| 400 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:2009/09/20(日) 05:24:28 ??? |
「だから、いらないって」
「そんなぁ・・・」
「そんなぁ・・・」
一向に進展しない状況に、健二は嘆息した
ラブマシーンにフルボッコにされた翌日。あまりにも興奮しすぎたせいか
熱に当てられ、体の調子を崩し、カズマきゅんは夏風邪をひいてしまっていた
熱に当てられ、体の調子を崩し、カズマきゅんは夏風邪をひいてしまっていた
聖美としては、付きっきりで看病したいのが心情だろうが
しかし、
――風邪をもらわないよう離れていなさい
陣内家の長である栄の言は絶対だった
もちろん、妊婦である聖美と、これから生まれる胎児を想っての判断だ
しかし、
――風邪をもらわないよう離れていなさい
陣内家の長である栄の言は絶対だった
もちろん、妊婦である聖美と、これから生まれる胎児を想っての判断だ
| 401 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:2009/09/20(日) 05:27:39 ??? |
――風邪ぐらいでなんだい。心配いらないよ
この屋根の下には家族、皆がついてるからね
この屋根の下には家族、皆がついてるからね
重みと暖かみのある、栄の声。聖美は、今は居間にいた
恐らく、主婦三人組にこれからの
アドバイスをもらっているところだろう
恐らく、主婦三人組にこれからの
アドバイスをもらっているところだろう
――家族、皆が――
| 402 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:2009/09/20(日) 05:29:49 ??? |
とは言え、陣内家の各人は諸般の用事で忙しく
かつ、健二は暇だった
かつ、健二は暇だった
だから、
自分がカズマきゅんの看病を頼まれたのは順当だと思ったし
陣内家に恩返しができるなら、と快く健二は承諾したのだった
自分がカズマきゅんの看病を頼まれたのは順当だと思ったし
陣内家に恩返しができるなら、と快く健二は承諾したのだった
しかし、――
「ほら。飲まないと、熱下がらないよ?」
「分かってるけど・・・。苦いのは、嫌い」
「皆、佳主馬くんに早く治ってもらいたいって」
「・・・」
「分かってるけど・・・。苦いのは、嫌い」
「皆、佳主馬くんに早く治ってもらいたいって」
「・・・」
| 403 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:2009/09/20(日) 05:33:07 ??? |
薬を飲むように言うと、カズマきゅんはぷいっとそっぽを向いてしまう
それでも薬を口元に近付けると
臥したまま器用に小さな頭を左右に振って、反発される
先程から、もう何どもこんな応酬を重ねていた
それでも薬を口元に近付けると
臥したまま器用に小さな頭を左右に振って、反発される
先程から、もう何どもこんな応酬を重ねていた
どうやら、カズマきゅん、大の薬嫌いのようだ・・・
| 404 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:2009/09/20(日) 05:35:49 ??? |
「・・・粉末状のやつは特にムリなんだ」
「まあ、ボクも気持ちは分かるけどさ・・・」
「まあ、ボクも気持ちは分かるけどさ・・・」
言いながら、カズマきゅんが首を振ったことによって
ずり落ちた濡れタオルを彼の額に戻す。熱っぽい顔が妙に官能的だなと思ったが
すぐに不謹慎だと打ち消した
ずり落ちた濡れタオルを彼の額に戻す。熱っぽい顔が妙に官能的だなと思ったが
すぐに不謹慎だと打ち消した
――これじゃあ、埒があかない
健二は畳の上に目をやった。氷水を汲んだ桶やタオルなど
薬箱も含めて、看病する一式の用具は持ってきている
薬箱も含めて、看病する一式の用具は持ってきている
| 405 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:2009/09/20(日) 05:38:05 ??? |
「健二さん、せめて固形のタイプない?
あれなら何とか飲めそうなんだけど」
「うん、探してみるよ」
あれなら何とか飲めそうなんだけど」
「うん、探してみるよ」
体温計によれば、カズマきゅんの体温は微熱を若干上回っている
苦しげに自分を見上げるこの少年を、少しでも楽にして上げたかった
カズマきゅんも、粉薬や水薬のような口内に味が残るものが苦手なだけで
直ぐにでも回復したい筈だ
何より、ラブマシーンのことがある――
苦しげに自分を見上げるこの少年を、少しでも楽にして上げたかった
カズマきゅんも、粉薬や水薬のような口内に味が残るものが苦手なだけで
直ぐにでも回復したい筈だ
何より、ラブマシーンのことがある――
| 406 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:2009/09/20(日) 05:40:58 ??? |
健二は万作に持たされた薬箱の中を物色し始める
と、案外それはすぐに発見できた
が、しかし、確かに固形なのだけれど、でも
と、案外それはすぐに発見できた
が、しかし、確かに固形なのだけれど、でも
「佳主馬くん、これ・・・」
「な、なっ・・・!?」
「な、なっ・・・!?」
気怠げだったカズマきゅんの目が一瞬で大きく見開かれ
次の瞬間には、カズマきゅんの顔は茹で上がるほど蒸気していた
次の瞬間には、カズマきゅんの顔は茹で上がるほど蒸気していた
その視線の先には
健二の手には
健二の手には
まごうことなき、――座薬があった