけど……2Dかあ……」
見るからにテンションの下がった佳主馬きゅんを何とかなだめすかし、ようやくゲームに戻る。
お互いのキャラクターは、ランダムで選択していた。
幸いというか、相性差が歴然としてるようなマッチングではなくてほっとする。
佳主馬きゅんが操作に慣れるまでしばらくは、微妙に手加減するつもりだったけど、
あまりに相性が悪い対戦だとつい加減を誤って、佳主馬きゅんが気分を害するような一方的な勝ち方を
してしまうかもしれない。
「うーん……」
佳主馬きゅんは画面端で、カチャカチャと何度もコントローラーのボタンを順番に押し、
画面のキャラの反応と手元を見比べている。
レスポンスやコンボ成立の可否、タイミングを計っていると同時に、画面で動くドットキャラの
モーションも観察してるみたいだ。
その鋭い目つきはゲーマーというよりプロのゲームクリエイターのようだった。
流石は少年実業家の肩書きを持つ佳主馬きゅん、ゲーム関係の特許を持ってるだけあって、
レトロゲームといえどゲームと名前の付くものに対する姿勢は真剣そのものだ。


190 名前:佳主馬きゅんとゲーム3[sage] 投稿日:2009/09/17(木) 13:20:53 ID:???

(ありゃ……ひょっとして俺、ボコられる運命かも?)
あまりに真剣なその横顔に、首筋に嫌な汗が浮かぶ。
考えてみたらOZで世界チャンピオンになれる実力者なんだから、
2D格闘ゲームなんてコツを掴んだら余裕じゃないのか。
こいつはやばい…
内心でそんなことを考えていると、
「OK、もういいよお兄さん。始めよう」
佳主馬きゅんがそう言ってきた。
「う…うん」
気のせいか、その口元がふっと笑ったような気がする。前髪に隠れて表情が見えないけど、
なんだか不敵な笑みを浮かべているような気も…

一応プラクティスで技の練習する? と聞いたけど、佳主馬きゅんからはそっけなく、
「いらない」とのお返事。
ううっ…さっきは必殺技の練習してる気配もなかったのに。まさか攻撃ボタンの反応を見ただけで、
コマンド入力のタイミングも把握したのかい佳主馬きゅん!?
本格的な試合開始前からなんだかプレッシャーに飲まれかけてきたけど、
ここでやめるわけにはいかない。
(そうだ! 俺はカズマたんと楽しくゲームしたいだけなんだ! 負けても悔いはないんだ! 
HSでボコられても仕方ないんだ!)
わけのわからない自己暗示をかけつつ、仕切りなおしの意味も込めて、試合を最初からリスタート。

「それじゃ行くよお兄さん!!」
「望むところだ!!」

…………

2時間が経過。
なぜか、俺が佳主馬きゅんを一方的にボコっていた。
『ぐわあぁ~!!』
「うわああぁっ!!」
佳主馬きゅん側のキャラの断末魔と、佳主馬きゅん自身の悲鳴がシンクロして響く。
画面の中のキャラクターが倒れ、『1P WIN』の文字が表示された。
俺の勝ち。
奥歯をかみしめるような、くうっという鋭い音が佳主馬きゅんの口元から聞こえてきた。
「――まだだよ! まだやるからね!!」

191 名前:佳主馬きゅんとゲーム4[sage] 投稿日:2009/09/17(木) 13:22:03 ID:???

なんでこんなことになったのか。
簡単に説明すると…佳主馬きゅんのエロボイスに負けた。
OZの音声認識システムに慣れてるためか、佳主馬きゅんは自キャラがダメージを受けた時に苦痛の声を上げる。
OMCでキングカズマを使って戦う時と同じように。
殴られれば「うあっ」
投げられれば「わぁぁっ」
というように。
その声があまりにも色っぽすぎて…歯止め利かなくなった。
佳主馬きゅんかわえええええ!もっと鳴かせTEEEEEE状態になってしまったのだ…

佳主馬きゅんも試合を重ねるたびにぐんぐん上達していくのだが、俺のエロパワーが強すぎるのか、
あと一歩のところで勝利するのはいつも俺だった。
(でもこれじゃ、単に俺が佳主馬きゅんをいじめてハァハァしてるだけであって、
2人で楽しくゲームしてるとは言えないんじゃ…)
そう考えると罪悪感があったが、自分のすぐ横で、
「あああっ…!」
なんて性的な声出されては、そんな気持ちもすぐどこかへ飛んで行ってしまう。

「ああっ! もう、また負けた!」
またしても俺の勝ちで試合が終わったとき。
佳主馬きゅんはコントローラーを放り出し、テーブルの上の赤い飲み物の入ったコップに手を伸ばした。
ごくりと一口飲んで、じろっと俺の顔を見上げる。どうみても不満げ。悔しそうな顔。
う…シラフに戻ったときだけ罪悪感が胸に沸き起こる。
ごめん、ごめんよ佳主馬きゅん! でも悔しそうな顔も可愛い…
まるで反省してないモノローグを浮かべつつ、恐る恐る聞いてみる。
「あの…まだやる? 佳主馬きゅん?」
「当然だよ。まだ負けてない」
もう19連敗してるよ、佳主馬きゅん…
ゲームに完全に慣れるまでは接待プレイするつもりだったのにどうしてこうなった…

――で、20連敗目。
今度の勝ち方はひどかった。
連続技でピヨってるところに特殊必殺技入れて一撃即死…
開始数秒で試合決着。
さすがの佳主馬きゅんも完全に動きが止まってる。
「あの…か、佳主馬きゅん…?」
おそるおそる声をかけてみても、微動だにしない。
やっと動いたかと思ったら、うなだれたまま、絞り出すような声でうっうっと嗚咽を漏らし始めた。
(――な、泣いてる!!??)
俺はパニックになった。
(こんなつもりじゃなかったのに…俺のバカヤロー!)
一瞬の間に己の愚かさと浅ましさとを恥じたけど、もう遅い。


192 名前:佳主馬きゅんとゲーム5[sage] 投稿日:2009/09/17(木) 13:23:52 ID:???

こんな屈辱的な負け方、もちろんチャンピオンであるキングカズマが認めるはずがない。
ノートPCのモニタの中では、アバターのキングカズマが眉間にしわを寄せ、腕組みをして画面の外の現実のこちら側――
俺と佳主馬きゅんが対戦中のテレビモニタをにらんでいる。
アバターがこちら側を覗けるはずはないんだが、どう見てもそれは、初心者の佳主馬きゅんをいじめた俺に対して、
キングカズマが怒りの炎を燃やしているようにしか見えない。
(もしそうだとしても、俺は驚かないよ…。)
いい加減申し訳なくなって、俺は背中を丸めてなおも泣き続ける佳主馬きゅんに向かって、
そっと頭を下げた。

「佳主馬きゅんごめん……。泣かせるなんて、そんなつもりなかったんだ……。
俺はただ、佳主馬きゅんと楽しくゲームしたかっただけで……」
慰めたかったけど何を言えば慰めになるのかわからず、とりあえず頭をそっとなでてみた。
佳主馬きゅんの髪はふわふわで柔らかく、ずっとなでていたいくらい気持ちいい…ってまたこれか、俺という奴は。
罪悪感と快感の板挟みになって、どうしていいかわからなくなった。
気がつくとそんな俺の顔を、いつのまにか顔を上げた佳主馬きゅんが、じっと見上げていた。
涙が乾いている。
その顔が、へへっ、といたずらっぽく笑う。
「それじゃあ、もう一回だけ、ぼくと対戦しない?」
「え……大丈夫? 今あんな負け方しちゃったばかりなのに……」
「今度は大丈夫。もう、負けない」
そんなことを言う佳主馬きゅんの顔は、確かに奇妙な自信に満ちていた。


193 名前:佳主馬きゅんとゲーム6[sage] 投稿日:2009/09/17(木) 13:25:22 ID:???

それじゃあ、ともう一度試合してみた。
負けた。
俺が。
「え? え? え???」
もう一度。また負けた。
もう一度――負けた。
何度やっても勝てない。
ストレートで負ける。先を読まれる。何もさせてもらえない。
「ど、どどどど、どういうことこれ?!!」
完全に顔色を失った俺に、佳主馬きゅんはイタズラっぽく顔の前にぴっと指を立てて、ウインクしながら言った。
「ごめんねお兄さん。今まで負けてたのは全部、わざと」
「わざと!?」
「うん。このゲームの理屈は大体わかってた。OMCはこういう旧型ゲームの理論も一部取り込んでるから、
何回か実戦やったら大方は把握できた。本当にやりこんでるゲーマーの人には勝てないけど、お兄さんくらいの腕なら余裕」
どこか申し訳なさそうにそんなことを言う。
ですよねー…世界チャンピオンなんだし、ゲームのプログラムにも詳しそうだし…。でも、ということは?
「じゃあさっきまで負けてたのはわざと? なんで……?」
「サービスだよ」
佳主馬きゅんはさらりと言った。
「さーびす?」
「お兄さん、ぼくの負けた時の声に興奮してたでしょ」
その言葉に俺の思考がフリーズした。
「な、な、な、なんで……」
佳主馬きゅんは少しだけ恥ずかしそうに顔を横に向けて、
「だってその…お兄さんのあそこ、すごい勃起してたから…」

「――#%※@あwせdrftgyふじこlp!!」

今度こそ俺の思考、完全フリーズ。
全部気づかれてたの…そう……というか俺の股間自重!!
佳主馬きゅんは気まずそうに頬をかきながらも、
「だからつい、ずっと負けてみせてお兄さんを喜ばせてあげようかなと思って」
「佳主馬きゅん…」
不覚にも俺は泣きそうになった。
佳主馬きゅんはそんな俺の様子を見て少し困ったように微笑むと、
「それに、結構楽しかったよ。こういう古いゲームもたまにはいいね」
そう言って照れたようにそっぽを向いた。
「――気が向いたらまた、お兄さんとやってもいいよ」
「佳主馬きゅん……!!」
俺は感激でほとんど言葉を失い、思わず佳主馬きゅんを抱きしめようとして腰を浮かせかけた。
と、その時。
佳主馬きゅんは何か思い出したようにぽんと手を打った。
「あ、そうだ。サービス料払ってね」
「へ? サービス料?」
「そう。お兄さんのゲームに付き合ってあげたんだから、今度はぼくのゲームに付き合ってもらう番だよね」
「佳主馬きゅんのゲーム……?」
俺の返事を待たずに、佳主馬きゅんの手が俺の肩を押さえつけ、同時に佳主馬きゅんの足ががっちりと俺の足にからみついた。
「うわっ?!」
……動けない。佳主馬きゅんの体温をじかに感じられてうれしいけど、逃げなければ非常にやばい気がする。


194 名前:佳主馬きゅんとゲーム7[sage] 投稿日:2009/09/17(木) 13:26:13 ID:???

「逃がさないよ、お兄さん」
いつのまにとられていたのか、その手には俺の携帯電話。
その端子にコードが繋がれて、佳主馬きゅんのノートPCと接続されていた。
と、モニタの中であぐらをかいていたキングカズマがすっくと立ち上がって、画面外へと歩き出した。
「げっ…」
俺はあわてたが、手足が動かせないのでどうすることもできない。
俺の携帯のモニタの中で、俺のアバターが泡を食って逃げ回っている。
そこへ、ケーブル回線を通じて、キングカズマが悠然とした足取りで入ってきた。
画面端でなおも逃げようとしている俺のアバターが、キングカズマの手でひょいとつまみあげられた。
「うわっ!?」
そのままぽーいと天高く放り投げられ、すごい距離を放物線を描いて飛んで、落っこちた先はOZマーシャルアーツスタジアム。
数万を超えるアバターたちが、突然空から乱入してきた俺のアバターをなんだなんだと見下ろしている。
スタジアムの地面に顔面をめり込ませてぶっ倒れている俺のアバターのすぐ横に、続いて飛んできたキングカズマが颯爽と降り立った。

「キングカズマキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」
「チャンピオンktkr」
「カズマたんきゃわいいいいいいいチュッパチュッパ!!」

たちまち沸き返る群集、ひしめくメッセージウィンドウ、怒濤のようなキング・カズマコール。

「おーっとこれは嬉しいアクシデント、最近姿を見せてなかった我らが無敵のチャンピオン・キングカズマが飛び入りで来てくれたぞ! 
さあ今日の挑戦者は一体誰だーーーーッ!!!?」
興奮して喋り出す司会者アバター。
バシャン!!
たちまち無数のスポットライトが、未だ顔面を地面から引き抜けずにいる俺のアバターの間抜けな姿を煌々と照らし出した。
電光掲示板にでかでかと表示されるチャレンジャーの名前。ああ、ガッデム。
それは俺の名前だった。
キングカズマがファイティングポーズを取る――無抵抗かつ無防備な、俺のアバターに向かって。
「ちょっ! ええええ!!!? ま、まさか佳主馬きゅんのいうゲームって――」
俺は思わず佳主馬きゅんの顔を見た。
彼はこくんとうなずき、日に焼けた顔に輝くような満面の笑みを浮かべてうれしそうに言った。
「ぼくが飽きるまで付き合ってもらうからね、お兄さん♪」
試合開始のゴングが鳴った。

「よ、よろしくお願いしまぁ~~~す……」

モニタ画面の中でキングカズマの最初の一撃で蹴り上げられ、遥かスタジアム上空へ飛び上がって行く俺のアバターを見つめながら、
俺はそんな情けない声を出すことしかできなかった。



糸冬わり

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

人気記事ランキング
目安箱バナー