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【千秋の日記】
神社へ向かう最中、人ごみではぐれない様に私は藤岡の服の裾をつかんで歩いていた。
あの日の夜にあんな事をしておいて何だが、どうも人前で手を繋ぐのが恥ずかしい…
いや、つないでしまえばとうって事無いんだが…なんて言うか駅での一騒動で手をつなぐタイミングを失ってしまった。
会った時にすぐに手をつないで出発! …ってのが理想だったんだけど……はぁ…。
だいたいこう言う時は男がリードするもんじゃ無いのか? 藤岡の奴、あの時はあんなに積極的だったのに……
あの日の夜にあんな事をしておいて何だが、どうも人前で手を繋ぐのが恥ずかしい…
いや、つないでしまえばとうって事無いんだが…なんて言うか駅での一騒動で手をつなぐタイミングを失ってしまった。
会った時にすぐに手をつないで出発! …ってのが理想だったんだけど……はぁ…。
だいたいこう言う時は男がリードするもんじゃ無いのか? 藤岡の奴、あの時はあんなに積極的だったのに……
「? どうしたの千秋ちゃん? 顔が真っ赤だけど…」
「……へ? …はっ! …な、何でもない!」
「そう? だったらいいんだけど…。………」
「ん…なんだ? 何か言いたそうな顔だな?」
「えっ? …いや、あの……千秋ちゃんがもう怒ってない?」
「? 何で私が怒るんだよ?」
「いや、駅を出発してから千秋ちゃん全然喋らないから…。」
「……へ? …はっ! …な、何でもない!」
「そう? だったらいいんだけど…。………」
「ん…なんだ? 何か言いたそうな顔だな?」
「えっ? …いや、あの……千秋ちゃんがもう怒ってない?」
「? 何で私が怒るんだよ?」
「いや、駅を出発してから千秋ちゃん全然喋らないから…。」
…そう言えばずっと手をつなぐタイミングを探してたから気がつかなかったが…私は一言も喋っていなかったらしい。
だがそれは藤岡も同じ事で、駅を出発してからこわばった顔をしたまま一言も喋っていない。
だがそれは藤岡も同じ事で、駅を出発してからこわばった顔をしたまま一言も喋っていない。
「別に怒ってなんてないよ、…ちょっと考え事をしていただけだ。」
「そっか、良かった。安心したよ…」
そう言うと藤岡の顔がようやくいつもの笑顔に戻った。藤岡の笑顔だけでドキドキしてしまう私は末期症状なのだろうか…
「だ、だいたいお前だって一言も喋らなかったじゃないか!」
「千秋ちゃんが怒って無いかって、ずっと考え事をしてたからね。……千秋ちゃんは何を考えてたの?」
「私はただ藤岡と手をつなぐタイミングを……」
「手? …あっ、気がつかなくてごめんね。」
「…気がつくのが遅いよ…バカ野郎。」
「そっか、良かった。安心したよ…」
そう言うと藤岡の顔がようやくいつもの笑顔に戻った。藤岡の笑顔だけでドキドキしてしまう私は末期症状なのだろうか…
「だ、だいたいお前だって一言も喋らなかったじゃないか!」
「千秋ちゃんが怒って無いかって、ずっと考え事をしてたからね。……千秋ちゃんは何を考えてたの?」
「私はただ藤岡と手をつなぐタイミングを……」
「手? …あっ、気がつかなくてごめんね。」
「…気がつくのが遅いよ…バカ野郎。」
私がそう言うと藤岡は私の頭を軽く2・3回撫で、私の手を取りギュッと握った。
神社に向かっていると、前方から初詣を終えたと人たちとすれ違う度に、チラッと藤岡の方を見ていく女が多い事に気づいた。
この前も思ったが、やはり藤岡は私以外の女が見てもかっこ良いようだ…。
その藤岡とこうして手をつないで歩いているんだ…私はもはや誰が見ても藤岡の彼女に見えていることだろう。
そんな事を考えて一人ニヤニヤしていると、前方から藤岡のクラスメイトと思われる女の人が現れた…。
神社に向かっていると、前方から初詣を終えたと人たちとすれ違う度に、チラッと藤岡の方を見ていく女が多い事に気づいた。
この前も思ったが、やはり藤岡は私以外の女が見てもかっこ良いようだ…。
その藤岡とこうして手をつないで歩いているんだ…私はもはや誰が見ても藤岡の彼女に見えていることだろう。
そんな事を考えて一人ニヤニヤしていると、前方から藤岡のクラスメイトと思われる女の人が現れた…。
「ふ…藤岡君!あ、あけましておめでとう。」
「…えーっと……確か同じクラスの…」
「リコ! リコです!!」
「そうだ、うっかりしてた…ごめんね。えっと、あけましておめでとう。」
「こと…今年……今年もよろしくね!」
「…うん、よろしくね。」
別にたわいのない年始の挨拶だ。…だが藤岡が知らない女の人と会話をしていると、どうにも心がモヤモヤしてしまう…。
「…おぃ、藤岡。この女の人は誰だ?」
「あ、えっと…同じクラスのリコさん。……で、こっちが千秋ちゃん。」
「…えーっと……確か同じクラスの…」
「リコ! リコです!!」
「そうだ、うっかりしてた…ごめんね。えっと、あけましておめでとう。」
「こと…今年……今年もよろしくね!」
「…うん、よろしくね。」
別にたわいのない年始の挨拶だ。…だが藤岡が知らない女の人と会話をしていると、どうにも心がモヤモヤしてしまう…。
「…おぃ、藤岡。この女の人は誰だ?」
「あ、えっと…同じクラスのリコさん。……で、こっちが千秋ちゃん。」
藤岡がそう言うと、そのリコと言う女は真剣な顔で私の顔を覗き込んでじーっと見つめてきた。
そしてしばらくすると、急に笑顔になりこんな事を言いだした…
「可愛い妹さんですね! …藤岡君に妹さんがいたなんて知らなかったわ。」
妹…? 何を勘違いしているんだこの女は…私は彼女であることを認識させるために、藤岡の右手に抱きついてみせた。
するとこのリコと言う女…まだ勘違いしているらしく、
「ウフフッ、大丈夫よ。今から一緒に初詣に行くんでしょ? すぐにお兄さん取ったりしないから…。」
等と私の耳元で言いだした。
そしてしばらくすると、急に笑顔になりこんな事を言いだした…
「可愛い妹さんですね! …藤岡君に妹さんがいたなんて知らなかったわ。」
妹…? 何を勘違いしているんだこの女は…私は彼女であることを認識させるために、藤岡の右手に抱きついてみせた。
するとこのリコと言う女…まだ勘違いしているらしく、
「ウフフッ、大丈夫よ。今から一緒に初詣に行くんでしょ? すぐにお兄さん取ったりしないから…。」
等と私の耳元で言いだした。
すぐに取ったりしない? …って事はなんだ、いずれは私から藤岡を奪うつもりなのか?
そんなわけには絶対にいかない、そう思った私はこのリコと言う女にハッキリと彼女である事を伝える事にした。
そんなわけには絶対にいかない、そう思った私はこのリコと言う女にハッキリと彼女である事を伝える事にした。
「あの…何か勘違……」
「あの、実は千秋ちゃんは妹じゃなくてオレの彼女なんだ。」
「あの、実は千秋ちゃんは妹じゃなくてオレの彼女なんだ。」
しかし私が説明するのとほぼ同時に、藤岡が恥ずかしそうに顔を赤くしながらそう言った。
心の中で、藤岡! 良く言った!! と喜んでいると、そのリコと言う女の顔が目に入った。
……固まっている。遠くの方を見たまま瞬き一つしないで固まっている…。
もしかして既にこの女も藤岡の事が好きだったんだろうか…?
なんだか悪い事をしたような気がしないでもない……しかしコレばっかりは譲れない。
私は藤岡の手をぐいぐい引っ張って、神社へ突き進んだ。
心の中で、藤岡! 良く言った!! と喜んでいると、そのリコと言う女の顔が目に入った。
……固まっている。遠くの方を見たまま瞬き一つしないで固まっている…。
もしかして既にこの女も藤岡の事が好きだったんだろうか…?
なんだか悪い事をしたような気がしないでもない……しかしコレばっかりは譲れない。
私は藤岡の手をぐいぐい引っ張って、神社へ突き進んだ。
「うわっ、千秋ちゃんどうしたの急に? なんだかリコさん様子が変だったから心配なんだけど…」
「…今はほおっておいてやれ。多分それが一番いいと思う。」
「…そうなの?」
「少なくとも私ならそうしておいて欲しいよ。」
そう言って私は振り返ることなく神社へ向かった。…いうなれば同士の屍を越えていった気分だ。
「…今はほおっておいてやれ。多分それが一番いいと思う。」
「…そうなの?」
「少なくとも私ならそうしておいて欲しいよ。」
そう言って私は振り返ることなく神社へ向かった。…いうなれば同士の屍を越えていった気分だ。
しばらく歩いていると、寒さのせいか私は尿意に襲われた。
神社にトイレは無い…私はトイレを探し辺りをキョロキョロしながら歩いていると、目の前にデパートが現れた。
神社にトイレは無い…私はトイレを探し辺りをキョロキョロしながら歩いていると、目の前にデパートが現れた。
「ふ、藤岡。少しデパートによらないか?」
「…え? でも神社はすぐそこだよ? …お参りしてからゆっくり来ない?」
「…い、今じゃ無いとダメなんだ…それまで我慢できそうにない…。」
「? …どうして?」
「……さ…察しなさいよ!!」
「…え? でも神社はすぐそこだよ? …お参りしてからゆっくり来ない?」
「…い、今じゃ無いとダメなんだ…それまで我慢できそうにない…。」
「? …どうして?」
「……さ…察しなさいよ!!」
私はトイレを我慢しているため、ずっとモジモジしていた。
藤岡もようやくそれに気がついたのか、私に謝りながらデーパートへ向かった。
……なんて事だ。考える事は皆一緒…トイレには約10人…いや、中にも人はいるだろうから15人は待っているだろうか…
しかも振袖を着ている人がチラホラいる為になかなか前に進まない…。はたして私は我慢できるのだろうか…
そんな事を考えていると、私の後ろに並んでいた二人組が男子トイレに入って行ったではないか…
確かに女子トイレと違い、男子トイレはガラガラ…だからって女が入っていいのか?! 私は手招きをして藤岡を呼んだ。
藤岡もようやくそれに気がついたのか、私に謝りながらデーパートへ向かった。
……なんて事だ。考える事は皆一緒…トイレには約10人…いや、中にも人はいるだろうから15人は待っているだろうか…
しかも振袖を着ている人がチラホラいる為になかなか前に進まない…。はたして私は我慢できるのだろうか…
そんな事を考えていると、私の後ろに並んでいた二人組が男子トイレに入って行ったではないか…
確かに女子トイレと違い、男子トイレはガラガラ…だからって女が入っていいのか?! 私は手招きをして藤岡を呼んだ。
「お、おい! 今男子トイレに女が入って行ったんだが…いいのか?」
「あぁ、たまにいるんだよ。女子トイレが混んでるからって男子トイレに入ってくる人…」
「……藤岡はそんな女は嫌いか?」
「うーん…まぁ常識が無い人に見えてあんまり…」
「……そ、そうか…。」
「……………どうかしたの?」
「……………なぁ、藤岡…。じゃあ男子トイレに入る女と、お漏らしをする女…どっちが嫌いだ?」
「……もしかして…我慢できないとか…?」
「……コクリ…。」
「あぁ、たまにいるんだよ。女子トイレが混んでるからって男子トイレに入ってくる人…」
「……藤岡はそんな女は嫌いか?」
「うーん…まぁ常識が無い人に見えてあんまり…」
「……そ、そうか…。」
「……………どうかしたの?」
「……………なぁ、藤岡…。じゃあ男子トイレに入る女と、お漏らしをする女…どっちが嫌いだ?」
「……もしかして…我慢できないとか…?」
「……コクリ…。」
私は恥ずかしながら首を縦に振り、誰もいない時に藤岡に付いてきてもらい男子トイレに入った…。
出た時に男の人と出くわすのも恥ずかしいので、扉の前で藤岡に待ってもらい、誰もいない時に脱出する事にした。
…しかし藤岡が扉のすぐ前にいると思うと、…水をはじく音などが恥ずかしくてなかなか出来ない…。
出た時に男の人と出くわすのも恥ずかしいので、扉の前で藤岡に待ってもらい、誰もいない時に脱出する事にした。
…しかし藤岡が扉のすぐ前にいると思うと、…水をはじく音などが恥ずかしくてなかなか出来ない…。
「おぃ藤岡、お前ちょっと耳をふさいでろ!」
「耳? こうでいいのかな?」
「ちゃんとふさいだか?絶対だな?」
「…うん。」
「バカ野郎! 聞こえてるじゃないか! もっとちゃんとふさげ!」
「耳? こうでいいのかな?」
「ちゃんとふさいだか?絶対だな?」
「…うん。」
「バカ野郎! 聞こえてるじゃないか! もっとちゃんとふさげ!」
そんなやり取りをし、藤岡の返答がなくなったので私は早く用を済ますことにした…
静かなトイレでチョロチョロと音が響く…なぜおしっこをするだけでこんなに恥ずかしい目に合わなくてはいけないのか…
とりあえずスッキリした私は藤岡に外に誰もいないか問いかけてみた。……返事がない。
そう言えば耳をしっかりふさいでたら、こんな小声聞こえる訳もないか…。しかし大声を出すわけにもいかない。
私はそっと扉を少しだけ開き、藤岡の服をちょんちょんと引っ張った。
すると私に気づいた藤岡は、何やら慌ててトイレの扉を閉めた…どうやら人がいたらしい。
静かなトイレでチョロチョロと音が響く…なぜおしっこをするだけでこんなに恥ずかしい目に合わなくてはいけないのか…
とりあえずスッキリした私は藤岡に外に誰もいないか問いかけてみた。……返事がない。
そう言えば耳をしっかりふさいでたら、こんな小声聞こえる訳もないか…。しかし大声を出すわけにもいかない。
私はそっと扉を少しだけ開き、藤岡の服をちょんちょんと引っ張った。
すると私に気づいた藤岡は、何やら慌ててトイレの扉を閉めた…どうやら人がいたらしい。
「ダメだよ千秋ちゃん! 今人が3人も…」
「そうか悪かったな…でも声をかけたけど聞こえなかったみたいで…。」
「そっか…こっちこそ気がつかなくてごめんね。」
「いや、それはお前が私の言う通りちゃんと耳をふさいでたって事だろ? むしろ有難いんだが…」
「…有難いんだが……?」
「…お前、何で扉の中にいるんだよ。」
「……あ。」
「…あ、じゃねーよ…バカ野郎。」
「あはは、ごめんね。」
「そうか悪かったな…でも声をかけたけど聞こえなかったみたいで…。」
「そっか…こっちこそ気がつかなくてごめんね。」
「いや、それはお前が私の言う通りちゃんと耳をふさいでたって事だろ? むしろ有難いんだが…」
「…有難いんだが……?」
「…お前、何で扉の中にいるんだよ。」
「……あ。」
「…あ、じゃねーよ…バカ野郎。」
「あはは、ごめんね。」
能天気に笑う藤岡をよそに、私は耳を澄ましてトイレから人がいなくなるのを待っていた。
…するとさっきまで能天気に笑っていた藤岡が、急に真剣な顔になりソワソワしだした。
…するとさっきまで能天気に笑っていた藤岡が、急に真剣な顔になりソワソワしだした。
「なんだお前、もしかして藤岡もおしっこしたくなったのか?」
「いや、そう言う訳じゃないけど……」
「そう言う訳じゃないなら、どう言う訳だよ?」
「…えっと……なんかドキドキしない?」
「…私は男子トイレに入る時からドキドキしてるぞ?」
「うーん…それもそうなんだけど…ちょっと違うって言うか…」
「…? なんだよ、ハッキリ言えよ。」
「だから…こう言う狭い密室で二人きりでいるとドキドキしない?」
「……え?」
「いや、そう言う訳じゃないけど……」
「そう言う訳じゃないなら、どう言う訳だよ?」
「…えっと……なんかドキドキしない?」
「…私は男子トイレに入る時からドキドキしてるぞ?」
「うーん…それもそうなんだけど…ちょっと違うって言うか…」
「…? なんだよ、ハッキリ言えよ。」
「だから…こう言う狭い密室で二人きりでいるとドキドキしない?」
「……え?」
そう言えばそうだ…この半畳程のトイレに藤岡と二人っきり…外には人がいて出れない。
藤岡がそんな事を言うもんだから、こっちまでドキドキしてきてしまった。
私は洋式のトイレに座っていて、藤岡はその場に立っている…つまり目の前には藤岡のソレがあるわけで…
藤岡がおかしな気を起こしたりしたら私は……ってそんな事藤岡に限って絶対ないな。
そう思ってソコを見ないように、私が顔をあげると藤岡は何を勘違いしたかキスをしようとしてきた。
(…まぁ密室だし…誰も見ていないわけだから一回くらいならいいか……)
私はそう思い、一度だけ藤岡のキスに答えてやることにした。
藤岡がそんな事を言うもんだから、こっちまでドキドキしてきてしまった。
私は洋式のトイレに座っていて、藤岡はその場に立っている…つまり目の前には藤岡のソレがあるわけで…
藤岡がおかしな気を起こしたりしたら私は……ってそんな事藤岡に限って絶対ないな。
そう思ってソコを見ないように、私が顔をあげると藤岡は何を勘違いしたかキスをしようとしてきた。
(…まぁ密室だし…誰も見ていないわけだから一回くらいならいいか……)
私はそう思い、一度だけ藤岡のキスに答えてやることにした。
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